説明

太陽熱温水器及びそれを用いた風呂の湯張り方法

【課題】自動で風呂の湯張り動作を行う際、貯湯タンクから出湯される出湯温度が設定湯張り温度より低くても、強制的に補助熱源機の運転を停止してそのまま使用し、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きくなったら、湯張り完了後の湯温が設定湯張り温度となるよう不足熱量を算出し、補助熱源機で加熱、出湯して無駄な加熱を減らし、貯湯タンク内の湯を効率的に使用できる取扱性、省エネルギー性に優れた太陽熱温水器の提供。
【解決手段】制御部が、操作部で風呂の湯張りモードが選択された時に、貯湯タンクからの出湯温度が操作部で設定された設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内である場合は、貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きい場合は、補助熱源機で貯湯タンクから出湯される湯を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬場等で集熱量が少なく、貯湯タンクから出湯される湯の温度が予め設定した設定湯張り温度よりも低い場合でも、所定の温度差以内であれば、貯湯タンクから出湯される湯を加熱することなく、そのまま湯張りを行うことにより、貯湯タンク内の湯を有効に利用して補助熱源機による加熱量を低減することができる太陽熱温水器及びそれを用いた風呂の湯張り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽熱温水器では、貯湯タンク内の湯温が希望給湯温度未満(約30〜40℃の範囲)にあるとき、希望給湯温度に近い温度の湯が溜まっていても、貯湯タンクの湯を水でうすめて一旦、所定温度(例えば補助熱源器の最低加熱能力分の温度)だけ下げたのち、補助熱源器で再加熱して、希望給湯温度で給湯・自動湯張りするので、温度を一旦下げた分の再加熱熱量が無駄であり、省エネルギー性に欠けるという問題点があった。
この問題点を解決するために、例えば、(特許文献1)には、「貯湯タンク内の湯温が、所定温度と同じかそれよりも高い場合は、貯湯タンク内の湯と、給水源からの水とを混合して、補助熱源器による加熱なしで希望給湯温度で給湯し、貯湯タンク内の湯温が、所定温度未満のときは、貯湯タンク内の温水を使うことなく、給水源からの水を補助熱源器へ供給し、そこで加熱して、希望給湯温度で給湯する、貯湯式給湯器の運転方法。」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「太陽熱温水器と補助熱源器とは制御部を介して電気的に接続され、各装置に配した温度計からの温度情報は、太陽熱温水器側と補助熱源器側とで共有され、第一の制御部又は第二の制御部にはリモコンが接続され、リモコン部においては、希望給湯温度の入力が可能であるとともに、貯湯タンクの温度計が検知する湯温(Th)の表示も可能である、ソーラ給湯器。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−314905号公報
【特許文献2】特開2003−161513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、貯湯タンク内の湯温が、所定温度と同じかそれよりも高い場合は、貯湯タンク内の湯と、給水源からの水とを混合して、補助熱源器による加熱なしで希望給湯温度で給湯することができるが、貯湯タンク内の湯温が、所定温度未満のときは、給水源からの水を直接、補助熱源器へ供給し、希望給湯温度まで加熱して給湯しなければならず、補助熱源器による加熱量が増大するだけでなく、希望給湯温度に加熱するまでの時間を要し、省エネルギー性、使用性に欠けるという課題を有していた。
また、貯湯タンク内に希望給湯温度より少し低い温度の湯が溜まっていても、その湯を利用することができず、貯湯タンク内の集熱エネルギーの有効利用性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、使用者がリモコンを利用して貯湯タンク湯温を容易に知ることができるので、その湯温を参照しながら、臨機応変に給湯温度又は設定温度を決定(又は変更)することができるが、使用する度に、給湯温度又は設定温度を確認、設定しなければならず、取扱いが煩雑で使用性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、自動で風呂の湯張り動作を行う際に、貯湯タンクから出湯される湯の温度(出湯温度)が予め設定した設定湯張り温度より低くても、強制的に補助熱源機の運転を停止してそのまま使用すると共に、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きくなった時に、湯張り完了時の湯温が目標の設定湯張り温度となるように不足分の熱量を算出し、補助熱源機で貯湯タンクから出湯される湯を加熱して出湯することにより、補助熱源機による無駄な加熱を減らして、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できる取扱い性、省エネルギー性に優れた太陽熱温水器の提供、及びそれを用いることにより、冬場等で集熱量が少ない場合でも、貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用して、目標の設定湯張り温度で簡便かつ確実に湯張り動作を行うことができる効率性、省エネルギー性に優れた風呂の湯張り方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の太陽熱温水器は、以下の構成を有している。
請求項1に記載の太陽熱温水器は、太陽熱で温められた湯を貯める貯湯タンクと、前記貯湯タンクから出湯される湯と給水源からの水を混合する混合弁と、前記貯湯タンクの湯を補助的に加熱する補助熱源機と、湯温の設定や運転モードの選択を行う操作部と、全体を制御する制御部と、を有する太陽熱温水器であって、前記制御部が、前記操作部で風呂の湯張りモードが選択された時に、前記貯湯タンクからの出湯温度が前記操作部で設定された設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内である場合は、前記貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が前記許容温度差より大きい場合は、前記補助熱源機で前記貯湯タンクから出湯される湯を加熱する構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)制御部が、操作部で風呂の湯張りモードが選択された時に、貯湯タンクからの出湯温度が操作部で設定された設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内である場合は、貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きい場合は、補助熱源機で貯湯タンクの湯を加熱することにより、設定湯張り温度に近い温度で貯湯タンクから出湯される湯をそのまま使用することができると共に、湯張り完了時に目標の設定湯張り温度となるように、温度の低い湯を補助熱源機で加熱して使用することができるので、無駄な加熱を防止して貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用することができ、湯張り時の加熱の効率性、省エネルギー性に優れる。
【0007】
ここで、操作部には、台所や洗面所等で使用する湯の温度(設定給湯温度)や風呂の湯張りを行う時の湯の温度(設定湯張り温度)を設定するための湯温設定ボタンや運転モードを設定するための運転モード設定ボタンなどがあり、使用者が適宜、湯温や運転モードの設定を行うことができる。
操作部は、表示部を有しており、貯湯タンク内の湯温(貯湯温度)、設定給湯温度や設定湯張り温度、補助熱源機の運転の有/無などを表示する。また、所定の時間になると自動運転を可能にするための時計機能や台所と風呂の間で連絡するためのインターフォン機能等がある。
【0008】
通常運転(台所や洗面所などでの給湯)においては、制御部は、貯湯タンクに配設された貯湯サーミスタで測定した貯湯タンク内の湯温(貯湯温度)を元に貯湯タンクから出湯される湯の温度(出湯温度)を算出する。そして、その出湯温度と操作部で設定された設定給湯温度に基づいて混合弁及び補助熱源機を制御し、設定された給湯温度で給湯する。
つまり、出湯温度が、設定給湯温度と同等であれば、貯湯タンク内の湯のみで給湯を行い、出湯温度(貯湯タンク内の湯温)が、設定給湯温度よりも高ければ、給湯温度が設定給湯温度と等しくなるように、混合弁を制御して貯湯タンクから出湯される湯と給水源から給水される水を混合して給湯を行う。また、出湯温度(貯湯タンク内の湯温)が設定給湯温度よりも低ければ、貯湯タンクから出湯される湯を設定給湯温度と同程度となるまで補助熱源機で加熱して給湯するが、設定給湯温度と出湯温度との温度差が小さい時には、補助熱源機で加熱することにより、湯温が設定給湯温度を超えることがある。その場合は、補助熱源機による加熱が終わった後に、給湯温度が設定給湯温度と等しくなるように混合弁を制御して給水源から給水される水を混合して給湯を行うか、或いは、補助熱源機による加熱を行う前に、混合弁を制御して貯湯タンクから出湯される湯と給水源から給水される水を混合して一旦、湯温を下げてから、給湯温度が設定給湯温度と等しくなるように補助熱源機で加熱して給湯を行う。
【0009】
操作部で風呂の湯張りモードが設定された際に、補助熱源機が運転されていた場合には、補助熱源機の運転を強制的に停止させる。このとき、表示部に風呂の湯張りモードが設定されたことを表示すると共に、補助熱源機の運転を停止したことを表示する。これにより、使用者は、風呂の湯張りモードが確実に設定され、正常な動作が行われていることを確認することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の太陽熱温水器であって、前記制御部が、前記湯張りモードにおいて、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が前記許容温度差を超えた時に、前記設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定する構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)制御部が、湯張りモードにおいて、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差を超えた時に、設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定するので、湯張り完了までに不足分の熱量を確実に補うことができ、目標の設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りすることができ、湯張りの信頼性、使用性に優れる。
(2)設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定するので、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できると共に、不足分の熱量のみを補助熱源機による加熱で確実に補うことができ、無駄な加熱を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。
【0011】
ここで、制御部は、給湯サーミスタ及び流量センサにより、常に湯張りに使用される湯の温度(給湯温度)と給湯量を監視する監視部を有している。この監視部により、簡便かつ確実に湯張り済み熱量と、湯張り残量を知ることができ、残量湯張り温度を求めることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の太陽熱温水器であって、前記制御部が、前記残量湯張り温度に基づいて、前記補助熱源機による加熱量を設定し、前記補助熱源機で加熱された湯と前記給水源からの水を前記混合弁で混合して、前記残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行う構成を有している。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)制御部が、残量湯張り温度に基づいて、補助熱源機による加熱量を設定し、補助熱源機で加熱された湯と給水源からの水を混合弁で混合して、残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行うので、補助熱源機の加熱量に過不足がなく、確実に目標の設定湯張り温度で湯張り動作を完了することができ、湯張り動作の確実性、省エネルギー性に優れる。
【0013】
ここで、補助熱源機で加熱された湯の温度が、残量湯張り温度に等しくなっている場合には、混合弁で水を混合する必要はなく、補助熱源機で加熱された湯のみを出湯すればよい。
【0014】
請求項4に記載の太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法は、太陽熱を貯湯の加熱に利用する太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法であって、制御部において、貯湯タンクからの出湯温度が、予め設定された風呂の設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であるか否かを判定する湯温判定ステップと、前記湯温判定ステップにおいて前記出湯温度が前記設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であると判定した場合に、前記貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行う非加熱湯張りステップと、前記湯温判定ステップにおいて前記出湯温度が前記設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差より大きいと判定した場合に、補助熱源機で前記貯湯タンクから出湯される湯を加熱する補助熱源加熱ステップと、を備えている構成を有している。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)制御部において、貯湯タンクからの出湯温度が、予め設定された風呂の設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であるか否かを判定する湯温判定ステップと、湯温判定ステップにおいて出湯温度が設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であると判定した場合に、貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行う非加熱湯張りステップを有することにより、設定湯張り温度に近い温度で貯湯タンクから出湯される湯を加熱することなく、そのまま使用することができるので、無駄な加熱を防止して貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用することができ、湯張り時の加熱の効率性、省エネルギー性に優れる。
(2)湯温判定ステップにおいて出湯温度が設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差より大きいと判定した場合に、補助熱源機で貯湯タンクから出湯される湯を加熱する補助熱源加熱ステップを有することにより、温度の低い湯を補助熱源機で設定湯張り温度よりも高い温度まで加熱して使用することができるので、非加熱湯張りステップで湯張りされた湯張り済みの湯の不足熱量を補うことができ、湯張り完了時に、湯張りされた全量を設定湯張り温度とすることができ、湯張り動作の信頼性、効率性に優れる。
【0015】
ここで、許容温度差は、設定湯張り温度、湯張り量、補助熱源機の能力等に応じて適宜、選択することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法であって、前記補助熱源加熱ステップにおいて、前記制御部が、前記設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定する構成を有している。
この構成により、請求項4の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)補助熱源加熱ステップにおいて、制御部が、設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定するので、補助熱源機の加熱量に過不足がなく、湯張り完了までに湯張り済み熱量の不足分を確実に補うことができ、目標の設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りすることができ、湯張りの信頼性、使用性に優れる。
(2)補助熱源加熱ステップにより、湯張り完了までに湯張り済み熱量の不足分を補うことができるので、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できると共に、無駄な加熱を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法であって、前記補助熱源加熱ステップにおいて、前記制御部が、設定された前記残量湯張り温度に基づいて、前記補助熱源機による加熱量を設定し、前記貯湯タンクから出湯される湯を前記補助熱源機で加熱した後、加熱された湯と前記給水源からの水を混合弁で混合し前記残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行う残量湯張りステップを備えている構成を有している。
この構成により、請求項5の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)補助熱源加熱ステップにおいて、制御部が、設定された残量湯張り温度に基づいて、補助熱源機による加熱量を設定し、貯湯タンクから出湯される湯を補助熱源機で加熱した後、加熱された湯と給水源からの水を混合弁で混合し残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行う残量湯張りステップを有することにより、確実に目標の設定湯張り温度で湯張り動作を完了することができ、湯張り動作の確実性、効率性に優れる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)風呂の湯張りモードにおいて、出湯温度が操作部で設定された設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内である場合は、強制的に補助熱源機の運転を停止して貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きい場合は、補助熱源機で貯湯タンクから出湯される湯を加熱することにより、設定湯張り温度より低めの温度の湯をそのまま加熱することなく使用することができると共に、湯張り完了時に目標の設定湯張り温度となるように、温度の低い湯を補助熱源機で加熱して使用することができるので、無駄な加熱を防止して貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用することができる加熱の効率性、省エネルギー性に優れた太陽熱温水器を提供することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)湯張りモードにおいて、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差を超えた時に、設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定することにより、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できると共に、湯張り完了までに不足分の熱量を補助熱源機による加熱で確実に補って、目標の設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りすることができ、加熱の無駄がなく、湯張りの信頼性、省エネルギー性に優れた太陽熱温水器を提供することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)残量湯張り温度に基づいて、補助熱源機による加熱量を設定し、補助熱源機で加熱された湯と給水源からの水を混合弁で混合して、残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行うことにより、補助熱源機の加熱量に過不足がなく、確実に目標の設定湯張り温度で湯張り動作を完了することができる湯張り動作の確実性、省エネルギー性に優れた太陽熱温水器を提供することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)非加熱湯張りステップでは設定湯張り温度より低めの温度で貯湯タンクから出湯される湯を加熱することなく、そのまま使用して無駄な加熱を防止し、貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用することができ、効率性、省エネルギー性に優れ、補助熱源加熱ステップでは温度の低い湯を補助熱源機で設定湯張り温度よりも高い温度まで加熱して使用し、非加熱湯張りステップで湯張りされた湯張り済みの湯の不足熱量を補い、湯張り完了時に、湯張りされた全量を設定湯張り温度とすることができる湯張り動作の信頼性、効率性に優れた太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法を提供することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)補助熱源加熱ステップにおいて、設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差から残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定することにより、補助熱源機の加熱量に過不足がなく、湯張り完了までに湯張り済み熱量の不足分を確実に補うことができるので、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用して、補助熱源機による加熱量を抑えながら、目標の設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りすることができ、省エネルギー性、湯張りの効率性に優れた太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法を提供することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)補助熱源加熱ステップで補助熱源機による加熱量を設定し、貯湯タンクから出湯される湯を補助熱源機で加熱した後、残量湯張りステップにより、加熱された湯と給水源からの水を混合弁で混合して、残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行うことにより、確実に目標の設定湯張り温度で湯張り動作を完了することができる湯張り動作の確実性、効率性に優れた太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1の太陽熱温水器の構成を示す模式図
【図2】実施の形態1の太陽熱温水器の湯張り動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態1における太陽熱温水器及びそれを用いた風呂の湯張り方法について、以下図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の太陽熱温水器の構成を示す模式図である。
図1中、1は実施の形態1の強制循環型の太陽熱温水器、2は屋根等に設置される太陽熱温水器1の集熱器、3は水道水を加熱してお湯を貯留する太陽熱温水器1の貯湯タンク、3a〜3dは貯湯タンク3の高さ方向の各位置で貯湯タンク3内の貯湯温度を検出する貯湯サーミスタ、4は集熱器2と貯湯タンク3の間で熱媒体を循環させるための太陽熱温水器1の熱媒体循環流路、4aは熱媒体循環流路4の途中でコイル状に形成され貯湯タンク3内に沈設された熱交換部、4bは熱交換部4aの出口と集熱器2との間を接続する熱媒体循環流路4の送出管、4cは集熱器2と熱交換部4aの入口との間を接続する熱媒体循環流路4の戻入管、5は熱媒体循環流路4の途中に配設され熱媒体を循環させる熱媒体循環用ポンプ、6は図示しない給水源から貯湯タンク3の底部に給水する給水管、6aは給水管6内の水の温度(給水温度)を検出する給水サーミスタ、7は貯湯タンク3の上部から湯を出湯する出湯管、11は出湯管7の途中に設けられ出湯管7内の湯を必要に応じて加熱する補助熱源機、11aは補助熱源機11の下流側の出湯管7内の湯温を検出する補助熱源機出口サーミスタ、14は出湯管7から出湯される湯と給水管6から分岐した接続管12を通して供給される水を混合する混合弁、15は混合弁14から所定温度(設定給湯温度や設定湯張り温度)に調整された湯を給湯する給湯管、15aは給湯管15内の湯温(給湯温度)を検出する給湯サーミスタ、16は給湯管15から分岐して風呂場での湯張りに使用する湯を給湯する風呂用給湯管、16aは風呂用給湯管の途中に配設され湯張りに使用される給湯量を検出する流量センサ、20は太陽熱温水器1全体を制御するマイクロコンピュータを備えた制御部、21は湯温の設定や運転モードの選択を行う操作部である。
【0026】
操作部21には、台所や洗面所等で使用する湯の温度(設定給湯温度)や風呂の湯張りを行う時の湯の温度(設定湯張り温度Ts)を設定するための湯温設定ボタンや運転モードを設定するための運転モード設定ボタンなどがあり、使用者が適宜、湯温や運転モードの設定を行うことができる。
通常運転(台所や洗面所などでの給湯)においては、制御部20は、貯湯タンク3に配設された貯湯サーミスタ3a〜3dで測定した貯湯タンク3内の湯温(貯湯温度)を元に貯湯タンク3から出湯される湯の温度(出湯温度To)を算出する。そして、その出湯温度と操作部21で設定された設定給湯温度に基づいて混合弁14及び補助熱源機11を制御し、設定された給湯温度で給湯する。つまり、出湯温度Toが、設定給湯温度と同等であれば、貯湯タンク3内の湯のみで給湯を行い、出湯温度Toが設定給湯温度よりも高ければ、給湯温度が設定給湯温度と等しくなるように、混合弁14を制御して貯湯タンク3から出湯される湯と給水源から給水される水を混合して給湯を行う。また、出湯温度Toが設定給湯温度よりも低ければ、貯湯タンク3から出湯される湯を設定給湯温度と同程度となるまで補助熱源機11で加熱して給湯する。このとき、補助熱源機出口サーミスタ11aで検出される加熱後の湯温が設定給湯温度を超えた場合は、給湯サーミスタ15aで検出される給湯温度が設定給湯温度と等しくなるように混合弁14を制御して給水源から給水される水を混合して給湯を行う。この混合弁14は、出湯管7から出湯される湯の流量を調節する湯比例弁と、給水管6から分岐した接続管12を通して供給される水の流量を調節する水比例弁と、を有しており、制御部20は、給水サーミスタ6a,補助熱源機出口サーミスタ11a,給湯サーミスタ15aの各温度と、操作部21で設定された設定給湯温度を比較し、混合弁14の湯比例弁と水比例弁を最適な位置に制御する。
また、操作部21は、表示部を有しており、出湯温度To、設定給湯温度や設定湯張り温度Ts、風呂の湯張りモードのオン/オフ、補助熱源機11の運転の有/無などを表示する。
【0027】
以上のように構成された実施の形態1の太陽熱温水器で風呂の湯張りを行う場合の動作について、図を用いて説明する。
図2は実施の形態1の太陽熱温水器の湯張り動作を示すフローチャートである。
図2において、太陽熱温水器1で風呂の湯張り動作を開始すると、制御部20は、出湯温度Toが操作部21で設定された設定湯張り温度Tsよりも低く、かつ、設定湯張り温度Tsと出湯温度Toとの温度差が予め設定した許容温度差(=5℃)以下であるか否かを判断する(S1:温度判定ステップ)。
設定湯張り温度Tsと出湯温度Toとの温度差が許容温度差(=5℃)以下である場合、補助熱源機11の運転を停止する(S2)。
そして、貯湯タンク3から出湯される出湯温度Toの湯のみを使用して湯張りを行う(S3:非加熱湯張りステップ)。
制御部20は、給湯サーミスタ15a及び流量センサ16aにより、湯張りに使用される湯の温度(給湯温度)と給湯量を検出し、湯張り済み熱量Qfをカウントして(S4)、ステップ1に戻る。
ステップ1において、設定湯張り温度Tsと出湯温度Toとの温度差が許容温度差(=5℃)より大きい場合、制御部20は、(数1)により、残量湯張り温度Tzを算出する(S5)。
残量湯張り温度Tz=
(湯張り必要熱量Qa−湯張り済み熱量Qf)/湯張り残量Vz・・・(数1)
Tz:残量の湯張りに必要な残量湯張り温度
Qa:設定湯張り温度Tsで風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量
Qf:それまでに湯張りされた湯張り済み熱量
Vz:湯張り完了までに必要な湯張り残量
次に、制御部20は、設定された残量湯張り温度Tzに基づいて、補助熱源機11による加熱量を設定し、貯湯タンク3から出湯される湯を補助熱源機11で加熱する(S6:補助熱源加熱ステップ)。
制御部20は、補助熱源機出口サーミスタ11aで検出される加熱後の湯温が残量湯張り温度Tzとなるように補助熱源機11による加熱を行うが、加熱後の湯温が残量湯張り温度Tzを超えた場合は、給湯サーミスタ15aで検出される給湯温度が残量湯張り温度Tzと等しくなるように混合弁14を制御して給水源から給水される水を混合し、湯張り残量Vzの湯張りを行う(S7:残量湯張りステップ)。
全量の湯張り完了後、必要に応じて追い焚きを行い(S8)、湯張り設定温度に達した時点で湯張り動作を終了する。
【0028】
以上のように実施の形態1における太陽熱温水器によれば、以下の作用を有する。
(1)制御部が、操作部で風呂の湯張りモードが選択された時に、貯湯タンクからの出湯温度が操作部で設定された設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内である場合は、貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きい場合は、補助熱源機で貯湯タンクの湯を加熱することにより、設定湯張り温度に近い温度で貯湯タンクから出湯される湯をそのまま使用することができると共に、湯張り完了時に目標の設定湯張り温度となるように、温度の低い湯を補助熱源機で加熱して使用することができるので、無駄な加熱を防止して貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用することができ、湯張り時の加熱の効率性、省エネルギー性に優れる。
(2)制御部が、湯張りモードにおいて、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差を超えた時に、設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定するので、湯張り完了までに不足分の熱量を確実に補うことができ、目標の設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りすることができ、湯張りの信頼性、使用性に優れる。
(3)設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定するので、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できると共に、不足分の熱量のみを補助熱源機による加熱で確実に補うことができ、無駄な加熱を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。
(4)制御部が、残量湯張り温度に基づいて、補助熱源機による加熱量を設定し、補助熱源機で加熱された湯と給水源からの水を混合弁で混合して、残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行うので、補助熱源機の加熱量に過不足がなく、確実に目標の設定湯張り温度で湯張り動作を完了することができ、湯張り動作の確実性、省エネルギー性に優れる。
【0029】
以上のように実施の形態1における太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法によれば、以下の作用を有する。
(1)貯湯タンクからの出湯温度が、予め設定された風呂の設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であるか否かを判定する湯温判定ステップと、湯温判定ステップにおいて出湯温度が設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であると判定した場合に、貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行う非加熱湯張りステップを有することにより、設定湯張り温度に近い温度で貯湯タンクから出湯される湯を加熱することなく、そのまま使用することができるので、無駄な加熱を防止して貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用することができ、湯張り時の加熱の効率性、省エネルギー性に優れる。
(2)湯温判定ステップにおいて出湯温度が設定湯張り温度よりも低く、かつ、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差より大きいと判定した場合に、補助熱源機で貯湯タンクから出湯される湯を加熱する補助熱源加熱ステップを有することにより、温度の低い湯を補助熱源機で設定湯張り温度よりも高い温度まで加熱して使用することができるので、非加熱湯張りステップで湯張りされた湯張り済みの湯の不足熱量を補うことができ、湯張り完了時に、湯張りされた全量を設定湯張り温度とすることができ、湯張り動作の信頼性、効率性に優れる。
(3)補助熱源加熱ステップにおいて、設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定するので、補助熱源機の加熱量に過不足がなく、湯張り完了までに湯張り済み熱量の不足分を確実に補うことができ、目標の設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りすることができ、湯張りの信頼性、使用性に優れる。
(4)補助熱源加熱ステップにより、湯張り完了までに湯張り済み熱量の不足分を補うことができるので、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できると共に、無駄な加熱を行う必要がなく、省エネルギー性に優れる。
(5)補助熱源加熱ステップにおいて、設定された残量湯張り温度に基づいて、補助熱源機による加熱量を設定し、貯湯タンクから出湯される湯を補助熱源機で加熱した後、加熱された湯と給水源からの水を混合弁で混合し残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行う残量湯張りステップを有することにより、確実に目標の設定湯張り温度で湯張り動作を完了することができ、湯張り動作の確実性、効率性に優れる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(比較例1)
出湯温度(貯湯タンク3内の平均的な湯温)To=40℃のとき、貯湯タンク3内の湯を補助熱源機11で一旦、45℃程度に加熱した後、給湯温度が設定湯張り温度Ts=38℃と等しくなるように給水源から給水される水を混合して、約200Lの浴槽の全量の湯張りを行った場合の補助熱源機11の加熱量は、およそ4,200kJである。
以上のことから、補助熱源機11による加熱を行わず、貯湯タンク3から出湯される湯に給水源から給水される水を混合し、給湯温度が設定湯張り温度Ts=38℃と等しくなるようにして湯張りを行うことにより、およそ4,200kJの省エネルギー効果が得られることがわかった。
尚、貯湯タンク3内の湯を補助熱源機11で一旦加熱した後、給湯温度が設定湯張り温度Tsと等しくなるように水を混合するのは、湯温の安定化を図るために行うものであり、この動作により、他の蛇口の使用による湯水量の変化が、湯張り温度に影響することを防止している。
【0031】
(実施例1)
出湯温度(貯湯タンク3内の平均的な湯温)To=36℃、設定湯張り温度Ts=38℃のとき、補助熱源機11による加熱を行わず、貯湯タンク3内の湯をそのまま使用して約200Lの浴槽の全量の2/3の湯張りを行った後、浴槽内の湯の最終温度が設定湯張り温度Ts=38℃となるように、貯湯タンク3から出湯されるTo=36℃の湯を補助熱源機11で残量湯張り温度Tz=43℃に加熱して、浴槽の全量の残り1/3(湯張り残量Vz)の湯張りを行った場合の補助熱源機11の加熱量は、およそ1,950kJであった。
【0032】
以上のことから、出湯温度Toが設定湯張り温度Tsより低い場合でも、その温度差が予め設定した許容温度差以内では、貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、設定湯張り温度Tsと出湯温度Toとの温度差が許容温度差より大きくなった時に、浴槽内の湯の最終温度が設定湯張り温度Tsとなるように、貯湯タンクから出湯される湯を補助熱源機11で加熱しながら湯張りを行うことにより、その加熱量を浴槽の全量を加熱しながら湯張りを行う場合の加熱量の約46%程度に抑えることができ、省エネルギー性に優れることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、自動で風呂の湯張り動作を行う際に、貯湯タンクから出湯される湯の温度(出湯温度)が予め設定した設定湯張り温度より低くても、強制的に補助熱源機の運転を停止してそのまま使用すると共に、設定湯張り温度と出湯温度との温度差が許容温度差より大きくなった時に、湯張り完了時の湯温が目標の設定湯張り温度となるように不足分の熱量を算出し、補助熱源機で貯湯タンクから出湯される湯を加熱して出湯することにより、補助熱源機による無駄な加熱を減らして、貯湯タンク内の湯を無駄なく効率的に使用できる取扱い性、省エネルギー性に優れた太陽熱温水器の提供、及びそれを用いることにより、冬場等で集熱量が少ない場合でも、貯湯タンク内の集熱エネルギーを有効に利用して、目標の設定湯張り温度で簡便かつ確実に湯張り動作を行うことができる効率性、省エネルギー性に優れた風呂の湯張り方法の提供を行うことができ、環境問題、省エネルギー問題に貢献することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 太陽熱温水器
2 集熱器
3 貯湯タンク
3a〜3d 貯湯サーミスタ
4 熱媒体循環流路
4a 熱交換部
4b 送出管
4c 戻入管
5 熱媒体循環用ポンプ
6 給水管
6a 給水サーミスタ
7 出湯管
11 補助熱源機
11a 補助熱源機出口サーミスタ
12 接続管
14 混合弁
15 給湯管
15a 給湯サーミスタ
16 風呂用給湯管
16a 流量センサ
20 制御部
21 操作部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱で温められた湯を貯める貯湯タンクと、前記貯湯タンクから出湯される湯と給水源からの水を混合する混合弁と、前記貯湯タンクの湯を補助的に加熱する補助熱源機と、湯温の設定や運転モードの選択を行う操作部と、全体を制御する制御部と、を有する太陽熱温水器であって、
前記制御部が、前記操作部で風呂の湯張りモードが選択された時に、前記貯湯タンクからの出湯温度が前記操作部で設定された設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内である場合は、前記貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行い、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が前記許容温度差より大きい場合は、前記補助熱源機で前記貯湯タンクから出湯される湯を加熱することを特徴とする太陽熱温水器。
【請求項2】
前記制御部が、前記湯張りモードにおいて、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が前記許容温度差を超えた時に、前記設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定することを特徴とする請求項1に記載の太陽熱温水器。
【請求項3】
前記制御部が、前記残量湯張り温度に基づいて、前記補助熱源機による加熱量を設定し、前記補助熱源機で加熱された湯と前記給水源からの水を前記混合弁で混合して、前記残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行うことを特徴とする請求項2に記載の太陽熱温水器。
【請求項4】
太陽熱を貯湯の加熱に利用する太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法であって、
制御部において、貯湯タンクからの出湯温度が、予め設定された風呂の設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であるか否かを判定する湯温判定ステップと、
前記湯温判定ステップにおいて前記出湯温度が前記設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差以内であると判定した場合に、前記貯湯タンクから出湯される湯のみを使用して湯張りを行う非加熱湯張りステップと、
前記湯温判定ステップにおいて前記出湯温度が前記設定湯張り温度よりも低く、かつ、前記設定湯張り温度と前記出湯温度との温度差が予め設定した許容温度差より大きいと判定した場合に、補助熱源機で前記貯湯タンクから出湯される湯を加熱する補助熱源加熱ステップと、
を備えていることを特徴とする太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法。
【請求項5】
前記補助熱源加熱ステップにおいて、前記制御部が、前記設定湯張り温度で風呂の全量を湯張りするための湯張り必要熱量とそれまでに湯張りされた湯張り済み熱量との差を、湯張り完了までに必要な湯張り残量で除して、残量の湯張りに必要な残量湯張り温度を設定することを特徴とする請求項4に記載の太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法。
【請求項6】
前記補助熱源加熱ステップにおいて、前記制御部が、設定された前記残量湯張り温度に基づいて、前記補助熱源機による加熱量を設定し、前記貯湯タンクから出湯される湯を前記補助熱源機で加熱した後、加熱された湯と前記給水源からの水を混合弁で混合し前記残量湯張り温度に調整された湯で残量の湯張りを行う残量湯張りステップを備えていることを特徴とする請求項5に記載の太陽熱温水器を用いた風呂の湯張り方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−164267(P2010−164267A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8237(P2009−8237)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】