説明

太陽熱遮蔽効果を有する水性分散体および水性塗料組成物の製造法

【課題】本発明における課題は、赤外線反射性に優れた、太陽熱遮蔽効果を有する水性分散体、および、水性塗料組成物の製造方法を提供することにある。また、本発明の更なる課題は、前記の製造方法を用いて、耐候性に優れた塗工物を提供することである。
【解決手段】少なくとも1種類の黄顔料と、少なくとも1種類の青系顔料と、少なくとも1種類の赤顔料とを減法混色することによるマンセル記号(N−1)の黒色を有し、近赤外領域で反射率35%以上である太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線反射性に優れた太陽熱遮蔽効果を有する水性分散体及び水性塗料組成物の製造法に関し、耐候性に優れた塗工物を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、船舶のデッキや海上タンク、海上プラットホーム等の海洋構造物、円筒あるいは球形タンク等の陸上構造物、住宅、ビル、倉庫あるいは体育館等の建築物、自動車、タンクローリー、冷凍冷蔵コンテナーなどの屋外移動構造物、および冷蔵庫等の家電製品等の外面を被覆し、太陽直射による内部の温度上昇を防止し、冷房、冷凍の効果を上げることによる省エネルギー化あるいは石油やアルコール等の揮発成分の蒸発を防ぐのに好適な太陽熱遮蔽水性塗料に関する。
【0003】
近年、都市部においてはコンクリート等の人工建造物からの放射熱やエアコンの室外機からの排気される熱風などにより、特に夏場において屋外温度は著しく上昇し、ヒートアイランド現象と呼ばれる問題が社会問題化している。これに呼応して建築物内部においては屋内温度を維持するために更なる冷房の使用によって多くの消費電量を増加させるだけでなく、室外機からの排気によって屋外の温度上昇を加速する結果になってしまっている。
【0004】
建築物の温度上昇を抑制する方法として屋根、屋上、外壁等の建築物外装面基材に太陽熱遮蔽塗料を塗装する方法が知られており、また自動車車体及び自動車部品の温度上昇を抑制する方法としても車体の塗装や車内のプラスチック部品の塗装に太陽熱遮蔽塗料を塗装する方法が知られている。
【0005】
これらのうち、塗料中に、近赤外域で高い太陽放射反射率を有する重金属を含有しない有機顔料2種類以上を加法混色により無彩色である黒にする塗料組成物が、カーボンからの塗料組成物や酸化チタンを混ぜて反射率を向上させた塗料組成物よりも高い太陽熱遮蔽効果を有する例示のある文献がある〔特許文献1〕。また、自動車車体及び自動車部品用途において、無機顔料と酸化チタンを含有する下地塗料に、上塗り塗料として太陽熱反射率が一定値以上の有機顔料を組み合わせることで加法混色によりカーボンに近似した低明度の太陽熱遮蔽塗料を使用することで塗料表面の温度上昇を抑制する方法が記載されている文献がある〔特許文献2〕。また、近赤外領域で反射を示すアゾメチアゾ系黒顔料をカーボンの代替として用いて酸化チタン等の白顔料と混合して塗料を製造することで太陽熱遮蔽塗料が得られる例示がある文献がある〔特許文献3〕。また、エポキシエマルジョンを含有する電着塗装系では太陽熱遮蔽効果がある有機顔料の組み合わせ及びCERDEC社製の無機顔料の組み合わせでカーボンに近似した黒みを出す太陽熱遮蔽塗料の例示がある文献がある〔特許文献4〕。また、可視光領域で吸収を示し、近赤外領域では反射率35%以上の有機顔料を2種類以上組み合わせることでマンセル記号(N−1)黒色を出す耐色分かれ性や発色性に優れた太陽熱遮蔽塗料の例示がある文献がある〔特許文献5〕。
【0006】
しかしながらこのような特許文献に記載の顔料から製造される塗料ではその塗膜が長期に渡り屋外で暴露されると、カーボンと比較して耐候性が劣る顔料を使用しているために光沢の低下や色相の変化等を引き起こし耐候性の面では問題がある。特に〔特許文献5〕では黄顔料はあまり耐候性に優れないベンズイミダゾロン、イソインドリン、イソインドリノンを使用しており、充分な耐候性は得られないが現実である。
【0007】
耐候性を改善する目的で近赤外領域で光反射性が高く黒色顔料として漆黒性に富むビスマス複合酸化物を用いることで太陽熱遮蔽性、着色力、耐候性に優れるものが得られるが、しかしこの顔料の製造工程においては白色顔料の表面にこのビスマス複合酸化物を固着しなければならず、色相調整の困難さやその適用範囲はかなり限定されてしまう〔特許文献6〕。
【0008】
また環境に配慮すると太陽熱遮蔽塗料も水性塗料が望ましいが、〔特許文献4〕では水溶性分散樹脂と顔料を分散し、エポキシエマルジョン、イソシアネートと混合した事例は記載されているが、中塗、上塗塗料は油性の塗料を使用していて必ずしも環境面の配慮は大きいとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−255769号公報
【特許文献2】特開平5−293434号公報
【特許文献3】特開2000−129172号公報
【特許文献4】特開2000−212475号公報
【特許文献5】特開2002−20647号公報
【特許文献6】特開2007−145989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、赤外線反射性に優れた太陽熱遮蔽効果を有する水性分散体及び水性塗料組成物の製造法を提供すること、および、耐候性に優れた塗工物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明は、少なくとも1種類の黄顔料と、少なくとも1種類の青系顔料と、少なくとも1種類の赤顔料とを減法混色することによるマンセル記号(N−1)の黒色を有し、近赤外領域で反射率35%以上である太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物の製造法に関する。
【0012】
また、本発明は、黄顔料がC.I.PIGMENT YELLOW184を用いる上記太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、青系顔料がC.I.PIGMENT GREEN 7、C.I.PIGMENT GREEN 36、C.I.PIGMENT BLUE15、およびC.I.PIGMENT BLUE60のいずれかを用いる上記太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、赤顔料がC.I.PIGMENT RED122、C.I.PIGMENT RED177、C.I.PIGMENT RED254、および、C.I.PIGMENT VIOLET19のいずれかを用いる上記太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、顔料の配合比率が、黄顔料が40重量%から60重量%、赤顔料が30重量%から40重量%、青顔料が10重量%から20重量%である上記太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物に関する。
【発明の効果】
【0016】
上述したところからわかるように本発明によれば、太陽熱遮蔽効果に優れ、しかも耐候性などの塗膜物性に優れた塗工物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の水性分散体を製造する過程では、水溶性の樹脂または界面活性剤を用いて製造する。顔料を分散させる方法としては、公知の分散装置を用いることが出来る。例えば、超音波ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、ナノマイザー等が挙げられる。分散機としてメディアを用いるものにおいては、ガラス、ジルコニア、アルミナ、プラスチック、チタニア等の粉砕用ビーズを利用できる。
【0018】
本発明で使用される水溶性分散樹脂には天然高分子樹脂と合成高分子樹脂とがある。
【0019】
天然高分子樹脂の具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、トラガントゴム、キサンタンガムなどの天然ゴム類、サポニンなどのグルコシド類、アルギン酸及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体やシェラック樹脂などが挙げられる。
【0020】
合成高分子樹脂の例としては、アクリル系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、アルキド系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系、セルロース系、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル系共重合体樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体などのスチレン−マレイン酸系共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体などのビニルナフタレン系共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びこれらの塩が挙げられる。水溶性樹脂は1種又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0021】
上記した界面活性剤は、アニオン性活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等である。
【0022】
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロライド、トリメチル牛脂アンモニウムクロライド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロライド、メチルオレイルジエタノールクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムバイサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがある。
【0023】
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテル型があり具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等がある。
【0024】
また両面界面活性剤としてラウリルベタイン、ステアリルベタイン等を使用しても良い。
【0025】
顔料を分散させる工程においては、必要に応じて水溶性有機溶剤を添加してもよい。このような水溶性有機溶剤の例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド類のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチル−2ピロリドン、1,3ジメチル−2−イミダゾジノン等の含窒素複素環式ケトン類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6,ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール(エチル)メチルエーテル、トリエチレングリコール(エチル)メチルエーテル類の多価アルコールの低級アルコールエーテル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を混合して用いることが出来る。水溶性有機溶剤の添加は1〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜10質量%の範囲である。
【0026】
本発明の水性分散体は樹脂及び界面活性剤を含有する固形分比の高い混合物を予め高粘度で混練することにより水性分散液の製造をより効率的に行っても良い。
【0027】
このとき助剤として市販の分散剤を添加しても構わない。市販の分散剤としてはビックケミー社のBYKシリーズ、日本ルーブリゾール社のソルスパーズのシリーズやチバスペシャリティ社のEFKAシリーズが挙げられる。市販の分散剤の添加は混練後の分散過程で行っても良いが、混練過程から添加することにより、水中への分散過程をより一層容易にすることができる。混練過程で湿潤剤を添加すると樹脂が膨潤されやすく、混練をより効果的、効率的に進行させることができ好ましい。
【0028】
湿潤剤としては前記水溶性有機溶剤のうち多価アルコールを好適に用いることができる。本発明の分散液にはさらに各種添加剤を添加してもよい。
【0029】
これらの添加される各種成分としては、増粘剤、pH調整剤、乾燥防止剤、防腐・防カビ剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤等があげられる。
【0030】
増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機系増粘剤や、無機系のベントナイ卜等の水膨潤性粘土鉱物、ベーマイト等の含水酸化物、珪酸アルミニウムマグネシウム等の珪酸塩、無水珪酸等が好ましく使用できる。
【0031】
pH調整剤は、分散液やのpHを制御するが、必要に応じて、酸性、塩基性の各種化合物が使用可能である。
【0032】
乾燥防止剤は具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、2−ヘキサンジオール、2、4、6−ヘキサントリオール等の多価アルコール類が好適である。
防腐・防カビ剤は、分散液へのカビや細菌の発生による腐敗や吐出不良を低減するために用いられる。具体的には、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が用いられる。
【0033】
通常、塗料を黒に着色する顔料はカーボンブラック、鉄黒、鋼クロムブラックがあるが、青顔料と赤顔料と黄顔料の顔料を減法混色により無彩色である黒色とすることで遮熱性に優れた塗料が得られることは知られている。この黒色の特徴は350nmから760nm未満波長領域では反射がほとんどなく黒色に近い、すなわちC.I.Eの明度L*値が30未満であるが、760nmから2100nmの近赤外領域においては反射放射率が大きい黒(マンセル記号でN−1で示される)を得ることができる。
この顔料として、青顔料としてはC.I.PIGMENT GREEN 7、C.I.PIGMENT GREEN36、C.I.PIGMENT BLUE15、C.I.PIGMENT BLUE 60が挙げられる。
【0034】
赤顔料としてはC.I.PIGMENT RED122またはC.I.PIGMENT VIOLET19が挙げられる。
【0035】
黄顔料としてはC.I.PIGMENT YELLOW184の有機顔料が挙げられる。
【0036】
また色相調整としてC.I.PIGMENT BLACK 7を混ぜても良い。
【0037】
水性分散体中の顔料は5〜60%、より好ましくは20%〜40%、水溶性樹脂及び界面活性剤は、固形分として0.5〜40%、より好ましくは10%〜20%であり、残りを水とまたは各種添加剤にすれば良い。但し%は重量%である。
【0038】
本発明で使用する水性塗料用ビヒクルには酢酸ビニルエマルジョン、アクリルエマルジン、シリコン変性アクリルエマルジョン及びフッ素エマルジョンがある。
【0039】
また塗工物の近赤外領域反射率は35%以上が望ましいがより好ましくは50%以上さらに好ましくは60%以上が太陽熱遮蔽効果が顕著に現われる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。例中、「部」「%」は、それぞれ「重量部」「重量%」をそれぞれ表す。尚、水溶性樹脂はビックケミー社製byk190、消泡剤はサンノブコ社製SNデファーマー777、防腐剤は昌栄化学製レバナックスBX−50、増粘剤は第1工業製薬製のAGガムを使用した。
【0041】
実施例1
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体Aを得た。
PIGMENT YELLOW 184 16.7部、
PIGMENT VIOLET 19 11.6部
PIGMENT BLUE 15:3 5.0 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.9部
得られた水性分散体Aを、下記組成の通り、塗料中の顔料含有率が5.0%となるようにアクリルエマルジョンと混合し、塗料Bを得た。
【0042】
塗料Bの作成法
水性分散液A 15.01部
アクリルエマルジョン(樹脂分35%) 80.00部
水 4.99部
上記塗料Bをアプリケーター(10ミル)で金属塗板に展色し、水平のまま、室温で30分静置した後、140℃で20分加熱して乾燥し、塗工物を得た。
【0043】
比較例1
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 139 16.7 部、
PIGMENT VIOLET 19 11.6 部
PIGMENT BLUE 15:3 5.0 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.9部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0044】
比較例2
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 151 16.7 部、
PIGMENT VIOLET 19 11.6 部
PIGMENT BLUE 15:3 5.0 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.9部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0045】
実施例2
PIGMENT YELLOW 184 16.7部、
PIGMENT RED 122 11.2部
PIGMENT BLUE 15:6 5.4部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.9部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0046】
実施例3
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 184 8.0 部、
PIGMENT RED 254 8.0部
PIGMENT BLUE 15:6 4.0 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 25.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 54.2部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0047】
実施例4
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 184 20.0 部、
PIGMENT RED 177 10.0部
PIGMENT BLUE 60 3.3 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.9部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0048】
実施例5
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 184 18.0 部、
PIGMENT RED 177 15.9部
PIGMENT GREEN 7 6.1 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 50.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 9.2部
得られた水性分散体を、実施例1と同じように行なって塗料中の顔料含有率が5.0%となるようにアクリルエマルジョンと混合し、塗料を得た。
【0049】
実施例6
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 184 13.4 部、
PIGMENT RED 122 13.3部
PIGMENT GREEN 36 6.6 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.8部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0050】
比較例3
下記ミルベースをビーズミル分散機(ダイノーミルKDL型)、メディア:ハイビーD16で充填率80%として循環分散し、水性分散体を得た。
PIGMENT YELLOW 184 11.7 部、
PIGMENT VIOLET 19 19.0部
PIGMENT BLUE 15:3 2.6 部
水溶性樹脂 (40%溶液) 35.0 部
消泡剤 0.1部
防腐剤 0.2部
増粘剤 0.5部
水 30.9部
得られた水性分散体を、実施例1と同様な操作を行なって、塗料を得た。塗工物も実施例1と同様な操作を行なって作成した。
【0051】
得られた各塗工物についての明度、反射率、耐候性、表面温度を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
表1
【表1】

【0053】
表1の実施例1〜6及び比較例1〜4からわかるように、本発明による太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物の効果は、カーボンと同等のマンセル記号(N−1)黒色の色相を有した塗板作成が可能であり、さらに耐候性も優れており、表面温度もカーボンより低い温度であり、いわゆる熱遮蔽に優れていたことが判った。
【0054】
本発明より赤外線反射性に優れた太陽熱遮蔽効果を有する水性分散体及び水性塗料組成物の製造法に関して耐候性に優れた塗工物を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の黄顔料と、少なくとも1種類の青系顔料と、少なくとも1種類の赤顔料とを減法混色することによるマンセル記号(N−1)の黒色を有し、近赤外領域で反射率35%以上である太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物。
【請求項2】
黄顔料がC.I.PIGMENT YELLOW184を用いる請求項1記載の太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物。
【請求項3】
青系顔料がC.I.PIGMENT GREEN 7、C.I.PIGMENT GREEN 36、C.I.PIGMENT BLUE15、およびC.I.PIGMENT BLUE60のいずれかを用いる請求項1または2記載の太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物。
【請求項4】
赤顔料がC.I.PIGMENT RED122、C.I.PIGMENT RED177、C.I.PIGMENT RED254、および、C.I.PIGMENT VIOLET19のいずれかを用いる請求項1〜3いずれか記載の太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物。
【請求項5】
顔料の配合比率が、黄顔料が40重量%から60重量%、赤顔料が30重量%から40重量%、青顔料が10重量%から20重量%である請求項1〜4いずれか記載の太陽熱遮蔽水性分散体及び水性塗料組成物。

【公開番号】特開2011−68737(P2011−68737A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219851(P2009−219851)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】