太陽電池およびその製造方法


【課題】裏面反射を有効に使える太陽電池を提供する。
【解決手段】太陽電池の光入射側48から見て、p-型Si層25とn+型Si層24の順に配列して半導体層を積層する。半導体層24、25の裏面に、n+型Si層24を超えp-型Si層25をもえぐる凹部(スクライブライン)45があり、前記凹部45のなかにp+型Si層26を介して正電極32が埋め込まれている。また、SUS基板などで構成される負電極27が絶縁領域43を介して正電極32を覆い、負電極27がn+型Si層24と接している。正電極26が光反射性材料で構成される。また、負電極27も光反射性材料で構成され、半導体層24、25の全体を覆っている。


【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池とその製造方法に関し、特に、光入射側の表面に電極がないため、シャドーロスがなく、かつ変換効率の高い太陽電池とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電による石油の燃焼や、自動車のエンジンによるガソリンの燃焼などにより排出され、地球温暖化ガスとして機能する二酸化炭素や窒素酸化物などが地球環境を悪化させている。また、将来の原油の枯渇が懸念され、クリーンなエネルギーとして太陽電池発電に関心が高まっている。
【0003】薄膜結晶シリコン(Si)太陽電池は発電層が薄く、使用するSi原料が少ないので低コスト化が実現できる。また、結晶Siを発電層とするので、アモルファスSiなどの太陽電池に比べて、高変換効率、低劣化が期待できる。さらに、薄膜結晶Si太陽電池は、ある程度曲げることができるので、自動車のボディや家電製品や屋根瓦などの曲面部に貼って使用できる。
【0004】薄膜結晶Si太陽電池を実現するために、特開平8−213645号公報は、多孔質Si層上のエピタキシャル層を利用して、薄膜単結晶Siを分離することを開示している。図21は、特開平8−213645号公報で開示されている薄膜結晶Si太陽電池の製造方法を表す断面図である。図中、101はSiウェハ、102は多孔質Si層、103はp+型Si層、104はp-型Si層、105はn+型Si層、106は保護膜、l09、111は接着剤、110、112は治具である。図21に示す太陽電池の製造方法では、Siウェハ101の表面に陽極化成により多孔質Si層102を形成させる。その後、多孔質Si層102上にp+型Si層103をエピタキシャル成長させ、さらにその上にp-型Si層104とn+型Si層105を成長させる。その後、保護膜106を形成させる。そして、保護膜106とSiウェハ101に、それぞれ接着剤111、109を付けて治具112、110に接合させる。その後、治具112、110に引っ張り力を働かせて、多孔質Si層102でSiウェハ101とエピタキシャルSi層103、104、105を分離する。そして、エピタキシャルSi層103、104、105に太陽電池を形成し、Siウェハ101を再び前記した工程に投入してコストダウンを図る。
【0005】USP4,133,698は、正電極と負電極の両電極を裏面側に配置し、光入射面となる表面に電極がない裏面電極型の太陽電池の構造を開示している。図22は、USP4,133,698が開示している裏面電極型太陽電池の断面図(a)と平面図(b)である。図中、121はp型単結晶Si領域、122はテクスチャー化した表面、123は浅いn型層、124はp+型Si領域、125はn型Si領域、126は負電極、127は正電極である。裏面電極型の太陽電池では光入射面に電極がないため、シャドーロスが全くなく、高変換効率が期待できる。USP4,927,770は、裏面電極型の太陽電池の製造方法を開示している。この方法では、フォトリソグラフィを使ったマスク工程を、最低4回使い、ポイントコンタクトの裏面電極型太陽電池を製造する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】裏面電極型の太陽電池は、集積型太陽電池(Interdigitated Solar Cell)とも呼ばれるが、裏面の正電極と負電極を交互に細かいピッチで形成しなければならない。このため、従来は、正電極と負電極を細かいピッチで形成するために、フォトリソグラフィなどの高いコストのプロセスを何回も使用しなければならなかった。従って、現在のところ、裏面電極型の太陽電池はコストが高く、世の中にあまり出回っていない。
【0007】一方、薄膜系の太陽電池では、一般に、裏面電極として半導体層全体に広がった反射材料を用いることにより、半導体層を通り抜けた光を裏面電極で反射させて半導体層に戻し、半導体層での光の吸収効率を高めている。しかし、図22のように従来の裏面電極型の太陽電池には、正電極126と負電極127を絶縁分離するため、平面図(b)つまり半導体層121の平面の法線方向から見たとき、正電極126と負電極127の間に隙間がある。このため、従来の裏面電極型の太陽電池では、半導体層121を通り抜けて隙間に達した光は、反射せず半導体層121に戻らないので、半導体層121での光の吸収効率が悪い。この問題は、アモルファス系などに比べ光吸収の悪い結晶系の材料を使うときに顕著になる。
【0008】また、USP4,927,770においては、正電極と負電極の間に、絶縁領域を形成しているが、この絶縁領域に光が入ると、絶縁領域で光が吸収されてしまう。また、USP5,053,083のように、正電極と負電極の高さが異なる裏面電極型の太陽電池もある。この構造体では、半導体層の平面の法線方向から見て、正電極と負電極の間に隙間がある。この隙間から光が漏れてしまい裏面反射が有効に利用できない。
【0009】また、USP4,133,698は、Siの半導体ウェハ121の厚みが50〜100μmの太陽電池を開示している。この場合、貴重な単結晶半導体材料からなる膜の厚さが厚すぎる。また、キャリアライフタイムが短い場合、膜の厚さが厚すぎ、電極に到達しないキャリアが多くなる。
【0010】そこで、本発明は、光入射側に電極のない太陽電池でありながら、裏面反射を有効に利用でき、変換効率の高い太陽電池を提供することを課題としている。別の本発明は、貴重な半導体材料を有効に使い、電極に到達するキャリアが多くなり、高光電変換効率の太陽電池を提供することを課題としている。さらに別の本発明は、製造コストが低い裏面電極型の太陽電池の製造方法を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するために、本発明者らが鋭意努力した結果、以下の発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明においては、半導体層に接した正電極と負電極とを有し、前記正電極と前記負電極とが前記半導体層の光入射面と反対側の面にある太陽電池において、前記半導体層の裏面に凹部があり、前記凹部のなかに前記正電極と前記負電極のうち一方の電極があり、前記半導体層の平面の法線方向から見て、他方の電極を前記一方の電極と重なる位置に配置している。ここで開示されている太陽電池において、前記半導体層の裏面全体に亘って、前記他方の電極が広がっているものが好まれる。
【0013】ここでいう裏面とは、太陽電池の光入射面と反対側の面である。法線方向から見て、他方の電極が一方の電極と重なる位置にある状態を図1(c)の断面図を用いて説明する。図面の上方から見て、一方の電極32が他方の電極27と重なる位置にある。このため、入射光が斜めでも、半導体層24,25,26で吸収されなかった光は、一方の電極32または他方の電極27で反射される確立が多いので、裏面反射が有効に利用される。また、他方の電極が半導体層の裏面全体にわたって広がっていれば、光が必ず反射するので、なお良い。
【0014】また、本発明においては、半導体層に接した正電極と負電極を有する太陽電池を製造する際に、前記半導体層の裏面に凹部を形成し、前記凹部のなかに導電体を含む液体を流し込むことによって、前記正電極と前記負電極のうち一方の電極を形成している。ここで開示される製造方法において、前記導電体を含む液体が半導体の液相成長の溶媒であり、前記凹部に前記溶媒を流し込むことによって、前記凹部のなかに濃い不純物濃度の半導体領域と前記一方の電極を形成することが好まれる。
【0015】本発明において、半導体層として単結晶Si層が好ましいが、GeやGaAsなどの化合物半導体、多結晶やマイクロクリスタル半導体でもよい。
【0016】また、本発明においては、半導体層に接した正電極と負電極とを有し、前記正電極と前記負電極が前記半導体層の光入射面と反対側の面にある太陽電池において、前記半導体層が単結晶Siからなり、その膜厚が5μm以上、50μm未満であるとしている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。実施形態1は、2槽型の液相成長装置で発電層となる単結晶Si層を形成して、多孔質Si層を利用してSiウェハからの剥離を行ない薄膜太陽電池を製造するものであり、本発明の太陽電池と太陽電池の製造方法に関するものである。実施形態2は、薄膜太陽電池の光入射面と裏面にテクスチャー構造を形成するものであり、本発明の別の太陽電池と太陽電池の製造方法に関するものである。実施形態3は、Siウェハに不純物を注入することによって、太陽電池を製造するものであり、本発明のさらに別の太陽電池と太陽電池の製造方法に関するものである。実施形態4は、単結晶Si層中の溝だけでpn接合を作るものであり、本発明の太陽電池と太陽電池の製造方法に関するものである。実施形態5は、不純物を固相拡散させ、pn接合を製造する形態である。本発明には、以下に説明する実施形態のみでなく、以下に説明する実施形態のあらゆる組み合わせも包含される。
【0018】実施形態1実施形態1は、2槽型の液相成長装置で発電層となる単結晶Si層を形成して、多孔質Si層を利用してSiウェハからの剥離により薄膜結晶太陽電池を製造する形態に関するものである。図1は、実施形態1の太陽電池の斜視図(a)と断面図(b),(c)である。(b)は斜視図(a)の線A−A’に沿って切断した場合の断面図であり、(c)は斜視図(a)の線B−B’に沿って切断した場合の断面図である。図中、23は反射防止膜、24はn+型Si層、25はp-型Si層、26はp+型Si層、27は負電極となるSUS基板、32は正電極、33は正電極の取り出し配線、43は絶縁領域、48は光入射面である。図1の太陽電池では、光入射面48から光が当たると、入射光は反射防止膜23を通して、活性層であるn+型Si層24,p-型Si層25,p+型Si層26に吸収される。次いで、p-型Si層25で、入射光により励起された電子・正孔対が発生し、その後、電子はn+型Si層24に、正孔はp+型Si層26に集まる。次いで、負電極となるSUS基板にn+型Si層24の電子が集まり、正電極32の電子がp+型Si層26に集まった正孔に流れることによって、図1R>1の装置が電池として作用する。
【0019】光入射面48から入った入射光には、活性層24,25,26で吸収されずに通り抜けてしまう成分もある。この通り抜けた光は、金属からなる正電極32やSUS基板27で反射され、再び活性層24,25,26に戻り吸収される。また、実施形態1の太陽電池は、光入射面にグリッドがないため、グリッドによるシャドーロスがない。これらの理由から、入射光が活性層24,25,26で高い効率で吸収され、高い光電変換効率の太陽電池が製造される。
【0020】図1の太陽電池は、半導体層に接した正電極と負電極を有し、前記半導体層の裏面に凹部があり、前記凹部のなかに前記正電極と前記負電極のうち一方の電極があり、前記半導体層の平面に法線方向から見て、他方の電極が前記一方の電極と重なる位置に存在する構造になっている。このため、半導体層で吸収しきれなかった光は、入射が斜めだとしても、すべて、一方の電極または他方の電極で反射される。このため、入射光が半導体層で吸収される効率が従来の裏面電極型の太陽電池に比べて高い。
【0021】図2と図3は、実施形態1の太陽電池の製造工程を示す工程図である。図中の符号は、図1で使用した符号と同じであれば、同じ部品を表す。まず、Siウェハを陽極化成して、図2(a)のように非多孔質Si基板28上に多孔質Si層29を有する構造体を形成する。Siウェハ3の厚みは600μm程度であり、多孔質Si層29は1〜10μm程度とするので、Siウェハ3の極表層部分だけが多孔質Si層29となっている。多孔質Si層29は、陽極化成することによって形成できる。
【0022】図4(a)と図4(b)は、Siウェハ3をフッ酸系のエッチング液で陽極化成する装置の断面図である。図中、3はSiウェハ、31はフッ酸系のエッチング液、21,22は金属電極、34はOリングを表す。陽極化成するSiウェハ3はp型のものの方が好ましいが、抵抗値が小さければn型のものであってもよい。また、n型のウェハでも光を照射し、ホールを生成した状態にすれば多孔質化することができる。図4(a)のように下側の金属電極21を正に、上側の金属電極22を負にして両電極間に電圧をかけ、引き起こされる電界がSiウェハ3の面に垂直な方向にかかるように設置すると、Siウェハ3の上側の表面が多孔質化される。図4(b)のように左側の金属電極21を正に、右側の金属電極22を負にし、両電極間にSiウェハ3を置いて電圧をかけるとSiウェハ3の右側の表面つまり負電極側が多孔質化される。フッ酸系のエッチング液31は、濃フッ酸(例えば49%HF)を用いる。金属電極21,22は、PtやAuなどから製造されたものを使用する。陽極化成中は、Siウェハ3から気泡が発生するので、この気泡を効率よく取り除くために、界面活性剤としてアルコールを加える場合がある。アルコールとしてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが好ましい。また、界面活性剤の代わりに攪拌器を用いて、攪拌しながら陽極化成をしてもよい。多孔質化する表面層の厚さは0.1〜30μmがよい。より好ましくは1〜10μmである。
【0023】また、陽極化成の工程では、後に分離工程での分離を容易にするため、陽極化成時に金属電極21から金属電極22に流す電流を変化させる。例えば、Siウェハ3の極表層を多孔質化する陽極化成の初期は小電流を流し、非多孔質Si基板28と多孔質Si層29の界面付近を多孔質化する陽極化成の後期は大電流を流す。その結果、多孔質Si層29中の表層は、後のエピタキシャル成長を容易にするため、孔径の小さい構造になり、多孔質Si層29の非多孔質Si基板側は、分離を容易にするため孔径の大きい構造になる。従って、後のエピタキシャル成長の工程と分離の工程が容易になる。もちろん、工程簡略化のため、一定電流で陽極化成をしてもよい。
【0024】以上のような工程で、図2(a)のように多孔質Si層29をSiウェハ3上に形成した後、図2(b)のように、単結晶のp-型Si層25を液相成長法で30〜50μmだけエピタキシャル成長させる。多孔質Si層29は、孔の開口した構造であるが、その単結晶性は維持されている。このため、多孔質Si層29上でのエピタキシャル成長が可能なのである.その後、図2(c)のように、単結晶のn+型Si層24を液相成長法で0.1〜2μmだけエピタキシャル成長させる。ここで、エピタキシャル成長は液相成長法などに限らず、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの気相成長法を用いてもよい。
【0025】ここで、液相成長法について詳述する。図5R>5は、2槽型の液相成長装置を上部から見た場合の図面である。図中、1はローディングチャンバー(L/C)であり、2は水素アニール室、4はp-型Si層25の成長チャンバー、5はn+型Si層24の成長チャンバー、6はアンローディングチャンバー(UL/C)、13は基板カセットの搬送系が入るコアである。8、9は、それぞれp-型Si層、n+型Si層の成長チャンバーへSi原料を供給する搬送室、11、12は、それぞれp-型Si層、n+型Si層の成長チャンバー用のSi原料保管室である。
【0026】液相成長させるとき、まず、表面に多孔質Si層29を有するSiウェハ3を入れたウェハカセットをローディングチャンバー(L/C)1に入れる。次に、コア13にある搬送系を使って、ローディングチャンバー(L/C)1に入った基板カセットを水素アニール室2に移動させ、水素アニールを行う。その後、ウェハカセット18をp-型Si層25の成長チャンバー4、n+型Si層24の成長チャンバー5の順に移していき、図2(b)や図2(c)のように、p-型Si層25、n+型Si層24を多孔質Si層29の表面に形成する。
【0027】図5の線A−A’に沿って切断した場合の断面図を図6で表す。図中、14はメルト、15はヒーター、16はルツボ、18は基板カセット、19は垂直方向の搬送系、20は水平方向の搬送系、36は溶かし込み基板カセット、37は溶かし込み基板である。
【0028】先に説明した符号の部品は、前述した部品と同じである。ローディングチャンバー1は、通常、ゲートバルブでコア13と外気とから隔離された状態にある。ローディングチャンバー1の右側のゲートバルブ17を解除することにより、ローディングチャンバー1にウェハカセット18を導入する。また、ローディングチャンバー1の左側のゲートバルブを解除することにより、コア13にある水平方向の搬送系20を使い、ウェハカセット18をp-型Si層の成長チャンバー4に移動させる。
【0029】Si原料供給室11の左側のゲートバルブ17を開放することにより、Si原料供給室11に溶かし込み基板カセット36を出し入れする。また、右側のゲートバルブを解除することにより、搬送室8にある水平方向の搬送系20を使い、溶かし込み基板カセット36をp-型Si層の成長チャンバー4に移動させる。p-型Si層の成長チャンバー4には、ウェハカセット18と溶かし込み基板カセット36を上下させる垂直方向の搬送系19がある。垂直方向の搬送系19を使用して、ルツボ16に溜めたメルト14中に、ウェハカセット18と溶かし込み基板カセット36を浸す。ヒーター15はメルト14を加熱して、メルト14を液体の状態に保つ。n+型Si層の成長チャンバー5、搬送室9、Si原料供給室12もその断面は、図6に示した通りである。
【0030】図7は、図5と図6の液相成長装置を動かすシーケンスを表すタイムチャートである。Aは、1バッチ目のウェハカセットの動きを表す。1バッチ目のウェハカセットは、最初の20分間でローディングチャンバー1にロードされ、水素アニール室2に搬送される。ウェハカセット18の昇温に30分かけ、水素アニール室2で水素アニールを10分間行う。水素アニールは、水素雰囲気中で、約1040℃で行う。また、水素アニールの直後に微量のSiH4(シラン)ガスを流し、多孔質Si層29の表面平滑性をよくしておいてもよい。次いで、コア13の水平方向の搬送系20を使いながらウェハカセット18をp-型Si層の成長チャンバー4に移動して、ウェハカセット18がエピタキシャル成長温度になるまで保持する。保持時間は約10分間である。次いで、メルト14が冷やされてp-型Siが過飽和状態になる。ウェハカセット18をp-型Si層の成長チャンバー4に移動する前に、Si原料供給室12から搬送室8を通して、p-型Siウェハなど保持した溶かし込み基板カセツト36を溶融したメルト14に浸し、メルト14内にp-型Siを溶かしこんでおく。メルト14の材料としては、In、Snなどがある。
【0031】そして、垂直方向の搬送系を使って、ウェハカセット18をメルト14に浸し、メルト14の温度を徐々に下げると、多孔質Si層29の表面上にp-型Si層がエピタキシャル成長する。この成長時間は約30分間である。
【0032】その後、ウェハカセット18をメルト14から引き上げ、n+型Si層の成長チャンバー5に移動し、同様に10分間保持し、n+型Siが過飽和状態になっているメルト14に浸漬する。このとき、同様に予めn+型Si基板を保持した溶かし込み基板カセットを、メルト14に浸し、n+型Siをメルト14に20分間溶かし込んでおく。そして、ウェハカセット18をメルト14に浸し、メルト14の温度を徐々に下げると、p-型Si層25の表面上にn+型Si層24がエピタキシャル成長する。この成長時間は約10分間である。
【0033】その後、ウェハカセット18をメルト14から引き上げ、アンローディングチャンバー6に移動し、55分間冷却、室温に戻した後、最後の5分間でウェハカセット18を液相成長装置から取り出す。Bは、2バッチ目のウェハカセットの動きを表す。2バッチ目のウェハカセットも図7のタイムチャートどおりに移動させる。1バッチ目のウェハカセットと同様の動きである。このようにして、図2(c)のように多孔質Si層29上に単結晶のp-型Si層25とn+型Si層24を有する構造体が形成される。
【0034】次に、レーザまたはフォトリソグラフィを使ったマスクなどを使うことにより、図2(d)のようにスクライブライン45を形成する。1回のみであり、マスクを使用しても高コストにはならない。スクライブライン45は、n+型Si層24の下部のp-型Si層まで到達し、ライン状に伸びた凹部である。次に、スクライブライン45に、p+型Siを含んだIn(インジウム)などのメルトを溶融した状態で流し冷却することによつて、図2(e)のようにスクライブライン45の下部にp+型Si層26が液相成長法で形成され、p+型Si層26上に正電極32が固形メルトによって形成される。
【0035】図8と図9は、図2(d)の工程で形成したスクライブライン45の形状とメルトを流し込む様子の概要を説明する工程図である。
【0036】図8は、四角形のSiウェハを使用した場合、図9は、円形のSiウェハを使用した場合を表す。
【0037】図8において、(a)は平面図であり、(b)と(c)はそれぞれ平面図(a)の線A−A’と線B−B’に沿って切断した場合の断面図である。14はスクライブライン45に溜まるメルトである。スクライブライン45を形成する前に、予めメルトストッパ30がp-型Si層24中に形成されている。メルトストッパ30は、図2(d)のレーザ等でスクライブライン45を堀る際に、メルトストッパ30に相当する部分だけ浅く掘ることによって形成する。溶解したメルト14をスクライブライン45に流し込んだとき、メルトストッパ30の高さを超えたメルトは、外に流れ出る。このため、スクライブライン45中に、同じ高さでメルトが溜まり、冷却することによって図2(e)のようにメルト14からp+型Si層26が析出し、メルト14が正電極32となる。この結果、p-型Si層25と正電極32の間のコンタクトがオーミック(ohmic)になり、良好な電気特性が得られる。
【0038】図9は、円形のSiウェハを使用した場合を示す平面図である。点線は、太陽電池が完成したときの切断線を表す。(a)は、切断して捨ててしまう部分を少なくした場合のスクライブライン45を表す。(b)は切断する部分を多くして、ほぼ矩形状になるように切断をし、モジュールにしたときの収まりがよい場合のスクライブライン45を表す。部品の番号は、図8と同じであり、スクライブライン45、メルト14の流し込み方は、図8で説明した場合と同じである。
【0039】ここで、溶解したInには、p+型Siを溶かし込んでおいて、液相成長法によって、p-型Si層25とメルトが固まった正電極32の間にp+型Si層26が形成される。しかし、p+型Si層26は、必ずしも必要でないため、溶解したInに必ずしもp+型Siを溶かし込んでおく必要はない。p+型Siを溶かし込んでいない場合、溶融する電極材料として、半田などが使用できる。
【0040】図2(e)のように、p+型Si層26と正電極32ができた後、図3(a)のように正電極32の上に絶縁領域43を埋め込む。絶縁領域43は、溶けた樹脂を埋め込み、冷却し、樹脂が囲まった後、n+型Si層24の表面より出た樹脂を研磨などで取り去ることなどによって形成する。次に、図3(b)のように、SUS基板27をn+型Si層24と電気的導通があるような形で貼り付ける。このとき、導電性接着材などを使って貼り付けるのが好ましい。つぎに、SUS基板27と非多孔質Si基板28の間に引っ張り力を働かせて、脆弱な構造になっている多孔質Si層29で分離する。その後、エッチングや研磨で、p-型Si層25の表面に残った多孔質Si層29を除去し、p-型Si層25を露出させる。多孔質Si層29は、p-型Si層25よりバンドキャッブが広く光を通しやすいため、必ずしも、多孔質Si層29を除去する必要はない。そして、図3(d)のように表面に反射防止膜23をつけて、太陽電池ユニットセルが完成する。このとき、反射防止膜23の上にパーシベーション層を形成しておいてもよい。また、正電極取り出し配線33は、絶縁領域43を形成する前に、導線の一端を正電極32の一部に取りつけておくことによって形成される。
【0041】図3(c)の分離工程で分離した非多孔質Si基板28は、表面の多孔質Si層29を除去した後、再び図2(a)の工程から、Siウェハとし、繰り返し使用する。多孔質Si層29を除去した後の非多孔質Si基板28は、極表層部分が除去され少しだけ薄くなっているだけなので、何回も使用できる。このため、Siウェハは、太陽電池のユニットセルを作成するのに何度も使われる。好ましくは、一つのSiウェハを100回以上使用して、一つのSiウェハから100個以上の太陽電池ユニットセルを作製する。
【0042】図10は、ユニットセル41を並べてモジュールにしたときの断面図(a)と平面図(b)である。ユニットセル41は、絶縁性の支持基板42の上に並べられ、モジュールとなる。正電極の取り出し配線33とSUS基板27の間には、それぞれバイパスダイオード40が取り付けられ、ユニットセル41の逆電流を防止し、ユニットセル41の故障を防ぐ。
【0043】実施形態1の太陽電池によれば、半導体層で吸収しきれなかった光は、すべて、正電極または負電極となるSUS基板で反射される。このため、入射光が半導体層で吸収される効率が従来の裏面電極型の太陽電池に比べて高い。また、実施形態1の太陽電池の製造方法によれば、フォトリソグラフィなどの高コストのプロセスを使用せずに、光吸収に有利な裏面電極型の太陽電池が形成される。
【0044】また、裏面電極型の太陽電池においては、光入射によってできたキャリアを、できるだけ多く裏面にある電極に到達させる方が効果的である。このため、光入射面となる表面とキャリアを集める電極のある裏面の間の距離が短く、キャリア寿命の長い結晶系の薄膜単結晶の太陽電池を、裏面電極型とすることにより、高い変換効率が得られる。このため、実施形態1のような方法で製造した薄膜単結晶太陽電池は、裏面電極型に特に適している。
【0045】好ましい半導体層の厚さは、5μm以上、50μm未満であり、より好ましくは10〜40μmであり、さらに好ましくは20〜30μmである。半導体層の最も高い場所と最も低い場所とを定義して、この単結晶Siの半導体層の膜厚は、一方では光を吸収するのに好適に厚く、他方では半導体層の光吸収によって発生したキャリアが消滅しないうちにキャリアを電極近くに持っていくために好適に薄いので、高光電変換効率の太陽電池が形成される。単結晶の太陽電池は、直接ウェハに太陽電池を形成する場合に比べ、貴重な半導体の資源の使用量が少ないので、低コストで製造できる。これは、インゴットから100μm以下の薄いウェハを切り出すのが難しいからである。また、ウェハを薄く切り出した場合、スライスロスというウェハの切り屑を大量に作ってしまい、無駄が多い。
【0046】実施形態2実施形態2は、光入射面と裏面をテクスチャー構造にして、活性層での光吸収を向上させた太陽電池の形態に関するものである。図11、図12は、実施形態2の太陽電池の製造工程を示す工程図である。まず、抵抗率0.01Ω・cm程度のp型(100)Siウェハを用意し、裏面を酸化膜などでマスクして、表面を異方性エッチングした。異方性エッチングについては、ジェイ・ノブロックら(J. Knoblock, et al.)の文献(J. Knoblock, et al., 23rd, IEEE PVSC, Louisville (1993), p.271)で詳しく説明されている。ジェイ・ノブロックら(J.Knoblock, et al.)の方法は、アルカリ系のエッチング液であるKOHで逆ピラミッド型の表面テクスチャーを得ている。ここで、特開平8−124894号公報で開示しているような、酸によるテクスチャー処理も使用できる。この場合、球形のテクスチャー表面が得られた。KOHを使った異方性エッチングでは、図11(a)の断面図のような凹凸形状のテクスチャー構造が表面にできた非多孔質Si基板28が得られた。
【0047】つぎに、図11(b)のように非多孔質Si基板28を陽極化成することによって、テクスチャー表面に多孔質Si層29を形成した。陽極化成の方法は、図4を使って説明した実施形態1と同様であった。そして、図11(c)のように単結晶のp-型Si層25を多孔質Si層29上にエピタキシャル成長させた。この成長には、液相成長、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの気相成長、固相成長などを使用することができる。その後、図11(d)のように単結晶のn+型Si層24をp-型Si層25の上にエピタキシャル成長させた。
【0048】つぎに、図11(e)のようにレーザまたはやメカニカルな方法でスクライブライン45を形成した。スクライブライン45の形状は、図8,9を使って説明した実施形態1と同様であった。そして、スクライブライン45に、p+型Siを含んだIn(インジウム)などのメルトを高温で流し冷却することによって、図12(a)のようにスクライブライン45の下部にp+型Si層26が形成され、p+型Si層26上に正電極32が固形メルトで形成された。その後、図12(b)のように絶縁領域43で正電極32の上部のスクライブライン45とn+型Si層24の凹部を埋めた。
【0049】つぎに、絶縁領域43の表面を研磨などの方法で、n+型Si層24の凸部を露出させ、図12(c)のように、SUS基板27を導電性接着剤などを使って貼り合わせた。そして、図12(d)のように、SUS基板27と非多孔質Si基板28の間に引っ張り力を働かせることによって、多孔質Si層29で、非多孔質Si基板28とp-型Si層25を分離した。分離した非多孔質Si基板28には、フッ酸+過酸化水素水の混合液のような、多孔質Si層28を選択的にエッチングするエッチング液を使って、多孔質Si層29残留部を取り除いた。そして、図11(a)のテクスチャー構造の非多孔質Si基板28として、再び一連の工程に使用した。
【0050】分離した相手側のp-型Si層25、SUS基板27などには、180°裏返した図面である図12R>2(e)のように、p-型Si層25の上にTiO2やlTOなどの反射防止膜23を形成して、太陽電池のユニットセルとした。この太陽電池のユニットセルは、表面に凹凸形状があるので、入射光のp-型Si層25への吸収効率がよく、ひいては高光電変換効率の太陽電池となった。実施形態2の太陽電池では、表面と裏面に凹凸形状があるため、半導体層での光吸収効率がよかった。このため、半導体層の膜厚は、半導体層の最も高い場所と最も低い場所とを定義して、5μm以上、50μm未満が好ましく、より好ましくは10〜40μmであり、さらに好ましくは20〜30μmである。実施形態2の太陽電池は半導体の表面と裏面に凹凸形状があるので、実施形態1の太陽電池に比べて、半導体層が同じ厚さでも、使用する半導体の量は少なくなった。
【0051】実施形態3実施形態3は、Siウェハに直接、裏面反射型の太陽電池を製造する形態に関するものである。図13は、実施形態3の太陽電池の製造工程を表す工程図である。まず、図13(a)のようにp-型のSiウェハ3を用意した。つぎに、Siウェハ3の片側にn+型の不純物をドープすることによって、図13(b)のようなp-型Si層25上にn+型Si層24を有するものを形成した。次に、図13(c)のようにレーザまたはメカニカルな方法でスクライブライン45を形成した。スクライブライン45の形状は、図8,9を使って説明した実施形態1と同様であった。そして、スクライブライン45に、p+型Siを含んだIn(インジウム)などのメルトを溶融状態で流し冷却することによって、図13(d)のようにスクライブライン45の下部にp+型Si層26が形成され、p+型Si層26上に正電極32が固形メルトによって形成された。その後、図13(e)のように絶縁領域43で正電極32の上部のスクライブライン45とn+型Si層24の凹部を埋めた。
【0052】次に、図13(f)のように、SUS基板27をn+型Si層24に導電性接着剤などを使って貼り合わせた。そして、図13(g)のように、p-型Si層24の光入射面側に反射防止膜23を形成して、太陽電池のユニットセルが得られた。
【0053】実施形態4実施形態4は、結晶半導体層とAlからなる裏面電極を熱溶着によって接合し、太陽電池を製造する形態に関するものである。図14と図15は、実施形態4の太陽電池の製造方法を示す工程図である。まず、図14(a)のようにSiウェハ3を用意し、図4を使って説明した実施形態1と同様の方法でこのSiウェハ3を陽極化成し、図14(b)のような非多孔質Si基板28上に多孔質Si層29を形成した。つぎに、図14(c)のように多孔質Si層29上に単結晶のp-型Si層25を10〜50μmだけエピタキシャル成長させた。そして、図14(d)のようにp-型Si層25の表面にレーザなどでスクライブライン45を形成した。
【0054】つぎに、n+型Siを含んだ液体のInメルトなどを、スクライブライン45に流し込み冷却することによって、図14(e)のようにp-型Si層に接触したn+型Si層24と、n+型Si層24上の負電極50を形成した。そして、図15(a)のように負電極50の上に絶縁領域43を形成し、p-型Si層25の凹部を埋めた。また、A1などの裏面電極46の付いたSUS基板などの支持基板47を用意した。
【0055】つぎに、図15(b)のように、裏面電極46とp-型Si層25を貼り合わせ、熱焼成などによってその接合を強固にした。このとき、裏面電極46にAlを使えば、p-型Si層25との接合面でp+領域ができ、接合がオーミック(ohmic)になって都合がよい。その後、支持基板47と非多孔質Si基板28の間に引っ張り力を働かせ、多孔質Si層29で分離した。ここで、分離した非多孔質Si基板28は、表面に多孔質Si層29残留部が残っていたが、フッ酸+過酸化水素水などの多孔質Si層29の選択エッチング液によってこれを取り除き、図14(a)のSiウェハ3として再び使用した。つぎに、分離した支持基板47やp-型Si層25などは、図15(d)のように裏返して、図15(e)のように、多孔質Si層29上に反射防止膜23を塗布して、太陽電池のユニットセルを完成させた。
【0056】実施形態5実施形態5は、光入射面と裏面をテクスチャー構造にして、活性層での光吸収を向上させ、裏面のテクスチャー凹凸構造を利用して、選択的な不純物拡散と負電極の形成をする形態である。図16、図17、図18は、実施形態5の太陽電池の製造工程を表す断面図である。図中の部品番号は、前の実施形態で用いたものと同様である。まず、断面図16(a)のように、非多孔質Si基板28として、抵抗率0.01Ω・cm程度のp型(100)Siウェハを用意する。そして、表面に、フォトリソグラフィー法などにより酸化膜で点状のマスクを形成し、裏面全体を酸化膜などでマスクする。そして、実施形態2と同様に、KOHなどを使った異方性エッチングを行なう。すると、断面図16(b)に示すように、非多孔質Si基板28に点状のマスクを頂点としたピラミッド構造ができる。
【0057】つぎに、実施形態1と同様に陽極化成を行なって、非多孔質Si基板28のピラミッド構造側に多孔質Si層29を形成する。すると、断面図16(c)のように、多孔質Si層29は、非多孔質Si基板28の表面のピラミッド構造をトレースした形状になる。つぎに、実施形態1と同様に液相成長によって、多孔質Si層29上にp-型Si層25を約30μmだけエピタキシャル成長させる。このときp-型Si層25は、断面図16(d)のように、多孔質Si層29のピラミッド構造をトレースした形状で成長する。
【0058】つぎに、断面図16(e)のように、n型不純物拡散剤61をピラミッド構造になっているp-型Si層25の凹部に塗布する。n型不純物拡散剤61は、n型の不純物であるP(リン、Pの場合、五酸化リン(P25)、Sb(アンチモン)、As(砒素)などを含み、ケイ素化合物(RnSi(OH)4-n)と添加剤(ガラス質形成剤、有機バインダー)を、有機溶剤(アルコール主成分、エステル、ケトン)に溶解したものがよい。本実施形態では、p-型Si層25のピラミッド構造の凹部のみにn型不純物拡散剤61を塗布したいので、有機溶剤の量を多めにして、粘性を低くしておくのが好ましい。このn型不純物拡散剤61の塗布は、スピンオン法、スプレー法、または、液体をピラミッド構造の溝を使って流し込む方法などで行なう。そして、140℃程度の温度で、プリベークして液体のn型不純物拡散剤61を固体化し、ガラス質とする。このとき、必要に応じて、p-型Si層25の凸部にわずかに残るかもしれないガラス質のn型不純物拡散剤61を除去するために、p-型Si層25の凸部のみを、希フッ酸に浸してp-型Si層25の凸部のガラス質を取り除いておいてもよい。
【0059】つぎに、断面図17(a)のように、p-型Si層25の凹部を埋めたガラス質のn型不純物拡散剤61上に、パッシベーション層形成剤62を、やはり、スピンオン法で塗布する。また、パッシベーション層形成剤62も、ケイ素化合物(RnSi(OH)4-n)と添加剤(ガラス質形成剤、有機バインダー)を、有機溶剤(アルコール主成分、エステル、ケトン)に溶解したものがよい。やはり、p-型Si層25のピラミッド構造の凹部のガラス質のn型不純物拡散剤61の上のみに塗布したいので、有機溶剤の量を多めにして、粘性を低くしておくのが好ましい。この他、パッシベーション層形成剤62として、レジストを用いてもよい。その後、140℃程度の温度で、プリベークしてパッシベーション層形成剤62を固体化し、ガラス質とする。このとき、必要に応じて、p-型Si層25の凸部にわずかに残るかもしれないガラス質のパッシベーション層形成剤62を除去する為に、p-型Si層25の凸部のみを、希フッ酸に浸してp-型Si層25の凸部のガラス質を取り除いておいてもよい。
【0060】つぎに、断面図17(b)のように、p-型Si層25の凸部にp型不純物拡散剤63をスピンオン法などで塗布する。p型不純物拡散剤63としては、有機性高分子にホウ素化合物を反応させたポリマーを、アルコール系溶媒に溶解させたPBF(Poly Boron Film)が望ましい。PBFは約140℃でプリベークする。また、このときp型不純物拡散剤63を使わずに、BNディスクやボロンセラミックスのディスクをピラミッド構造の凸部に密着させて、不純物拡散をさせてもよい。この場合、必ずしもパッシベーション層形成剤62は必要ない。
【0061】そして、断面図17(b)の基板を、酸素雰囲気または窒素雰囲気で500〜600℃程度の温度でベークし、その後、900〜1000℃程度の固相拡散により不純物拡散を行なう。この結果、断面図17(c)のように、p-型Si層25の凹部がn+型Si層24となり、凸部がp+型Si層26となる。そして、この基板をフッ酸に浸すことによって、断面図17(d)のように、n型不純物拡散剤61、パッシベーション層形成剤62、p型不純物拡散剤63を除去する。
【0062】つぎに、n+型Si層24があるp-型Si層25の凹部に、密着するように負電極50を形成する。負電極50の形成は、粘度の低いはんだを流し込むなどの方法で、断面図17(e)のように形成する。図1919は、断面図17(e)の段階での平面図である。p-型Si層のピラミッド形状の凹部に負電極50を網目状に張り巡らせてある。ストッパ66は、負電極50をはんだで形成するとき、余分なはんだを流し、適量のはんだをp-型Si層25の凹部に溜めておく役割を果たす。これは、図16(b)の非多孔質Si基板28の異方性エッチングの段階で、形成しておく。ストッパ66は、図16(e)のn型不純物拡散剤61の塗布や、図1717(a)のパッシベーション層形成剤62の塗布の段階でも、液止めとして使用できる。
【0063】つぎに、負電極50上とp-型Si層の凹部にパッシベーション層形成剤62を再び塗布して、100〜200℃ぐらいの低温でベークしてガラス化して、断面図18(a)のように絶縁領域43とする。この他、樹脂を固めて、絶縁領域43を形成してもよい。その後、ピラミッド形状の頂点部にあるn+型Si層26が露出するように、絶縁領域43を軽くエッチングして、断面図18(b)のように裏面電極46がついた支持基板を熱焼成または導電性接着剤を使うなどの方法で接着する。
【0064】つぎに、裏面電極のついた支持基板を非多孔質Si基板28の間で引っ張り力を働かせて、脆弱な構造の多孔質Si層29で分離する。そして、p-型Si層25の多孔質Si層29側の多孔質残さを取り除き、断面図18(d)のように、TiO2やMgFなどの反射防止膜23を塗布して、太陽電池のユニットセルを完成させる。このとき、負電極50からの電極取り出しは、ストッパ66の部分から行なうとよい。
【0065】多孔質Si層29で分離した非多孔質Si基板28は、断面図18(e)のように多孔質Si層29の残さを酸やアルカリなどのウェットエッチングによって取り除くと、再びピラミッド構造の凹凸を持った非多孔質Si基板28が得られる。この基板は、再び図16R>6(b)の工程で使用する。この方法により、1枚のウェハから、100枚程度の太陽電池のユニットセルを、エピタキシャル成長を使った単結晶の太陽電池を低コストで製造することができる。実施形態5は、エピタキシャルSi層のスクライブ工程を省ける上、エピタキシャル成長が1回で済むので、さらに低コスト化できる。
【0066】実施形態5では、ピラミッド構造の凹凸形状の基板で説明したが、斜視図20のようなコルゲート構造の凹凸形状の基板を使用してもよい。コルゲート構造の場合、異方性エッチングをする前に、ライン状に酸化膜のマスクをすることによって実現できる。この場合も、図20のように、負電極50やn+型Si層24の形成のためにストッパ66を形成しておくのが好ましい。コルゲート基板の場合、負電極50は櫛型の電極となる。
【0067】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、半導体層中に形成した凹部に、電極になる材料を流し込むことで、シャドーロスがない高変換効率の裏面電極型の太陽電池を簡単に低コストのプロセスで製造することができる。また、半導体層の裏面に凹部があり、前記凹部のなかに前記正電極と前記負電極のうち一方の電極があり、前記半導体層の平面に、法線方向から見て、他方の電極が前記一方の電極と重なる位置にある太陽電池の場合、入射光の裏面反射をロスなく有効に使えるので、高変換効率が得られる。
【0068】半導体層に接した正電極と負電極を有し、前記正電極と前記負電極が半導体層の光入射面と反対側の面にあり、前記半導体層が単結晶Siからなり、その膜厚が5μm以上、50μm未満である太陽電池の場合、単結晶Siの半導体層の膜厚が、一方では光を吸収するのに好適に厚く、他方では半導体層の光吸収によって発生したキャリアが消滅しないうちにキャリアを電極近くに持っていくのに好適に薄く、従って高光電変換効率が得られる。また、単結晶の太陽電池は、ウェハに太陽電池を直接形成する場合に比べ、貴重な半導体の資源の使用量が少ないので、製造コストが低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の太陽電池を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)と(c)は断面図である。
【図2】実施形態1の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図3】実施形態1の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図4】実施形態1の太陽電池の製造装置を示す図面である。
【図5】実施形態1の太陽電池の製造工程を示すブロック図である。
【図6】実施形態1の陽極化成装置の概念図である。
【図7】実施形態1の液相成長のシーケンスを表すタイムチャートである。
【図8】スクライブラインを示す図面であり、(a)は平面図、(b)と(c)は断面図である。
【図9】スクライブラインを示す図面であり、(a)、(b)とも平面図である。
【図10】実施形態1の太陽電池モジュールを示す図面であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図11】実施形態2の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図12】実施形態2の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図13】実施形態3の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図14】実施形態4の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図15】実施形態4の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図16】実施形態5の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図17】実施形態5の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図18】実施形態5の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図19】実施形態5の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図20】実施形態5の太陽電池の製造工程を示す工程図である。
【図21】従来の太陽電池の製造工程を示す図面である。
【図22】従来の裏面電極型の太陽電池を示す断面図(a)と平面図(b)である。
【符号の説明】
1 ローディングチャンバー
2 水素アニール室
3 Siウェハ
4 p-型Si層の成長チャンバー
5 n+型Si層の成長チャンバー
6 アンローディングチャンバー
7,8,9 搬送室
10,11,12 Si原料供給室
13 コア
14 メルト
15 ヒーター
16 ルツボ
17 ゲートバルブ
18 ウェハカセット
19 搬送系(垂直方向)
21,22 金属電極
23 反射防止膜
24 n+型Si層
25 p-型Si層
26 p+型Si層
27 SUS基板(又は電極、負電極)
28 非多孔質Si基板
29 多孔質Si層
30 メルトストッパ
31 フッ酸系のエッチング液
32 正電極
33 正電極の取り出し配線
34 Oリング
36 溶かし込み基板カセット
37 溶かし込み基板
40 バイパスダイオード
41 ユニットセル
42 支持基板
43 絶縁領域
44 スルーホール電極
45 スクライブライン
46 裏面電極
47 支持基板
48 光入射面
50 負電極
61 n型不純物拡散剤
62 パッシベーション膜形成剤
63 p型不純物拡散剤
66 ストッパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】半導体層に接した正電極と負電極とを有し、前記正電極と前記負電極とが前記半導体層の光入射面と反対側の面にある太陽電池において、前記半導体層の裏面に凹部があり、前記凹部のなかに前記正電極と前記負電極のうち一方の電極があり、前記半導体層の平面の法線方向から見て、他方の電極が前記一方の電極と重なる位置にあることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】前記他方の電極が前記半導体層の裏面全体にわたって広がっていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】半導体層に接した正電極と負電極とを有する太陽電池の製造方法において、前記半導体層の裏面に凹部を形成し、前記凹部のなかに導電体を含む液体を流し込むことによって、前記正電極と前記負電極のうち一方の電極を形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項4】前記導電体を含む液体が半導体の液相成長の溶媒であり、前記凹部に前記溶媒を流し込むことによって、前記凹部のなかに濃い不純物濃度の半導体領域と前記一方の電極を形成することを特徴とする請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】半導体層に接した正電極と負電極とを有し、前記正電極と前記負電極とが前記半導体層の光入射面と反対側の面にある太陽電池において、前記半導体層が単結晶Siからなり、その膜厚が5μm以上、50μm未満であることを特徴とする太陽電池。


【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図8】


【図5】


【図6】


【図7】


【図9】


【図11】


【図10】


【図12】


【図13】


【図21】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】


【図19】


【図20】


【図22】


【公開番号】特開2001−44463(P2001−44463A)
【公開日】平成13年2月16日(2001.2.16)
【国際特許分類】
電気 | 基本的電気素子 | 半導体装置,他に属さない電気的固体装置 | 赤外線,可視光,短波長の電磁波,または粒子線輻射に感応する半導体装置で,これらの輻射線エネルギーを電気的エネルギーに変換するかこれらの輻射線によって電気的エネルギーを制御かのどちらかに特に適用されるもの;それらの装置またはその部品の製造または処理に特に適用される方法または装置;それらの細部[2,6,8] | 変換装置として使用されるもの
【出願番号】特願平11−212287
【出願日】平成11年7月27日(1999.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社
【Fターム(参考)】
光起電力装置 | 本体材料 | 4族 | 単結晶
光起電力装置 | 本体材料 | 4族 | 多結晶
光起電力装置 | 用途・目的 | 目的(高効率化、低コスト化を除く) | 量産性、自動化
光起電力装置 | 用途・目的 | 目的(高効率化、低コスト化を除く) | 可撓性
光起電力装置 | アモルファス以外の製造法 | 薄膜形成
光起電力装置 | アモルファス以外の製造法 | 薄膜形成 | CVD法
光起電力装置 | アモルファス以外の製造法 | 電極形成法
光起電力装置 | アモルファス以外の製造法 | 他の製造プロセス
光起電力装置 | 素子構造 | 接合形態 | pn
光起電力装置 | 素子構造 | 接合形態 | pin
光起電力装置 | 電極 | 材料 | 金属電極
光起電力装置 | 基板 | 材料 | 半導体基板
光起電力装置 | 基板 | 構造・処理 | 表面の粗面化
光起電力装置 | 基板 | その他、基板に関する事項
光起電力装置 | その他の要素 | 反射防止膜 | 構造 | 凹凸構造