説明

太陽電池およびその製造方法

【課題】本発明は、電荷の損失を減らすことにより効率を改善した太陽電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】p型層およびn型層を含む半導体層;前記半導体層の一面に位置し、下記の(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜;前記半導体層のp型層が連結されている第1電極;および前記半導体層のn型層が連結されている第2電極を含む太陽電池を提供する。(化学式1)x(M)・y(SiO)前記(化学式1)で、MはIIIa族元素であり、xおよびyは0<2x<yであり、x+y=1である実数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子であって、無限無公害の次世代エネルギー資源として脚光を浴びている。
【0003】
太陽電池はp型半導体およびn型半導体を含み、光活性層で太陽光エネルギーを吸収すれば半導体の内部で電子−正孔対(electron−hole pair、EHP)が生成され、ここで生成された電子および正孔がn型半導体およびp型半導体にそれぞれ移動し、これらが電極に収集されることによって外部で電気エネルギーに利用することができる。
【0004】
一方、太陽電池は太陽エネルギーからできる限り多くの電気エネルギーを出力することができるように効率を高めることが重要である。このような太陽電池の効率を高めるためには、半導体の内部でできる限り多くの電子−正孔対を生成することが重要であるが、生成された電荷を失われることなしに外部に引き出すことも重要である。
【0005】
電荷の損失は多様な原因によって発生するが、特に、生成された電子および正孔が再結合(recombination)することによって消滅し電荷の損失が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電荷の損失を減らすことにより効率を改善した太陽電池およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面による太陽電池はp型層およびn型層を含む半導体層;前記半導体層の一面に位置し、下記の化学式1で表されるシリケートを含む誘電膜;前記半導体層のp型層に連結されている第1電極;および前記半導体層のn型層に連結されている第2電極を含む。
(化学式1)
x(M)・y(SiO
前記(化学式1)で、MはIIIa族元素であり、xおよびyは0<2x<yであり、x+y=1を満たす実数である。
【0008】
前記Mは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)またはこれらの組み合わせを含むことができる。具体的には前記Mはホウ素(B)またはアルミニウム(Al)を含むことができる。
【0009】
前記誘電膜の厚さは1nm乃至100nmであることができる。
【0010】
前記太陽電池は前記誘電膜の一面に形成されており、前記誘電膜より屈折率が低い保護膜をさらに含むことができ、前記保護膜は窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたはこれらの組み合わせを含むことができ、100nm乃至700nmの厚さを有することができる。
【0011】
前記太陽電池は前記誘電膜が前記半導体層の後面に位置し、前記半導体層の前面に形成されている反射防止膜をさらに含むことができる。一方、前記n型層は前記半導体層の後面に隣接して存在することができ、前記p型層は前記半導体層の前面に隣接して存在することができる。また、一方では、前記p型層が前記半導体層の後面に隣接して存在することができ、前記n型層が前記半導体層の前面に隣接して存在することができる。
【0012】
本発明の他の一側面による太陽電池の製造方法は、p型層およびn型層を含む半導体層を準備する段階;前記半導体層の一面に前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜を形成する段階;前記半導体層のp型層と電気的に連結される第1電極を形成する段階;および前記半導体層のn型層と電気的に連結される第2電極を形成する段階を含む。
【0013】
前記誘電膜を形成する段階はシリコン(Si)供給源、M供給源および酸素含有気体を供給する段階を含むことができる。
【0014】
前記シリコン供給源はシリコンに水素、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルキル基、置換された若しくは非置換のC3ないしC30シクロアルキル基、置換された若しくは非置換のC6ないしC30芳香族基、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルコキシ基、置換された若しくは非置換のアミド基、またはこれらの組み合わせが結合している化合物を含むことができ、具体的にはテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane、TEOS)を含むことができる。
【0015】
前記M供給源はM原子に水素、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルキル基、置換された若しくは非置換のC3ないしC30シクロアルキル基、置換された若しくは非置換のC6ないしC30芳香族基、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルコキシ基、置換された若しくは非置換のアミド基、またはこれらの組み合わせが結合している化合物を含むことができ、具体的にはトリメチルアルミニウム(trimethyl aluminum、TMA)またはトリメチルホウ素(trimethyl boron、TMB)を含むことができる。
【0016】
前記酸素含有気体は酸素気体(O)、オゾン(O)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
前記誘電膜を形成する段階は、原子層蒸着(atomic layer deposition、ALD)方法またはプラズマ化学気相蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)方法を用いて行うことができる。
【0018】
その他、本発明の実施例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、電荷の損失を減らすことにより漏洩電流を減少させることができ、開放電圧(Voc)を増加させることができる。また、半導体層と誘電膜の界面の特性を改善することによって、太陽電池の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例による太陽電池を示した断面図である。
【図2A】本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【図2B】本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【図2C】本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【図2D】本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【図2E】本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【図2F】本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は多様な相異した形態に具現され、ここで説明する実施例に限定されない。
【0022】
以下で別途の定義がない限り、「置換された」または「置換」とは、化合物中の水素原子がC1ないしC30アルキル基、C2ないしC30アルケニル基、C2ないしC30アルキニル基、C6ないしC30アリール基、C7ないしC30アリールアルキル基、C1ないしC30アルコキシ基、C1ないしC30ヘテロアルキル基、C3ないしC30ヘテロアリールアルキル基、C3ないしC30シクロアルキル基、C3ないしC30シクロアルケニル基、C5ないしC30シクロアルキニル基、C2ないしC30ヘテロシクロアルキル基、C2ないしC30ヘテロシクロアルケニル基、C2ないしC30ヘテロシクロアルキニル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸またはその塩、およびこれらの組み合わせから選択された置換基に置換されたことを意味する。
【0023】
図面において、多様な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似した部分については同一な図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「真上に」あるとする時には中間に他の部分はないことを意味する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」あるとする時、これは他の部分の「真下に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0024】
まず、図1を参照して、本発明の実施例による太陽電池について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施例による太陽電池100を示した断面図である。
【0026】
以下、半導体層110の中の太陽エネルギーを受ける側を前面(front side)といい、半導体層110の前面の反対側を後面(rear side)という。また、以下では説明の便宜上、半導体層110を中心に上下の位置関係を説明するが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明の一側面による太陽電池100は、下部半導体層110aおよび上部半導体層110bを含む半導体層110を含む。
【0028】
半導体層110は結晶質ケイ素または化合物半導体で形成することができ、結晶質シリコンである場合、例えば、シリコンウエハーを用いることができる。下部半導体層110aおよび上部半導体層110bのうちの一つはp型不純物でドーピングされた半導体層であることができ、他の一つはn型不純物でドーピングされた半導体層であることができる。つまり、下部半導体層110aおよび上部半導体層110bのうちの一つはp型層であることができ、他の一つはn型層であることができる。この時、p型不純物はホウ素(B)のようなIII族化合物であることができ、n型不純物はリン(P)のようなV族化合物であることができる。
【0029】
半導体層110の表面は表面組織化(surface texturing)されている。表面組織化された半導体層110は、例えばピラミッド状のような凹凸またはハニカム(honeycomb)のような多孔性構造であることができる。表面組織化された半導体層110は表面積を広げて光の吸収率を高め、反射度を減らして太陽電池100の効率を改善することができる。
【0030】
半導体層110の前面には反射防止膜112が形成されている。図1では、前記反射防止膜112を示しているが、これを省略することもできる。反射防止膜112は光を少なく反射し、絶縁性のある物質を含むことができ、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiOまたはTiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)またはこれらの組み合わせを含む酸化物、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)またはこれらの組み合わせを含む窒化物、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸窒化チタン(TiON)またはこれらの組み合わせを含む酸窒化物を含むことができ、単一層または複数層で形成されることができる。
【0031】
反射防止膜112は太陽エネルギーを受ける半導体層110の前面に形成されて、光の反射率を減らして特定の波長領域の選択性を増加させることができる。また、半導体層110の表面に存在するシリコンとの接触特性を改善して、太陽電池100の効率を高めることができる。
【0032】
反射防止膜112の上には複数の前面電極120が形成されている。前面電極120は半導体層110の一方向に沿って延長しており、反射防止膜112を貫通して上部半導体層110bと接触している。前面電極120は銀(Ag)などの低抵抗金属で形成することができ、光吸収損失(shadowing loss)および面抵抗を考慮して、グリッドパターン(grid pattern)に設計することができる。
【0033】
前面電極120の上には前面バスバー(bus bar)電極(図示せず)が形成されている。前面バスバー電極は、複数の太陽電池セルを組み立てる時に隣接する太陽電池セルを連結するためのものである。
【0034】
半導体層110の後面には誘電膜(dielectric film)130が形成されている。
【0035】
前記誘電膜130は、下記の(化学式1)で表されるシリケートを含む。
(化学式1)
x(M)・y(SiO
前記(化学式1)で、MはIIIa族元素であり、xおよびyは0<2x<yであり、x+y=1を満たす実数である。
【0036】
前記Mは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)またはこれらの組み合わせを含むことができる。具体的には前記Mはホウ素(B)またはアルミニウム(Al)を含むことができる。
【0037】
前記Mがアルミニウムである場合、前記(化学式1)で表されるシリケートは、下記の(化学式2)のような構造を有することができる。
【0038】
【化1】

【0039】
このように誘電膜130はシリコン酸化物とIIIa族元素を含む酸化物を含み、前記シリコン酸化物を前記IIIa族元素を含む酸化物よりさらに多く含むことによって、3価の陽イオン状態であるIIIa族原子が酸素から電子を提供され、陰性電荷を帯びることになる。例えば、前記IIIa族元素がアルミニウムである場合、シリコン原子一つが酸素原子4つと結合しながらシリコン酸化物が連結されている構造のシリコンシートにアルミニウムの3価陽イオン(Al3+)が流入し、シリコン原子と同じように4つの酸素原子と結合を形成することになる。これによって、アルミニウムの3価の陽イオンは余剰電子を酸素から提供されてAlOのように陰性電荷を帯びることになる。
【0040】
このように前記(化学式1)で表されるシリケートは陰性電荷を有するので、正孔が半導体層110の後面側に容易に捕集されることを可能とし、下部半導体層110aに存在する微量電荷(minor carrier)である電子が半導体層110の後面側に移動することを妨げることによって、半導体層の後面側で電子と正孔が再結合して消滅することを防止することができる。
【0041】
また、前記(化学式1)で表されるシリケートは非晶質であり、高温の熱処理の後にも非晶質状態を維持できるので、結晶粒界(grain boundary)を有さず、これによって、結晶粒界に電荷がトラッピング(trapping)されて損失されることを減らすことができる。
【0042】
したがって、電荷の損失を減らして太陽電池の効率を高めることができる。
【0043】
前記誘電膜130は、約1nm乃至約100nmの厚さを有することができる。誘電膜の厚さが前記範囲内である場合、所望の陰性固定電荷密度を得ることができ、半導体層と隣接する部位で効率的に電場を誘導することによって、正孔を容易に捕集することができ、電子が半導体の後面側に移動することを妨げることができる。これによって、前記誘電膜130は、開放電圧(Voc)および電子−正孔の寿命特性を効率的に向上させることができ、また、容易にバイアス(bias)を印加することができる。具体的には、前記誘電膜130は、約30nm乃至約80nmの厚さを有することができる。
【0044】
誘電膜130の下部には保護膜132が形成されている。図1では、前記保護膜132を示しているが、これを省略することもできる。
【0045】
保護膜132は誘電膜130より屈折率が低い物質で形成することができ、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)またはこれらの組み合わせで形成することができる。
【0046】
保護膜132は半導体層110を通過した光を再び半導体層110側に反射させて再吸収させることによって、光の損失を防止して太陽電池の効率を高めることができる。これと共に、保護膜132は後面電極140の形成の際に高温焼成によって誘電膜130および半導体層110が損傷するのを防止することができる。しかし、誘電膜130が光を十分に反射し、半導体層110を保護するのに十分な厚さで形成されている場合には、保護膜132は必須ではない。
【0047】
一方、誘電膜130の形成速度が保護膜132の形成速度に比べて遅い場合、半導体層110側に一定の厚さの誘電膜130を形成した後、保護膜132として必要とする厚さの薄膜を追加形成することによって、パッシベーション特性および半導体層の保護機能を達成すると同時に、工程時間を短縮することができる。
【0048】
保護膜132は、約100nm乃至約700nmの厚さを有することができる。保護膜132の厚さが前記範囲内である場合、パッシベーション特性、半導体層の保護機能および光の反射機能を効率的に達成することができ、また、工程時間を効果的に短縮することができる。具体的には、保護膜132の厚さは150nm乃至400nmである。
【0049】
誘電膜130および保護膜132は、後面電極140が半導体層110に接触することができるようにパターニングされることができる。
【0050】
誘電膜130および保護膜132の下部には後面電極140が形成されている。後面電極140はアルミニウム(Al)のような不透明金属で形成することができ、約1μm乃至約200μmの厚さを有することができ、具体的には、約1μm乃至約100μmの厚さを有することができる。
【0051】
後面電極140は隣接するパターン化された誘電膜130および保護膜132の間の空間を通して、下部半導体層110aと接触する複数の接触部141および下部半導体層110aの全体面に形成されている全面部142を含むことができる。
【0052】
後面電極140の接触部141は後面電場(back surface field、BSF)を形成する部分であり、ここで、シリコンとアルミニウムとが接触する時、アルミニウムがp型不純物として作用してこれらの間に内部電場が形成され、これによって後面側に電子が移動するのを防止することができる。したがって、半導体層110の後面側で電荷が再結合して消滅するのを防止することによって、太陽電池100の効率を高めることができる。
【0053】
また、後面電極140の全面部142は半導体層110を通過した光を再び半導体層110に反射させることによって、光の損失を防止して太陽電池100の効率を高めることができる。
【0054】
しかし、これに限定せずに後面電極140は下部半導体層110aの一部にだけ形成されることができる。
【0055】
後面電極140の下部には後面バスバー電極(図示せず)が形成されている。後面バスバー電極は、複数の太陽電池セルを組み立てる時、隣接する太陽電池セルを連結するためのものであり、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)またはこれらの組み合わせで形成することができる。
【0056】
以下では、本発明の実施例による太陽電池の製造方法について、図2A乃至図2Fを図1と共に参照して説明する。
【0057】
図2A乃至図2Fは、本発明の実施例による太陽電池を製造する方法を順次に示した断面図である。
【0058】
まず、シリコンウエハーのような半導体層110を準備する。この時、半導体層110は、例えば、p型不純物がドーピングされている。
【0059】
次に、半導体層110を表面組織化(texturing)する。表面組織化は、例えば、硝酸およびフッ酸のような強酸または水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムのような強塩基溶液を使用する湿式方法で行ったり、プラズマを用いた乾式方法で行うことができる。
【0060】
次に、図2Aを参照すると、半導体層110に例えば、n型不純物をドーピングする。ここで、n型不純物はPOClまたはHPO等を高温で拡散させることによってドーピングすることができる。これによって、半導体層110は互いに異なる不純物でドーピングされた下部半導体層110aおよび上部半導体層110bを含む。
【0061】
図2Bを参照すると、半導体層110の後面に前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜130を形成する。
【0062】
誘電膜130は化学気相蒸着(chemical vapor deposition、CVD)方法、例えば、プラズマ化学気相蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)方法、原子層蒸着(atomic layer deposition、ALD)方法などで形成されることができるが、これに限定されない。
【0063】
誘電膜130を形成する方法については後述する。
【0064】
図2Cを参照すると、誘電膜130の下部に保護膜132を形成し、半導体層110の前面に反射防止膜112を形成する。保護膜132および反射防止膜112は、例えば、窒化ケイ素などをプラズマ化学気相蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)方法を用いて蒸着させることにより形成することができる。しかし、これに限定せずに保護膜132および反射防止膜112は他の材料および方法で形成することができる。保護膜132および反射防止膜112は同時に形成したり、先に保護膜132を形成し反射防止膜112を後に形成したり、先に反射防止膜112を形成し保護膜132を後に形成することもできる。
【0065】
図2Dを参照すると、前記誘電膜130および保護膜132をパターニングする。前記パターニングは、例えば、レーザーを利用した下部コンタクトオープニング工程またはエッチングペーストを用いたエッチング工程を通して行うことができる。
【0066】
図2Eを参照すると、反射防止膜112の上に前面電極用導電性ペースト120aを形成する。前面電極用導電性ペースト120aはスクリーン印刷(screen printing)方法で形成することができる。スクリーン印刷は、銀(Ag)などの金属パウダーを含む前面電極用導電性ペースト120aを電極が形成される位置に塗布し、乾燥する段階を含む。しかし、これに限定せずにインクジェット印刷または押印印刷などの方法で形成することもできる。
【0067】
次に、前面電極用導電性ペースト120aを乾燥する。乾燥は、例えば、約150℃乃至約400℃の温度で行うことができる。
【0068】
図2Fを参照すると、誘電膜130および保護膜132の下部に後面電極用導電性ペースト140aを形成する。後面電極用導電性ペースト140aは、まず、誘電膜130および保護膜132がパターニングされて半導体層が露出している部位に形成した後、前記誘電膜130および保護膜132の下部の全体面に形成することができる。しかし、これに限定せず、後面電極用導電性ペースト140aを一度に前記誘電膜130と保護膜132がパターニングされた部位、そして、前記誘電膜130および保護膜132の下部の全体面に形成することもできる。
【0069】
前記後面電極用導電性ペースト140aはスクリーン印刷方法で形成することができる。スクリーン印刷は、アルミニウム(Al)等の金属パウダーを含む後面電極用導電性ペースト140aを塗布し、乾燥する段階を含む。しかし、これに限定せずにインクジェット印刷または押印印刷などの方法で形成することもできる。次に、後面電極用導電性ペースト140aを乾燥する。乾燥は、例えば、約150℃乃至約400℃の温度で行うことができる。
【0070】
図1のように、前記前面電極用導電性ペースト120aおよび後面電極用導電性ペースト140aは、焼成の際、金属パウダーが上部半導体層110bおよび下部半導体層110aにそれぞれ浸透することによって、前面電極120および後面電極140を形成する。前記焼成は金属パウダーの溶融温度より高い温度で行うことができ、例えば、約600℃乃至約1000℃の温度で行うことができる。
【0071】
次に、前面電極120の上に前面バスバー電極(図示せず)を形成することができ、後面電極140の下部に後面バスバー電極(図示せず)を形成することができる。
【0072】
以下、誘電膜130を形成する方法について説明する。
【0073】
半導体層110を化学気相蒸着のためのチャンバー内に配置し、半導体層110に前記(化学式1)で表されるシリケートの構成成分の供給源としてシリコン供給源、M供給源および酸素含有気体を同時に、または順次に供給する。
【0074】
シリコン供給源、M供給源および酸素含有気体を同時に供給する場合、これら供給源および酸素含有気体はチャンバー内でプラズマによって励起されて反応して、半導体層の上に蒸着されることによって、前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜130を形成することができる。
【0075】
シリコン供給源、M供給源および酸素含有気体を順次に供給する場合、例えば、まず、シリコン供給源を供給して蒸着させ、不活性気体でパージした後、M供給源を供給して蒸着させ、不活性気体でパージし、次いで酸素含有気体を供給し、チャンバー内でプラズマで励起して反応させることによって、前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜130を形成することができる。
【0076】
前記形成されるシリケートの組成および誘電膜の厚さは各供給源の使用量、各供給源の濃度、酸素含有気体の使用量、酸素含有気体の濃度、蒸着時間および蒸着回数などの工程因子(factor)を調節することによって制御することができる。
【0077】
前記化学気相蒸着は、約100℃乃至約500℃の温度で行うことができ、具体的には約200℃乃至約400℃の温度で行うことができる。
【0078】
シリコン供給源は薄膜に蒸着できるものであれば特に限定せず、例えば、シリコンに水素、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルキル基、置換された若しくは非置換のC3ないしC30シクロアルキル基、置換された若しくは非置換のC6ないしC30芳香族基、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルコキシ基、置換された若しくは非置換のアミド基またはこれらの組み合わせが結合している化合物を含むことができる。具体的には、前記シリコン酸化物供給源は、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane、TEOS)を含むことができる。
【0079】
M供給源は薄膜に蒸着されるものであれば特に限定せず、例えば、M原子に水素、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルキル基、置換された若しくは非置換のC3ないしC30シクロアルキル基、置換された若しくは非置換のC6ないしC30芳香族基、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルコキシ基、置換された若しくは非置換のアミド基、またはこれらの組み合わせが結合している化合物を含むことができる。Mがアルミニウムである場合、前記M供給源は、例えば、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminum、TMA)を含むことができ、Mがホウ素である場合、前記M供給源は、例えば、トリメチルホウ素(trimethyl boron、TMB)を含むことができる。
【0080】
前記酸素含有気体は酸素気体(O)、オゾン(O)またはこれらの組み合わせを含むことができ、チャンバー内でプラズマで励起された状態に存在することができる。酸素含有気体が励起されると、前記(化学式1)で表されるシリケート構成成分の供給源が容易に酸化され、互いに容易に反応して前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜を効率的に形成することができる。
【0081】
しかし、これに限定せず、前記誘電膜130は、原子層蒸着方法によって形成されることもできる。この時、前記半導体層110を原子層の蒸着のためのチャンバー内に配置し、シリコン供給源を供給して蒸着させ、不活性気体でパージした後、M供給源を供給して蒸着させ、不活性気体でパージし、次いで酸素含有気体を供給し、チャンバー内でプラズマで励起して反応させることによって、前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜130を形成することができる。
【0082】
前記形成されるシリケートの組成および誘電膜の厚さは各供給源の濃度、酸素含有気体の濃度、蒸着時間および蒸着回数などの工程因子(factor)を調節することによって制御することができる。
【0083】
また、前記原子層の蒸着は、約100℃乃至約500℃の温度で行うことができ、具体的には、約200℃乃至約300℃の温度で行うことができる。
【0084】
前記方法で形成された誘電膜は、前記(化学式1)で表されるシリケートを含んでおり、前記(化学式1)で表されるシリケートは非晶質であり、高温でも結晶化せずに非晶質状態を維持できる。誘電膜が結晶化されて結晶粒界(grain boundary)が形成される場合、結晶粒界に電荷がトラップされて移動できる電荷の量が減少するのに対し、前記方法で形成された誘電膜は、高温の熱処理でも結晶化されず結晶粒界が形成されないので、電荷の損失を防止することができる。
【0085】
このように、本発明の実施例では、半導体層の後面に前記(化学式1)で表されるシリケートを含む誘電膜を形成することによって、高密度の陰性固定電荷を有することができるので、半導体層の後面で電荷の再結合を減らすことができる。したがって、電荷の損失を減らして、太陽電池の効率を高めることができる。
【0086】
本発明の単純な変形または変更は、この分野の通常の知識を有する者によって容易に実施でき、このような変形や変更はすべてが本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
100 太陽電池
110 半導体層
110a 下部半導体層
110b 上部半導体層
112 反射防止膜
120 前面電極
130 誘電膜
140 後面電極
141 接触部
142 全面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型層およびn型層を含む半導体層;
前記半導体層の一面に位置し、(化学式1)x(M)・y(SiO)で表されるシリケートを含む誘電膜;
前記半導体層のp型層に連結されている第1電極;および
前記半導体層のn型層に連結されている第2電極を含み、
前記(化学式1)で、MはIIIa族元素であり、xおよびyは0<2x<yであり、x+y=1である実数であることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記Mは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記Mは、ホウ素(B)またはアルミニウム(Al)を含むことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記誘電膜は、1nm乃至100nmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記誘電膜の一面に形成されており、前記誘電膜より屈折率が低い保護膜をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記保護膜は窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記保護膜は、100nm乃至700nmの厚さを有することを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記誘電膜は、前記半導体層の後面に位置し、
前記半導体層の前面に形成されている反射防止膜をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記n型層は前記半導体層の後面に隣接し、前記p型層は前記半導体層の前面に隣接することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記p型層は前記半導体層の後面に隣接し、前記n型層は前記半導体層の前面に隣接することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項11】
p型層およびn型層を含む半導体層を準備する段階;
前記半導体層の一面に(化学式1)x(M)・y(SiO)で表されるシリケートを含む誘電膜を形成する段階;
前記半導体層のp型層と電気的に連結される第1電極を形成する段階;および
前記半導体層のn型層と電気的に連結される第2電極を形成する段階を含み、
前記(化学式1)で、MはIIIa族元素であり、xおよびyは0<2x<yであり、x+y=1である実数であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記Mは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記Mは、ホウ素(B)またはアルミニウム(Al)を含むことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記誘電膜を形成する段階は、シリコン(Si)供給源、M供給源および酸素含有気体を供給する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記シリコン供給源は、シリコンに水素、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルキル基、置換された若しくは非置換のC3ないしC30シクロアルキル基、置換された若しくは非置換のC6ないしC30芳香族基、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルコキシ基、置換された若しくは非置換のアミド基、またはこれらの組み合わせが結合している化合物を含むことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記シリコン供給源は、テトラエトキシシランを含むことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記M供給源は、M原子に水素、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルキル基、置換された若しくは非置換のC3ないしC30シクロアルキル基、置換された若しくは非置換のC6ないしC30芳香族基、置換された若しくは非置換のC1ないしC30アルコキシ基、置換された若しくは非置換のアミド基、またはこれらの組み合わせが結合している化合物を含むことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記Mは、ホウ素(B)またはアルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記M供給源は、トリメチルアルミニウムまたはトリメチルホウ素を含むことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
前記酸素含有気体は酸素気体(O)、オゾン(O)またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項21】
前記誘電膜を形成する段階は、原子層蒸着方法またはプラズマ化学気相蒸着方法を用いることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【公開番号】特開2011−97005(P2011−97005A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88442(P2010−88442)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】