太陽電池およびその製造方法
【課題】光吸収効率をより向上させた太陽電池を提供する。
【解決手段】基板11面から突出し、PN接合またはPIN接合を有する光電変換膜14を有して、光電変換膜14の表面に接するように複数の粒子15を配置した太陽電池。
【解決手段】基板11面から突出し、PN接合またはPIN接合を有する光電変換膜14を有して、光電変換膜14の表面に接するように複数の粒子15を配置した太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池の光電変換効率を向上させるためのさまざまな技術が研究開発されている。その中の一つに、光電変換膜であるPN接合またはPIN接合を微細なワイヤ形状にして、このワイヤを基板上に無数に形成することで表面反射率を減らし光吸収率を上げる技術がある(たとえば特許文献1)。ワイヤの大きさが数ナノメートルから数ミクロン程度であることからナノワイヤなどと称されている。この技術によれば、ワイヤ形状のN型半導体にP型半導体をコンフォーマルに形成して光電変換膜としている。これにより光の入射によってワイヤ状の光電変換膜で生じた電子とホールは、ワイヤの直径以下の距離の移動だけで、再結合することなく電荷分離される。そのため、電子、ホール収率が高くなり、光電変換効率を向上させることができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、基板上にワイヤ構造物を形成することで凹凸形状ができあがる。つまり、基板から出ているワイヤが凸部、ワイヤに対してくぼんだ部分となる基板面が凹部ということになる。凸部は光電変換膜であるから光を吸収する層である。一方、凹部であるワイヤの間は光電変換膜が存在しないため凹部を通過する光は吸収することができない。
【0005】
このため従来技術では、光電変換膜をワイヤ形状としたことにより反射率の低減が見込めるが、基板面全体としては光を吸収できていない部分がある。したがって、基板面全体の光吸収率はさらに改善できる余地がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、光吸収効率をより向上させた太陽電池とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の太陽電池は、基板と、基板の一表面かた突出してPN接合またはPIN接合を有する光電変換膜が形成されている。そしてこの光電変換膜の表面に接して複数の粒子が配置されている。
【0008】
また、本発明の製造方法は、基板上から突出するようにPN接合またはPIN接合を有する光電変換膜を形成する。そして光電変換膜の表面にメッキ法によって粒子を析出させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板面から突出している光電変換膜の表面に接して複数の粒子を配置したことで、この粒子が光を乱反射させて、突出している光電変換膜の間の凹部分に入射した光も効率よく光電変換膜に吸収させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した実施形態1の太陽電池の構造を説明するための概略断面図である。
【図2】粒子として用いることが好ましい金属の波長と光反射率とを示したグラフである。
【図3】実施形態1における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【図4】図3に続く実施形態1の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】実施形態1により製作した太陽電池のSEM写真(半導体表面を示す図面代用写真)であり、(a)は光電変換膜部分の写真であり、(b)は粒子が付着した光電変換膜の拡大写真である。
【図6】本発明を適用した実施形態2の太陽電池1の構造を説明するための概略断面図である。
【図7】実施形態2における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【図8】図7に続く実施形態2の製造方法を説明するための説明図である。
【図9】本発明を適用した実施形態3の太陽電池を説明するための概略断面図である。
【図10】実施形態3における太陽電池の製造方法の一例を説明する説明図である。
【図11】本発明を適用した実施形態4の太陽電池を説明するための概略断面図である。
【図12】実施形態4における太陽電池の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】実施例1の評価結果を示すグラフであり、(a)は反射率、(b)は透過率、(c)は吸収率をそれぞれ示す。
【図14】実施形態5における太陽電池を説明するための概略断面図である。
【図15】銀粒子付着なしのシリコンナノワイヤにアルミナを成膜した前後のSEM写真で、(a)はアルミナを成膜前の状態であり、(b)はアルミナを成膜後の状態である。
【図16】エネルギー分散X線分光法による反射率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の機能を有する部材や要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面における各部材の大きさや比率は説明の都合上誇張されており、実際の大きさや比率とは異なる。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明を適用した実施形態1の太陽電池の構造を説明するための概略断面図である。
【0013】
この太陽電池1は、基板として、たとえばP型シリコン(Si)基板11上に、P型半導体からなるナノワイヤ(以下ナノワイヤは単にワイヤ12と称する)がアレイ状に形成されている。このワイヤ12はN型の非晶質Siまたは3C−SiC膜などの半導体膜13でコンフォーマルに覆われている。この構造によって、コアがP型半導体、それを覆うシェルがN型半導体からなるコアシェル構造のPN接合となった多数のナノワイヤ形態からなる光電変換膜14となる。なお、半導体膜13は基板11の表面も覆っている。そして光電変換膜14の半導体膜13の表面に接するように、光反射性の粒子15が複数付着させている。
【0014】
このような光電変換膜14は基板面から突出したナノワイヤ形態の凸部と、このナノワイヤ形態の凸部に対してくぼんだ凹部とからなった凹凸形状ができあがっている。粒子15は、主にナノワイヤ形態の凸部の部分に形成されるが、基板上の半導体膜13の表面に形成されても差し支えない。なお、光電変換作用はコアシェル構造の光電変換膜14によるなされるものであるが、基板上の半導体膜13の表面で起きてもよい。
【0015】
半導体膜13および粒子15は、全体が透明電極16によって覆われている。透明電極16は、たとえばITOが用いられる。また、透明電極16には上部電極17、基板11には下部電極18が設けられている。透明電極16は、N型半導体膜13に接しているため、PN接合(または後述のPIN接合)の一方の電極となっている。コアであるP型半導体と接続されている基板11が、PN接合(または後述のPIN接合)の他方の電極となる。
【0016】
コア部分となるワイヤ12はたとえば、直径(太さ)が約1nm〜約1μm、長さが約100nm〜約100μmである。シェル部分となる半導体膜13はたとえば、厚さが約100nm〜約1μmである。したがって、コアシェル構造である光電変換膜14全体としての大きさは、直径(太さ)が約100nm〜約2μm程度、長さが約100nm〜約100μm程度となる。
【0017】
なお、図示していないが、P型半導体のワイヤ12とN型半導体膜13との間には、i型非晶質Si、またはi型3C−SiCなどの真性半導体膜を備え、PIN型のコアシェル構造を形成していてもよい。真性半導体膜の厚さも約100nm〜約1μm程度である。
【0018】
粒子15は、直径が約1000nm以下、好ましくは100nm以下である。なお大きさの下限は形成できる限界まで小さくてもよい。この粒子15の詳細は後述する。
【0019】
上部電極17及び下部電極18は、太陽電池1からの電力を取り出すための電極であり(リード電極)、たとえば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、およびこれらの合金や積層金属(一例としてAgとAlを順に蒸着した積層膜など)が挙げられる。
【0020】
ここで粒子15について説明する。粒子15は、光反射性の物質であり、たとえば金属や半導体(金属化合物半導体を含む)が好ましい。具体的には、金属ではたとえば、金、銀、銅、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウムからなる群より選択される一種類の金属、またはこれら金属を2種類以上混合した合金などが好ましい。中でも、太陽光のスペクトル領域で反射の高い銀がもっとも好ましい。
【0021】
図2は、粒子15として用いることが好ましい金属の波長と光反射率とを示したグラフである(光反射率は全反射を1.0としている)。図2に示したように、金属は波長によらず高い反射率を示している。中でも、銀は太陽光のスペクトル全域に対して反射率が高い。
【0022】
一方、半導体の場合は、そのバンドギャップが、光電変換膜14を構成する半導体、具体的には半導体膜13のバンドギャップより大きいものを用いることが好ましい。半導体の場合、そのバンドギャップによっては太陽光波長のうちの一部を吸収してしまう。このため粒子15を構成する半導体が半導体膜13のバンドギャップと同等または小さいと、半導体膜13で吸収されるべき太陽光波長を粒子15が吸収してしまい、半導体膜13に光が到達しなくなる。このため半導体粒子のバンドギャップを半導体膜13のバンドギャップより大きいものとすることで、太陽光波長を反射(一部は透過)させて、光電変換膜を構成する半導体膜13まで光を行き渡らせることができるようになる。
【0023】
半導体は、そのバンドギャップによって吸収する波長が決まる。光の波長λ(nm)と光子エネルギーhν(eV)との関係は、周知のように、下記(1)で表される。
【0024】
hν=hc/eλ=1239.8/λ …(1)
式中、νは光の振動数、hはプランク定数=6.63×10−34Js、cは光の速度=3.00×108ms−1、eは電子の電荷量=1.602×10−19Cである。
【0025】
太陽光の主な波長が300〜2500nmであることからその光子エネルギーは約4eV〜約0.5eVである。Siのバンドギャップ=1.1eVであるから、おおむね1100nm以下の波長を吸収することが知られている。そうするとこのSiと同等かそれ以下のバンドギャップの半導体を粒子15に用いると、Siで吸収されるべき波長が粒子15によって吸収されてしまうことになる。一方、Siのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する半導体を粒子15として使用すれば、Siの吸収波長域での光は、ごく一部が吸収されるだけであり、ほとんどの光が透過する。このようなSiのバンドギャップより大きいバンドギャップをもつ半導体を微細な粒子15とすれば、粒子表面で光の一部が乱反射するようになる(Siのバンドギャップより大きいバンドギャップとはSiのバンドギャップ値を含まない大きな値をいう)。このため乱反射した光は、周りの光電変換膜14の光電変換膜に行き渡るようになる。また、粒子15内にまで入る光のごく一部は吸収されるものの、大部分は粒子15を透過するため、透過した光はそのまま粒子15が付着している光電変換膜に到達するため、粒子15をつけたことによるロスはほとんどない。
【0026】
また、上記(1)式の関係から、バンドギャップが2.5eV(波長で500nm)以上の半導体であれば、太陽光のなかのピーク波長域(図2参照)の光を吸収することなく反射(または一部を透過)させることができる。この場合、粒子15に当たる光のうち、Siに吸収されるべき太陽光のうち90%以上が乱反射して、または粒子15を透過して光電変換膜にまで到達する。さらにはバンドギャップが4.0eV(波長で300nm)以上の半導体であれば、太陽光の波長域(可視光)の光をほとんど吸収することなく乱反射または一部を透過させることができるので、より好ましい。
【0027】
ここで、粒子15として使用可能な半導体(金属酸化物半導体を含む)と、そのバンドギャップを表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
本実施形態1では以下の作用、効果を奏する。
【0030】
第1に、光反射性の粒子15によって、ワイヤ構造物同士の間である凹部分に入ってきた光を散乱させて、凸部である光電変換膜14からなる光電変換膜が多くの光を受けるようにできる。これにより凹凸表面構造の太陽電池1の光吸収率を向上させることができる。
【0031】
第2に、粒子15のサイズを数nm〜1000nmとすることで、入射光と金属粒子や半導体粒子中にある自由電子の集団とが相互作用するプラズモン共鳴が起こるようになる。このプラズモン共鳴が発生することで光がプラズモンと結合して、粒子外殻の数nmの範囲に局所的に著しく増強された電場が発生する。粒子15と光電変換膜が直接接していることで、この発生した強い電場により光が導かれて、光吸収率を向上させることが可能となる。
【0032】
これらの効果によって、たとえば粒子15を用いることなく光吸収率を増幅するために、これまで以上に高アスペクト比なワイヤ(長いワイヤ)を製作しなくてもよくなる。したがって、高アスペクト比なワイヤを製作することで生じるワイヤの破壊、折れを回避することができて、歩留を向上させることも可能となる。
【0033】
次に上記のように構成された太陽電池1の製造方法を説明する。
【0034】
図3および4は、実施形態1における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【0035】
まず、図3(a)に示すように、第1の工程として、P型の半導体基板、たとえばP型Si(100)の基板11を洗浄後、ポジレジストを塗布し、EB描画装置またはナノインプリント装置によってレジストに円形状のパターンを描画し、これを現像する。これにより円形状のレジストパターンができあがる。続いて、金属膜(たとえばAg)を50nm厚程度堆積後、リフトオフする。これにより先ほどのレジストパターンに従って基板11上にメッシュ状の金属膜パターン101ができあがる。このようなメッシュパターンはたとえば周期200nm毎に、100nmスクエアで開口したメッシュパターンである。
【0036】
次に図3(b)に示す第2の工程として、第1の工程でできあがった金属メッシュパターン101を形成した基板11を過酸化水素水とフッ酸水溶液の混合液に浸漬する。これにより金属誘起エッチングによって金属膜パターン101の金属膜の直下の基板11(Si)のみエッチングが進む(金属誘起エッチング法という)。太陽電池1の半導体膜13としては、約10μmエッチングすることで、直径約100nmのSiワイヤ母体102ができあがる。
【0037】
次に、図3(c)に示すように、第3の工程として、金属を溶かすエッチング液(たとえばAgでは硝酸)により金属膜を除去する。その後、露出しているシリコン基板表面を熱酸化して酸化膜を形成後、フッ酸を用いて形成した酸化膜を除去する。これにより、第2の工程におけるエッチング時にできた表面欠陥を除去する。これによりワイヤ12ができあがる。
【0038】
なお、ワイヤ12の太さは、第1および第2の工程における金属膜パターンの大きさだけでなく、この第3の工程における熱酸化工程によっても変わってくる。たとえば酸化時間は表面欠陥を除去するために必要な時間にプラスして、さらに酸化時間を長くすることで酸化膜厚を厚くし、これを除去すればより細いワイヤとなる。
【0039】
さらに、図4(d)に示す第4の工程として、CVD法やスパッタ法などを用いて、たとえば、N型の非晶質Si、または3C−SiCからなる半導体膜13を、Siワイヤ12を覆うように堆積する。これによりコアがP型半導体(Siワイヤ)、シェルがN型半導体のコアシェル構造のPN接合をもち、基板面から突出した光電変換膜14が得られる。
【0040】
その後、第5の工程として(不図示)、次工程での光電変換膜14に付着させる粒子15の密度を増やすために、光電変換膜14を形成した基板表面に親水処理を行う。親水処理としては、たとえば硝酸溶液に基板11全体を浸漬して、光電変換膜14を形成した表面を酸化することにより行う。
【0041】
次に図4(e)に示す第6の工程として、粒子15となる金属成分が溶解した溶液に、浸水処理後の基板11を浸漬して、光電変換膜14の表面に粒子15を付着させる。具体的には、たとえば、金属としてAgを用いる場合、硝酸銀水溶液に浸漬することで、光電変換膜14の表面にAgが析出して粒子15となって付着する。この方法は無電解メッキ法である。
【0042】
このようなメッキ法に代えて、たとえば、CVD法やスパッタ法などを用いてもよい。CVD法やスパッタ法は金属粒子を形成する際にも用いることができるが、特にメッキ法では形成できない半導体粒子を形成する際に有効な手法である。CVD法やスパッタ法では、その時間を調整することで、光電変換膜14の半導体膜13に付着させる粒子15の大きさを制御することができる。
【0043】
図5は、Ag粒子を付着させた後の光電変換膜部分のSEM写真であり、(a)は光電変換膜14部分の写真であり、(b)は粒子が付着した光電変換膜14の拡大写真である(後述する実施例により作製したもの)。図5に示すように、直系φ10〜200nm程度のAg粒子15が光電変換膜14の表面に付着しているのがわかる。
【0044】
この後、図4(f)に示す第7の工程として、ITOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、ITOからなる透明電極16を成膜する。透明電極5は、光電変換膜14を含む基板面全体に形成されるため、光電変換膜14はもとより、その表面上に析出した粒子15にも接続されることになる。
【0045】
次に、図4(g)に示す第8の工程として、基板11の裏面に、金属膜を蒸着して下部電極18を作製する。さらに透明電極16の表面の一部にも金属を蒸着することで上部電極17を作製する。これにより太陽電池1ができあがる。
【0046】
以上のような製造方法によれば、以下の作用効果を奏する。
【0047】
基板11上のワイヤ12は、金属メッシュパターンを形成したのち、金属誘起エッチングにより形成したので、多数のワイヤ12を比較的規則正しい間隔で、かつナノメートルオーダーの大きさで形成することができる。なお金属誘起エッチングを用いてワイヤ12を形成するためには、金属メッシュパターンを形成することなく実施することもできる。たとえば、シリコン基板の主面上に、無電解メッキ法によりAg粒子を付着させる。このときAg粒子は、不規則かつ多数、シリコン基板面上に付着する。その後、上述した第2の工程および第3の工程を行うことで、金属誘起エッチングによるSiワイヤができあがる。
【0048】
粒子15の形成には、無電解メッキ法を使うことで、金属を溶かし込んだ溶液に基板11ごと浸漬するだけで、光電変換膜14に粒子15を付着させることができる。そして、このメッキの前に親水処理を行うことで、金属粒子を確実に光電変換膜14に析出させることができる。光電変換膜14が形成されている基板面上は、いわば微細な凹凸形状表面となっている。シリコンは元々撥水性であるが、このような微細凹凸形状表面のために表面積が増えることによって表面張力が増し、撥水性が増すような状態となっている。そこでメッキ工程の前に、微細凹凸形状表面を親水性にする工程を備えることによって、メッキ液と微細凹凸形状表面との接触面積が増やし、粒子15の析出密度を増加させることができる。この結果、粒子15の密度を増やすことができるため、光吸収効果をいっそう増幅することができる。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態2の太陽電池1は、その基本構造は実施形態1同様に、基板11上に形成したワイヤ構造体の表面に粒子を直接接するように設けたものである。ここで、実施形態1と異なるのは光電変換膜の形態である。本実施形態2では、下部をP型、上部をN型としたワイヤ構造そのものがPN接合の光電変換膜となるようにしている。以下詳細に説明する。
【0050】
図6は、本発明を適用した実施形態2の太陽電池2の構造を説明するための概略断面図である。
【0051】
本実施形態2の太陽電池2は、半導体基板11(たとえばSi基板)の上に、下部(基板11に近い側)がP型で、それに続く上部がN型となったワイヤ構造の光電変換膜22が形成されている。下部のP型Siワイヤ部分を符号22a、上部のN型Siワイヤ部分を符号22bとして示した。
【0052】
下部のP型Siワイヤ22a部分は、透明な絶縁膜29によって覆われている。透明な絶縁膜29は、太陽光のうち少なくとも太陽電池2の光電変換機能する光電変換膜22への光が透過する性質ものであればよい。たとえばBCB樹脂やSOG(SiO2)などである。
【0053】
そして、この絶縁膜29から突出している上部のN型Siワイヤ22b部分には、N型Siワイヤ22bに接するように複数の粒子15が付着している。この粒子15は、実施形態1と同様に金属または半導体が使用できる。粒子15として好ましい金属の種類や半導体のバンドギャップについても実施形態1と同様であるので説明は省略する。
【0054】
光電変換膜22は、基板11の一表面から突出したワイヤ構造をしている。ワイヤ構造の直径(太さ)が約1nm〜約1μm、長さが上部下部合わせて約100nm〜約100μmである。
【0055】
粒子15は、直径が約1000nm以下、好ましくは100nm以下である。なお大きさの下限は形成できる限界までどのような大きさであってもよい。
【0056】
絶縁膜29から露出している上部のN型Siワイヤ22b部分およびそれに付着している粒子15は、透明電極16(たとえばITO)によって覆われている。そして、透明電極16の一部、および基板11の一部に上部電極17および下部電極18が設けられている。
【0057】
なお、図示していないが、下部のP型Siワイヤ22aと上部のN型Siワイヤ22b半導体膜との間には、i型非晶質Si、またはi型3C−SiCなどの真性半導体膜を備えていてもよい。真性半導体膜の厚さも約100nm〜約1μm程度であり、この真性半導体膜部分は、絶縁膜29に埋没している部分であってもよし、絶縁膜29から出て粒子15を付着させてもよい。
【0058】
本実施形態2では以下の作用、効果を奏する。
【0059】
太陽電池2は、一つひとつのワイヤ構造が上部のN型Siワイヤ22bと下部のP型Siワイヤ22aからなって、このワイヤ構造の光電変換膜14に粒子15を付着させている。これによりでも、実施形態1と同様に、粒子15による光の乱反射によってワイヤ部分である光電変換膜14に光が行きわたるようになって、光吸収率が向上する。また、プラズモン共鳴が起きて発生した強い電場により光が導かれて光吸収率を向上させることが可能となるのである。
【0060】
次に、本実施形態2における製造方法の一例を説明する。
【0061】
図7および8は、実施形態2における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【0062】
まず、図7(a)に示す第1の工程により、P型の半導体基板、たとえばSi(100)基板11を洗浄後、Au膜を10nm厚程度堆積し、加熱する。これにより直径10〜100nm程度のAuナノ粒子201が自己組織的に基板11の表面に形成される。
【0063】
次に図7(b)に示す第2の工程として、基板11をSiH4、3C−SiCl4などのSiを含むガスを流しながら、600〜700℃程度に加熱する。これによりVLS成長のメカニズムによってAuナノ粒子201が金属触媒として作用し、Siワイヤ22aが成長する。Siワイヤの成長中、B2H6などのP型のドーピングガスを混合することでP型Siワイヤ22aを成長させる。
【0064】
次に図7(c)に示す第3の工程として、引き続きVLS法を用い、ドーピングガスをB2H6からPH3などのN型のドーピングガスに切り替えることによって、N型Siワイヤ22bを、Siワイヤ22aの上に連続的に成長させる。
【0065】
次に、図8(d)に示す第4の工程として、王水を用いてAuナノ粒子201を取り除く。その後、BCB樹脂やSOG膜などの絶縁膜29をP型Siワイヤ22aが隠れる程度に成膜する。
【0066】
その後、第5の工程として(不図示)、次工程でのAgナノ粒子の密度を増やすために親水処理として、光電変換膜22を形成した基板11全体を硝酸溶液に浸漬して表面を酸化する。
【0067】
次に、図8(e)に示す第6の工程として、実施形態1と同様のメッキ法を用いて、粒子15をN型Siワイヤ22bの表面に析出させる。
【0068】
最後に、第7の工程として、透明電極16、下部電極18、上部電極17を形成し、図6に示した太陽電池1ができあがる。
【0069】
本実施形態2における製造方法によれば、導電型の異なる一本一本のSiワイヤ(光電変換膜14)を、ナノワイヤ成長法を用いることで、途中、ドーピングする不純物を変更するだけで形成することができる。そのほか粒子15の形成においては実施形態1と同様に、メッキ法によって粒子15を形成する前に親水処理を行うことで、Siワイヤに確実に多くの金属粒子を付着させることができる。なお、粒子15の形成には、メッキ法以外にCVD法やスパッタ法を用いてもよいことは実施形態1と同様である。
【0070】
(実施形態3)
図9は、本発明を適用した実施形態3の太陽電池3を説明するための概略断面図である。
【0071】
本実施形態3の太陽電池3は、PN接合またはPIN接合を有するワイヤアレイからなるトップセル30と、結晶Siからなるボトムセル32と、トップセル30とボトムセル32を接続するトンネル接合層31から構成される多接合型太陽電池である。
【0072】
トップセル30において、トンネル接合層31に至るように形成されたP型Siワイヤ12を有する。ワイヤ12は、直径が5nm以下であり、量子閉じ込め効果によってバンドギャップがシリコンのバルク値である1.1eVから1.8eV程度に広がったSiナノワイヤとなっている。そして、このP型Siワイヤ12に実施形態1と同様にコンフォーマルにN型の非晶質Siや3C−SiCの半導体膜13で被覆してPN接合となった光電変換膜14を形成している。これにより基板表面から突出した光電変換膜14ができあがっている。この形態では、ボトムセル32部分が基板ということになる。
【0073】
ここで半導体膜13がトンネル接合層31に接しないように、トンネル接合層31上にはSiO2やAl2O3などの透明絶縁層35が形成されている。半導体膜13は、このトンネル接合層31上にも形成されている。
【0074】
そして、粒子15が、光電変換膜14の表面、すなわちワイヤ12を覆う半導体膜13の表面に接するように形成されている。なお、光電変換膜14以外の凹部に粒子15が付着していても差し支えない。しかし、凹部においてもボトムセル32に光が入射して光電変換するために、凹部で光が散乱、反射しないように粒子15は形成しない方が好ましい。
【0075】
なお、光電変換膜14は、実施形態1同様にP型のワイヤ12と、N型の半導体層13の間にi型の半導体層を有するPIN接合構造としてもよい。
【0076】
ボトムセル32は、PN接合を有する結晶Siからなる。また、ボトムセル32の裏側には下部電極18が、トップセル30の上部には、透明電極16とその上に上部電極17が形成されている。
【0077】
本実施形態3では以下の作用、効果を奏する。
【0078】
このように構成された実施形態3の太陽電池3では、たとえば波長800nm以下の光はトップセル30で吸収される。このときトップセル30では光電変換膜14の表面に付着させた粒子15によって光の吸収率が高くなる。なお、粒子15の作用効果については、実施形態1と同様であり、光の反射およびプラズモン共鳴によって光の吸収率を高くすることができるのである。
【0079】
一方、波長800nm以上の光はトップセル30の底にまで届き、ボトムセル32へ入射して、ボトムセル32で発電を行うことができる。凹部の底の部分に粒子15を設けないようにすれば、凹部の底に届いた光は反射されないため、波長800nm以上の光をボトムセル32で発電に用いる際により発電効果が高くなる。
【0080】
次に実施形態3の製造方法の一例を説明する。図10は実施形態3の製造方法の一例を説明する説明図である。
【0081】
まず、図10(a)に示す第1の工程として、不純物ドーピングによってPN接合を形成した結晶Si太陽電池であるボトムセル32を形成する。そして、表面を更にP型、N型の高濃度ドーピングを行うことによって、トンネル接合層31を形成する。
【0082】
次に図10(b)に示す第2の工程として、トンネル接合層31上に透明絶縁層35を形成する。そして透明絶縁層35上に、Alなどの金属薄膜を50nm程度成膜した後、アルミの陽極酸化により自己組織的に直径50〜100nm程度のナノ細孔36を形成する。
【0083】
次に図10(c)に示す第3の工程として、VLS法を用いてP型Siワイヤ12を形成し、熱酸化、HF蒸気による酸化膜除去の工程を経て直径を5nm以下にまで微細化する。なお、大きさの下限は特になく、量子化を図れる大きさにできればよい。
【0084】
その後は、実施形態1同様に、コンフォーマルにN型半導体膜13を形成する。その後、透明電極16、下部電極18、上部電極17を形成する。これにより図9に示した本実施形態3の太陽電池3ができあがる。
【0085】
このように構成された製造方法によれば、PN接合をまず形成することでまず、基板となるボトムセル32が形成でき、その上にトンネル接合層31を形成した上で、Siワイヤ12、半導体膜13、粒子15を形成して、多接合型太陽電池を製造することができる。
【0086】
(実施形態4)
本実施形態4は、全体構成は実施形態3と同じであるが、トンネル接合層の構成が異なる。図11は、実施形態4の太陽電池4を示す概略断面図である。
【0087】
実施形態4のトンネル接合層31は、高濃度P型Si層311と、高濃度N+型Si層312からなり、ボトムセル32は、N型Si層322とP型Si層321、さらに裏面の電極18と接する部分には導電層となるP+層323を有している。その他の構成は実施形態3と同じである。
【0088】
実施形態4の製造方法を説明する。
【0089】
図12は、実施形態4の製造方法を説明するための説明図である。
【0090】
まず図12(a)に示す第1の工程として、トップセルを形成するために、100μm厚程度のP型Si基板301の裏面にボロンなどの不純物を高濃度に添加し、高濃度P+層311を形成する。
【0091】
次に図12(b)に示す第2の工程として、ボトムセルを形成するために、200μm厚程度のP型Si基板321に、不純物をドーピングし、N層322を形成してPN接合を作る。さらにトンネル接合層31の一部である高濃度N+層312をリンなどの不純物を添加することで形成する。また裏面には導電層となる高濃度P+層323をボロンなどの高濃度の不純物の添加によって形成する。
【0092】
次に、図12(c)に示す第3の工程として、常温接合などの方法によって、トップセル30とボトムセル32をトンネル接合層31を介して接合し、トップセルを、機械的にグラインド、研磨することによってトップセル30の膜厚を10μm程度まで薄くする。
【0093】
次に、第4の工程として、実施形態1の第1から第3の工程を行うことによって、トップセルとなる部分に、直径5nm以下のSiワイヤ12を形成する。このとき熱酸化後のフッ酸による熱酸化膜除去の際、SiO2膜が100nm厚程度残るようにエッチング時間を管理する。
【0094】
その後、第5の工程として、実施形態1の第4から第8の工程と同じ工程を行うことによって、トップセルのPN接合の形成、透明電極膜、Agナノ粒子、上部電極17、下部電極18の作製を行い、図11に示した多接合型の太陽電池4ができあがる。
【0095】
本実施形態4では以下の作用、効果を奏する。
【0096】
このように構成された実施形態4の太陽電池1では、前述した実施形態3と同様に、たとえば波長800nm以下の光はトップセルで吸収されるとき、ワイヤに付着させた粒子15によって光の吸収率が高くなる。一方、波長800nm以上の光はトップセルの底にまで届きボトムセルへ入射して、ボトムセル32での発電を行うことができる。なお、粒子15の作用効果については、実施形態1と同様であり、光の反射およびプラズモン共鳴によって光の吸収率を高くすることができるのである。
【0097】
(実施例)
以上説明した実施形態に沿って粒子15を付着させた光電変換膜を有する太陽電池1を製作した。
【0098】
実施例1は、実施形態1の構造による太陽電池1を作製したものである。その製造も実施形態1で説明した製造方法にしたがって製作した。
【0099】
まず、第1の工程により、P型Si(100)基板11を洗浄後、ポジレジストを塗布し、EB描画装置またはナノインプリント装置によってレジストに円形状のパターンを描画、現像し、Agを50nm厚程度堆積後、リフトオフすることでSi基板上にメッシュ状のAg膜パターンを形成した。これにより周期200nm毎に、100nm□開口したメッシュパターンを形成した。
【0100】
次に、第2の工程により、過酸化水素水とフッ酸水溶液の混合液に浸漬することで、金属誘起エッチングによってAg膜の直下のみエッチングを行った。エッチング量は約10μmとし、直径約100nmのSiワイヤが得られた。
【0101】
次に、第2の工程により、硝酸でAg膜を除去後、熱酸化を行いフッ酸で酸化膜を除去することで、第2の工程でのエッチング時にできた表面欠陥を低減し、Siワイヤを直径約50nmまで細めた高アスペクト比のワイヤ12を形成した。
【0102】
次に第4の工程により、スパッタ法などを用いて、N型の非晶質Siからなる半導体膜13がSiワイヤ12を覆うように約50nm堆積した。これにより、コアがP型半導体、シェルがN型半導体のコアシェル構造のPN接合が得られた。
【0103】
次に、第5の工程により、硝酸溶液に浸漬し表面を酸化した。続いて、第6の工程により、0.003M硝酸銀と1.5Mフッ酸からなる混合水溶液に常温で30秒浸漬することで、直径φ10〜200nm程度のAgナノ粒子をワイヤ表面に析出させた。
【0104】
次に、第7の工程により、ITOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、ITOからなる透明電極16を成膜した。ITO透明電極5は、ワイヤ状の凹凸形状およびその表面上に析出したAgナノ粒子4に接触している。
【0105】
次に、第8の工程により、半導体基板1の裏面に、AgとAlとを順に蒸着し、下部電極6を作製し、更に、透明電極5表面の一部にもAlを蒸着することで上部電極7を形成して、太陽電池1を得た。
【0106】
性能評価
太陽電池1における光閉じ込め効果を評価するために、実施例1の第5の工程まで進めてAgナノ粒子を形成した太陽電池1(本実施例)と、第4の工程まで進めて、その後の工程を行わずにAgナノ粒子が存在しない太陽電池1(比較例という)について、日立製U−4000を用いて反射率、透過率を積分球を用いて測定し、吸収率を算出した。
【0107】
測定に使用したサンプルは、650μm厚のP型Si基板表面に、高さ10μmのSiワイヤ12を形成後、熱酸化、酸化膜除去後、非晶質Siを100nmCVDで堆積したサンプルと、それにAgナノ粒子15を形成したサンプルであった。
【0108】
なお、Agナノ粒子15の効果を明確に測定するため、透明電極5、下部電極6、上部電極7を除いて行った。
【0109】
図13は、評価結果を示すグラフであり、(a)は反射率、(b)透過率、(c)吸収率をそれぞれ示すグラフである。
【0110】
図13に示したグラフから、明らかにAgナノ粒子15を光電変換膜14の表面上に析出したことで、反射及び透過率が共に減り、吸収率が上昇したことがわかる。
【0111】
これは先に述べたとおり、Agナノ粒子15の表面での散乱作用により、実質的な光学距離が伸びたこと、またプラズモン共鳴により、Agナノ粒子15の表面近傍に集まり増強された光を太陽電池1の光電変換膜を構成している半導体膜13や、Siワイヤ12が吸収したことによる効果であると考えられる。
【0112】
以上の結果、Agナノ粒子15によって、可視領域、赤外領域で光吸収率が大幅に向上することが確認できた。つまり、Siワイヤの長さが同じ場合、粒子15を光電変換膜となっている凸部表面に設けることで、光吸収率を向上させることができるのである。
【0113】
(実施形態5)
実施形態5は、PN接合またはPIN接合のワイヤ間の隙間を非導電性の金属酸化物によって充填した構造である。ここで、実施形態1〜4においても、光電変換膜は、一方の電極となるITOによって覆われている(他方の電極は基板である)。したがって、ワイヤ間の隙間はITOで充填されている。
【0114】
本実施形態5では、ITOのほかにさらにワイヤ間の隙間を金属酸化物によって充填したものである。
【0115】
図14は、実施形態5の太陽電池の構造を説明するための概略断面図である。ここでは、基板上に形成したワイヤに粒子を付着させた構造は実施形態1〜4と同じであるので、それらの説明は省略する。またここでは、実施形態1の構造を基にして本実施形態5を説明するが、そのほかの実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0116】
本実施形態5の太陽電池51は、基板11上にワイヤ12を有する。ワイヤ12はN型の非晶質Siまたは3C−SiC膜などの半導体膜13でコンフォーマルに覆われている。この構造によって、コアがP型半導体、それを覆うシェルがN型半導体からなるコアシェル構造のPN接合をもつ光電変換膜14となる。半導体膜13は基板11の表面も覆っている。そして光電変換膜14の半導体膜13の表面に接するように、光反射性の粒子15が複数付着させている。これらの構造は実施形態1〜4の構造と同じであり、また、その材料も実施形態1〜4同じである。
【0117】
光電変換膜14は、基板面から突出したナノワイヤ形態の凸部を有しているため凹凸形状となっている。そして本実施形態5は、この凹部、すなわち、突出したナノワイヤ形態の凸部同士の隙間部分を充填材52によって充填し、さらに充填材52の上から透明電極16によって覆っている。透明電極16は、実施形態1などと同様にたとえばITOが用いられる。透明電極16にはさらに上部電極17が設けられている。また、基板11には下部電極18が設けられている。
【0118】
充填材52は、光電変換膜14となっている半導体(ワイヤ12と半導体膜13)よりもバンドギャップの大きい材料である。実施形態1において説明した通り、太陽光の主な波長が300〜2500nmであることからその光子エネルギーは約4eV〜約0.5eVである。Siのバンドギャップ=1.1eVであるから、おおむね1100nm以下の波長を吸収することが知られている。そこで、光電変換膜14の主成分であるSiのバンドギャップ=1.1eVより大きなバンドギャップを有する材料であれば、太陽光(波長300〜2500nm)は充填材52によって遮られることなく、光電変換膜14にまで到達する。
【0119】
このような材料はたとえば金属酸化物であり、より具体的には表1に示した粒子15として使用できるさまざまな金属酸化物を充填材52としても利用できる。なお、仮に、粒子と充填材が同じ材料とした場合、粒子と充填材の形成方法が異なるため、これらの間には同じ材料であっても界面が形成されるため、粒子による光の乱反射作用は得られる。ただし、好ましくは粒子15と充填剤52は異なる材料とする。これにより粒子15と充填剤52との界面が一層明確になって粒子15表面での反射が起きやすくなる。
【0120】
充填剤52の材料として、より好ましくは、アルミナ、ジルコニアである。アルミナ(Al2O3)のバンドギャップは9.0eV、ジルコニア(ZrO2)のバンドギャップは5.0eVである。これらの材料は、バンドギャップが光電変換膜14の半導体のバンドギャップよりも十分に高く、太陽光を吸収することなく光電変換膜14まで到達させることができる。また、これらは、透明電極16となるITO(バンドギャップは4.0eV)よりも高い。したがって、最上部にあるITOを透過してきた光がアルミナ、ジルコニアなどの充填材によって吸収されることもない。
【0121】
充填材52の形成方法は、原子層堆積法(ALD:atomic layer deposition)を用いることが好ましい。原子層堆積法は、周知のとおり、原子一層ごとに積み重ねて堆積させて行く方法である。このためITOをスパッタなどにより成膜する場合と比較して、堆積させる分子形状が小さい。したがって、ALDを用いることで、ナノワイヤ形態で多数の凸部が形成された光電変換膜14の隙間(ナノワイヤ形態の凸部同士の間)を隙間なく埋めることができる。
【0122】
充填材51による隙間の充填量は、光電変換膜14を構成するナノワイヤ形態の凸部の一部を露出させた状態までとする。そして、露出している凸部先端は、ITOなどの透明電極16により覆っている。これにより、光電変換膜14を構成するPN接合またはPIN接合のN型半導体部分と透明電極16が接触して、透明電極16がPN接合またはPIN接合の一方の電極となる。ITOなどの透明電極16には、さらに上部電極17を取り付けられている。
【0123】
ここでALD装置を用いてシリコンナノワイヤ間にアルミナの埋め込み実験を行った結果を説明する。実験はシリコンナノワイヤに銀粒子を付着させたものと付着させないものについて行った。
【0124】
原材料はトリメチルアルミニウム(TMA)と酸化剤(vapor H2O)を用いた。
【0125】
導入時間は、TMA:200ms→N2:100ms→H2O:200ms→N2:100msのサイクルで、1サイクル合計600msとした。サイクル数は700回、成膜温度は200℃で行った。
【0126】
走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散X線分光法を用いて評価を行った。
【0127】
図15は、銀粒子付着なしのシリコンナノワイヤにアルミナを成膜した前後のSEM写真である。図15(a)は、アルミナを成膜前の状態であり、図15(b)は、アルミナを成膜後の状態である。
【0128】
この図から、アルミナのALDによる成膜前後で、シリコンナノワイヤが倒れたり寝たりすることがないことがわかる。
【0129】
図16は、エネルギー分散X線分光法による反射率の測定結果を示すグラフである。
【0130】
シリコンナノワイヤ全体からアルミニウムが検知できALDによってワイヤ間の埋め込みに成功した。また、膜全体の反射率の測定を行ったところ、最大でも1%程度しか増加せず、アルミナによる変化はなかった。これは、銀(Ag)粒子を付着させた場合も付着させない場合も反射率の変化傾向にほとんど差はない。また、銀(Ag)粒子の有無でALDによるアルミナ成膜後で比較すると、銀(Ag)粒子を付着させたものの方が反射率が低い。これはすでに説明した実施例における銀粒子の付着した場合の効果と同じである。したがって、ALDによるアルミナ成膜によって粒子を付着させることによる効果が損なわれていないこともわかる。
【0131】
以上の実験結果から、PN接合またはPIN接合のナノワイヤ形態の凸部に粒子15を付着させた光電変換膜14の隙間をALDを用いてアルミナによって充填することで、ナノワイヤ形態の凸部を立った状態に保てることがわかる。
【0132】
そのほかの金属酸化物の場合も、原材料種を変えてALDにより光電変換膜14の隙間を充填することができる。
【0133】
このように、充填材を光電変換膜14の隙間に埋めることで、光電変換膜14を形成しているナノワイヤが倒れたり寝てしまったりすることが少なくなる。このためすべてのナノワイヤに多くの光が当たるようになって、いっそう光電変換効率が向上する。
【0134】
また、ナノワイヤが倒れたり寝てしまったりすることが少なくなるため、ナノワイヤ部分同士が接触してしまうことも少なくなるので、個々のナノワイヤ単位での短絡が減って発電効率の低下も防ぐことができる。
【0135】
特に、ALDにより充填材を形成したことで、ナノワイヤの非常に狭い隙間も確実に充填することができる。
【0136】
以上、本発明を適用した実施形態および実施例を説明したが、本発明は、上述した実施形態および実施例に限定されるものではない。
【0137】
たとえば、上述した実施形態では、基板上にワイヤ(ナノワイヤ)を形成し、このワイヤが凸部となる凹凸微細構造の太陽電池について述べたが、凸部が格子(メッシュ)型やストライプとなった衝立型などとし、格子のなかや衝立間が凹んだ微細構造の太陽電池であってもよい。この場合、凸部となる格子や衝立の上端や壁面などに粒子を付着させることで、上述した実施形態同様の効果を得ることができる。また、この場合、格子や衝立の壁面形状は垂直に立った構造だけでなくなだらかな山形状であってもよい。
【0138】
また、基板および光電変換膜(半導体膜)としては、シリコンを用いた太陽電池について述べたが、Ga,In,PやGeなど他の半導体を用いた太陽電池であってもよい。
【0139】
そのほか、本発明は特許請求の範囲に既定した構成を有するものであれば、ここに説明した以外の構成が付加されまたは一部が存在しない構成などであってもよく、さまざまな形態が本発明に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0140】
1、2、3、4、51 太陽電池、
11 基板、
12 ワイヤ、
13 半導体膜、
14、22 光電変換膜、
15 粒子、
16 透明電極、
17 上部電極、
18 下部電極
52 充填材。
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池の光電変換効率を向上させるためのさまざまな技術が研究開発されている。その中の一つに、光電変換膜であるPN接合またはPIN接合を微細なワイヤ形状にして、このワイヤを基板上に無数に形成することで表面反射率を減らし光吸収率を上げる技術がある(たとえば特許文献1)。ワイヤの大きさが数ナノメートルから数ミクロン程度であることからナノワイヤなどと称されている。この技術によれば、ワイヤ形状のN型半導体にP型半導体をコンフォーマルに形成して光電変換膜としている。これにより光の入射によってワイヤ状の光電変換膜で生じた電子とホールは、ワイヤの直径以下の距離の移動だけで、再結合することなく電荷分離される。そのため、電子、ホール収率が高くなり、光電変換効率を向上させることができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、基板上にワイヤ構造物を形成することで凹凸形状ができあがる。つまり、基板から出ているワイヤが凸部、ワイヤに対してくぼんだ部分となる基板面が凹部ということになる。凸部は光電変換膜であるから光を吸収する層である。一方、凹部であるワイヤの間は光電変換膜が存在しないため凹部を通過する光は吸収することができない。
【0005】
このため従来技術では、光電変換膜をワイヤ形状としたことにより反射率の低減が見込めるが、基板面全体としては光を吸収できていない部分がある。したがって、基板面全体の光吸収率はさらに改善できる余地がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、光吸収効率をより向上させた太陽電池とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の太陽電池は、基板と、基板の一表面かた突出してPN接合またはPIN接合を有する光電変換膜が形成されている。そしてこの光電変換膜の表面に接して複数の粒子が配置されている。
【0008】
また、本発明の製造方法は、基板上から突出するようにPN接合またはPIN接合を有する光電変換膜を形成する。そして光電変換膜の表面にメッキ法によって粒子を析出させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板面から突出している光電変換膜の表面に接して複数の粒子を配置したことで、この粒子が光を乱反射させて、突出している光電変換膜の間の凹部分に入射した光も効率よく光電変換膜に吸収させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した実施形態1の太陽電池の構造を説明するための概略断面図である。
【図2】粒子として用いることが好ましい金属の波長と光反射率とを示したグラフである。
【図3】実施形態1における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【図4】図3に続く実施形態1の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】実施形態1により製作した太陽電池のSEM写真(半導体表面を示す図面代用写真)であり、(a)は光電変換膜部分の写真であり、(b)は粒子が付着した光電変換膜の拡大写真である。
【図6】本発明を適用した実施形態2の太陽電池1の構造を説明するための概略断面図である。
【図7】実施形態2における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【図8】図7に続く実施形態2の製造方法を説明するための説明図である。
【図9】本発明を適用した実施形態3の太陽電池を説明するための概略断面図である。
【図10】実施形態3における太陽電池の製造方法の一例を説明する説明図である。
【図11】本発明を適用した実施形態4の太陽電池を説明するための概略断面図である。
【図12】実施形態4における太陽電池の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】実施例1の評価結果を示すグラフであり、(a)は反射率、(b)は透過率、(c)は吸収率をそれぞれ示す。
【図14】実施形態5における太陽電池を説明するための概略断面図である。
【図15】銀粒子付着なしのシリコンナノワイヤにアルミナを成膜した前後のSEM写真で、(a)はアルミナを成膜前の状態であり、(b)はアルミナを成膜後の状態である。
【図16】エネルギー分散X線分光法による反射率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の機能を有する部材や要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面における各部材の大きさや比率は説明の都合上誇張されており、実際の大きさや比率とは異なる。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明を適用した実施形態1の太陽電池の構造を説明するための概略断面図である。
【0013】
この太陽電池1は、基板として、たとえばP型シリコン(Si)基板11上に、P型半導体からなるナノワイヤ(以下ナノワイヤは単にワイヤ12と称する)がアレイ状に形成されている。このワイヤ12はN型の非晶質Siまたは3C−SiC膜などの半導体膜13でコンフォーマルに覆われている。この構造によって、コアがP型半導体、それを覆うシェルがN型半導体からなるコアシェル構造のPN接合となった多数のナノワイヤ形態からなる光電変換膜14となる。なお、半導体膜13は基板11の表面も覆っている。そして光電変換膜14の半導体膜13の表面に接するように、光反射性の粒子15が複数付着させている。
【0014】
このような光電変換膜14は基板面から突出したナノワイヤ形態の凸部と、このナノワイヤ形態の凸部に対してくぼんだ凹部とからなった凹凸形状ができあがっている。粒子15は、主にナノワイヤ形態の凸部の部分に形成されるが、基板上の半導体膜13の表面に形成されても差し支えない。なお、光電変換作用はコアシェル構造の光電変換膜14によるなされるものであるが、基板上の半導体膜13の表面で起きてもよい。
【0015】
半導体膜13および粒子15は、全体が透明電極16によって覆われている。透明電極16は、たとえばITOが用いられる。また、透明電極16には上部電極17、基板11には下部電極18が設けられている。透明電極16は、N型半導体膜13に接しているため、PN接合(または後述のPIN接合)の一方の電極となっている。コアであるP型半導体と接続されている基板11が、PN接合(または後述のPIN接合)の他方の電極となる。
【0016】
コア部分となるワイヤ12はたとえば、直径(太さ)が約1nm〜約1μm、長さが約100nm〜約100μmである。シェル部分となる半導体膜13はたとえば、厚さが約100nm〜約1μmである。したがって、コアシェル構造である光電変換膜14全体としての大きさは、直径(太さ)が約100nm〜約2μm程度、長さが約100nm〜約100μm程度となる。
【0017】
なお、図示していないが、P型半導体のワイヤ12とN型半導体膜13との間には、i型非晶質Si、またはi型3C−SiCなどの真性半導体膜を備え、PIN型のコアシェル構造を形成していてもよい。真性半導体膜の厚さも約100nm〜約1μm程度である。
【0018】
粒子15は、直径が約1000nm以下、好ましくは100nm以下である。なお大きさの下限は形成できる限界まで小さくてもよい。この粒子15の詳細は後述する。
【0019】
上部電極17及び下部電極18は、太陽電池1からの電力を取り出すための電極であり(リード電極)、たとえば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、およびこれらの合金や積層金属(一例としてAgとAlを順に蒸着した積層膜など)が挙げられる。
【0020】
ここで粒子15について説明する。粒子15は、光反射性の物質であり、たとえば金属や半導体(金属化合物半導体を含む)が好ましい。具体的には、金属ではたとえば、金、銀、銅、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウムからなる群より選択される一種類の金属、またはこれら金属を2種類以上混合した合金などが好ましい。中でも、太陽光のスペクトル領域で反射の高い銀がもっとも好ましい。
【0021】
図2は、粒子15として用いることが好ましい金属の波長と光反射率とを示したグラフである(光反射率は全反射を1.0としている)。図2に示したように、金属は波長によらず高い反射率を示している。中でも、銀は太陽光のスペクトル全域に対して反射率が高い。
【0022】
一方、半導体の場合は、そのバンドギャップが、光電変換膜14を構成する半導体、具体的には半導体膜13のバンドギャップより大きいものを用いることが好ましい。半導体の場合、そのバンドギャップによっては太陽光波長のうちの一部を吸収してしまう。このため粒子15を構成する半導体が半導体膜13のバンドギャップと同等または小さいと、半導体膜13で吸収されるべき太陽光波長を粒子15が吸収してしまい、半導体膜13に光が到達しなくなる。このため半導体粒子のバンドギャップを半導体膜13のバンドギャップより大きいものとすることで、太陽光波長を反射(一部は透過)させて、光電変換膜を構成する半導体膜13まで光を行き渡らせることができるようになる。
【0023】
半導体は、そのバンドギャップによって吸収する波長が決まる。光の波長λ(nm)と光子エネルギーhν(eV)との関係は、周知のように、下記(1)で表される。
【0024】
hν=hc/eλ=1239.8/λ …(1)
式中、νは光の振動数、hはプランク定数=6.63×10−34Js、cは光の速度=3.00×108ms−1、eは電子の電荷量=1.602×10−19Cである。
【0025】
太陽光の主な波長が300〜2500nmであることからその光子エネルギーは約4eV〜約0.5eVである。Siのバンドギャップ=1.1eVであるから、おおむね1100nm以下の波長を吸収することが知られている。そうするとこのSiと同等かそれ以下のバンドギャップの半導体を粒子15に用いると、Siで吸収されるべき波長が粒子15によって吸収されてしまうことになる。一方、Siのバンドギャップより大きいバンドギャップを有する半導体を粒子15として使用すれば、Siの吸収波長域での光は、ごく一部が吸収されるだけであり、ほとんどの光が透過する。このようなSiのバンドギャップより大きいバンドギャップをもつ半導体を微細な粒子15とすれば、粒子表面で光の一部が乱反射するようになる(Siのバンドギャップより大きいバンドギャップとはSiのバンドギャップ値を含まない大きな値をいう)。このため乱反射した光は、周りの光電変換膜14の光電変換膜に行き渡るようになる。また、粒子15内にまで入る光のごく一部は吸収されるものの、大部分は粒子15を透過するため、透過した光はそのまま粒子15が付着している光電変換膜に到達するため、粒子15をつけたことによるロスはほとんどない。
【0026】
また、上記(1)式の関係から、バンドギャップが2.5eV(波長で500nm)以上の半導体であれば、太陽光のなかのピーク波長域(図2参照)の光を吸収することなく反射(または一部を透過)させることができる。この場合、粒子15に当たる光のうち、Siに吸収されるべき太陽光のうち90%以上が乱反射して、または粒子15を透過して光電変換膜にまで到達する。さらにはバンドギャップが4.0eV(波長で300nm)以上の半導体であれば、太陽光の波長域(可視光)の光をほとんど吸収することなく乱反射または一部を透過させることができるので、より好ましい。
【0027】
ここで、粒子15として使用可能な半導体(金属酸化物半導体を含む)と、そのバンドギャップを表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
本実施形態1では以下の作用、効果を奏する。
【0030】
第1に、光反射性の粒子15によって、ワイヤ構造物同士の間である凹部分に入ってきた光を散乱させて、凸部である光電変換膜14からなる光電変換膜が多くの光を受けるようにできる。これにより凹凸表面構造の太陽電池1の光吸収率を向上させることができる。
【0031】
第2に、粒子15のサイズを数nm〜1000nmとすることで、入射光と金属粒子や半導体粒子中にある自由電子の集団とが相互作用するプラズモン共鳴が起こるようになる。このプラズモン共鳴が発生することで光がプラズモンと結合して、粒子外殻の数nmの範囲に局所的に著しく増強された電場が発生する。粒子15と光電変換膜が直接接していることで、この発生した強い電場により光が導かれて、光吸収率を向上させることが可能となる。
【0032】
これらの効果によって、たとえば粒子15を用いることなく光吸収率を増幅するために、これまで以上に高アスペクト比なワイヤ(長いワイヤ)を製作しなくてもよくなる。したがって、高アスペクト比なワイヤを製作することで生じるワイヤの破壊、折れを回避することができて、歩留を向上させることも可能となる。
【0033】
次に上記のように構成された太陽電池1の製造方法を説明する。
【0034】
図3および4は、実施形態1における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【0035】
まず、図3(a)に示すように、第1の工程として、P型の半導体基板、たとえばP型Si(100)の基板11を洗浄後、ポジレジストを塗布し、EB描画装置またはナノインプリント装置によってレジストに円形状のパターンを描画し、これを現像する。これにより円形状のレジストパターンができあがる。続いて、金属膜(たとえばAg)を50nm厚程度堆積後、リフトオフする。これにより先ほどのレジストパターンに従って基板11上にメッシュ状の金属膜パターン101ができあがる。このようなメッシュパターンはたとえば周期200nm毎に、100nmスクエアで開口したメッシュパターンである。
【0036】
次に図3(b)に示す第2の工程として、第1の工程でできあがった金属メッシュパターン101を形成した基板11を過酸化水素水とフッ酸水溶液の混合液に浸漬する。これにより金属誘起エッチングによって金属膜パターン101の金属膜の直下の基板11(Si)のみエッチングが進む(金属誘起エッチング法という)。太陽電池1の半導体膜13としては、約10μmエッチングすることで、直径約100nmのSiワイヤ母体102ができあがる。
【0037】
次に、図3(c)に示すように、第3の工程として、金属を溶かすエッチング液(たとえばAgでは硝酸)により金属膜を除去する。その後、露出しているシリコン基板表面を熱酸化して酸化膜を形成後、フッ酸を用いて形成した酸化膜を除去する。これにより、第2の工程におけるエッチング時にできた表面欠陥を除去する。これによりワイヤ12ができあがる。
【0038】
なお、ワイヤ12の太さは、第1および第2の工程における金属膜パターンの大きさだけでなく、この第3の工程における熱酸化工程によっても変わってくる。たとえば酸化時間は表面欠陥を除去するために必要な時間にプラスして、さらに酸化時間を長くすることで酸化膜厚を厚くし、これを除去すればより細いワイヤとなる。
【0039】
さらに、図4(d)に示す第4の工程として、CVD法やスパッタ法などを用いて、たとえば、N型の非晶質Si、または3C−SiCからなる半導体膜13を、Siワイヤ12を覆うように堆積する。これによりコアがP型半導体(Siワイヤ)、シェルがN型半導体のコアシェル構造のPN接合をもち、基板面から突出した光電変換膜14が得られる。
【0040】
その後、第5の工程として(不図示)、次工程での光電変換膜14に付着させる粒子15の密度を増やすために、光電変換膜14を形成した基板表面に親水処理を行う。親水処理としては、たとえば硝酸溶液に基板11全体を浸漬して、光電変換膜14を形成した表面を酸化することにより行う。
【0041】
次に図4(e)に示す第6の工程として、粒子15となる金属成分が溶解した溶液に、浸水処理後の基板11を浸漬して、光電変換膜14の表面に粒子15を付着させる。具体的には、たとえば、金属としてAgを用いる場合、硝酸銀水溶液に浸漬することで、光電変換膜14の表面にAgが析出して粒子15となって付着する。この方法は無電解メッキ法である。
【0042】
このようなメッキ法に代えて、たとえば、CVD法やスパッタ法などを用いてもよい。CVD法やスパッタ法は金属粒子を形成する際にも用いることができるが、特にメッキ法では形成できない半導体粒子を形成する際に有効な手法である。CVD法やスパッタ法では、その時間を調整することで、光電変換膜14の半導体膜13に付着させる粒子15の大きさを制御することができる。
【0043】
図5は、Ag粒子を付着させた後の光電変換膜部分のSEM写真であり、(a)は光電変換膜14部分の写真であり、(b)は粒子が付着した光電変換膜14の拡大写真である(後述する実施例により作製したもの)。図5に示すように、直系φ10〜200nm程度のAg粒子15が光電変換膜14の表面に付着しているのがわかる。
【0044】
この後、図4(f)に示す第7の工程として、ITOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、ITOからなる透明電極16を成膜する。透明電極5は、光電変換膜14を含む基板面全体に形成されるため、光電変換膜14はもとより、その表面上に析出した粒子15にも接続されることになる。
【0045】
次に、図4(g)に示す第8の工程として、基板11の裏面に、金属膜を蒸着して下部電極18を作製する。さらに透明電極16の表面の一部にも金属を蒸着することで上部電極17を作製する。これにより太陽電池1ができあがる。
【0046】
以上のような製造方法によれば、以下の作用効果を奏する。
【0047】
基板11上のワイヤ12は、金属メッシュパターンを形成したのち、金属誘起エッチングにより形成したので、多数のワイヤ12を比較的規則正しい間隔で、かつナノメートルオーダーの大きさで形成することができる。なお金属誘起エッチングを用いてワイヤ12を形成するためには、金属メッシュパターンを形成することなく実施することもできる。たとえば、シリコン基板の主面上に、無電解メッキ法によりAg粒子を付着させる。このときAg粒子は、不規則かつ多数、シリコン基板面上に付着する。その後、上述した第2の工程および第3の工程を行うことで、金属誘起エッチングによるSiワイヤができあがる。
【0048】
粒子15の形成には、無電解メッキ法を使うことで、金属を溶かし込んだ溶液に基板11ごと浸漬するだけで、光電変換膜14に粒子15を付着させることができる。そして、このメッキの前に親水処理を行うことで、金属粒子を確実に光電変換膜14に析出させることができる。光電変換膜14が形成されている基板面上は、いわば微細な凹凸形状表面となっている。シリコンは元々撥水性であるが、このような微細凹凸形状表面のために表面積が増えることによって表面張力が増し、撥水性が増すような状態となっている。そこでメッキ工程の前に、微細凹凸形状表面を親水性にする工程を備えることによって、メッキ液と微細凹凸形状表面との接触面積が増やし、粒子15の析出密度を増加させることができる。この結果、粒子15の密度を増やすことができるため、光吸収効果をいっそう増幅することができる。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態2の太陽電池1は、その基本構造は実施形態1同様に、基板11上に形成したワイヤ構造体の表面に粒子を直接接するように設けたものである。ここで、実施形態1と異なるのは光電変換膜の形態である。本実施形態2では、下部をP型、上部をN型としたワイヤ構造そのものがPN接合の光電変換膜となるようにしている。以下詳細に説明する。
【0050】
図6は、本発明を適用した実施形態2の太陽電池2の構造を説明するための概略断面図である。
【0051】
本実施形態2の太陽電池2は、半導体基板11(たとえばSi基板)の上に、下部(基板11に近い側)がP型で、それに続く上部がN型となったワイヤ構造の光電変換膜22が形成されている。下部のP型Siワイヤ部分を符号22a、上部のN型Siワイヤ部分を符号22bとして示した。
【0052】
下部のP型Siワイヤ22a部分は、透明な絶縁膜29によって覆われている。透明な絶縁膜29は、太陽光のうち少なくとも太陽電池2の光電変換機能する光電変換膜22への光が透過する性質ものであればよい。たとえばBCB樹脂やSOG(SiO2)などである。
【0053】
そして、この絶縁膜29から突出している上部のN型Siワイヤ22b部分には、N型Siワイヤ22bに接するように複数の粒子15が付着している。この粒子15は、実施形態1と同様に金属または半導体が使用できる。粒子15として好ましい金属の種類や半導体のバンドギャップについても実施形態1と同様であるので説明は省略する。
【0054】
光電変換膜22は、基板11の一表面から突出したワイヤ構造をしている。ワイヤ構造の直径(太さ)が約1nm〜約1μm、長さが上部下部合わせて約100nm〜約100μmである。
【0055】
粒子15は、直径が約1000nm以下、好ましくは100nm以下である。なお大きさの下限は形成できる限界までどのような大きさであってもよい。
【0056】
絶縁膜29から露出している上部のN型Siワイヤ22b部分およびそれに付着している粒子15は、透明電極16(たとえばITO)によって覆われている。そして、透明電極16の一部、および基板11の一部に上部電極17および下部電極18が設けられている。
【0057】
なお、図示していないが、下部のP型Siワイヤ22aと上部のN型Siワイヤ22b半導体膜との間には、i型非晶質Si、またはi型3C−SiCなどの真性半導体膜を備えていてもよい。真性半導体膜の厚さも約100nm〜約1μm程度であり、この真性半導体膜部分は、絶縁膜29に埋没している部分であってもよし、絶縁膜29から出て粒子15を付着させてもよい。
【0058】
本実施形態2では以下の作用、効果を奏する。
【0059】
太陽電池2は、一つひとつのワイヤ構造が上部のN型Siワイヤ22bと下部のP型Siワイヤ22aからなって、このワイヤ構造の光電変換膜14に粒子15を付着させている。これによりでも、実施形態1と同様に、粒子15による光の乱反射によってワイヤ部分である光電変換膜14に光が行きわたるようになって、光吸収率が向上する。また、プラズモン共鳴が起きて発生した強い電場により光が導かれて光吸収率を向上させることが可能となるのである。
【0060】
次に、本実施形態2における製造方法の一例を説明する。
【0061】
図7および8は、実施形態2における太陽電池の製造方法の一例を説明するための説明図である。
【0062】
まず、図7(a)に示す第1の工程により、P型の半導体基板、たとえばSi(100)基板11を洗浄後、Au膜を10nm厚程度堆積し、加熱する。これにより直径10〜100nm程度のAuナノ粒子201が自己組織的に基板11の表面に形成される。
【0063】
次に図7(b)に示す第2の工程として、基板11をSiH4、3C−SiCl4などのSiを含むガスを流しながら、600〜700℃程度に加熱する。これによりVLS成長のメカニズムによってAuナノ粒子201が金属触媒として作用し、Siワイヤ22aが成長する。Siワイヤの成長中、B2H6などのP型のドーピングガスを混合することでP型Siワイヤ22aを成長させる。
【0064】
次に図7(c)に示す第3の工程として、引き続きVLS法を用い、ドーピングガスをB2H6からPH3などのN型のドーピングガスに切り替えることによって、N型Siワイヤ22bを、Siワイヤ22aの上に連続的に成長させる。
【0065】
次に、図8(d)に示す第4の工程として、王水を用いてAuナノ粒子201を取り除く。その後、BCB樹脂やSOG膜などの絶縁膜29をP型Siワイヤ22aが隠れる程度に成膜する。
【0066】
その後、第5の工程として(不図示)、次工程でのAgナノ粒子の密度を増やすために親水処理として、光電変換膜22を形成した基板11全体を硝酸溶液に浸漬して表面を酸化する。
【0067】
次に、図8(e)に示す第6の工程として、実施形態1と同様のメッキ法を用いて、粒子15をN型Siワイヤ22bの表面に析出させる。
【0068】
最後に、第7の工程として、透明電極16、下部電極18、上部電極17を形成し、図6に示した太陽電池1ができあがる。
【0069】
本実施形態2における製造方法によれば、導電型の異なる一本一本のSiワイヤ(光電変換膜14)を、ナノワイヤ成長法を用いることで、途中、ドーピングする不純物を変更するだけで形成することができる。そのほか粒子15の形成においては実施形態1と同様に、メッキ法によって粒子15を形成する前に親水処理を行うことで、Siワイヤに確実に多くの金属粒子を付着させることができる。なお、粒子15の形成には、メッキ法以外にCVD法やスパッタ法を用いてもよいことは実施形態1と同様である。
【0070】
(実施形態3)
図9は、本発明を適用した実施形態3の太陽電池3を説明するための概略断面図である。
【0071】
本実施形態3の太陽電池3は、PN接合またはPIN接合を有するワイヤアレイからなるトップセル30と、結晶Siからなるボトムセル32と、トップセル30とボトムセル32を接続するトンネル接合層31から構成される多接合型太陽電池である。
【0072】
トップセル30において、トンネル接合層31に至るように形成されたP型Siワイヤ12を有する。ワイヤ12は、直径が5nm以下であり、量子閉じ込め効果によってバンドギャップがシリコンのバルク値である1.1eVから1.8eV程度に広がったSiナノワイヤとなっている。そして、このP型Siワイヤ12に実施形態1と同様にコンフォーマルにN型の非晶質Siや3C−SiCの半導体膜13で被覆してPN接合となった光電変換膜14を形成している。これにより基板表面から突出した光電変換膜14ができあがっている。この形態では、ボトムセル32部分が基板ということになる。
【0073】
ここで半導体膜13がトンネル接合層31に接しないように、トンネル接合層31上にはSiO2やAl2O3などの透明絶縁層35が形成されている。半導体膜13は、このトンネル接合層31上にも形成されている。
【0074】
そして、粒子15が、光電変換膜14の表面、すなわちワイヤ12を覆う半導体膜13の表面に接するように形成されている。なお、光電変換膜14以外の凹部に粒子15が付着していても差し支えない。しかし、凹部においてもボトムセル32に光が入射して光電変換するために、凹部で光が散乱、反射しないように粒子15は形成しない方が好ましい。
【0075】
なお、光電変換膜14は、実施形態1同様にP型のワイヤ12と、N型の半導体層13の間にi型の半導体層を有するPIN接合構造としてもよい。
【0076】
ボトムセル32は、PN接合を有する結晶Siからなる。また、ボトムセル32の裏側には下部電極18が、トップセル30の上部には、透明電極16とその上に上部電極17が形成されている。
【0077】
本実施形態3では以下の作用、効果を奏する。
【0078】
このように構成された実施形態3の太陽電池3では、たとえば波長800nm以下の光はトップセル30で吸収される。このときトップセル30では光電変換膜14の表面に付着させた粒子15によって光の吸収率が高くなる。なお、粒子15の作用効果については、実施形態1と同様であり、光の反射およびプラズモン共鳴によって光の吸収率を高くすることができるのである。
【0079】
一方、波長800nm以上の光はトップセル30の底にまで届き、ボトムセル32へ入射して、ボトムセル32で発電を行うことができる。凹部の底の部分に粒子15を設けないようにすれば、凹部の底に届いた光は反射されないため、波長800nm以上の光をボトムセル32で発電に用いる際により発電効果が高くなる。
【0080】
次に実施形態3の製造方法の一例を説明する。図10は実施形態3の製造方法の一例を説明する説明図である。
【0081】
まず、図10(a)に示す第1の工程として、不純物ドーピングによってPN接合を形成した結晶Si太陽電池であるボトムセル32を形成する。そして、表面を更にP型、N型の高濃度ドーピングを行うことによって、トンネル接合層31を形成する。
【0082】
次に図10(b)に示す第2の工程として、トンネル接合層31上に透明絶縁層35を形成する。そして透明絶縁層35上に、Alなどの金属薄膜を50nm程度成膜した後、アルミの陽極酸化により自己組織的に直径50〜100nm程度のナノ細孔36を形成する。
【0083】
次に図10(c)に示す第3の工程として、VLS法を用いてP型Siワイヤ12を形成し、熱酸化、HF蒸気による酸化膜除去の工程を経て直径を5nm以下にまで微細化する。なお、大きさの下限は特になく、量子化を図れる大きさにできればよい。
【0084】
その後は、実施形態1同様に、コンフォーマルにN型半導体膜13を形成する。その後、透明電極16、下部電極18、上部電極17を形成する。これにより図9に示した本実施形態3の太陽電池3ができあがる。
【0085】
このように構成された製造方法によれば、PN接合をまず形成することでまず、基板となるボトムセル32が形成でき、その上にトンネル接合層31を形成した上で、Siワイヤ12、半導体膜13、粒子15を形成して、多接合型太陽電池を製造することができる。
【0086】
(実施形態4)
本実施形態4は、全体構成は実施形態3と同じであるが、トンネル接合層の構成が異なる。図11は、実施形態4の太陽電池4を示す概略断面図である。
【0087】
実施形態4のトンネル接合層31は、高濃度P型Si層311と、高濃度N+型Si層312からなり、ボトムセル32は、N型Si層322とP型Si層321、さらに裏面の電極18と接する部分には導電層となるP+層323を有している。その他の構成は実施形態3と同じである。
【0088】
実施形態4の製造方法を説明する。
【0089】
図12は、実施形態4の製造方法を説明するための説明図である。
【0090】
まず図12(a)に示す第1の工程として、トップセルを形成するために、100μm厚程度のP型Si基板301の裏面にボロンなどの不純物を高濃度に添加し、高濃度P+層311を形成する。
【0091】
次に図12(b)に示す第2の工程として、ボトムセルを形成するために、200μm厚程度のP型Si基板321に、不純物をドーピングし、N層322を形成してPN接合を作る。さらにトンネル接合層31の一部である高濃度N+層312をリンなどの不純物を添加することで形成する。また裏面には導電層となる高濃度P+層323をボロンなどの高濃度の不純物の添加によって形成する。
【0092】
次に、図12(c)に示す第3の工程として、常温接合などの方法によって、トップセル30とボトムセル32をトンネル接合層31を介して接合し、トップセルを、機械的にグラインド、研磨することによってトップセル30の膜厚を10μm程度まで薄くする。
【0093】
次に、第4の工程として、実施形態1の第1から第3の工程を行うことによって、トップセルとなる部分に、直径5nm以下のSiワイヤ12を形成する。このとき熱酸化後のフッ酸による熱酸化膜除去の際、SiO2膜が100nm厚程度残るようにエッチング時間を管理する。
【0094】
その後、第5の工程として、実施形態1の第4から第8の工程と同じ工程を行うことによって、トップセルのPN接合の形成、透明電極膜、Agナノ粒子、上部電極17、下部電極18の作製を行い、図11に示した多接合型の太陽電池4ができあがる。
【0095】
本実施形態4では以下の作用、効果を奏する。
【0096】
このように構成された実施形態4の太陽電池1では、前述した実施形態3と同様に、たとえば波長800nm以下の光はトップセルで吸収されるとき、ワイヤに付着させた粒子15によって光の吸収率が高くなる。一方、波長800nm以上の光はトップセルの底にまで届きボトムセルへ入射して、ボトムセル32での発電を行うことができる。なお、粒子15の作用効果については、実施形態1と同様であり、光の反射およびプラズモン共鳴によって光の吸収率を高くすることができるのである。
【0097】
(実施例)
以上説明した実施形態に沿って粒子15を付着させた光電変換膜を有する太陽電池1を製作した。
【0098】
実施例1は、実施形態1の構造による太陽電池1を作製したものである。その製造も実施形態1で説明した製造方法にしたがって製作した。
【0099】
まず、第1の工程により、P型Si(100)基板11を洗浄後、ポジレジストを塗布し、EB描画装置またはナノインプリント装置によってレジストに円形状のパターンを描画、現像し、Agを50nm厚程度堆積後、リフトオフすることでSi基板上にメッシュ状のAg膜パターンを形成した。これにより周期200nm毎に、100nm□開口したメッシュパターンを形成した。
【0100】
次に、第2の工程により、過酸化水素水とフッ酸水溶液の混合液に浸漬することで、金属誘起エッチングによってAg膜の直下のみエッチングを行った。エッチング量は約10μmとし、直径約100nmのSiワイヤが得られた。
【0101】
次に、第2の工程により、硝酸でAg膜を除去後、熱酸化を行いフッ酸で酸化膜を除去することで、第2の工程でのエッチング時にできた表面欠陥を低減し、Siワイヤを直径約50nmまで細めた高アスペクト比のワイヤ12を形成した。
【0102】
次に第4の工程により、スパッタ法などを用いて、N型の非晶質Siからなる半導体膜13がSiワイヤ12を覆うように約50nm堆積した。これにより、コアがP型半導体、シェルがN型半導体のコアシェル構造のPN接合が得られた。
【0103】
次に、第5の工程により、硝酸溶液に浸漬し表面を酸化した。続いて、第6の工程により、0.003M硝酸銀と1.5Mフッ酸からなる混合水溶液に常温で30秒浸漬することで、直径φ10〜200nm程度のAgナノ粒子をワイヤ表面に析出させた。
【0104】
次に、第7の工程により、ITOターゲットを備えたRFスパッタ装置を用いて、ITOからなる透明電極16を成膜した。ITO透明電極5は、ワイヤ状の凹凸形状およびその表面上に析出したAgナノ粒子4に接触している。
【0105】
次に、第8の工程により、半導体基板1の裏面に、AgとAlとを順に蒸着し、下部電極6を作製し、更に、透明電極5表面の一部にもAlを蒸着することで上部電極7を形成して、太陽電池1を得た。
【0106】
性能評価
太陽電池1における光閉じ込め効果を評価するために、実施例1の第5の工程まで進めてAgナノ粒子を形成した太陽電池1(本実施例)と、第4の工程まで進めて、その後の工程を行わずにAgナノ粒子が存在しない太陽電池1(比較例という)について、日立製U−4000を用いて反射率、透過率を積分球を用いて測定し、吸収率を算出した。
【0107】
測定に使用したサンプルは、650μm厚のP型Si基板表面に、高さ10μmのSiワイヤ12を形成後、熱酸化、酸化膜除去後、非晶質Siを100nmCVDで堆積したサンプルと、それにAgナノ粒子15を形成したサンプルであった。
【0108】
なお、Agナノ粒子15の効果を明確に測定するため、透明電極5、下部電極6、上部電極7を除いて行った。
【0109】
図13は、評価結果を示すグラフであり、(a)は反射率、(b)透過率、(c)吸収率をそれぞれ示すグラフである。
【0110】
図13に示したグラフから、明らかにAgナノ粒子15を光電変換膜14の表面上に析出したことで、反射及び透過率が共に減り、吸収率が上昇したことがわかる。
【0111】
これは先に述べたとおり、Agナノ粒子15の表面での散乱作用により、実質的な光学距離が伸びたこと、またプラズモン共鳴により、Agナノ粒子15の表面近傍に集まり増強された光を太陽電池1の光電変換膜を構成している半導体膜13や、Siワイヤ12が吸収したことによる効果であると考えられる。
【0112】
以上の結果、Agナノ粒子15によって、可視領域、赤外領域で光吸収率が大幅に向上することが確認できた。つまり、Siワイヤの長さが同じ場合、粒子15を光電変換膜となっている凸部表面に設けることで、光吸収率を向上させることができるのである。
【0113】
(実施形態5)
実施形態5は、PN接合またはPIN接合のワイヤ間の隙間を非導電性の金属酸化物によって充填した構造である。ここで、実施形態1〜4においても、光電変換膜は、一方の電極となるITOによって覆われている(他方の電極は基板である)。したがって、ワイヤ間の隙間はITOで充填されている。
【0114】
本実施形態5では、ITOのほかにさらにワイヤ間の隙間を金属酸化物によって充填したものである。
【0115】
図14は、実施形態5の太陽電池の構造を説明するための概略断面図である。ここでは、基板上に形成したワイヤに粒子を付着させた構造は実施形態1〜4と同じであるので、それらの説明は省略する。またここでは、実施形態1の構造を基にして本実施形態5を説明するが、そのほかの実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0116】
本実施形態5の太陽電池51は、基板11上にワイヤ12を有する。ワイヤ12はN型の非晶質Siまたは3C−SiC膜などの半導体膜13でコンフォーマルに覆われている。この構造によって、コアがP型半導体、それを覆うシェルがN型半導体からなるコアシェル構造のPN接合をもつ光電変換膜14となる。半導体膜13は基板11の表面も覆っている。そして光電変換膜14の半導体膜13の表面に接するように、光反射性の粒子15が複数付着させている。これらの構造は実施形態1〜4の構造と同じであり、また、その材料も実施形態1〜4同じである。
【0117】
光電変換膜14は、基板面から突出したナノワイヤ形態の凸部を有しているため凹凸形状となっている。そして本実施形態5は、この凹部、すなわち、突出したナノワイヤ形態の凸部同士の隙間部分を充填材52によって充填し、さらに充填材52の上から透明電極16によって覆っている。透明電極16は、実施形態1などと同様にたとえばITOが用いられる。透明電極16にはさらに上部電極17が設けられている。また、基板11には下部電極18が設けられている。
【0118】
充填材52は、光電変換膜14となっている半導体(ワイヤ12と半導体膜13)よりもバンドギャップの大きい材料である。実施形態1において説明した通り、太陽光の主な波長が300〜2500nmであることからその光子エネルギーは約4eV〜約0.5eVである。Siのバンドギャップ=1.1eVであるから、おおむね1100nm以下の波長を吸収することが知られている。そこで、光電変換膜14の主成分であるSiのバンドギャップ=1.1eVより大きなバンドギャップを有する材料であれば、太陽光(波長300〜2500nm)は充填材52によって遮られることなく、光電変換膜14にまで到達する。
【0119】
このような材料はたとえば金属酸化物であり、より具体的には表1に示した粒子15として使用できるさまざまな金属酸化物を充填材52としても利用できる。なお、仮に、粒子と充填材が同じ材料とした場合、粒子と充填材の形成方法が異なるため、これらの間には同じ材料であっても界面が形成されるため、粒子による光の乱反射作用は得られる。ただし、好ましくは粒子15と充填剤52は異なる材料とする。これにより粒子15と充填剤52との界面が一層明確になって粒子15表面での反射が起きやすくなる。
【0120】
充填剤52の材料として、より好ましくは、アルミナ、ジルコニアである。アルミナ(Al2O3)のバンドギャップは9.0eV、ジルコニア(ZrO2)のバンドギャップは5.0eVである。これらの材料は、バンドギャップが光電変換膜14の半導体のバンドギャップよりも十分に高く、太陽光を吸収することなく光電変換膜14まで到達させることができる。また、これらは、透明電極16となるITO(バンドギャップは4.0eV)よりも高い。したがって、最上部にあるITOを透過してきた光がアルミナ、ジルコニアなどの充填材によって吸収されることもない。
【0121】
充填材52の形成方法は、原子層堆積法(ALD:atomic layer deposition)を用いることが好ましい。原子層堆積法は、周知のとおり、原子一層ごとに積み重ねて堆積させて行く方法である。このためITOをスパッタなどにより成膜する場合と比較して、堆積させる分子形状が小さい。したがって、ALDを用いることで、ナノワイヤ形態で多数の凸部が形成された光電変換膜14の隙間(ナノワイヤ形態の凸部同士の間)を隙間なく埋めることができる。
【0122】
充填材51による隙間の充填量は、光電変換膜14を構成するナノワイヤ形態の凸部の一部を露出させた状態までとする。そして、露出している凸部先端は、ITOなどの透明電極16により覆っている。これにより、光電変換膜14を構成するPN接合またはPIN接合のN型半導体部分と透明電極16が接触して、透明電極16がPN接合またはPIN接合の一方の電極となる。ITOなどの透明電極16には、さらに上部電極17を取り付けられている。
【0123】
ここでALD装置を用いてシリコンナノワイヤ間にアルミナの埋め込み実験を行った結果を説明する。実験はシリコンナノワイヤに銀粒子を付着させたものと付着させないものについて行った。
【0124】
原材料はトリメチルアルミニウム(TMA)と酸化剤(vapor H2O)を用いた。
【0125】
導入時間は、TMA:200ms→N2:100ms→H2O:200ms→N2:100msのサイクルで、1サイクル合計600msとした。サイクル数は700回、成膜温度は200℃で行った。
【0126】
走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散X線分光法を用いて評価を行った。
【0127】
図15は、銀粒子付着なしのシリコンナノワイヤにアルミナを成膜した前後のSEM写真である。図15(a)は、アルミナを成膜前の状態であり、図15(b)は、アルミナを成膜後の状態である。
【0128】
この図から、アルミナのALDによる成膜前後で、シリコンナノワイヤが倒れたり寝たりすることがないことがわかる。
【0129】
図16は、エネルギー分散X線分光法による反射率の測定結果を示すグラフである。
【0130】
シリコンナノワイヤ全体からアルミニウムが検知できALDによってワイヤ間の埋め込みに成功した。また、膜全体の反射率の測定を行ったところ、最大でも1%程度しか増加せず、アルミナによる変化はなかった。これは、銀(Ag)粒子を付着させた場合も付着させない場合も反射率の変化傾向にほとんど差はない。また、銀(Ag)粒子の有無でALDによるアルミナ成膜後で比較すると、銀(Ag)粒子を付着させたものの方が反射率が低い。これはすでに説明した実施例における銀粒子の付着した場合の効果と同じである。したがって、ALDによるアルミナ成膜によって粒子を付着させることによる効果が損なわれていないこともわかる。
【0131】
以上の実験結果から、PN接合またはPIN接合のナノワイヤ形態の凸部に粒子15を付着させた光電変換膜14の隙間をALDを用いてアルミナによって充填することで、ナノワイヤ形態の凸部を立った状態に保てることがわかる。
【0132】
そのほかの金属酸化物の場合も、原材料種を変えてALDにより光電変換膜14の隙間を充填することができる。
【0133】
このように、充填材を光電変換膜14の隙間に埋めることで、光電変換膜14を形成しているナノワイヤが倒れたり寝てしまったりすることが少なくなる。このためすべてのナノワイヤに多くの光が当たるようになって、いっそう光電変換効率が向上する。
【0134】
また、ナノワイヤが倒れたり寝てしまったりすることが少なくなるため、ナノワイヤ部分同士が接触してしまうことも少なくなるので、個々のナノワイヤ単位での短絡が減って発電効率の低下も防ぐことができる。
【0135】
特に、ALDにより充填材を形成したことで、ナノワイヤの非常に狭い隙間も確実に充填することができる。
【0136】
以上、本発明を適用した実施形態および実施例を説明したが、本発明は、上述した実施形態および実施例に限定されるものではない。
【0137】
たとえば、上述した実施形態では、基板上にワイヤ(ナノワイヤ)を形成し、このワイヤが凸部となる凹凸微細構造の太陽電池について述べたが、凸部が格子(メッシュ)型やストライプとなった衝立型などとし、格子のなかや衝立間が凹んだ微細構造の太陽電池であってもよい。この場合、凸部となる格子や衝立の上端や壁面などに粒子を付着させることで、上述した実施形態同様の効果を得ることができる。また、この場合、格子や衝立の壁面形状は垂直に立った構造だけでなくなだらかな山形状であってもよい。
【0138】
また、基板および光電変換膜(半導体膜)としては、シリコンを用いた太陽電池について述べたが、Ga,In,PやGeなど他の半導体を用いた太陽電池であってもよい。
【0139】
そのほか、本発明は特許請求の範囲に既定した構成を有するものであれば、ここに説明した以外の構成が付加されまたは一部が存在しない構成などであってもよく、さまざまな形態が本発明に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0140】
1、2、3、4、51 太陽電池、
11 基板、
12 ワイヤ、
13 半導体膜、
14、22 光電変換膜、
15 粒子、
16 透明電極、
17 上部電極、
18 下部電極
52 充填材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一表面から突出して形成されたPN接合またはPIN接合を有する光電変換膜と、
前記光電変換膜の表面に接して配置された複数の粒子と、
を有することを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記粒子は、金属粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記金属粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる群より選択された一種類の金属からなる前記粒子、またはこれらの群より選択された2種類以上の金属からなる合金の前記粒子であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記粒子は、半導体粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記半導体粒子のバンドギャップは、前記光電変換膜として使用している半導体のバンドギャップより大きいことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記光電変換膜を有するトップセルと、
前記トップセルの下に位置し、PN接合を有するボトムセルと、
前記トップセルと前記ボトムセルとを互いに連結するトンネル接合層と、を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の太陽電池。
【請求項7】
前記突出して形成されたPN接合またはPIN接合によってできた前記光電変換膜の隙間が、前記光電変換膜によって光電変換される波長の光を透過する充填材により充填されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の太陽電池。
【請求項8】
前記充填材は、前記光電変換膜のバンドギャップよりも大きいことをことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記充填材は、前記光電変換膜と接して導電性を有する導電性部材と、金属酸化物とを有することを特徴とする請求項7または8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記金属酸化物は、アルミナまたはジルコニアであることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
基板上に、前記基板面から突出して、PN接合またはPIN接合を有する光電変換膜を形成する段階と、
メッキ法により前記光電変換膜の表面に粒子を析出させる段階と、
を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記粒子を、メッキ法により前記光電変換膜の表面に析出させる段階の前に、
さらに、前記光電変換膜と有する前記基板表面を親水処理する段階を有することを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記光電変換膜の表面に粒子を析出させる段階の後、
さらに、前記光電変換膜の隙間を充填材により充填する段階を有することを特徴とする請求項11または12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記充填材により充填する段階は、原子層堆積法を用いて前記光電変換膜の隙間に前記充填材を形成することを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項1】
基板と、
前記基板の一表面から突出して形成されたPN接合またはPIN接合を有する光電変換膜と、
前記光電変換膜の表面に接して配置された複数の粒子と、
を有することを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記粒子は、金属粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記金属粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムからなる群より選択された一種類の金属からなる前記粒子、またはこれらの群より選択された2種類以上の金属からなる合金の前記粒子であることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記粒子は、半導体粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記半導体粒子のバンドギャップは、前記光電変換膜として使用している半導体のバンドギャップより大きいことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記光電変換膜を有するトップセルと、
前記トップセルの下に位置し、PN接合を有するボトムセルと、
前記トップセルと前記ボトムセルとを互いに連結するトンネル接合層と、を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の太陽電池。
【請求項7】
前記突出して形成されたPN接合またはPIN接合によってできた前記光電変換膜の隙間が、前記光電変換膜によって光電変換される波長の光を透過する充填材により充填されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の太陽電池。
【請求項8】
前記充填材は、前記光電変換膜のバンドギャップよりも大きいことをことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記充填材は、前記光電変換膜と接して導電性を有する導電性部材と、金属酸化物とを有することを特徴とする請求項7または8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記金属酸化物は、アルミナまたはジルコニアであることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
基板上に、前記基板面から突出して、PN接合またはPIN接合を有する光電変換膜を形成する段階と、
メッキ法により前記光電変換膜の表面に粒子を析出させる段階と、
を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記粒子を、メッキ法により前記光電変換膜の表面に析出させる段階の前に、
さらに、前記光電変換膜と有する前記基板表面を親水処理する段階を有することを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記光電変換膜の表面に粒子を析出させる段階の後、
さらに、前記光電変換膜の隙間を充填材により充填する段階を有することを特徴とする請求項11または12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記充填材により充填する段階は、原子層堆積法を用いて前記光電変換膜の隙間に前記充填材を形成することを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図5】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図5】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−16787(P2013−16787A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127359(P2012−127359)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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