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太陽電池の保護カバー用塗料組成物
説明

太陽電池の保護カバー用塗料組成物

【課題】太陽電池の保護カバーとしての透明性を損なわず、室温加工性、耐溶剤性、耐候性、耐久性をもった太陽電池の保護カバーおよびそれを形成し得る硬化性フッ素塗料組成物を提供する。
【解決手段】(A)硬化性フッ素樹脂と(B)硬化剤と(C)溶剤を含む硬化性含フッ素塗料組成物であって、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられるフッ素樹脂硬化物のトップコート層(III)の形成に用いる太陽電池の保護カバー用塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、耐溶剤性、耐水性(耐透湿性)、耐候性、耐久性、塗膜硬度、光沢に優れ、環境に配慮した太陽電池の保護カバーおよびそれを形成するための硬化性含フッ素塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽電池の保護カバーにはガラス板が使われている。しかしガラスは重く、また脆いため、ガラス板に代わる基材として軽量で透明性、高屈折率のポリカーボネート板やアクリル板などの透明樹脂製の板が提案されている。しかし、これらの透明樹脂は耐候性、耐薬品性、耐傷性、耐汚染性などに劣っているため、ガラス板に取って代わるまでには至っていない。
【0003】
ところで、フッ素樹脂は分子内のC−F結合の高いエネルギーと低い分極率に基づく優れた耐候性、低屈折率、耐薬品性、撥水撥油性、耐汚染性を有しており、種々の用途に展開されている。したがって透明樹脂基材表面にフッ素樹脂層を形成することができれば、耐候性、透明性、耐薬品性、撥水撥油性、耐汚染性を向上させることができると考えられる。
【0004】
透明樹脂基材にフッ素樹脂層を形成する方法としては、一般に、フッ素樹脂フィルムを貼り付ける方法、フッ素樹脂塗料組成物をコーティング(塗装)する方法などがあるが、簡便性、後加工性、複雑な形状にも使用できる点からコーティング法の方が好ましい。
【0005】
コーティング法に使用できるフッ素樹脂塗料組成物としてはフライパンに撥油性のためにコートされるようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む塗料組成物がよく知られているが、塗膜を形成するために高温焼付けを必要とするので、樹脂基材には適用できない。
【0006】
常温で硬化して塗膜を形成できるフッ素樹脂として、フルオロオレフィンと各種炭化水素系モノマーとの共重合体で有機溶剤に可溶で塗膜が透明な常温硬化性フッ素樹脂が知られている。しかし、フッ素樹脂は優れた耐溶剤性等の特性をもつため、フッ素樹脂に限らず他の樹脂をも溶解させるケトン系やエステル系の強溶剤を使用せざるを得ない。
【0007】
たとえば特開昭57−34107号公報にはフルオロオレフィンとアルキルビニルエーテルとヒドロキシアルキルビニルエーテルの共重合体が耐候性を有する硬化性塗料用組成物として開示されている。また、フルオロオレフィンとビニルエステルとアルキルビニルエーテルとヒドロキシアルキルビニルエーテルの共重合体が、硬化性塗料用の硬化性フッ素樹脂として特開昭61−275311号公報、特開昭62−7767号公報、特開平3−121107号公報および特開平6−184243号公報に開示されている。また、特開平6−271807号公報はポリカーボネートなどに密着性のよい硬化性フッ素樹脂を提案している。
【0008】
しかし、これらの含フッ素共重合体は強溶剤には溶解するが、汎用溶剤、特に第三種有機溶剤(有機溶剤中毒予防規則で規定されている)などの樹脂溶解能が弱い弱溶剤へは溶解しにくい。
【0009】
ところで、強溶剤ベースのフッ素樹脂塗料を透明樹脂基材に適用すると樹脂基材をも溶解してしまい、透明樹脂基材の透明性(光透過性)が大きく低下するため、高度の透明性が要求されない一般建材用や装置、家電の内部部品用の塗料としては有効であるが、光の透過性が最重要特性である太陽電池の保護カバーとしての使用は見送られてきた。
【0010】
透明樹脂基材を溶解しない弱溶剤を使用したフッ素樹脂の塗料組成物が望まれるが、弱溶剤に溶解する硬化性フッ素樹脂はあまり知られていない。
【0011】
たとえばこうした溶剤の面からの検討として、フルオロオレフィンとシクロヘキシルビニルエーテルからなりミネラルスピリット(第三種有機溶剤)に可溶な非硬化性のフッ素樹脂が特開昭53−96088号公報に記載されており、また、硬化性でミネラルスピリットに可溶なフッ素樹脂が特公平8−32847号公報に記載されている。
【0012】
しかしこれらのフッ素樹脂は、汎用溶剤には可溶であるが、硬化性の含フッ素共重合体である特公平8−32847号公報においても、導入される水酸基価と酸価の合計が30mgKOH/gまでであり、また実施例でミネラルスピリットへの溶解性が確認されている共重合体の水酸基価および酸価はいずれも5mgKOH/gと少なく硬化性が不充分となるため、フッ素樹脂の有利な特徴である耐溶剤性、耐候性、耐久性などの改善が期待できない。
【0013】
一方、太陽電池の分野において、特開昭59−198773号公報にはフッ素樹脂塗料を太陽電池保護カバーとして使用することが提案されているが、フッ素樹脂塗膜は太陽電池モジュールに直接塗膜を形成するため、保護カバーとして強度の点で問題がある。
【0014】
特開平2−123771号公報には含フッ素脂肪環構造をもったフッ素樹脂を太陽電池に使用することが提案されているが、このフッ素樹脂では架橋部位の導入が難しく、太陽電池の保護カバーとして要求される耐溶剤性、耐候性、耐久性などの改善が充分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開昭57−34107号公報
【特許文献2】特開昭61−275311号公報
【特許文献3】特開昭62−7767号公報
【特許文献4】特開平3−121107号公報
【特許文献5】特開平6−184243号公報
【特許文献6】特開平6−271807号公報
【特許文献7】特開昭53−96088号公報
【特許文献8】特公平8−32847号公報
【特許文献9】特開昭59−198773号公報
【特許文献10】特開平2−123771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、太陽電池の保護カバーとしての透明性を損なわず、室温加工性、耐溶剤性、耐候性、耐久性をもった太陽電池の保護カバーおよびそれを形成し得る硬化性フッ素塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち本発明は、(A)硬化性フッ素樹脂と(B)硬化剤と(C)溶剤を含む硬化性含フッ素塗料組成物であって、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられるフッ素樹脂硬化物のトップコート層(III)の形成に用いる太陽電池の保護カバー用塗料組成物に関する。
【0018】
また本発明は、太陽電池モジュール(I)と該モジュールの太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)と該透明樹脂層に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられているトップコート層(III)を含む太陽電池であって、該トップコート層(III)が、前記保護カバー用塗料組成物の硬化物層である太陽電池、
さらには、透明樹脂層(II)と該透明樹脂層に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられているトップコート層(III)を含み、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設ける保護カバー用積層フィルムであって、該トップコート層(III)が、前記硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物層である太陽電池の保護カバー用積層フィルムにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の太陽電池の保護カバー用塗料組成物は、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられるフッ素樹脂硬化物のトップコート層(III)の形成に用いる。
【0020】
保護カバー用塗料組成物は、(A)硬化性フッ素樹脂と(B)硬化剤と(C)溶剤を含む硬化性含フッ素塗料組成物である。
【0021】
つぎに各成分について説明する。
【0022】
(A)硬化性フッ素樹脂
本発明で用いる硬化性フッ素樹脂は、硬化性基を有するフッ素樹脂を単独で使用してもよいし、硬化性基を有するフッ素樹脂と非硬化性のフッ素樹脂および/または硬化性もしくは非硬化性の非フッ素樹脂とのブレンド物でもよい。また、非硬化性のフッ素樹脂と硬化性の非フッ素樹脂とのブレンド物でもよい。
【0023】
硬化性フッ素樹脂としては、つぎのものが例示できる。
【0024】
(A1)弱溶剤、特に第三種有機溶剤に溶解する硬化性フッ素樹脂:
フルオロオレフィン単位とビニルエーテル単位と硬化部位を有する単量体単位を有する共重合体、フルオロオレフィン単位とビニルエステル単位と硬化部位を有する単量体単位を有する共重合体などがあげられる。
【0025】
フルオロオレフィンとしては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化エチレンなどがあげられる。
【0026】
ビニルエーテルとしては、たとえばエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0027】
ビニルエステルとしては、たとえばバーサティック酸ビニル(シェル化学社製のベオバ9、ベオバ10など)、安息香酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニルなどがあげられる。
【0028】
硬化性部位を有する単量体としては、水酸基含有単量体としてたとえばヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル;ヒドロキシエチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエステルなどがあげられ、カルボキシル基含有構造単位として、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、ウンデシレン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステルなどがあげられる。そのほか、ビニルシランなどのシラン含有単量体、エポキシ基含有単量体、アミノ基含有単量体なども使用できる。
【0029】
具体例としては、たとえばTFE/ベオバ9/安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体、CTFE/エチルビニルエーテル/シクロヘキシルビニルエーテル/ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体などがあげられる。
【0030】
この硬化性フッ素樹脂は、水酸基価が5mgKOH/gを超え、かつ水酸基価と酸価の合計が30mgKOH/gを超える水酸基含有含フッ素共重合体であることが、弱溶剤への溶解性が良好でかつ硬化反応性にも優れていることから好ましい。水酸基価は10mgKOH/g以上、特に30mgKOH/g以上であることが硬化反応性が向上することから好ましく、65mgKOH/g以下、特に60mgKOH/g以下であることが、弱溶剤への溶解性の点から好ましい。
【0031】
また水酸基価が5mgKOH/g以下になると硬化性が低下し、耐溶剤性、耐候性、耐久性、耐薬品性、塗膜硬度、密着性などが不充分になる傾向にある。
【0032】
酸価をもつ場合も含めて、硬化性フッ素樹脂(A1)では、水酸基価と酸価の合計が30mgKOH/gを超えるものが好ましい。水酸基価と酸価の合計が30mgKOH/g以下である場合は硬化性が低下し、耐溶剤性、耐候性、耐久性、耐薬品性、密着性などが不充分になる傾向にある。
【0033】
これらの硬化性フッ素樹脂(A1)は、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの非フッ素樹脂と混合使用してもよい。この非フッ素樹脂は硬化性であっても非硬化性であってもよい。
【0034】
アクリル樹脂としては従来より塗料用に使用されているものがあげられ、たとえば(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルの単独重合体または共重合体、側鎖および/または主鎖末端に硬化性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体などがあげられる。
【0035】
(A2)テトラフルオロエチレン(TFE)と炭化水素系単量体を含む硬化性フッ素樹脂(ただし、前記(A1)以外):
TFE単位と炭化水素系単量体単位とビニルエステル単位と硬化部位を有する単量体単位を有する共重合体などがあげられる。
【0036】
ビニルエステルおよび硬化部位を有する単量体としては、前記のものがあげられる。
【0037】
炭化水素系単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどがあげられる。
【0038】
具体例としては、TFE/イソブチレン/安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体、TFE/HFP/エチレン/安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体などがあげられる。
【0039】
これらの硬化性フッ素樹脂(A2)は、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの非フッ素樹脂と混合使用してもよい。この非フッ素樹脂は硬化性であっても非硬化性であってもよい。
【0040】
アクリル樹脂としては前記のものがあげられる。
【0041】
(A3)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を含む硬化性フッ素樹脂(ただし、前記(A1)以外):
CTFE単位と硬化部位を有する単量体単位、さらに要すれば炭化水素系単量体単位および/またはビニルエーテル単位を有する共重合体などがあげられる。
【0042】
硬化部位を有する単量体、ビニルエーテルおよび炭化水素系単量体としては、前記のものがあげられる。
【0043】
具体例としては、CTFE/エチルビニルエーテル/ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体、CTFE/エチレン/エチルビニルエーテル/ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体などがあげられる。
【0044】
これらの硬化性フッ素樹脂(A3)は、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの非フッ素樹脂と混合使用してもよい。この非フッ素樹脂は硬化性であっても非硬化性であってもよい。
【0045】
アクリル樹脂としては前記のものがあげられる。
【0046】
(A4)フッ化ビニリデン(VdF)を含む硬化性フッ素樹脂(ただし、前記(A1)以外):
VdF単位と硬化部位を有する単量体単位、さらに要すれば炭化水素系単量体単位、ビニルエステル単位および/またはビニルエーテル単位を有する共重合体などがあげられる。
【0047】
硬化部位を有する単量体、ビニルエーテル、ビニルエステルおよび炭化水素系単量体としては、前記のものがあげられる。
【0048】
これらの硬化性フッ素樹脂(A4)は、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの非フッ素樹脂と混合使用してもよい。この非フッ素樹脂は硬化性であっても非硬化性であってもよい。
【0049】
アクリル樹脂としては前記のものがあげられる。
【0050】
(A5)非硬化性のフッ素樹脂と硬化性非フッ素樹脂を含む硬化性フッ素樹脂:
非硬化性のフッ素樹脂としては、TFE系共重合体、CTFE系共重合体、VdF系共重合体などが使用できる。
【0051】
非硬化性のTFE系樹脂としては、たとえばTFE/エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などがあげられる。
【0052】
非硬化性のCTFE系樹脂としては、たとえばCTFE/シクロヘキシルビニルエーテル共重合体などがあげられる。
【0053】
非硬化性のVdF系共重合体としては、たとえばVdF/TFE/CTFE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体などがあげられる。
【0054】
硬化性の非フッ素樹脂としては、硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂などがあげられる。
【0055】
硬化性アクリル樹脂としては従来より塗料用に使用されているものがあげられ、側鎖および/または主鎖末端に硬化性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が好ましく採用される。
【0056】
これらの硬化性フッ素樹脂(A)のうち、透明樹脂を侵さない溶剤を使える点、透明性、耐薬品性が良好な点から、硬化性フッ素樹脂(A1)、更にはフルオロオレフィンとしてTFEを含む硬化性フッ素樹脂(A1)が耐候性が良好な点から特に好ましい。
【0057】
(B)硬化剤
硬化剤は、硬化性フッ素樹脂が有する硬化性基の種類に応じて最適なものを選択すればよい。
【0058】
硬化性基が水酸基である場合、イソシアネート系硬化剤、アミノ樹脂系硬化剤などが好適である。
【0059】
イソシアネート系硬化剤としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
アミノ樹脂系硬化剤としては、たとえば尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
(C)溶剤
溶剤としては、透明樹脂層(II)を構成する透明樹脂を侵さない溶剤であればよく、塗料化、塗膜乾燥性、各種添加剤溶解性などが良好な点から弱溶剤が好ましい。
【0062】
弱溶剤としては、たとえば第三種有機溶剤(有機溶剤中毒予防規則で規定されたコールタールナフサ、ミネラルスピリット、テレピン油、石油ナフサ、石油エーテル、石油ベンジン)などの非極性炭化水素系有機溶剤のほか、アルコール、グリコール系溶剤などが例示できる。これらのうち、塗料化、塗膜乾燥性、各種添加剤溶解性がさらに優れている点から非極性炭化水素系有機溶剤、特に汎用溶剤である第三種有機溶剤、さらにはコールタールナフサ、ミネラルスピリットが好ましい。
【0063】
そのほか、1,4−ジオキサン、トリクロルエチレン、クロロホルム、アニリン、ピリジン、n−ペンタノール、アセトニトリル、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミド、ベンジルアルコール、エタノール、メタノール、1−ブタノール、ジエチレングリコール、エタノールアミン、エチレングリコール、ギ酸、水などの1種または2種以上を透明樹脂層への影響や塗料化、塗膜乾燥性、各種添加剤溶解性、基材密着性などを考慮して使用、または弱溶剤と併用してもよい。
【0064】
本発明の硬化性フッ素樹脂組成物における配合割合は、硬化性フッ素樹脂(A)100質量部に対して、溶剤(C)を20〜5000質量部、さらに60〜1000質量部配合し、硬化剤(B)を硬化性フッ素樹脂(A)の硬化部位に対する当量比で0.5〜1.5、さらには0.8〜1.2となるように配合することが好ましい。
【0065】
本発明の組成物において、さらに透明性や密着性、耐候性などを損なわない限り、種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、たとえば表面親水化剤、遮熱剤、紫外線吸収剤、カップリング剤(シラン系、金属系)、酸化防止剤、顔料、フィラー、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、硬化促進剤、充填剤、ゲル化防止剤などがあげられる。
【0066】
表面親水化剤は、塗膜表面を親水性表面にする添加剤であり、雨筋汚れの防止という効果が奏される。好ましい表面親水化剤としては、たとえば国際公開第96/26254号パンフレットなどに記載されたものがあげられ、特に表面移行性、雨筋防汚性が良好な点からつぎの化合物が好ましい。
【0067】
式:
【化1】

(式中、nは1〜20の整数、Rはすべてが異なるかまたは少なくとも2つが同じであり、いずれも炭素数1〜1000の1価の有機基であって、酸素原子、チッ素原子および/またはケイ素原子を含んでいてもよく、該有機基の水素原子の一部または全部がフッ素原子またはフッ素原子と塩素原子とで置換されていてもよい)で表されるアクリルシリケートもしくは含フッ素アルキルシリケート、またはこれらのオリゴマー。
【0068】
このうち、さらに表面移行性、雨筋防汚性が良好な点から、Rの水素原子がフッ素原子で一部または全部置換されているものが好ましい。具体的なRとしては、F(CF(CH、(CFCH、H(CF(CH、F(CFCHFCF(CH、F(CF(CHC=O、H(CF(CHC=O、(F(CF(CHN、(H(CFC)N、(H(CF(CHN、F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)C=O(mは0または1〜6の整数、nは1〜10の整数)などがあげられる。
【0069】
添加量は、硬化性フッ素樹脂(A)100質量部に対して、0〜100質量部、さらには0.1〜50質量部、特に1〜20質量部が好ましい。
【0070】
遮熱剤は、太陽光の赤外線を反射、吸収することにより塗膜下部(下地など)の温度上昇を防止する添加剤であり、内部の温度を下げるという効果が奏される。好ましい遮熱剤としては、たとえば特公平6−19061号公報、特開平10−120946号公報、特開2000−72484号公報、特開2004−204173号公報などに記載されたものがあげられ、特に可視光透過性の点から、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、Ti酸化物、Ce酸化物が好ましい。
【0071】
添加量は、硬化性フッ素樹脂(A)100質量部に対して、0〜100質量部、さらには0.1〜20質量部、特に0.2〜10質量部が好ましい。
【0072】
紫外線吸収剤は太陽光の紫外線を吸収して塗膜の劣化を防止するために配合してもよい。具体例としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系、シュウ酸アニリド系などがあげられる。
【0073】
以下に種々の市販品(商品名)を例示するが、これらのみに限定されるものではなく、また組み合わせて使用してもよい。
【0074】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:
ユビナール3049、ユビナール3050(いずれもBASFジャパン(株)製);スミソーブ110、スミソーブ130、スミソーブ200(いずれも住友化学工業(株)製)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:
チヌビン900、チヌビンPS、チヌビン384、チヌビン109、チヌビン928、チヌビン1130(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製);スミソーブ250、スミソーブ300、スミソーブ320、スミソーブ340、スミソーブ350(いずれも住友化学工業(株)製);アデカスタブLA−32、アデカスタブLA−31(いずれも旭電化(株)製)
トリアジン系紫外線吸収剤:
チヌビン400、チヌビン405、チヌビン479(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
ベンゾエート系紫外線吸収剤:
スミソーブ400(住友化学工業(株)製)
シアノアクリレート系紫外線吸収剤:
ユビナール3055、ユビナール3039(BASFジャパン(株)製)
その他の紫外線吸収剤:
プロパンジオイック酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル
【0075】
紫外線吸収剤を適切に選択することにより、長期間の暴露においても黄変を効率よく抑えられる。
【0076】
この観点から、長波長側から吸収能をもつベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系が好ましく、紫外線吸収能力に特に優れているトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
【0077】
添加量は、硬化性フッ素樹脂(A)100質量部に対して、0〜50質量部、さらには0.5〜10質量部、特に1〜5質量部が好ましい。
【0078】
カップリング剤は透明樹脂層(基材)への密着性を向上させる効果がある。シラン系カップリング剤としては、たとえばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基を含有したシランカップリング剤があげられ、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、OCNCSi(OCHなどがあげられる。金属系カップリング剤としては、たとえばアルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤などがあげられ、具体的にはアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムエトキサイド、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、チタンキレートなどがあげられる。
【0079】
これらのうち、着色性、密着性の点からエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
【0080】
添加量は、硬化性フッ素樹脂(A)100質量部に対して、0〜30質量部、さらには0.1〜10質量部、特に1〜10質量部が好ましい。
【0081】
酸化防止剤としては、各種の酸化防止剤が利用できる。たとえば、ヒンダードアミン系、フェノール系、ホスファイト系、ビタミンE系酸化防止剤が例示できる。
【0082】
添加量は、硬化性フッ素樹脂(A)100質量部に対して、0〜20質量部、さらには0.5〜5質量部、特に1〜3質量部が好ましい。
【0083】
本発明の硬化性フッ素樹脂組成物は、ミキサー、ロールミルでの混合といった通常の混合方法で調製できる。また、硬化性フッ素樹脂の種類によっては、硬化性フッ素樹脂と硬化剤を塗装直前に混合する、いわゆる2液型の塗料組成物にしてもよい。
【0084】
かかる硬化性フッ素樹脂組成物は太陽電池の保護カバーを構成する透明樹脂層(基材)(II)に塗装される。
【0085】
透明樹脂層(基材)(II)を構成する透明樹脂としては、後述する方法で測定した光透過率が80%以上、さらには85%以上、特に90%以上である樹脂が好ましい。
【0086】
具体的には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ樹脂などがあげられる。これらのうち、強度、透明性が良好な点から、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリイミド、フッ素樹脂が、さらにはポリカーボネート、アクリル樹脂が、特にポリカーボートが好ましい。
【0087】
ポリカーボネートは、透明性に優れ、硬度などの機械的特性、汎用性、加工性の点でも良好であるが、耐擦傷性、耐候性などに劣ることが知られている。また、耐熱性の点でガラス転移点が150℃周辺で柔らかくなるため高温焼付けが必要な樹脂は適応できないが、本発明の塗料組成物に使用する硬化性フッ素樹脂は常温でも硬化可能であるから、ポリカーボネートへの適用に問題はない。
【0088】
なお、密着性や溶剤不浸透性に配慮が必要な場合、後述するようなプライマー層を形成してもよい。
【0089】
また、透明樹脂層(基材)(II)中に、トップコート層(III)において説明した各種の添加剤(ただし、表面特性を改質するような表面親水化剤やレベリング剤は除く)を添加してもよい。特に、遮熱剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加は有効である。その配合量は上記の範囲でよい。また、これらの添加剤は透明樹脂層(II)のみに添加してもよいし、トップコート層(III)と共に添加してもよい。さらに添加する添加剤の種類もトップコート層(III)と同じでも異なっていてもよい。
【0090】
トップコート層(III)である硬化性フッ素樹脂硬化物層の形成方法としては、(1)透明樹脂層(基材)(II)上に直接塗布し硬化させる方法;(2)透明樹脂層(基材)(II)上にプライマー層(IV)を設け、このプライマー層(IV)上に塗布し硬化させる方法などが採用できる。
【0091】
直接塗布法(1)では、本発明の硬化性含フッ素塗料組成物で使用する溶剤(C)は、透明樹脂層(基材)(II)の透明樹脂を侵さない溶剤のみ、または透明樹脂を侵さない溶剤を主溶剤とする混合溶剤とすることが必要である。そうした透明樹脂を侵さない溶剤は、透明樹脂の種類にもよるが、上記の弱溶剤の単独または混合溶剤が好適である。たとえば、透明樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂の場合は、非極性炭化水素系溶剤、特に第三種有機溶剤の1種または2種以上が好ましい。混合可能な他の溶剤としては弱溶剤以外の後述する溶剤があげられるが、その混合量は透明樹脂の透明性を損なわない程度の量にする。
【0092】
プライマー層(IV)を介する方法(2)では、プライマー層(IV)により透明樹脂への溶剤の浸透を防ぐことができるため、透明樹脂を多少侵す可能性のある溶剤、たとえば極性有機溶剤が硬化性含フッ素塗料組成物に含まれていてもよい。
【0093】
この場合のプライマーとしては、たとえばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが好適に使用できる。
【0094】
いずれの方法においても、塗布方法としてはディッピング、キャスト、ロールコート、カーテンフローコート、バーコート、スプレー、スピンコートなどの通常の方法が採用でき、硬化方法も常温乾燥、焼付け乾燥、UV硬化という方法が採用できる。硬化条件は硬化系によって異なり、従来公知の条件が採用できる。
【0095】
本発明はまた、太陽電池モジュール(I)と該モジュールの太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)と該透明樹脂層に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられているトップコート層(III)を含む太陽電池であって、該トップコート層(III)が、前記保護カバー用塗料組成物の硬化物層である太陽電池にも関する。
【0096】
さらには、透明樹脂層(II)と該透明樹脂層に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられているトップコート層(III)を含み、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設ける保護カバー用積層フィルムであって、該トップコート層(III)が、前記硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物層である太陽電池の保護カバー用積層フィルムにも関する。
【0097】
太陽電池モジュール(I)としては、太陽電池(セル)を封止剤やバックシートなどで封止した従来公知のモジュールが特に限定なく使用できる。
【0098】
透明樹脂層(基材)(II)は太陽電池に直接塗布形成してもよいし、あらかじめ含フッ素塗料硬化物のトップコート層(III)を積層した保護カバー用積層フィルムを作製し、この積層フィルムを太陽電池モジュール(I)に接着することにより形成してもよい。
【0099】
透明樹脂層(基材)(II)の厚さは、樹脂の種類や透明性などにより異なるが、通常50μm〜15mmの範囲であるのが好ましい。
【0100】
トップコート層(III)の厚さは、硬化性フッ素樹脂の種類や透明樹脂基材の種類などにより異なるが、通常1〜500μmの範囲であるのが好ましい。
【0101】
プライマー層(IV)を設ける場合、プライマー層の厚さは、プライマーの種類や透明樹脂基材の種類などにより異なるが、通常0.1〜100μmの範囲であるのが好ましい。
【0102】
つぎに本発明の好ましい実施形態を具体的に例示するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0103】
(実施形態1)
(II)透明樹脂:
ポリカーボネート
【0104】
(III)トップコート層:
つぎの硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物
【0105】
(A)硬化性フッ素樹脂:
前記(A1)の硬化性フッ素樹脂(特に、TFE/ビニルエステル/硬化部位(水酸基またはカルボキシル基)含有単量体の共重合体)
(B)硬化剤:
イソシアネート系
(C)溶剤:
第三種有機溶剤(特に、コールタールナフサ)
(D)添加剤:
親水化剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤
【0106】
(IV)プライマー層:
なし
【0107】
(実施形態2)
(II)透明樹脂: ポリエチレンテレフタレート
【0108】
(III)トップコート層:
つぎの硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物
【0109】
(A)硬化性フッ素樹脂:
前記(A1)の硬化性フッ素樹脂(特に、CTFE/ビニルエーテル/硬化部位(水酸基またはカルボキシル基)含有単量体の共重合体)
(B)硬化剤:
イソシアネート系
(C)溶剤:
第三種有機溶剤(特に、ミネラルスピリット)
(D)添加剤:
シランカップリング剤、紫外線吸収剤
【0110】
(IV)プライマー層:
なし
【0111】
(実施形態3)
(II)透明樹脂:
アクリル樹脂
【0112】
(III)トップコート層:
つぎの硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物
【0113】
(A)硬化性フッ素樹脂:
前記(A1)の硬化性フッ素樹脂(特に、TFE/ビニルエステル/硬化部位(水酸基またはカルボキシル基)含有単量体の共重合体と硬化性アクリル樹脂との混合物)
(B)硬化剤:
イソシアネート系
(C)溶剤:
第三種有機溶剤(特に、コールタールナフサ)
(D)添加剤:
紫外線吸収剤
【0114】
(IV)プライマー層:
なし
【0115】
(実施形態4)
(II)透明樹脂:
ポリカーボネート
【0116】
(III)トップコート層:
つぎの硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物
【0117】
(A)硬化性フッ素樹脂:
前記(A2)の硬化性フッ素樹脂(TFE/炭化水素系単量体/ビニルエステル/硬化部位(水酸基またはカルボキシル基)含有単量体の共重合体に代表される酢酸ブチルに溶解する硬化性フッ素樹脂)
(B)硬化剤:
イソシアネート系
(C)溶剤:
酢酸ブチル
(D)添加剤:
紫外線吸収剤、親水化剤
【0118】
(IV)プライマー層:
あり(非硬化性アクリル樹脂)
【0119】
(実施形態5)
(II)透明樹脂:
ポリカーボネート
【0120】
(III)トップコート層:
つぎの硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物
【0121】
(A)硬化性フッ素樹脂:
前記(A2)の硬化性フッ素樹脂(TFE/炭化水素系単量体/ビニルエステル/硬化部位(水酸基またはカルボキシル基)含有単量体の共重合体に代表される酢酸ブチルに溶解する硬化性フッ素樹脂)
(B)硬化剤:
イソシアネート系
(C)溶剤:
酢酸ブチル
(D)添加剤:
紫外線吸収剤、親水化剤
【0122】
(IV)プライマー層:
あり(UV硬化性アクリル樹脂)
【0123】
本発明の塗料用組成物は太陽電池の保護カバーに最適であるが、太陽電池の保護カバーと同様の使用環境にある物品に適用しても、本発明と同様の効果が得られる。そうした他の物品としては、たとえば建物、自動車、列車、飛行機などの窓や採光部;建物や駐車場の屋根;道路の防音壁や風防;自動車や自動二輪などのライトカバー;各種照明保護カバーなどが例示できる。
【実施例】
【0124】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0125】
本明細書で使用した測定法はつぎのとおりである。
【0126】
(NMR分析)
NMR測定装置:BRUKER社製
H−NMR測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
【0127】
(元素分析)
測定装置:ジェイサイエンス(株)製のCHN CORDERとオリオリサーチ(株)製のイオナライザー901
【0128】
(水酸基価および酸価)
NMRおよび元素分析法で求めた組成より計算した。
【0129】
(数平均分子量)
測定装置:東ソー(株)製のGPC(型式HLC−8020)
測定条件:カラムとしてTSKgel:GMHXLを3本、G2500HXLを1本、GRCXL−Lを1本使用する。溶離液としてはテトラヒドロフランを使用し、分子量の標準サンプルとしては分子量既知のポリスチレンを使用する。
【0130】
(ガラス転移温度Tg)
ASTM E1356−98に従い、パーキンエルマー製のDSC測定装置7シリーズを使用し、2nd runにおいて中点法によりTgを決定する。
測定条件
昇温速度:10℃/min
試料量:10mg
ヒートサイクル:25℃〜150℃、昇温、冷却、昇温
【0131】
(溶解性試験)
「有機溶剤に可溶」とは、ある有機溶剤100gに温度20±5℃で10g以上溶解する(溶液が透明となる)ことをいう。塗料用組成物の調製や塗工が容易な点から、有機溶剤100gに100g以上溶解することが好ましい。
【0132】
(光透過率・ヘイズ値測定)
(株)東洋精機製作所製のヘイズガードIIを使用し、ASTM D1003に基づいて測定する。
【0133】
製造例1(硬化性含フッ素共重合体の製造)
容量6000mlのステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル2500質量部、ベオバ9(以下、「VV9」という)554.5質量部、安息香酸ビニル(VBz)69.1質量部、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)83.5質量部を仕込み、5℃に冷却したのち減圧窒素置換の操作を3回繰り返した。最後に再度減圧してテトラフルオロエチレン(TFE)280.0質量部を仕込んだ。撹拌下に62.0℃まで昇温し、パーブチルPV(商品名。日本油脂(株)製の過酸化物系重合開始剤)28.38質量部を仕込み重合を開始した。反応器内圧が1.0MPaGから0.4MPaGへ低下した時点で反応を停止した。重合収率は98.0%であった。得られた含フッ素共重合体を19F−NMR、H−NMRおよび元素分析法で分析したところ、TFEが37モル%、VV9が45.2モル%、VBzが7.0モル%およびHBVEが10.8モル%からなる含フッ素共重合体(1−1)であり、数平均分子量Mnは9.0×1000であった。また、ガラス転移温度Tgは30℃であった。溶剤(コールタールナフサおよびミネラルスピリット)への溶解性は「可溶」であった。
【0134】
さらに表1に示す単量体を使用したほかは同様にして水酸基含有含フッ素共重合体(1−2)を製造した。得られた共重合体の組成、数平均分子量Mn、水酸基価および溶剤(コールタールナフサおよびミネラルスピリット)溶解性を表1に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
実施例1
硬化性含フッ素共重合体(1−1)100質量部をコールタールナフサ100質量部に溶解させて固形分50質量%の溶液とした。この溶液200質量部に、デュラネートTSA−100(商品名。旭化成(株)製のイソシアネート系硬化剤)を15.3質量部、ユピナール3039(商品名。BASF社製の紫外線吸収剤)を4.0質量部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを10.0質量部、および追加溶剤としてコールタールナフサを50質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0137】
実施例2
硬化性含フッ素共重合体(1−2)100質量部をミネラルスピリット100質量部に溶解させて固形分50質量%の溶液とした。この溶液200質量部に、デュラネートTSA−100を12.4質量部、ユピナール3039を4.0質量部、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを10.0質量部、および追加溶剤としてミネラルスピリットを50質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0138】
実施例3
硬化性含フッ素共重合体(1−1)100質量部をコールタールナフサ100質量部に溶解させて固形分50質量%の溶液とした。この溶液200質量部に、デュラネートTSA−100を15.3質量部、ユピナール3039を4.0質量部、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを10.0質量部、ゼッフルGH700(商品名。ダイキン工業(株)製の親水化剤。フッ素含有アルキルシリケート)を5質量部および追加溶剤としてコールタールナフサを50質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0139】
実施例4
硬化性含フッ素共重合体(1−1)50質量部とアクリル樹脂(メチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒロドキシエチルメタクリレート共重合体50質量部をコールタールナフサ100質量部に溶解させて固形分50質量%の透明な溶液とした。
【0140】
この溶液200質量部に、デュラネートTSA−100を15.3質量部、ユピナール3039を4.0質量部、ゼッフルGH700を5質量部および追加溶剤としてコールタールナフサを50質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0141】
実施例5
硬化性含フッ素共重合体(1−1)100質量部をコールタールナフサ100質量部に溶解させて固形分50質量%の溶液とした。この溶液200質量部に、デュラネートTSA−100を15.3質量部、ユピナール3039を4.0質量部、ゼッフルGH700を5.0質量部、および追加溶剤としてコールタールナフサを50質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0142】
実施例6
TFE系硬化性フッ素樹脂溶液(ダイキン工業(株)製のゼッフルGK510(商品名)。固形分50質量%、溶剤:酢酸ブチル、水酸基価60mgKOH/g、酸価9mgKOH/g。硬化性含フッ素共重合体1−3)200質量部に、スミジュールN3300(商品名。住化バイエルウレタン(株)製のイソシアネート系硬化剤)を21.0質量部、ユピナール3039を4.0質量部および追加溶剤として酢酸ブチルを50質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0143】
実施例7
TFE系硬化性フッ素樹脂溶液(ダイキン工業(株)製のゼッフルGK570(商品名)。固形分65質量%、溶剤:酢酸ブチル、水酸基価60mgKOH/g、酸価3mgKOH/g。硬化性含フッ素共重合体1−4)154質量部に、スミジュールN3300を20.6質量部、ユピナール3039を4.0質量部、ゼッフルGH700を5.0質量部、および追加溶剤として酢酸ブチルを96質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0144】
実施例8
VdF系非硬化性フッ素樹脂(ダイキン工業(株)製のゼッフルLC700(商品名)。VdF/TFE/CTFE共重合体。硬化性含フッ素共重合体1−5)60質量部とアクリル樹脂(メチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒロドキシエチルメタクリレート共重合体40質量部をコールタールナフサ100質量部に溶解させて固形分50質量%の透明な溶液とした。
【0145】
この溶液100質量部に、スミジュールN3300を5.8質量部、ユピナール3039を4.0質量部、ゼッフルGH700を5.0質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0146】
実施例9〜12および比較例1
ポリカーボネートフィルム(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製のユーピロンフィルムFE−2000(商品名)。厚さ100μm)の表面を脱脂したのち、実施例1〜5でそれぞれ調製した塗料組成物をエアスプレーで乾燥膜厚が50μmとなるように塗装した。ついで、80℃にて20分間加熱し、乾燥硬化させて保護カバー用積層フィルムを作製した。
【0147】
作製した保護カバー用積層フィルムについて、試験前の光線透過率、ヘイズ値および外観、ならびに促進耐候性試験後の光線透過率、ヘイズ値および外観、耐湿試験後の光線透過率およびヘイズ値、密着性、実曝露汚れ性、耐溶剤性について調べた。結果を表2に示す。表2において、比較例1は本発明のトップコート層を有しないポリカーボネートフィルムである。
【0148】
(外観)
目視で評価する。
【0149】
(促進耐候性試験)
スーパーUVテスターW13型(商品名。岩崎電気(株)製の耐候性試験機)を用いて促進耐候試験を200時間行う。試験条件は照射11時間(照度:100mW/cm、ブラックパネル温度:63℃、相対湿度:70%)、結露11時間(照度:0mW/cm、ブラックパネル温度:室温、相対湿度:100%)、休止1時間(照度:0mW/cm、ブラックパネル温度:63℃、相対湿度:85%)である。
【0150】
(耐湿試験)
雰囲気温度80℃で湿度85%の恒温恒湿器LH−20−01La((株)ナガノ科学機械製作所)内に試験板を吊り下げ1000時間試験を行ない、試験前後に光透過率、ヘイズ値を測定する。
【0151】
(密着性)
JIS K5400に準じて碁盤目試験を行う。
【0152】
(実曝露汚れ性)
大阪の工場地帯の4階建ての屋社の屋上で南に向かい、水平より30°の傾斜の曝露台に試験板を取り付け曝露試験を行う。1ヵ月間曝露し、試験板の色差の明度(L値)を測定し、試験前後の差(−△L)で評価する。
【0153】
(耐溶剤性)
酢酸ブチルを含ませた綿布で塗膜を100回ラビングしたのちの塗膜表面の状態を目視によりつぎの基準で判定する。
A:異常がない。
B:多少つやびけがある。
C:塗膜が溶解したり膨潤したり顕著なつやびけがある。
【0154】
実施例13
ポリカーボネートフィルムに代えて、透明樹脂基材としてアクリル板(日本テストパネル(株)製のアクリル板。厚さ1mm)を用い、塗料組成物として実施例5の組成物を用いたほかは実施例9と同様にトップコート層を形成し、保護カバー用積層フィルムを作製した。
【0155】
作製した保護カバー用積層フィルムについて、実施例9と同様の物性を調べた。結果を表2に示す。
【0156】
【表2】

【0157】
実施例14〜16および比較例2
ポリカーボネートフィルム(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製のユーピロンフィルムFE−2000(商品名)。厚さ100μm)の表面を脱脂したのち、アクリル樹脂系プライマー((メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸共重合体。数平均分子量4万、Tg=45℃、酸価:12mgKOH/g)20質量部のイソプロパノール56質量部およびn−酢酸プロピル24質量部の混合溶剤溶液)をバーコーター(安田精機(株)製)#18により乾燥膜厚が5μmとなるように塗布し、80℃にて20分間加熱してプライマー層を形成した。
【0158】
このプライマー層上に実施例6〜8でそれぞれ調製した塗料組成物をエアスプレーで乾燥膜厚が50μmとなるように塗装した。ついで、80℃にて20分間加熱し、乾燥硬化させて保護カバー用積層フィルムを作製した。
【0159】
作製した保護カバー用積層フィルムについて、実施例9と同様の物性を調べた。結果を表3に示す。表3において、比較例2は、実施例6の塗料組成物をプライマー層を設けずに直接ポリカーボネートフィルムに塗装した積層フィルムである。
【0160】
【表3】

【0161】
実施例17
TFE系硬化性フッ素樹脂溶液(ダイキン工業(株)製のゼッフルGK570(商品名)。硬化性含フッ素共重合体1−4)154質量部に、スミジュールN3300を20.6質量部、チヌビン479(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のトリアジン系紫外線吸収剤)を2.0質量部、チヌビン400(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のトリアジン系紫外線吸収剤)を2.0質量部、および追加溶剤として酢酸ブチルを96質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0162】
実施例18
TFE系硬化性フッ素樹脂溶液(ダイキン工業(株)製のゼッフルGK570(商品名)。硬化性含フッ素共重合体1−4)154質量部に、スミジュールN3300を20.6質量部、チヌビン479を2.0質量部、チヌビン400を2.0質量部、ゼッフルGH700を5.0質量部、および追加溶剤として酢酸ブチルを96質量部加えてよく混合して塗料用組成物とした。
【0163】
実施例19〜20
ポリカーボネートフィルム(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製のユーピロンフィルムFE−2000(商品名)。厚さ100μm)の表面を脱脂したのち、アクリル樹脂系プライマー(メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸共重合体。数平均分子量4万、Tg=45℃、酸価:12mgKOH/g)20質量部のイソプロパノール56質量部およびn−酢酸プロピル24質量部の混合溶剤溶液)をバーコーター(安田精機(株)製)#18により乾燥膜厚が5μmとなるように塗布し、80℃にて20分間加熱してプライマー層を形成した。
【0164】
このプライマー層上に実施例17〜18でそれぞれ調製した塗料組成物をエアスプレーで乾燥膜厚が50μmとなるように塗装した。ついで、80℃にて20分間加熱し、乾燥硬化させて保護カバー用積層フィルムを作製した。
【0165】
作製した保護カバー用積層フィルムについて、実施例9と同様の物性を調べた。さらに、促進耐候性試験を500時間行って、その外観の変化を調べた。結果を表4に示す。
【0166】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明によれば、太陽電池の保護カバーとしての透明性を損なわず、室温加工性、耐溶剤性、耐候性、耐久性をもった太陽電池の保護カバーおよびそれを形成し得る硬化性フッ素塗料組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)硬化性フッ素樹脂と(B)硬化剤と(C)溶剤を含む硬化性含フッ素塗料組成物であって、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられるフッ素樹脂硬化物のトップコート層(III)の形成に用いる太陽電池の保護カバー用塗料組成物。
【請求項2】
前記硬化性フッ素樹脂(A)が、第三種有機溶剤に可溶な硬化性フッ素樹脂(A1)である請求の範囲第1項記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項3】
前記硬化性フッ素樹脂(A1)が、水酸基価が5mgKOH/gを超え、かつ水酸基価と酸価の合計が30mgKOH/gを超える水酸基含有含フッ素共重合体である請求の範囲第2項記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項4】
前記溶剤(C)が非極性炭化水素系有機溶剤である請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項5】
前記硬化剤(B)が、イソシアネート系硬化剤またはアミノ樹脂系硬化剤である請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項6】
前記フッ素樹脂硬化物のトップコート層(III)が、透明樹脂層(II)に直接設けられている請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項7】
前記透明樹脂層(II)の光線透過率が80%以上である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項8】
前記透明樹脂層(II)が、ポリカーボネート層、ポリエチレンテレフタレート層またはアクリル樹脂層である請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の保護カバー用塗料組成物。
【請求項9】
太陽電池モジュール(I)と該モジュールの太陽光照射面側に設けられている透明樹脂層(II)と該透明樹脂層に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられているトップコート層(III)を含む太陽電池であって、該トップコート層(III)が、請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の保護カバー用塗料組成物の硬化物層である太陽電池。
【請求項10】
透明樹脂層(II)と該透明樹脂層に直接またはプライマー層(IV)を介して設けられているトップコート層(III)を含み、太陽電池モジュール(I)の太陽光照射面側に設ける保護カバー用積層フィルムであって、該トップコート層(III)が、請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の硬化性含フッ素塗料組成物の硬化物層である太陽電池の保護カバー用積層フィルム。

【公開番号】特開2012−251162(P2012−251162A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186814(P2012−186814)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2007−547889(P2007−547889)の分割
【原出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】