説明

太陽電池の検査装置、太陽電池の検査方法、プログラム、太陽電池の検査システム

【課題】太陽電池セルの欠陥の位置及びその種類をユーザが容易に把握することが可能な太陽電池の検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池の検査装置は、通電された状態の太陽電池セルを表すセル画像を取得する画像取得部15と、太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、セル画像内で特定する欠陥特定部16と、セル画像内の特定された部分を、欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御部19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の検査装置、太陽電池の検査方法、プログラム、太陽電池の検査システムに関し、特に、太陽電池セルの欠陥の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽電池は、一般に、シリコン等の半導体で構成される。こうした太陽電池は、通電によって発光することが知られており、特許文献1には、通電時の太陽電池セルの全体的な光量に基づいて、当該太陽電池セルの良否判定を行う技術が開示されている。
【特許文献1】WO/2006/059615
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、太陽電池セルには種々の欠陥が存在し、その種類によって光電変換特性の劣化に対する影響が異なることから、太陽電池セルの欠陥の位置及びその種類をユーザが把握できるようにすることが求められる。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、太陽電池セルの欠陥の位置及びその種類をユーザが容易に把握することが可能な、太陽電池の検査装置、太陽電池の検査方法、プログラム、太陽電池の検査システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の太陽電池の検査装置は、通電された状態の1または複数の太陽電池セルを表すセル画像を取得する画像取得手段と、前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定する欠陥特定手段と、前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の太陽電池の検査方法は、通電された状態の1または複数の太陽電池セルを表すセル画像を取得し、前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定し、前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のプログラムは、通電された状態の1または複数の太陽電池セルを表すセル画像を取得する画像取得手段、前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定する欠陥特定手段、及び前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。コンピュータは、例えばパーソナルコンピュータ等である。また、プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてよい。
【0008】
更に、本発明の太陽電池の検査システムは、通電された状態の1または複数の太陽電池セルを撮像し、前記太陽電池セルを表すセル画像を生成する撮像部と、前記セル画像を取得する画像取得手段と、前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定する欠陥特定手段と、前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御手段と、前記表示制御手段からの表示指令に従って、前記特定された部分の表示態様が変更された前記セル画像を表示する表示部と、を備える。
【0009】
本発明によれば、セル画像内の欠陥として特定された部分が、欠陥の種類に応じた表示態様に変更されるので、太陽電池セルの欠陥の位置及びその種類をユーザが容易に把握することができる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記欠陥特定手段は、前記セル画像を構成する各画素の明度に基づいて、前記部分を特定する。太陽電池セルの欠陥では光量が低下することから、このように明度に基づくことで、太陽電池セルの欠陥を特定しやすい。
【0011】
また、この態様では、前記欠陥特定手段は、所定以下の明度の画素が線状に連続する長さに基づいて、前記太陽電池セルのひびを表す部分を特定してもよい。
【0012】
また、この態様では、前記欠陥特定手段は、所定以下の明度の画素が集合する面積に基づいて、前記太陽電池セルの暗領域を表す部分を特定してもよい。
【0013】
また、この態様では、前記欠陥特定手段は、所定以下の明度の画素が連続する方向および形状に基づいて、前記太陽電池セルの電極の断線を表す部分を特定してもよい。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた色彩に変更する。これによれば、太陽電池セルの欠陥の種類をユーザがより容易に識別できる。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記特定された部分に、前記欠陥の種類に応じた画像を合成して、表示用画像を生成する。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記セル画像内で特定された前記部分の数に基づいて、前記太陽電池セル毎の品質を判定する品質判定手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記太陽電池セルに対応する部分を、該太陽電池セルの品質に応じた表示態様に変更する。これによれば、太陽電池セルの品質をユーザが把握できる。
【0017】
また、この態様では、前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記太陽電池セルを囲む枠部分を、該太陽電池セルの品質に応じた表示態様に変更してもよい。これによれば、どの太陽電池セルの品質が表されているかをユーザが容易に把握できる。
【0018】
また、この態様では、前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記太陽電池セルに対応する部分を、該太陽電池セルの品質に応じた色彩に変更してもよい。これによれば、太陽電池セルの品質をユーザがより容易に識別できる。
【0019】
また、本発明の一態様では、ユーザによる操作入力を受け付ける操作受付手段を更に備え、前記表示制御手段は、前記操作入力に応じて前記セル画像内で選択された前記太陽電池セルが拡大された拡大表示画像を生成する。これによれば、ユーザは所望の太陽電池セルを拡大して確認できる。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記表示制御手段は、配列した前記複数の太陽電池セルの各部を表す複数の前記セル画像を、該複数の太陽電池セルの配列位置に基づき結合して、表示用画像を生成する。これによれば、ユーザは、表示用画像から実際の複数の太陽電池セルの位置関係を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池の検査システム1の構成例を表すブロック図である。この太陽電池の検査システム1では、システム全体の制御を司る制御部10(太陽電池の検査装置)に、通電部3、位置決め部4、撮像部5、操作部8及び表示部9が接続されている。
【0023】
通電部3は、制御部10からの指令に応じて、検査対象としての太陽電池パネルに通電する。この通電部3は、不図示のプローブにより太陽電池パネルの端子に電圧を印加し、太陽電池パネルに含まれる各太陽電池セルに順方向電流を供給する。
【0024】
撮像部5は、CCDカメラ等で構成され、制御部10からの指令に応じて、通電された状態の太陽電池パネルを撮像する。位置決め部4は、制御部10からの指令に応じて、この撮像部5を所定の撮像位置に移動させ、位置決めする。
【0025】
具体的には、撮像部5は、位置決め部4により移動され、太陽電池パネルに含まれる各太陽電池セルを順次撮像していく。また、これにより得られる、太陽電池セルを表すセル画像のデータは、制御部10に順次入力される。
【0026】
なお、こうした太陽電池パネルの撮像は、暗室内で行われる。また、太陽電池セルのEL(エレクトロルミネッセンス)光は微弱であるので、撮像部5としては比較的感度の高いカメラが好適である。
【0027】
ここで、検査対象としての太陽電池パネルについて説明する。図2Aは、太陽電池パネル2を表す模式図である。また、図2Bは、太陽電池パネル2に含まれる太陽電池セル21を表す模式図である。
【0028】
図2Aに示されるように、太陽電池パネル2では、シリコン等の半導体で構成される矩形薄板状の太陽電池セル21が2次元的に配列しており、これら太陽電池セル21がリード線23によって直列的に接続されている。これら太陽電池セル21は、受光面側がガラス板とされた積層体25の内部に配置される。この積層体25は、ガラス板上に、充填材、太陽電池セル21、充填材および裏面部材をこの順に積層した積層構造を有する。なお、太陽電池セル21の配列および枚数は、同図の態様に限られない。また、太陽電池パネル2は、薄膜式の太陽電池パネルであってもよい。
【0029】
図2Bに示されるように、太陽電池セル21の受光面27には、電力を外部に取り出すための電極として、一対のバスバー28と、これらに電力を集める多数のフィンガー29と、が形成されている。太陽電池セル21の長辺に沿った方向を長手方向、短辺に沿った方向を短手方向としたとき、バスバー28は、短手方向に延びる帯状に構成され、長手方向に離れて位置する。これらバスバー28には、上記リード線23が接続される。また、フィンガー29は、長手方向に延びる細線状に構成され、短手方向に並列する。なお、バスバー28及びフィンガー29の配置は、同図の態様に限られない。
【0030】
図1の説明に戻り、制御部10は、CPU(中央演算装置)及びその作業領域であるRAM等を含んだコンピュータとして構成されている。また、制御部10は、CPUの動作に必要なプログラム及びデータを記憶する記憶部を含んでいる。また、操作部8は、キーボードやマウス等で構成され、ユーザの操作に基づく操作入力を制御部10に送る。表示部9は、液晶ディスプレイ等で構成され、制御部10からの表示指令に応じた画像を表示する。
【0031】
図3は、制御部10の機能構成例を表すブロック図である。図4は、この制御部10において実現される太陽電池の検査方法を表すフローチャートである。制御部10は、CPUが記憶部に格納されたプログラムを実行することにより、通電制御部13、位置制御部14、画像取得部15、欠陥特定部16、品質判定部17、操作受付部18及び表示制御部19を機能的に有する。
【0032】
通電制御部13は、通電部3を制御して、太陽電池パネル2に含まれる太陽電池セル21への通電を実行する。これにより、各太陽電池セル21はEL光を発する。ここで、電圧値、電流値及び通電時間などの通電条件のデータは、制御部10の記憶部に格納されている。
【0033】
位置制御部14は、位置決め部4を制御して、撮像部5の位置制御を実行する。具体的には、位置制御部14は、各太陽電池セル21を撮像可能な各撮像位置に、撮像部5を順次移動させていく。こうした撮像位置は、太陽電池セル21の寸法や数、配列間隔などにより定められ、制御部10の記憶部にデータとして格納されている。
【0034】
また、位置制御部14は、撮像部5が太陽電池セル21を撮像した撮像位置の情報を、表示制御部19に出力する。この撮像位置の情報は、後述するように、表示用画像の結合に供される。
【0035】
画像取得部15は、通電された状態の太陽電池セル21を表すセル画像のデータを、撮像部5から取得する(S1)。そして、画像取得部15は、取得したセル画像のデータを、欠陥特定部16及び表示制御部19に出力する。
【0036】
図5は、セル画像30の例を表す図である。太陽電池セル21が通電によりEL光を発することから、セル画像30には、太陽電池セル21の欠陥が比較的明度の低い暗部となって現れる。こうした太陽電池セル21の欠陥を表す部分は、ひび部32、暗領域部34及び断線部36に大別することができる。
【0037】
ひび部32は、太陽電池セル21に生じたひびを表す部分であり、セル画像30内に線状の暗部として現れる。こうしたひびは、バスバー28にリード線23を半田付けする際の熱や、加工時や輸送時の荷重や衝撃に起因して生じる。
【0038】
暗領域部34は、太陽電池セル21の発光が比較的弱い暗領域を表す部分であり、セル画像30内に一定以上の面積を持った暗部として現れる。こうした暗領域は、太陽電池セル21を構成する半導体の一部が分離することにより生じる。
【0039】
断線部36は、太陽電池セル21のフィンガー29の断線を表す部分であり、セル画像30内にフィンガー29の方向に沿った長方形状の暗部として現れる。
【0040】
図3及び図4の説明に戻り、欠陥特定部16は、こうしたセル画像30を画像解析し、セル画像30を構成する各画素の明度に基づいて、太陽電池セル21の欠陥の位置およびその種類を特定する。
【0041】
具体的には、欠陥特定部16は、まず、セル画像30の下処理を行う(S2)。セル画像30の下処理としては、例えば、太陽電池セル21のEL光の明度を規格化するスケーリング処理、太陽電池セル21の領域を抽出するセル領域抽出処理、太陽電池セル21のバスバー28部分を除くバスバー除外処理、及び撮像部5のレンズに起因する明度差を補正するシェーディング処理などがある。
【0042】
次に、欠陥特定部16は、セル画像30を構成する各画素を、明画素と暗画素とに2値化する(S3)。この2値化は、予め定められた明度の閾値に基づいて行われる。これに限らず、例えば、セル画像30を複数の区画に分割し、これらのうち、明度の異なる画素が混在する区画について明度の平均を求め、この明度の平均を2値化の閾値としてもよい。
【0043】
次に、欠陥特定部16は、セル画像30内でひび部32、暗領域部34及び断線部36を特定する(S4〜S6)。
【0044】
このうち、ひび部32を特定する際には、欠陥特定部16は、セル画像30内において暗画素が線状に所定の長さ以上連続することを条件として、この条件を満たす部分をひび部32として特定する。また、暗画素が折線状に連続している場合には、直線状の各部分の長さを合算した上で、所定の長さを超えるか否かが判断される。また、太陽電池セル21に生じるひびは、通常、直線状の部分が鈍角で結合された折線状であるので、結合角が鈍角であることを条件に加えてもよい。これにより、太陽電池セル21の結晶の模様などが、ひび部32と誤判定されてしまうことを抑制できる。さらに、バスバー28にリード線23を半田付けする際の熱によって、バスバー28の周囲には比較的短いひびが生じることから、長さの閾値をバスバー28からの距離に応じて変化させるようにしてもよい。
【0045】
また、暗領域部34を特定する際には、欠陥特定部16は、セル画像30内において暗画素が集合する面積が所定の面積を超えることを条件として、この条件を満たす部分を暗領域部34として特定する。
【0046】
また、断線部36を特定する際には、欠陥特定部16は、セル画像30内において暗画素がフィンガー29の方向に沿って長方形状に連続することを条件として、この条件を満たす部分を断線部36として特定する。
【0047】
その後、欠陥特定部16は、セル画像30内で特定したひび部32、暗領域部34及び断線部36の位置や数などに関する情報を、品質判定部17及び表示制御部19に出力する。
【0048】
品質判定部17は、セル画像30内で特定されたひび部32、暗領域部34及び断線部36の数に基づいて、セル画像30に表された太陽電池セル21の品質を判定し、階級分けを行う(S7)。この品質の階級に関する情報は、表示制御部19に出力される。ここで、品質の判定には、ひび部32、暗領域部34及び断線部36の数の単純な合計を用いてもよいし、これらの種類に応じた重み付け和を用いてもよいし、これらの大きさに応じた重み付け和を用いてもよい。なお、セル画像30が複数の太陽電池セル21を表す場合には、各太陽電池セル21について品質を判定する。
【0049】
表示制御部19は、セル画像30内で特定されたひび部32、暗領域部34及び断線部36を識別表示した表示用画像を生成し(S8)、この表示用画像を表示部9に表示させる表示制御を行う(S9)。図6は、表示用画像40の例を表す図である。表示制御部19は、セル画像30のうち、ひび部32、暗領域部34及び断線部36の位置に、これらに対応するひび識別画像42、暗領域識別画像44及び断線識別画像46を合成することで、表示用画像40を生成する。
【0050】
ひび識別画像42、暗領域識別画像44及び断線識別画像46は、セル画像30内のひび部32、暗領域部34及び断線部36を識別するための画像であり、互いに異なった表示態様とされる。本実施形態では、ひび識別画像42、暗領域識別画像44及び断線識別画像46は、互いに異なった色彩とされる。ここで、ひび識別画像42は、ひび部32に対応した線状に形成され、ひび部32上に重ねられる。また、暗領域識別画像44は、暗領域部34の外形線に対応する閉じた線状に形成され、暗領域部34の外形線上に重ねられる。これに限らず、暗領域部34の形状に対応する面状の暗領域識別画像44を、暗領域部34上に重ねるようにしてもよい。また、断線識別画像46は、断線部36の外形線に対応する閉じた線状に形成され、断線部36の外形線上に重ねられる。これに限らず、断線部36の形状に対応する面状の断線識別画像46を、断線部36上に重ねるようにしてもよい。
【0051】
また、表示制御部19は、このようにして順次得られる表示用画像40を、位置制御部14から得られる撮像部5の撮像位置に基づいて配列および結合することで、結合表示用画像を生成し、この結合表示用画像を表示部9に表示させる。ここで、撮像部5の撮像位置は、太陽電池パネル2における太陽電池セル21の配置位置に対応することから、結合表示用画像には、各太陽電池セル21の配置位置が反映される。
【0052】
図7は、表示部9の表示例を表す図である。表示部9の画面に表示される表示ウィンドウ90には、第1の画像表示枠95が設けられ、この中には、複数の表示用画像40が結合された結合表示用画像50が表示される。
【0053】
また、表示制御部19は、品質判定部17からの情報に基づいて、各太陽電池セル21の品質の階級を識別表示する。具体的には、表示制御部19は、結合表示用画像50に含まれる各表示用画像40の位置に、太陽電池セル21の品質の階級に応じた品質識別画像61,63を合成する。これら品質識別画像61,63は、太陽電池セル21の品質の階級を識別するための画像であり、表示用画像40を囲む枠状に構成されるとともに、互いに異なった表示態様とされる。本実施形態では、品質識別画像61,63は、互いに異なった色彩とされる。ここで、品質識別画像61,63は、太陽電池セル21の品質が比較的劣るものに対して付加される。
【0054】
また、表示制御部19は、表示ウィンドウ90の第1の画像表示枠95内に表示される結合表示用画像50上で、操作受付部18が受け付けた操作入力に応じて移動するカーソル71を表示する。このカーソル71は、表示用画像40の単位で移動する。さらに、表示制御部19は、このカーソル71に選択された表示用画像40が拡大された拡大表示用画像80を、表示ウィンドウ90の第2の画像表示枠98内に表示する。また、この拡大表示用画像80とともに、これと関連する情報、例えば、欠陥の種類ごとの数、品質の階級、製造番号などの情報を周囲に表示するようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【0056】
例えば、上記太陽電池の検査システム1から位置決め部4を省略し、太陽電池パネル2に含まれる複数の太陽電池セル21をまとめて撮像可能な撮像位置に撮像部5を配置して、複数の太陽電池セル21を表すセル画像を得るようにしてもよい。なお、この場合であっても、上述の下処理(S2)で各太陽電池セル21の領域を抽出するので、太陽電池セル21毎の品質判定が可能である。さらに、各太陽電池セル21の領域を抽出した画像を結合して、結合表示用画像50を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池の検査システムの構成例を表すブロック図である。
【図2A】太陽電池パネルを表す模式図である。
【図2B】太陽電池セルを表す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る太陽電池の検査装置の機能構成例を表すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る太陽電池の検査方法を表すフローチャートである。
【図5】セル画像の例を表す図である。
【図6】表示用画像の例を表す図である。
【図7】表示部の表示例を表す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 太陽電池の検査システム、2 太陽電池パネル、3 通電部、4 位置決め部、5 撮像部、8 操作部、9 表示部、10 太陽電池の検査装置(制御部)、13 通電制御部、14 位置制御部、15 画像取得部、16 欠陥特定部、17 品質判定部、18 操作受付部、19 表示制御部、21 太陽電池セル、23 リード線、25 積層体、27 受光面、28 バスバー、29 フィンガー、30 セル画像、32 ひび部、34 暗領域部、36 断線部、40 表示用画像、42 ひび識別画像、44 暗領域識別画像、46 断線識別画像、50 結合表示用画像、61 品質識別画像、63 品質識別画像、71 カーソル、80 拡大表示用画像、90 表示ウィンドウ、95 第1の画像表示枠、98 第2の画像表示枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電された状態の1または複数の太陽電池セルを表すセル画像を取得する画像取得手段と、
前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定する欠陥特定手段と、
前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御手段と、
を備える太陽電池の検査装置。
【請求項2】
前記欠陥特定手段は、前記セル画像を構成する各画素の明度に基づいて、前記部分を特定する、
請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項3】
前記欠陥特定手段は、所定以下の明度の画素が線状に連続する長さに基づいて、前記太陽電池セルのひびを表す部分を特定する、
請求項2に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項4】
前記欠陥特定手段は、所定以下の明度の画素が集合する面積に基づいて、前記太陽電池セルの暗領域を表す部分を特定する、
請求項2に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項5】
前記欠陥特定手段は、所定以下の明度の画素が連続する方向および形状に基づいて、前記太陽電池セルの電極の断線を表す部分を特定する、
請求項2に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた色彩に変更する、
請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記特定された部分に、前記欠陥の種類に応じた画像を合成して、表示用画像を生成する、
請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項8】
前記セル画像内で特定された前記部分の数に基づいて、前記太陽電池セル毎の品質を判定する品質判定手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記太陽電池セルに対応する部分を、該太陽電池セルの品質に応じた表示態様に変更する、
請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記太陽電池セルを囲む枠部分を、該太陽電池セルの品質に応じた表示態様に変更する、
請求項8に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記セル画像内の前記太陽電池セルに対応する部分を、該太陽電池セルの品質に応じた色彩に変更する、
請求項8に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項11】
ユーザによる操作入力を受け付ける操作受付手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記操作入力に応じて前記セル画像内で選択された前記太陽電池セルが拡大された拡大表示画像を生成する、
請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項12】
前記表示制御手段は、配列した前記複数の太陽電池セルの各部を表す複数の前記セル画像を、該複数の太陽電池セルの配列位置に基づき結合して、表示用画像を生成する、
請求項1に記載の太陽電池の検査装置。
【請求項13】
通電された状態の1または複数の太陽電池セルを表すセル画像を取得し、
前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定し、
前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する、
太陽電池の検査方法。
【請求項14】
通電された状態の1または複数の太陽電池セルを表すセル画像を取得する画像取得手段、
前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定する欠陥特定手段、及び
前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
通電された状態の1または複数の太陽電池セルを撮像し、前記太陽電池セルを表すセル画像を生成する撮像部と、
前記セル画像を取得する画像取得手段と、
前記太陽電池セルの欠陥の種類に応じて定められた各条件を満たす部分を、前記セル画像内で特定する欠陥特定手段と、
前記セル画像内の前記特定された部分を、前記欠陥の種類に応じた表示態様に変更する表示制御手段と、
前記表示制御手段からの表示指令に従って、前記特定された部分の表示態様が変更された前記セル画像を表示する表示部と、
を備える太陽電池の検査システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−54365(P2010−54365A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220154(P2008−220154)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】