説明

太陽電池の検査装置用搬送装置

【課題】 太陽電池に順方向の電流を流してEL発光させる検査装置であって、ラミネート処理前の被測定物である太陽電池の構成部材を積み重ねた状態で上記検査装置に搬送する際に被測定物である太陽電池の構成部材の位置ずれが発生しない搬送装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 平らな上面111を備えた暗室110と、該暗室110の前記上面に設けられ、被測定物200となる太陽電池を載せる透明板112と、被測定物の像を写すカメラ120とを有する太陽電池の検査装置において、太陽電池の構成部材をラミネート処理する前に積層した状態で前記検査装置に搬送する搬送装置を、搬送する太陽電池の前記構成部材である透明基板等をその厚さ寸法よりも低い壁部を有する複数個の搬送部材をエンドレス状に接続し、搬送方向に対して対称に1対(2列)設けて搬送ガイドすることにより搬送中に太陽電池の構成部材がずれないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池セル、太陽電池セルを直列に接続したストリング、ストリングを平行に複数配置した太陽電池パネルなど、太陽電池一般の性能を検査する装置に使用する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーの利用方法として、シリコン型の太陽電池が知られている。太陽電池の製造においては、太陽電池が目的の発電能力を有しているかどうかの性能評価が重要である。性能評価には、通常、出力特性の測定がされる。
【0003】
出力特性は、光照射下において、太陽電池の電流電圧特性を測定する光電変換特性として行われる。光源としては、太陽光が望ましいのであるが、天候により照射強度が変化することから、ソーラシミュレータが使用されている。ソーラシミュレータでは、太陽光に代えてキセノンランプやメタルハライドランプ等を使用している。また、これらの光源を長時間点灯していると、温度上昇などにより光量が変化する。そこで、これらのランプのフラッシュ光を用い、横軸を電圧、縦軸を電流として、収集したデータをプロットすることにより太陽電池の出力特性曲線を得ている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ソーラシミュレータと異なる方法として、特許文献2では、シリコンの多結晶型の太陽電池素子に対して順方向に電圧を印加することで、エレクトロルミネッセンス(EL)を生じさせる方法を提案している。太陽電池素子から発光されるELを観察することによって、電流密度分布が分かり、電流密度分布の不均一から太陽電池素子の欠陥を知ることができる。すなわち、発光しない部分が欠陥部分と判断でき、この欠陥部分の面積が予め決められた量より少なければ、所定の発電能力を有するものと判断できることになる。
【0005】
図8は、特許文献2に記載された検査装置の構成を模式的に示す図である。検査装置10は、暗室11と、この暗室11の上部に設けられたCCDカメラ12と、暗室11の床面に載置された太陽電池セル13に電流を流す電源14と、CCDカメラ12からの画像信号を処理する画像処理装置15とから構成されている。
【0006】
暗室11には窓11aがあり、ここにCCDカメラ12のファインダー12aがあって、ここから肉眼で覗くことで、CCDカメラ12の撮影画像を確認することができる。画像処理装置15としては、パソコンを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−88419
【特許文献2】WO/2006/059615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図8に示す検査装置10は、太陽電池セル13を下に置いて、上からカメラで撮影するのであるが、太陽電池セル13から発光されるELは、1,000nmから1,300nmの波長の微弱な光であり、暗室11でなければ検知できない。被測定物が1枚の太陽電池セルであれば、100mm平方程度なので、暗室11も小さいものでよい。
【0009】
しかし、太陽電池になると、2m×1m程度の大きさとなり、暗室11もこれを収容できる大きさが必要となる。また、被測定物となる太陽電池は、暗室内に入れなければカメラ12で撮影できないので、暗室に太陽電池の出し入れができる扉を設けなければならない。検査装置をこのような暗室内に搬入する構成とすると、設置した扉が閉じた場合の遮光性も確保しなければならない。また検査装置に搬入された太陽電池の位置決め部材や搬送ガイド部材も暗室内に設ける必要がある。さらに、太陽電池に電流を通すための通電手段も暗室内に設ける必要がある。という具合に構造的に複雑になり、高価なものとなる。
またこのような検査装置を太陽電池の製造ラインの一装置として組み込む場合に以下のような要求がある。被測定物である太陽電池を構成する部材である透明基板・太陽電池セル(以下太陽電池セルという記載は、太陽電池セルを直列に接続したストリング、更にストリングを複数列接続したパネルも含む。)・充填材・裏面材を積み重ねラミネート処理する前に上記検査装置に搬送し検査したいという要求である。太陽電池は、大型化する傾向にあり2m×1m以上の大きさとなる。後述するがラミネート処理する前の被測定物は最上面の裏面材が最下面の透明基板・太陽電池セル・充填材を覆い透明基板よりも外側にはみ出して積み重ねられている。従って上記検査装置に搬送する際に裏面材が装置の構成部材に接触すると、積み重ねられた太陽電池の構成部材が相互に位置がずれることになる。またこのような搬送中のトラブルによりストリングや太陽電池パネルを構成するセルの相互の位置もずれてしまうことになり、太陽電池セルの正確な欠陥検査ができないことになり、後工程のラミネート処理にも支障をきたすことになる。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたもので、太陽電池に順方向の電流を流してEL発光させる検査装置であって、ラミネート処理前の被測定物である太陽電池の構成部材を積み重ねた状態で上記検査装置に搬送する際に被測定物である太陽電池の構成部材の位置ずれが発生しない搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するための本発明の太陽電池の検査装置用搬送装置は、平らな上面を備えた暗室と、該暗室の前記上面に設けられ、被測定物となる太陽電池を載せる透明板と、被測定物の像を写すカメラとを有することを特徴とする太陽電池の検査装置において、太陽電池の構成部材をラミネート処理する前に積層した状態で前記検査装置に搬送する搬送装置であって、搬送する太陽電池の前記構成部材である透明基板等をその厚さ寸法よりも低い壁部を有する複数個の搬送部材をエンドレス状に接続した搬送ガイド部を、搬送方向に対して対称に1対(2列)設け、前記壁部で前記透明基板等をガイドして搬送することを特徴としている。
【0012】
また搬送する太陽電池の前記構成部材である透明基板等をその厚さ寸法よりも低い壁部を有するエンドレス状の帯状部材を有する搬送ガイド部を搬送方向に対して対称に1対(2列)設け、前記壁部で前記透明基板等をガイドして搬送する構成とすることもできる。
またさらに搬送する太陽電池の構成部材である前記透明基板等の幅寸法に応じて前記搬送装置の搬送ガイド部の搬送部材または帯状部材の壁部の位置を変更可能とした構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の太陽電池の検査装置用搬送装置によれば、ラミネート処理する前の太陽電池の構成部材を積み重ねた状態で上記検査装置に搬送する際に、構成部材が搬送装置の他の部材に接触して相互の位置がずれることはない。
【0014】
したがってラミネート処理前でも太陽電池セルの欠陥を正常に検査することができるとともに、後工程のラミネート処理に支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の搬送装置を使用した太陽電池の検査装置を示す平面図である。
【図2】本発明の搬送装置を使用した太陽電池の検査装置を示す正面図である。
【図3】本発明の搬送装置を使用した太陽電池の検査装置を示す左側面図である。
【図4】本発明の搬送装置の第1の実施例の搬送方向から見た説明図である。
【図5】本発明の搬送装置の第1の実施例の搬送方向と直角な方向から見た説明図である。
【図6】本発明の搬送装置の第2の実施例の搬送方向から見た説明図である。
【図7】本発明の検査装置にて測定する太陽電池の構成の説明図で、(a)は、太陽電池の内部の太陽電池セルが分かるように記載した平面図で、(b)はその搬送方向から見た断面図である。
【図8】従来の太陽電池の検査装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0017】
<1>被測定物(太陽電池の構成部材を積み重ねた状態のもの)
まず本検査装置が扱う対象である被測定物200の例について説明する。図7は、本検査装置にて測定する太陽電池の構成の説明図で、(a)は、太陽電池の内部の太陽電池セルが分かるように記載した平面図で、(b)は(a)の断面図(搬送方向から見た)である。
【0018】
図7(a)の平面図に示す様に、被測定物200である太陽電池は角型の太陽電池セル28がリード線29により複数個直列に接続されたストリング25を形成し、さらにそのストリングを複数列リード線29により接続した構成となっている。
【0019】
被測定物200である太陽電池セルとしては、太陽電池セル28が1枚のみのものでもよく、太陽電池セル28を複数個直列につないだストリング25の状態でもよく、ストリング25を平行に複数列並べ、太陽電池セル28がマトリックス状に配置された太陽電池パネル30でもよい。
【0020】
また被測定物の断面構造は、図7(b)に示す様に、上側に配置された裏面材22と下側に配置された透明基板21の間に、充填材23、24を介して複数列のストリング25を積み重ねた状態を示している。本検査装置では、このようにラミネート処理前の太陽電池を構成する部材を積み重ねた状態で太陽電池セルの欠陥を測定する。図7(b)に示したとおり、ラミネート処理前なので透明基板・太陽電池セル・充填材を覆う裏面材がそれらよりも外部に大きくはみ出した状態となっている。また本例の他に透明基板21、充填材23と太陽電池セル28(25または30)を積み重ねた状態で本検査装置にて検査を行い、その後裏面材22と充填材24を積層してもかまわない。
【0021】
裏面材22は例えばPETあるいは、フッ素系樹脂などの材料が使用される。したがって透明基板から外部にはみ出した部分は垂れ下がった状態となる。充填材23、24には例えばEVA樹脂(エチレンビニルアセテート樹脂)などが使用される。ストリング25は、上記のように電極26、27の間に、太陽電池セル28をリード線29を介して接続した構成である。
【0022】
また被測定物200としては、一般に薄膜式と呼ばれる太陽電池を対象とすることができる。
【0023】
この薄膜式の代表的な構造例では、下側に配置された透明基板には、予め透明電極、半導体、裏面電極からなる発電素子が蒸着してある。そして、このような薄膜型太陽電池の透明基板を下向きに配置し、基板上の太陽電池素子の上に充填材を被せ、更に、充填材の上に裏面材を積み重ねた状態となっている。
【0024】
このように被測定物200としての薄膜式の太陽電池は、結晶系セルが蒸着された発電素子に変わるだけで、封止部材や裏面材は前記した結晶系セルの場合と同じである。
【0025】
<2>検査装置の全体構造
図1は検査装置の構成を示す平面図、図2は正面図、図3は左側面図である。これらの図に示す太陽電池の検査装置100は、四角の箱形の暗室110およびその平らな上面111に、アクリル樹脂などの合成樹脂製又はガラス製の透明板112が取り付けられている。暗室内には、被測定物200である太陽電池セル、ストリング、太陽電池パネルを検査測定するカメラ120が設けられている。図示していないが、カメラ120を移動させて使用する場合もあり、その場合は移動機構を設けることもできる。
【0026】
暗室110は、上面111の透明板112以外は、暗室110内に光を入れないような遮光性の素材からなる構成にしている。もっとも、上面111に被測定物200として太陽電池の構成部品を載せた後、被測定物200を含む上面111の全体を、遮光手段にて覆うことにすれば、上面111全体を透明板にしてもよい。また、上面以外の4つの側面と底面は全て遮光性の部材としている。
【0027】
<3>撮影用カメラ
被測定物200から発するEL発光は、1,000nmから1,300nmの波長の微弱な光であり、暗室内で発光させ、撮影用カメラ120でこの微弱な光を撮影する。このため、撮影用カメラ120としては微弱な光に対する感度の良いCCDカメラを用いる必要がある。
【0028】
<4>被測定物の搬送および位置決め
上面111の上部には、被測定物200を本検査装置への搬入、前工程および後工程に受け渡しするために本発明の搬送装置220が設けられている。本搬送措置は、電気モータ起動のチェーンコンベアまたはベルトコンベアである。被測定物の太陽電池セルに順方向の電流を流し太陽電池セルからの微弱な発光をカメラで測定するため、搬送用のチェーンやベルトは被測定物の透明基板の両側の端を支持してガイドし搬送する構成となっている。
後述するが搬送装置には被測定物200の透明基板を搬送ガイドする機能を有する搬送部221R/Lが搬送方向に対称に1対(2列)設けられている。搬送部221R、221L間の距離は、被測定物200の透明基板等の幅寸法に合わせて変更可能な構成となっている。
【0029】
検査装置の前工程から被測定物である太陽電池の構成部材が積み重ねられた状態で搬送されてくると、本検査装置の搬入コンベア210により図1の黒塗りの矢印方向に搬送され本検査装置の搬送部221R/Lに移載される。被測定物200は、搬送装置220により本検査装置に移動搬送される。したがって被測定物200を搬送中および測定中に下面の透明基板21が検査装置100の上面の透明板112に接触することはない。被測定物200は、本検査装置内を搬送され、以下のような方法により測定位置に位置決めされる。
【0030】
搬送装置220の側面には、アクチュエーター等により出し入れ可能な位置決め金具があり、搬送された被測定物200は、この位置決め金具を突出させることにより搬送方向の位置決めがされる。位置決め金具は、搬送装置の側面から出し入れする構成ではなく、搬送装置の上方から上下させる方法または搬送装置の上方から旋回下降させるなどの構成とすることも可能である。
位置決めが完了し搬送装置が停止し検査が開始される。検査方法は、後述する。検査が完了すると、搬送装置220が作動し被測定物200は搬出コンベア230に移載され(図1の黒塗り矢印方向に)次工程に搬送される。
【0031】
<5>本発明の搬送装置の実施例1
上記の機能を有する太陽電池の検査装置の搬送装置の第1の実施例を、図4及び図5により説明する。図4は搬送方向から見た正面図であり、図5は側面図である。搬送部221R/Lは、チェーン222、上部チェーンガイド223、下部チェーンガイド224、搬送ガイド225、搬送ガイド取り付け用のアタッチメント226から構成されている。搬送ガイドは、チェーンにアタッチメントを用いて複数個設けられていてチェーンを介してエンドレスに接続されている。それらチェーンは、搬送方向に設けられた上部チェーンガイドと下部チェーンガイドにより支持されている。このような搬送部が搬送方向に対して対称に1対(2列)けられている。図4に示すように搬送ガイド225に被測定物200が載置され搬送される。
【0032】
すでに述べたように搬送される被測定物は、ラミネート処理前なので、透明基板、太陽電池セル、充填材、裏面材が積み重ねられた状態である。したがって裏面材が、透明基板よりも大きく外側にはみ出している。そしてその裏面材がはみ出した部分が下方に垂れ下がる。この垂れ下り部分20が搬送装置の部材に接触することがないように搬送ガイド225には以下のような工夫をしている。搬送ガイド225の搬送方向から見た形状は、略L型をなしている。その壁部227にて透明基板21の端をガイドしている。その壁部の高さ寸法は、透明基板の厚み寸法よりも極力低くしている。また壁部の寸法を極力低くしても、裏面材が搬送装置の部材に接触することを防止できない場合は、搬送ガイドの厚み部228の寸法を調整することにより裏面材の垂れ下がり部が搬送装置の部材に接触することを防止することができる。
尚搬送ガイド225の透明基板の支持部229は、透明基板に対して端部の太陽電池セルの距離S(図7(a)参照)に応じて決定される。
【0033】
さらに搬送部221R/Lは、その位置を太陽電池の透明基体の幅寸法に応じて位置変更が可能な構成となっている。方法は、搬送部221R/Lをそれぞれ単独に位置変更しても良いし、ねじ機構によりそれぞれ同時に均等に接近させたり離反させたりすることでもよい。
【0034】
<6>本発明の搬送装置の実施例2
太陽電池の検査装置の搬送装置の第2の実施例は、図4及び図5におけるチェーンに設けた複数の搬送ガイドに代わり図6に示すように搬送ガイドを搬送ガイド225と同様な断面形状を有するエンドレスの帯状体322を使用している。
搬送部321R/Lは、エンドレスの帯状体322、上部ベルトサポート323、下部ベルトサポート324から構成されている。このような搬送部が搬送方向に対して対称に1対(2列)設けられている。帯状体322に、図6に示すように被測定物200が載置され搬送される。
【0035】
実施例1と同様に搬送される被測定物は、ラミネート処理前なので、透明基板、太陽電池セル、充填材、裏面材が積み重ねられた状態である。したがって裏面材が、透明基板よりも大きく外側にはみ出している。そしてその裏面材がはみ出した部分が下方に垂れ下がる。この垂れ下り部分20が搬送装置の部材に接触することがないように帯状体には以下のような工夫をしている。帯状体322を搬送方向から見た形状は、略L型をなしている。その壁部327にて透明基板21の端をガイドしている。その壁部の高さ寸法は、透明基板の厚み寸法よりも極力低くしている。また壁部の寸法を極力低くしても、裏面材が搬送装置の部材に接触することを防止できない場合は、帯状体の厚み部328の寸法を調整することにより裏面材の垂れ下がり部が搬送装置の部材に接触することを防止することができる。
尚帯状体の透明基板の支持部329は、透明基板に対して端部の太陽電池セルの距離S(図7(a)参照)に応じて決定される。
【0036】
さらに搬送部321R/Lは、その位置を太陽電池の透明基体の幅寸法に応じて位置変更が可能な構成となっている。方法は、搬送部321R/Lをそれぞれ単独に位置変更しても良いし、ねじ機構によりそれぞれ同時に均等に接近させたり離反させたりすることでもよい。
【0037】
<7>その他機器
上記の他に、図示を省略するが、図8の従来例で示した電源14やパソコンを利用した画像処理装置15が設けられている。これらは、図2の制御装置400に収納されている。さらに、パソコンを利用して、カメラ120の移動機構を制御し、被測定物200としての太陽電池パネル全体を1枚の写真に撮影したり、太陽電池セル28毎に撮影したりすることができる。
【0038】
<8>本検査装置および本発明の搬送装置の使用方法
被測定物200として太陽電池の構成部材を積み重ねた状態を例にして、太陽電池の検査装置用の搬送装置の使用方法を説明する。
【0039】
被測定物200は、太陽電池の構成部材である透明基体、太陽電池セル、充填材および裏面材であり、ラミネート処理前に積み重ねられた状態である。被測定物は、搬入コンベア210により太陽電池の検査装置の前まで搬送される。搬送されてきた被測定物は、1対の搬送ガイド225、225の間または帯状体322、322の間で搬送ガイドされ暗室110の上に達する。その後搬送装置の側面にアクチュエーター等により出し入れ可能に設けられた位置決め金具を突出させることにより搬送方向の位置決めがされる。
尚搬送ガイドおよび帯状体を上述の通り工夫しているので、搬送中に被測定物の裏面材の垂れ下がり部20が搬送装置の構成部材に接触することが無いので、被測定物の各構成部材は相互の位置がずのない状態で本検査装置に搬送される。
【0040】
この後、遮光カバーなどによって、透明板112と被測定物200との間の隙間等から、光が暗室110内に入らないように遮光する。遮光カバーについては、後述する。
【0041】
暗室110の所定の位置に到達した被測定物200は、透明基体を下に向けて暗室110の透明板112の上で停止し(図5の状態)、図示しない電源との間で接続がされる。被測定物200は、透明板112より小さいので、周囲から暗室内に光が入るから被測定物200の上から暗室110の上面全体を後述する遮光カバーなどで覆う。次に被測定物200の太陽電池セルに電源から順方向の電流を流す。これにより被測定物200がEL発光するので、カメラ120で撮影する。
【0042】
本検査装置100により被測定物200の全体を撮影し、その画像により検査する場合は、カメラの移動機構を設けることなく、または移動機構を使用することなくカメラ120を暗室110の底部のほぼ中央の位置に固定して撮影することができる。この場合の被測定物200としては、太陽電池セル28、太陽電池セルを複数個リード線で接続したストリング25、さらにストリング25を複数列リード線で接続したマトリックス状の太陽電池パネル30のいずれでもよい。
【0043】
本検査装置100により太陽電池パネル30にマトリックス状に配置された太陽電池セルを1枚ずつ撮影してその画像により検査する場合は、暗室内でカメラを移動できるように移動機構を設ける。
【0044】
パソコンを利用した制御装置400によって、カメラ移動機構を駆動し、カメラ120は、太陽電池パネル30にマトリックス状に配置されている太陽電池セル28を1枚ずつ撮影し、パソコンなどからなる画像処理装置に画像データを送る。画像処理装置は、各太陽電池セルの画像から発光しない部分を取り出して分析し、太陽電池セル28ごとの合否を判断し、全ての太陽電池セルについての合否の結果から太陽電池パネル30全体としての合否を判断する。
【0045】
なお、カメラ120による撮影も、カメラを移動し太陽電池セル1枚ごとでもよいし、数枚ずつでもよく、カメラの移動をせずに固定し太陽電池パネル30全体としてもよい。
【0046】
上記遮光カバーは、暗室の上面111の上部全てを覆うものである。しかし太陽電池の場合、樹脂製の裏面材22は、不透明であり、遮光性が十分である。また、暗室110の上面111も、透明板112以外は遮光性の部材で構成されている。したがって暗室110と被測定物200との間の隙間部分のみを遮光部材でカバーすれば十分である。被測定物200が透明板112に密着し、かつ、透明板112より大きくて、透明板112の全体が被測定物200で覆われる場合には、遮光手段は不要である。
本実施例の場合は、図1、図2、図3に示す様に、暗室上面111と搬送部221R/Lさらに被測定物200を遮光性のあるカバー240により覆う構成としている。本検査装置の搬入コンベア210側と搬出コンベア230側に開閉式の扉241が設けられている。扉241の開閉は、エアーシリンダーなどにより自動開閉する構成でも良いし、また作業者が手動操作にて開閉するものでも良い。前工程から被測定物が搬送され、搬入コンベア上を移動し本検査装置の直前までくると、この入り口側の扉が開き被測定物が本検査装置内に搬送装置220により搬入完了し、またこの扉が閉じる構成となっている。また検査が完了すると出口側の扉が開き被測定物200が搬出される。このように検査中は、被測定物を搬出入する扉は閉じており被測定物が載置されている部分へは外部からの光が入ることは無い。
【0047】
本検査装置100では、被測定物200としての太陽電池を暗室の外側に載置すればよいので、暗室には被測定物200を出し入れするためのドアは不要となる。また、太陽電池に電流を流す電源や配線も暗室110の外でよく、暗室内には一切不要である。そのため、暗室110の構造を簡単にすることができる。
【0048】
本検査装置100および本発明の搬送装置の使用方法は、上記のとおりである。したがって被測定物である太陽電池の構成部材である透明基体、太陽電池セル、充填材、裏面材をラミネート処理する前に積み重ねた状態のものであり、本検査装置に本発明の搬送装置を使用することにより、太陽電池の構成部材が相互に位置ずれすることなく検査装置に搬送されるので、上記の検査方法により欠陥検査を正常に行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
28 太陽電池セル
30 太陽電池パネル
100 太陽電池の検査装置
110 暗室
111 上面
112 透明板
120 カメラ
200 被測定物
210 搬入コンベア
220 搬送装置
221、321 搬送部
222 チェーン
223 上部チェーンガイド
224 下部チェーンガイド
225 搬送ガイド
226 アタッチメント
227、327 壁部
228、328 厚み部
229、329 支持部
322 帯状体
323 上部ベルトサポート
324 下部ベルトサポート
230 搬出コンベア
240 遮光カバー
241 扉
400 制御装置

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな上面を備えた暗室と、該暗室の前記上面に設けられ、被測定物となる太陽電池を載せる透明板と、被測定物の像を写すカメラとを有することを特徴とする太陽電池の検査装置において、太陽電池の構成部材をラミネート処理する前に積層した状態で前記検査装置に搬送する搬送装置であって、
搬送する太陽電池の前記構成部材である透明基板等をその厚さ寸法よりも低い壁部を有する複数個の搬送部材をエンドレス状に接続した搬送ガイド部を、搬送方向に対して対称に1対(2列)設け、前記壁部で前記透明基板等をガイドして搬送することを特徴とする太陽電池の検査装置用搬送装置。
【請求項2】
搬送する太陽電池の前記構成部材である透明基板等をその厚さ寸法よりも低い壁部を有するエンドレス状の帯状部材を有する搬送ガイド部を搬送方向に対して対称に1対(2列)設け、前記壁部で前記透明基板等をガイドして搬送することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の検査装置用搬送装置。
【請求項3】
搬送する太陽電池の構成部材である前記透明基板等の幅寸法に応じて前記搬送装置の搬送ガイド部の前記壁部の位置を変更可能にしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池の検査装置用搬送装置。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−260336(P2009−260336A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78636(P2009−78636)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3142922号
【原出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】