説明

太陽電池の発電量保証装置、方法、及びコンピュータプログラム

【課題】ユーザの下に設置される太陽電池に対して特別な装備を設けることなく、動作異常の有無を監視しながら、正常な動作に基づく発電量を保証するための技術を提供する。
【解決手段】ユーザ端末2からユーザIDと発電量情報を受信すると、換算処理部102は、ユーザ情報DB1Bに記憶された設置条件情報に基づき、発電量を規格化された発電量に換算する。また、地域別平均発電量情報抽出部104は、地域別平均発電量情報DBから地域別平均発電量情報を抽出する。さらに、第一異常判定処理部105は、規格化された発電量が地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定し、判定の結果がユーザ別発電量情報DB1Cに登録される。そして、補償要否判定処理部111は、保証期間内における保証発電量と、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を積算した積算発電量とを比較して、補償の要否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールにおいて、正常な動作状況に基づいて、発電量を保証するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心や政策等から、公共施設や一般家庭など、あらゆる場所で太陽電池の設置が進められている。
太陽電池は太陽光を利用するため、屋根や屋上といった屋外に設置されることが多く、日射量や風雨といった気象条件や、太陽電池の設置方向や設置角度といった設置条件などにより、必ずしも公称の出力が得られるわけではない。
【0003】
しかしながら、太陽電池を導入するユーザ側からすれば、実際にどの程度の発電量が得られるかは、導入の契機として重要であるし、導入コストを考えれば、ある程度の発電量が保証されていると導入しやすくなる。
【0004】
この点、特許文献1では、住宅に設けた太陽電池で発電される電力量を、計算により予測する太陽光発電量予測装置であって、国内に設定された複数の地域の各日射量データを記憶した記憶手段と、住宅の建築地が該当する地域を特定する地域特定手段と、日射量データが入力されると、この日射量データに基づいて太陽電池で発電されるであろう電力量を算出する演算手段とを備える装置が提案されている。
また、特許文献2では、太陽光発電製品の予想発電量を算定し、その予想発電量をユーザに対して提示する手段と、予想発電量に基づいて太陽光発電製品の発電量に関する保証値を設定する手段と、発電量を計測し、その計測により得られたデータを積算して発電量の実績値を求め、その実績値をユーザに知らしめる手段と、実績値を保証値と比較し、該実績値が保証値を下回る場合は、保証値から実績値を引いた差分に応じて不足分の補償金をユーザに支払う手段とを具備するシステムが提案されている。
また、特許文献3では、製品性能情報、設置状態、設置場所、保証条件、保証期間の過去の気象情報データを格納する格納手段と、保証期間を指定する手段と、格納手段より各データを取り込み保証期間の保証発電量を算出する手段と、気象データを収集する手段と、気象データに基づいた発電量を算出する手段と、気象データから予測される発電量が保証発電量より少ない場合、保証値から実績値の差分に応じて不足分の補償金をユーザに提示する手段とを備えるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−65686号公報
【特許文献2】特開2003−116221号公報
【特許文献3】特開2005−275491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら特許文献記載の技術によれば、ユーザは、発電による実績値と、予め提案された保証値との差分に応じた保証を受けることができる。
しかしながら、太陽電池が必ずしも常時、正常に動作しているとは限らず、故障などの異常を生じることもある。そして、そのような異常時の発電量が実績値に組み込まれてしまうようでは、正確な発電量に基づく保証を担保できない。
【0007】
一方において、太陽電池の以上を検出するために、太陽電池の周辺機器等に異常検知のための装備を取り付けるなどすれば、導入コストの増加につながり、ユーザに余分な経済的負担を負わせることになってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザの下に設置される太陽電池に対して特別な装備を設けることなく、動作異常の有無を監視しながら、正常な動作に基づく発電量を保証するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る太陽電池の発電量保証装置は、受光して発電する太陽電池を利用する複数のユーザのユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、各ユーザの下に設置されている太陽電池の異常の有無を継続的に検知しながら、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を、予め保証された発電量との差分を算出し、当該算出された量を補償量として上記ユーザに保証するための装置であって、上記太陽電池が設置されている一定の範囲毎の地域を個別に識別する地域識別情報と、各地域内における上記太陽電池の発電量を、所定の設置条件の下に規格化した上で平均化した地域別平均発電量情報と、を関連付けて記憶する地域別平均発電量情報記憶手段と、上記ユーザを識別するユーザ識別情報と、上記ユーザの下に設置されている太陽電池の設置条件を所定の条件項目毎に数値化した設置条件情報と、上記ユーザの太陽電池が設置されている地域を識別する上記地域識別情報と、上記ユーザの太陽電池に対して保証された、上記保証期間内における積算発電量に係る保証発電量情報とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、上記ユーザ端末から、上記ユーザ識別情報と、上記発電量測定機能によって測定された発電量に係る発電量情報とを受信する発電量情報受信手段と、上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を記憶することのできるユーザ別発電量情報記憶手段と、上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けられた設置条件情報を抽出する設置条件情報抽出手段と、上記抽出した設置条件情報に基づき、上記発電量情報に係る発電量に対し、設置条件を規格化する所定の補正係数を乗じて、上記発電量を規格化された発電量に換算する換算処理手段と、上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けて記憶されている地域識別情報を抽出する地域識別情報抽出手段と、上記地域別平均発電量情報記憶手段を参照して、上記抽出した地域識別情報と関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する地域別平均発電量情報抽出手段と、上記規格化された発電量が、上記抽出された地域別平均発電量情報に係る地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定する第一の異常判定処理手段と、上記異常判定の結果を、上記発電量と関連付けて、上記ユーザ別発電量情報記憶手段に登録する判定結果登録手段と、上記ユーザ情報記憶手段及び上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザの太陽電池に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量であって、正常な発電によるもの判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かによって補償の要否を判定する補償要否判定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報に係るユーザの前年の所定の期間における発電量に係る発電量情報を抽出する過去データ抽出手段と、上記所定の期間における今年の発電量が、上記抽出した、前年の上記所定の期間における発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かを判定する第二の異常判定処理手段と、をさらに有し、上記ユーザ別発電量情報記憶手段は、上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を、発電がなされた日時に係る時間情報と関連付けて記憶することができ、上記判定結果記憶手段はさらに、上記第二の異常判定処理による結果を、上記発電量と関連付けて記憶するものとしてもよい。
【0011】
また、上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、上記ユーザ端末に対して、異常が認められた旨の警告情報を送信する警告情報送信手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0012】
また、上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段によって異常が認められた場合に取り得る対処に係る対処情報を記憶する対処情報記憶手段と、上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、上記対処情報記憶手段を参照して、上記対処情報を抽出する対処情報抽出手段と、をさらに有し、上記警告情報送信手段は、上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、上記ユーザ端末に対して、異常が認められた旨の警告情報として、上記対処情報を送信するものとしてもよい。
【0013】
また、上記第一の異常判定処理手段と上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められなかった場合に、上記換算処理手段により規格化した発電量を、上記地域月平均発電量情報記憶手段に記憶されている地域別平均発電量に組み込んで新たな地域別平均発電量を算出した上、当該算出した新たな地域別平均発電量を、上記地域別平均発電量情報記憶手段に登録する地域別平均発電量更新手段、をさらに有するものとしてもよい。
【0014】
また、本発明の別の観点に係る発電量保証方法は、受光して発電する太陽電池を利用する複数のユーザのユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記太陽電池が設置されている一定の範囲毎の地域を個別に識別する地域識別情報と、各地域内における上記太陽電池の発電量を、所定の設置条件の下に規格化した上で平均化した地域別平均発電量情報と、を関連付けて記憶する地域別平均発電量情報記憶手段と、上記ユーザを識別するユーザ識別情報と、上記ユーザの下に設置されている太陽電池の設置条件を所定の条件項目毎に数値化した設置条件情報と、上記ユーザの太陽電池が設置されている地域を識別する上記地域識別情報と、上記ユーザの太陽電池に対して保証された、上記保証期間内における積算発電量に係る保証発電量情報とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を記憶することのできるユーザ別発電量情報記憶手段と、を有するコンピュータにより、各ユーザの下に設置されている太陽電池の異常の有無を継続的に検知しながら、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を、予め保証された発電量との差分を算出し、当該算出された量を補償量として上記ユーザに保証するための方法であって、上記ユーザ端末から、上記ユーザ識別情報と、上記発電量測定機能によって測定された発電量に係る発電量情報とを受信する処理と、上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けられた設置条件情報を抽出する処理と、上記抽出した設置条件情報に基づき、上記発電量情報に係る発電量に対し、設置条件を規格化する所定の補正係数を乗じて、上記発電量を規格化された発電量に換算する処理と、上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けて記憶されている地域識別情報を抽出する処理と、上記地域別平均発電量情報記憶手段を参照して、上記抽出した地域識別情報と関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する処理と、上記規格化された発電量が、上記抽出された地域別平均発電量情報に係る地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定する処理と、上記異常判定の結果を、上記発電量と関連付けて、上記ユーザ別発電量情報記憶手段に登録する処理と、上記ユーザ情報記憶手段及び上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザの太陽電池に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量であって、正常な発電によるものと判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かによって補償の要否を判定する処理と、を実行することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のさらに別の観点に係るコンピュータプログラムは、受光して発電する太陽電池を利用する複数のユーザのユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記太陽電池が設置されている一定の範囲毎の地域を個別に識別する地域識別情報と、各地域内における上記太陽電池の発電量を、所定の設置条件の下に規格化した上で平均化した地域別平均発電量情報と、を関連付けて記憶する地域別平均発電量情報記憶手段と、上記ユーザを識別するユーザ識別情報と、上記ユーザの下に設置されている太陽電池の設置条件を所定の条件項目毎に数値化した設置条件情報と、上記ユーザの太陽電池が設置されている地域を識別する上記地域識別情報と、上記ユーザの太陽電池に対して保証された、上記保証期間内における積算発電量に係る保証発電量情報とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を記憶することのできるユーザ別発電量情報記憶手段と、を有するコンピュータを、各ユーザの下に設置されている太陽電池の異常の有無を継続的に検知しながら、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を、予め保証された発電量との差分を算出し、当該算出された量を補償量として上記ユーザに保証するための発電量保証装置として機能させるためのプログラムであって、上記コンピュータに、上記ユーザ端末から、上記ユーザ識別情報と、上記発電量測定機能によって測定された発電量に係る発電量情報とを受信する処理と、上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けられた設置条件情報を抽出する処理と、上記抽出した設置条件情報に基づき、上記発電量情報に係る発電量に対し、設置条件を規格化する所定の補正係数を乗じて、上記発電量を規格化された発電量に換算する処理と、上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けて記憶されている地域識別情報を抽出する処理と、上記地域別平均発電量情報記憶手段を参照して、上記抽出した地域識別情報と関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する処理と、上記規格化された発電量が、上記抽出された地域別平均発電量情報に係る地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定する処理と、上記異常判定の結果を、上記発電量と関連付けて、上記ユーザ別発電量情報記憶手段に登録する処理と、上記ユーザ情報記憶手段及び上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザの太陽電池に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量であって、正常な発電によるものと判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かによって補償の要否を判定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの下に設置される太陽電池に対して特別な装備を設けることなく、動作異常の有無を監視しながら、正常な動作環境に基づく発電量を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る発電量保証装置を用いたシステムの概要を示す概念図である。
【図2】本実施形態に係る発電量保証装置が備える機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る発電量保証装置において、地域別平均発電量情報DBに記憶されるデータの一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る発電量保証装置において、ユーザ情報DBに記憶されるデータの一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る発電量保証装置において、ユーザ別発電量情報DBに記憶されるデータの一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る発電量保証装置において、対処情報DBに記憶されるデータの一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る発電量保証装置において、ユーザ端末から発電量情報を受け付け、データベースに登録する処理の流れを示す処理フロー図である。
【図8】本実施形態に係る発電量保証装置において、異常を検知する処理の流れを示す処理フロー図である。
【図9】本実施形態に係る発電量保証装置において、発電量の補償要否を判定する処理の流れを示す処理フロー図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係る発電量保証装置において、第一異常判定処理のみを日毎に実行する場合の処理の流れを示す処理フロー図である。
【図11】本実施形態に係る発電量保証装置において、第一異常判定処理のみを日毎に実行する場合の地域別平均発電量情報DBに記憶されるデータの一例を示す図である。
【図12】本実施形態に係る発電量保証装置において、第一異常判定処理の結果が登録されたユーザ別発電量情報DBのデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態に係る太陽電池の発電量保証装置について、図を参照して説明する。
まず、本は実施形態に係る太陽電池による処理の概要について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る発電量保証装置1を用いた発電量保証システムは、ユーザが利用するユーザ端末2、ユーザの下に設置された太陽電池3によって構成されている。この発電量保証システムでは、システムの運営者により、太陽電池3について、正常な動作に基づく一定の発電量が保証される。なお、図中では便宜のため、ユーザ端末2と太陽電池3は夫々一つずつしか示していないが、実際には、複数のユーザ端末2と、この複数のユーザ端末2に接続された複数の太陽電池3により、当該システムが構成されている。
【0019】
ユーザに対して発電量保証システムが提供される際にはまず、対象となる太陽電池3について保証発電量が設定される(S1)。
保証発電量は、3年、5年等、一定の保証期間において、太陽電池3が発電すると推測される量であって、当該保証期間における実際の発電量がこれを下回る場合には、契約等に基づく補償がなされる。
また、この保証発電量は、太陽電池3が設置されている地域や、太陽電池3の方位や傾斜などの設置条件に基づいて決定される。
【0020】
太陽電池3が受光により発電する一方で、ユーザは、ユーザ端末2により太陽電池3の発電量を随時測定する(S2)。
当該測定された発電量に係る発電量情報は、ユーザ端末2から発電量保証装置1に提供される(S3)。
【0021】
ユーザ端末2から、太陽電池3の発電量情報を受信した発電量保証装置1は、当該発電量情報に基づいて、太陽電池3の異常の有無を検知する処理を実行する(S4)。
この異常の有無を検知する処理は後に詳述するが、この処理の一つの例では、あるユーザが利用している太陽電池3の発電量と、当該太陽電池3の設置場所が属する地域と同一の地域に設置されている他の太陽電池3の平均発電量とを比較して、大きく異なっていないか否かを判別する。この結果、天候が略同じであると推測される一定の地域内において、各太陽電池3の発電量が大きく異なっていなければ、異常がないものと判定することができる。
【0022】
また、異常の有無を検知する処理の別の例では、あるユーザが利用している太陽電池3の前年の一定期間における発電量情報がある場合に、今年の一定期間分集計した発電量と、前年において対応する一定期間分集計した発電量とを比較し、大きく異なっていないか否かを判別する。例えば、同一ユーザについて、今年の7月における発電量と、前年の7月における発電量とを比較し、その誤差が所定の範囲内にあるかを判別する。
この結果、太陽電池の取付角度や影の影響による損失などの設置条件が同一の状況において、季節が同じ時期の前年の発電量と、ユーザ端末3から提供された今年の発電量とが大きく異なっていなければ、異常がないものと判定することができる。
以上の異常の有無を検知する処理は、1ヶ月分の発電量が集計された際など、所定のタイミングごとに実行される。
【0023】
一方において、所定の保証期間が満了する際には、補償の要否を判定する処理を実行する(S5)。この処理では、当該保証期間内の発電量を積算して積算発電量を算出した上、当該積算発電量が、予め設定されていた保証発電量を下回るか否かを判別する。この際には、S4の異常の有無を検知する処理により、正常な動作に基づいた発電量のみが選択的に積算発電量に組み込まれる。
この結果、積算発電量が保証発電量を下回る場合には、事前の契約等に基づいた補償が必要であるものと判定される。
【0024】
続いて、発電量保証システムが備える機能について詳述する。
図2に示されるように、発電量保証システムは、本実施形態に係る発電量保証装置1とユーザ端末2とが、インターネット等のネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
また、ユーザの下には太陽電池3が設置されており、この太陽電池3はユーザ端末2と接続されている。
【0025】
発電量保証装置1は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Reed Only Memory)、及びハードディスクドライブなどの外部記憶装置により、地域別平均発電量情報DB1A、ユーザ情報DB1B、ユーザ別発電量情報DB1C、対処情報DB1D、設置条件情報抽出部101、換算処理部102、地域識別情報抽出部103、地域別平均発電量情報抽出部104、第一異常判定処理部105、過去データ抽出部106、第二異常判定処理部107、対処情報抽出部108、地域別平均発電量更新部109、判定結果登録部110、補償要否判定処理部111、及び通信処理部112からなる各機能ブロックを構成する。
【0026】
地域別平均発電量情報DB1Aは、所定の範囲毎に区画された地域内に設置された太陽電池3の平均発電量に関する情報を記憶する記憶部である。
この地域別平均発電量情報DB1Aには、図3に示されるように、太陽電池3が設置されている地域を識別する地域ID、当該地域IDの地域名、地域内に設置されている太陽電池3の数、地域内に設置されている太陽電池3の測定月ごとの平均発電量である地域別平均発電量、地域別平均発電量の算出の基礎となっている発電量が測定された月(測定月)が相互に関連付けて記憶されている。
【0027】
ここで地域は、太陽電池3が設置されているエリアを、システムの運営者等の任意によって区画化したものである。地域の区画化においては例えば、郵便番号などを用いることができるが、地域を区画化して当該地域における太陽電池3の発電量の平均値を算出する意図は、略同一の気象条件下にあるとみなされた地域内において、各太陽電池3の発電量を比較することにある。そのため、平均値を算出するのに好適な母集団の数(地域当り設置数)と、気象条件を同一視できる広さのバランスを考えて設定するとよい。
【0028】
また、地域別平均発電量は、所定の地域に属する太陽電池3について、正常な動作に基づく発電量を規格化した上、システム容量1kW当りに換算した発電量の平均値である。このような値として記憶するのは、ユーザの下に設置された太陽電池3は夫々、システム容量や設置条件が異なるところ、異常の有無を検知する後述の異常判定処理において、各ユーザの発電量と地域別平均発電量とを、同一の条件に擬制して対比するためである。
なお、規格化とは、後に詳述するが、所定の設置条件を基準として、太陽電池3ごとの設置条件に基づく補正係数を発電量に乗じることにより、当該発電量を、同一の設置条件下で発電されたものと擬制した発電量に変換することをいう。
【0029】
また、この地域別平均発電量は上記の通り、各ユーザから取得した発電量を規格化したもののうち、後述する第一異常判定処理部105によって正常な動作に基づく発電であると判定されたものを平均化したものである。そのため、第一異常判定処理部105による処理の最初の段階では、各ユーザの発電量が正常な動作に基づくものか判定されておらず、判定基準となる地域別平均発電量が存在しない。そこで、最初の段階においては、地域ごとのシミュレーションによって予測される発電量を、地域別平均発電量として設定しておく。この地域別平均発電量は、第一異常判定処理部105による第一異常判定処理を経るごとに、正常な動作に基づくものと判定された発電量が地域別平均発電量の算出の基礎に組み込まれ、より正確な数値となるようになっている。
【0030】
ユーザ情報DB1Bは、発電量保証システムによるサービスを享受するユーザに関する情報を記憶した記憶部である。
このユーザ情報DB1Bには、図4に示されるように、ユーザを識別するユーザID、ユーザが利用している太陽電池3のシステム容量、設置条件情報、太陽電池3が設置されている地域の地域ID、保証された発電量に関する保証発電量情報が相互に関連付けて記憶されている。
なお、このユーザ情報DB1Bには他に、ユーザの氏名又は住所、連絡先といった情報なども併せて記憶することもできる。
【0031】
ここで、設置条件情報は、太陽電池3の設置環境、あるいは設置の仕方等に関する情報である。
この設置条件情報には例えば、切妻屋根や陸屋根といった太陽電池3の敷設に関する設置方式、太陽電池3の受光面が向けられている方位、水平面に対する設置角度を示す太陽電池3の傾斜、周りの建物や木々などによってもたらされる影の影響による損失、太陽電池3そのものの変換効率や、パワーコンディショナーといった周辺機器の変換効率などのモジュール・BOS特性など、発電量に影響を与える項目が含まれる。なお、BOSとはBalance of Systemsのことであり、受光により発電するモジュール以外の支持金具、配線、ブレーカー、チャージコントローラー、パワーコンディショナー等を含む周辺装置の総称である。
【0032】
この設置条件情報を構成する各項目においては、内容と共に補正係数が記憶されている。補正係数は、発電量を統一された設置条件に換算するための係数である。この補正係数は、各太陽電池3について妥当な保証発電量を算出する際、あるいは、後述する異常判定処理において発電量を所定の条件に規格化する際に参照され、発電量に乗じられる。
なお、設置条件情報を構成する各項目の内容に対する補正係数は、別の参照テーブルとして用意するものとしてもよい。
【0033】
保証発電量情報には例えば、保証発電量と保証期間が含まれる。
保証発電量は、所定の保証期間内における積算発電量として保証される発電量である。
保証期間は、保証対象として積算可能な発電量の取得期間である。即ち、この保証期間内における発電量の積算分が保証発電量と対比され、補償の要否が決定される。この保証期間は、3年あるいは5年など、任意のまとまった期間を設定できる。
【0034】
ユーザ別発電量情報DB1Cは、ユーザの下に設置された太陽電池3ごとの発電量に関する情報を記憶することができる記憶部である。
このユーザ別発電量情報DB1Cには、図5に示されるように、ユーザを識別するユーザID、日別集計データ、月別集計データ、異常判定フラグが相互に関連付けて記憶されている。
【0035】
日毎集計データは、各ユーザの太陽電池3の日毎の発電量に関する情報である。この日毎集計データには、測定日ごとの実際の発電量、当該発電量を換算処理部102により規格化した発電量、及び発電量測定日が含まれる。
また、月別集計データは、各ユーザの太陽電池3の月毎の発電量に関する情報であり、日毎集計データに基づいて集計されている。この月毎集計データには、測定月に含まれる日毎の実際の発電量を積算した、月毎の実際の発電量、測定月に含まれる月毎の規格化された発電量を積算した、月毎の規格化された発電量、及び発電量測定月が含まれる。
【0036】
また、この日毎集計データは、各ユーザから取得した発電量を蓄積したものであるため、第二異常判定処理部107による処理の最初の段階では、各ユーザの発電量が蓄積されておらず、判定基準となる過去データが存在しない。そこで、発電量が未蓄積の最初の段階においても第二異常判定処理を実行するため、各ユーザの太陽電池3ごとに、シミュレーションによって推測される過去の日毎の発電量を予め過去データとして設定しておく。これにより、過去データが未蓄積の初期の段階にあっても、第二異常判定処理を実行することができる。なお、過去データが1年分蓄積され、前年の過去データが揃った場合には、実際の過去データに基づいた第二異常判定処理が実行される。
【0037】
異常判定フラグは、第一異常判定処理部105による第一異常判定処理、及び第二異常判定処理部107による第二異常判定処理の判定結果を示し、各発電量測定月の発電量と関連付けられている。例えば、図5中、「U0001」で識別されるユーザの発電量のうち、7月の発電量は、地域データに基づく第一異常判定処理結果は「正常」と判定され、過去データに基づく第二異常判定処理結果は「異常」となっている。
この異常判定フラグは、後述する判定結果登録部110によって登録される。また、「異常」と判定された後、調査担当者等が太陽電池3を調べて、発電量が「正常」であったと判断されたときなどには、所定の端末等からの操作を受け付けて、内容を書き換えることも可能である。
【0038】
対処情報DB1Dは、後述する第一異常判定処理部105及び第二異常判定処理部107により、太陽電池3の発電量に基づく異常判定処理がなされた結果、異常が検知された場合に、ユーザ端末2に対して提示される対処情報を記憶した記憶部である。
この対処情報DB1Dには、図6に示されるように、第一異常判定処理部105又は第二異常判定処理部107により判定された異常形態に応じて、対処情報が記憶されている。
【0039】
ここで、対処情報は、太陽電池3の異常に対する処置に関する情報である。具体的には、ユーザ端末2に対して警告音等による警告を出力させる命令情報であったり、ユーザ端末2に対してどのような異常が認められたかを示す情報であったり、発電を妨げるような温度上昇、積雪、配線などの確認の指示及び手順などをユーザに示したりする情報である。
また、異常形態は、例えば、第一異常判定処理部105による第一異常判定処理と第二異常判定処理部107による第二異常判定処理が共に「異常」であった場合や、第一異常判定処理は「正常」であったが、第二異常判定処理は「正常」であった場合など、第一異常判定処理と第二異常判定処理の処理結果の組み合わせからなる。なお、異常形態は、どの程度の異常であったかを示す数量的な情報が加味されたものであってもよい。
【0040】
設置条件情報抽出部101は、換算処理部102により発電量を規格化する際に、ユーザ情報DB1Bを参照して、対象となるユーザのユーザIDと関連付けられた設置条件情報を抽出する。また、当該抽出される設置条件情報は、保証発電量を算出する際に参照されるものとしてもよい。
【0041】
換算処理部102は、太陽電池3の発電量を、設置条件情報抽出部101により抽出した設置条件情報に基づき、規格化された発電量に換算する処理を実行する。
【0042】
ここで規格化とは、ある発電量に対し、発電に影響する設置条件に応じた補正係数を乗じて、同一の設置条件に基づく発電量に変換することをいう。即ち、太陽電池3の方位、傾斜、影、「設置年数」などの設置条件について、例えば「真南」、「30度」、「影の損失なし」、「設置1年目」などを基準状態とし、これらの場合には全て補正係数を「1.00」とする。一方、「方位」が「南東」であったり、「設置年数」が「設置3年目」である場合など、設置条件が基準状態と異なる場合が存する場合を想定し、発電に及ぼす影響に応じた補正係数を予め定めておく。そして、発電量に対し、設置条件に応じた当該補正係数を乗じることで、同一の設置条件下で発電されたものと擬制される発電量が算出される。
【0043】
地域識別情報抽出部103は、第一異常判定処理が実行される際、ユーザ情報DB1Bを参照して、第一異常判定処理部105による第一異常判定処理の対象ユーザのユーザIDと関連付けて記憶されている地域IDを抽出する処理を実行する。
【0044】
地域別平均発電量情報抽出部104は、第一異常判定処理部105による第一異常判定処理が実行される際、地域別平均発電量情報DB1Aを参照して、地域識別情報抽出部103によって抽出された地域IDと関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する処理を実行する。
この地域別平均発電量情報が抽出されることで、ユーザが属する地域の地域別平均発電量が把握可能となる。
【0045】
第一異常判定処理部105は、所定の月毎に、換算処理部102によって規格化された発電量が、地域別平均発電量情報抽出部104によって抽出された地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かを判定する処理を実行する(以下、第一異常判定処理部105によって実行される処理を「第一異常判定処理」という)。
誤差範囲は、x%以内といった所定の割合の設定、あるいはプラスマイナスy(kWh)といった上限及び下限の設定など、任意に決めておくことができる。
【0046】
この第一異常判定処理部105による第一異常判定処理の結果、規格化された発電量が、地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にない場合には、太陽電池3に異常が発生しているものと判定される。一方、規格化された発電量が、地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にある場合には、太陽電池3に異常は発生していないものと判定される。
なお、規格化した発電量と地域別平均発電量とは、同一システム容量に換算した値で対比される。本例においては、地域別平均発電量は1kW当りの発電量なので、換算処理部102によって規格化された発電量が、1kW当りの発電量でない場合には、ユーザ情報DB1Bに記憶された太陽電池3のシステム容量で除して、1kW当りの規格化された発電量を算出した上で上記異常判定の処理を行う。
【0047】
過去データ抽出部106は、第二異常判定処理の対象ユーザのユーザIDに基づき、ユーザ別発電量情報DB1Cを参照して、当該ユーザIDに係るユーザの前年の同月における発電量情報を抽出する処理を実行する。
【0048】
なお、過去データの抽出は、ユーザ別発電量情報DB1Cに記憶されている、実際の発電量と規格化された発電量のうち、対比する発電量に応じた発電量に係る発電量情報を抽出することができる。即ち、後述する第二異常判定処理部107において、規格化された発電量同士に基づいて第二異常判定処理が行われる場合には、規格化された発電量に係る発電量情報が抽出され、実際の発電量同士に基づいて第二異常判定処理が行われる場合においては、実際の発電量に係る発電量情報が抽出される。
【0049】
第二異常判定処理部107は、ユーザの太陽電池3のある月における発電量が、過去データ抽出部106によって抽出された前年同月の発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かを判定する処理を実行する(以下、第二異常判定処理部107によって実行される処理を「第二異常判定処理」という)。
この第二異常判定処理部107による第二異常判定処理の結果、ユーザの太陽電池3のある月における発電量が、前年の同月における発電量と比較して、所定の誤差範囲内にない場合には、太陽電池3に異常が発生しているものと判定される。一方、今年のある月における発電量が、前年の同月における発電量と比較して、所定の誤差範囲内にある場合には、太陽電池3に異常は発生していないものと判定される。
【0050】
なお、発電量を対比する第二異常判定処理は、ある月の実際の発電量と、ユーザ別発電量情報DB1Cに記憶されている前年同月の実際の発電量とによって行われてもよいし、ある月の実際の発電量を換算処理部102により規格化した発電量と、ユーザ別発電量情報DB1Cに記憶されている前年同月の規格化された発電量とによって行われるものであってもよい。規格化された発電量同士による場合には、過去データ抽出部106は、ユーザ別発電量情報DB1Cから、前年同月の規格化された発電量に係る発電量情報を抽出する。
【0051】
対処情報抽出部108は、第一異常判定処理又は第二異常判定処理による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、対処情報DB1Dを参照して、各判定処理の結果に応じた対処情報を抽出する処理を実行する。
【0052】
地域別平均発電量更新部109は、第一異常判定処理の結果、正常と判定された発電量情報を、地域別平均発電量情報DB1Aに記憶されている地域別平均発電量に組み込んで新たな地域別平均発電量を算出する。さらに、この地域別平均発電量更新部109は、当該算出した地域別平均発電量を、発電量が測定された月と関連付けて地域別平均発電量情報DB1Aに登録することにより、地域別平均発電量を更新する。
【0053】
ここで、新たな地域別平均発電量の算出は、地域IDが同じで、且つ同一の測定月に係る地域別平均発電量を構成する発電量に対し、新たな発電量を積算した上、これを積算されている発電量の数によって除することによって算出される。
なお、新たに加える発電量は、地域別平均発電量を構成する発電量と条件が同じである必要があるため、規格化された発電量であって、システム容量に基づいて1kWに換算した値とする。
また、新たな地域別平均発電量の算出は、上記積算した発電量を、地域IDに係る地域内の太陽電池3の設置数で除することによっても算出することができる。
【0054】
判定結果登録部110は、第一異常判定処理及び第二異常判定処理の結果を夫々、異常判定処理の対象となった発電量と関連付けて、ユーザ別発電量情報DB1Cに登録する。
異常判定処理の結果には、「正常」又は「異常」の区別のみならず、各異常判定処理における誤差の程度を示す数値情報が含まれていてもよい。
【0055】
補償要否判定処理部111は、ユーザ別発電量情報DB1Cを参照して、ユーザの太陽電池3に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量のうち、第一異常判定処理又は第二異常判定処理によって、正常な動作に基づく発電であると判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、実際の積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かを判定する処理を実行する。
この処理では、ユーザ別発電量情報DB1Cの異常判定フラグが参照され、これに基づき、正常な動作に基づく発電量のみが、積算発電量の構成要素として選択的に抽出される。
【0056】
この処理の結果、積算発電量が保証発電量を下回っていた場合には、補償が必要であるものと判定される。一方、積算発電量が補償発電量を上回っていた場合には、補償は不要であるものと判定される。
また、補償要否判定処理部111は、積算発電量が補償発電量を下回っていた場合には、補償を要する発電量として、その差分を算出することもできる。
【0057】
通信処理部112は、ユーザ端末2と、インターネット等のネットワークNWを介し、所定のプロトコルに従ってデータの送受信処理を実行する処理部であって、Webブラウザ等により実現される。
この通信処理部112は例えば、ユーザ端末2からユーザIDと共に、太陽電池3の発電量に係る発電量情報を受信したり、第一異常判定処理又は第二異常判定処理の処理結果に応じて、対処情報抽出部108により対処情報DB1Dから抽出された対処情報をユーザ端末2に送信したりする。
【0058】
ユーザ端末2は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Reed Only Memory)、及びハードディスクドライブなどの外部記憶装置により、発電量測定部201、入出力処理部202、及び通信処理部203からなる機能ブロックを構成する。
【0059】
発電量測定部201は、太陽電池3による発電量を測定する処理を実行する。
この発電量測定部201は例えば、太陽電池3のパワーコントローラに接続され、出力電流を検出することのできる検出センサと、日時を計測することのできる計時機構とから構成される。
この発電量測定部201は、太陽電池3による日ごとの発電量を測定することができ、当該日ごとの発電量に係る発電量情報は通信処理部203を介して、発電量保証装置1に提供される。
【0060】
入出力処理部202は、キーボードやタッチパネル、LCD(Liquid Crystal Display)、スピーカ等により構成され、発電量保証装置1から受信した対処情報に基づき、当該対処情報を表示したり、太陽電池3の異常を示す警告音を発したりするほか、ユーザからデータ入力を受け付けたりする処理を実行する。
【0061】
通信処理部203は、発電量保証装置1に対して、ユーザIDと共に、発電量測定部201によって測定された日ごとの発電量に係る発電量情報を送信したり、発電量保証装置1から、第一異常判定処理又は第二異常判定処理に基づく異常判定や対処情報を受信したりする。
【0062】
次に、本実施形態に係る発電量保証装置1による処理の流れについて説明する。
なお、発電量保証システムによるサービスの開始時において、保証期間と保証発電量はユーザ情報DB1Bに予め設定される。保証期間は任意の期間に設定可能である。また、保証発電量は例えば、発電量を保証する太陽電池3が設置されている地域の日射量情報や、太陽電池3の設置条件情報に基づいて、日ごとの予測発電量を積算することにより算出が可能である。
【0063】
まず、ユーザから太陽電池3の発電量に係る発電量情報を取得する処理の流れを図7に示す。
ユーザは、ユーザ端末2の発電量測定部201により随時、太陽電池3の発電量を測定しており、当該発電量に係る発電量情報は、ユーザIDと共に発電量保証装置1に送信される。なお、発電量は例えば、1日ごとに測定され、所定のタイミングで発電量保証装置1に送信される。
これに応じて、発電量保証装置1は、ユーザIDと共に太陽電池3の発電量情報を受信する(S101)。
【0064】
発電量保証装置1の設置条件情報抽出部101は、ユーザ情報DB1Bを参照して、受信したユーザIDと関連付けて記憶されている設置条件情報を抽出する(S102)。
【0065】
そして、換算処理部102は、抽出された設置条件情報は参照して、受信した発電量を規格化する(S103)。
ここで、発電量の規格化は、発電量に対し、抽出された設置条件を構成する項目ごとの補正係数を乗じて、同一の設置条件に基づく発電量に変換する処理である。この処理により、太陽電池3の方位、傾斜、影、設置年数などの設置条件について、「真南」、「30度」、「影の損失なし」、「設置1年目」といったように、予め設定された基準となる設置条件に換算した発電量が算出される。
【0066】
ユーザから受信した規格化前の発電量と、換算処理部102によって規格化された発電量に係る情報は、ユーザIDと関連付けて、ユーザ別発電量情報DB1Cに記憶される(S104)。
随時、以上の処理が実行された上、月毎にデータが集計され、ユーザ別発電量情報DB1Cを参照することによって、月毎の発電量が把握される。
【0067】
次に、所定のタイミングで、ユーザ端末2から提供された発電量情報に基づき、太陽電池3の異常の有無を検知する処理が実行される。なお、本例における実行のタイミングは、月毎の発電量が集計された時点としており、当該集計された月の発電量について、異常判定処理が実行される。
まず、地域識別情報抽出部103は、ユーザ情報DB1Bを参照して、異常判定処理の対象となるユーザのユーザIDと関連付けて記憶されている地域IDを抽出する(S201)。
【0068】
それから地域別平均発電量情報抽出部104は、地域別平均発電量情報DB1Aを参照して、抽出された地域IDと関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報であって、異常判定処理を行う測定月と同月の地域別平均発電量情報を抽出する(S202)。
なお、ここで抽出される地域別平均発電量は、最初の段階においては、地域ごとのシミュレーションによって予測されたものであるが、第一異常判定処理を実行した結果、「正常」と判定された発電量は、後の処理によって地域別平均発電量の算出の基礎に組み込まれ、地域別平均発電量は更新される。そして、地域別平均発電量情報抽出部104は、地域別平均発電量情報DB1Aに記憶されている、更新された地域別平均発電量を抽出する。
【0069】
これに応じて第一異常判定処理部105は、ユーザ別発電量情報DB1Cを参照して、抽出された地域別平均発電量情報に係る発電量と、異常判定処理を行う測定月の規格化された発電量とを対比し、その誤差が所定の範囲内にあるか否かを判別する(S203)。
【0070】
ここで、対比する発電量は規格化された発電量同士であり、さらに、ユーザの規格化された発電量が1kW当りのものでない場合には、ユーザ情報DB1Bに記憶されているシステム容量に基づいて1kW当りの発電量に換算された上で対比される。これにより、同じ設置条件に擬制された発電量に基づいて、誤差が所定の範囲内にあるか否かを判別することができる。
また、誤差が所定の範囲内にあるか否かの判別は例えば、地域別平均発電量に対する、ユーザの発電量の割合が所定の範囲内にあるか否かにより判別することができる。
【0071】
判別の結果、誤差が所定の範囲内になかったものと判別されたときは、地域別平均発電量との対比上、太陽電池3に異常が発生しているものと判定される。
この判定結果は、判定結果登録部110により、ユーザ別発電量情報DB1Cにおいて、判定を行った測定月の発電量情報と関連付けて登録される(S204)。
【0072】
一方、判別の結果、誤差が所定の範囲内にあったものと判別されたときは、地域別平均発電量との対比上、太陽電池3に異常はないものと判定される。
この判定結果は、判定結果登録部110により、ユーザ別発電量情報DB1Cにおいて、判定を行った測定月の発電量情報と関連付けて登録される(S205)。
【0073】
さらに、第一異常判定処理の結果、異常がなかった場合には、S205の処理に続き、地域別平均発電量更新部112により、正常と判定された、ユーザの規格化された発電量が、地域別平均発電量に組み込まれる(S206)。
【0074】
ここで、地域別平均発電量更新部109による地域別平均発電量の組み込みは、まず、同月の同地域内における発電量の総和に、ユーザの規格化された発電量が加えられ、母集団の数で除されることにより、新たな地域別平均発電量が算出される。それから、当該算出した地域別平均発電量が、発電量が測定された月と関連付けて地域別平均発電量情報DB1Aに更新登録されて、組み込みの処理が完了する。
なお、地域別平均発電量を求める際の発電量の積算において、規格化された発電量が1kW当りのものでないときは、ユーザ情報DB1Bに記憶されているシステム容量に基づいて1kW当りに換算された上で積算される。
【0075】
続いて、過去データ抽出部106は、異常判定処理の対象ユーザのユーザIDに基づき、ユーザ別発電量情報DB1Cを参照して、前年同月の発電量情報(過去データ)をユーザ別発電量情報DB1Cから抽出する(S207)。
なお、ここで抽出される過去データは、既に発電量情報が蓄積されている場合には、当該蓄積されている実際の発電量情報であるが、最初の段階において発電量情報が未蓄積の場合には、ユーザの太陽電池3ごとのシミュレーションによる予測値が用いられる。
【0076】
これに応じて第二異常判定処理部107は、抽出された過去データと、第二異常判定処理の対象である今回の発電量との誤差が所定の範囲内にあるか否かを判別する(S208)。
【0077】
ここで、対比する発電量は、規格化する前の発電量同士とすることもできるし、規格化した発電量同士とすることもできる。これは、いずれの場合についても、発電を行っている太陽電池3が同一であるため、同じ設置条件に基づいて判別が可能であることによる。
規格化する前の発電量に基づいて判別が実行されるときは、過去データとして、ユーザ別発電量情報DB1Cからは規格化されていない発電量に係る発電量情報が抽出される。他方、規格化された発電量に基づいて判別が実行されるときには、過去データとして、ユーザ別発電量情報DB1Cから規格化された発電量に係る発電量情報が抽出される。
【0078】
誤差が所定の範囲内にあるか否かの判別は例えば、過去の発電量に対する今回の発電量の割合が所定の範囲内にあるか否かにより判別することができる。
【0079】
判別の結果、誤差が所定の範囲内になかったものと判別されたときは、過去データとの対比上、太陽電池3に異常が発生しているものと判定される。
この判定結果は、判定結果登録部110により、ユーザ別発電量情報DB1Cにおいて、判定を行った測定月の発電量情報と関連付けて登録される(S209)。
【0080】
一方、判別の結果、誤差が所定の範囲内にあったものと判別されたときは、過去データとの対比上、太陽電池3に異常はないものと判定される。
この判定結果は、判定結果登録部110により、ユーザ別発電量情報DB1Cにおいて、判定を行った測定月の発電量情報と関連付けて登録される(S210)。
【0081】
以上の第一異常判定処理及び第二異常判定処理からなる異常判定処理が終了すると、対処情報抽出部108は、ユーザ別発電量情報DB1Cの異常判定フラグを参照して、異常があったか否かを識別する(S211)。
この結果、異常が認められなかった場合には、太陽電池3の異常を検知する処理は終了する。
【0082】
一方、第一異常判定処理及び第二異常判定処理からなる異常判定処理の結果、異常が認められた場合には、対処情報抽出部108は、第一異常判定処理及び第二異常判定処理によって判定された異常の状態に応じて、異常に対する対処情報を対処情報DB1Dから抽出する(S212)。
ここで、第一異常判定処理及び第二異常判定処理によって判定される異常の状態は例えば、判定された発電量は、「過去データに比して何%以上何%未満の誤差がある」とか、「地域別平均発電量に比して何%以上何%未満の誤差がある」といったように示され、各状態に応じた対処情報が対処情報DB1Dから抽出される。
【0083】
そして、抽出された対処情報は、ユーザ端末2に対して送信される(S213)。
これを受信したユーザ端末2では、入出力処理部202により対処情報が出力される。これによりユーザは、ユーザ端末2の入出力処理部202により対処情報として出力された、太陽電池3の異常を示す警告音や、異常状態に対する説明や対応方法により異常状態を把握して、状況に応じた対処を試みたりすることができる。
【0084】
以上の太陽電池3の異常を検知する処理は、毎月実行され、発電量が正常な動作に基づくものか否かを識別するための情報が、発電量保証装置1に蓄積される。
なお、異常判定処理により「異常」が検知された際に、実際に太陽電池3を調べるなどして、実際に異常が発生しているか否かが確認された際、発電量が「正常」であった場合や、正常な発電量が認識された場合などには、適宜ユーザ別発電量情報DB1Cの内容を更新登録することができ、この情報に基づいて、後述する、発電量の補償の要否を判定する処理が実行される。
【0085】
続いて、図9を参照して、発電量の補償の要否を判定する処理の流れを説明する。
補償要否判定処理部111は、定期的にユーザ情報DB1Bに記憶されている保証期間を参照して、保証期間の満了日が到来したか否かを判別する(S301)。
【0086】
その結果、保証期間の満了日が到来したと判別された場合には、補償要否判定処理部111はまず、当該保証期間の満了日が到来したユーザのユーザIDに基づき、ユーザ別発電量情報DBから、保証期間中の発電量情報を抽出する(S302)。
この発電量情報の抽出に際しては、異常判定フラグが参照され、第一異常判定及び第二異常判定において異常が認められなかった発電量情報が選択的に抽出される。
さらに、抽出された発電量情報に係る発電量が積算され(S303)、これにより、保証期間中の積算発電量が把握される。
【0087】
そして、この積算発電量と、ユーザ情報DB2Bに記憶されている保証発電量の差分が算出されて、補償の要否が判定される(S304)。
即ち、積算発電量が保証発電量を上回っていた場合には、補償が必要であるものと判別されて、補償がなされる(S305)。
一方、積算発電量が補償発電量を下回っていた場合には、補償は不要であるものと判別されて、一連の処理が終了する。
【0088】
以上の本実施形態に係る発電量保証装置1による一連の処理によれば、太陽電池3の動作異常の有無を継続的に監視しながら、正常な動作に基づく発電量情報に従って、補償の要否を判定することができる。
【0089】
なお、本実施形態における補償要否の判定においては、異常と判定された発電量を除いた積算発電量を保証発電量と対比しているが、異常と判定された発電量を、ユーザの太陽電池3の設置条件に基づいて地域別平均発電量から算出した発電量に置き換え、これを積算発電量に加えて、補償要否を判定してもよい。
【0090】
なお、本実施形態においては、月毎に第一異常判定処理と第二異常判定処理を同時に実行するものとしたが、第一異常判定処理のみを、日毎に実行することもできる。
この場合の処理の流れを図10に示す。
なお、この場合、地域別平均発電量情報DB1Aは、図11に示されるように、太陽電池3が設置されている地域を識別する地域ID、当該地域IDの地域名、地域内に設置されている太陽電池3の数、地域内に設置されている太陽電池3の測定日ごとの平均発電量である地域別平均発電量、地域別平均発電量の算出の基礎となっている発電量が測定された日が相互に関連付けて記憶されている。
【0091】
まず、地域識別情報抽出部103は、ユーザ情報DB1Bを参照して、第一異常判定処理の対象となるユーザのユーザIDと関連付けて記憶されている地域IDを抽出する(S401)。
【0092】
それから地域別平均発電量情報抽出部104は、地域別平均発電量情報DB1Aを参照して、抽出された地域IDと関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報であって、第一異常判定処理を行う測定日と同日の地域別平均発電量情報を抽出する(S402)。
【0093】
これに応じて第一異常判定処理部105は、ユーザ別発電量情報DB1Cを参照して、抽出された地域別平均発電量情報に係る発電量と、異常判定処理を行う測定日の規格化された発電量とを対比し、その誤差が所定の範囲内にあるか否かを判別する(S403)。
なお、この判別の処理は、既述したS203の処理と同様である。
【0094】
判別の結果、誤差が所定の範囲内になかったものと判別されたときは、地域別平均発電量との対比上、太陽電池3に異常が発生しているものと判定され、この判定結果は、判定結果登録部110により、ユーザ別発電量情報DB1Cにおいて、判定を行った測定日の発電量情報と関連付けて登録される(S404)。
【0095】
さらに続けて対処情報抽出部108は、この第一異常判定処理によって判定された異常の状態に応じて、異常に対する対処情報を対処情報DB1Dから抽出する(S405)。そして、抽出された対処情報は、ユーザ端末2に対して送信される(S406)。
【0096】
一方、判別の結果、誤差が所定の範囲内にあったものと判別されたときは、地域別平均発電量との対比上、太陽電池3に異常はないものと判定される。
この判定結果は、判定結果登録部110により、ユーザ別発電量情報DB1Cにおいて、判定を行った測定日の発電量情報と関連付けて登録される(S407)。
【0097】
さらに、第一異常判定処理の結果、異常がなかった場合には、S407の処理に続き、地域別平均発電量更新部112により、正常と判定された、ユーザの規格化された発電量が、地域別平均発電量に組み込まれる(S408)。なお、地域別平均発電量の組み込みは、既述したS206の処理と同様である。
【0098】
以上によれば、より頻繁に太陽電池3が正常に動作しているかどうかを把握することができる。
そして、この場合、ユーザ別発電量情報DB1Cは、図12に示されるように、日毎の発電量に対して異常判定フラグを登録することが可能である。
この結果に基づいて第二異常判定処理が実行される場合には、過去データ抽出部106により、過去データとして、前年のある月における発電量情報を抽出する際、対象月の日毎の発電量のうち、正常と判定された発電量のみを選択的に抽出し、これを積算したものを第二異常判定処理における過去データとしてもよい。この際、異常と判定された発電量の情報を欠く分、過去データは小さくなるが、これを適正な値とするため、異常な発電量については、平均値やシミュレーション等による発電量で補ってもよい。また、正常な発電量のみを、取得した数量で除した平均値を用い、1ヶ月間の平均値同士で比較を行ってもよい。
【0099】
なお、本実施形態においては、第一異常判定処理あるいは第二異常判定処理による異常判定処理の結果、異常が検知された場合に、保証発電量を再設定するようにしてもよい。
また、太陽電池3の使用年数を管理し、経年劣化に対応した保証発電量を設定するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、ユーザ端末2から発電量を受信した際に、発電量を換算処理部102により規格化し、ユーザ別発電量情報DB1Cに記憶するものとしたが、これに限らず、第一異常判定処理又は第二異常判定処理において必要となった時点で、発電量の規格化を実行するものとしてもよい。
また、本実施形態における第二異常判定処理においては、今年の7月と前年の7月といったように、現在と過去において対応する所定期間ごとの積算発電量を対比するほか、その平均値を対比するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 発電量保証装置
1A 地域別平均発電量情報DB
1B ユーザ情報DB
1C ユーザ別発電量情報DB
1D 対処情報DB
101 設置条件情報抽出部
102 換算処理部
103 地域識別情報抽出部
104 地域別平均発電量情報抽出部
105 第一異常判定処理部
106 過去データ抽出部
107 第二異常判定処理部
108 対処情報抽出部
109 地域別平均発電量更新部
110 判定結果登録部
111 補償要否判定処理部
112 通信処理部
2 ユーザ端末
201 発電量測定部
202 入出力処理部
203 通信処理部
3 太陽電池
NW ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光して発電する太陽電池を利用する複数のユーザのユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
各ユーザの下に設置されている太陽電池の異常の有無を継続的に検知しながら、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を、予め保証された発電量との差分を算出し、当該算出された量を補償量として上記ユーザに保証するための装置であって、
上記太陽電池が設置されている一定の範囲毎の地域を個別に識別する地域識別情報と、各地域内における上記太陽電池の発電量を、所定の設置条件の下に規格化した上で平均化した地域別平均発電量情報と、を関連付けて記憶する地域別平均発電量情報記憶手段と、
上記ユーザを識別するユーザ識別情報と、上記ユーザの下に設置されている太陽電池の設置条件を所定の条件項目毎に数値化した設置条件情報と、上記ユーザの太陽電池が設置されている地域を識別する上記地域識別情報と、上記ユーザの太陽電池に対して保証された、上記保証期間内における積算発電量に係る保証発電量情報とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、
上記ユーザ端末から、上記ユーザ識別情報と、上記発電量測定機能によって測定された発電量に係る発電量情報とを受信する発電量情報受信手段と、
上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を記憶することのできるユーザ別発電量情報記憶手段と、
上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けられた設置条件情報を抽出する設置条件情報抽出手段と、
上記抽出した設置条件情報に基づき、上記発電量情報に係る発電量に対し、設置条件を規格化する所定の補正係数を乗じて、上記発電量を規格化された発電量に換算する換算処理手段と、
上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けて記憶されている地域識別情報を抽出する地域識別情報抽出手段と、
上記地域別平均発電量情報記憶手段を参照して、上記抽出した地域識別情報と関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する地域別平均発電量情報抽出手段と、
上記規格化された発電量が、上記抽出された地域別平均発電量情報に係る地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定する第一の異常判定処理手段と、
上記異常判定の結果を、上記発電量と関連付けて、上記ユーザ別発電量情報記憶手段に登録する判定結果登録手段と、
上記ユーザ情報記憶手段及び上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザの太陽電池に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量であって、正常な発電によるものと判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かによって補償の要否を判定する補償要否判定手段と、を有する、
ことを特徴とする太陽電池の発電量保証装置。
【請求項2】
上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報に係るユーザの前年の所定の期間における発電量に係る発電量情報を抽出する過去データ抽出手段と、
上記所定の期間における今年の発電量が、上記抽出した、前年の上記所定の期間における発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かを判定する第二の異常判定処理手段と、をさらに有し、
上記ユーザ別発電量情報記憶手段は、上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を、発電がなされた日時に係る時間情報と関連付けて記憶することができ、
上記判定結果記憶手段はさらに、上記第二の異常判定処理による結果を、上記発電量と関連付けて記憶する、
請求項1記載の太陽電池の発電量保証装置。
【請求項3】
上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、上記ユーザ端末に対して、異常が認められた旨の警告情報を送信する警告情報送信手段、をさらに有する、
請求項1又は2記載の太陽電池の発電量保証装置。
【請求項4】
上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段によって異常が認められた場合に取り得る対処に係る対処情報を記憶する対処情報記憶手段と、
上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、上記対処情報記憶手段を参照して、上記対処情報を抽出する対処情報抽出手段と、をさらに有し、
上記警告情報送信手段は、上記第一の異常判定処理手段、又は上記第二の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められた場合に、上記ユーザ端末に対して、異常が認められた旨の警告情報として、上記対処情報を送信する、
請求項3記載の太陽電池の発電量保証装置。
【請求項5】
上記第一の異常判定処理手段による異常判定処理の結果、異常が認められなかった場合に、上記換算処理手段により規格化した発電量を、上記地域月平均発電量情報記憶手段に記憶されている地域別平均発電量に組み込んで新たな地域別平均発電量を算出した上、当該算出した新たな地域別平均発電量を、上記地域別平均発電量情報記憶手段に登録する地域別平均発電量更新手段、をさらに有する、
請求項1乃至4いずれかの項に記載の太陽電池の発電量保証装置。
【請求項6】
受光して発電する太陽電池を利用する複数のユーザのユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記太陽電池が設置されている一定の範囲毎の地域を個別に識別する地域識別情報と、各地域内における上記太陽電池の発電量を、所定の設置条件の下に規格化した上で平均化した地域別平均発電量情報と、を関連付けて記憶する地域別平均発電量情報記憶手段と、
上記ユーザを識別するユーザ識別情報と、上記ユーザの下に設置されている太陽電池の設置条件を所定の条件項目毎に数値化した設置条件情報と、上記ユーザの太陽電池が設置されている地域を識別する上記地域識別情報と、上記ユーザの太陽電池に対して保証された、上記保証期間内における積算発電量に係る保証発電量情報とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、
上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を記憶することのできるユーザ別発電量情報記憶手段と、を有するコンピュータにより、
各ユーザの下に設置されている太陽電池の異常の有無を継続的に検知しながら、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を、予め保証された発電量との差分を算出し、当該算出された量を補償量として上記ユーザに保証するための方法であって、
上記ユーザ端末から、上記ユーザ識別情報と、上記発電量測定機能によって測定された発電量に係る発電量情報とを受信する処理と、
上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けられた設置条件情報を抽出する処理と、
上記抽出した設置条件情報に基づき、上記発電量情報に係る発電量に対し、設置条件を規格化する所定の補正係数を乗じて、上記発電量を規格化された発電量に換算する処理と、
上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けて記憶されている地域識別情報を抽出する処理と、
上記地域別平均発電量情報記憶手段を参照して、上記抽出した地域識別情報と関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する処理と、
上記規格化された発電量が、上記抽出された地域別平均発電量情報に係る地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定する処理と、
上記異常判定の結果を、上記発電量と関連付けて、上記ユーザ別発電量情報記憶手段に登録する処理と、
上記ユーザ情報記憶手段及び上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザの太陽電池に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量であって、正常な発電によるものと判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かによって補償の要否を判定する処理と、を実行する、
ことを特徴とする太陽電池の発電量保証方法。
【請求項7】
受光して発電する太陽電池を利用する複数のユーザのユーザ端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記太陽電池が設置されている一定の範囲毎の地域を個別に識別する地域識別情報と、各地域内における上記太陽電池の発電量を、所定の設置条件の下に規格化した上で平均化した地域別平均発電量情報と、を関連付けて記憶する地域別平均発電量情報記憶手段と、
上記ユーザを識別するユーザ識別情報と、上記ユーザの下に設置されている太陽電池の設置条件を所定の条件項目毎に数値化した設置条件情報と、上記ユーザの太陽電池が設置されている地域を識別する上記地域識別情報と、上記ユーザの太陽電池に対して保証された、上記保証期間内における積算発電量に係る保証発電量情報とを関連付けて記憶するユーザ情報記憶手段と、
上記ユーザ識別情報毎に、上記ユーザの下に設置されている太陽電池による発電量を記憶することのできるユーザ別発電量情報記憶手段と、を有するコンピュータを、
各ユーザの下に設置されている太陽電池の異常の有無を継続的に検知しながら、保証期間中における正常な動作に基づく発電量を、予め保証された発電量との差分を算出し、当該算出された量を補償量として上記ユーザに保証するための発電量保証装置として機能させるためのプログラムであって、
上記コンピュータに、
上記ユーザ端末から、上記ユーザ識別情報と、上記発電量測定機能によって測定された発電量に係る発電量情報とを受信する処理と、
上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けられた設置条件情報を抽出する処理と、
上記抽出した設置条件情報に基づき、上記発電量情報に係る発電量に対し、設置条件を規格化する所定の補正係数を乗じて、上記発電量を規格化された発電量に換算する処理と、
上記ユーザ情報記憶手段を参照して、上記ユーザ識別情報と関連付けて記憶されている地域識別情報を抽出する処理と、
上記地域別平均発電量情報記憶手段を参照して、上記抽出した地域識別情報と関連付けて記憶されている地域別平均発電量情報を抽出する処理と、
上記規格化された発電量が、上記抽出された地域別平均発電量情報に係る地域別平均発電量と比較して、所定の誤差範囲内にあるか否かによって異常の有無を判定する処理と、
上記異常判定の結果を、上記発電量と関連付けて、上記ユーザ別発電量情報記憶手段に登録する処理と、
上記ユーザ情報記憶手段及び上記ユーザ別発電量情報記憶手段を参照して、上記ユーザの太陽電池に対して設定された保証期間内における保証発電量と、当該保証期間内における実際の発電量であって、正常な発電によるものと判定された発電量を積算した積算発電量とを比較し、積算発電量が、保証発電量を上回っているか否かによって補償の要否を判定する処理と、を実行させる、
コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−63801(P2012−63801A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205003(P2010−205003)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】