説明

太陽電池アレイの施工方法

【課題】太陽電池モジュール1や架台2に特別な構造を設けることなく、複数の太陽電池モジュール1を隙間なく、且つ、架台2上にしっかりと固定する。
【解決手段】敷設面上に設置された架台2と、太陽電池サブモジュール11とフレーム12とからなる太陽電池モジュール1において、基底部124を上面から押さえ込む押え部と、基底部124の下面側に延び出した延出部と、隣り合う太陽電池モジュール1側へ延び出した当接部とを有する太陽電池モジュール用取付金具3により、架台2上に複数の太陽電池モジュール1を取り付ける施工方法であって、架台2上に第一の太陽電池モジュール1を載置すると共に、一の基底部124を架台2上に固定し、これに第二の太陽電池モジュール1を連設させる際、第一の太陽電池モジュール1の固定された基底部124の下面に、第二の太陽電池モジュール1に取り付けられた太陽電池モジュール用取付金具3の当接部を当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールや架台に特別な構造を設けることなく、複数の太陽電池モジュールを隙間なく、且つ、架台上に固定して敷設するための太陽電池アレイの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心や政策等から、公共施設や一般家庭など、あらゆる場所で太陽電池の設置が進められている。この太陽電池は太陽光を利用するため、屋根や屋上などの屋外に設置される。また、設置可能な面を有効に活用するため、複数の太陽電池モジュールを並設して太陽電池アレイを形成することもよく行われている。
【0003】
このように、屋外に設置される事情から、風雨等に吹き飛ばされたりしないよう、敷設面上にしっかりと固定されていなければならない。
また、太陽電池アレイを形成する場合、限られたスペースに太陽電池モジュールを敷き詰めるためには、余分なスペースは極力少ないほうが良い。
さらに、傾斜屋根上などの危険な場所でも設置が行われることから、その作業は出来る限りシンプルである方がよい。
【0004】
この点、特許文献1乃至3では、中板と、この中板両側の相互に平行な2つの側板とを有する載置用桟と、中板と、この中板両側の相互に平行な2つの側板と、これらの側板から該中板上方に突出するそれぞれの支持片とを有したタップ金具とを用い、前記載置用桟の各側板に対して前記タップ金具の各側板が垂直となるようにタップ金具を載置用桟の内側に配置し、タップ金具の各支持片を載置用桟の中板の孔から突出させ、タップ金具の各支持片により構造物を載置用桟上に係止する構造が開示されている。さらに、隣接して配置する構造物間に、構造物同士、ないしは構造物と架台とを係合させるための構造を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−208553号公報
【特許文献2】特開2008−208554号公報
【特許文献3】特開2009−41286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記各特許文献記載の技術では、構造物を載置する架台そのものにタップ金具を取り付けるための構造を設けている。そのため、架台の製造においては、当該構造を設けるための工程とコストが必要となってしまう。また、隣接して配置する構造物間に、係合構造を設けるため、隣接する構造物間に隙間ができることになる。そのため、一定のスペース内に構造物を敷き詰めようとする場合には、当該隙間が無駄なスペースとなってしまう。さらに、施工時においても、一の構造物に隣接して他の構造物を配設した後、当該構造物間において係合等の作業を行おうとする場合には、既に配設した構造物が邪魔になり、作業性が悪い。
【0007】
一方、隣接する構造物間に係合構造を設ける場合、構造物あるいは当該構造物を囲うフレーム等に係合構造を設けることも考えられる。しかしながら、この場合にもやはり、当該構造物を製造する際の工程とコスト増に繋がることになるし、構造物の梱包や搬送の際にも、当該係合構造が邪魔になりかねない。
【0008】
そこで、本発明は、太陽電池モジュールや架台に特別な構造を設けることなく、複数の太陽電池モジュールを隙間なく、且つ、架台上に固定して敷設するための太陽電池アレイの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽電池アレイの施工方法は、敷設面上に設置され、太陽電池モジュールが載置される上面に、当該太陽電池モジュールを固定するための固定部が所定の間隔おいて形成された架台と、受光して発電する太陽電池サブモジュールと、当該太陽電池サブモジュールを枠状に囲う枠体、当該枠体の側縁のうち、上記架台上の連設方向において対向する二側縁から夫々、上記架台側に延び出した板状の支持部、及び、当該支持部の下端から内側に向かって延び出し、上記架台上に載置されると共に、上記架台の固定部により上記架台上に固定される板状の基底部、を備えたフレームと、からなる太陽電池モジュール、において、上記太陽電池モジュールを上記架台上に固定する金具であって、一枚の板状の金属板を所定の箇所で折り返した形状からなり、上記太陽電池モジュールの基底部を上面から押さえ込む押え部と、上記押え部の一端部から外側へ折曲して、上記基底部の下面側に延び出した延出部と、上記延出部の端部から上記隣り合う太陽電池モジュール側へ延び出し、上記隣り合う太陽電池モジュールの基底部に下面から当接する当接部と、を有する太陽電池モジュール用取付金具により、上記架台上に複数の上記太陽電池モジュールを取り付けるための施工方法であって、上記架台上に第一の太陽電池モジュールを載置すると共に、当該第一の太陽電池モジュールの一の基底部を上記架台の固定部により固定する工程と、上記架台上の連設方向において、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部側に、第二の太陽電池モジュールを、上記支持部同士を隣り合わせにして連設させる際、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部に、上記第二太陽電池モジュールの一の基底部に取り付けられた上記太陽電池モジュール用取付金具の当接部を下面側から当接させると共に、上記架台の固定部により、上記第二の太陽電池モジュールの他の基底部を上記架台上に固定する工程と、を有することを特徴とする。
ここで連設方向とは、架台上において、太陽電池モジュールが太陽電池モジュール用取付金具を介して順次配置される方向をいう。
【0010】
また、上記第一の太陽電池モジュールに上記第二の太陽電池モジュールを連設させる際、予め、上記第二の太陽電池モジュールの一の基底部を、上記太陽電池モジュール用取付金具の押え部と延出部とに挟持させて、上記太陽電池モジュール用取付金具を上記第二の太陽電池モジュールに取り付ける工程、をさらに有するものとしてもよい。
【0011】
また、上記太陽電池モジュール用取付金具は、上記押え部の一端部から上方へ延び出し、上記太陽電池モジュールの支持部に接着する接着部、をさらに有し、上記太陽電池モジュール用取付金具を上記第二の太陽電池モジュールに取り付ける工程において、接着テープあるいは接着剤を介して、上記接着部を上記支持部に接着させるものとしてもよい。
【0012】
また、上記太陽電池モジュール用取付金具を上記第二の太陽電池モジュールに取り付ける工程において、上記延出部と上記当接部との間に、接着剤を充填させて、上記太陽電池モジュール用取付金具を上記太陽電池モジュールに接着させるものとしてもよい。
【0013】
また、上記太陽電池モジュールは、上記フレームの支持部の外側の面が平滑に形成されており、上記第一の太陽電池モジュールに上記第二の太陽電池モジュールを連設させる際、上記第一の太陽電池モジュールと上記第二の太陽電池モジュールの支持部同士を隙間なく当接させるものとしてもよい。
【0014】
また、上記架台は、上記固定部が、上記基底部を差し込み可能な係合片を構成しており、上記第一の太陽電池モジュールないしは上記第二の太陽電池モジュールの基底部を上記架台の固定部により固定する際、当該基底部を、上記係合片に差し込んで係合させるものとしてもよい。
【0015】
また、上記敷設面は傾斜しており、上記第一の太陽電池モジュールの一の基底部を上記架台上に固定する工程は、上記第一の太陽電池モジュールの水上側の基底部を、上記架台の固定部により上記架台上に固定し、上記架台の固定部により、上記第二の太陽電池モジュールの他の基底部を上記架台上に固定する工程は、上記架台上の連設方向において、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部側に、第二の太陽電池モジュールを、上記支持部同士を隣り合わせにして連設させる際、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部に、上記第二の太陽電池モジュールの水下側の基底部に取り付けられた上記太陽電池モジュール用取付金具の延出部を下面側から当接させるものとしてもよい。
【0016】
また、上記太陽電池モジュール用取付金具の当接部の先端には、上記隣り合う太陽電池モジュールの固定された基底部の端部に係合する係合爪が形成されており、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部の端部に、上記第二太陽電池モジュールの一の基底部に取り付けられた上記太陽電池モジュール用取付金具の係合爪を係合させる工程、をさらに有するものとしてもよい。
【0017】
また、上記第一の太陽電池モジュールを上記架台上に取り付ける際、上記第一の太陽電池モジュールの端部の内、連設方向において上記第二の太陽電池モジュールと反対側に位置する基底部を上記架台上に固定する工程、をさらに有すものとしてもよい。
【0018】
また、順次太陽電池モジュールを連設させ、末端に連設される太陽電池モジュールを上記架台上に取り付ける際、上記架台上に取り付けられると共に、当該末端に連設された太陽電池モジュールの連設方向の端部に外側から当接して、上記太陽電池モジュールの連設方向への動きを規制する金具を取り付ける工程、をさらに有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽電池モジュールや架台に特別な構造を設けることなく、複数の太陽電池モジュールを隙間なく、且つ、架台上にしっかりと固定して敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した太陽電池アレイの斜視図である。
【図2】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した一群の太陽電池モジュールの連設構造を示す模式図である。
【図3】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した一群の太陽電池モジュールの連設構造を示す模式図における(a)A−A矢視図、及び(b)B−B矢視図である。
【図4】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した一群の太陽電池モジュールにおける部分拡大図であって、図3中の<a>部分を示す。
【図5】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した一群の太陽電池モジュールにおける部分拡大図であって、図3中の<b>部分を示す。
【図6】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した一群の太陽電池モジュールにおける部分拡大図であって、図3中の<c>部分を示す。
【図7】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設した一群の太陽電池モジュールにおける部分拡大図であって、図3中の<d>部分を示す。
【図8】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設する太陽電池モジュールを示す図であって、(a)斜視図、(b)C−C断面図、(d)D−D断面図である。
【図9】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設する太陽電池モジュールを載置する架台を示す図であって、(a)固定金具の取付工程を示す分解斜視図、(b)固定金具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図10】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、併せて用いられる固定金具を示す斜視図である。
【図11】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、併せて用いられる固定金具を示す斜視図である。
【図12】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法において用いられる太陽電池モジュール用取付金具を示す斜視図である。
【図13】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、一群の太陽電池モジュールのうち最も水下側に敷設される太陽電池モジュールの水下側基底部に固定金具を取り付ける工程を示す断面図である。
【図14】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、一群の太陽電池モジュールのうち最も水下側に敷設される太陽電池モジュールを架台に取り付ける工程を示す断面図である。
【図15】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、一群の太陽電池モジュールのうち、最も水下側に敷設される太陽電池モジュール以外の太陽電池モジュールの水下側基底部に太陽電池モジュール用取付金具を取り付ける工程を示す断面図である。
【図16】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、隣り合う太陽電池モジュール同士を連設させる工程を示す断面図であって、架台上に載置されない部分を示しており、工程の遷移の様子を、(a)、(b)の順に示す。
【図17】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、隣り合う太陽電池モジュール同士を連設させる工程を示す断面図であって、架台上に載置される部分を示す。
【図18】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、一群の太陽電池モジュールのうち最も水上側に敷設される太陽電池モジュールの水上側支持部に当接させて、固定金具を取り付ける工程を示す断面図である。
【図19】本発明の第二の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法において用いられる太陽電池モジュール用取付金具を示す斜視図である。
【図20】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により太陽電池モジュールを敷設する際、一群の太陽電池モジュールのうち、最も水下側に敷設される太陽電池モジュール以外の太陽電池モジュールの水下側基底部に太陽電池モジュール用取付金具を取り付ける工程を示す断面図であって、(a)は取付前、(b)は取付後を示す。
【図21】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、隣り合う太陽電池モジュール同士を連設させる工程を示す断面図であって、(a)は連設前、(b)は連設後を示す。
【図22】本発明の第三の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法において用いられる太陽電池モジュール用取付金具を示す斜視図である。
【図23】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、隣り合う太陽電池モジュール同士を連設させる工程を示す断面図であって、(a)は連設前、(b)は連設後を示す。
【図24】本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法において用いられる太陽電池モジュール用取付金具の係合を解除する工程を示す断面図であって、(a)は解除前、(b)は解除後を示す。
【図25】第一から第三の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により敷設する太陽電池モジュールを載置する架台の別の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
次に、本発明の第一の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法について、図を参照して説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、太陽電池モジュール1を敷設した状態を示している。
敷設面である傾斜のついた屋根上には、複数の架台2が、水下側から水上側に長さ方向を向けて互いに平行に取り付けられている。
【0022】
一方、各太陽電池モジュール1は、水下側から水上側(架台2の長さ方向)を連設方向xとして、2本の架台2上に順次連設されている。さらに、この連設方向xに一列に敷設された一群の太陽電池モジュール1が、連設方向xと直交する向きに複数列敷設され、これにより縦横に太陽電池モジュール1が敷設されている。なお、このように太陽電池モジュール1は縦横に当接して敷設されているが、本例においては、太陽電池モジュール用取付金具3を介して連設する方向を連設方向xという。
なお、以下においては説明の便宜のため、連設方向xに一列に敷設された一群の太陽電池モジュール1について、水下側から順に第1太陽電池モジュール1、第2太陽電池モジュール1・・・第n太陽電池モジュール(nは2以上の自然数)と称することがある。
【0023】
図2、図3(a)、及び図4に示されるように、最も水下側に敷設される第1太陽電池モジュール1の水下側端部は、架台2上に載置された部分において、フレーム12の基底部124が、締結ネジ46bにより架台2上に固定された押え金具6の差込部4aに差し込まれて、架台2上に固定されている。これにより、第1太陽電池モジュール1の水下側端部は全体として、架台2上に固定されている。
【0024】
また、図2、図3(a)、及び図5に示されるように、全ての太陽電池モジュール1の水上側端部は、架台2上に載置された部分において、フレーム12の基底部124が、締結ネジ61bにより架台2上に固定された押え金具6の差込部6aに差し込まれて、架台2上に固定されている。
これに対して、第1太陽電池モジュール1以外の第2から第n太陽電池モジュール1の水下側端部は、直接的には架台2上に固定されていない。第2から第n太陽電池モジュール1の水下側端部は、図2、図3(b)、及び図6に示されるように、架台2上に載置されない部分において、フレーム12の基底部124が、太陽電池モジュール用取付金具3の押え部33によって上面から押さえ付けられると共に、この太陽電池モジュール用取付金具3の当接部36が隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の基底部124に下面から当接している。これによって、太陽電池モジュール1は上方への動きを規制されている。
【0025】
また、図2、図3(a)、及び図7に示されるように、最も水上側に敷設される第n太陽電池モジュール1の水上側端部には、架台2上に載置された部分において、締結ネジ52bによって架台2上に取り付けられた太陽電モジュール用取付金具5が外側から当接している。これにより、第n太陽電池モジュール1が水上側へ動かないようになっている。
【0026】
この点、以下においては、各太陽電池モジュール1の水上側端部を、押え金具6によって架台2上に直接固定された固定端と称し、第2から第n太陽電池モジュール1の水下側端部を架台2上に直接固定されていない自由端と称する。
以上のように架台2上に取り付けられる各太陽電池モジュール1は、連設方向x(架台2の長さ方向)に沿って、水下側端部に取り付けた太陽電池モジュール1に連設される太陽電池モジュール1において、固定端と自由端とが交互にくるように敷設されている。
【0027】
次に、敷設された一群の太陽電池モジュール1を構成する各部材について説明する。
太陽電池モジュール1は、図8(a)に示されるように、中空枠状のフレーム12と、このフレーム12の枠内に取り付けられた太陽電池サブモジュール11を有している。
太陽電池サブモジュール11は、少なくとも受光により発電する太陽電池素子を備え、適宜これを保護するカバーガラス等を積層した基板である。
本実施形態に適用される太陽電池素子は、シリコン結晶系(単結晶シリコン、多結晶シリコン)、非結晶系(アモルファスシリコン)、化合物系(CIS、CdTe、GaAsなど)、あるいは有機系の太陽電池素子等いずれのものであってもよく、その種類は特に限定されない。
【0028】
フレーム12は、太陽電池サブモジュール11を保持すると共に、積層端面を保護する枠であって、アルミニウム等の金属からなる。このフレーム12は、四つの棒状のフレーム構成部材の端部同士を直角に接続させて、太陽電池サブモジュール11の外周形状に応じた長方形状に構成されている。
【0029】
さらに、このフレーム12は、図8(b)、(c)に示されるように、太陽電池サブモジュール11を上面側から挟持する上面側挟持部121と、太陽電池サブモジュール11を下面側から挟持する下面側挟持部122と、上面側挟持部121及び下面側挟持部122の端部から下側(架台2側)へ直角に折曲して延び出した板状の支持部123と、支持部123の下端部から内側へ直角に折曲して延び出した板状の基底部124とから形成されている。
【0030】
また、フレーム12の側縁のうち、連設方向x(架台2の長さ方向)において対向する二側縁(軒側端部及び棟側端部)において、支持部123は太陽電池サブモジュール11を架台2上に支持しており、基底部124は架台2上に載置されている。
【0031】
上面側挟持部121と下面側挟持部122とによって枠状に形成される隙間の縦幅は、太陽電池サブモジュール11の厚さよりも僅かに大きく、中空部側に開口した条溝12aを形成している。この条溝12aには、ブチルゴム等の充填材を介在させた上、太陽電池サブモジュール11の外周部分が差し込まれる。これにより、太陽電池サブモジュール11とフレーム12とが一体的に太陽電池モジュール1を構成する。
【0032】
また、支持部123は、外側の面が平滑で、基底部124と直角に構成されている。これにより、支持部123同士を隣り合わせにして、複数の太陽電池モジュール1を設置した際、隣り合う太陽電池モジュール1の支持部123同士が隙間なく当接し合い、無駄なくスペースを作ることなく、太陽電池モジュール1を連設させることができる。
【0033】
架台2は、屋根等の敷設面上に複数、平行に設置され、二本一組で太陽電池モジュール1を敷設面上に支持する棒状の部材である。
この架台2は、亜鉛めっき鋼板などにより形成されており、図9に示されるように、その下端部が開口した縦長中空の四角柱状に形成されている。また、太陽電池モジュール1を載置する上面部には、長孔2aと締結孔2bが形成され、側面部の水下側端部近傍には一対の締結孔2cが形成されている。
【0034】
長孔2aは、一定の間隔ごとに設けられ、この長孔2aを介して、敷設面上に設置された所定の金具に差込ボルトが通されてナットにより締められることで、架台2が敷設面上に固定される。
締結孔2bは、架台2上において、太陽電池モジュール1の幅と同じ間隔ごとに、押え金具6の締結孔61aに対応して設けられている。
締結孔2cは、第1太陽電池モジュール1を架台2上に取り付けるための固定金具4(図10により後述)を取り付けるため、固定金具4の締結孔46aに対応して形成された孔である。この締結孔2cには、取付金具4の締結孔46aに差し込まれた締結ボルト41bが挿通される。
【0035】
また、架台2上には、所定の間隔をおいて押え金具6が取り付けられる。
押え金具6は、亜鉛めっき鋼板などからなり、一枚の板状の金属板を所定の箇所で折曲した形状からなる。
この押え金具6は、架台2上に取り付けられ、架台2の上面と平行な板状の取付部61、取付部61の端部から直角に立ち上がった立設部62、立設部62の端部から、架台2の上面と平行に、且つ、水上側(取付部61とは反対の向き)に延び出した押え部63、押え部63の端部から水上側に斜め上方に延び出した斜設部64、斜設部64の端部から、架台2と直行する向きに上方へ延び出した当接部65とから形成される。
【0036】
この押え金具6の取付部61上には、締結ネジ61bを挿通させて、押え金具6を架台2上に取り付けるための締結孔61aが2つ形成されている。
架台2上に押え金具6を取り付ける場合にはまず、架台2上の締結孔2bと、押え金具6の取付部61上の締結孔61aとを対応させて、押え金具6の取付部61を架台2上に載置する。
それから、締結ネジ61bを、締結孔61aと締結孔2bとに挿通させ、ナットに螺合する。これにより架台2と押え金具6とは一体化し、架台2の上面と押え金具6の押え部63の下面との間に、太陽電池モジュール1の基底部124を差し込むための差込部6aが形成される。
【0037】
図4及び図10に示される固定金具4は、最も水下側に敷設される第1太陽電池モジュール1の水下側端部に取り付けられると共に、架台2上に取り付けられ、第1太陽電池モジュール1の水下側端部を架台2上に固定する部材である。
【0038】
この固定金具4は、第1太陽電池モジュール1の支持部123と平行で、この支持部123の内側に接着する板状の接着部41と、この接着部41の下端から、第1太陽電池モジュール1の基底部124側へ斜め下方に延び出した板状の斜設部42と、斜設部42の端部から基底部124と水平に内側(接着部41と対向する側)へ延び出した板状の押え部43と、押え部43の端部から下方へ直角に折曲して延び出した立設部44と、立設部44の下端から、押え部43と平行に、外側(接着部41側)へ直角に折曲して延び出した板状の延出部45と、延出部45の縁辺のうち、連設方向xと直交する向きにおいて対向する2縁辺から夫々、下方へ直角に折曲して延び出した一対の側面部46とからなる。
【0039】
接着部41には、これを第1太陽電池モジュール1の水下側の支持部123の内側に接着させる両面接着テープ41aが貼り付けられている。この両面接着テープ41aによって、接着部41を第1太陽電池モジュール1の水下側の支持部123の内側に接着させることができる。
【0040】
また、側面部46の中央付近には、締結ネジ46bを挿通させるための締結孔46aが穿設されている。この締結孔46aは、架台2の締結孔2cに対応した箇所に形成されている。そして、固定金具4が、一対の側面部46の間に架台2を挟みこむようにして架台2に取り付けられた際、締結ネジ46bが締結孔46a及び締結孔2cに挿通され、ナットに螺合されることで、固定金具4が架台2に取り付けられる。
【0041】
また、押え部43と延出部45との間には、太陽電池モジュール1の基底部124の厚みよりも僅かに大きい幅の差込部4aが形成される。
この差込部4aには、第1太陽電池モジュール1の水下側の基底部124が差し込まれ、差し込まれた基底部124は、押え部43と延出部45とによって挟持される。
【0042】
図7及び図11に示される固定金具5は、最も水上側に敷設される第n太陽電池モジュール1の水上側支持部123に外側から当接すると共に、架台2上に取り付けられ、第n太陽電池モジュール1が水上側へ動かないように固定する部材である。
【0043】
この固定金具5は、第n太陽電池モジュール1の水上側の支持部123と平行な板状の立設部51と、立設部51の下端から直角に折曲して延び出した板状の基底部52とからなる。
【0044】
基底部52には、中央に締結ネジ52bを挿通させるための締結孔52aが穿設されている。この締結孔52aは、架台2上に形成された締結孔2bのうち、最も水上側に設置される第n太陽電池モジュール1の外側に位置する締結孔2bに対応した箇所に形成されている。そして、固定金具5が、基底部52を水上側に向けて架台2上に載置されると共に、締結ネジ52bが締結孔52a及び締結孔2bに挿通され、ナットに螺合されることで、固定金具5が架台2上に取り付けられる。
【0045】
図6及び図12に示されるよう太陽電池モジュール用取付金具3は、固定端を構成する、第1太陽電池モジュール1から第(n−1)太陽電池モジュール1の水上側の基底部124と、自由端を構成する、第2太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の基底部124について、隣り合う水上側の基底部124と水下側の基底部124に一体的に取り付けられ、各太陽電池モジュール1を上方へ動かないように架台2上に固定する部材である。
【0046】
この太陽電池モジュール用取付金具3は、アルミニウムやステンレス等の一枚の板状の金属板を所定の箇所で折り返した形状からなり、第1太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の支持部123と平行で、この支持部123に内側から接着する板状の接着部31と、この接着部31の下端から、各太陽電池モジュール1の基底部124側へ斜め下方に延び出した板状の斜設部32と、斜設部2の端部から基底部124と水平に内側(接着部31と対向する側)へ折曲して延び出した板状の押え部33と、押え部33の端部から下方へ直角に折曲して延び出した立設部34と、立設部34の下端から、押え部33と平行に外側(接着部31側)へ直角に折曲して、接着部31が接着する太陽電池モジュール1の基底部124の下面に延び出した板状の延出部35と、延出部35の端部からさらに、連設方向xと対向する向きへ延び出し、隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面へ延び出して、この隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面に当接する当接部36とから形成される。
【0047】
接着部31には、これを太陽電池モジュール1の水下側の支持部123の内側に接着させるための両面接着テープ31aが貼り付けられている。この両面接着テープ31aによって、接着部31を太陽電池モジュール1の水下側の支持部123の内側に接着させることができる。
【0048】
また、押え部33と延出部35との間には、太陽電池モジュール1の基底部124の厚みよりも僅かに大きい幅の差込部3aが形成される。
この差込部3aには、第2太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の基底部124が差し込まれ、差し込まれた基底部124は、押え部33と延出部35とによって挟持される。
【0049】
この太陽電池モジュール用取付金具3は、図2に示されるように、隣り合う太陽電池モジュール1間であって、太陽電池モジュール1が架台2上に当接しない部分に、取り付けられる。
この太陽電池モジュール用取付金具3が、図6に示されるように、水下側の太陽電池モジュール1と水上側の太陽電池モジュール1との間に取り付けられると、水上側の太陽電池モジュール1の水下側基底部124が押え部33によって上方から押さえ付けられると共に、太陽電池モジュール用取付金具3の当接部36が、水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124に下面から当接する。この結果、自由端である、水上側の太陽電池モジュール1の水下側端部の上方への動きが規制される。
【0050】
次に、本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、太陽電池モジュール3を敷設する一連の工程について説明する。
まず、図13に示されるように、第1太陽電池モジュール1に固定金具4を取り付ける。
この工程は、固定金具4の差込部4aに第1太陽電池モジュール1の水下側の基底部124を差し込みながら、第1太陽電池モジュール1の水下側の支持部123の内側に、固定金具4の接着部41を当接させる。これにより、両面接着テープ41aによって、支持部123の内側の面と接着部41とが接着し、第1太陽電池モジュール1に固定金具4が取り付けられる。
【0051】
それから、図14に示されるように、予め押え金具6を所定の箇所に取り付けると共に、敷設面上に設置しておいた架台2に、第1太陽電池モジュール1を取り付ける。
この工程は、架台2の締結孔2cと、固定金具4の締結孔46aとを対応するようにして、架台2の水下側端部を、固定金具4の一対の側面部46で挟み込む。これと同時に、架台2の水上側端部において、押え金具6の差込部6aに、第1太陽電池モジュール1の水上側基底部124を水上側から差し込む。
それから、図4に示されるように、締結孔46aと締結孔2cに締結ネジ46bを挿通させて、ナットに螺合させる。
これにより、第1太陽電池モジュールの水下側端部と水上側端部とが架台2上に固定される。
【0052】
次に、第1太陽電池モジュール1に順次、第2太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1を連設させる。
まず、第2太陽電池モジュール1について、図15に示されるように、水下側端部に太陽電池モジュール用取付金具3を取り付ける。
この工程は、太陽電池モジュール用取付金具3の差込部3aに、第2太陽電池モジュール1の水下側基底部124を差し込みながら、第2太陽電池モジュール1の水下側の支持部123の内側の面に、太陽電池モジュール用取付金具3の接着部31を当接させる。これにより、両面接着テープ31aによって、接着部31が支持部123の内側の面に接着し、太陽電池モジュール用取付金具3が第2太陽電池モジュール1に取り付けられる。
【0053】
それから、図16に示されるように、第2太陽電池モジュール1の水下側支持部123の外側を、隣り合う第1太陽電池モジュール1の水上側支持部123の外側に当接させると共に、第2太陽電池モジュール1に取り付けられた太陽電池モジュール用取付金具1の当接部36を、第1太陽電池モジュール1の基底部124に下面から当接させる。
【0054】
この際、図17に示されるように、架台2上において、第2太陽電池モジュール1の水上側基底部124を、押え金具6の差込部6aに水上側から差し込む。
これにより、第2太陽電池モジュール1の自由端である水下側端部は、図6に示されるように、太陽電池モジュール1用取付金具3の押え部33によって水下側基底部124を上面から押さえつけられており、これと併せて、太陽電池モジュール用取付金具3の当接部36が第1太陽電池モジュール1の基底部124に下面から当接することによって、第2太陽電池モジュールの上方への動きが規制される。
また、第2太陽電池モジュール1の水上側端部は、押え金具6によって架台2上に固定されて固定端を構成する。
【0055】
そして、以上のような第2太陽電池モジュール1の取付工程に倣って、最も水上側に敷設される第n太陽電池モジュール1までの全ての太陽電池モジュール1を架台2上に取り付けられると、図18に示されるように、第n太陽電池モジュール1の水上側端部の外側に、固定金具5を取り付ける。
この工程は、第n太陽電池モジュール1の水上側支持部123の外側に固定金具5の立設部51の外側を当接させると共に、固定金具5の基底部52を架台2上に載置する。そして、基底部52上に穿設されている締結孔52a、及び架台2上の締結孔2bに締結ネジ52bを挿通させ、ナットに螺合させる。
これにより、太陽電池モジュール用取付金具1が架台2上に取り付けられると共に、第n太陽電池モジュール1の水上側(連設方向x)への動きが規制される。また、この結果、全ての太陽電池モジュール1の自由端は、上方及び水上側への動きが規制され、架台2上に固定されることとなる。
【0056】
以上により説明した第一の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法により、太陽電池モジュール1や架台に特別な構造を設けることなく、複数の太陽電池モジュール1を隙間なく、且つ、架台2上にしっかりと固定して敷設することができる。また、太陽電池モジュール1を隣り合う水下側の太陽電池モジュール1側へスライドさせていくだけで取り付けることができて容易である。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明の第二の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法において用いられる太陽電池モジュール用取付金具の別の例について説明する。
図19乃至図21に示されるように、太陽電池モジュール用取付金具7は、アルミニウムやステンレス等の一枚の板状の金属板を所定の箇所で折り返した形状からなり、第1太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の支持部123と平行で、この支持部123に内側から接着する板状の接着部71と、この接着部71の下端から、各太陽電池モジュール1の基底部124側へ斜め下方に延び出した板状の斜設部72と、斜設部72の端部から基底部124と水平に内側(接着部71と対向する側)へ折曲して延び出した板状の押え部73と、押え部73の端部から下方へ直角に折曲して延び出した立設部74と、立設部74の下端から、押え部73と平行に外側(接着部71側)へ直角に折曲して、接着部71が接着する太陽電池モジュール1の基底部124の下面に延び出した延出部75と、延出部45の端部からさらに、連設方向xと対向する向きへ延び出し、隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面へ延び出して、この隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面に当接する付勢部76とからなる。
【0058】
接着部71には、太陽電池モジュール用取付金具3と同様に、これを太陽電池モジュール1の支持部123の内側に接着させる両面接着テープ71aが貼り付けられている。この両面接着テープ71aによって、当接部71を第1太陽電池モジュール1の支持部123の内側に接着させることができる。
【0059】
また、押え部73と延出部75との間には、太陽電池モジュール1の基底部124の厚みよりも僅かに大きい幅の差込部7aが形成される。
この差込部7aには、第2太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の基底部124が差し込まれる。
【0060】
付勢部76は、延出部75よりも肉厚で、延出部75との境界部分に段差を形成し、その上面が延出部75の上面よりも高くなっている。
この付勢部76は、隣り合う太陽電池モジュール1間に太陽電池モジュール用取付金具7が取り付けられた際、水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124を下面から上方へ押し上げるように付勢する。一方、太陽電池モジュール用取付金具7が取り付けられた水上側の太陽電池モジュール1側からみた場合には、付勢部76と延出部75の厚みの差の分だけ、押え部73により、水下側基底部124が上面から下方へ押し下げられるように力がかかる。
【0061】
この太陽電池モジュール用取付金具7を用いた太陽電池モジュール1の敷設工程を、図20及び図21により説明する。
まず予め、第一の実施形態におけるのと同様に、太陽電池モジュール用取付金具7を、第2から第n太陽電池モジュール1の水下側端部に取り付ける。
この工程は、図20に示されるように、太陽電池モジュール用取付金具7の差込部7aに、太陽電池モジュール1の水下側基底部124を差し込ませると共に、接着部71を太陽電池モジュール1の水下側支持部123の内側の面に当接させる。これにより、両面接着テープ71aによって、接着部71と、水下側支持部123の内側の面とが接着し、太陽電池モジュール用取付金具7が太陽電池モジュール1に取り付けられる。
【0062】
ここで、この太陽電池モジュール用取付金具7が太陽電池モジュール1の水下側基底部124に取り付けられる際には、延出部75と付勢部76の境界部分に形成された段差部分が、太陽電池モジュール1の支持部123に外側から係合する。この係合によって、太陽電池モジュール1の水下側基底部124に太陽電池モジュール用取付金具7を確実に取り付けることができ、また、係合時に、延出部75が跳ね上がるようにして基底部124に当接し、この際の音あるいは取付の感覚によって、取り付けが確実に行われたことを直感的に確認することができる。
【0063】
それから、図21に示されるように、隣り合う太陽電池モジュール1の支持部123同士を向かい合わせに当接させると共に、付勢部76を、隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124に下面から当接させる。
なお、太陽電池モジュール用取付金具7の取り付けられた太陽電池モジュール1の水上側端部は、第一の実施形態と同様、架台2上に載置される部分において、水上側基底部124が押え金具6の差込部6aに差し込まれて固定端を構成する。
【0064】
以上の本実施形態によれば、太陽電池モジュール用取付金具7の付勢部76の上面が延出部75の上面よりも高く形成されているため、その高さの差の分だけ、水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124を上方に持ち上げる力が働く。また、これと同時に、押え部73によって、水上側の太陽電池モジュール1の水下側基底部124を下方へ押し下げる力が強く働く。これにより、水上側の太陽電池モジュール1の自由端は、より強く上方への動きを規制される。
【0065】
なお、本実施形態において用いられる太陽電池モジュール用取付金具7の付勢部76は、延出部75との境界部分に段差を設けると共に、上面と下面とを水平にしたが、これに限らず、付勢部76の上面は、延出部75との境界部分から外側へ向かって徐々に高くなるような傾斜面としてもよい。
【実施例3】
【0066】
次に、本発明の第三の実施形態における太陽電池アレイの施工方法において用いられる太陽電池モジュール用取付金具のさらに別の例について説明する。
図22及び図23に示されるように、太陽電池モジュール用取付金具8は、アルミニウムやステンレス等の一枚の板状の金属板を所定の箇所で折り返した形状からなり、第1太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の支持部123と平行で、この支持部123に内側から接着する板状の接着部81と、この接着部81の下端から、各太陽電池モジュール1の基底部124側へ斜め下方に延び出した板状の斜設部82と、斜設部82の端部から基底部124と水平に内側(接着部81と対向する側)へ折曲して延び出した板状の押え部83と、押え部83の端部から下方へ直角に折曲して延び出した立設部84と、立設部84の下端から、押え部83と平行に外側(接着部71側)へ直角に折曲して、接着部81が接着する太陽電池モジュール1の基底部124の下面に延び出した延出部85と、延出部85の端部からさらに、連設方向xと対向する向きへ延び出し、隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面へ延び出して、この隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面に当接する当接部86と、当接部86の端部から上方へ直角に突出した係合爪87とからなる。
【0067】
接着部81には、太陽電池モジュール用取付金具3と同様に、太陽電池モジュール1の支持部123の内側に接着する両面接着テープ81aが貼り付けられている。この両面接着テープ81aによって、接着部81を第1太陽電池モジュール1の支持部123の内側に接着させることができる。
【0068】
また、押え部83と延出部85との間には、太陽電池モジュール1の基底部124の厚みよりも僅かに大きい幅の差込部8aが形成される。
この差込部8aには、第2太陽電池モジュール1から第n太陽電池モジュール1の水下側の基底部124が差し込まれる。
【0069】
係合爪87は、隣り合う太陽電池モジュール1間に太陽電池モジュール用取付金具8が取り付けられた際、水下側太陽電池モジュール1の水上側基底部124の内側の縁辺部に係合し、水上側の太陽電池モジュール1が水上方向に動くのを規制する。
【0070】
この太陽電池モジュール用取付金具8を用いた太陽電池モジュール1の敷設工程を、図22により説明する。
まず予め、第一の実施形態におけるのと同様に、太陽電池モジュール用取付金具8を、第2から第n太陽電池モジュール1の水下側端部に取り付ける。この工程は、図22に示されるように、太陽電池モジュール用取付金具8の差込部8aに、太陽電池モジュール1の水下側基底部124を差し込ませると共に、接着部81を太陽電池モジュール1の水下側支持部123の内側の面に当接させる。これにより、両面接着テープ81aによって、当接部81と、水下側支持部123の内側の面とが接着し、太陽電池モジュール1に太陽電池モジュール用取付金具8が取り付けられる。
【0071】
それから、隣り合う太陽電池モジュール1の支持部123同士を向かい合わせに当接させると共に、当接部86を、隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124に下面から当接させる。
この際、係合爪87は、隣り合う水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の内側の縁辺部に係合する。
なお、太陽電池モジュール用取付金具8の取り付けられた太陽電池モジュール1の水上側端部は、第一の実施形態と同様、架台2上に載置される部分において、水上側基底部124が押え金具6の差込部6aに差し込まれて固定端を構成する。
【0072】
以上の本実施形態によれば、太陽電池モジュール用取付金具8の係合爪87により、水上側太陽電池モジュール1は、水上側への動きが規制され、各太陽電池モジュール1ごとに水上方向への動きを規制することができる。また、隣り合う太陽電池モジュール1を連設させる際、水下側の太陽電池モジュール1の水上側基底部124の下面をスライドした係合爪87が、この水上側基底部124の内側端部に係合する際、当接部86が水上側基底部124の下面に当たって音を立てるので、隣り合う太陽電池モジュール1同士がしっかりと連設したか否かを直感的に判別することができる。
【0073】
さらに、本実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法によって連設された太陽電池モジュール1同士について、太陽電池モジュール用取付金具8の係合爪87と、太陽電池モジュール1の基底部124との係合を解除する工程について説明する。
図24に示されるように、太陽電池モジュール用取付金具8による係合を解除する際には解除板88を用いる。
解除板88は、平板状の薄板であり、木材や金属などからなる。
【0074】
係合の解除の際には、図24(a)に示されるように、隣り合う太陽電池モジュール1間において当接し合う支持部123の間に、上方から解除板88を差し込む。そして、解除板88の先端を、太陽電池モジュール用取付金具8の延出部85ないし当接部86に当接させて、さらに延出部85ないし当接部86を押し下げる。
延出部85ないし当接部86を一定程度押し下げると、図24(b)に示されるように、係合爪87の上端が、太陽電池モジュール1の基底部124の下面より下方に押し下げられ、係合が解除される。この状態で、水上側の太陽電池モジュール1を水上方向へ引くと、連設されていた太陽電池モジュール1が分離される。
【0075】
なお、解除板88は、一端部の厚みを薄くし、他端に向かって徐々に肉厚としてもよい。これにより、厚みの薄い端部を先端部として、隣り合う太陽電池モジュール1の支持部123間に解除板88をスムーズに差し入れることができる。
【0076】
最後に、既述した第一から第三の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法において用いられる架台2の別の形態について、図25を参照して説明する。
図25に示されるように、架台2の別の例に係る架台9は、既述した架台2と同様、亜鉛めっき鋼板などにより形成されており、その下端部が開口した縦長中空の四角柱状に形成されている。
この架台9の上面部には長孔9aが形成され、側面部の軒側端部近傍には締結孔9bが形成されている。長孔9a、締結孔9bは夫々、既述した架台2における長孔2a、締結孔2cと同様のものである。
【0077】
また、この架台9の上面には係合片91が所定の間隔をおいて設けられている。
この係合片91は、架台9の上面部を切り起こすことで上側に突出させて形成されている。したがって、係合片91は、架台9の上端面から立ち上がって水上側に開口し、架台9の上面との間にわずかな隙間ができるようになっている。この隙間には、太陽電池モジュール1の基底部124を差し込むことができ、これにより、太陽電池モジュール1を架台9上に固定することができる。
【0078】
なお、以上の通り説明した第一から第三の実施形態に係る太陽電池アレイの施工方法による太陽電池モジュール1の敷設においては、傾斜した屋根を敷設面としたが、これに限らず、平坦な陸屋根などにも適用可能であり、特に敷設面が限定されることはない。
また、本例では、太陽電池モジュール用取付金具3、7、8を太陽電池モジュール1に接着させる際、太陽電池モジュール1の支持部123と、太陽電池モジュール用取付金具3、7、8の接着部31、71、81とを、両面接着テープ31a、71a、81aにより接着させたが、これに限らず、接着剤を用いて接着させてもよい。また、接着させる箇所についても、太陽電池モジュール1の基底部124と、押え部33、73、83、立設部34、74、84、ないしは延出部35、75、85とを両面接着テープや接着剤により接着させるものとしてもよいし、差込部3a、7a、8aに充填剤を充填させて、太陽電池モジュール1の基底部124と太陽電池モジュール用取付金具3、7、8とを接着させてもよい。さらに、固定金具4についても同様に、接着剤を用いて接着させてもよいし、太陽電池モジュール1の基底部124と、押え部43、立設部44、ないしは延出部45とを両面接着テープや接着剤により接着させるものとしてもよい。
また、本例では、隣り合う太陽電池モジュール1の間に、三つの太陽電池モジュール用取付金具3、7、8を取り付けているが、特に数は限定されない。
【符号の説明】
【0079】
1 太陽電池モジュール
11 太陽電池サブモジュール
12 フレーム
12a 条溝
121 上面側挟持部
122 下面側挟持部
123 支持部
124 基底部
2、9 架台
2a、9a 長孔
2b 締結孔
2c、9b 締結孔
3、7、8 太陽電池モジュール用取付金具
3a、7a、8a 差込部
31、71,81 接着部
31a、71a、81a 両面接着テープ
32、72、82 斜設部
33、73、83 押え部
34、74、84 立設部
35、75、85 延出部
36、76、86 当接部
4 固定金具
4a 差込部
41 接着部
41a 両面接着テープ
42 斜設部
43 押え部
44 立設部
45 延出部
46 側面部
46a 締結孔
46b 締結ネジ
5 固定金具
51 立設部
52 基底部
52a 締結孔
52b 締結ネジ
6 押え金具
6a 差込部
61 取付部
61a 締結孔
61b 締結ネジ
62 立設部
63 押え部
64 斜設部
65 当接部
87 係合爪
88 解除板
9 架台
9a 長孔
9b 締結孔
91 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設面上に設置され、太陽電池モジュールが載置される上面に、当該太陽電池モジュールを固定するための固定部が所定の間隔おいて形成された架台と、
受光して発電する太陽電池サブモジュールと、当該太陽電池サブモジュールを枠状に囲う枠体、当該枠体の側縁のうち、上記架台上の連設方向において対向する二側縁から夫々、上記架台側に延び出した板状の支持部、及び、当該支持部の下端から内側に向かって延び出し、上記架台上に載置されると共に、上記架台の固定部により上記架台上に固定される板状の基底部、を備えたフレームと、からなる太陽電池モジュール、において、
上記太陽電池モジュールを上記架台上に固定する金具であって、一枚の板状の金属板を所定の箇所で折り返した形状からなり、上記太陽電池モジュールの基底部を上面から押さえ込む押え部と、上記押え部の一端部から外側へ折曲して、上記基底部の下面側に延び出した延出部と、上記延出部の端部から上記隣り合う太陽電池モジュール側へ延び出し、上記隣り合う太陽電池モジュールの基底部に下面から当接する当接部と、を有する太陽電池モジュール用取付金具により、
上記架台上に複数の上記太陽電池モジュールを取り付けるための施工方法であって、
上記架台上に第一の太陽電池モジュールを載置すると共に、当該第一の太陽電池モジュールの一の基底部を上記架台の固定部により固定する工程と、
上記架台上の連設方向において、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部側に、第二の太陽電池モジュールを、上記支持部同士を隣り合わせにして連設させる際、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部に、上記第二太陽電池モジュールの一の基底部に取り付けられた上記太陽電池モジュール用取付金具の当接部を下面側から当接させると共に、上記架台の固定部により、上記第二の太陽電池モジュールの他の基底部を上記架台上に固定する工程と、を有する、
ことを特徴とする太陽電池アレイの施工方法。
【請求項2】
上記第一の太陽電池モジュールに上記第二の太陽電池モジュールを連設させる際、予め、上記第二の太陽電池モジュールの一の基底部を、上記太陽電池モジュール用取付金具の押え部と延出部とに挟持させて、上記太陽電池モジュール用取付金具を上記第二の太陽電池モジュールに取り付ける工程、をさらに有する、
請求項1記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項3】
上記太陽電池モジュール用取付金具は、上記押え部の一端部から上方へ延び出し、上記太陽電池モジュールの支持部に接着する接着部、をさらに有し、
上記太陽電池モジュール用取付金具を上記第二の太陽電池モジュールに取り付ける工程において、接着テープあるいは接着剤を介して、上記接着部を上記支持部に接着させる、
請求項2記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項4】
上記太陽電池モジュール用取付金具を上記第二の太陽電池モジュールに取り付ける工程において、上記延出部と上記当接部との間に、接着剤を充填させて、上記太陽電池モジュール用取付金具を上記太陽電池モジュールに接着させる、
請求項2又は3記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項5】
上記太陽電池モジュールは、上記フレームの支持部の外側の面が平滑に形成されており、
上記第一の太陽電池モジュールに上記第二の太陽電池モジュールを連設させる際、上記第一の太陽電池モジュールと上記第二の太陽電池モジュールの支持部同士を隙間なく当接させる、
請求項1乃至4いずれかの項に記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項6】
上記架台は、上記固定部が、上記基底部を差し込み可能な係合片を構成しており、
上記第一の太陽電池モジュールないしは上記第二の太陽電池モジュールの基底部を上記架台の固定部により固定する際、当該基底部を、上記係合片に差し込んで係合させる、
請求項1乃至5いずれかの項に記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項7】
上記敷設面は傾斜しており、
上記第一の太陽電池モジュールの一の基底部を上記架台上に固定する工程は、上記第一の太陽電池モジュールの水上側の基底部を、上記架台の固定部により上記架台上に固定し、
上記架台の固定部により、上記第二の太陽電池モジュールの他の基底部を上記架台上に固定する工程は、上記架台上の連設方向において、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部側に、第二の太陽電池モジュールを、上記支持部同士を隣り合わせにして連設させる際、上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部に、上記第二の太陽電池モジュールの水下側の基底部に取り付けられた上記太陽電池モジュール用取付金具の延出部を下面側から当接させる、
請求項1乃至6いずれかの項に記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項8】
上記太陽電池モジュール用取付金具の当接部の先端には、上記隣り合う太陽電池モジュールの固定された基底部の端部に係合する係合爪が形成されており、
上記第一の太陽電池モジュールの固定された基底部の端部に、上記第二太陽電池モジュールの一の基底部に取り付けられた上記太陽電池モジュール用取付金具の係合爪を係合させる工程、をさらに有する、
請求項1乃至7いずれかの項に記載の太陽電アレイの施工方法。
【請求項9】
上記第一の太陽電池モジュールを上記架台上に取り付ける際、上記第一の太陽電池モジュールの端部の内、連設方向において上記第二の太陽電池モジュールと反対側に位置する基底部を上記架台上に固定する工程、をさらに有する、
請求項1乃至8いずれかの項に記載の太陽電池アレイの施工方法。
【請求項10】
順次太陽電池モジュールを連設させ、末端に連設される太陽電池モジュールを上記架台上に取り付ける際、上記架台上に取り付けられると共に、当該末端に連設された太陽電池モジュールの連設方向の端部に外側から当接して、上記太陽電池モジュールの連設方向への動きを規制する金具を取り付ける工程、をさらに有する、
請求項1乃至9いずれかの項に記載の太陽電池アレイの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−226122(P2011−226122A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96003(P2010−96003)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】