説明

太陽電池パネル用耐候試験装置

【課題】 複数の希ガス放電ランプの各々の発光効率のバラツキが抑制されると共に太陽電池パネルが温度ムラを生ずることなく規定された温度条件に維持される、新規な構造の太陽電池パネル用耐候試験装置を提供すること。
【解決手段】 この太陽電池パネル用耐候試験装置は、太陽電池パネルの光照射面に対して離間して対向するよう配置された、各々ランプ中心軸が互いに平行に延びる複数の棒状の希ガス放電ランプと、隣接する希ガス放電ランプ間の隙間を通過させて前記太陽電池パネルの光照射面に向かって冷却風を送風する送風機構と、当該送風機構によって送風される冷却風の温度を調整する温度調整機構とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、大面積の太陽電池パネルに対して紫外線を照射する太陽電池パネル用耐候試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、地球環境の保全の観点から、化石燃料消費をあまり伴わないクリーンなエネルギーが求められている。これらの中でも、無尽蔵とも言える太陽エネルギーを利用できる太陽電池が着目されており、太陽光発電システムなどの導入、開発が行われている。太陽電池の寿命特性は、太陽から放射される紫外線による影響が最も大きく、日光照射によって物理的、化学的な劣化が生じ、それに伴って、太陽電池の性能や機能が劣化する。従って、例えば日光照射による劣化の状況を使用条件ごとに予め知っておくことなどは、製品設計上、非常に重要な要素となり、例えば故意に紫外線を照射させて耐候特性を評価するための耐候試験装置が提案されている。
【0003】
このような耐候試験装置においては、例えば太陽から放射される紫外線量の5倍以上の紫外線を太陽電池に故意に放射させるといった過酷な条件下に太陽電池を晒すことにより意図的に劣化を進めて製品寿命を検証する加速試験を行うものとして利用されており、紫外線源としては、スペクトル分布や放射照度の点で優れていることから、例えばメタルハライドランプなどが好適に用いられている(特許文献1参照。)。
【0004】
太陽電池パネルの耐候試験においては、太陽電池パネルの温度が例えば60℃という規定された温度状態で行われる。従って、耐候試験装置においても、紫外線照射を太陽電池パネルの規定温度(60℃)に維持した状態で行うことのできるものであることが必要とされる。
そこで、上記特許文献1には、図8に示すように、温度調整機構55によって所定の温度に調整された冷却風(図8において破線で示す矢印)を通風ダクト60より耐候試験装置内に導入し、太陽電池パネル41の下方から、各々太陽電池パネル41に垂直な方向に延びるよう互いに平行に配設された導風ガイド75を介して、送風する構成とされることが記載されており、このような構成とされることにより、メタルハライドランプ70からの紫外線が吸収されることにより発熱する太陽電池パネル41が冷却風によって冷却されて規程温度に維持されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−241487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メタルハライドランプは発熱量が大きいだけでなく、放射光量の変動性、瞬時点灯の困難性、寸法的に大型であるなど多々問題を有する。特に、発熱量が大きいことは、太陽電池パネルに対する熱的影響を防止するという点で、耐候試験装置内における温度制御を煩雑化し、致命的な問題となる。
然るに、上記特許文献1には、冷却風を導入することにより耐候試験装置内の温度を冷却することが記載されているものの、太陽電池パネル41の下方から太陽電池パネル41に向かって冷却風を噴き出すものであり、もっとも重要な太陽電池パネル41の光照射面(太陽光を受光する面)における温度管理がなされていない点で、メタルハライドランプ70の発熱による太陽電池パネル41への熱的影響に対する十分な対策がなされていない。すなわち、図9に示すように、下方からの冷却風の吹き付けにより太陽電池パネル41の下面からの排熱は促進されるが、太陽電池パネル41の光照射面41Aについては、自然対流による排熱効果しか得られないので、暖まった空気が散らされず上面中央部に集まる(上昇気流が形成される)ことにより、太陽電池パネル41の上面および下面に接する気温(周囲温度)にひらきが生じ、排熱能力差が広がり、太陽電池パネル41の厚さ方向における温度ムラを生じやすい。
また、耐候試験装置においては、メタルハライドランプ70の冷却を行うことも必要とされ、特に大面積の太陽電池パネル41に対して耐候試験を行うために、複数のメタルハライドランプ70が用いられる場合には、メタルハライドランプ70を十分に冷却することができないため。冷却ムラにより太陽電池パネル41の光照射面41Aの照度が不均一になるという問題もある。
さらにまた、メタルハライドランプ70は、ランプ自体の寿命が短く、頻繁にランプ交換をしなければならない。
【0007】
そこで、本発明者らは、紫外域において太陽光に似たスペクトル分布を有するものであって、メタルハライドランプと比べて、発熱量が小さく、放射光量の変動性も小さく、また瞬時点灯も可能であり、さらには寸法的にも小型であるなどの特長を有する外部電極型希ガス放電ランプに注目した。希ガス放電ランプは、例えば殺菌装置、原稿照明装置、バックライトなどの光源といった種々の用途において広く用いられているが、太陽電池用パネルの耐候試験装置の光源として用いること、特に、大面積の太陽電池に対応するために複数本の希ガス放電ランプを並べて用いることは、従来においては知られていない。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、複数の棒状の希ガス放電ランプを具えた構成のものにおいて、各々の希ガス放電ランプの発光効率のバラツキを抑制することができると共に、太陽電池パネルの温度ムラを生じさせることなく規定された温度条件に維持することのできる、新規な構造を有する太陽電池パネル用耐候試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置は、太陽電池パネルの光照射面に対して離間して対向するよう配置された、各々ランプ中心軸が互いに平行に延びる複数の棒状の希ガス放電ランプと、隣接する希ガス放電ランプ間の隙間を通過させて前記太陽電池パネルの光照射面に向かって冷却風を送風する送風機構と、当該送風機構によって送風される冷却風の温度を調整する温度調整機構とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置においては、前記温度調整機構は、前記太陽電池パネルの光照射面についての設定温度より低い温度に調整する機能を有するものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置においては、前記太陽電池パネルに吹き付けられて高温となった冷却風を前記温度調整機構に導入し、当該温度調整機構によって温度調整した後、再び、前記送風機構によって前記太陽電池パネルに向けて送風する循環送風システムが構築された構成とされていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置においては、前記太陽電池パネルの光照射面に沿って流過された冷却風の少なくとも一部が当該太陽電池パネルの背面側を流過される構成とされていることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置においては、前記送風機構から各々の希ガス放電ランプに送風される冷却風の風速分布を調整する送風分布調整機構をさらに具えた構成とされていることが好ましい。
【0014】
さらにまた、本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置においては、前記希ガス放電ランプとして、発光管の外面に一対の電極が配置されると共に、当該発光管の内面に蛍光体が塗布されてなるものを用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置によれば、温度調整機構によって適正な温度に調整された冷却風が送風機構によって隣接する希ガス放電ランプ間の隙間を通過されて太陽電池パネルの光照射面に向かって送風(供給)される構成とされていることにより、各々の希ガス放電ランプがランプ毎に均一に冷却されるので、冷却ムラによる発光効率のバラツキが生ずることを抑制することができると共に太陽電池パネルに対する放射熱による影響を小さく抑制することができ、しかも、冷却風が太陽電池パネルの光照射面にその垂直な方向から吹き付けられるので、太陽電池パネル自体をその光照射面における温度の面内均一性が高い状態で冷却することができる。従って、所期の紫外線照射を、太陽電池パネルに温度ムラを生じさせることなく規定された温度条件に維持しながら、行うことができる。
また、各々の希ガス放電ランプの冷却および太陽電池パネルの冷却が共通の送風機構によって行われるので、煩雑な制御を行うことが不要であり、また、構造の簡素化および消費エネルギーの低減化を図ることできる。
【0016】
温度調整機構が太陽電池パネルの光照射面についての設定温度より低い温度に調整する機能を有するものであることにより、希ガス放電ランプの冷却により冷却風の温度が上昇されても、太陽電池パネルの光照射面に吹き付けられる冷却風の温度は、太陽電池パネルの温度を設定温度に維持するために必要な十分に低い温度が維持されたものとなるので、希ガス放電ランプの冷却および太陽電池パネルの冷却を確実に行うことができる。また、冷却風の温度が太陽電池パネルの光照射面についての設定温度より低い温度に調整されればよいので、温度制御(管理)を容易に行うことができる。
【0017】
また、太陽電池パネルに吹き付けられて高温となった冷却風を温度調整機構に導入し、この温度調整機構によって温度調整した後、再び、送風機構によって太陽電池パネルに向けて送風する循環送風システムが構築された構成とされていることにより、装置の外部より冷却風を取り入れること、および、装置外部に冷却風を排気する必要がなくなるので、送風システムをコンパクトに構成することができる。
【0018】
太陽電池パネルの光照射面に沿って流過された冷却風の少なくとも一部が当該太陽電池パネルの背面側を流過される構成とされていることにより、太陽電池パネルの光照射面にその垂直な方向から吹き付けられる冷却風の流れる方向を特定の方向に偏らせることなく、冷却風を光照射面に沿って流過させることができるので、太陽電池パネルをその光照射面における温度の面内均一性が高い状態で冷却することができると共に、光照射面に沿って流過された冷却風が太陽電池パネルの背面側に流れ込むことにより、太陽電池パネルが背面側からも冷却されるので、太陽電池パネルの厚さ方向における温度ムラが生ずることを抑制することができる。
【0019】
さらにまた、送風機構から各々の希ガス放電ランプに送風される冷却風の風速分布を調整する送風分布調整機構をさらに具えた構成とされていることにより、希ガス放電ランプを一層確実にランプ毎に均一な冷却条件で冷却することができる。
【0020】
さらにまた、希ガス放電ランプが、発光管の内部空間において生ずる所定の波長域の紫外線(真空紫外線)の作用によって蛍光体層を発光させる構成のものであることにより、余分な光成分が太陽電池パネルに放射されることがないので、所期の耐候試験を高い信頼性をもって行うなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置において用いられる希ガス放電ランプの一例における構成の概略を示す図であって、(a)ランプ中心軸に沿った断面図、(b)(a)におけるB−B線断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置におけるランプユニットの配置例の一例を示す斜視図である。
【図4】ランプユニットの一例における構成の概略を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
【図6】ランプユニットの他の例における構成の概略を一部を省略して示す、ランプ中心軸方向からみた説明用正面図である。
【図7】図6に示すランプユニットをケーシングの側壁を省略した状態で示す、矢印A方向から見た説明用側面図である。
【図8】従来における耐候試験装置の一例における構成の一部を概略的に示す図である。
【図9】図8に示す耐候試験装置における冷却風の流れを示す観念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置は、複数の希ガス放電ランプを光源として備えてなるものである。以下においては、先ず、希ガス放電ランプについて説明する。
【0023】
〔希ガス放電ランプ〕
図1は、本発明の太陽電池パネル用耐候試験装置において用いられる希ガス放電ランプの一例における構成の概略を示す図であって、(a)ランプ中心軸に沿った断面図、(b)(a)におけるB−B線断面図である。
この希ガス放電ランプ11は、両端が封止された直管状のガラス製の発光管12を具えており、この発光管12の内部には、キセノンガスあるいはキセノンガスを主成分とする混合ガスが所定量封入されている。
発光管12を構成するガラス材料としては、例えばバリウムガラス、コバールガラス、タングステンガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラスなどを用いることができる。
発光管12の外径は、例えば6mm以上15mm以下であり、肉厚は0.3mm以上、0.6mm以下である。特に、発光効率を高くすることができることから、発光管12の外径は9.8〜14mmであることが好ましい。
【0024】
発光管12の内周面には、例えば略全域にわたって蛍光体層13が形成されている。この蛍光体層13は、例えば、酢酸ブチルにニトロセルロースを混合した溶剤に、可視光または紫外光を発光する蛍光体物質を混合した蛍光体スラリーを発光管12の内面に塗布し、焼成することにより形成することができる。蛍光体物質としては、例えば紫外発光用のもの、青色発光用のもの、緑色発光用のもの、赤色発光用のものが組み合わされて用いられ、例えば、紫外発光蛍光体としては、LaMgAl1119:Ce,Ce−(Mg,Ba)−Al−Oなどを例示することができ、赤色蛍光体としては、(Y,Gd)BO3 :EuないしはY2 3 :Euなどを例示することができ、緑色蛍光体としては、LaPO4 :Ce,Tbなどを例示することができ、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Euなどを例示することができるが、蛍光体物質はこれらに限定されるものではない。
蛍光体層13の厚さは、例えば10〜25μmであり、用いられる蛍光体物質の組み合わせによって最も明るくなる大きさが選定される。蛍光体層13の厚さは、通常は、13〜17μmが最適である。
蛍光体層13の形成される領域は、発光管12の内周面の略全域である必要はなく、発光管12の内周面の一部に蛍光体層13が形成されていない領域、または、蛍光体層13の厚さが小さい領域が形成されていてもよい。
【0025】
発光管12の外周面には、ランプ中心軸Cを挟んで互いに対向する位置に、各々概略帯状の一対の電極14A,14Bが発光管12の管軸(ランプ中心軸)に沿って延びるよう設けられており、一方の電極14Aが高圧側電極、他方の電極14Bが低圧側電極として機能する。
各々の電極14A,14Bは、例えばアルミニウム、銅などの金属製テープを帯状に切断したものを発光管12の外周面に貼り付けて構成されたものにより、あるいは、銀ペーストなどの導電性ペースト材料を発光管12の外周面にスクリーン印刷し、焼き付けることにより形成された薄膜により構成されており、例えば銀ペーストの薄膜により構成される場合には、厚みは2〜20μmの範囲内であることが好ましい。
また、各々の電極14A,14Bは、発光管12の内部で生じた発光を放射するためのスリットや開口が形成された構成とすることができる。電極に例えばスリットを形成する技術については、例えば特開平09−298049号公報に開示される。
【0026】
希ガス放電ランプ11の具体的な構成例を示すと、発光管12は、長さ450mm、外径φ10mmであり、発光長は420mm程度である。発光管12の内部に封入されるキセノンガスの量は、10〜40kPaの範囲内、例えば20kPaである。各々の電極14A,14Bの幅は0.2〜4mmの範囲内、例えば4mmである。定格点灯電力が20〜40W程度に設定される。
【0027】
〔太陽電池パネル用耐候試験装置〕
<第1の実施の形態>
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置の一例における構成の概略を示す説明図、図3は、本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置におけるランプユニットの配置例の一例を示す斜視図である。
この太陽電池パネル用耐候試験装置(以下、単に「耐候試験装置」という。)は、内部に太陽電池パネル41に対して所定の紫外線照射処理を行うための処理室46が形成された、全体が直方体形の箱状のハウジング45を具えており、処理室46の内部には、太陽電池パネル41が載置される、例えばステンレス鋼よりなるステージ40が、ワーク載置面が例えば水平方向に延びるよう、配置されている。
【0028】
ハウジング45における上壁には、各々複数の上記希ガス放電ランプ11を具えてなる複数のランプユニット10が、ステージ40上に載置される太陽電池パネル41と離間して対向するよう設けられている。具体的には、図3に示すように、複数(この例では20個)のランプユニット10が、各々のランプユニット10における希ガス放電ランプ11のランプ中心軸Cがステージ40のワーク載置面と平行な平面内に位置されると共に互いに平行に延びる姿勢で、縦横に並んで二次元的に配置されている。
【0029】
各々のランプユニット10は、図4に示すように、下方に開口する光放射開口51を有する全体が略箱型形状のケーシング50を具えており、このケーシング50内における下方領域には、複数本(この例では10本)の希ガス放電ランプ11が、ランプ中心軸Cが同一平面内に位置されると共に互いに平行に延びる姿勢で、例えば等間隔毎に並んで配置されている。
ケーシング50内における、希ガス放電ランプ11の並ぶ方向における中央領域には、各々の希ガス放電ランプ11に冷却風を供給するための冷却風路28を区画する2つの冷却風路区画壁26が各々互いに対向してランプ配置面Sに垂直な方向に延びるよう、設けられており、これにより、ケーシング50内における上方領域の両側に、各々内部に区画された空間部を有するインバータ収容室21が形成されている。このインバータ収容室21には、希ガス放電ランプ11の各々に対応する複数(この例では10個)のインバータ30およびその他の電装体が配置されている。
【0030】
ケーシング50の上壁には、冷却風路28の直上の位置および各々のインバータ収容室21に対応する位置の各々に、例えば送風ファン25A,25Bよりなる送風機構が設けられており、これにより、互いに独立した、インバータ収容室21に冷却風を供給する送風系と、各々の希ガス放電ランプ11に冷却風路28を介して冷却風を供給する送風系とが構成されている。
冷却風を冷却風路28に導入する送風ファン25Aは、分岐通風ダクト61および通風ダクト60Aを介して、耐候試験装置のハウジング45の外部に設けられた温度調整機構55に接続されており、この温度調整機構55によって適正な温度に調整された冷却風が、送風ファン25Aによって、隣接する希ガス放電ランプ11間の隙間を通過されて太陽電池パネル41の光照射面41Aに向かって送風(供給)される。
また、送風ファン25Bによってインバータ収容室21に送風される冷却風は、ケーシング50の両側壁の各々に形成された排風用通風口(図示せず)を介してケーシング50の外部に排出される。
送風ファン25A,25Bの各1台は、例えば、冷却風路28に流通される冷却風を3〜10m3 /minの送風量で供給することのできる送風能力を有するものである。
【0031】
また、ランプユニット10におけるケーシング50内には、送風ファン25Aから各々の希ガス放電ランプ11に送風される冷却風の風速分布を調整する送風分布調整機構35が設けられている。具体的には、送風分布調整機構35は、例えばスリットやパンチ穴などが形成された板部材により構成されており、冷却風路28の出口と各々の希ガス放電ランプ11との間の位置においてランプ配置面Sと互いに離間して対向するよう設けられている。これにより、単位流量当たりの冷却効率を上げることができると共に各々の希ガス放電ランプ11を略均一な冷却条件で冷却することができる。
【0032】
上記のランプユニット10においては、ケーシング50における各々の希ガス放電ランプ11の周囲を囲む周壁部分は、内周面が反射面により形成されたライトガイド部50Aとして構成されており、これにより、太陽電池パネル41に対する紫外線照射量を十分に確保することができると共に、太陽電池パネル41に対する希ガス放電ランプ11の放射熱による影響を一層確実に抑制することができる。また、ライトガイド部50Aは、太陽電池パネル41に対する冷却風の導風ガイドとしても機能し、隣接する希ガス放電ランプ11間の隙間を通過した冷却風を太陽電池パネル41の光照射面41Aにその垂直な方向から送風することができる。
【0033】
この耐候試験装置におけるハウジング45の下壁には、ステージ40の背面側の位置(ステージ40の直下の位置)に、太陽電池パネル41に吹き付けられて高温となった冷却風を排出する、開口形状が例えば円形状の排風口65が形成されており、この排風口65には、温度調整機構55に接続された通風ダクト60Bが接続されている。従って、この耐候試験装置においては、太陽電池パネル41に吹き付けられて高温となった冷却風を温度調整機構55に導入し、温度調整機構55によって温度調整した後、再び、各々のランプユニット10における送風ファン25Aによって太陽電池パネル41に向けて冷却風を送風する循環送風システムが構築された構成とされている。ここで、各々のランプユニット10における希ガス放電ランプ11の冷却条件は、すべてのランプユニット10において、共通とされている。
【0034】
温度調整機構55は、太陽電池パネル41に到達する時点での温度が設定された温度となるよう、各々のランプユニット10において、冷却風が隣接する希ガス放電ランプ11間の隙間を通過されることにより温度が上昇されることを考慮して設定された、目標温度より低い温度に調整する機能を有する。例えば、太陽電池パネル41の表面温度を60℃付近に維持するためには、送風ファン25Aによって供給される冷却風の温度が、例えば20〜40℃が調整され、この場合には、太陽電池パネル41に吹き付けられる冷却風の温度が例えば29〜49℃であり、排風口65を介して排出される冷却風の温度は例えば30〜50℃である。
【0035】
上記の耐候試験装置の具体的な構成例を示すと、ハウジング45の、希ガス放電ランプ11が並ぶ方向(図2における左右方向)における寸法Wが例えば2900mm、ハウジング45の、希ガス放電ランプ11のランプ中心軸方向(図2における紙面に垂直な方向)における寸法Dが例えば2100mm、各々のランプユニット10におけるケーシング50の、希ガス放電ランプ11が並ぶ方向(図2における左右方向)における寸法wが例えば550mm、ケーシング50の、希ガス放電ランプ11のランプ中心軸方向(図2における紙面に垂直な方向)における寸法dが例えば450mm、隣接する希ガス放電ランプ11間の離間距離(ランプ中心軸C間の離間距離)が例えば50mm、ステージ40の下面とハウジング45の下壁との間の離間距離が例えば200mm、太陽電池パネル41の光照射面41Aとランプユニット10におけるランプ配置面Sとの間の離間距離が例えば300mm程度であり、排風口65の開口径が例えばφ300mmである。また、太陽電池パネル41の大きさは、例えば、希ガス放電ランプ11が並ぶ方向(図2における左右方向)における寸法が2200mm、希ガス放電ランプ11のランプ中心軸方向(図2における紙面に垂直な方向)が1400mmである。
【0036】
以下、上記の耐候試験装置の動作について説明する。
この耐候試験装置においては、太陽電池パネル41がステージ40のワーク載置面上に載置された状態において、各々のランプユニット10における希ガス放電ランプ11が同一の点灯条件で点灯されることにより所定の波長範囲の紫外線が所定の紫外線量で太陽電池パネル41の光照射面41Aに放射される。具体的には、各々の希ガス放電ランプ11においては、高圧側電極として機能する一方の電極14Aに、例えば高周波電圧がインバータ30を介して供給されると、発光管12を構成するガラス材料(誘電体)を介して発光管12の内部空間で誘電体バリア放電が生じ、誘電体バリア放電によってエキシマ分子が形成され、エキシマ分子から放射される光(キセノンガスの場合172nmの真空紫外光)によって蛍光体層13における蛍光体物質が励起されて例えば太陽光の紫外領域に近似した波長範囲の紫外線が太陽光の例えば最大で5倍程度の紫外線量で太陽電池パネル41に放射される。
【0037】
一方、送風ファン25Aが駆動されることにより温度調整機構55によって所定の温度に調整された冷却風が通風ダクト60Aおよび分岐通風ダクト61を介して各々のランプユニット10に導入されて希ガス放電ランプ11のすべてのものが同一の冷却条件で冷却されると共に各々のランプユニット10からの冷却風が太陽電池パネル41に吹き付けられることにより太陽電池パネル41が設定された目標温度に維持されるよう冷却される。具体的には、各々のランプユニット10に導入された冷却風(図2において実線で示す矢印)は、送風分布調整機構35によって略均一な風速分布で各々の希ガス放電ランプ11に向かって送風されて隣接する希ガス放電ランプ11間の間隙を通過され、これにより、各々の希ガス放電ランプ11が冷却され、その後、光放射開口51から太陽電池パネル41に向かって流れる。そして、各々のランプユニット10からの冷却風(図2において破線で示す矢印)が太陽電池パネル41に対して光照射面41Aに垂直な方向から吹き付けられることにより冷却風が太陽電池パネル41の光照射面41Aに沿って流過され、さらに、太陽電池パネル41の周縁の全周から背面側に位置される排風口65に向かって回り込むよう流過されることにより太陽電池パネル41が冷却される。その後、冷却風(図2において二点鎖線で示す矢印)は排風口65から通風ダクト60Bを介して温度調整機構55に導入されて所定の温度に冷却され、耐候試験装置の外部に排気されることなく、再び、各々のランプユニット10における送風ファン25Aによって冷却風が各々の希ガス放電ランプ11に送風される。
【0038】
また、各々のランプユニット10におけるインバータ30およびその他の電装体は、希ガス放電ランプ11および太陽電池パネル41に冷却風を送風する送風系と互いに独立した(別個の)送風系によって冷却される。すなわち、送風ファン25Bが駆動されることより冷却風がインバータ収容室21内に導入され、これによりインバータ30およびその他の電装体が冷却されてケーシング50の側壁に形成された排風用通風口を介して排気される。
【0039】
而して、上記構成の耐候試験装置によれば、温度調整機構55によって適正な温度に調整された冷却風が送風ファン25Aによって隣接する希ガス放電ランプ11間の隙間を通過されて太陽電池パネル41の光照射面41Aに向かって送風される構成とされていることにより、各々の希ガス放電ランプ11がランプ毎に均一に冷却されるので、冷却ムラによる発光効率のバラツキが生ずることを抑制することができると共に太陽電池パネル41に対する放射熱による影響を小さく抑制することができ、しかも、冷却風が太陽電池パネル41の光照射面41Aにその垂直な方向から吹き付けられるので、太陽電池パネル41自体をその光照射面41Aにおける温度の面内均一性が高い状態で冷却することができる。従って、所期の紫外線照射を、太陽電池パネル41に温度ムラを生じさせることなく規定された温度条件に維持しながら、行うことができる。
また、各々の希ガス放電ランプ11の冷却および太陽電池パネル41の冷却が共通の送風機構である送風ファン25Aによって行われるので、煩雑な制御を行うことが不要であり、また、構造の簡素化および消費エネルギーの低減化を図ることできる。
【0040】
温度調整機構55が太陽電池パネル41の光照射面41Aについて設定された目標温度より低い温度に調整する機能を有するものであることにより、希ガス放電ランプ11の冷却により冷却風の温度が上昇されても、太陽電池パネル41の光照射面41Aに吹き付けられる冷却風の温度は、太陽電池パネル41の温度を目標温度に維持するために必要な十分に低い温度が維持されたものとなるので、希ガス放電ランプ11の冷却および太陽電池パネル41の冷却を確実に行うことができる。また、冷却風の温度が太陽電池パネル41の光照射面41Aについての目標温度より低い温度に調整されればよいので、温度制御(管理)を容易に行うことができる。
【0041】
また、太陽電池パネル41に吹き付けられて高温となった冷却風を温度調整機構55に導入し、この温度調整機構55によって温度調整した後、再び、送風ファン25Aによって太陽電池パネル41に向けて送風する循環送風システムが構築された構成とされていることにより、耐候試験装置の外部より冷却風を取り入れること、および、耐候試験装置の外部に冷却風を排気する必要がなくなるので、送風システムをコンパクトに構成することができる。
【0042】
ステージ40の背面側の位置に、太陽電池パネル41に吹き付けられて高温となった冷却風を排出する排風口65が形成された構成とされていることにより、太陽電池パネル41の光照射面41Aにその垂直な方向から吹き付けられる冷却風の流れる方向を特定の方向に偏ることなく、冷却風を光照射面41Aに沿って流過させることができるので、太陽電池パネル41をその光照射面41Aにおける温度の面内均一性が高い状態で冷却することができると共に、光照射面41Aに沿って流過された冷却風が排風口65に向かってステージ40の背面側に流れ込むことにより、太陽電池パネル41がステージ40を介して背面側から冷却されるので、太陽電池パネル41の厚さ方向における温度ムラが生ずることを抑制することができる。
【0043】
さらにまた、希ガス放電ランプ11が、発光管12の内部空間において生ずる所定の波長域の紫外線(真空紫外線)の作用によって蛍光体層13を発光させる構成のものであることにより、余分な光成分が太陽電池パネル41に放射されることがないので、所期の耐候試験を高い信頼性をもって行うなうことができる。
【0044】
<第2の実施の形態>
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る太陽電池パネル用耐候試験装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
この太陽電池パネル用耐候試験装置(耐候試験装置)は、内部に太陽電池パネル41に対して所定の紫外線照射処理を行うための処理室46が形成された、全体が直方体形の箱状のハウジング45を具えており、処理室46の内部には、太陽電池パネル41をその光照射面41Aが垂直平面内に位置される姿勢で保持固定する固定部材48が配置されている。
【0045】
この例における固定部材48は、上方および下方が開口する外形形状が扁平な直方体形状の枠体により構成されており、扁平な両側面の各々における上端および下端には、太陽電池パネル41がスライド挿入される例えば断面形状がL字型のガイド部49が、それぞれ溝部が上方および下方を向く姿勢で、互いに対向して側面に沿って延びるよう形成されており、従って、例えば2つの太陽電池パネル41を互いに光照射面41Aに垂直な方向に離間して対向する状態で保持固定することが可能に構成されている。ここに、各々の太陽電池パネル41の、光照射面41Aに垂直な方向における離間距離は、例えば30cm以上である。
固定部材48の内部空間は、太陽電池パネル41の光照射面41Aに沿って流過された冷却風の一部が導入される冷却風路68とされている。
【0046】
ハウジング45における両側壁には、各々複数の上記希ガス放電ランプ11を具えてなる複数のランプユニット10が、固定部材48に保持固定される太陽電池パネル41と離間して対向するよう設けられている。各々のランプユニット10は、例えば図4に示す構成のものと同一の構成を有するものであって、複数のランプユニット10が、各々のランプユニット10における希ガス放電ランプ11のランプ中心軸Cが固定部材における扁平な側面と平行な垂直平面内に位置されると共に互いに平行に水平に延びる姿勢で、縦横に並んで二次元的に配置されている。
【0047】
この耐候試験装置におけるハウジング45の下壁には、固定部材48の直下の位置に、太陽電池パネル41に吹き付けられて高温となった冷却風を排出する、開口形状が例えば円形状の排風口65が形成されており、この排風口65には、温度調整機構55に接続された通風ダクト60Bが接続されている。従って、この耐候試験装置においては、太陽電池パネル41に吹き付けられて高温となった冷却風を温度調整機構55に導入し、温度調整機構55によって温度調整した後、再び、各々のランプユニット10における送風ファン25Aによって太陽電池パネル41に向けて冷却風を送風する循環送風システムが構築された構成とされている。ここで、各々のランプユニット10における希ガス放電ランプ11の冷却条件は、すべてのランプユニット10において、共通とされている。
【0048】
温度調整機構55は、太陽電池パネル41に到達する時点での温度が設定された温度となるよう、各々のランプユニット10において、冷却風が隣接する希ガス放電ランプ11間の隙間を通過されることにより温度が上昇されることを考慮して設定された、目標温度より低い温度に調整する機能を有する。例えば、太陽電池パネル41の表面温度を60℃付近に維持するためには、送風ファン25Aによって供給される冷却風の温度が、例えば20〜40℃が調整され、この場合には、太陽電池パネル41に吹き付けられる冷却風の温度が例えば29〜49℃であり、排風口65を介して排出される冷却風の温度は例えば30〜50℃である。
【0049】
この第2の実施の形態に係る耐候試験装置においては、太陽電池パネル41が固定部材48に保持固定された状態において、各々のランプユニット10における希ガス放電ランプ11が同一の点灯条件で点灯されることにより所定の波長範囲の紫外線が所定の紫外線量で太陽電池パネル41の光照射面41Aに放射される。具体的には、第1の実施の形態に係る耐候試験装置と同様に、各々の希ガス放電ランプ11においては、高圧側電極として機能する一方の電極14Aに、例えば高周波電圧がインバータ30を介して供給されると、発光管12を構成するガラス材料(誘電体)を介して発光管12の内部空間で誘電体バリア放電が生じ、誘電体バリア放電によってエキシマ分子が形成され、エキシマ分子から放射される光(キセノンガスの場合172nmの真空紫外光)によって蛍光体層13における蛍光体物質が励起されて例えば太陽光の紫外領域に近似した波長範囲の紫外線が太陽光の例えば最大で5倍程度の紫外線量で太陽電池パネル41に放射される。
【0050】
一方、各々のランプユニット10における送風ファンが駆動されることにより温度調整機構55によって所定の温度に調整された冷却風が通風ダクト60Aおよび分岐通風ダクト61を介して各々のランプユニット10に導入されて希ガス放電ランプ11のすべてのものが同一の冷却条件で冷却されると共に各々のランプユニット10からの冷却風が太陽電池パネル41に吹き付けられることにより太陽電池パネル41が設定された目標温度に維持されるよう冷却される。具体的には、各々のランプユニット10に導入された冷却風(図5において破線で示す矢印)は、送風分布調整機構によって略均一な風速分布で各々の希ガス放電ランプ11に向かって送風されて隣接する希ガス放電ランプ11間の間隙を通過され、これにより、各々の希ガス放電ランプ11が冷却され、その後、光放射開口51から太陽電池パネル41に向かって流れる。そして、各々のランプユニット10からの冷却風が太陽電池パネル41に対して光照射面41Aに垂直な方向から吹き付けられることにより冷却風が太陽電池パネル41の光照射面41Aに沿って流過され、さらに、一部が固定部材48における冷却風路68内に導入され、排風口65に向かって流過されることにより太陽電池パネル41が冷却される。その後、冷却風は排風口65から通風ダクト60Bを介して温度調整機構55に導入されて所定の温度に冷却され、耐候試験装置の外部に排気されることなく、再び、各々のランプユニット10における送風ファンによって冷却風が各々の希ガス放電ランプ11に送風される。
【0051】
而して、上記構成の耐候試験装置によれば、第1の実施の形態に係る耐候試験装置と同様の効果を得ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、各々のランプユニットは、ケーシング50の光放射開口51に対するレベル位置が互いに異なる複数のランプ配置面の各々において、複数の希ガス放電ランプ11がランプ中心軸Cが互いに平行に延びるよう配置された構成とされていてもよい。図6および図7は、例えば互いにレベル位置の異なる第1のランプ配置面S1および第2のランプ配置面S2の各々に、第1のランプ配置面S1に17本、第2のランプ配置面S2に16本の希ガス放電ランプ11が例えば等間隔で並設された構成とされたものであって、第1のランプ配置面S1に並ぶ第1の希ガス放電ランプ群は、第2のランプ配置面S2に並ぶ第2の希ガス放電ランプ群に対して、希ガス放電ランプ11の並ぶ方向に相対的に変位した状態とされている。ここに、隣接する希ガス放電ランプ間11の離間距離(ランプ中心軸間の距離)は、25〜35mmであり、例えば発光管12の外径がφ10mmである場合には、例えば30mmである。また、第1のランプ配置面S1と第2のランプ配置面S2との離間距離は、20〜40mm、例えば30mmである。
【0053】
この例におけるインバータ収容室21の各々においては、各々同一形状の2つの平板状のインバータ固定板32(A1 ,A2 ),32(B1 ,B2 )が、冷却風路区画壁26と平行に延びるよう所定の間隔で互いに並設されており、ケーシング50における両側壁側に位置されるインバータ固定板32A2 (32B2 )は、冷却風路区画壁26側に位置されるインバータ固定板32A1 (32B1 )よりランプ配置面S1,S2の垂直方向上方位置に位置された状態とされている。
インバータ固定板32(A1 ,A2 ,B1 ,B2 )の外面(ケーシング50の側壁方向を向く面)には、それぞれ、複数(この例では、32A1 に8つ、32A2 に9つ、32B1 および32B2 にそれぞれ8つ)のインバータ30が、第2のランプ配置面S2に対して互いに同一のレベル位置において、希ガス放電ランプ11の並ぶ方向に離間して並ぶよう、配置されている。そして、ケーシング50の両側壁側に位置されるインバータ固定板32A2 (32B2 )に設けられた各々のインバータ30A2 (30B2 )は、冷却風路区画壁26A側に位置されるインバータ固定板32A1 (32B1 )に設けられた各々のインバータ30A1 (32B1 )のレベル位置L1より高いレベル位置L2に位置されている。
ここに、一のインバータ固定板32(A1 ,A2 ,B1 ,B2 )に配置されるインバータ30間の離間距離は、例えば5〜15mmであり、これにより、十分な大きさの絶縁距離が確保される。
【0054】
そして、第1の希ガス放電ランプ群の希ガス放電ランプ11Aには、電極14A,14Bの軸方向における一端側(図6において左側)の端部に給電部が形成されており、冷却風路28の一端側に位置されるインバータ30A1 ,30A2 の各々が、その下端側に接続された給電線18を介して第1の希ガス放電ランプ群における対応する希ガス放電ランプ11Aに接続されている。また、第2の希ガス放電ランプ群の希ガス放電ランプ11Bには、電極14A,14Bの軸方向における他端側(図6において右側)の端部に給電部が形成されており、冷却風路28の他端側に位置されるインバータ30B1 ,B2 の各々が、その下端側に接続された給電線18を介して第2の希ガス放電ランプ群における対応する希ガス放電ランプ11Bに接続されている。
このような構成とされていることにより、各々のランプ収容室21において、複数のインバータ30(A1 ,A2 ,B1 ,B2 )がいわば階層構造で配置されているので、ランプユニット10が大型化することを回避することができ、しかも、インバータ30が位置されるレベル位置が第2のランプ配置面S2より遠くなるに従って、対応する希ガス放電ランプ11における給電部が形成された端部側に位置されるよう、希ガス放電ランプ11の軸方向に変位した状態で配置された構成とされていることにより、各々の希ガス放電ランプ11について、希ガス放電ランプ11とインバータ30とを接続する給電線18の長さの差を可及的に小さくすることができるので、給電線18の長さによる電圧降下の影響によって紫外線放射効率のバラツキが生ずることを防止、または紫外線放射効率のバラツキを小さく抑制することができ、紫外線を所期の放射分布で放射することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 ランプユニット
11,11A,11B 希ガス放電ランプ
12 発光管
13 蛍光体層
14A,14B 電極
18 給電線
21 インバータ収容室
25A,25B 送風ファン
26 冷却風路区画壁
28 冷却風路
30,30(A1 ,A2 ),30(B1 ,B2 ) インバータ
32(A1 ,A2 ),32(B1 ,B2 ) インバータ固定板
35 送風分布調整機構
40 ステージ
41 太陽電池パネル
41A 光照射面
45 ハウジング
46 処理室
48 固定部材
49 ガイド部
50 ケーシング
50A ライトガイド部
51 光放射開口
55 温度調整機構
60 通風ダクト
60A,60B 通風ダクト
61 分岐通風ダクト
65 排風口
68 冷却風路
70 メタルハライドランプ
75 導風ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルの光照射面に対して離間して対向するよう配置された、各々ランプ中心軸が互いに平行に延びる複数の棒状の希ガス放電ランプと、隣接する希ガス放電ランプ間の隙間を通過させて前記太陽電池パネルの光照射面に向かって冷却風を送風する送風機構と、当該送風機構によって送風される冷却風の温度を調整する温度調整機構とを備えてなることを特徴とする太陽電池パネル用耐候試験装置。
【請求項2】
前記温度調整機構は、前記太陽電池パネルの光照射面についての設定温度より低い温度に調整する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル用耐候試験装置。
【請求項3】
前記太陽電池パネルに吹き付けられて高温となった冷却風を前記温度調整機構に導入し、当該温度調整機構によって温度調整した後、再び、前記送風機構によって前記太陽電池パネルに向けて送風する循環送風システムが構築されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池パネル用耐候試験装置。
【請求項4】
前記太陽電池パネルの光照射面に沿って流過された冷却風の少なくとも一部が当該太陽電池パネルの背面側を流過されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽電池パネル用耐候試験装置。
【請求項5】
前記送風機構から各々の希ガス放電ランプに送風される冷却風の風速分布を調整する送風分布調整機構をさらに具えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の太陽電池パネル用耐候試験装置。
【請求項6】
前記希ガス放電ランプは、発光管の外面に一対の電極が配置されると共に、当該発光管の内面に蛍光体が塗布されてなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の太陽電池パネル用耐候試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−215539(P2012−215539A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149146(P2011−149146)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】