説明

太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの梱包方法

【課題】簡単な構造で安定性の良い優れた集団梱包が可能となる太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの梱包方法を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール1は、太陽電池セル11が配置されたセル領域10と、セル領域10の外周に配置された外周領域20とを備える。外周領域20は、他の太陽電池モジュール1に対して互いに重ねられる重畳方向DSでの結合に適用される結合部材CTmが嵌め込まれる嵌め込み部21を備える。嵌め込み部21は、結合部材CTmが重畳方向DSに通される構成とされている。外周領域20は、相互に向き合う2つの第1対辺部23を有し、嵌め込み部21は、第1対辺部23のそれぞれに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集団梱包に適した嵌め込み部を備えた太陽電池モジュール、および太陽電池モジュールの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールの梱包(梱包して輸送)を行う際に、段ボールで1つずつ梱包した場合、多量の段ボールが必要となり、またダンボールの処理に工数が掛かるなどコスト面、作業性などでの問題があることから、できるだけ多くの太陽電池モジュールを集団梱包して扱うことが望まれている。
【0003】
太陽電池モジュールの梱包(輸送時の梱包)に対する提案として、光起電力モジュールを水平に積み重ねることができる差込みシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の差込みシステムは、荷重除去柱と、内側に光起電力モジュール用載置装置としての荷重受止め支持異形材と、上側又は下側にほぞを持ち、下側又は上側にほぞをはめ合いで受け入れるための空所を持っている。
【0004】
N個のモジュールを積み重ねた梱包を行うためには、4×N個の「差込みシステム」が必要となる。したがって、実際の梱包作業では、作業数が多くなり、集団梱包工程に多くの時間を必要とすることとなる。また、梱包をほどいた後、「差込みシステム」という多量の廃棄物が発生し、回収する場合にも、数が多いことから、回収管理業務の負担が大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、太陽電池モジュールに対する集合梱包を行った場合、搬送中のゆれ等により、太陽電池モジュールの位置ずれが生じるという問題がある。つまり、太陽電池モジュールは、太陽電池セルを封止した後、受光面となる透光性基板などを周囲の環境から保護するためにフレーム(外枠)が取り付けられる。したがって、フレームを備える太陽電池モジュールをそのまま積み重ねた場合、重ねた太陽電池モジュールのフレームが互いに接触することとなり、平坦なフレーム表面が相互に接した状態であることから、滑りやすく、また、重ねられた上下の太陽電池モジュールの位置ずれが生じやすい。特に金属製のフレームを用いた場合は、問題が生じやすい。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールが重ねられる方向で太陽電池モジュールの結合に適用される結合部材を嵌め込む嵌め込み部を太陽電池モジュールの外周領域に設けることによって、重ねられた太陽電池モジュールが、嵌め込み部に嵌め込まれた結合部材によって相互に位置決めされ固定されるので、簡単な構造で安定性の良い優れた集団梱包が可能となる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、本発明に係る太陽電池モジュールに対して結合部材を適用して梱包作業を施すことによって、位置精度と作業性を確保して、容易にかつ効率的に集団梱包の梱包作業ができる太陽電池モジュールの梱包方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽電池セルが配置されたセル領域と、前記セル領域の外周に配置された外周領域とを備える太陽電池モジュールであって、前記外周領域は、他の太陽電池モジュールに対して互いに重ねられる重畳方向での結合に適用される結合部材が嵌め込まれる嵌め込み部を備えることを特徴とする。
【0010】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、互いに重ねられる他の太陽電池モジュールに対する重畳方向での結合に適用される結合部材が嵌め込まれる嵌め込み部を外周領域に備えることから、他の太陽電池モジュールと重ねられたとき、嵌め込み部に嵌め込まれた結合部材によって相互に位置決めされ固定されるので、簡単な構造で安定性の良い優れた集団梱包が可能となる。
【0011】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記嵌め込み部は、前記結合部材が前記重畳方向に通される構成とされていることを特徴とする。
【0012】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、重畳方向に形成された嵌め込み部に結合部材が通される構成とされていることから、複数の太陽電池モジュールを重畳方向で結合部材によって確実に結合して固定することができる。
【0013】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記外周領域は、相互に向き合う2つの第1対辺部を有し、前記嵌め込み部は、前記第1対辺部のそれぞれに配置されていることを特徴とする。
【0014】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、外周領域の相互に対となる2つの第1対辺部のそれぞれに対応させて嵌め込み部を配置していることから、少なくとも2箇所の嵌め込み部を備えるという簡単な構造で確実に位置決めされる。
【0015】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記外周領域は、2つの前記第1対辺部と交差して相互に向き合う2つの第2対辺部を有し、前記嵌め込み部は、前記第2対辺部のそれぞれに配置されていることを特徴とする。
【0016】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、外周領域の相互に対となる2つの第2対辺部のそれぞれに対応させて嵌め込み部を配置していることから、2つの第1対辺部に対応して配置された嵌め込み部を含めて少なくとも4箇所の嵌め込み部を備えるという簡単な構造で更に確実な位置決めとより強固な固定ができる。
【0017】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記外周領域は、相互に向き合う2つの角部を有し、前記嵌め込み部は、前記角部のそれぞれに配置されていることを特徴とする。
【0018】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、外周領域の相互に向き合う2つの角部のそれぞれに対応して嵌め込み部を配置していることから、少なくとも2箇所の角部に嵌め込み部を備えるという簡単な構造で確実に位置決めできる。
【0019】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記外周領域は、前記セル領域の外周を保護するフレームを備え、前記嵌め込み部は、前記フレームに形成されていることを特徴とする。
【0020】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、セル領域の外周を保護するフレームに嵌め込み部を有することから、嵌め込み部の強度を向上させて強固に連結することができる。
【0021】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記嵌め込み部は、前記フレームの外周端に開口する開口部を備えることを特徴とする。
【0022】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、嵌め込み部がフレームの外周端に開口する開口部を備えることから、結合部材を外側(側面、端面方向)から嵌め込むことが可能となり、連結作業が容易となり作業効率を向上させる。
【0023】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記フレームは、外側に突出されたつば部を備え、前記嵌め込み部は、前記つば部で外側に開口する開口部を備えていることを特徴とする。
【0024】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、フレームの外側に突出されたつば部に開口部を備える嵌め込み部を形成することから、結合部材を外側(側面、端面方向)から嵌め込むことが可能となるので、連結作業を容易化して作業効率を向上させる。
【0025】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記外周領域は、前記セル領域の外周を保護する複数のフレームと、前記フレームが構成する角部で前記フレームを相互に連結するコーナー連結部材とを備え、前記嵌め込み部は、前記コーナー連結部材に配置されていることを特徴とする。
【0026】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、角部に配置されたコーナー連結部材に嵌め込み部を備えることから、簡単な構造で確実に位置決めできる。
【0027】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、相互に積層された透光性基板、封止部材、および裏面保護部材によって太陽電池セルが封止された積層体を備えてあり、前記外周領域は、前記積層体の外周部分で画定され、前記嵌め込み部は、前記外周部分に積層体を貫通して形成されていることを特徴とする。
【0028】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、透光性基板、封止部材、および裏面保護部材を積層した積層体の外周部分に積層体を貫通する嵌め込み部を備えることから、フレームレス仕様とされた場合においても簡単な構造で確実に位置決めできる。
【0029】
また、本発明に係る太陽電池モジュールでは、前記結合部材は、直線状の棒であることを特徴とする。
【0030】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、結合部材が直線状の棒とされることから、嵌め込み部を高精度に位置決めし、また、集団梱包によってモジュール集団梱包とされる太陽電池モジュールの個数による高さに応じて棒の長さを選定できるので、容易に太陽電池モジュールの集団梱包が可能となる。
【0031】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの梱包方法は、太陽電池セルが配置されたセル領域と、前記セル領域の外周に形成された外周領域とを備える太陽電池モジュールの複数個を互いに重ねる重畳方向で固定して梱包する太陽電池モジュールの梱包方法であって、
前記太陽電池モジュールのそれぞれは、隣接する他の前記太陽電池モジュールとの結合に適用される結合部材が嵌め込まれて前記外周領域に配置される嵌め込み部を備えてあり、
前記結合部材および前記嵌め込み部のいずれか一方を他方に対して相対的に移動させて前記重畳方向に重ねた複数個の前記太陽電池モジュールにおける前記嵌め込み部に前記結合部材が嵌め込まれた状態とする工程と、重ねられた前記複数個の太陽電池モジュールを前記結合部材の両端で挟んで固定する工程とを備えることを特徴とする。
【0032】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの梱包方法は、結合部材および嵌め込み部の一方を他方に対して相対的に移動させて重畳方向に重ねた太陽電池モジュールにおける嵌め込み部に結合部材が嵌め込まれた状態とし、複数個の太陽電池モジュールを結合部材の両端で挟んで固定することから、位置精度と作業性を確保して、容易にかつ効率的に集団梱包の梱包作業ができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る太陽電池モジュールは、他の太陽電池モジュールに対して互いに重ねられる重畳方向での結合に適用される結合部材が嵌め込まれる嵌め込み部を外周領域に備える。
【0034】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールは、他の太陽電池モジュールと重ねられたとき、嵌め込み部に嵌め込まれた結合部材によって相互に位置決めされ固定されるので、簡単な構造で安定性の良い優れた集団梱包が可能となるという効果を奏する。
【0035】
本発明に係る太陽電池モジュールの梱包方法は、結合部材および嵌め込み部のいずれか一方を他方に対して相対的に移動させて重畳方向に重ねた複数個の太陽電池モジュールにおける嵌め込み部に結合部材が嵌め込まれた状態とする工程と、重ねられた複数個の太陽電池モジュールを結合部材の両端で挟んで固定する工程とを備える。
【0036】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュールの梱包方法は、位置精度と作業性を確保して、容易にかつ効率的に集団梱包の梱包作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る太陽電池モジュールの平面状態を示す平面図である。
【図1B】図1Aの矢符1B−1Bでの断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
【図1C】図1Aに示した太陽電池モジュールを複数個重ねて梱包して集団梱包とした状態を断面で示す断面図である。
【図2A】図1Bに示した太陽電池モジュールの変形例としての太陽電池モジュール(変形例1)を示す断面図である。
【図2B】図1Bに示した太陽電池モジュールの変形例としての太陽電池モジュール(変形例2)を示す断面図である。
【図3A】図1Aに示した太陽電池モジュールの変形例としての太陽電池モジュール(変形例3)を示す平面図である。
【図3B】図1Aに示した太陽電池モジュールの変形例としての太陽電池モジュール(変形例4)を示す平面図である。
【図3C】図1Aに示した太陽電池モジュールの変形例としての太陽電池モジュール(変形例5)を拡大して示す拡大平面図である。
【図4A】本発明の実施の形態2に係る太陽電池モジュール(変形例6)が有する嵌め込み部を斜め上方から見た状態として示す部分斜視図である。
【図4B】本発明の実施の形態2に係る太陽電池モジュール(変形例7)を示す部分斜視図である。
【図5A】本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール(変形例8)の平面状態を示す平面図である。
【図5B】図5Aに示した太陽電池モジュールに適用されたコーナー連結部材を斜め上方から見た状態として拡大して示す拡大斜視図である。
【図6A】本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール(変形例9)の平面状態を示す平面図である。
【図6B】図6Aの矢符6B−6Bでの断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
【図6C】本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール(変形例10)の平面状態を示す平面図である。
【図7A】本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール(変形例11)の平面状態を示す平面図である。
【図7B】図7Aの矢符7B−7Bでの断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0039】
<実施の形態1>
図1Aないし図3Cを参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1、太陽電池モジュール1を集団梱包してモジュール集団梱包1Mを組み立てる太陽電池モジュール1の梱包方法について説明する。
【0040】
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る太陽電池モジュール1の平面状態を示す平面図である。
【0041】
図1Bは、図1Aの矢符1B−1Bでの断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
【0042】
図1Cは、図1Aに示した太陽電池モジュール1を複数個重ねて梱包して集団梱包1Mとした状態を断面で示す断面図である。
【0043】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1は、太陽電池セル11が配置されたセル領域10と、セル領域10の外周に配置された外周領域20とを備える。また、太陽電池モジュール1において、外周領域20は、他の太陽電池モジュール1(図1C参照)に対して互いに重ねられる重畳方向DSでの結合に適用される結合部材CTmが嵌め込まれる嵌め込み部21を備える。
【0044】
したがって、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1は、互いに重ねられる他の太陽電池モジュール1に対する重畳方向DSでの結合に適用される結合部材CTmが嵌め込まれる嵌め込み部21を外周領域20に備えることから、他の太陽電池モジュール1と重ねられたとき、嵌め込み部21に嵌め込まれた結合部材CTmによって相互に位置決めされ固定されるので、簡単な構造で安定性の良い優れたモジュール集団梱包1Mを構成することが可能となる。
【0045】
つまり、太陽電池モジュールを重ね合わせた状態で、嵌め込み部に嵌め込んだ結合部材によって太陽電池モジュールを固定することで、太陽電池モジュール同士の位置ずれを防止する。また、特許文献1に開示された技術に比較して、集団梱包のために新たに必要となる部材は、嵌め込み部に嵌め込まれる結合部材だけであり、集団梱包の作業が容易となる。また、結合部材の個数も少数で良く、梱包を解除した後、結合部材を容易に回収することができる。
【0046】
嵌め込み部21は、結合部材CTmが重畳方向DSに通される構成とされている(図1C参照)。したがって、太陽電池モジュール1は、重畳方向DS(外周領域20の厚さ方向)に形成された嵌め込み部21に結合部材CTmが通される構成とされていることから、複数の太陽電池モジュール1を重畳方向DSで結合部材CTmによって確実に結合して固定することができる。
【0047】
外周領域20は、相互に向き合う2つの第1対辺部23を有し、嵌め込み部21は、第1対辺部23のそれぞれに配置されている。したがって、太陽電池モジュール1は、外周領域20の相互に対となる2つの第1対辺部23のそれぞれに対応させて嵌め込み部21を配置していることから、少なくとも2箇所の嵌め込み部21を備えるという簡単な構造で確実に位置決めされる。
【0048】
外周領域20は、第1対辺部23に対して交差する方向で相互に向き合う2つの第2対辺部24を備える。したがって、外周領域20は、2つの第1対辺部23および2つの第2対辺部24によって矩形状とされている。
【0049】
外周領域20において対向する位置(2つの第1対辺部23それぞれでの同位置)に嵌め込み部21を配置した場合は、対称的に配置された同一部材(第1対辺部23)に対して嵌め込み部21を形成できるので、追加の部材が必要となることは無い。図1Aに示した太陽電池モジュール1の場合は、嵌め込み部21は、第1対辺部23の長さ方向での中央部分に形成されていることから、形成が容易であり、また、太陽電池モジュール1の位置決めも容易となる。
【0050】
なお、外周領域20において対向する位置に嵌め込み部21を配置するとは、例えば、太陽電池モジュール1(外周領域20)の形状を矩形としたときに、第1対辺部23の間に配置されたフレーム26を基準にして、同じ距離の位置に嵌め込み部21を配置することである。
【0051】
外周領域20は、セル領域10の外周を保護するフレーム26を備え、嵌め込み部21は、フレーム26に形成されている。したがって、太陽電池モジュール1は、セル領域10の外周を保護するフレーム26に嵌め込み部21を有することから、嵌め込み部21の強度を向上させて強固に連結することができる。なお、フレーム26は、例えば、アルミニウム、あるいは、アルミニウム合金で形成される。したがって、例えばプレス加工によってフレーム26に嵌め込み部21を容易に形成することができる。
【0052】
太陽電池セル11は、透光性基板12、(封止部材13)、太陽電池セル11、封止部材13、および裏面保護部材14の順に積層され、封止部材13によって封止されている(図7B参照)。本実施の形態では、太陽電池セル11、透光性基板12、封止部材13、裏面保護部材14を一体にして積層体15として示す。
【0053】
セル領域10は、透光性基板12(積層体15)の内周側に配置され、透光性基板12(積層体15)の外周部分12tは、フレーム26に保持されてフレーム26と共に外周領域20を構成する。つまり、本実施の形態では、フレーム26が配置されて領域がそのまま外周領域20となっている。また、透光性基板12(積層体15)の端部(外周部分12t、および外周部分12tに対応する封止部材13の表面、裏面保護部材14)は、ゴム状弾性体17(エラストマー)を介してフレーム26によって保持、固定される。
【0054】
なお、フレーム26は、セル領域10と平行な平面とされて透光性基板12(図7B参照)の側(受光側)に配置された受光側フレーム部材26fと、セル領域10と平行な平面とされて裏面保護部材14(図7B参照)の側(裏側)に配置された裏側フレーム部材26sと、受光側フレーム部材26fおよび裏側フレーム部材26sを結合してフレーム26の外周を画定する外周フレーム部材26cとを備える。受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26s、外周フレーム部材26cは、一体に成形される。以下において、受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26s、外周フレーム部材26cは、特に区別する必要が無い限り、単にフレーム26として記載する。
【0055】
結合部材CTmは、直線状の棒である。したがって、太陽電池モジュール1は、結合部材CTmが直線状の棒とされることから、嵌め込み部21を高精度に位置決めし、また、集団梱包によってモジュール集団梱包1Mとされる太陽電池モジュール1の個数による高さに応じて棒の長さを選定できるので、容易に太陽電池モジュール1の集団梱包が可能となる。棒(結合部材CTm)は、例えばステンレススチール(SUS)で形成されているので、強度の確保、耐摩耗性を確保して繰り返して使用することができる。
【0056】
太陽電池モジュール1を例えば3個重ねて構成したモジュール集団梱包1M(図1C)は、嵌め込み部21に結合部材CTmが貫通され、確実な位置決めがなされ、かつ確実な固定が可能となる。結合部材CTmの両端には、締結部材CTfが配置されていることから、太陽電池モジュール1は、締結部材CTfによって挟持された状態となり安定した梱包状態を維持することができる。締結部材CTfは、例えば、ねじが適用される。
【0057】
棒(結合部材CTm)の断面は、矩形、円形いずれでも良く嵌め込み部21との適合性を考慮して選択することができる。結合部材CTmの断面を円形とすれば、締結部材CTfとしてねじ(ボルト、ナットの組み合わせ)を適用することができる。また、断面を矩形とした場合でも端部を円形とすることによってねじによる固定ができる。
【0058】
なお、図1Cに示したモジュール集団梱包1Mでは、結合部材CTmの両端に締結部材CTfを配置しているが、一方の締結部材CTfは、ねじではなく、第1対辺部23(フレーム26)に当接して支持するストッパー(台座部)として、締結部材CTfを一方のみに配置することも可能である。
【0059】
太陽電池モジュール1の外周領域20の外形は、例えば(1m〜2m)×(2m〜1m)程度であり、フレーム26(外周領域20)の幅は、例えば15mm〜30mm程度とされている。したがって、第1対辺部23の形状は、(1m〜2m)×(15mm〜30mm)程度となる。
【0060】
また、嵌め込み部21は、断面を円形とした場合の径を例えば2mm〜5mm程度とすることが可能であり、3mm程度とすることが好ましい。この程度の大きさとすることによって、結合部材CTmの強度を確保することが可能となり、また、外周領域20(フレーム26)の長さ方向と交差する幅方向での大きさが拡大されることを抑制することができる。つまり、外周領域20のセル領域10に対する比率が大きくなって太陽電池モジュール1の単位面積当たりの変換効率が低下することを防止できる。
【0061】
図1Aおよび図1Cを参照して太陽電池モジュール1をモジュール集団梱包1Mとするときの太陽電池モジュール1の梱包方法について説明する。
【0062】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の梱包方法は、太陽電池セル11が配置されたセル領域10と、セル領域10の外周に形成された外周領域20とを備える太陽電池モジュール1の複数個を互いに重ねる重畳方向DSで固定して梱包する太陽電池モジュール1の梱包方法である。また、太陽電池モジュール1のそれぞれは、隣接する他の太陽電池モジュール1との結合に適用される結合部材CTmが嵌め込まれて外周領域20に配置される嵌め込み部21を備える。
【0063】
結合部材CTmの利用方法としては、太陽電池モジュール1を位置合わせして積み重ねた後、積み重ねた複数の太陽電池モジュール1の嵌め込み部21に結合部材CTmを挿入する方法、あるいは、予め結合部材CTmを位置決めして固定し、結合部材CTmに太陽電池モジュール1の嵌め込み部21をそれぞれ嵌め込むことによって太陽電池モジュール1を積み重ねる方法がある。
【0064】
つまり、太陽電池モジュール1の梱包方法(梱包方法A)は、嵌め込み部21を位置合わせして太陽電池モジュール1を重畳方向DSに順次重ねる工程(複数の太陽電池モジュール1を嵌め込み部21の位置合わせをした状態で積み重ねる工程)と、重ねられた太陽電池モジュール1の嵌め込み部21に結合部材CTmを嵌め込む工程(位置決めされた嵌め込み部21に結合部材CTmを貫通させる工程)とを備える。
【0065】
したがって、太陽電池モジュール1の梱包方法(梱包方法A)は、重ねた太陽電池モジュール1の嵌め込み部21に結合部材CTmを嵌め込むという簡略化された作業性の高い工程を備えることから、作業性を向上できる。つまり、嵌め込み部21への結合部材CTmの嵌め込み作業を簡略化できる。
【0066】
また、太陽電池モジュール1の梱包方法(梱包方法B)は、結合部材CTmを予め位置決めして固定する工程(重畳方向DSに結合部材CTmを位置決めして固定配置する工程)と、太陽電池モジュール1の嵌め込み部21を結合部材CTmに嵌め込んで太陽電池モジュール1を重畳方向DSに重ねる工程(結合部材CTmを固定した状態で結合部材CTmに太陽電池モジュール1の嵌め込み部21を位置決めして嵌め込む工程)とを備える。
【0067】
したがって、太陽電池モジュール1の梱包方法(梱包方法B)は、位置決めした結合部材CTmに太陽電池モジュール1の嵌め込み部21を嵌め込んで太陽電池モジュール1を重ねるという簡略化された作業性の高い工程を備えることから、作業性を向上できる。
【0068】
梱包方法Aおよび梱包方法Bは、いずれもそれぞれの利点があることから、状況に応じた採用をすることが可能である。なお、梱包方法Aおよび梱包方法Bは、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の梱包方法として次のようにまとめることができる。
【0069】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の梱包方法は、太陽電池セル11が配置されたセル領域10と、セル領域10の外周に形成された外周領域20とを備える太陽電池モジュール1の複数個を互いに重ねる重畳方向DSで固定して梱包する太陽電池モジュール1の梱包方法であって、結合部材CTmおよび嵌め込み部21のいずれか一方を他方に対して相対的に移動させて重畳方向DSに重ねた複数個の太陽電池モジュール1における嵌め込み部21に結合部材CTmが嵌め込まれた状態とする工程と、重ねられた複数個の太陽電池モジュール1を結合部材CTmの両端で挟んで固定する工程とを備える。
【0070】
したがって、太陽電池モジュール1の梱包方法は、結合部材CTmおよび嵌め込み部21の一方を他方に対して相対的に移動させて重畳方向DSに重ねた太陽電池モジュール1における嵌め込み部21に結合部材CTmが嵌め込まれた状態とし、複数個の太陽電池モジュール1を結合部材CTmの両端で挟んで固定することから、位置精度と作業性を確保して、容易にかつ効率的に集団梱包の梱包作業ができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1の梱包方法によれば、位置決めに結合部材CTm(棒)を利用するという簡単な構成で太陽電池モジュール1の集団梱包を実現することから、複雑な工程が無く、段ボールなどの梱包材を利用した従来技術に比較して自動化が容易となるので、効率的な梱包を実現することが可能となる。また、結合部材CTmとしての棒は、回収することが可能であり、繰り返し使用することができる。なお、結合部材CTmの両端で太陽電池モジュール1を挟む工程は、結合部材CTmの両端に締結部材CTfを適用するだけでよく、工程を簡略化できる。
【0072】
複数の太陽電池モジュール1を重ねる場合、本実施の形態では、説明の都合上、図面では垂直方向を重畳方向DSとして示しているが、太陽電池モジュール1を水平方向に横並びで重ねることも可能である。
【0073】
図2Aおよび図2Bを参照して、太陽電池モジュール1b、太陽電池モジュール1cにおける積層体15を確実にフレーム26に嵌めこんで固定するゴム状弾性体17の構造、および、フレーム26の構造について太陽電池モジュール1(図1A、図1B)の変形例(変形例1、変形例2)として説明する。
【0074】
図2Aは、図1Bに示した太陽電池モジュール1の変形例としての太陽電池モジュール1b(変形例1)を示す断面図である。
【0075】
太陽電池モジュール1(図1B)では、ゴム状弾性体17は、嵌め込み部21(外周フレーム部材26c)から離れた位置(中央部)で終端している。嵌め込み部21は、外周フレーム部材26cから離れた位置で、フレーム26のU字状態の対向する受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26sのそれぞれを貫通させて形成されている。また、ゴム状弾性体17は、受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26sの先端側(入り口側から中央部)に配置され嵌め込み部21から離れて形成されている。
【0076】
図2Aに示す太陽電池モジュール1b(変形例1)では、図1Bに示した太陽電池モジュール1に対して次の相違がある。
【0077】
つまり、ゴム状弾性体17は、フレーム26のU字状態の対向する受光側フレーム部材26fおよび裏側フレーム部材26sの入り口側から奥まで配置され、外周フレーム部材26cに当接している。すなわち、ゴム状弾性体17は、フレーム26(受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26s、外周フレーム部材26c)と積層体15との間の空間に充填されている。したがって、積層体15とフレーム26との間の空間領域にゴム状弾性体17が充填された状態となることから、積層体15の端面での防湿性を向上し、また、衝撃に対する緩衝材としての作用を大きくすることができる。
【0078】
ゴム状弾性体17が外周フレーム部材26cに到達した状態とされていることから、受光側フレーム部材26fおよび裏側フレーム部材26sに形成された嵌め込み部21は、ゴム状弾性体17に対しても貫通する状態で形成されている。
【0079】
ゴム状弾性体17に対して貫通孔(嵌め込み部21)を形成する方法として次の方法がある。つまり、先ず、嵌め込み部21が形成されたフレーム26の嵌め込み部21に結合部材CTmと同一寸法の仮の棒部材を挿入し、その状態で積層体15をフレーム26に位置合わせしてゴム状弾性体17を充填する(セル領域10の周囲にフレーム26を取り付ける)。その後、挿入されている仮の棒部材を取り外す。ゴム状弾性体17に予め嵌め込み部21が形成された状態となるので、結合部材CTmは、フレーム26、ゴム状弾性体17を容易に貫通することができる。
【0080】
図2Bは、図1Bに示した太陽電池モジュール1の変形例としての太陽電池モジュール1c(変形例2)を示す断面図である。
【0081】
図2Bに示す太陽電池モジュール1c(変形例2)では、ゴム状弾性体17はフレーム26の空所に完全に埋め込まれた状態とされ、嵌め込み部21は、外周フレーム部材26cを貫通する形態で形成されている。
【0082】
つまり、外周フレーム部材26cは、受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26sの方へ延長して形成されブロック状とされて嵌め込み部21が形成されている。換言すれば、嵌め込み部21は、フレーム26の厚さ方向で外周フレーム部材26cを貫通して形成されている。
【0083】
したがって、嵌め込み部21が形成された位置は、強度の高いフレーム26のブロック部分で構成されることから、嵌め込み部21の強度を向上させて梱包の安定性を確保することができる。
【0084】
図3Aないし図3Cを参照して、太陽電池モジュール1d(変形例3)、太陽電池モジュール1e(変形例4)、太陽電池モジュール1f(変形例5)における嵌め込み部21の配置状態の変形例について説明する。
【0085】
図3Aは、図1Aに示した太陽電池モジュール1の変形例としての太陽電池モジュール1d(変形例3)を示す平面図である。
【0086】
太陽電池モジュール1d(変形例3)は、太陽電池モジュール1(図1A)に対して、第1対辺部23、第2対辺部24を有する点で共通し、また、第1対辺部23のそれぞれに嵌め込み部21を有する点で共通している。
【0087】
異なる点は、嵌め込み部21が単に対向する位置ではなく、2つの対向する角部25からの間隔Laがそれぞれ同一の間隔Laとなるように配置されていることである。
【0088】
つまり、太陽電池モジュール1dでは、嵌め込み部21は、第1対辺部23の中央部分から離れた位置に配置されている。互いに対向する角部25からの間隔Laを同一として非対称に配置することによって、2つの埋め込み部21相互間の間隔は、対向する位置に配置した場合(図1A)に比較して大きくなることから、梱包の安定性を確保することが可能となり、また、同一の部材をそのまま適用することができる。
【0089】
図3Bは、図1Aに示した太陽電池モジュール1の変形例としての太陽電池モジュール1e(変形例4)を示す平面図である。
【0090】
太陽電池モジュール1e(変形例4)は、太陽電池モジュール1(図1A)に対して、第1対辺部23、第2対辺部24を有する点で共通し、また、第1対辺部23のそれぞれに嵌め込み部21を有する点で共通している。
【0091】
異なる点は、嵌め込み部21が第1対辺部23に配置されていることに加えて、第2対辺部24にも嵌め込み部21が配置されていることである。
【0092】
つまり、太陽電池モジュール1eでは、外周領域20は、2つの第1対辺部23と交差して相互に向き合う2つの第2対辺部24を有し、嵌め込み部21は、第2対辺部24のそれぞれに配置されている。
【0093】
したがって、太陽電池モジュール1eは、外周領域20の相互に対となる2つの第2対辺部24のそれぞれに対応させて嵌め込み部21を配置していることから、2つの第1対辺部23に対応して配置された2つの嵌め込み部21を含めて少なくとも4箇所の嵌め込み部21を備えるという簡単な構造で更に確実な位置決めとより強固な固定ができる。
【0094】
図3Cは、図1Aに示した太陽電池モジュール1の変形例としての太陽電池モジュール1f(変形例5)を拡大して示す拡大平面図である。
【0095】
太陽電池モジュール1(変形例5)は、太陽電池モジュール1(図1A)に対して、第1対辺部23、第2対辺部24を有する点で共通している。異なる点は、太陽電池モジュール1(変形例5)では、嵌め込み部21が第1対辺部23、第2対辺部24ではなく、角部25に配置されていることである。
【0096】
つまり、太陽電池モジュール1(変形例5)では、外周領域20は、相互に向き合う2つの角部25を有し、嵌め込み部21は、角部25のそれぞれに配置されている。したがって、太陽電池モジュール1は、外周領域20の相互に向き合う2つの角部25のそれぞれに対応して嵌め込み部21を配置していることから、少なくとも2箇所の角部25に嵌め込み部21を備えるという簡単な構造で確実に位置決めできる。
【0097】
また、対向する角部25に嵌め込み部21を配置することから、2つの嵌め込み部21相互間の間隔が最大化するので、梱包の安定性を更に向上させる。なお、角部25に対応する透光性基板12のコーナー部を嵌め込み部21に対向させて面取りすることができる。
【0098】
<実施の形態2>
図4Aおよび図4Bを参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1g(太陽電池モジュール1h)、および太陽電池モジュール1g(太陽電池モジュール1h)の梱包方法について説明する。なお、太陽電池モジュール1g、太陽電池モジュール1hは、実施の形態1に係る太陽電池モジュール1の変形例でもある。
【0099】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1g、太陽電池モジュール1hの基本的な構成は、実施の形態1に係る太陽電池モジュール1と同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。また、嵌め込み部21に結合部材CTmを適用して梱包し、モジュール集団梱包1Mを組み立てることも同様であるので適宜説明を省略する。
【0100】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1g(変形例6)、太陽電池モジュール1h(変形例7)では、嵌め込み部21がフレーム26(第1対辺部23、第2対辺部24)の外側、つまりフレーム26(外周フレーム部材26c)に形成され、嵌め込み部21は、更に開口部27を有するので、結合部材CTmを側面から差し込める形態とされている。
【0101】
図4Aは、本発明の実施の形態2に係る太陽電池モジュール1g(変形例6)が有する嵌め込み部21を斜め上方から見た状態として示す部分斜視図である。
【0102】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1g(変形例6)では、嵌め込み部21は、フレーム26(外周フレーム部材26c)の外周端26tに開口する開口部27を備える。
【0103】
したがって、太陽電池モジュール1gは、嵌め込み部21がフレーム26の外周端26tに開口する開口部27を備えることから、結合部材CTmを外側(側面、端面方向)から嵌め込むことが可能となり、連結作業が容易となり作業効率を向上させる。
【0104】
図4Bは、本発明の実施の形態2に係る太陽電池モジュール1h(変形例7)を示す部分斜視図である。
【0105】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1h(変形例7)では、フレーム26(外周フレーム部材26c)は、外側に突出されたつば部28を備え、嵌め込み部21は、つば部28で外側に開口する開口部27を備えている。
【0106】
したがって、太陽電池モジュール1hは、フレーム26の外側に突出されたつば部28に開口部27を備える嵌め込み部21を形成することから、結合部材CTmを外側(側面、端面方向DY)から嵌め込むことが可能となるので、連結作業を容易化して作業効率を向上させる。
【0107】
本実施の形態に係るつば部28は、外周フレーム部材26cの外側に形成されることから、外周フレーム部材26c(フレーム26)の強度を犠牲にすることなく、嵌め込み部21を形成することができる。
【0108】
なお、太陽電池モジュール1g、太陽電池モジュール1hのいずれにおいても、平面的な配置は、実施の形態1の図1A、図3A(変形例3)、図3B(変形例4)で示した太陽電池モジュール1、太陽電池モジュール1d、太陽電池モジュール1eと同様とすることができる。つまり、本実施の形態に係る嵌め込み部21(開口部27)は、第1対辺部23または(および)第2対辺部24に配置することができる。また、開口部27(切り欠き部)は、フレーム26を押し出し成型した後、プレス加工することで形成される。
【0109】
本実施の形態においては、実施の形態1と同様、太陽電池モジュール1g(あるいは太陽電池モジュール1h。以下省略することがある。)を複数梱包するときの結合部材CTmの取り扱いとして、結合部材CTmを固定して結合部材CTmに太陽電池モジュール1g(嵌め込み部21)を嵌め込んで位置決めする方法と、太陽電池モジュール1g(嵌め込み部21)を位置決めして嵌め込み部21に対して結合部材CTmを嵌め込む方法とが可能である。なお、太陽電池モジュール1gを積み重ねる方向で説明したが、立てた状態として横方向で平行に配置する場合にも同様に結合部材CTmを適用することができる。
【0110】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1g、太陽電池モジュール1hは、端面方向DYでの結合部材CTmの嵌め込みが可能であることから、作業性を大幅に向上させることができる。
【0111】
<実施の形態3>
図5Aないし図6Cを参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1j、太陽電池モジュール1k、太陽電池モジュール1n、および太陽電池モジュール1j(太陽電池モジュール1k、太陽電池モジュール1n)の梱包方法について説明する。なお、太陽電池モジュール1j、太陽電池モジュール1k、太陽電池モジュール1nは、実施の形態1に係る太陽電池モジュール1の変形例でもある。
【0112】
太陽電池モジュール1j、太陽電池モジュール1k、太陽電池モジュール1nの基本的な構成は、実施の形態1に係る太陽電池モジュール1と同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。また、嵌め込み部21に結合部材CTmを適用して梱包し、モジュール集団梱包1Mを組み立てることも同様であるので適宜説明を省略する。
【0113】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1j(変形例8)、太陽電池モジュール1k(変形例9)、太陽電池モジュール1n(変形例10)では、第1対辺部23と第2対辺部24との連結がコーナー連結部材30を介してなされている。つまり、フレーム26は、コーナー連結部材30によって組み立てられている。また、コーナー連結部材30に嵌め込み部21を配置している。
【0114】
図5Aは、本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール1j(変形例8)の平面状態を示す平面図である。
【0115】
図5Bは、図5Aに示した太陽電池モジュール1に適用されたコーナー連結部材30を斜め上方から見た状態として拡大して示す拡大斜視図である。
【0116】
第1対辺部23および第2対辺部24は、コーナー連結部材30によって相互に交差する方向で連結されている。コーナー連結部材30は、角部25に対応したブロック状とされ、第1対辺部23および第2対辺部24が有する受光側フレーム部材26f、裏側フレーム部材26sの間に嵌めこまれる連結枝部31を備える。また、積層体15に対向する側には、積層体15の角部が挿入される受け部32を備える。
【0117】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1j(変形例8)では、外周領域20は、セル領域10の外周を保護する複数のフレーム26と、フレーム26が構成する角部25でフレーム26を相互に連結するコーナー連結部材30とを備え、嵌め込み部21は、コーナー連結部材30に配置されている。
【0118】
したがって、太陽電池モジュール1は、角部25に配置されたコーナー連結部材30に嵌め込み部21を備えることから、簡単な構造で確実に位置決めできる。
【0119】
コーナー連結部材30は、いわゆるコーナーピースである。フレーム26の全体を直線状の4個のフレーム26で構成するときは、4個のフレーム26と、4個のコーナー連結部材30が必要となる。太陽電池モジュール1jでは、4個のコーナー連結部材30の内、対向する角部25に配置された2個のコーナー連結部材30に嵌め込み部21を配置している。4個のコーナー連結部材30の全てに嵌め込み部21を形成することも可能である。
【0120】
また、フレーム26の全体をL字型の2個のフレーム26で構成するときは、2個のフレーム26と、2個のコーナー連結部材30が必要となる。このときは、2個のコーナー連結部材30に嵌め込み部21を形成することができる。
【0121】
太陽電池モジュール1jに適用されたコーナー連結部材30の基本形状は、フレーム26に対して外形上の段差が生じない立方体であり、第1対辺部23および第2対辺部24に隣接する面が連結枝部31を介して第1対辺部23、第2対辺部24に連結される。コーナー連結部材30には、予め嵌め込み部21が形成されていることから、容易に太陽電池モジュール1jを集団梱包することができる。
【0122】
図6Aは、本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール1k(変形例9)の平面状態を示す平面図である。
【0123】
図6Bは、図6Aの矢符6B−6Bでの断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
【0124】
本実施の形態では、コーナー連結部材30の形状を平板状のL字型としている。太陽電池モジュール1jでは、コーナー連結部材30の基本形状を立方体としたが、太陽電池モジュール1kでは、コーナー連結部材30として平板状のコーナーピースを適用している。コーナー連結部材30に形成された嵌め込み部21に対応させて第1対辺部23、第2対辺部24は適宜の開口を形成されている。また、角部25では、コーナー連結部材30の形状に応じて積層体15の角部が適宜面取りされている。その他の基本的な構成、作用は図5A、図5Bと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0125】
図6Cは、本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール1n(変形例10)の平面状態を示す平面図である。
【0126】
太陽電池モジュール1kでは、コーナー連結部材30がフレーム26によって覆われた状態とされているが、太陽電池モジュール1nでは、コーナー連結部材30が露出されている。コーナー連結部材30を露出させることによって、コーナー連結部材30に対する第1対辺部23、第2対辺部24の位置決めを容易に行うことができる。
【0127】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1j、太陽電池モジュール1k、太陽電池モジュール1nによれば、コーナー連結部材30を適用した本実施の形態に係る太陽電池モジュール1j、太陽電池モジュール1k、太陽電池モジュール1nによれば、第1対辺部23、第2対辺部24、角部25を構成するフレーム26に直接嵌め込み部21を形成する場合に比較して、フレーム26の強度の低下を防止できる。
【0128】
フレーム26とコーナー連結部材30とは同一の素材(金属)で形成されることが好ましい。異なる金属とした場合は、金属間の表面電位(それぞれの金属が有する固有の表面電位)の差が存在することから、腐食が発生しやすい。したがって、コーナー連結部材30は、フレーム26と同様アルミニウム、あるいはアルミニウム合金で形成される。
【0129】
<実施の形態4>
図7Aおよび図7Bを参照して、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1p、および太陽電池モジュール1pの梱包方法について説明する。なお、太陽電池モジュール1pは、実施の形態1に係る太陽電池モジュール1の変形例でもある。
【0130】
太陽電池モジュール1p(変形例11)の基本的な構成は、実施の形態1ないし実施の形態3で示した太陽電池モジュール1、太陽電池モジュール1bないし太陽電池モジュール1nと同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。また、嵌め込み部21に結合部材CTmを適用して梱包し、モジュール集団梱包1Mを組み立てることも同様であるので適宜説明を省略する。
【0131】
図7Aは、本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール1k(変形例11)の平面状態を示す平面図である。
【0132】
図7Bは、図7Aの矢符7B−7Bでの断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
【0133】
本実施の形態に係る太陽電池モジュール1pは、太陽電池セル11が配置されたセル領域10と、セル領域10の外周に配置された外周領域20とを備える。なお、太陽電池モジュール1pは、実施の形態1ないし実施の形態3で示したフレーム26を有しない。
【0134】
太陽電池モジュール1pは、太陽電池セル11を封止して保護する透光性基板12(例えばガラス板)、封止部材13(例えばEVA:エチレンビニールアセテート)、および裏面保護部材14(例えばガラス板)を備える。また、外周領域20は、セル領域10の外側領域とされ、太陽電池セル11を内包する透光性基板12、封止部材13、および裏面保護部材14は、積層体15を構成している。積層体15の構成は、実施の形態1ないし実施の形態3に係る太陽電池モジュール1(および太陽電池モジュール1b〜太陽電池モジュール1n)と同様である。
【0135】
太陽電池モジュール1p(変形例11)は、相互に積層された透光性基板12、封止部材13、および裏面保護部材14によって太陽電池セル11が封止された積層体15を備えてあり、外周領域20は、積層体15の外周部分15tで画定され、嵌め込み部21は、外周部分15tに積層体15を貫通して形成されている。
【0136】
したがって、本発明に係る太陽電池モジュール1は、透光性基板12、封止部材13、および裏面保護部材14を積層した積層体15の外周部分15tに積層体15を貫通する嵌め込み部21を備えることから、フレームレス仕様とされた場合においても簡単な構造で確実に位置決めできる。
【0137】
上述したとおり、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1pでは、太陽電池セル11は、相互に積層された透光性基板12、封止部材13、および裏面保護部材14によって封止されてあり、外周領域20は、透光性基板12の外周部分12tで画定され、嵌め込み部21は、外周部分12tに配置されている。なお、外周部分12tは、セル領域10の外周領域で画定することができる。
【0138】
<実施の形態についての補足事項>
実施の形態1ないし実施の形態4に記載した事項(太陽電池モジュール1、太陽電池モジュール1bないし太陽電池モジュール1p、モジュール集団梱包1M、結合部材CTm、締結部材CTfなど)は、必要に応じて相互に適用可能な技術であり、重複して適用することができる。また、適宜の組み合わせを採用することができる。
【0139】
なお、太陽電池セル11の種類については、なんら限定を必要としない。太陽電池セル11としては、例えば、結晶系、薄膜系のシリコン太陽電池、GaAs、CIS、CIGS、CdTeなどの化合物半導体太陽電池、色素増感型太陽電池など種々の太陽電池素子がある。
【符号の説明】
【0140】
1 太陽電池モジュール
1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1j、1k、1n、1p 太陽電池モジュール
1M モジュール集団梱包
10 セル領域
11 太陽電池セル
12 透光性基板
12t 外周部分
13 封止部材
14 裏面保護部材
15 積層体
15t 外周部分
17 ゴム状弾性体
20 外周領域
21 嵌め込み部
23 第1対辺部
24 第2対辺部
25 角部
26 フレーム
26f 受光側フレーム部材
26s 裏側フレーム部材
26c 外周フレーム部材
26t 外周端
27 開口部
28 つば部
30 コーナー連結部材
31 連結枝部
32 受け部
CTf 締結部材
CTm 結合部材
DS 重畳方向
DY 端面方向
La 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルが配置されたセル領域と、前記セル領域の外周に配置された外周領域とを備える太陽電池モジュールであって、
前記外周領域は、他の太陽電池モジュールに対して互いに重ねられる重畳方向での結合に適用される結合部材が嵌め込まれる嵌め込み部を備えること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記嵌め込み部は、前記結合部材が前記重畳方向に通される構成とされていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記外周領域は、相互に向き合う2つの第1対辺部を有し、前記嵌め込み部は、前記第1対辺部のそれぞれに配置されていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の太陽電池モジュールであって、
前記外周領域は、2つの前記第1対辺部と交差して相互に向き合う2つの第2対辺部を有し、前記嵌め込み部は、前記第2対辺部のそれぞれに配置されていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールであって、
前記外周領域は、相互に向き合う2つの角部を有し、前記嵌め込み部は、前記角部のそれぞれに配置されていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールであって、
前記外周領域は、前記セル領域の外周を保護するフレームを備え、前記嵌め込み部は、前記フレームに形成されていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の太陽電池モジュールであって、
前記嵌め込み部は、前記フレームの外周端に開口する開口部を備えること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項8】
請求項6に記載の太陽電池モジュールであって、
前記フレームは、外側に突出されたつば部を備え、前記嵌め込み部は、前記つば部で外側に開口する開口部を備えていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記外周領域は、前記セル領域の外周を保護する複数のフレームと、前記フレームが構成する角部で前記フレームを相互に連結するコーナー連結部材とを備え、
前記嵌め込み部は、前記コーナー連結部材に配置されていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項10】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールであって、
相互に積層された透光性基板、封止部材、および裏面保護部材によって太陽電池セルが封止された積層体を備えてあり、
前記外周領域は、前記積層体の外周部分で画定され、
前記嵌め込み部は、前記外周部分に積層体を貫通して形成されていること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一つに記載の太陽電池モジュールであって、
前記結合部材は、直線状の棒であること
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項12】
太陽電池セルが配置されたセル領域と、前記セル領域の外周に形成された外周領域とを備える太陽電池モジュールの複数個を互いに重ねる重畳方向で固定して梱包する太陽電池モジュールの梱包方法であって、
前記太陽電池モジュールのそれぞれは、隣接する他の前記太陽電池モジュールとの結合に適用される結合部材が嵌め込まれて前記外周領域に配置される嵌め込み部を備えてあり、
前記結合部材および前記嵌め込み部のいずれか一方を他方に対して相対的に移動させて前記重畳方向に重ねた複数個の前記太陽電池モジュールにおける前記嵌め込み部に前記結合部材が嵌め込まれた状態とする工程と、
重ねられた前記複数個の太陽電池モジュールを前記結合部材の両端で挟んで固定する工程とを備えること
を特徴とする太陽電池モジュールの梱包方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2013−105835(P2013−105835A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247556(P2011−247556)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】