太陽電池モジュール及びその製造方法

【課題】太陽電池セル間での短絡を簡単な構成により防ぐ。
【解決手段】下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の半導体層を含む一方向に長い太陽電池セル2−1,2−2,2−3を、複数枚並べて備え、隣り合う太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせて電気的に接続させた太陽電池モジュールである。太陽電池セルそれぞれは、上導電層と下導電層とが短絡するのを防止する処理が両端部において施された端部処理領域A1と、その中央側にある光電変換を実質的に行う本発電領域A2とを有している。太陽電池セルの縁部の上に重なっている別の太陽電池セルの縁部は、下となっている太陽電池セルの本発電領域A1の範囲内で重なっている。
【解決手段】下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の半導体層を含む一方向に長い太陽電池セル2−1,2−2,2−3を、複数枚並べて備え、隣り合う太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせて電気的に接続させた太陽電池モジュールである。太陽電池セルそれぞれは、上導電層と下導電層とが短絡するのを防止する処理が両端部において施された端部処理領域A1と、その中央側にある光電変換を実質的に行う本発電領域A2とを有している。太陽電池セルの縁部の上に重なっている別の太陽電池セルの縁部は、下となっている太陽電池セルの本発電領域A1の範囲内で重なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の太陽電池セルを備えている太陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールとして、複数枚の細長い太陽電池セルを並べて接続したスラット構造型のものが知られており(例えば、特許文献1参照)、この太陽電池モジュールは、例えば、以下のようにして製造される。
ロールに巻かれている帯状の金属材料を送り出し、この金属材料の上に太陽電池セルを構成するための各種製膜を行った後、所定長さに切断し、細長い太陽電池セルを得ている。この太陽電池セルは、図9(a)に示しているように、前記金属材料からなる金属基板(下導電層)92の上に、発電層91(例えば半導体層)及び透明導電膜(上導電層)90を備えている。
そして、この太陽電池セルを複数枚並べると共に、隣り合う太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせ、半田等の接合金属により接合し、1枚の太陽電池モジュールとしている。このようにして製造された太陽電池モジュールは、複数枚の太陽電池セルが電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0003】
上記のとおり製膜を行った金属材料を、所定長さに切断(剪断)すると、特に透明導電膜90及び発電層91の膜厚は薄いため(数μm)、切断面93において、透明導電膜90と金属基板92とが短絡(電気的にショート)する可能性がある。
【0004】
そこで、太陽電池セルの両端部において、図9(b)に示しているように、少なくとも透明導電膜90を所定幅gについて除去したスクライブ溝94を形成し、このスクライブ溝94を含む端部領域を、処理領域B1としている。これにより、処理領域B1以外である中央の本発電領域(光電変換が実質的に行われる領域)B2において、透明導電膜90と金属基板92とが短絡するのを防止し、太陽電池モジュールの機能を確保している。なお、処理領域B1において、孤立した透明導電膜部分90aと、金属基板92とが短絡していても、本発電領域B2における光電変換には影響を与えない。
また、図9(c)に示しているように、太陽電池セルの両端部をブラスト処理することで、処理領域B1を形成し、図9(b)の場合と同様の機能を持たせることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/023264号(図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、太陽電池セル単位で発生するおそれのある短絡を防止することはできても、図10(a)の太陽電池モジュールの平面図に示しているように、隣り合う太陽電池セル95,96の縁部95a,96a同士を重ね合わせた場合、これら縁部95a,96aが接触することにより短絡する可能性がある。
すなわち、図10(b)の断面図に示しているように、半田等の接合金属97を介して重ね合わせた太陽電池セル95,96の縁部95a,96aにおいて、下となる太陽電池セル96の処理領域B1の透明導電膜90aと、その上にある太陽電池セル95の金属基板92とが互いに接触することにより短絡することがある。この場合、上下の太陽電池セル95,96が直列接続とならない。また、図10(c)のように両端部をブラスト処理した形態であっても、透明導電膜90及び発電層91の膜厚は薄いため、上下の金属基板92,92間で互いに接触することにより短絡することがあり、この場合、上下の太陽電池セル95,96が直列接続とならない。
【0007】
以上のように、従来では、太陽電池セル95,96間での短絡が発生する可能性があるという問題点を有している。なお、前記特許文献1に記載の太陽電池モジュールでは、太陽電池セルの端部に絶縁材料を別途設けることにより、太陽電気セル間での短絡を防止しているが、この場合、太陽電池セルごとに絶縁部材を追加する必要があり、また、この絶縁部材を取り付けるための工程が必要となってしまい、コスト高になる。
【0008】
そこで、本発明は、太陽電池セル間での短絡を簡単な構成により防ぐことができる太陽電池モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べて備え、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせて電気的に接続させた太陽電池モジュールであって、前記太陽電池セルそれぞれは、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理が両端部において施された端部処理領域と、その中央側にある光電変換を実質的に行う本発電領域とを有し、前記太陽電池セルの縁部の上に重なっている別の前記太陽電池セルの縁部は、下となっている前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内で重なっていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、縁部同士を重ね合わせた隣り合う太陽電池セルについて、下となっている太陽電池セル(第1セルと呼ぶ)の縁部の上に重なっている別の太陽電池セル(第2セルと呼ぶ)の縁部は、前記第1セルの本発電領域の範囲内で重なっているので、第2セルは、第1セルの端部処理領域の上には重ならない。このため、第1セルの端部処理領域と、上となっている第2セルの下導電層とは短絡しない。このように本発明によれば、太陽電池セル間において従来問題となっていた短絡を簡単な構成により防ぐことができる。
【0011】
(2)また、上となっている前記別の太陽電池セル及びその前記本発電領域は、その下となっている前記太陽電池セルの前記縁部から離れるにしたがって前記一方向に拡大している形状であるのが好ましい。
下となっている太陽電池セル(第1セルと呼ぶ)の縁部の上に重ねる別の太陽電池セル(第2セルと呼ぶ)の縁部は、第1セルの本発電領域の範囲内で重なるように、当該本発電領域の幅寸法以下の幅であることから、この第2セルを矩形とした場合、当該第2セルの全幅は、第1セルの本発電領域の幅よりも狭くなる。しかし、前記(2)に記載の構成によれば、第2セル及びその本発電領域は、その下となっている第1セルの縁部から離れるにしたがって一方向(太陽電池セルの長手方向)に拡大している形状であるため、第2セル及びその本発電領域の面積が縮小するのを防ぐことができる。したがって、この第2セルの上にさらに重ねる太陽電池セルの幅、および、その上にさらに重ねる太陽電池セルの幅が、次々と狭くなっていくのを防ぐことができ、太陽電池セルを次々と接続するにしたがって太陽電池モジュールの幅寸法が小さくなるのを防ぐことができる。
【0012】
(3)また、本発明は、下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べ、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を次々と重ね合わせて電気的に接続させ太陽電池モジュールを製造する製造方法であって、前記太陽電池セルそれぞれに対して、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理を両端部に施し、当該両端部を除いた中央の領域に、光電変換が実質的に行われる本発電領域を形成するセル製造ステップと、太陽電池セルの縁部の上に、別の太陽電池セルの縁部を重ね合わせることで、下となる前記太陽電池セルの前記上導電層の上に、別の前記太陽電池セルの前記下導電層が重なり、縁部同士を電気的に接続する接合ステップとを含み、前記接合ステップは、複数枚の太陽電池セルについて繰り返し行われ、各接合ステップでは、下となる前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内に、別の前記太陽電池セルの縁部を重ねることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記(1)に記載の太陽電池モジュールを製造することができる。これにより、下となる太陽電池セルの端部処理領域と、その上にある別の太陽電池セルの下導電層とは短絡せず、太陽電池セル間において従来問題となっていた短絡を簡単な構成により防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上となる太陽電池セルは、下となる太陽電池セルの端部処理領域の上には重ならないため、下となる太陽電池セルの端部処理領域と、その上にある太陽電池セルの下導電層とは短絡せず、太陽電池セル間での短絡を簡単な構成により防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【図3】図2のIII矢視の断面図である。
【図4】第2実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【図5】図4のV矢視の断面図である。
【図6】第3実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【図7】太陽電池モジュールの製造方法の説明図である。
【図8】太陽電池モジュールの断面図である。
【図9】従来の太陽電池モジュールが備えている太陽電池セルの説明図である。
【図10】従来の太陽電池モジュールの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1.太陽電池モジュールの全体構成について〕
図1は本発明の太陽電池モジュールの実施の一形態を示す斜視図である。この太陽電池モジュール1(以下、モジュール1ともいう)は、一方向に細長い太陽電池セル2(以下、セル2ともいう)を複数枚並べて備えており、これら複数のセル2の両側に電極9が設けられている。セル2は、一方向に細長い短冊形状であり、この一方向(セル2の長手方向)と、セル2が並べられるセル2の配列方向(以下、他方向という)とは直交した方向である。なお、図1では、説明を容易とするためにセル2を3枚(セル2−1,2−2,2−3)のみとしているが、実際のモジュールでは、3枚よりも多いセルを備えている。
【0017】
これらセル2及び電極9は、その両面からカバー部材10によって挟まれており、モジュール1は一体のシート状を成している。両面のカバー部材10は、可撓性を有し太陽光を透過させるフィルム状の樹脂部材から成り、セル2及び電極9の表面及び裏面に密着している。なお、図1では、カバー部材10をセル2から離した状態としている。
【0018】
各セル2は、導電性を有する導電性基板11a上に、発電層として半導体層12と、上部電極13aとが、この順で積層されて構成されている。すなわち、導電性基板11aにより下導電層11が構成されており、上部電極13aにより上導電層13が構成されており、これら上下の導電層11,13の間に前記半導体層12が介在している。
導電性基板11aはステンレス製であり、半導体層12はアモルファスシリコン又はCIGS等であり、上部電極13aは透明電極であって、例えば酸化インジウムスズである。なお、各部材についてはこの他のものであってもよい。
【0019】
隣り合うセル2,2の縁部15,16同士は、接合金属を介して上下重ね合わされた状態にあり、当該接合金属によって、重ね合わされた縁部15,16において、セル2,2は電気的及び構造的に接続されている。この重ね合わされた縁部15,16を、重ね合わせ縁部と呼ぶ。接合金属は、例えば半田5から成る。半田5は、セル2の縁部16に沿って(一方向に沿って)点在して設けられている。また、上側及び下側にあるセル2,2と半田5との間には、導電膜を介在させてもよい。
【0020】
以上より、下となるセル2の上導電層13の上に、別のセル2の下導電層11が半田5等の接合金属を介して重なっており、この接合金属によってセル2,2同士を電気的に接続している。そして、他方向について両端部にあるセル2,2それぞれは、半田によって電極9と電気的及び構造的に接続されている。この構成により、複数枚のセル2が電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0021】
〔2.太陽電池セルについて〕
図2は、第1実施形態に係るモジュール1の平面図であり、図3は、図2のIII矢視の断面図である。なお、このモジュール1は第1セル2−1、第2セル2−2、第3セル2−3を備えており、これらのセルはすべて同じ形態を有している。また、第1セル2−1と第2セル2−2との接続形態と、第2セル2−2と第3セル2−3との接続形態は同じであり、図3では、第1セル2−1と第2セル2−2とを説明している。
【0022】
セル2−1,2−2,2−3それぞれは、一方向両端部にある端部処理領域A1,A1と、その中央にある本発電領域A2とを有している。本発電領域A2は、光電変換が実質的に行われる領域、つまり、発電する領域であって他のセルと電気的に直列となる領域である。端部処理領域A1は、セルそれぞれの本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止する処理が施された領域である。本実施形態では、各セルの両端部に、上導電層13を所定幅gについて除去したスクライブ溝6を形成し、このスクライブ溝6を含む端部領域を、端部処理領域A1としている。本発電領域A2は、端部処理領域A1に比べて十分に大きく、両側の端部処理領域A1,A1を合計した面積よりも大きい。
【0023】
後の製造方法でも説明するが、各セルの端面4は切断面となることから、その切断面において上導電層13と下導電層11とが短絡するおそれがあるが、前記端部処理領域A1によれば、本発電領域A2において上導電層13と下導電層11との短絡を防止することができる。なお、各セルの端部処理領域A1において、孤立した上導電層の一部13bと、下導電層11とが短絡していても、本発電領域A2における光電変換には影響を与えない。
また、端部処理領域A1を得るために、少なくとも上導電層13にスクライブ溝6を形成すればよいが、本実施形態では、上導電層13及び半導体層12を所定幅gについて除去したスクライブ溝6を形成している。
【0024】
本実施形態(図2)では、セルそれぞれは、平面視において一方向に細長い台形形状であり、長辺側の縁部15と短辺側の縁部16とを有している。また、スクライブ溝6は、セルの一方向両側の辺(端面4)と平行な方向に沿って直線的に形成されている。つまり、スクライブ溝6は、一方向(セルの長手方向)に対して傾斜している。このため、本発電領域A2は平面視台形となり、端部処理領域A1は平行四辺形となっている。
【0025】
隣り合う第1セル2−1と第2セル2−2とにおいて、下となっている第1セル2−1の長辺側の縁部15の上に、第2セル2−2の短辺側の縁部16が、重ね合わされている。また、隣り合う前記第2セル2−2と第3セル2−3とにおいて、下となっている第2セル2−2の長辺側の縁部15の上に、第3セル2−3の短辺側の縁部16が、重ね合わされている。
また、各セルの短辺側の縁部16の一方向長さLaは、当該セルの長辺側の縁部15における本発電領域A2の一方向長さLbよりも、短くなるように、各セル2の形状は設定されている。
【0026】
そして、隣り合う第1セル2−1と第2セル2−2とに着目すると、第1セル2−1の長辺側の縁部15の上に重なっている、第2セル2−2の短辺側の縁部16は、下となっている第1セル2−1の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。これと同様に、第2セル2−2と第3セル2−3とに着目すると、第2セル2−2の長辺側の縁部15の上に重なっている、第3セル2−3の短辺側の縁部16は、下となっている第2セル2−2の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
【0027】
以上のように、本発明のモジュール1では、縁部同士を重ね合わせた隣り合うセルについて、一方のセル(下となるセル)の縁部の上に重なっている別のセル(上となるセル)の縁部は、下となっているセルの本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
このため、図2と図3において、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1の上には、上となる第2セル2−2は重ならない。このため、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1(上導電層の一部13b)と、上となる第2セル2−2の下導電層11とは短絡しない。そして、第2セル2−2と第3セル2−3において、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1の上には、上となる第3セル2−3は重ならない。このため、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1(上導電層の一部)と、上となる第3セル2−3の下導電層11とは短絡しない。
したがって、このモジュール1によれば、すべてのセルが電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0028】
〔3.第2実施形態について〕
図4は第2実施形態に係るモジュール1の平面図である。図5は図4のV矢視の断面図である。この第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第1実施形態(図2)と比べると、第2実施形態に係るモジュール1では、セル2の形状が異なる。すなわち、第2実施形態のセルは、平面視において一方向に細長い台形ではなく、一方向に細長い矩形である。なお、その他については同じであり、ここではその説明を省略する。
【0029】
第1実施形態と同様に、第2実施形態のセル2−1,2−2,2−3それぞれは、光電変換が実質的に行われる中央の本発電領域A2と、その両端部の端部処理領域A1,A1とを有している。端部処理領域A1は、セルそれぞれの本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止する処理が施された領域であり、本実施形態でも、端部処理領域A1は、セル2の両端部の上導電層13及び半導体層12(図5参照)を所定幅gについて除去したスクライブ溝6を含む領域である。
この第2実施形態では、セルの一方向両側の辺(端面4)は他方向に平行となっており、スクライブ溝6は、この辺(端面4)と平行な直線に沿って形成されている。このため、本発電領域A2は平面視において矩形であり、端部処理領域A1も矩形となっている。
【0030】
そして、この第2実施形態において、隣り合う第1セル2−1と第2セル2−2とに着目すると、第1セル2−1の一方の縁部15の上に重なっている、第2セル2−2の縁部16は、下となっている第1セル2−1の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。これと同様に、隣り合う第2セル2−2と第3セル2−3とに着目すると、第2セル2−2の縁部15の上に重なっている、第3セル2−3の縁部16は、下となっている第2セル2−2の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
【0031】
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、縁部同士を重ね合わせた隣り合うセルについて、一方のセル(下となるセル)の縁部の上に重なっている別のセル(上となるセル)の縁部は、下となっているセルの本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
このため、図4と図5において、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1の上には、上となる第2セル2−2は重ならない。このため、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1(上導電層の一部13b)と、上となる第2セル2−2の下導電層11とは短絡しない。そして、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1の上には、上となる第3セル2−3は重ならない。このため、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1(上導電層の一部)と、上となる第3セル2−3の下導電層11とは短絡しない。
したがって、このモジュール1によれば、すべてのセル2が電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0032】
〔4.第3実施形態について〕
図6は第3実施形態に係るモジュール1の平面図である。なお、図6のIII矢視の断面図は、図3と同様である。この第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。第1実施形態(図2)と比べると、第3実施形態に係るモジュール1では、セル2の形状が異なる。すなわち、第3実施形態のセル2は、平面視において一方向に細長い台形ではなく、一方向に細長い凸形状である。なお、その他については同じであり、ここではその説明を省略する。また、複数枚のセル2−1,2−2,2−3はすべて同じ形態を有している。
【0033】
ここで、第1実施形態(図2)について説明すると、例えば第1セル2−1と第2セル2−2とに関して、上となっている第2セル2−2及びその本発電領域A2は、下となっている第1セル2−1の重ね合わせ縁部15から他方向(セルの配列方向)に離れるにしたがって、一方向に拡大しており、その一方向の拡大が直線的な拡大となっている。すなわち、セル2−2及び本発電領域A2は台形となっている。
【0034】
これに対して、第3実施形態(図6)では、例えば第1セル2−1と第2セル2−2とについて説明すると、上となっている第2セル2−2及びその本発電領域A2は、下となっている第1セル2−1の重ね合わせ縁部15から他方向(セルの配列方向)に離れるにしたがって、一方向に拡大しているが、その一方向の拡大が段階的な拡大となっている。この結果、セル2及び本発電領域A2は凸形状となっている。
なお、本実施形態では、セル2及び本発電領域A2を凸形状とするために、セルの一方向両側の辺(端面4)が平面視段付き形状となっており、また、スクライブ溝6は、この辺(端面4)と平行となるように段付き形状(折れ曲がり形状)として形成されている。
【0035】
このように、第1実施形態及び第3実施形態では、上となるセル及びその本発電領域A2は、下となるセルの重ね合わせ縁部から他方向に離れるにしたがって、一方向に拡大している形状である。そして、この点が、第2実施形態と異なっている。
なお、第2の実施形態(図4)の場合、第1セル2−1の縁部15の上に重ねる第2セル2−2の縁部16は、第1セル2−1の本発電領域A2の範囲内でのみ重なるように、当該本発電領域A2の幅寸法以下の幅である。そして、第2セル2−2は矩形であることから、この第2セル2−2の幅は、第1セル2−1の本発電領域A1の幅よりも狭くなる。そして、この第2セル2−2の上に縁部16を重ねる第3セル2−3では、さらに、全幅及び本発電領域A1の幅が狭くなる。このため、複数枚のセルを他方向に並べて縁部同士を重ねるごとに、本発電領域A2の面積が縮小してしまう。
【0036】
しかし、第1実施形態及び第3実施形態によれば、第1セル2−1の上となる第2セル2−2及びその本発電領域A2は、下となる第1セル2−1の縁部15から離れるにしたがって一方向に拡大している形状(台形、凸形)であるため、上となる第2セル2−2及びその本発電領域A2の面積が、縮小するのを防ぐことができる。このため、第2セル2−2の上にさらに重ねる第3セル2−3の幅、および、さらに重ねるセルがあればその幅は、第1セル2−1と同じであり、図2のように次々と狭くなっていくのを防ぐことができる。
【0037】
〔5.太陽電池モジュールの製造方法について〕
図7は、モジュール1の製造方法の説明図である。図7(a)に示しているように、ロール21に巻かれている帯状の金属材料22を送り出し、この金属材料22の上に太陽電池セルを構成するための各種製膜、及び、前記半田5の取り付け等を行い、これを所定長さに切断する。これにより、図7(b)に示しているように、細長いセル2を得る(以上、セル製造第1ステップ)。このセル2は、図1に示しているように、前記金属材料からなる導電性基板11a(下導電層11)の上に、半導体層12及び上部電極13a(上導電層13)が設けられている。なお、前記半田5の取り付けは、後に説明するセル2,2の縁部同士を重ね合わせる工程で行ってもよい。
【0038】
なお、前記第1、第2及び第3実施形態それぞれに係るモジュール1の製造方法は、前記切断の際の切断形状が異なるが、その他は同様である。そこで、以下では、第1実施形態(図2と図3)の場合を説明する。
【0039】
所定長さに切断された細長いセル2が得られると、図2と図3とにより説明したように、セル2それぞれに対して、本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止する処理をセル両端部において施し、この両端部を除いた中央の領域に、光電変換が実質的に行われる本発電領域A2を形成する(セル製造第2ステップ)。
すなわち、このセル製造第2ステップでは、図7(c)に示しているように、セル2の両端部それぞれに(図7(c)では一方の端部を示している)、上導電層13及び半導体層12を、セル2の両端辺に平行な方向に沿って機械的に除去し、所定幅gのスクライブ溝6を形成する。そして、このスクライブ溝6を含む端部領域を、端部処理領域A1とし、この端部処理領域A1を除く中央の領域を、本発電領域A2とする。本発電領域A2は、光電変換が実質的に行われる領域となり、後の接合ステップにおいて、他のセル2と重ね合わされることで電気的に直列接続とさせる領域である。
【0040】
そして、セル2単体の検査がされ(検査ステップ)、その後、図7(d)に示しているように、セル2を、当該セル2の長手方向に直交する他方向に複数枚並べると共に、隣り合うセル2,2の縁部同士を次々と重ね合わせて電気的及び構造的に接続する(接合ステップ)。つまり、他方向に向かってモジュール1が順次長くなるように、隣り合うセル2,2の縁部同士を重ね合わせ、全てのセルにおいてこの重ね合わせを行う。
【0041】
この接合ステップについてさらに説明すると、セル2の縁部の上に、別のセル2の縁部を重ね合わせることで、下となるセル2の上導電層13の上に、前記半田5を介して、当該別のセル2の下導電層11が重なり、縁部同士を電気的及び構造的に接続する。この接合ステップは、複数枚のセル2について繰り返し行われ、各接合ステップでは、図2に示しているように、下となるセルの本発電領域A2の範囲内に、別のセルの縁部を重ねる。
【0042】
すなわち、第1セル2−1の縁部15であって本発電境域A2の範囲内に、第2セル2−2の一方の縁部16を重ね、この第2セル2−2の他方の縁部15であって本発電境域A2の範囲内に、第3セル2−3の一方の縁部16を重ねる。このような重ね合わせを次々と行う。そして、縁部同士を重ねるごとに、または、全てのセルについて重ねた後に、半田5によって隣り合うセル同士を接合する。
その後、図1に示しているカバー部材10を、複数枚のセルの上下から覆い(仕上げステップ)、1枚のモジュール1とする。
【0043】
以上より、太陽電池モジュール1を製造することができ、この製造方法によって製造されたモジュール1では、図3に示しているように、第1セル2−1の端部処理領域A1(領域A1の上導電層13b)と、第2セル2−2の下導電層11とは短絡せず、また、図示していないが、この第2セル2−2の端部処理領域A1(領域A1の上導電層13b)と、第3セル2−3の下導電層11とは短絡せず、隣り合うセル間において、従来生じていた短絡を簡単な構成により防ぐことができる。
【0044】
なお、前記各実施形態では、セル2の一方向両端部にスクライブ溝6を形成し、この溝6を含む端部領域を端部処理領域A1としている場合を説明したが、端部処理領域A1はこれ以外であってもよく、図8に示しているように、セル2の端部を所定の幅gについて、少なくとも上導電層13をブラスト除去した領域であってもよい。図8の端部処理領域A1によれば、スクライブ溝6の場合と同様に、セル2それぞれの本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止することができる。
【0045】
また、本発明の太陽電池モジュール及びその製造方法は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。セル2は、直線的に幅広となる形状(台形)や、段階的に幅広となる形状(凸形)以外であってもよい。また、段階的に幅広となる場合、前記実施形態(図6)では、1段であったが、複数段について段階的に幅広となってもよい。前記実施形態では、発電層を半導体層12として説明したが、これに限らず有機化合物による層等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1:太陽電池モジュール、 2:太陽電池セル、 11:下導電層、 12:半導体層(発電層)、 13:上導電層、 15:長辺側の縁部、 16:短辺側の縁部、 A1:端部処理領域、 A2:本発電領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の太陽電池セルを備えている太陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールとして、複数枚の細長い太陽電池セルを並べて接続したスラット構造型のものが知られており(例えば、特許文献1参照)、この太陽電池モジュールは、例えば、以下のようにして製造される。
ロールに巻かれている帯状の金属材料を送り出し、この金属材料の上に太陽電池セルを構成するための各種製膜を行った後、所定長さに切断し、細長い太陽電池セルを得ている。この太陽電池セルは、図9(a)に示しているように、前記金属材料からなる金属基板(下導電層)92の上に、発電層91(例えば半導体層)及び透明導電膜(上導電層)90を備えている。
そして、この太陽電池セルを複数枚並べると共に、隣り合う太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせ、半田等の接合金属により接合し、1枚の太陽電池モジュールとしている。このようにして製造された太陽電池モジュールは、複数枚の太陽電池セルが電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0003】
上記のとおり製膜を行った金属材料を、所定長さに切断(剪断)すると、特に透明導電膜90及び発電層91の膜厚は薄いため(数μm)、切断面93において、透明導電膜90と金属基板92とが短絡(電気的にショート)する可能性がある。
【0004】
そこで、太陽電池セルの両端部において、図9(b)に示しているように、少なくとも透明導電膜90を所定幅gについて除去したスクライブ溝94を形成し、このスクライブ溝94を含む端部領域を、処理領域B1としている。これにより、処理領域B1以外である中央の本発電領域(光電変換が実質的に行われる領域)B2において、透明導電膜90と金属基板92とが短絡するのを防止し、太陽電池モジュールの機能を確保している。なお、処理領域B1において、孤立した透明導電膜部分90aと、金属基板92とが短絡していても、本発電領域B2における光電変換には影響を与えない。
また、図9(c)に示しているように、太陽電池セルの両端部をブラスト処理することで、処理領域B1を形成し、図9(b)の場合と同様の機能を持たせることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/023264号(図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、太陽電池セル単位で発生するおそれのある短絡を防止することはできても、図10(a)の太陽電池モジュールの平面図に示しているように、隣り合う太陽電池セル95,96の縁部95a,96a同士を重ね合わせた場合、これら縁部95a,96aが接触することにより短絡する可能性がある。
すなわち、図10(b)の断面図に示しているように、半田等の接合金属97を介して重ね合わせた太陽電池セル95,96の縁部95a,96aにおいて、下となる太陽電池セル96の処理領域B1の透明導電膜90aと、その上にある太陽電池セル95の金属基板92とが互いに接触することにより短絡することがある。この場合、上下の太陽電池セル95,96が直列接続とならない。また、図10(c)のように両端部をブラスト処理した形態であっても、透明導電膜90及び発電層91の膜厚は薄いため、上下の金属基板92,92間で互いに接触することにより短絡することがあり、この場合、上下の太陽電池セル95,96が直列接続とならない。
【0007】
以上のように、従来では、太陽電池セル95,96間での短絡が発生する可能性があるという問題点を有している。なお、前記特許文献1に記載の太陽電池モジュールでは、太陽電池セルの端部に絶縁材料を別途設けることにより、太陽電気セル間での短絡を防止しているが、この場合、太陽電池セルごとに絶縁部材を追加する必要があり、また、この絶縁部材を取り付けるための工程が必要となってしまい、コスト高になる。
【0008】
そこで、本発明は、太陽電池セル間での短絡を簡単な構成により防ぐことができる太陽電池モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べて備え、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせて電気的に接続させた太陽電池モジュールであって、前記太陽電池セルそれぞれは、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理が両端部において施された端部処理領域と、その中央側にある光電変換を実質的に行う本発電領域とを有し、前記太陽電池セルの縁部の上に重なっている別の前記太陽電池セルの縁部は、下となっている前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内で重なっていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、縁部同士を重ね合わせた隣り合う太陽電池セルについて、下となっている太陽電池セル(第1セルと呼ぶ)の縁部の上に重なっている別の太陽電池セル(第2セルと呼ぶ)の縁部は、前記第1セルの本発電領域の範囲内で重なっているので、第2セルは、第1セルの端部処理領域の上には重ならない。このため、第1セルの端部処理領域と、上となっている第2セルの下導電層とは短絡しない。このように本発明によれば、太陽電池セル間において従来問題となっていた短絡を簡単な構成により防ぐことができる。
【0011】
(2)また、上となっている前記別の太陽電池セル及びその前記本発電領域は、その下となっている前記太陽電池セルの前記縁部から離れるにしたがって前記一方向に拡大している形状であるのが好ましい。
下となっている太陽電池セル(第1セルと呼ぶ)の縁部の上に重ねる別の太陽電池セル(第2セルと呼ぶ)の縁部は、第1セルの本発電領域の範囲内で重なるように、当該本発電領域の幅寸法以下の幅であることから、この第2セルを矩形とした場合、当該第2セルの全幅は、第1セルの本発電領域の幅よりも狭くなる。しかし、前記(2)に記載の構成によれば、第2セル及びその本発電領域は、その下となっている第1セルの縁部から離れるにしたがって一方向(太陽電池セルの長手方向)に拡大している形状であるため、第2セル及びその本発電領域の面積が縮小するのを防ぐことができる。したがって、この第2セルの上にさらに重ねる太陽電池セルの幅、および、その上にさらに重ねる太陽電池セルの幅が、次々と狭くなっていくのを防ぐことができ、太陽電池セルを次々と接続するにしたがって太陽電池モジュールの幅寸法が小さくなるのを防ぐことができる。
【0012】
(3)また、本発明は、下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べ、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を次々と重ね合わせて電気的に接続させ太陽電池モジュールを製造する製造方法であって、前記太陽電池セルそれぞれに対して、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理を両端部に施し、当該両端部を除いた中央の領域に、光電変換が実質的に行われる本発電領域を形成するセル製造ステップと、太陽電池セルの縁部の上に、別の太陽電池セルの縁部を重ね合わせることで、下となる前記太陽電池セルの前記上導電層の上に、別の前記太陽電池セルの前記下導電層が重なり、縁部同士を電気的に接続する接合ステップとを含み、前記接合ステップは、複数枚の太陽電池セルについて繰り返し行われ、各接合ステップでは、下となる前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内に、別の前記太陽電池セルの縁部を重ねることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記(1)に記載の太陽電池モジュールを製造することができる。これにより、下となる太陽電池セルの端部処理領域と、その上にある別の太陽電池セルの下導電層とは短絡せず、太陽電池セル間において従来問題となっていた短絡を簡単な構成により防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上となる太陽電池セルは、下となる太陽電池セルの端部処理領域の上には重ならないため、下となる太陽電池セルの端部処理領域と、その上にある太陽電池セルの下導電層とは短絡せず、太陽電池セル間での短絡を簡単な構成により防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【図3】図2のIII矢視の断面図である。
【図4】第2実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【図5】図4のV矢視の断面図である。
【図6】第3実施形態に係る太陽電池モジュールの平面図である。
【図7】太陽電池モジュールの製造方法の説明図である。
【図8】太陽電池モジュールの断面図である。
【図9】従来の太陽電池モジュールが備えている太陽電池セルの説明図である。
【図10】従来の太陽電池モジュールの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1.太陽電池モジュールの全体構成について〕
図1は本発明の太陽電池モジュールの実施の一形態を示す斜視図である。この太陽電池モジュール1(以下、モジュール1ともいう)は、一方向に細長い太陽電池セル2(以下、セル2ともいう)を複数枚並べて備えており、これら複数のセル2の両側に電極9が設けられている。セル2は、一方向に細長い短冊形状であり、この一方向(セル2の長手方向)と、セル2が並べられるセル2の配列方向(以下、他方向という)とは直交した方向である。なお、図1では、説明を容易とするためにセル2を3枚(セル2−1,2−2,2−3)のみとしているが、実際のモジュールでは、3枚よりも多いセルを備えている。
【0017】
これらセル2及び電極9は、その両面からカバー部材10によって挟まれており、モジュール1は一体のシート状を成している。両面のカバー部材10は、可撓性を有し太陽光を透過させるフィルム状の樹脂部材から成り、セル2及び電極9の表面及び裏面に密着している。なお、図1では、カバー部材10をセル2から離した状態としている。
【0018】
各セル2は、導電性を有する導電性基板11a上に、発電層として半導体層12と、上部電極13aとが、この順で積層されて構成されている。すなわち、導電性基板11aにより下導電層11が構成されており、上部電極13aにより上導電層13が構成されており、これら上下の導電層11,13の間に前記半導体層12が介在している。
導電性基板11aはステンレス製であり、半導体層12はアモルファスシリコン又はCIGS等であり、上部電極13aは透明電極であって、例えば酸化インジウムスズである。なお、各部材についてはこの他のものであってもよい。
【0019】
隣り合うセル2,2の縁部15,16同士は、接合金属を介して上下重ね合わされた状態にあり、当該接合金属によって、重ね合わされた縁部15,16において、セル2,2は電気的及び構造的に接続されている。この重ね合わされた縁部15,16を、重ね合わせ縁部と呼ぶ。接合金属は、例えば半田5から成る。半田5は、セル2の縁部16に沿って(一方向に沿って)点在して設けられている。また、上側及び下側にあるセル2,2と半田5との間には、導電膜を介在させてもよい。
【0020】
以上より、下となるセル2の上導電層13の上に、別のセル2の下導電層11が半田5等の接合金属を介して重なっており、この接合金属によってセル2,2同士を電気的に接続している。そして、他方向について両端部にあるセル2,2それぞれは、半田によって電極9と電気的及び構造的に接続されている。この構成により、複数枚のセル2が電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0021】
〔2.太陽電池セルについて〕
図2は、第1実施形態に係るモジュール1の平面図であり、図3は、図2のIII矢視の断面図である。なお、このモジュール1は第1セル2−1、第2セル2−2、第3セル2−3を備えており、これらのセルはすべて同じ形態を有している。また、第1セル2−1と第2セル2−2との接続形態と、第2セル2−2と第3セル2−3との接続形態は同じであり、図3では、第1セル2−1と第2セル2−2とを説明している。
【0022】
セル2−1,2−2,2−3それぞれは、一方向両端部にある端部処理領域A1,A1と、その中央にある本発電領域A2とを有している。本発電領域A2は、光電変換が実質的に行われる領域、つまり、発電する領域であって他のセルと電気的に直列となる領域である。端部処理領域A1は、セルそれぞれの本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止する処理が施された領域である。本実施形態では、各セルの両端部に、上導電層13を所定幅gについて除去したスクライブ溝6を形成し、このスクライブ溝6を含む端部領域を、端部処理領域A1としている。本発電領域A2は、端部処理領域A1に比べて十分に大きく、両側の端部処理領域A1,A1を合計した面積よりも大きい。
【0023】
後の製造方法でも説明するが、各セルの端面4は切断面となることから、その切断面において上導電層13と下導電層11とが短絡するおそれがあるが、前記端部処理領域A1によれば、本発電領域A2において上導電層13と下導電層11との短絡を防止することができる。なお、各セルの端部処理領域A1において、孤立した上導電層の一部13bと、下導電層11とが短絡していても、本発電領域A2における光電変換には影響を与えない。
また、端部処理領域A1を得るために、少なくとも上導電層13にスクライブ溝6を形成すればよいが、本実施形態では、上導電層13及び半導体層12を所定幅gについて除去したスクライブ溝6を形成している。
【0024】
本実施形態(図2)では、セルそれぞれは、平面視において一方向に細長い台形形状であり、長辺側の縁部15と短辺側の縁部16とを有している。また、スクライブ溝6は、セルの一方向両側の辺(端面4)と平行な方向に沿って直線的に形成されている。つまり、スクライブ溝6は、一方向(セルの長手方向)に対して傾斜している。このため、本発電領域A2は平面視台形となり、端部処理領域A1は平行四辺形となっている。
【0025】
隣り合う第1セル2−1と第2セル2−2とにおいて、下となっている第1セル2−1の長辺側の縁部15の上に、第2セル2−2の短辺側の縁部16が、重ね合わされている。また、隣り合う前記第2セル2−2と第3セル2−3とにおいて、下となっている第2セル2−2の長辺側の縁部15の上に、第3セル2−3の短辺側の縁部16が、重ね合わされている。
また、各セルの短辺側の縁部16の一方向長さLaは、当該セルの長辺側の縁部15における本発電領域A2の一方向長さLbよりも、短くなるように、各セル2の形状は設定されている。
【0026】
そして、隣り合う第1セル2−1と第2セル2−2とに着目すると、第1セル2−1の長辺側の縁部15の上に重なっている、第2セル2−2の短辺側の縁部16は、下となっている第1セル2−1の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。これと同様に、第2セル2−2と第3セル2−3とに着目すると、第2セル2−2の長辺側の縁部15の上に重なっている、第3セル2−3の短辺側の縁部16は、下となっている第2セル2−2の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
【0027】
以上のように、本発明のモジュール1では、縁部同士を重ね合わせた隣り合うセルについて、一方のセル(下となるセル)の縁部の上に重なっている別のセル(上となるセル)の縁部は、下となっているセルの本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
このため、図2と図3において、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1の上には、上となる第2セル2−2は重ならない。このため、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1(上導電層の一部13b)と、上となる第2セル2−2の下導電層11とは短絡しない。そして、第2セル2−2と第3セル2−3において、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1の上には、上となる第3セル2−3は重ならない。このため、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1(上導電層の一部)と、上となる第3セル2−3の下導電層11とは短絡しない。
したがって、このモジュール1によれば、すべてのセルが電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0028】
〔3.第2実施形態について〕
図4は第2実施形態に係るモジュール1の平面図である。図5は図4のV矢視の断面図である。この第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第1実施形態(図2)と比べると、第2実施形態に係るモジュール1では、セル2の形状が異なる。すなわち、第2実施形態のセルは、平面視において一方向に細長い台形ではなく、一方向に細長い矩形である。なお、その他については同じであり、ここではその説明を省略する。
【0029】
第1実施形態と同様に、第2実施形態のセル2−1,2−2,2−3それぞれは、光電変換が実質的に行われる中央の本発電領域A2と、その両端部の端部処理領域A1,A1とを有している。端部処理領域A1は、セルそれぞれの本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止する処理が施された領域であり、本実施形態でも、端部処理領域A1は、セル2の両端部の上導電層13及び半導体層12(図5参照)を所定幅gについて除去したスクライブ溝6を含む領域である。
この第2実施形態では、セルの一方向両側の辺(端面4)は他方向に平行となっており、スクライブ溝6は、この辺(端面4)と平行な直線に沿って形成されている。このため、本発電領域A2は平面視において矩形であり、端部処理領域A1も矩形となっている。
【0030】
そして、この第2実施形態において、隣り合う第1セル2−1と第2セル2−2とに着目すると、第1セル2−1の一方の縁部15の上に重なっている、第2セル2−2の縁部16は、下となっている第1セル2−1の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。これと同様に、隣り合う第2セル2−2と第3セル2−3とに着目すると、第2セル2−2の縁部15の上に重なっている、第3セル2−3の縁部16は、下となっている第2セル2−2の本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
【0031】
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、縁部同士を重ね合わせた隣り合うセルについて、一方のセル(下となるセル)の縁部の上に重なっている別のセル(上となるセル)の縁部は、下となっているセルの本発電領域A2の範囲内でのみ重なっている。
このため、図4と図5において、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1の上には、上となる第2セル2−2は重ならない。このため、下となる第1セル2−1の端部処理領域A1(上導電層の一部13b)と、上となる第2セル2−2の下導電層11とは短絡しない。そして、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1の上には、上となる第3セル2−3は重ならない。このため、下となる第2セル2−2の端部処理領域A1(上導電層の一部)と、上となる第3セル2−3の下導電層11とは短絡しない。
したがって、このモジュール1によれば、すべてのセル2が電気的に直列接続された状態となり、実用的な電圧を得ることができる。
【0032】
〔4.第3実施形態について〕
図6は第3実施形態に係るモジュール1の平面図である。なお、図6のIII矢視の断面図は、図3と同様である。この第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。第1実施形態(図2)と比べると、第3実施形態に係るモジュール1では、セル2の形状が異なる。すなわち、第3実施形態のセル2は、平面視において一方向に細長い台形ではなく、一方向に細長い凸形状である。なお、その他については同じであり、ここではその説明を省略する。また、複数枚のセル2−1,2−2,2−3はすべて同じ形態を有している。
【0033】
ここで、第1実施形態(図2)について説明すると、例えば第1セル2−1と第2セル2−2とに関して、上となっている第2セル2−2及びその本発電領域A2は、下となっている第1セル2−1の重ね合わせ縁部15から他方向(セルの配列方向)に離れるにしたがって、一方向に拡大しており、その一方向の拡大が直線的な拡大となっている。すなわち、セル2−2及び本発電領域A2は台形となっている。
【0034】
これに対して、第3実施形態(図6)では、例えば第1セル2−1と第2セル2−2とについて説明すると、上となっている第2セル2−2及びその本発電領域A2は、下となっている第1セル2−1の重ね合わせ縁部15から他方向(セルの配列方向)に離れるにしたがって、一方向に拡大しているが、その一方向の拡大が段階的な拡大となっている。この結果、セル2及び本発電領域A2は凸形状となっている。
なお、本実施形態では、セル2及び本発電領域A2を凸形状とするために、セルの一方向両側の辺(端面4)が平面視段付き形状となっており、また、スクライブ溝6は、この辺(端面4)と平行となるように段付き形状(折れ曲がり形状)として形成されている。
【0035】
このように、第1実施形態及び第3実施形態では、上となるセル及びその本発電領域A2は、下となるセルの重ね合わせ縁部から他方向に離れるにしたがって、一方向に拡大している形状である。そして、この点が、第2実施形態と異なっている。
なお、第2の実施形態(図4)の場合、第1セル2−1の縁部15の上に重ねる第2セル2−2の縁部16は、第1セル2−1の本発電領域A2の範囲内でのみ重なるように、当該本発電領域A2の幅寸法以下の幅である。そして、第2セル2−2は矩形であることから、この第2セル2−2の幅は、第1セル2−1の本発電領域A1の幅よりも狭くなる。そして、この第2セル2−2の上に縁部16を重ねる第3セル2−3では、さらに、全幅及び本発電領域A1の幅が狭くなる。このため、複数枚のセルを他方向に並べて縁部同士を重ねるごとに、本発電領域A2の面積が縮小してしまう。
【0036】
しかし、第1実施形態及び第3実施形態によれば、第1セル2−1の上となる第2セル2−2及びその本発電領域A2は、下となる第1セル2−1の縁部15から離れるにしたがって一方向に拡大している形状(台形、凸形)であるため、上となる第2セル2−2及びその本発電領域A2の面積が、縮小するのを防ぐことができる。このため、第2セル2−2の上にさらに重ねる第3セル2−3の幅、および、さらに重ねるセルがあればその幅は、第1セル2−1と同じであり、図2のように次々と狭くなっていくのを防ぐことができる。
【0037】
〔5.太陽電池モジュールの製造方法について〕
図7は、モジュール1の製造方法の説明図である。図7(a)に示しているように、ロール21に巻かれている帯状の金属材料22を送り出し、この金属材料22の上に太陽電池セルを構成するための各種製膜、及び、前記半田5の取り付け等を行い、これを所定長さに切断する。これにより、図7(b)に示しているように、細長いセル2を得る(以上、セル製造第1ステップ)。このセル2は、図1に示しているように、前記金属材料からなる導電性基板11a(下導電層11)の上に、半導体層12及び上部電極13a(上導電層13)が設けられている。なお、前記半田5の取り付けは、後に説明するセル2,2の縁部同士を重ね合わせる工程で行ってもよい。
【0038】
なお、前記第1、第2及び第3実施形態それぞれに係るモジュール1の製造方法は、前記切断の際の切断形状が異なるが、その他は同様である。そこで、以下では、第1実施形態(図2と図3)の場合を説明する。
【0039】
所定長さに切断された細長いセル2が得られると、図2と図3とにより説明したように、セル2それぞれに対して、本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止する処理をセル両端部において施し、この両端部を除いた中央の領域に、光電変換が実質的に行われる本発電領域A2を形成する(セル製造第2ステップ)。
すなわち、このセル製造第2ステップでは、図7(c)に示しているように、セル2の両端部それぞれに(図7(c)では一方の端部を示している)、上導電層13及び半導体層12を、セル2の両端辺に平行な方向に沿って機械的に除去し、所定幅gのスクライブ溝6を形成する。そして、このスクライブ溝6を含む端部領域を、端部処理領域A1とし、この端部処理領域A1を除く中央の領域を、本発電領域A2とする。本発電領域A2は、光電変換が実質的に行われる領域となり、後の接合ステップにおいて、他のセル2と重ね合わされることで電気的に直列接続とさせる領域である。
【0040】
そして、セル2単体の検査がされ(検査ステップ)、その後、図7(d)に示しているように、セル2を、当該セル2の長手方向に直交する他方向に複数枚並べると共に、隣り合うセル2,2の縁部同士を次々と重ね合わせて電気的及び構造的に接続する(接合ステップ)。つまり、他方向に向かってモジュール1が順次長くなるように、隣り合うセル2,2の縁部同士を重ね合わせ、全てのセルにおいてこの重ね合わせを行う。
【0041】
この接合ステップについてさらに説明すると、セル2の縁部の上に、別のセル2の縁部を重ね合わせることで、下となるセル2の上導電層13の上に、前記半田5を介して、当該別のセル2の下導電層11が重なり、縁部同士を電気的及び構造的に接続する。この接合ステップは、複数枚のセル2について繰り返し行われ、各接合ステップでは、図2に示しているように、下となるセルの本発電領域A2の範囲内に、別のセルの縁部を重ねる。
【0042】
すなわち、第1セル2−1の縁部15であって本発電境域A2の範囲内に、第2セル2−2の一方の縁部16を重ね、この第2セル2−2の他方の縁部15であって本発電境域A2の範囲内に、第3セル2−3の一方の縁部16を重ねる。このような重ね合わせを次々と行う。そして、縁部同士を重ねるごとに、または、全てのセルについて重ねた後に、半田5によって隣り合うセル同士を接合する。
その後、図1に示しているカバー部材10を、複数枚のセルの上下から覆い(仕上げステップ)、1枚のモジュール1とする。
【0043】
以上より、太陽電池モジュール1を製造することができ、この製造方法によって製造されたモジュール1では、図3に示しているように、第1セル2−1の端部処理領域A1(領域A1の上導電層13b)と、第2セル2−2の下導電層11とは短絡せず、また、図示していないが、この第2セル2−2の端部処理領域A1(領域A1の上導電層13b)と、第3セル2−3の下導電層11とは短絡せず、隣り合うセル間において、従来生じていた短絡を簡単な構成により防ぐことができる。
【0044】
なお、前記各実施形態では、セル2の一方向両端部にスクライブ溝6を形成し、この溝6を含む端部領域を端部処理領域A1としている場合を説明したが、端部処理領域A1はこれ以外であってもよく、図8に示しているように、セル2の端部を所定の幅gについて、少なくとも上導電層13をブラスト除去した領域であってもよい。図8の端部処理領域A1によれば、スクライブ溝6の場合と同様に、セル2それぞれの本発電領域A2において、上導電層13と下導電層11とが短絡するのを防止することができる。
【0045】
また、本発明の太陽電池モジュール及びその製造方法は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。セル2は、直線的に幅広となる形状(台形)や、段階的に幅広となる形状(凸形)以外であってもよい。また、段階的に幅広となる場合、前記実施形態(図6)では、1段であったが、複数段について段階的に幅広となってもよい。前記実施形態では、発電層を半導体層12として説明したが、これに限らず有機化合物による層等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1:太陽電池モジュール、 2:太陽電池セル、 11:下導電層、 12:半導体層(発電層)、 13:上導電層、 15:長辺側の縁部、 16:短辺側の縁部、 A1:端部処理領域、 A2:本発電領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べて備え、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせて電気的に接続させた太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池セルそれぞれは、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理が両端部において施された端部処理領域と、その中央側にある光電変換を実質的に行う本発電領域と、を有し、
前記太陽電池セルの縁部の上に重なっている別の前記太陽電池セルの縁部は、下となっている前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内で重なっていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
上となっている前記別の太陽電池セル及びその前記本発電領域は、その下となっている前記太陽電池セルの前記縁部から離れるにしたがって前記一方向に拡大している形状である請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べ、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を次々と重ね合わせて電気的に接続させ太陽電池モジュールを製造する製造方法であって、
前記太陽電池セルそれぞれに対して、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理を両端部に施し、当該両端部を除いた中央の領域に、光電変換が実質的に行われる本発電領域を形成するセル製造ステップと、
太陽電池セルの縁部の上に、別の太陽電池セルの縁部を重ね合わせることで、下となる前記太陽電池セルの前記上導電層の上に、別の前記太陽電池セルの前記下導電層が重なり、縁部同士を電気的に接続する接合ステップと、を含み、
前記接合ステップは、複数枚の太陽電池セルについて繰り返し行われ、各接合ステップでは、下となる前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内に、別の前記太陽電池セルの縁部を重ねることを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項1】
下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べて備え、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を重ね合わせて電気的に接続させた太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池セルそれぞれは、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理が両端部において施された端部処理領域と、その中央側にある光電変換を実質的に行う本発電領域と、を有し、
前記太陽電池セルの縁部の上に重なっている別の前記太陽電池セルの縁部は、下となっている前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内で重なっていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
上となっている前記別の太陽電池セル及びその前記本発電領域は、その下となっている前記太陽電池セルの前記縁部から離れるにしたがって前記一方向に拡大している形状である請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
下導電層、上導電層、及び、これら上下の導電層間の発電層を含む一方向に長い太陽電池セルを、当該太陽電池セルの長手方向に直交する方向に複数枚並べ、隣り合う前記太陽電池セルの縁部同士を次々と重ね合わせて電気的に接続させ太陽電池モジュールを製造する製造方法であって、
前記太陽電池セルそれぞれに対して、前記上導電層と前記下導電層とが短絡するのを防止する処理を両端部に施し、当該両端部を除いた中央の領域に、光電変換が実質的に行われる本発電領域を形成するセル製造ステップと、
太陽電池セルの縁部の上に、別の太陽電池セルの縁部を重ね合わせることで、下となる前記太陽電池セルの前記上導電層の上に、別の前記太陽電池セルの前記下導電層が重なり、縁部同士を電気的に接続する接合ステップと、を含み、
前記接合ステップは、複数枚の太陽電池セルについて繰り返し行われ、各接合ステップでは、下となる前記太陽電池セルの前記本発電領域の範囲内に、別の前記太陽電池セルの縁部を重ねることを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【公開番号】特開2012−134342(P2012−134342A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285657(P2010−285657)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
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