説明

太陽電池モジュール用封止材用組成物、及び太陽電池モジュール用封止材シート

【課題】封止材シートに隣接する部材と優れた(気密)密着性を有する封止材シートを得るための太陽電池モジュール用封止材組成物を提供する
【解決手段】太陽電池モジュール用封止材組成物が、厚み200μm以上での、JIS−K7129に準ずる水蒸気透過度が、10g/(m・day・atm)以下であるポリオレフィン系樹脂、及び/又はアイオノマー樹脂と、粘着付与剤と、α−オレフィンとエチレン変性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体、又はメルカプト基含有シランカップリング剤とを含む。粘着付与剤は、軟化温度が85℃以上であり、JIS−K 2501に準ずる酸価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用封止材用組成物、太陽電池モジュール用封止材シート、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目され、太陽電池の積極的な研究開発が進められている。一般的な太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、化合物太陽電池等が挙げられる。
【0003】
上記のような一般的な太陽電池は、前面透明基板、封止材シート、太陽電池素子、裏面保護シート等を適宜積層させた構造を有する。そして、一般的な太陽電池においては、太陽電池素子と前面透明基板との間、又は太陽電池素子と裏面保護シートとの間に封止材シートが配置される。
【0004】
封止材シートは太陽電池モジュールにとって重要な部材であり、封止材シートには、裏面保護シートとの密着性、太陽電池素子との密着性等の隣接する部材との密着性が要求される。更に、封止材シートには、太陽電池素子を保護するための強度、苛酷な環境に耐えるための耐久性も要求される。このような要求を満たす封止材用材料として、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA樹脂)が最も一般的に使用されている。
【0005】
しかしながら、EVAは水蒸気透過性が高いので、モジュール端面からの水分進入により、太陽電池としての性能低下となるため問題となる。また、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池モジュールの内部で劣化して強度が低下したり、太陽電池素子や電極の劣化を起こす酢酸ガスを発生させたりする可能性もある。
【0006】
そこで、EVA樹脂の代わりに、耐湿性に優れ酢酸ガスが発生しないポリエチレン等のポリオレフィンを使用した太陽電池モジュール用封止材シートが提案されている。ポリオレフィンを使用した封止材シートは、太陽電池素子を保護するための強度、高温高湿等の過酷な環境に耐えるための耐熱性、耐湿性も備える優れた封止材シートである。
【0007】
ところで、上述の通り、封止材シートには、裏面保護シートとの密着性、太陽電池素子との密着性等の隣接する部材との密着性が要求される。ポリオレフィンを使用した封止材シートについても、隣接する部材との密着性を改善するための方法が開示されている。例えば、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変成樹脂を用い、封止材シートのゲル化率を特定の範囲に調整することで、封止材シートと隣接部材との密着性を改善する方法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−019975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、封止材シートに隣接する部材は、金属、金属酸化物、ガラス等から構成される。上記の通り、封止材シートにはこれらの部材との密着性が要求される。特許文献1に記載のポリオレフィンを使用した封止材シートは、特にガラスと封止材シートとの密着性を改善するものであり、隣接する部材を構成する材料がどのような材料であっても、封止材シートはこれらの部材と優れた密着性を有するとまでは言えない。また、封止材シートに隣接する部材に対して、発電効率を向上させるような処理等を施すと密着性の低下が起こる場合もある。特に外部からの水蒸気の進入によって性能低下を引き起こす太陽電池のセルや電極に対しては、単に高い密着性を持つだけでなく、セルや電極と封止材シートの界面への水蒸気の浸透を抑える気密密着性が必要となる。
【0010】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、封止材シートに隣接する部材と優れた(気密)密着性を有する封止材シートを得るための太陽電池モジュール用封止材組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、封止材シートの表面に粘着付与剤、α−オレフィンとエチレン変性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体、が存在していれば、封止材シートに隣接する部材と優れた(気密)密着性を有する封止材シートになることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0012】
(1) 厚み200μm以上での、JIS−K7129に準ずる水蒸気透過度が、10g/(m・day・atm)以下であるポリオレフィン系樹脂、及び/又はアイオノマー樹脂と、粘着付与剤と、α−オレフィンとエチレン変性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体、又はメルカプト基含有シランカップリング剤とを含み、前記粘着付与剤は、軟化温度が85℃以上であり、JIS−K 2501に準ずる酸価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g未満である太陽電池モジュール用封止材組成物。
【0013】
(2) 前記粘着付与剤の含有量が30質量%以下である(1)に記載の太陽電池モジュール用封止材組成物。
【0014】
(3) (1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール用封止材組成物から構成される単層の太陽電池モジュール用封止材シート、又は、該太陽電池モジュール用封止材組成物から構成される密着強化部を、表面及び/又は裏面の少なくとも一部に備える多層の太陽電池モジュール用封止材シート。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定のポリオレフィン系樹脂及び/又はアイオノマー樹脂と、粘着付与剤と、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体とを封止材シートが含むため、封止材シートに隣接する部材が金属、金属酸化物、ガラスのいずれであっても、封止材シートと隣接する部材との密着性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0017】
<太陽電池モジュール用封止材組成物>
本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物は、ポリオレフィン系樹脂及び/又はアイオノマー樹脂と、粘着付与剤と、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(本明細書において「シラン共重合体」という場合がある)とを含有する。また、本発明の組成物は更にその他の成分を含有してもよい。以下、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、粘着付与剤、シラン共重合体その他の成分の順で説明する。
【0018】
[ポリオレフィン系樹脂]
厚み200μm以上での、JIS−K7129に準ずる水蒸気透過度が、10g/(m・day・atm)以下であれば、ポリオレフィン系樹脂には一般的な従来公知のポリオレフィン系樹脂を使用することができる。例えば、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の未変性ポリオレフィン樹脂を好ましく使用することができる。また、透明性を付与する観点から、エチレンとα−オレフィンとの低密度共重合体が好ましく使用される。このような樹脂としては、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が挙げられる。メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレン樹脂は、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、密度が小さいポリエチレン樹脂とすることができ、シートに柔軟性を付与し封止材シートと隣接する部材との密着性を向上させることができる。透明性の観点からは、密度が0.870〜0.915g/cmの範囲であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましく、α−オレフィンが炭素数6から8であることが好ましい。
【0019】
本発明の組成物中のポリオレフィン樹脂の含有量は、特に限定されないが、20質量%以上80質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0020】
[アイオノマー樹脂]
アイオノマー樹脂としては、金属塩で部分的に中和され金属イオンで架橋されている樹脂であれば公知のものを用いることができる。アイオノマー樹脂は、封止材シートと金属との密着性向上に寄与する成分である。
【0021】
使用可能な樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0022】
使用可能な金属イオンとしては、例えばNaイオン、KイオンもしくはLiイオン等のアルカリ金属イオン;例えばZnイオン、CaイオンもしくはMgイオン等の2価金属イオン;例えばAlイオンもしくはNdイオン等の3価金属イオン;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンケミカル社製のハイミラン1650(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミランAM7315(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランMK7320(K)、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミランAM7316(Zn)等が挙げられる。更に、デュポン社製の、サーリン8920(Na)、サーリン8940(Na)、サーリンAD8512(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリンAD8511(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8265(Na)、サーリンAD8269(Na)等も挙げることができる。更に、エクソン化学社製のアイオテック7010(Zn)、アイオテック8000(Na)等も挙げることができる。なお、商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mg等はこれらの中和金属イオンの金属種を示している。
【0024】
また、上記例示のものを2種以上混合してもよいし、上記例示の1価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂を2種以上混合して用いてもよい。これらの製品の中では、三井・デュポンポリケミカル社製のハイミランの使用が好ましい。
【0025】
本発明の組成物中のアイオノマー樹脂の含有量は、特に限定されないが、20質量%以上80質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0026】
[粘着付与剤]
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂の使用が好ましい。
ロジン系樹脂とは、ロジンとロジン誘導体をいう。ロジンはガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンである。ロジン誘導体としては、重合ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、強化ロジン、ロジンエステル、重合ロジンエステル、ロジンフェノールの形態が挙げられる。エステル化に使用する多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
石油系樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5−C9共重合系石油樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン系樹脂、ピュアモノマー樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂及びこれらの水素化物等が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、テルペン重合体、β−ピネン重合体、テルペンフェノール樹脂及び芳香族変性テルペン重合体等が挙げられる。
【0027】
粘着付与剤を含むと樹脂の流動性が向上するため、結果的に(気密)密着性が向上する。即ち、粘着付与材の使用により、封止材シートに隣接する部材によらず、封止材シートと隣接する部材との密着性が向上する傾向にある。粘着付与剤と上記ポリオレフィン系樹脂との組み合わせ又は粘着付与剤と上記アイオノマー樹脂との組み合わせは、封止材シートに対して、特に金属酸化物への密着性を付与する。従来は、金属酸化物の中でも金属酸化物の組成によっては、封止材シートと隣接する部材との密着性が不十分な場合があり、密着性の検討には手間と時間を要する。一方、本発明の封止材組成物を用いて作製した封止材シートは、金属酸化物の組成によらず、金属酸化物と密着性が高い。
特に、粘着付与剤とシラン共重合体とを含有する封止材組成物を用いて製造した封止材シートは、封止材シートに隣接する部材がガラス、金属酸化物である太陽電池用の封止材シートとして好ましい。上記本発明の封止材シートは、多くの種類のガラスとの密着性、多くの種類の金属酸化物との密着性に非常に優れるからである。
【0028】
本発明の効果を得るためには、粘着付与剤の融点が85℃以上である。融点が85℃以上であれば、太陽電池モジュールが高温環境下に曝されても、粘着付与剤が軟化することによる、封止材シートと隣接する部材との密着性の低下の問題は生じない。
【0029】
本発明の効果を得るためには、本発明の組成物中の粘着付与剤の含有量は、特に限定されないが、30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0030】
粘着付与剤としては、酸価の小さいものの使用が好ましい。具体的には酸価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g以下の粘着付与剤を使用する必要がある。
【0031】
酸価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g未満の粘着付与剤とは、粘着付与剤が酸成分を持たないか、又は酸成分の量が少ないことを指す。酸価については、粘着付与剤を従来公知の方法で酸変性することで調整することができる。
【0032】
上記のような粘着付与剤は、他の成分との混合前に予めマスターバッチ化してもよい。マスターバッチに使用される樹脂としては、特に限定されず、好ましくは本発明の組成物の主成分となる樹脂である。
【0033】
[シラン共重合体]
ポリオレフィン系樹脂は、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体又はメルカプト基含有シランカップリング剤を含有する。先ず、シラン共重合体について説明する。
【0034】
シラン共重合体は、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなり、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。上記シラン共重合体は、封止材シートとガラスとの密着性向上に特に寄与する成分である。
【0035】
また、上記シラン共重合体を太陽電池モジュールの封止材組成物の成分として使用することにより、封止材シートに対して太陽電池モジュール用封止材シートとして好ましい物性を付与することができる。例えば、シラン共重合体は、封止材シートに対して強度、耐久性を更に付与し、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性を更に付与する。更に、シラン共重合体を含む封止材シートは、太陽電池モジュールを製造する際の加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく、極めて優れた熱融着性を有する。このため、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造できる。
【0036】
シラン共重合体とは、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。また、使用可能なエチレン性不飽和シラン化合物、α−オレフィン、その他の不飽和モノマーとしては、特開2003−46105号公報に記載されているものと同様のものを例示することができる。
【0037】
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、シラン共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜3質量%位が望ましいものである。本発明において、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、ガラスとの密着性に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
【0038】
シラン共重合体の製造方法は特に限定されないが、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、ビニルアルコキシシラン等のエチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500〜4000Kg/cm位、好ましくは、1000〜4000Kg/cm位、温度100〜400℃位、好ましくは、150〜350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
【0039】
また、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
【0040】
上記シラン共重合体の製造に使用可能なラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等としては、特開2003−46105号公報に記載されているものと同様のものを例示することができる。
【0041】
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、あるいは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体あるいはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。
【0042】
本発明で使用されるシラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、封止材シートのガラスへの密着性を向上させることができる。
【0043】
本発明の組成物中のシラン共重合体の含有量は、特に限定されないが、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
【0044】
[メルカプト基含有シランカップリング剤]
本発明の封止材組成物に、メルカプト基含有シランカップリング剤を含有させることで、本発明の封止材組成物を用いて作製した封止材シートの金属密着性を向上させることができる。
【0045】
封止材シートに隣接する部材の種類は、一般的に、金属、金属酸化物、ガラスのいずれかである。上記の通り、封止材シートのガラスへの密着性はシラン共重合体の使用により付与でき、封止材シートの金属酸化物への密着性は上記粘着付与材の使用により付与でき、封止材シートの金属への密着性はメルカプト基含有のシランカップリング剤の使用により付与できる。
【0046】
これらの材料は、それぞれガラスの種類、金属酸化物の種類、金属の種類によらず、密着性を付与できる傾向にある。したがって、本発明によれば、金属種、金属酸化物種、ガラスの種類等の設計変更に伴って、封止材組成物を変更する必要がなくなる。
【0047】
使用可能な、メルカプト基含有シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−802)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−803、東芝シリコン社製TSL8380)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(Gelest社製SIM6475.0)、11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン(Gelest社製SIM6480.0)、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン(Gelest社製SIM6473.0)、S−(オクタノイル)メルカプトプロピルトリエトキシシラン(Gelest社製SIM6704.0)等を挙げることができる。
【0048】
メルカプト基含有シランカップリング剤の使用量は特に限定されないが、例えば、本発明の組成物中に0.5質量%以上2.0質量%以下含有することが好ましい。含有量が0.5質量%以上であれば、各種基材への十分な耐久密着性が得られるという理由で好ましい。含有量が2.0質量%以下であれば過剰なシランカップリング剤が封止材シート/基材界面に偏在した結果、密着力が低下する事が起こらないという理由で好ましい。より好ましい含有量の範囲は0.75質量%以上1.5質量%以下である。
【0049】
[その他の成分]
本発明の組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の組成物から作製された封止材シートに耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤等の成分が例示される。これらの添加剤を含むことにより、本発明の組成物を使用した封止材シートに対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
【0050】
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを太陽電池モジュール用封止材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用封止材シートに良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、特に限定されず、好ましくは未変性のポリオレフィン樹脂が例示される。未変性のポリオレフィン樹脂については、上記のものと同様であるため説明を省略する。
【0051】
これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤の含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
【0052】
更に、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、核剤、架橋剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0053】
<封止材シート>
本発明の封止材シートとは、以下の単層の封止材シート、多層の封止材シートを指す。単層の封止材シートとは、上記本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物から構成される単層の太陽電池モジュール用封止材シートである。また、多層の封止材シートとは、上記本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物から構成される密着強化部を、表面及び/又は裏面の少なくとも一部に備える多層の太陽電池モジュール用封止材シートである。
【0054】
本発明の単層の充填材シートは、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物から構成されるため、多層構造を有する太陽電池モジュールに本発明の充填材シートを使用した場合に、充填剤シートとこれに隣接する層との密着力が高まる。その結果、充填剤シートとこれに隣接する層との間から水分等が浸入することを抑えることができる。なお、単層の充填材シートは、本発明の効果を害さない範囲で、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物以外の成分を含んでもよい。
【0055】
本発明の多層の充填材シートは、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物から構成される密着強化部を備えるため、多層構造を有する太陽電池モジュールに本発明の充填材シートを使用した場合に、充填剤シートの密着強化部とこれに隣接する層との接触部分において、充填材シートとこれに隣接する層との密着力が高まる。その結果、充填剤シートとこれに隣接する層との間から水分等が浸入することを抑えることができる。なお、上記密着強化部は、本発明の効果を害さない範囲で、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物以外の成分を含んでもよい。
【0056】
また、多層の充填材シートにおいては、表面及び裏面に密着強化部を備えることが好ましい。充填剤シートの表面とこれに隣接する層との間からの水の浸入、充填剤シートの裏面とこれに隣接する層との間からの水の浸入のいずれも抑えることができるからである。
【0057】
また、多層の充填材シートにおいて、密着強化部は、充填材シートの表面及び/又は裏面の少なくとも一部に設けられればよいが、全体に設けられる方が好ましい。全体に設けられることで、充填材シートとこれに隣接する層とが接触する部分の全体で、充填材シートとこれに隣接する層との密着力が高まる結果、充填剤シートとこれに隣接する層との間から水分等が浸入する問題をより効果的に抑えることができるからである。
【0058】
次いで、本発明の充填材シートの製造方法について説明する。単層の充填材シートは、例えば、本発明の組成物をシート状に成形することで製造できる。シート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。
【0059】
多層の充填材シートは、例えば、3層構造の充填材シートであって、2枚の最外層が本発明の組成物から構成され、コア層が任意の成分から構成される多層シートを成形することで得られる。例えば、従来公知のTダイ多層共押出し法により多層シートの成形を行うことができる。
【0060】
<太陽電池モジュール>
本発明の組成物、封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、結晶型の太陽電池モジュールを例に説明する。一般的な結晶型の太陽電池モジュールは、入射光の受光面側から、透明前面基板、前面封止材層、太陽電池素子、背面封止材層、及び裏面保護シートが順に積層されている。本発明の組成物、封止材シートは前面封止材層、背面封止材層に適用される。これらの封止材層の透明前面基板等の他の部材との積層面に本発明の組成物が配置されることで、封止材層と隣接する層(透明前面基板、太陽電池素子、裏面保護シート)との密着性が向上する。なお、封止材層と隣接する層とは、透明前面基板、太陽電池素子、裏面保護シートを指し、これらが封止材層に隣接する部材にあたる。
【0061】
透明前面基板、裏面保護シートには、ガラス等が使用される。太陽電池素子は透明基板側から順に、透明表面電極と、光電変換層と、裏面電極とが順次配置される構成を含む3層以上の積層構造を有し、通常、裏面電極、表面電極上に封止材シートが積層する。これら電極としては、金属膜、金属酸化物膜が使用される。本発明の組成物、封止材シートを使用すれば、これら封止材シートに隣接する部材がどのような材料から構成される場合であっても、封止材シートはこれらの部材との密着性に優れる傾向にある。
【0062】
上記太陽電池モジュールは、例えば、上記の各層を形成する部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
【0063】
また、上記太陽電池モジュールは、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、例えば、Tダイ押出成形等により、太陽電池素子の表面側及び裏面側のそれぞれに、前面封止材層及び背面封止材層を溶融積層して、太陽電池素子を前面封止材層及び背面封止材層でサンドし、次いで、透明前面基板及び背面保護シートを順次積層し、次いで、これらを真空吸引等により一体化して加熱圧着する方法で製造してもよい。
【0064】
上記の通り、どのように積層させてもよいが、積層する際には150℃以上の温度で加熱することが好ましい。150℃以上の温度で加熱して積層することで、封止材シートとこれに隣接する部材との密着性が高まる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
実施例、比較例に使用した材料は以下の通りである。
[ポリオレフィン系樹脂]
密度0.902g/cmのメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
密度0.880g/cmのメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
以下の方法で製造したシラン共重合体
[シラン共重合体の製造方法]
密度0.898g/cmであり、メルトマスフローレート(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999)が2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、透明なシラン共重合体1を製造した。
密度0.880g/cmであり、メルトマスフローレート(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999)が3g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、透明なシラン共重合体2を製造した。
【0067】
[アイオノマー樹脂]
三井デュポンケミカル社製のハイミラン1650(商品名)
【0068】
[粘着付与剤]
石油系樹脂から構成される粘着付与剤1(荒川化学工業株式会社製、商品名「SP10」、酸価0mgKOH/g、軟化温度100℃)
ロジンエステル系樹脂から構成される粘着付与剤2(荒川化学工業株式会社製、商品名「KE311」、酸価5mgKOH/g、軟化温度95℃)
ロジンエステル系樹脂から構成される粘着付与剤3(荒川化学工業株式会社製、商品名「KE−395」、酸価9mgKOH/g、軟化温度88℃)
石油系樹脂から構成される粘着付与剤4(荒川化学工業株式会社製、商品名「P70」、酸価0mgKOH/g、軟化温度70℃)
なお、粘着付与剤は下記の方法でマスターバッチ化したものを使用した。
(マスターバッチ化)
密度0.902g/cmのメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、密度0.880g/cmのメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂又はアイオノマー系樹脂(商品名:ハイミラン1650;三井デュポンケミカル社製)50質量部に対して、粘着付与剤50質量部を樹脂溶融後に混合、加工し、ペレット化することで、粘着付与剤マスターバッチ1〜10を作製した(表1)。
【表1】

【0069】
[メルカプト基含有シランカップリング剤]
シランカップリング剤1:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
【0070】
[その他の成分]
下記の方法で製造した耐候性マスターバッチA、耐候性マスターバッチBを、その他の成分として使用した。
(耐候性マスターバッチA)
密度0.920g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100重量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8重量部とヒンダードアミン系光安定化剤5重量部と、リン系熱安定化剤0.5重量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐候性マスターバッチAを得た。
(耐候性マスターバッチB)
密度0.880g/cmのメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を粉砕したパウダー100重量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8重量部とヒンダードアミン系光安定化剤5重量部と、リン系熱安定化剤0.5重量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐候性マスターバッチAを得た。
(耐候性マスターバッチC)
アイオノマー樹脂(商品名:ハイミラン1650;三井デュポンケミカル社製)100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8重量部とヒンダードアミン系光安定化剤5重量部と、リン系熱安定化剤0.5重量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化した耐候性マスターバッチBを得た。
【0071】
<実施例1〜4、比較例1の太陽電池モジュール用封止材組成物>
表2に示す樹脂と粘着付与剤とメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合にはシラン変性樹脂、表2に示す耐候性マスターバッチをシランカップリング剤と混合して、実施例及び比較例の太陽電池モジュール用封止材組成物を作製した。

【表2】

【0072】
<太陽電池モジュール用封止材シート>
得られた上記組成物を、φ150mm押出し機、1000mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度230℃、引き取り速度1.45m/minで押出して総厚460μmのシートに加工し、実施例1〜4、比較例1の太陽電池モジュール用封止材シートを作製した。
【0073】
<評価1>
基材密着強度の評価を行った。具体的な評価方法、及び評価結果を以下に示した。
【0074】
[基材密着強度]
下記の対象基材上に、上記の厚み460μmの太陽電池モジュール用表面封止材シートを太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着して、実施例及び比較例の封止材シートを積層させた。
(対象基材)
太陽電池用ガラス
酸化亜鉛電極蒸着ガラス
ニッケルバナジウム蒸着ガラス(NiV蒸着ガラス)
【0075】
密着強度測定:積層物を温度85℃湿度85%の高温多湿状態にて、初期、1000時間放置した後、2000時間放置した後の太陽電池モジュール用封止材層と対象基材との剥離強度を測定した。剥離強度としては、JIS Z1707に従い15mm幅での剥離強度(単位:N/15mm)を測定した。評価結果を表3に示した。
【0076】
【表3】

【0077】
本発明の封止材シートは各部材との密着性に優れることが確認された。特に、実施例1〜4、比較例1の結果から、粘着付与剤を使用することで、封止材シートの金属への密着性が向上することが確認された。
また、メルカプト基含有シランカップリング剤を含有させることで、封止材シートは、金属と接する場合であっても、金属との充分な密着性を有することが、実施例1及び2の結果から確認された。
【0078】
<実施例5、6の太陽電池モジュール用封止材組成物>
表4に示す樹脂と粘着付与剤とメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合にはシラン変性樹脂、表4に示す耐候性マスターバッチをシランカップリング剤を混合して、実施例の太陽電池モジュール用封止材組成物を作製した。
【表4】

【0079】
<評価2>
評価1と同様の方法で太陽電池モジュール用封止材シートを製造し、上記と同様の方法で密着強度を評価した。評価結果を表5に示した。
【表5】

【0080】
実施例2、5、6の結果から、粘着付与剤の効果は、粘着付与剤の含有量が実施例3より少なく、実施例4より多い場合に、高いことが確認された。
【0081】
<実施例7、8、比較例2〜4の太陽電池モジュール用封止材組成物>
表6に示す樹脂と粘着付与剤とメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合にはシラン変性樹脂、表6に示す耐候性マスターバッチをシランカップリング剤と混合して、実施例及び比較例の太陽電池モジュール用封止材組成物を作製した。
【表6】

<評価3>
評価1と同様の方法で太陽電池モジュール用封止材シートを製造し、評価1と同様の方法で密着強度を評価した。評価結果を表7に示した。
【表7】

【0082】
評価3の結果から、粘着付与剤の酸価の値が大きすぎると、各材料への密着性が著しく低下することが確認された。
【0083】
<比較例5の太陽電池モジュール用封止材組成物>
表8に示す樹脂と粘着付与剤とメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合にはシラン変性樹脂、表8に示す耐候性マスターバッチをシランカップリング剤と混合して、比較例の太陽電池モジュール用封止材組成物を作製した。
【表8】

【0084】
<評価4>
評価1と同様の方法で太陽電池モジュール用封止材シートを製造し、評価1と同様の方法で密着強度を評価した。評価結果を表9に示した。
【表9】

【0085】
実施例1、2等及び比較例5の結果から、粘着付与剤の軟化温度が一定水準以下になると、封止材シートと各部材との密着性が著しく低下することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み200μm以上での、JIS−K7129に準ずる水蒸気透過度が、10g/(m・day・atm)以下であるポリオレフィン系樹脂、及び/又はアイオノマー樹脂と、
粘着付与剤と、
α−オレフィンとエチレン変性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなる共重合体、又はメルカプト基含有シランカップリング剤とを含み、
前記粘着付与剤は、軟化温度が85℃以上であり、JIS−K 2501に準ずる酸価が0mgKOH/g以上5mgKOH/g未満である太陽電池モジュール用封止材組成物。
【請求項2】
前記粘着付与剤の含有量が30質量%以下である請求項1に記載の太陽電池モジュール用封止材組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用封止材組成物から構成される単層の太陽電池モジュール用封止材シート、又は、
該太陽電池モジュール用封止材組成物から構成される密着強化部を、表面及び/又は裏面の少なくとも一部に備える多層の太陽電池モジュール用封止材シート。

【公開番号】特開2012−138509(P2012−138509A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290851(P2010−290851)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】