説明

太陽電池モジュール用端子ボックス

【課題】放熱性を向上させた太陽電池モジュール用端子ボックスを提供する。
【解決手段】端子ボックス10のボックス本体20には、複数の端子板50と、端子板50に導通可能に接続されるダイオード60とが収容されている。ダイオード60は、太陽電池モジュール90の外周部95に沿って取り付けられた金属製のフレーム80に向けて配置される放熱面65を有している。ダイオード60が発熱すると、該熱が放熱面65からフレーム80側に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用端子ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽電池モジュール用端子ボックスが特許文献1に開示されている。このものは、複数の端子板と、各端子板に接続されるダイオードと、これらを収容するボックス本体とを備えている。ボックス本体には、各端子板及びダイオードが収容されたあとポッティング材が充填され、さらにポッティング材の硬化後、蓋材が被せ付けられる。蓋材はボックス本体より外側に延長される部分を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−27205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の太陽電池モジュール用端子ボックスによれば、ダイオードの発生する熱がポッティング材を介して蓋材に伝達され、さらに蓋材から周辺大気へと拡散することが可能とされている。また、蓋材の延長部分を太陽電池モジュール側のフレームに接触させることにより、ダイオードの熱を蓋材からフレームに放出することが可能とされている。しかし、蓋材の延長部分がフレームと接触する後者の構成であっても、ダイオードからフレームに至るまでの距離が長く、かつ間にポッティング材が介在していることから、放熱効率が必ずしも優れているとは言えないという事情がある。このため、放熱性に関して更なる改善が求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱性を向上させた太陽電池モジュール用端子ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、太陽電池モジュールに取り付けられる太陽電池モジュール用端子ボックスであって、複数の端子板と、前記複数の端子板を収容するボックス本体と、前記ボックス本体内に配置され、かつ、前記端子板に導通可能に接続され、前記太陽電池モジュールの外周部に沿って設けられた金属製のフレームに向けて配置されて、前記フレーム側に熱を放出可能な放熱面を有するダイオードとを備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ボックス本体が前記フレームの側面に沿って配置される側壁を有し、前記ダイオードの前記放熱面が前記側壁を挟んで前記フレームに対面するところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記ボックス本体が前記太陽電池モジュールの主面に沿って配置される底壁を有し、前記端子板は、前記底壁の壁面に沿って配置される第1板部と、この第1板部に交差して連結されて前記側壁の壁面に沿って配置される第2板部とを有し、前記ダイオードの前記放熱面が前記第2板部の板面に沿って配置されるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
ダイオードが太陽電池モジュールの外周部に沿って設けられた金属製のフレームに向けて配置される放熱面を有するため、ダイオードが発熱すると、該熱が放熱面からフレーム側に効率良く放熱される。したがって、放熱性を向上させた太陽電池モジュール用端子ボックスが提供される。また、既存のフレームが放熱部材として利用されるため、ボックス本体内に配置される放熱部材(端子板が兼用する場合を含)を小型化ないし省略することができ、ひいては端子ボックス全体を小型化することができる。
【0010】
<請求項2の発明>
ボックス本体の側壁がフレームの側面に沿って配置され、ダイオードの放熱面が側壁を挟んでフレームに対面しているため、フレーム側(太陽電池モジュールの外周部側)に端子ボックスをコンパクトに配置することができる。
【0011】
<請求項3の発明>
端子板が第1板部とこれに交差連結される第2板部とを有し、第1板部が底壁の壁面に沿って配置され、第2板部が側壁の壁面に沿って配置され、ダイオードの放熱面が第2板部の板面に沿って配置されるため、底壁の壁面に占める端子板及びダイオードの占有面積を小さくすることができ、端子ボックス全体をより小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係る太陽電池モジュール用端子ボックスの斜視図である。
【図2】太陽電池モジュール用端子ボックスの平面図である。
【図3】図2のX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。実施形態1に係る太陽電池モジュール用端子ボックス(以下、単に端子ボックス10という)は、太陽電池モジュール90(太陽電池パネル)に取り付けられるものであって、ボックス本体20と、複数の端子板50と、複数のダイオード60とを備えている。
【0014】
太陽電池モジュール90の外周部95には、アルミニウム材等の金属材からなるフレーム80が取り付けられている。このフレーム80は、太陽電池モジュール90の強度を確保するとともに、太陽電池モジュール90を屋根等に取り付ける際に固定構造の一部をなすものである。具体的には、フレーム80は、太陽電池モジュール90の外周部95を全周に亘って取り囲む枠状をなし、図3に示すように、太陽電池モジュール90の端縁から上方に突出し、この端縁に沿って延びる四角筒状のフレーム本体81を有している。フレーム本体81は、太陽電池モジュール90の主面91(裏面)に対して略直交する側面82を有している。また、フレーム80は、太陽電池モジュール90の端部が嵌着されるレール状の保持部83を有している。保持部83はフレーム本体81の一角に連成され、太陽電池モジュール90の端部はフレーム本体81の下面に沿いつつ保持部83に保持されている。
【0015】
ボックス本体20は、合成樹脂製であって、図1に示すように、上方に開放された角箱状の形態とされている。具体的には、ボックス本体20は、フレーム80の延出方向に沿って長く延びる形態とされ、底部を構成する底壁21と、底壁21の周縁から立ち上がる側壁22とを有している。側壁22は、図2に示すように、互いに対向しつつ長手方向に延びる第1、第2側壁部23、24と、互いに対向しつつ短手方向に延びる第3、第4側壁部25、26とからなる。端子ボックス10が太陽電池モジュール90に取り付けられた状態では、底壁21が太陽電池モジュール90の主面91の端部(外周部95寄りの位置)に載置して配置され、第1側壁部23がフレーム本体81の側面82に沿いつつ当接して配置される。
【0016】
底壁21には、太陽電池モジュール90のインターコネクタ93を引き込むための窓部28が開口して形成されている。窓部28は、底壁21の長手方向のほぼ全長に亘って開口するとともに、底壁21の短手方向におけるフレーム80側から離れた半分以上の領域に亘って開口する形態とされている。底壁21は、窓部28によって面積が減少させられ、第1側壁部23に沿って細長く延びる形状となる。なお、図3に示すように、第1側壁部23及び底壁21は、第2〜第4側壁部24、25、26よりも薄肉とされている。
【0017】
第3、第4側壁部25、26には、一対のケーブル挿入筒部29が外側に突出して形成されている。両ケーブル挿入筒部29内には、太陽電池モジュール90からの出力を取り出すためのケーブル40が対をなして挿入されている。両ケーブル40の端部は、ケーブル挿入筒部29内に挿入され、第3、第4側壁部25、26を貫通してボックス本体20内に臨み、被覆42の除去によって導体41が露出して配置されている。露出した導体41は対応する端子板50に接続されている。また、両ケーブル40は、フレーム本体81の延出方向に沿うようにフレーム本体81の側面82とほぼ平行に配置されている。
【0018】
端子板50は、導電性の金属板を曲げ加工等して成形され、ボックス本体20の延出方向に4つ並列に配置されている。具体的には、各端子板50は、互いに同形同大とされ、図3に示すように、底壁21の内壁面に沿って配置される第1板部51と、第1板部51の一端からほぼ直角に折り曲げられて上方に立ち上がり、第1側壁部23の内壁面に沿って配置される第2板部52とからなる。また、第1板部51は、底壁21の内壁面に当接する基部53と、基部53に段違い状に連なり、窓部28の上方に浮いて配置される接続部54とを有している。接続部54の先端部には、インターコネクタ93の端部が半田付けにより接続されている。また、図1に示すように、並列方向の両端部に位置する2つの端子板50においては、ケーブル40の導体41が接続されている。
【0019】
第2板部52は、第1板部51よりも拡幅された形状とされ、その板面にダイオード60が支持されている。各第2板部52は、第1側壁部23の内壁面において互いに若干の隙間をあけつつ並列に配置されている。
【0020】
ダイオード60は、逆バイアスされた電流をバイパスするバイパスダイオードであって、図1及び図2に示すように、隣接する3つの端子板50(並列方向一端側の端子板50を除く)の第2板部52に当接支持されている。具体的にはダイオード60は、発熱部分となる素子本体(図示せず)と、素子本体に接続される一対のリード62と、素子本体の周りを包囲する樹脂製でかつ角ブロック状の外殻部63と、素子本体に接続される放熱板64とからなる。
【0021】
放熱板64は、外殻部63の底面に露出して配置されている。図3に示すように、放熱板64の露出面は、素子本体で発生した熱を放出する放熱面65とされている。放熱面65は、第2板部52及び第1側壁部23を介して、フレーム本体81の側面82に対面して配置され、端的にはフレーム本体81の側面82に向けて配置されている。言い換えれば、放熱板64の放熱面65とフレーム本体81の側面82とは互いにほぼ平行に対峙して配置されている。そして、放熱板64の放熱面65は第2板部52に当接し、第2板部52の板面はフレーム本体81の側面82に当接している。このため、素子本体で発生した熱は放熱板64から第2板部52を介してフレーム本体81に効率良く伝達されるようになっている。
【0022】
また、一対のリード62は、図2に示すように、外殻部63の一側面から突出する形態とされている。リード62の先端部は隣接する端子板50の第2板部52に半田接続され、これによって各端子板50がダイオード60を介して相互に接続されるようになっている。
【0023】
次に、本実施形態に係る端子ボックス10の組付方法及び作用を説明する。
まず、端子板50の第2板部52にダイオード60を載せて固定する。続いて、ボックス本体20内に各端子板50を収容する。また、ボックス本体20内にケーブル挿入筒部29を介してケーブル40を引き込み、ケーブル40の導体41を対応する端子板50に接続させる。さらに、ダイオード60のリード62を対応する端子板50の第2板部52に半田接続させる。
【0024】
次いで、太陽電池モジュール90の端部に端子ボックス10を載せ、それに伴いボックス本体20内に窓部28からインターコネクタ93を引き込み、インターコネクタ93の端部を対応する端子板50の接続部54に半田接続させる。端子ボックス10が太陽電池モジュール90の正規位置に固定されると、図2及び図3に示すように、ボックス本体20の第1側壁部23がフレーム本体81の側面82に当接して配置される。その後、ボックス本体20内にポッティング材等の封止材(図示せず)が充填され、封止材の硬化後、ボックス本体20の上端開口縁に蓋材(図示せず)が被せ付けられる。
【0025】
さて、使用時にダイオード60の素子本体が発熱すると、該熱は、放熱板64の放熱面65から放出され、さらに第2板部52から第1側壁部23を経てフレーム本体81に伝達される。この場合、放熱板64、第2板部52、第1側壁部23、及びフレーム80が互いにほぼ隙間なく対面して配置されているため、放熱板64からフレーム80に至るまでの伝熱性に優れる。とくに、第1側壁部23が第2〜第4側壁部24、25、26よりも薄肉とされているため、第2板部52からフレーム本体81への伝熱性がより良好となる。また、フレーム80が熱伝導率の高いアルミニウム製であり、良好な放熱部材として機能するため、ダイオード60に熱がこもるのが回避され、ダイオード60の整流機能が良好に発揮される。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、ダイオード60の放熱面65が太陽電池モジュール90の外周部95に沿って設けられた金属製のフレーム80に向けて配置されるため、ダイオード60の素子本体が発熱すると、該熱が放熱面65からフレーム80側に効率良く放熱される。したがって、放熱性を向上させた端子ボックス10が提供される。また、既存のフレーム80が放熱部材として利用されるため、端子板50に放熱機能をもたせる必要がなく、端子板50を小型化することができる。その結果、端子ボックス10全体を小型化することができる。
【0027】
また、ボックス本体20の第1側壁部23がフレーム本体81の側面82に沿って配置され、ダイオード60の放熱面65が第1側壁部23を挟んでフレーム本体81に対面しているため、フレーム本体81に沿って端子ボックス10をコンパクトに配置することができる。しかも、端子板50が第1板部51とこれに交差連結される第2板部52とを有し、第1板部51が底壁21の内壁面に沿って配置され、第2板部52が第1側壁部23の内壁面に沿って配置され、ダイオード60の放熱面65が第2板部52の板面に沿って配置されるため、底壁21の内壁面に占める端子板50及びダイオード60の占有面積を小さくすることができ、底壁21の面積を小さくすることができる結果、端子ボックス10全体をより小型化することができる。
【0028】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)ダイオードが端子板に載置されない構成であってもよい。
(2)ダイオードとフレームとの間にボックス本体の第1側壁部が介在しない構成であってもよい。
(3)ボックス本体内に端子板とは別に専用の放熱板材が設けられる構成であってもよい。
(4)ボックス本体内にケーブルが接続される一対の端子板が設けられ、両端子板に1つのダイオードが接続される構成であってもよい。
【0029】
(5)第1側壁部とフレームとの間に若干の隙間があけられていてもよい。
(6)第2板部と第1側壁部との間に若干の隙間があけられていてもよい。
(7)放熱板と第2板部の間に若干の隙間があけられていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…端子ボックス
20…ボックス本体
21…底壁
22…側壁
23…第1側壁部
50…端子板
51…第1板部
52…第2板部
60…ダイオード
64…放熱板
65…放熱面
80…フレーム
81…フレーム本体
82…側面
90…太陽電池モジュール
91…主面
95…外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールに取り付けられる太陽電池モジュール用端子ボックスであって、
複数の端子板と、
前記複数の端子板を収容するボックス本体と、
前記ボックス本体内に配置され、かつ、前記端子板に導通可能に接続され、前記太陽電池モジュールの外周部に沿って設けられた金属製のフレームに向けて配置されて、前記フレーム側に熱を放出可能な放熱面を有するダイオードとを備えていることを特徴とする太陽電池モジュール用端子ボックス。
【請求項2】
前記ボックス本体が前記フレームの側面に沿って配置される側壁を有し、前記ダイオードの前記放熱面が前記側壁を挟んで前記フレームに対面することを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用端子ボックス。
【請求項3】
前記ボックス本体が前記太陽電池モジュールの主面に沿って配置される底壁を有し、前記端子板は、前記底壁の壁面に沿って配置される第1板部と、この第1板部に交差して連結されて前記側壁の壁面に沿って配置される第2板部とを有し、前記ダイオードの前記放熱面が前記第2板部の板面に沿って配置されることを特徴とする請求項2記載の太陽電池モジュール用端子ボックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate