説明

太陽電池モジュール用裏面保護シート及び太陽電池モジュール

【課題】実用上十分な難燃性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートの提供。
【解決手段】ポリフェニレンエーテル製の基材シートの一方又は両方の面側にフッ素樹脂層が積層された太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、前記フッ素樹脂層のハロゲン質量比が50%以上であることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。前記フッ素樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用裏面保護シートと、それを備えた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である太陽電池モジュールは、二酸化炭素を排出せずに発電できるシステムとして注目されている。その太陽電池モジュールには、高い発電効率とともに、屋外で使用した場合にも長期間の使用に耐えうる耐久性が求められている。
太陽電池モジュールの主な構成は、光発電素子である太陽電池セル、電気回路のショートを防ぐ電気絶縁体である封止材、およびそれらを保護する保護シート(表面保護シートと裏面保護シート)からなる。一般に、太陽電池モジュールの耐久性を高めるためには、保護シートを高性能化することが重要であると考えられている。
【0003】
太陽電池モジュールを長期間使用する場合、該太陽電池モジュール内の電気回路の漏電や腐食を防ぐために、太陽電池モジュール用保護シートには、高い耐湿熱性、ガスバリア性が求められている。
従来、太陽電池モジュール用保護シートの基材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)や表面に無機酸化物をコーティングしたPETが一般に使用されていた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、太陽電池用セルの透明保護部材として用いられるカバー材であって、透明高耐光フィルムと透明高防湿フィルムとを、紫外線吸収剤を配合した接着剤で積層一体化してなる太陽電池用カバー材が開示されている。前記透明高耐光フィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム、或いは、アクリル、ポリカーボネート、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが挙げられている。前記透明高防湿フィルムとしては、PETフィルム等に、シリカ又はアルミナ等の無機酸化物をコーティングした透明フィルム、或いは、この透明フィルム2枚をコーティング面同士を貼り合わせてなる積層フィルムが挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−174297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽電池モジュールは、一般の住宅等に設置する場合、その住宅の屋根に設置することが多い。そのため、太陽電池モジュールは、十分な難燃性を有していることが求められており、太陽電池モジュール用保護シートについても十分な難燃性を有していることが求められている。
しかしながら、フッ素フィルムとPETフィルムとを接着剤で貼り合わせた積層フィルムは、難燃性が不十分であった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、実用上十分な難燃性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、ポリフェニレンエーテル製の基材シートの一方又は両方の面側にフッ素樹脂層が積層された太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、前記フッ素樹脂層のハロゲン質量比が50%以上であることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シートを提供する。
【0008】
本発明において、前記フッ素樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記基材シートの一方の面に前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化してなるものであることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記基材シートの両方の面に前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化してなるものであることが好ましい。
【0011】
また本発明は、前記太陽電池モジュール用裏面保護シートが接着されてなる太陽電池モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、ポリフェニレンエーテル製の基材シートの一方又は両方の面側に、ハロゲン質量比が50%以上のフッ素樹脂層を積層したものなので、実用上十分な難燃性を有しており、安全性の高いものとなる。
【0013】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール本体に本発明に係る前記太陽電池モジュール用裏面保護シートを接着したものなので、モジュールの難燃性が改善され、安全性に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの構成を示した模式図である。
【図2】本発明に係る実施例1で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施例2で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図4】本発明に係る実施例3で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る実施例4で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図6】比較例1で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図7】比較例2で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図8】比較例3で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【図9】比較例4で作製した太陽電池モジュール用裏面保護シートの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート(以下、裏面保護シートと記す)を用いる太陽電池モジュールの構成を示した模式図である。
図1に例示するように、本発明の裏面保護シートを用いる太陽電池モジュール50の構成は、表面保護シート10、裏面保護シート20、封止材30、太陽電池セル40を有する。この太陽電池モジュールは、一般の住宅等に設置する場合、その住宅の屋根に設置することが多い。そのため、太陽電池モジュールは、十分な難燃性を有していることが求められている。特に、裏面保護シートは、屋根に隣接して設置されることから、十分な難燃性を有していることが求められている。
【0016】
本発明の裏面保護シートは、ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記する)製の基材シートの一方又は両方の面側にフッ素樹脂層が積層された太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、前記フッ素樹脂層のハロゲン質量比が50%以上であることを特徴としている。
なお、本発明において「ハロゲン質量比」とは、フッ素樹脂層に用いられる樹脂の全質量に対し含有するハロゲン原子の質量比(%)のことを言う。
【0017】
前記基材シートの材料であるPPE(ポリフェニレンオキサイド(PPO)などと称される場合もある)は、フェノールとメタノールとからアルキル化反応により合成される2,6−キシレノール(2,6−ジメチルフェノール)を基本原料とし、これを酸化重合法(酸化カップリング法)により重合して合成される樹脂であり、従来の基材シート材料であるPETと比べ、難燃性に優れている。また、基材シートの材料として用いるPPEは、PPE単独であっても良いし、PPEと別な樹脂材料とのポリマーアロイであってもよい。特に、引裂強さを向上させることができる点から、PPEとポリスチレンとのポリマーアロイが好ましい。
【0018】
前記基材シートの厚さとしては、太陽電池システムが要求する電気絶縁性、軽量性などに基づいて選択すればよく、例えば、厚さ10〜300μmの範囲であることが好ましく、30〜200μmの範囲であることがより好ましく、50〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。このようなPPE製の基材シートの市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社製のノリル(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のユピエース(商品名)、旭化成ケミカルズ社製のザイロン(商品名)などが挙げられる。
【0019】
前記フッ素樹脂層としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと記す)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと記す)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(以下、ECTFEと記す)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(以下、PFAと記す)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPと記す)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEと記す)からなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂からなるフィルムであることが好ましい。これらの樹脂のハロゲン質量比は以下の通りである。
・PVDF :ハロゲン質量比 59.3%
・ETFE :ハロゲン質量比 59.3%
・ECTFE:ハロゲン質量比 64.3%
・PFA :ハロゲン質量比 71.4%
・FEP :ハロゲン質量比 76.0%
・PCTFE:ハロゲン質量比 79.5%
なお、ポリフッ化ビニル(以下、PVFと記す)のハロゲン質量比は41.3%であり、本発明のハロゲン質量比の基準未満であるため、本発明のフッ素樹脂層としては不適である。
【0020】
本発明の裏面保護シートは、PPE製の基材シートの一方又は両方の面に、ハロゲン質量比が50%以上のフッ素樹脂層を積層したものなので、実用上十分な難燃性を有しており、安全性の高いものとなる。このフッ素樹脂層として、ハロゲン質量比が50%未満の樹脂を用いた場合、難燃性が不十分となり、ドリッピング(燃焼物が落下すること)を生じるおそれがあり、実用上十分な難燃性を有する裏面保護シートの提供が困難となる。
【0021】
前記フッ素樹脂層の厚さは特に限定されず、このフッ素樹脂層による難燃性確保、軽量性などに基づいて選択すればよく、例えば、厚さ10〜200μmの範囲であることが好ましく、15〜100μmの範囲であることがより好ましく、20〜50μmの範囲であることがさらに好ましい。
【0022】
前記基材シート及び前記フッ素樹脂層には、必要に応じて、顔料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
顔料としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されない。例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、ペリレン、マイカ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、蓚酸アニリド系、シアノアクリレート系およびトリアジン系等が挙げられる。
【0023】
本発明の裏面保護シートは、PPE製の基材シートの一方又は両方の面に、前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化した構成とすることが好ましい。この積層一体化に用いる接着剤は、前記基材シートと前記フッ素樹脂層とを強固に接着できれば特に制限されず、例えばウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。これらの接着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明の裏面保護シートにおいて、PPE製の基材シートの一方の面に、前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化した構成(図2〜図4参照)とすれば、比較的簡単に製造でき、実用上十分な難燃性を有する裏面保護シートが得られる。
また、PPE製の基材シートの両方の面に、前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化した構成(図5参照)とすれば、基材シートの両面側に難燃性に優れたフッ素樹脂層を設けたことで、難燃性に特に優れた裏面保護シートを提供することができる。
【0025】
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、図1に示すように、太陽電池モジュール50の封止材30の裏面側に、前述した裏面保護シートを接着して積層したものである。
この太陽電池モジュール50の種類や構造は特に限定されず、a−Si(アモルファスシリコン)太陽電池、c−Si(結晶シリコン)太陽電池、μc−Si(微結晶シリコン)太陽電池、GaAs(ガリウム砒素)などの化合物半導体型太陽電池、色素増感型太陽電池とすることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0027】
(使用した基材シート)
・PPE製基材シート:SABICイノベーティブプラスチックス社製、商品名「ノリル EFR735」、厚み152μm
・PET製基材シート:帝人デュポンフィルム社製、商品名「メリネックス 238」、厚み125μm
【0028】
(使用したフッ素樹脂フィルム)
・PVDFフィルム:アルケマ社製、商品名「KYNAR 302−PGM−TR」、厚み30μm、PVDFのハロゲン質量比59.3%
・ETFEフィルム:旭硝子社製、商品名「Fluon ETFE Film」、厚み25μm、ETFEのハロゲン質量比59.3%
・PCTFEフィルム:ダイキン工業社製、商品名「ネオフロン PCTFE フィルム DF−0025C1」、厚み25μm、PCTFEのハロゲン質量比79.5%
・PVFフィルム:デュポン社製、商品名「テドラー PVF フィルム」、厚み38μm、PVFのハロゲン質量比41.3%
【0029】
(使用した接着剤)
タケラックA−515(三井化学社製、ポリエステルポリオール、固形分60%)100質量部と、タケネートA−50(三井化学社製、キシレンジイソシアネート、固形分75%)11.1質量部とを混合したものにさらに酢酸エチル278.3質量部を加えて混合することにより、ウレタン系接着剤を調製した。
【0030】
[実施例1]
前記PPE基材シートの一方の面に、前記接着剤を乾燥塗膜厚さが5μmとなるようにロッドコーターを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥してウレタン系接着剤層を形成した。得られたウレタン系接着剤層に、前記PVDFフィルムを重ね、常温にてラミネートし、23℃50%RH環境下で7日間養生した。
その結果、図2に示すように、PPE基材シート61の一方の面にPVDFフィルム63を接着剤62で積層一体化してなる実施例1の裏面保護シート60Aを得た。
【0031】
[実施例2]
実施例1でのPVDFフィルム63に代えて、前記ETFEフィルム64を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示すように、PPE基材シート61の一方の面にETFEフィルム64を接着剤62で積層一体化してなる実施例2の裏面保護シート60Bを得た。
【0032】
[実施例3]
実施例1でのPVDFフィルム63に代えて、前記PCTFEフィルム65を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図4に示すように、PPE基材シート61の一方の面にPCTFEフィルム65を接着剤62で積層一体化してなる実施例3の裏面保護シート60Cを得た。
【0033】
[実施例4]
前記PPE基材シートの両方の面に、前記接着剤を乾燥塗膜厚さが10μmとなるようにロッドコーターを用いて塗工し、80℃で1分間乾燥してウレタン系接着剤層を形成した。PPE基材シートの両方の面に形成したウレタン系接着剤層に、それぞれPVDFフィルムを重ね、常温にてラミネートし、23℃50%RH環境下で7日間養生した。
その結果、図5に示すように、PPE基材シート61の両方の面にPVDFフィルム63を接着剤62で積層一体化してなる実施例4の裏面保護シート60Dを得た。
【0034】
[比較例1]
実施例1でのPVDFフィルム63に代えて、前記PVFフィルム71を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図6に示すように、PPE基材シート61の一方の面にPVFフィルム71を接着剤62で積層一体化してなる比較例1の裏面保護シート70Aを得た。
【0035】
[比較例2]
実施例1でのPPE基材シート61に代えて、前記PET基材シート72を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図7に示すように、PET基材シート72の一方の面にPVDFフィルム63を接着剤62で積層一体化してなる比較例2の裏面保護シート70Bを得た。
【0036】
[比較例3]
実施例4でのPVDFフィルム63に代えて、前記PVFフィルム71を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、図8に示すように、PPE基材シート61の両方の面にPVFフィルム71を接着剤62で積層一体化してなる比較例3の裏面保護シート70Cを得た。
【0037】
[比較例4]
実施例4でのPPE基材シート61に代えて、前記PET基材シート72を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、図9に示すように、PET基材シート72の両方の面にPVDFフィルム63を接着剤62で積層一体化してなる比較例4の裏面保護シート70Dを得た。
【0038】
前述した通り作製した実施例1〜4の裏面保護シート60A〜60D、及び比較例1〜4の裏面保護シート70A〜70Dについて、以下の垂直燃焼試験を実施し、難燃性を比較した。結果を表1に記す。
【0039】
<垂直燃焼試験>
ASTM D4804に準拠して、垂直燃焼試験を行い、燃焼時間とドリッピングの有無を観察した。すなわち、各裏面保護シート試験片(200mm×50mm)を円筒状に巻き、クランプに垂直に取り付け、20mm炎による3秒間接炎を2回行った。
【0040】
【表1】

【0041】
表1の結果から、PPE製の基材シートの一方又は両方の面に、ハロゲン質量比が50%以上のフッ素樹脂層を積層した本発明に係る実施例1〜4の裏面保護シート60A〜60Dは、優れた難燃性を有していることが実証された。
一方、ハロゲン質量比が50%未満であるPVFフィルムを積層した比較例1は、難燃性が不良であった。
また基材シートとしてPET製基材シートを用いた比較例2についても、難燃性は不良であった。
PPE製基材シートの両面にPVFフィルムを積層した比較例3、及びPET製基材シートの両面にPVDFフィルムを積層した比較例4は、実施例1〜4に比べて難燃性がやや劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の裏面保護シートは、ポリフェニレンエーテル製の基材シートの一方又は両方の面側に、ハロゲン質量比が50%以上のフッ素樹脂層を積層したものなので、実用上十分な難燃性を有しており、安全性の高いものとなる。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール本体に本発明に係る前記太陽電池モジュール用裏面保護シートを接着したものなので、モジュールの難燃性が改善され、安全性に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 表面保護シート
20 裏面保護シート
30 封止材
40 太陽電池セル
50 太陽電池モジュール
60A〜60D 裏面保護シート
61 基材シート
62 接着剤
63 PVDFフィルム(フッ素樹脂層)
64 ETFEフィルム(フッ素樹脂層)
65 PCTFEフィルム(フッ素樹脂層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンエーテル製の基材シートの一方又は両方の面側にフッ素樹脂層が積層された太陽電池モジュール用裏面保護シートであって、前記フッ素樹脂層のハロゲン質量比が50%以上であることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【請求項2】
前記フッ素樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂からなるフィルムである請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【請求項3】
前記基材シートの一方の面に前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化してなる請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【請求項4】
前記基材シートの両方の面に前記フッ素樹脂層を接着剤で積層一体化してなる請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シートが接着されてなる太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−176193(P2011−176193A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40059(P2010−40059)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】