説明

太陽電池モジュール

【課題】 表面透明基板における光反射による光公害が防止されかつ満足し得る耐汚染性を備えた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】 太陽電池モジュールは、透明表面基板1の第1主面上に設けられた半導体光電変換層3、充填樹脂6、および裏面カバー7と、基板1の第2主面上に形成された防眩膜10とを備え、防眩膜10は有機材または無機材の粒子30と有機材バインダ20とを含み、バインダ20はアクリル系樹脂とフッ素系樹脂の少なくとも一方を含む第1の成分の100重量部に加えて、加水分解性シリル基を含有するオルガノシリケートおよび/またはその縮合物である第2の成分を1重量部以上で50重量部未満の範囲内で含み、防眩膜10は水の接触角が75°未満の良好な濡れ性を有している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池モジュールに関し、特に太陽電池モジュールにおける透明表面基板の防眩と汚染防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、クリーンエネルギの利用がますます叫ばれるようになり、それに伴って太陽電池の利用の促進が図られている。また、太陽電池の量産化に伴って、製造コストの低減化が進みつつある。太陽電池利用の形式としては、かっては、大規模な太陽電池発電所の形態や、人里離れたところでの電源確保のための形態が主流であった。しかしながら、近年、市街地で住宅の屋根やビルの外壁に太陽電池モジュールパネルを取付けて電力を発生し、そのエネルギを従来の電力会社からの電気と同様に利用することが主流となりつつある。
【0003】かかる太陽電池モジュールパネルは、表面カバーガラスと裏面カバーフィルムとの間に、複数の光起電力セルが樹脂で封止されたものである。表面カバーガラスとしては、かつては透明ガラスで鏡面をなすものが用いられていたため、反射による光公害の問題が生じていた。この問題を解決するため、たとえばガラスをプレス加工して表面に特有の形状を形成した型板ガラスの利用が検討されている。また、特開平11−74552号公報には、ガラス基板の光入射面に凹凸形状を形成する技術が開示されている。
【0004】一方、太陽電池モジュールのコストを大幅に低減し得る構造として、表面カバーガラスと同じサイズの透明絶縁基板上に、透明電極層、薄膜半導体層、および裏面電極層をパターニングしながら順次形成して得られる基板一体型薄膜系太陽電池モジュールが利用されている。この構造の特徴は、各光起電力セルの配線間、およびセルとカバーガラスの間に充填する封止樹脂が必要ないことであり、コスト面の利点のみならず、樹脂の黄変による特性劣化がないことである。
【0005】図8は、従来の太陽電池モジュールの一例の概略構成を示す断面図である。この太陽電池モジュールは、透明絶縁基板1と、透明絶縁基板1の光入射面と異なる面上に形成された透明電極層2と、透明電極層2上に形成された光半導体層3と、光半導体層3上に形成された裏面電極層4とを備えている。順に積層された透明電極層2、光半導体層3、および裏面電極層4は複数の光電変換セル5に分離され、各セル5は互いに電気的に直列に接続されて集積化されている。
【0006】また、この太陽電池モジュールは、光電変換セル5を保護するため、充填樹脂6、および裏面カバーフィルム7により封止されて保護されている。さらに、このように封止された太陽電池には、フレーム8が取付けられている。
【0007】このように構成される従来の太陽電池モジュールの製造工程には、プラズマCVD、スパッタ等の成膜工程の他、集積化のためのレーザスクライブ工程等が含まれる。そのため、従来の太陽電池モジュールにおいては、これらの工程を安定的に行なうため、一般に透明絶縁基板1の光入射面側の表面は、平坦な面に形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように構成される従来の太陽電池モジュールを屋根やビルの外壁に配列した場合、太陽と太陽電池モジュールとの角度によっては、太陽光が反射して隣接する家屋の中を照らしたりする等の光公害の問題が一部で指摘されていた。
【0009】そこで、このような問題を解決するため、前述したように基板の表面を光を散乱する型板ガラスにすることが検討されているが、こうしたガラスを用いた場合、型板ガラスのテクスチャ仕様の細かな検討あるいは特別なレーザスクライブ条件が必要となり、これに伴うコストの増加が発生するという問題があった。
【0010】また、特開平11−74552号公報に開示されているように、ガラス基板自体に凹凸形状を形成する場合には、ガラスの加工は高温や反応性の高いフッ酸等の溶液の使用を伴うため、モジュール完成後には実施できないという問題があった。また、モジュール作製前に予めガラス基板自体に加工を施しておいた場合では、半導体層や電極層のレーザスクライブによるカットをガラス基板面より行なうことができない等の問題があった。さらに、ガラス基板に凹凸形状を形成する方法としては、ブラスト処理も考えられるが、ガラスの強度が弱くなるという問題があった。
【0011】一方、従来の太陽電池モジュールの製造においては、ロットによりガラス基板の色調に差があるため、完成した太陽電池モジュールにおいても、色調に差が生じてしまうという問題もあった。
【0012】この発明の目的は、上述の問題点を解決し、光入射面における反射による光公害等が有効に防止され、かつ色調の統一された太陽電池モジュールを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明による太陽電池モジュールは、第1および第2の主面を有する透明表面基板と、その基板の第1主面上に設けられた半導体光電変換層、充填樹脂、および裏面カバーと、基板の第2主面上に形成された防眩膜とを備え、その防眩膜は水に対して接触角が75°未満の良好な濡れ性を有していることを特徴としている。
【0014】防眩膜は有機材粒子および無機材粒子の少なくとも一方と有機材バインダとを含み、その有機材バインダは、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂の少なくとも一方を含有する第1の成分の100重量部に加えて、
【0015】
【化2】


【0016】で表わされる加水分解性シリル基を含有するオルガノシリケートおよび/またはその縮合物である第2の成分を1重量部以上で50重量部未満の範囲内で含み、ここでR1はアルキル基、R2はアルキル基またはアルコキシル基を表わし、aは0または1の整数であることが好ましい。
【0017】有機材バインダは第1の成分の100重量部に加えて、第2の成分を10〜40重量部の範囲内で含むことがより好ましく、20〜40重量部の範囲内で含むことがさらに好ましく、30〜40重量部の範囲内で含むことが特に好ましい。
【0018】また、防眩膜の水に対する接触角は、60°未満であることがより好ましく、50°未満であることがさらに好ましい。
【0019】このような太陽電池モジュールに含まれる半導体光電変換層は、相互接続された複数の単結晶光電変換セルを含むもの、または集積化された複数の薄膜光電変換セルを含むものであり得る。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による実施の形態の一例として太陽電池モジュールの概略構成を示す断面図である。なお、本願の各図においては、図面の明瞭化と簡略化のために寸法関係は適宜に変更されており、実際の寸法関係を反映してはいない。特に、防眩膜表面の微細な凹凸などは誇張されて示されている。
【0021】図1を参照して、この太陽電池モジュールは、透明絶縁基板1と、透明絶縁基板1の光入射面と異なる面上に形成された透明電極層2と、透明電極層2上に形成された光半導体層3と、光半導体層3上に形成された裏面電極層4とを備えている。順に積層された透明電極層2、光半導体層3および裏面電極層4は複数の光電変換セル5に分離され、各セル5は互いに電気的に直列に接続されている。
【0022】また、この太陽電池モジュールは、光電変換セル5を保護するため、充填樹脂6、および裏面カバーフィルム7により、封止されて保護されている。さらに、このように封止された太陽電池には、透明絶縁基板1、充填樹脂6および裏面カバーフィルム7等を保持するとともに、屋根等の架台等に取付けるために用いられるフレーム8が取付けられている。但し、フレーム8は太陽電池にとって不可欠なものではなく、太陽電池はフレーム無しのものや瓦に埋め込まれたものでもよく、フレームによって限定されるものではない。
【0023】さらに、透明絶縁基板1の光入射面側には、界面処理剤からなる膜40を介して、本願発明の特徴として、有機材粒子および無機材粒子の少なくとも一方の粒子30と有機材バインダ20とを含む防眩膜10が形成されている。防眩膜10の表面には、凹凸形状が形成されている。
【0024】防眩膜10としては、光入射面側から入射した光を乱反射するものであってもよいし、また、入射した光の透過率を向上させて反射を減少させるものでもよい。
【0025】防眩膜10を構成する有機材バインダ20として用いることができる樹脂の特性としては、十分な耐候性を有し、光の透過性がよく、成膜のプロセスにおいて太陽電池セルを劣化させない温度、具体的には200℃以下、より好ましくは150℃以下で成膜する材料が好ましく用いられる。
【0026】そのような特性を満たす材料として、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂の少なくとも一方を含有する第1の成分が有機材バインダ20の主要成分として用いられることが好ましく、さらに、その親水性を改善するために、加水分解性シリル基を含有する第2の成分が付加的成分として含められることが好ましい。
【0027】アクリル樹脂は、アクリルモノマーを主成分とするモノマーを重合あるいは共重合して得られる樹脂が好ましく、フッ素系樹脂はフッ素含有モノマーを用いて重合して得られる樹脂であることが好ましい。
【0028】アクリル樹脂としてはさらには、加水分解性シリル基を含有する樹脂が好ましく、主鎖が実質的にポリビニル型結合からなり、末端あるいは側鎖に加水分解性基と結合した珪素原子を1分子中に少なくとも1個を有するシリル基含有ビニル樹脂で、ビニルモノマーと加水分解性シリル基含有モノマーとの共重合により得られ、主鎖または側鎖にウレタン結合あるいはシロキサン結合を一部含んでもよい。ビニルモノマーとしては特に限定はなく、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、ブチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、ステアリル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、トリフロロエチル(メタ)クリレート、ペンタフロロプロピル(メタ)クリレート、ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフエステル等の不飽和カルボン酸のエステル;スチレン、a−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等のビニルエステルやアリル化合物;(メタ)クリロニトリル等のニトリル基含有ビニル化合物;グリシジル(メタ)クリレート等のエポキシ基含有ビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)クリレート、ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有ビニル化合物;(メタ)クリルアミド、イタコン酸ジアミド、a−エチル(メタ)クリルアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドン、N−ブトキシメチル(メタ)クリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のアミド基含有ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)クリルアミド、アロニクス5700(東亜合成(株)製)、Placcel FA-1、Placcel FA-4、Placcel FM-1、Placcel FM-4(以上ダイセル化学(株)製)等の水酸基含有ビニル化合物;(メタ)クリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびそれらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等)、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸、酸無水物、またはその塩;ビニルメチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、マレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸等のその他のビニル化合物等が挙げられる。
【0029】アルコキシシランビニルモノマーとしては、具体的には、
【0030】
【化3】


【0031】等が挙げられる。これらアルコキシシランビニルモノマー単位は、加水分解性シリル基含有ビニル系共重合体の中で、好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%含む。
【0032】アルコキシシランビニルモノマーとビニルモノマーの共重合体の製造方法については、たとえば特開昭54−36395、同57−36109、同58−157810等に示される方法を用いればよい。アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系ラジカル開始剤を用いた溶液重合が最も好ましい。また必要に応じてn−ドデシルメルカブタン、t−ドデシルメルカブタン、n−ブチルメルカブタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(H3CO)3Si−S−S−Si(OCH33、(CH3O)3Si−S8−Si(OCH33等連鎖移動剤を用い、分子量調節をすることができる。特に加水分解性シリル基を分子中に有する連鎖移動剤、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いればシリル基含有ビニル系共重合体の末端に加水分解性シリル基を導入することができる。重合溶剤は炭化水素類(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等)、エーテル類(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等)、ケトン類(メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、アセトン等)の如き非反応性の溶剤であれば特に限定はない。
【0033】フッ素系樹脂としてはさらには、水酸基を含有している樹脂であることが好ましく、たとえばその一例である水酸基含有フッ素系共重合体は、■クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン;CH2=CHCOOCH2CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF3、CH2=CHCOOCH(CF32、CH3=C(CH3)COOCH(CF32、CH2=CHCOOCH2CF2CF2CF3、CH2=CHCOOCF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF2CF3、CH2=C(CH3)COOCF3等を含む(メタ)アクリル酸フルオロアルキル等のフッ素含有ビニルモノマー、■ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アロニクス5700(東亜合成(株)製)、Placcel FA-1、同 FA-4、同FM-1、同FM-4(以上ダイセル化学(株)製)等の水酸基含有ビニルモノマー、■エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル;マレイン酸、フマール酸、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシルアルキルビニルエーテル等のカルボキシル基含有モノマー;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル;メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル;ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有モノマー等;上記■、■、■を共重合して得られる水酸基価5〜300mgKOH/g、好ましくは10〜250mgKOH/gのものである。
【0034】加水分解性シリル基を含有する樹脂としては、鐘淵化学工業株式会社製ゼムラック(登録商標)、水酸基を含有するフッ素系樹脂あるいは樹脂組成物としては、旭硝子株式会社製のルミフロン、旭硝子コートアンドレジン株式会社製のボンフロン、株式会社トウベ製ニューガメット、大日本塗料株式会社製Vフロン(いずれも登録商標)が例示できる。
【0035】ルミフロンは、以下に示す基本物性を有している。
【0036】
【表1】


【0037】ゼムラックは、以下に示す分子構造を含んでいる。
【0038】
【化4】


【0039】ここで、R1は炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基よりなる群から選ばれた一価の炭化水素基、aは0、1または2の整数を示す。
【0040】有機材バインダ20に付加的に含まれる第2の成分としては、
【0041】
【化5】


【0042】で表わされる加水分解性シリル基を含有するオルガノシリケートおよび/またはその縮合物を好ましく用いることができ、ここでR1はアルキル基、R2はアルキル基またはアルコキシル基を表わし、aは0または1の整数である。R1中とR2中の炭素数は、特に限定はないが1〜4であることが好ましい。このような第2の成分は有機材バインダ20の親水性を改善し、防眩膜10の表面の耐汚染性を向上させるように作用する。
【0043】第2の成分の具体例としては、テトラメチルシリケート(テトラメトキシシラン)、テトラエチルシリケート(テトラエトキシシラン)、テトラ−n−プロピルシリケート(テトラプロポキシシシラン)、テトラ−i−プロピルシリケート(テトライソプロポキシシシラン)、テトラ−n−ブチルシリケート(テトラブトキシシラン)等を挙げることができる。
【0044】上記テトラアルキルシリケートを加水分解条件下に縮合させて得られる部分縮合物の生成反応は既知の製造方法による。すなわち、テトラアルキルシリケートに水を添加し、縮合せしめることにより行なうことができる。また、テトラアルキルシリケート部分加水分解縮合物は、市販品を用いることもできる。このような縮合物としては、MSI51、ESI28、ESI40、HAS−1(いずれもフルコート(株)製)等がある。
【0045】また、トリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3グリシドキシプロピルメトキシシラン、メチルトリsec−オクチルオキシシラン、メリルトリフェノキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン等およびこれらの縮合物等を挙げることができる。また、これらの縮合物は、市販品を用いることもできる。このような縮合物としては、AFP−1等(信越化学)がある。これらを単独でも混合系でも用いることができる。
【0046】一般に、有機材バインダはガラスに比べて親水性が低く、水に関して大きな接触角を有している。太陽電池モジュールの防眩膜表面における水の接触角が大きい場合、その表面に付着した雨水などは広がりにくく、水玉状に散在することになる。このように散在した水玉が乾いた後には、雨水に含まれていた汚染物質が点々とした染みになって残り、そのように汚染された太陽電池モジュールの表面が屋根の美観を損ねることになる。また、玉状の雨水は薄く広がった雨水に比べ大きな厚さを有し、その乾燥後に残される汚染物質の厚さも大きくなる。さらに、一般的な屋根材である瓦やスレートは水に対して良好な濡れ性を有しているので、降雨時に太陽電池モジュールの表面のみに水玉が散在すれば、屋根の統一的美観を損ねることもある。
【0047】しかし、本発明による太陽電池モジュールのように、その表面の親水性が改善されていれば、これらの問題を生ずることもない。そのように親水性を改善するために有機材バインダ20に付加的に含まれるべき第2の成分は第1の成分の100重量部に対して1重量部以上で50重量部未満の範囲内にあるが、10〜40重量部の範囲内にあることが好ましく、20〜40重量部の範囲内にあるのがさらに好ましく、30〜40重量部の範囲内にあるのが特に好ましい。
【0048】一方、防眩膜10を構成する有機材粒子30としては、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンワックス、またはこれらの少なくとも2種以上の混合物からなるもの、またはこれらの樹脂あるいは混合樹脂を主成分とするものが用いられ得る。具体的には、たとえば、φ8μmのPMMA(ポリメチルメタアクリレート)からなる積水化成製MBX−8、平均φ15μm、最大φ30μmのPE(ポリエチレン)からなる楠本化成製SE480−10T等が用いられ得る。
【0049】また、防眩膜10を構成する無機材粒子30としては、シリカからなるものが用いられ得る。具体的には、たとえば、φ4μmのシリカからなるデグサジャパン製TS100、φ2μmのシリカからなるデグサジャパン製デグサOK−607、φ0.07〜0.1μmのシリカゾルからなる日産化学工業株式会社製EG−ST−ZL等が用いられ得る。
【0050】また、有機材または無機材粒子30の直径は、好ましくは0.05〜200μm、より好ましくは0.5〜100μm、特に好ましくは1〜10μmであればよい。粒子30の直径がこの範囲にあれば、反射の程度を低下させることができる。
【0051】また、有機材バインダ20と有機材または無機材粒子30との混合重量比は、粒子径が1μm未満である場合には、有機材バインダの重量100に対して粒子の重量が50〜2000であることが好ましく、特には100〜1500あることが好ましい。
【0052】また、有機材または無機材粒子径が1μm以上、好ましくは1〜10μmである場合は、有機材バインダと粒子との混合重量比は、有機材バインダの重量100に対して粒子の重量として0.1〜98、さらには1〜50、特には1〜10が好ましい。粒子径が小さすぎれば本発明の防眩効果が十分に発揮されず、また反対に粒子径が大きすぎればバインダ樹脂に対する分散性が低下して好ましくない。
【0053】また、防眩膜10の厚さは、0.1〜500μm、さらには0.5〜100μm、特に1〜30μmであることが好ましい。
【0054】図2は、本願発明による太陽電池モジュールの一例の防眩膜10の一部を拡大して示す断面図である。なお、図示はしないが、防眩膜は単層であってもよいし、違う材質や形状、膜厚である防眩膜を複層に重ね合わせることで防眩効果や透過率の向上に有効な場合もある。図2に示された太陽電池モジュールの防眩膜10においては、有機材バインダ20中に有機材または無機材粒子30が単層に配置されている。このような構造とすることにより、透過率の低下を防止することができる。
【0055】また、図3は、本願発明による太陽電池モジュールの他の例の防眩膜10の一部を拡大して示す断面図である。この太陽電池モジュールの防眩膜10においては、有機材バインダ20中に有機材または無機材粒子30の積重なりが変化させて配置されている。このような構造とすることにより、防眩効果を増大させることができる。
【0056】なお、これらの有機材または無機材粒子の層は形成された防眩膜の一面全体に単層または複層であってもよいし、単層と複層が混じり合っていてもよい。
【0057】このように透明絶縁基板1の光入射面側に防眩膜10を形成することにより、太陽電池モジュールに入射した太陽光は、大部分においては発電に寄与することとなり、防眩膜表面から反射される入射光の2〜4%程度の成分は不特定の方向に乱反射されるようになる。乱反射して散乱された太陽光は、平行光線ではない。そのため、太陽電池モジュールから乱反射された光は、全体としてぼやけた状態となり、直接太陽電池を見ても眩しく感じられるようなことがなくなる。
【0058】なお、この実施の形態による太陽電池モジュールにおいて、透明電極層2としては、ITO、SnO2、またはこれらの積層体であるITO/SnO2、あるいはZnO等の光を透過し得る導電材料が用いられ得る。
【0059】また、光半導体層3は、非晶質シリコンa−Si、水素化非晶質シリコンa−Si:H、水素化非晶質シリコンカーバイドa−SiC:H、非晶質シリコンナイトライド等の他、シリコンと炭素、ゲルマニウム、錫等の他の元素との合金からなる非晶質シリコン系半導体の非晶質または微結晶を、pin型、nip型、ni型、pn型、MIS型、ヘテロ接合型、ホモ接合型、ショットキバリア型あるいはこれら組合せた型等に合成した半導体層が用いられ得る。この他、光半導体層としては、CdS系、GaAs系、InP系等であってもよく、何ら限定されるものではない。
【0060】また、裏面電極層4としては、金属または金属および金属酸化物の複合膜等が用いられ得る。
【0061】さらに、充填樹脂6としては、シリコーン、エチレンビニルアセテート、ポリビニルブチラール等が用いられ、また、裏面カバーフィルム7としては、フッ素系樹脂フィルムやポリエチレンテレフタレートあるいはアルミニウム等の金属フィルムやSiO2等の薄膜をラミネートした多層構造のフィルム等が用いられ得る。
【0062】なお、この実施の形態においては、薄膜系の太陽電池モジュールについて説明しているが、本願発明は、単結晶系の太陽電池モジュールにも適用できることは言うまでもない。
【0063】次に、図1に示した第1実施形態の太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
【0064】まず、透明絶縁基板1の光入射面と異なる面上に、透明電極層2、光半導体層3および裏面電極層4を順次形成する。これらの各層を、レーザスクライブ等のパターニング手段によって、複数の領域に分離する。たとえば、透明電極層2は、レーザ加工、エッチング、リフトオフ等の方法により、所定のパターン形状に形成する。また、裏面電極層4は、蒸着またはスパッタ法等により成膜した後、同様にレーザ加工、エッチング、リフトオフ等の方法により、所定のパターン形状に形成する。
【0065】このようにして、透明電極層2、光半導体層3および裏面電極層4からなる光光電変換セル5を透明絶縁基板1上に形成した後、これらを保護するため、充填樹脂6で封止固着し、さらに裏面カバーフィルム7を装着する。
【0066】続いて、光電変換セル5が形成された透明絶縁基板1の光入射面側に、本願発明の特徴である、防眩膜10を形成する。防眩膜10の形成は、裏面電極層を形成してスクライブした後ならいつでも可能であり、その直後でも裏面封止後でも端子BOX取付け後でも、太陽電池を屋根等に設置した後でもよく、塗膜方法にもよるが、特に限定されるものではない。このとき、透明絶縁基板1と防眩膜10との間に界面処理剤からなる膜40を介在させるとよい。このような膜40を介在させることにより、透明絶縁基板1と防眩膜10との接着強度が増大するとともに、塗装むらが減少される。
【0067】なお、この実施の形態においては、光電変換セル5を形成した後に防眩膜10を形成している。逆に防眩膜10を形成した後に光電変換セル5を形成するとすれば、光電変換セル5の形成の際にレーザ照射を行なう場合、焦点がぼけてしまうといった問題や、光電変換セル5の形成の際にプラズマCVD用の真空チャンバを使用できないといった問題が生じるおそれがあるからである。
【0068】図4および図5は、本発明による太陽電池モジュールの製造方法の一例を説明するための断面図であって、防眩膜10の形成方法の一例を示している。まず、図4を参照して、封止された太陽電池モジュールの透明絶縁基板1の光入射面上に、有機材または無機材粒子30が混入された有機材バインダ塗材20を塗布する。このとき、粒子30のサイズが大きい場合には、図5R>5に示すように、バインダ塗材20を成膜させる際に、粒子30の分布によって防眩膜10の表面に凹凸形状が形成される。
【0069】また、図6は、本発明による太陽電池モジュールの製造方法の他の例を説明するための断面図であって、防眩膜10の形成方法の他の例を示している。すなわち、有機材バインダ塗材20を塗布した後、所定のパターン形状を有するクロスが巻付けられたローラ9を、矢印Aに示すように回転させながら矢印B方向に移動させて所定パターンを転写した後、バインダ塗材20を成膜させることにより、防眩膜10の表面に凹凸形状を形成することもできる。
【0070】なお、防眩膜10の光入射面に凹凸形状を形成する方法としては、上述したような混入された粒子による作用を利用する方法、あるいはバインダ塗材を塗布して型押し等により成形した後成膜させる方法等の他、バインダ塗材を塗布する際のノズルの形状等の工夫によっても、表面を凹凸形状に形成することができる。
【0071】以上のように形成された防眩膜10は、ガラス基板1の全面を覆っているので、メーカーやロットごとのばらつきによるガラス基板1の色調の違いをマスクすることができ、屋根の上に並べられた複数の太陽電池モジュール間の色調を統一して美観を高めることもできる。
【0072】図7は、本発明による太陽電池モジュールのさらに他の例の防眩膜10の一部を拡大して示す断面図である。以上においては、防眩膜10の表面に微細な凹凸形状が形成されている例について主として説明してきたが、防眩膜10の表面は図7に示すように平坦であっても、たとえばバインダと粒子の屈折率の差によって、防眩効果を発揮できる場合がある。
【0073】
【実施例】以下において、ガラス基板に種々の条件で防眩膜を形成した実施例について、その光学特性や耐汚染性の評価を行なった結果を参考例とともに説明する。
【0074】(参考例)表面が平坦なガラス基板の一方の面にTCO(透明導電性酸化物)膜を形成し、他方の面に以下の条件で防眩膜を形成した。
【0075】まず、有機材バインダに含まれる第1の成分として旭硝子株式会社製「ルミフロン」を用い、加水分解性シリル基を含有する第2の成分は添加されなかった。
【0076】無機材粒子としては、デグサジャパン製シリカ「OK−607」(φ2μm)を用い、これを上記の有機材バインダ中に分散させた。配合率は、有機材バインダ中の固形分:粒子=100:5となるように調製した。
【0077】こうして得られた塗材をガラス基板上にスプレーによって塗布し、常温で乾燥させた。その結果、ガラス基板の一方の面にTCO膜が形成され、他方の面に防眩膜が形成された比較例のサンプルが得られた。
【0078】この比較例のサンプルについて、防眩膜面側から光を照射して、「60°光沢」、「20°光沢」、および「全透過率」を測定し、光学特性を評価した。なお、「60°光沢」と「20°光沢」は、JIS−Z−8741−1983の鏡面光沢度測定法に従って測定された。
【0079】その結果、この比較例のサンプルにおいては、60°光沢が15で、20°光沢度が2で、そして全透過率が81.3%であった。
【0080】また、この参考例のサンプルにおける防眩膜について水に関する接触角と耐汚染性が測定された。耐汚染性の測定においては、サンプルの初期透過明度を色彩色差計(ミノルタ製CR−300)で測定し、大阪府摂津市で南面30°の屋外暴露を3ヶ月実施した。屋外暴露後と暴露前の透過明度差(ΔL値)を汚染性の尺度とし、透過明度が低下しているほど汚れていることを表わしている。すなわち、暴露の後の透過明度の低下が少ないほど耐汚染性に優れていることを表わしている。親水性は、接触角測定器(協和界面科学製CA−S150型)を用いて、水との静的接触角を測定することによって評価した。当然に、接触角の数値が小さいほど親水性に優れていることを表わしている。
【0081】このような測定の結果、参考例のサンプルでは水の接触角が92°であり、汚染性の尺度であるΔL値は−8.2であった。
【0082】(実施例1)上述の参考例のサンプルに類似して、実施例1においても、平坦なガラス基板の一方の面にTCO膜を形成し、他方の面に防眩膜を形成した。しかし、この実施例1においては、有機材バインダに含まれる第1の成分としてルミフロンの100重量部が用いられ、第2の成分としてメチルシリケートの15重量部と「エチルシリケート40」の15重量部が用いられた。「エチルシリケート40」は日本コルコート社製の商品名であって、Siを40重量%含んでいる。この実施例1におけるその他の条件は、無機材粒子の添加条件をも含めて参考例の場合と同様にされた。
【0083】このような実施例1のサンプルについて参考例の場合と同様に種々の特性評価を行なったところ、60°光沢が15、20°光沢が1、全透過率が80%、水の接触角が68°、そして汚染度のΔL値が−4.5であった。
【0084】(実施例2)参考例に類似して、実施例2のサンプルが作製された。実施例2においては、有機材バインダに含まれる第1の成分としてメラミンの25重量%とルミフロンの75重量%が用いられ、第2の成分として「HAS−1」の15重量%が用いられた。「HAS−1」は日本コルコート社製の商品名であり、上述のエチルシリケート40を部分的に縮合したものに対応している。実施例2のサンプルの他の形成条件は、参考例と同様にされた。
【0085】このような実施例2のサンプルについて参考例の場合と同様に種々の特性を測定したところ、60°光沢が10、20°光沢が1、全透過率が79%、水の接触角が58°、そして汚染尺度のΔL値が−2.7であった。
【0086】(実施例3)実施例3のサンプルも、比較例の場合に類似して作製された。ただし、有機材バインダに含まれる第1の成分として水酸基含有アクリル樹脂の100重量部が用いられ、第2の成分としてテトラエチルシリケートの30重量部が用いられた。
【0087】このような実施例3のサンプルについて参考例の場合と同様に種々の特性を測定したところ、60°光沢が10、20°光沢が1、全透過率が80%、水の接触角が48°、そして汚染度のΔL値が−3.2であった。
【0088】以上から明らかなように、いずれの実施例と参考例も、太陽電池モジュールとして望まれる十分な全透過率を維持しつつ、低い光沢度を実現できていることがわかる。しかし、水の接触角が75°未満の実施例サンプルでは耐汚染性も満足し得る範囲にあるのに対して、水の接触角が75°以上の92°である参考例サンプルでは実施例サンプルに比べて明らかに耐汚染性の劣っていることがわかる。
【0089】なお、種々の実施例と参考例のサンプルにおいて、必ずしも耐汚染性が水の接触角の小さい順になっていないものもあるが、これは屋外暴露中の自然環境における不均一性の影響と考えられ、一般的には水の接触角が小さいほど耐汚染性が向上する関係にあることが明らかである。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による太陽電池モジュールは、透明絶縁基板の光入射面に防眩膜を備えているため、光の反射による光公害等の問題が有効に防止される。また、防眩膜の親水性が改善されているので、その耐汚染性も満足し得るものになっている。
【0091】また、この太陽電池モジュールでは、透明絶縁基板の一方の主面上に光電変換セルを形成後に他方の主面上に防眩膜を形成することにより、基板として高価な型板ガラス等を用いることなく、太陽電池モジュールの外観が映り込みや光公害を防止するように改善され得る。また、最後に防眩膜を形成するようにすることにより、従来の基本的な太陽電池モジュールの製造工程を何ら変更させることなく、上記外観の改善を達成することができる。
【0092】さらに、防眩膜において、バインダと粒子がともに有機材同士からなる場合には、相互の密着性がよくて粒子の欠落や膜自体の剥離が少なくなる。他方、防眩膜が有機材バインダと無機材粒子とからなる場合には、実用上影響するほど入射光量が減少することなく防眩効果を発揮し、太陽光を有効に光電変換に利用することができる。さらに、無機材粒子は、劣化の問題も少ないため、耐候性の点でも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による太陽電池モジュールの一例の概略構成を示す断面図である。
【図2】 本発明による太陽電池モジュールの一例の防眩膜の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】 本発明による太陽電池モジュールの他の例の防眩膜の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】 本発明による太陽電池モジュールの製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図5】 図4の製造方法の効果を説明するための断面図である。
【図6】 本発明による太陽電池モジュールの製造方法の他の例を説明するための断面図である。
【図7】 本発明による太陽電池モジュールのさらに他の例の防眩膜の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】 従来の太陽電池モジュールの一例の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明絶縁基板、2 (前面)透明電極層、3 光半導体層(半導体光電変換層)、4 裏面電極層、5 光電変換セル、6 充填樹脂(背面保護充填層)、7 裏面カバーフィルム(背面保護フィルム)、8 フレーム、9 (エンボス)ローラ、10 防眩膜、20 有機材バインダ、30 有機材または無機材粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1および第2の主面を有する透明表面基板と、前記基板の前記第1主面上に設けられた半導体光電変換層、充填樹脂、および裏面カバーと、前記基板の前記第2主面上に形成された防眩膜とを備え、前記防眩膜は水に対して接触角が75°未満の良好な濡れ性を有することを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】 第1および第2の主面を有する透明表面基板と、前記基板の前記第1主面上に設けられた半導体光電変換層、充填樹脂、および裏面カバーと、前記基板の前記第2主面上に形成された防眩膜とを備え、前記防眩膜は有機材粒子および無機材粒子の少なくとも一方と有機材バインダとを含み、前記有機材バインダは、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂の少なくとも一方を含有する第1の成分の100重量部に加えて、
【化1】


で表わされる加水分解性シリル基を含有するオルガノシリケートおよび/またはその縮合物である第2の成分を1重量部以上で50重量部未満の範囲内で含み、ここでR1はアルキル基、R2はアルキル基またはアルコキシル基を表わし、aは0または1の整数であり、そして、前記防眩膜は水に対して接触角が75°未満の良好な濡れ性を有することを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項3】 前記有機材バインダは、前記第1の成分の100重量部に加えて、前記第2の成分を10〜40重量部の範囲内で含むことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】 前記有機材バインダは、前記第1の成分の100重量部に加えて、前記第2の成分を20〜40重量部の範囲内で含むことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】 前記有機材バインダは、前記第1の成分の100重量部に加えて、前記第2の成分を30〜40重量部の範囲内で含むことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】 前記半導体光電変換層は相互接続された複数の単結晶光電変換セルまたは集積化された複数の薄膜光電変換セルを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】 前記防眩膜は水に対して接触角が50°未満の良好な濡れ性を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかの項に記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−177130(P2001−177130A)
【公開日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−357187
【出願日】平成11年12月16日(1999.12.16)
【出願人】(000000941)鐘淵化学工業株式会社 (3,932)
【Fターム(参考)】