太陽電池モジュール
【課題】原料からの切り出しロスを低減し太陽電池素子の太陽電池モジュール内での充填効率を高め、太陽電池素子を電気的に接続する際の歩留まりを抑制可能な太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に、隣接していない辺によって幾何学的に構成される空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【解決手段】多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に、隣接していない辺によって幾何学的に構成される空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板表面にヘテロ接合を有する結晶シリコン太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を用いた太陽電池は、光電変換効率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。通常、一枚の半導体基板からなる太陽電池素子を複数個組み合わせ直列に接続し、太陽電池モジュールとして使用する。これにより、電流値の絶対値を低減し、電圧を高めることができる。半導体基板を用いた太陽電池素子を組み合わせ直列接続する際に、太陽電池素子の間に生じる隙間は基本的に無効部となるので、この隙間を可能な限り狭くするような技術が発達している。
【0003】
無効部を少なくする為には、太陽電池モジュールと太陽電池素子の形状が重要になってくる。太陽電池モジュールの形状は取り扱いの観点から方形が取られる。一方で、太陽電池素子は四角形や六角形など様々な形が採られている。これは、半導体基板の製法に依るところが大きい。例えば単結晶シリコン基板は、円柱状の単結晶インゴッドの面出しを行い、それをスライスすることで得られる。基本的に柱状アズグロンの断面が円に近い頂点の数が多い形状に面出しをするほど、ロスは少なくなってゆく。従来、面出しによって円柱から角柱へと形状を変えるが円柱から四角柱を切り出す場合、四角形を正確に切り出すと36%程度のロスが発生してしまう。通常はロスを小さくするように四角形の角に円周の一部を残すように切り出す。このように頂点部分に円周の一部を残すことで、円柱状の単結晶インゴッドから切り出すときの切出しロスは低減できるが、太陽電池素子を敷き詰めてモジュールを作成する際には空白部を形成しモジュール有効面積が低下してしまう。最終的に多角形にどの程度円周を残すかは、切出しロスとモジュール空白部によるロスのバランスで決まる。また、多角形の鋭い角を切り落とし、より内角の大きな頂点を発生させたほうが、半導体基板を取り扱う際に応力集中による歩留まりの発生を抑えることができるため、こういった観点で半導体基板の形状が設計される場合もある。
【0004】
また、モジュール内では、基本隣り合う太陽電池素子を直列に接続し、電圧を上昇させ電流値を低減する方式が採られている。よって、面積の異なる素子を用いる場合は、一部を並列接続にして電流を一致させる方法や面積の揃った素子同士で直列接続し別配線にして取り出すといった措置が採られる。両主面にそれぞれ電極を備えるタイプの太陽電池素子を直列に接続するためには、電気配線を入射面側から裏面側へ引き回すスペースが必要で、モジュールに敷き詰める素子の間隔は少なくともこのスペースに律速されてしまう。両主面に夫々電極を備えるタイプの太陽電池素子において、素子を並列に接続する場合や、入射側極性の異なる素子同士を直列接続する場合は配線を入射面と裏面で引き回す必要がないので要するスペースを若干小さくできる。しかし、隣り合う素子を配線で接続する場合、電気的に接続する際の加熱によって生じる線膨張による応力が発生するので、ある程度スペースを空けておく必要がある。裏面のみに正負両極を取り出すタイプの太陽電池素子について直列接続する場合も同様のことが言える。
【0005】
特許文献1では正六角形を対抗する辺或いは対抗する頂点を結ぶ直線で半分割した五角形状或いは台形状の太陽電池素子を組み合わせて最密に充填するとしている。正六角形或いは正六角形を分割した形状を用いれば最密に充填できるのは公知の法則であるが、半分割されたセルの斜辺どうしを対向させ、この対向部分において配線を入射面から裏面へと引き回すようにしているため、この対向部分の隙間を比較的大きく空ける必要があり、その分、セルの充填率が低下するとの問題が生じる。また、このように斜辺部分にてインターコネクタを上面から下面へと引き回すようにすると、斜辺の部分においてセルに欠けや割れが生じ易く、セルに破損が引き起こされるとの問題が起り兼ねない。さらに、複数本のインターコネクタにてセル間の接続を行う場合には、セルの斜辺にて折り曲げがなされるために、インターコネクタ毎に折り曲げ位置が相違し、インターコネクタの接続作業が煩雑化するとの問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2のように、六角形を4分割した台形状素子を二つ合わせて組にし、夫々の斜辺部で組み合わせて方形を構成し、斜辺部では並列接続とすることで、特許文献1と比較して歩留まりを抑制し、並列接続部でのモジュール間隔を小さくできることから、モジュール有効面積も増大するとしている。しかし、この文献に記載の方法においても、斜辺部以外の直列接続部で従来と同様の素子間隔が必要である。また、基板を4分割したことで接続箇所が増えており、有効面積が減少している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3349318号公報
【特許文献2】特開2007−235113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、半導体基板を用いた太陽電池素子からなる太陽電池モジュールにおいて、原料からの切り出しロスを低減し太陽電池素子の太陽電池モジュール内での充填効率を高め、太陽電池素子を電気的に接続する際の歩留まりを抑制し、太陽電池素子の電気的接続をする際の自由度を向上させ、状況に応じて太陽電池モジュール内での太陽電池素子間の電気的接続を変更させることが可能な太陽電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、半導体基板を用いた太陽電池素子からなる太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子を敷き詰めた場合に生じる空白部で太陽電池素子間の電気的接続が成されており、該空白部に電気的接続のための素子間接続部品を設けることを特徴とする。
【0010】
即ち本発明は、多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に、隣接していない辺によって幾何学的に構成される空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴とする太陽電池モジュールに関する。
【0011】
好ましい実施態様は、前記空白部に素子間接続部品を備えることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0012】
好ましい実施態様は、前記多角形状太陽電池素子の少なくとも前記空白部近傍における正極と負極の配線部材が前記多角形状太陽電池素子の表面に垂直な方向から見て重なっておらず、前記素子間接続部品に接する前記多角形状太陽電池素子のそれぞれ正極側と負極側の配線部材が共に同一の前記素子間接続部品へ電気的に接続されていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0013】
好ましい実施態様は、集電極が、太陽電池から電流を回収する第一集電極と前記第一集電極から電流を回収し配線部材と電気的接続をされる第二集電極からなり、前記第二集電極は素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されており、前記第一集電極が前記多角形状素子の輪郭と略同心で且つ一部相似形を構成しており、前記第一集電極は一部離間していることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0014】
好ましい実施態様は、前記多角形状太陽電池素子が対抗する辺の長さが等しく、短い辺と長い辺の二種類の辺を有している十二角形を半分に分割した八角形状の太陽電池素子であって、夫々対抗する長い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第一太陽電池素子、及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第二太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記第一太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第一素子組と、前記第二太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第二素子組を形成し、前記第一素子組と前記第二素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記第一太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記第二太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記第一素子組及び前記第二素子組内で隣接している場合を除き、全ての第一及び第二太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0015】
好ましい実施態様は、前記多角形状太陽電池素子が頂点部分に曲率を有する擬似正六角形を半分に分割した太陽電池素子であって、夫々対抗する辺の中点を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似五角形状太陽電池素子、及び対抗する擬似頂点部分の中心を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似五角形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした辺分割素子組と、前記擬似台形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした頂点分割素子組を形成し、前記辺分割素子組と前記頂点分割素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似五角形状太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記辺分割素子組及び前記頂点分割素子組内で隣接している場合を除き、全ての太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0016】
好ましい実施態様は、前記十二角形を夫々対抗する長い辺の中点を通る直線及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて四分割した六角形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記六角形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記十二角形状にした第三素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記六角形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第三素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0017】
好ましい実施態様は、前記擬似六角形を夫々対抗する辺の中点を通る直線及び対抗する擬似頂点の中心を通る直線にて四分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似台形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記擬似六角形状にした第四素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第四素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0018】
好ましい実施態様は、少なくとも前記太陽電池モジュールの端部に前記八角形状太陽電池素子を備え、前記太陽電池モジュールの内側に前記十二角形状の太陽電池素子を備えることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0019】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品内の電気回路を変更することで、多角形状太陽電池素子の電気的接続を変更する機能を備えることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0020】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品が回路変更機構を有しており、外部からの作用によって、前記素子間接続部品内の電気回路を変更する機能を有することを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0021】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品が基材を挟んで、入射面側或いは裏面側或いは両方に配線部材を接続するためのコネクタを備えていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0022】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品が前記基材を複数重ねた階層構造を備え、所定の位置にて前記階層構造間の電気的接続がなされることで回路を形成することを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0023】
好ましい実施態様は、前記階層構造間の電気的接続が導電性粒子を含む樹脂によって形成されることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0024】
好ましい実施態様は、一つの前記基材は一つの前記多角形状太陽電池素子とだけ直接接続されていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【発明の効果】
【0025】
円に近い多角形状に半導体基板を切り出すことでロスが低減でき、該形状に切り出すことで幾何学的に生じる空白部において素子間接続部品を介して電気的接続を成すので、太陽電池素子の間隔を限界まで狭められ、太陽電池素子の充填効率を向上させることができ、空白部において空間的余裕を持った配線接続が可能となるので、比較的自由な配線設計が可能となり、更に歩留まりも減少する。素子間接続部品の回路を変更することで、モジュールとしての機能を状況に応じて高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法に係る図である。
【図2】製膜を基板の局所領域で制御する為の基板配置に係る図である。
【図3】本発明の実施例1に係る図である。
【図4】本発明の実施例2に係るマスク図である。
【図5】本発明の実施例2に係る図である。
【図6】本発明の実施例3に係る図である。
【図7】本発明の実施例4に係る図である。
【図8】本発明の実施例4の接続状況変更に係る図である。
【図9】本発明の実施例4に係る回路パターン図である。
【図10】本発明の実施例5に係る図である。
【図11】本発明の実施例6に係る図である。
【図12】本発明の実施例7に係る図である。
【図13】本発明の比較例1に係る図である。
【図14】本発明の比較例2に係る図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る太陽電池モジュールは、半導体基板からなる多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に幾何学的に生じる空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴としている。
【0028】
本発明を適用できる半導体基板としては特に限定されるものではないが、単結晶或いは多結晶のシリコン及びゲルマニウム基板、単結晶の砒化ガリウム、窒化ガリウム基板が挙げられる。本発明は半導体基板の導電型に関係なく効果が得られる。
【0029】
太陽電池モジュールに用いる太陽電池素子が両面に電極を有するタイプ、裏面側に正負両電極を有するタイプの両方で効果が得られる。電気的接続に関しては、上記タイプの太陽電池素子を直列接続、或いは直列と並列を組み合わせるパターン、隣接する素子同士の入射極性が同一の場合や異なる場合、電極の取り出しタイプが同一の場合や異なる場合が挙げられるが何れにおいても効果が得られる。その中でも、入射面と裏面で配線を引き回す必要がある場合や並列接続と直列接続を併用する場合、配線する素子の配列が複雑な場合等の電気的接続のための配線が複雑なほど効果が大きい。
【0030】
本発明により太陽電池モジュール内での太陽電池素子の並べ方の自由度が高まるので、より効率的な素子の形状や並べ方、電気的接続が選択可能となる。
【0031】
充填しやすい太陽電池素子の形状が好ましく、数学的には隣接する素子形状の内角の合計が360度になるような図形の組み合わせであれば面内に最密充填が可能である。隙間なく並べるための同一形状での組み合わせを挙げると三角形同士、四角形同士、六角形同士であれば最密充填が可能である。しかし、これら図形をそのまま切り出すと切り出しロスが多く発生してしまうし、本発明で用いる空白部が得られない。よって図1のa、bに示すような四角形の頂点部分に基の円柱インゴッドの円周を残した擬似四角形や、六角形の頂点部分に基の円柱インゴッドの円周を残した擬似六角形が好ましい。このように、円周部分を一部残すように切り出すことは、切り出しロスを低減させる観点からも好ましい。また、図1のc、dに示すように、上記擬似四角形の円周部分を面出しした八角形状の太陽電池素子や上記擬似六角形の円周部分を面出しした十二角形状太陽電池素子が更に好ましい。
【0032】
素子の並べ方であるが、異なる形状を組み合わせる場合は八角形と四角形の組み合わせ、十二角形と三角形の組み合わせ等が挙げられる。このような異なる図形の組み合わせの場合では、頂点数の多い形状のほうが必ず大きくなる。この頂点数の多い図形を正多角形でなく隣接する辺の長さが交互に異なり、対抗する辺の長さが等しくなるような形状とすることで、頂点数の少ない図形の大きさを更に小さくできる。そして図1のe、fに示すように、この小さな図形部分には素子を置かずに空白部とすることが好ましい。
【0033】
本件でいう空白部とは、様々な形の太陽電池素子を充填した際に素子間や素子とモジュール端の間に幾何学的に生じる素子の辺で囲まれた空白部を意味している。図1のe、fに実線で囲んで示すように、八角形、十二角形といった形状の太陽電池素子を並べた際に生じる四角形や三角形の空白部を意味する。また、上記擬似四角形や擬似六角形状の素子を並べた場合、図1のa、bに示す円周部分によって生じる隙間も本件で言う空白部に相当する。一方で図e、fに点線で示す素子の辺がそれぞれ平行に隣接しており、極限まで近づけることが可能な箇所は空白部には当たらない。
【0034】
また、モジュールは通常平らな方形であるが、それに素子を組み合わせた形状が一致し、モジュール面内に充填されていることが好ましい。六角形や八角形、十二角形といった形状の素子を並べても方形にはならないので、上記形状を分割したものを用いて組み合わせることで、方形上に組み合わせることが好ましい。その際に、全ての素子の面積が夫々一致していることが好ましい。また、分割しない素子と分割した素子を組み合わせて、方形状に並べることも可能であるが、その場合は分割した素子同士を並列接続することで分割しない素子と同等の電流を得るようにして分割しない素子と直列接続するか、分割した素子と分割しない素子で夫々直列回路を作成し別々に取り出すことが好ましい。
【0035】
また、隣接する素子との電気的接続は全て空白部において成されることが好ましい。よって、接続したい素子同士が少なくとも空白部を介して隣り合っていることが好ましい。接続したい素子同士が二つ以上の空白部を介していることがより好ましい。空白部以外でも電気的接続が成される場合は、入射面と裏面で配線を引き回すような接続ではなく、隣接素子間で入射面と入射面を接続するような単純な接続に留めることが好ましい。
【0036】
また、モジュールからの出力を取り出す為の正負夫々の取り出し配線も空白部の素子間接続部品において電気的に接続されていることが、取り扱い及び製造上の観点から好ましい。また、直列抵抗及び、渡り配線など少なくし、系を単純化するという観点から正負取り出し配線の位置はなるべく近くなるように全素子を接続することが好ましい。
【0037】
太陽電池では拡散電位によって移動してきたキャリアを取り出す為の集電極が用いられる。素子の全面に細く配置され電流を回収する第一集電極、と第一集電極の回収した電流を回収し配線部材へ伝える第二集電極の二種類がある。集電極は金属微粒子をバインダーと共に混錬したものを太陽電池素子上にスクリーン印刷や凸版印刷、インクジェット印刷などで細線状に印刷し、焼成或いは乾燥させることで形成する。金属微粒子を高密度に充填しつつ、金属微粒子界面を減らすことで導電率を向上させる技術として、大きさ及び形状の異なる金属微粒子を組み合わせる技術が、集電極に限らず電極形成技法として用いられている。バインダーには熱硬化性樹脂が用いられる。
【0038】
従来、非空白部にて行われていた素子の電気的接続を、空白部において行うことで、より複雑な配線を行うことが可能となる。空白部において電気的接続を行うためには配線部材と接続する第二集電極が、空白部を構成する辺付近に、辺に対して垂直に近い方向を向いて存在することが好ましい。図1に示すように素子形状において空白部は、擬似四角形状或いは八角形状素子においては周囲四箇所、擬似六角形状或いは十二角形状素子では周囲六箇所で生じる。それら空白部付近で空白部を構成する辺対して垂直に近い角度の第二集電極を配する為には、素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように第二集電極を配することが好ましい。また、図5に示すように第二集電極は素子の中心付近で接触交差していることが直列抵抗低減及び、配線の自由度を確保する観点から望ましい。また、それぞれ正と負の第二集電極を少なくとも空白部近傍においては、配線部材が接触しない程度に離間させるように配することが好ましい。こうする事で、空白部での短絡を防ぎつつ容易に同一素子の正極の第二集電極と負極の第二集電極とを同一の素子間接続部品に接続することができる。また、隣り合う素子が素子間接続部品を介して直列に接続される場合、それら素子から渡された配線部材の極性が、素子間接続部品の周囲に沿って交互に反転するように接続されていることが素子間接続部品の回路単純化の観点から好ましい。
【0039】
集電極の形状は特に限定するものではないが、第二集電極の形態に応じて設計する必要がある。上記したように第二集電極が素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されている場合、図5に示すように第一集電極は素子の輪郭と略同心で略相似形を模るように配置されていることが素子内での直列抵抗の観点から好ましい。またこのような集電極をスクリーン印刷等のマスクを用いる印刷方法にて作成する場合、第一集電極は一部途切れていることが、素子と大きさの異なる同心で相似な第一集電極を印刷する際の簡便さと言う観点から好ましい。この場合、第二集電極は第一集電極と第二集電極との電気的接触が確実に得られるようにする為に、図5のcのように第一及び第二集電極の接触点における第二集電極の大きさを大きくすることが好ましい。
【0040】
第二集電極には配線部材が接続される。この配線部材は細い金属線や金属箔を半田や導電性接着剤、絶縁性接着剤、導電性微粒子を含む樹脂接着層等で接続するパターンや、絶縁性基材の表面に金属メッキ層を有するものを接続するパターン等が挙げられる。上記したように第二集電極が素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されている場合、図5に示すように第二集電極は素子の中心付近で接触交差していることが直列抵抗低減及び、配線の自由度を確保する観点から望ましい。第二集電極が交差する部分に配線部材を接続する場合、応力を緩和する措置をとることが好ましい。この場合の応力を緩和する措置として、後から接続される接続素子に拒形状の構造を採らせる、後から接続する接続素子を交差部分付近では接続せずに若干の自由度を持たせる、どちらかの配線部材が交差部分を除いて接続され、もう一方の配線部材の端に接続される、予め交差した形状の配線部材を作成し、集電極に接続する等が挙げられる。
【0041】
また、本発明により太陽電池モジュール内での太陽電池素子の電気的接続を変更することができる。このため、一部の素子が故障した場合や一部の素子に影が差した場合、集光太陽電池モジュールや凹面上に素子を配置した太陽電池モジュールなどで一部の素子の光照射が集中した場合、取り出し電極を複数有する太陽電池モジュールにおいて別の取り出し電極へ出力が必要な場合など様々な状況に応じて素子の接続回路を変更することで、いかなる状況でも最適な素子の接続状況を維持することが可能となる。そのためには、太陽電池素子の正極第二集電極と負極第二集電極が隣接する全ての空白部の素子間接続部品と電気的に接続されていることが好ましい。こうする事で、素子間接続部品の回路を変更すれば、ある素子を、空白部を介して隣接している任意の素子と電気的に接続させることが可能となり、接続様式を直列接続にするのか並列接続にするかも変更できる。また、取り出し電極が故障した場合や取り出し電極付近の素子が全て機能低下するような状況を改善するという観点から取り出し電極が複数存在することが好ましい。
【0042】
単に一部の素子が故障した場合に故障したセルを避けるような回路を組み直すだけの機能を求めるなら、手動で回路を組みかえられるような機能を有すればよい。一方で、リアルタイムで最適な素子接続方式を求める場合、素子間接続部品には電磁力や圧空、応力等によって外部から素子間接続部品の回路を制御できる仕組みを持っていることが好ましい。
【0043】
素子間接続部品は配線部材との電気的接続をする為の複数のコネクタを備えた基部と、コネクタ同士をつなぐ為の回路部を有しており、回路部を他の回路を有する回路部と交換、又は回路部の接続方向変更することで素子の接続を変更させるものや、回路部に電磁気力や応力等の外力を加えることで、回路部の回路構成を変更する機構を備えるもの等が挙げられる。回路構成を外力によって変更する機構は、公知の双安定リレー等のスイッチング機構を用いれば容易に可能な技術である。封止外から回路構成を制御するという観点から外力として電磁気力を用いることが好ましい。
【0044】
一方で、コスト重視の太陽電池モジュールにおいては、素子間の接続を変更するよりも単純で製造の簡便さがより求められる。素子間接続部品のコネクタの接続自由度の観点から、コネクタ自体が半田濡れ性の良い銅などの金属箔からできており、同一の金属箔に、隣り合う素子から配線部材を接続することで素子間の接続するような単純な機構が好ましい。また、コネクタと配線部材の接着強度を高める為にコネクタ部分近傍或いはコネクタ自体に配線部材を固定化するような機構が備えられていても良い。
【0045】
通常、切り出しロスを低減するように円周部を頂点に残した多角形状素子を並べてできる空白部は、従来配線部材を引き回していた距離と比較すると十倍程度の広さとなる。空白部に素子間接続部品を設けて、素子の裏面或いは入射面から、素子間接続部品の入射面或いは裏面に引き回すことを考えても十分な余白がある。今後、半導体インゴッド作成技術が向上することでコストが低下すると、空白部を小さくなると考えられる。このような場合、配線部材の引き回しに更に余裕を持たせる為に素子間接続部品の入射面と裏面側にそれぞれ、コネクタが配置されていることが好ましい。より複雑な回路構成や想定外の短絡を防ぐ観点から一つのコネクタは入射側と裏面側のどちらかに存在し、それぞれが回路で接続されていても良いし、素子間接続部品の汎用性の観点から、一つのコネクタ自体が素子間接続部品を貫通して存在していても良い。また、入射面と裏面という二つの階層に留まらず、複数の平面を重ねたような太陽電池素子と素子間接続部品の電気的接続を行う方法であるが、様々な方向の接続を行う場合、作業の簡素化の観点から、図2に示すように太陽電池に予め配線部材を取り付け、その後、配線部材と素子間接続部品を接続させることが好ましい。その際に素子間接続部品のコネクタ部と配線部材の位置のずれによって生じる応力を吸収するような機構を設けることが好ましい。これは配線部材と素子間接続部品の間に柔軟性のある導電部材を設けることや、素子間接続部品のコネクタが可動する機構を有することなどが挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
図3は、本発明に従う実施例1の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。円柱状の単結晶シリコンインゴッドの断面が、図1のaに示すように擬似四角形状になるように面出しして、ウェハ状にスライスすることで半導体基板を得た。半導体基板の両面に接合形成し、集電極形成し太陽電池素子1を得た。図4に示すように第二集電極は素子の接続方向に対して平行に形成されており、第二集電極上に、空白部付近で折れ曲がった構造の入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を半田にて接続した。負極側取り出し電極に近い位置から順に太陽電池素子1を並べ空白部にて入射側配線部材2と裏面側配線部材8の接続を行った。接続の折り返し部では渡り配線部材3を介して折り返した。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0048】
(実施例2)
図4は、本発明に従う実施例2の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。図5は本発明に従う実施例2の集電極及び集電極を形成するのに用いるマスクを模式的に示している。実施例2では、実施例1と同様に擬似四角形状の半導体基板を切り出した後に、接合形成し、集電極を形成したが、図5に示すようにこの集電極形状が異なっている。具体的には図5のbに示すマスクを用いてAg微粒子とエポキシ樹脂からなる導電ペーストをスクリーン印刷し、加熱することで硬化させた。その後、図5のcに示すマスクを用いて同様に第二集電極を形成することで太陽電池素子1を得た。第一集電極は擬似四角形状素子の形状に略同心な複数の相似形状を有しており、その端は全て第二集電極と接続している。第二集電極の第一集電極と接する部分には六角形状の幅広部分がある。
【0049】
入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を第二集電極に接続した太陽電池素子1を敷き詰め、図4のaに示すように素子間接続部品5を介して接続した。図4のbに示すように、素子間接続部品5は擬似四角形状の太陽電池素子1を並べた際に頂点に残る円周部分によって幾何学的に生じる空白部に配置されており、空白部形状に略一致するように四角形状をしている。この四角形状の素子間接続部品は二枚の三角形状金属箔が夫々離間して配置されており、隣り合う素子の入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を同一の金属箔に接続することで直列に接続している。素子間接続部品5の方向及び接続する配線部材の極性を変えることで全ての素子間において直列接続回路を形成している。
【0050】
最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0051】
(実施例3)
図6は、本発明に従う実施例3の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例3では、第二集電極の位置を入射側と裏面側で第二集電極の幅2〜3本分の距離ほど離して形成し、その上に入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を夫々接続した点、素子間接続部品5の形状及び素子間接続部品5への接続方式が実施例2と異なっている。素子間接続部品5の周囲に沿って、配線部材の接続する第二集電極の極性は交互に反転している。素子間接続部品5は入射側と裏面側に第二集電極の幅2本分程度の直径の円形コネクタを有しており、図6のbに示すように素子間接続部品5の隣り合う辺に存在するコネクタ同士が短絡している。図6のcには素子間接続部品5の構造を示している。図6のcに示すように素子間接続部品5は「くの字型」の4つの基材を重ねて形成されている。それぞれの基材の両面には、金属箔からなる入射側コネクタと裏面側コネクタがそれぞれ配置されており、一つの基材は一つの素子とだけ接続されており、基材の入射側コネクタには素子の入射側と接続した配線部材が、裏面側コネクタには素子の裏面側と接続した配線部材が夫々接続されている。図6のcに示すように基材の入射側コネクタ上に金属微粒子を含む樹脂からなる導電性接着剤を配置し、基材入射側のコネクタが配置されていない領域には絶縁性接着剤が配置されている。基材4には接着剤は配置されていない。基材1から4の順で下から積み重ね樹脂のガラス転移点近傍で加熱することで、基材1から4を接続した。基材1の入射側コネクタは基材2の裏面側コネクタと、基材2の入射側コネクタは基材3の裏面側コネクタと、基材3の入射側コネクタは基材4の裏面側コネクタとそれぞれ導電性接着剤を介して接続されている。図6のbで拡大された空白部の以外の空白部においても、設計した素子の接続に応じて2〜4個の基材を接続して、電気的接続を得た。
【0052】
最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0053】
(実施例4)
図7は、本発明に従う実施例4の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。図8は、本発明に従う実施例4の太陽電池素子間の接続状況を変更した場合の、入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。図9は、本発明に従う実施例4の素子間接続部品の回路のパターンを示す模式図である。実施例4では図7のbに示すように、素子間接続部品5と接する全ての太陽電池素子1の空白部に位置する正負両方の第二集電極を入射側配線部材2、裏面側配線部材8を介して素子間接続部品5に接続している点、素子間接続部品が、図9に点線で示すように4通りの回路を有しており、夫々の回路に対して制御機能が存在する点、素子間接続部品5が回路制御に当たりラッチングリレー機能を有する点において、実施例3とは異なっている。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。このとき共に封止される素子間接続部品5の回路の制御には外部から電磁石を用いて行う。4つの回路に対して夫々、外部電磁石が配されており、外部電磁石を二方向の磁場印加、及び磁場印加無しの三種類で変更することで、封止内部の素子間接続部品5の4つの回路がそれぞれ、OFF、ON、保持というように制御することができる。
【0054】
(実施例5)
図10のaは、本発明に従う実施例5の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例5では、図1のdに示すように十二角形状になるように面出しして、ウェハ状にスライスすることで半導体基板を得た。その後、接合形成、集電極形成等の工程を経て、十二角形状太陽電池素子10を形成した。こうして得た十二角形状太陽電池素子10をダイシングソー、スクライバー等により対抗する長い辺の中点を結ぶ線、又は対抗する短い辺の中点を結ぶ線にて半分二分割した八角形状太陽電池素子9を作成した。図10に示すようにモジュール端部に分割した2種類の八角形状太陽電池素子9の最も長い辺が接するように配置し、それ以外は分割しない十二角形状太陽電池素子10を配置した。空白部には三角形状の素子間接続部品5を配置し、図10のbに示すように、接続部品5を介して隣り合う八角形状太陽電池素子が並列に接続され、十二角形状太陽電池素子10に対しては直列に接続されている。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0055】
(実施例6)
図11は、本発明に従う実施例6の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例6では、十二角形状太陽電池素子10を対抗する長い辺の中点を結ぶ線にて半分に分割して得られる形状の第一太陽電池素子15、及び対抗する短い辺の中点を結ぶ線にて半分に分割して得られる形状の第二太陽電池素子16のみを用いた点、素子の並べ方、接続様式において実施例5とは異なっている。第一太陽電池素子15を二個組み合わせて前記十二角形状にした第一素子組17と、第二太陽電池素子16を二個組み合わせて前記十二角形状にした第二素子組18を形成し、第一素子組17と第二素子組18を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ第一太陽電池素子15を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ第二太陽電池素子16を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にし、第一素子組17及び第二素子組18内で隣接している場合を除き、全ての太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接しているように配置した。図11のbに示すように、正負の配線部材を離間させて、同一の第一太陽電池素子15の正負極の配線部材を一つの素子間接続部品5へ接続し、素子間接続部品5内の回路で隣り合う別々の第二太陽電池素子16へ分けて接続されている。また、実施例6においては全ての八角形状太陽電池素子9は隣接する素子と、二つの空白部に存在する素子間接続部品5を介して直列に接続されている。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0056】
(実施例7)
図12のaは、本発明に従う実施例7の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例7では、十二角形状太陽電池素子10を対抗する長い辺の中点を結ぶ線、及び対抗する短い辺の中点を結ぶ線にて四分割することで得られる六角形状太陽電池素子19のみを用いた点で実施例6とは異なる。図12のaに示すように、六角形状太陽電池素子19を四つ組み合わせて、十二角形状にした第三素子組20を形成した。第三素子組20が最密になるように並べ、周囲には六角形状太陽電池素子19をそれぞれ欠如部に配置することで、素子を組み合わせた状態での上下左右の周縁部を直線状にした。このとき、第三素子組20は第三素子組20の分割線が上下左右の周縁部と略三十度或いは略六十度となるように配置している。ここで分割線とは十二角形状太陽電池素子10を四分割する際の、十二角形状太陽電池素子10を対抗する長い辺の中点を結ぶ線、及び対抗する短い辺の中点を結ぶ線を意味する。図12のb及びcに示すように、正負の配線部材を離間させて、正負極の配線部材を一つの素子間接続部品5へ接続し、素子間接続部品5内の回路で隣り合う別々の素子16へ分けて接続されている。図12のdに示すように、素子間の電気的接続が成されており、各素子間の接続は全て空白部に配置された素子間接続部品5を介して成されている。最後に取り出し電極4を接続し、充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0057】
(比較例1)
図13は、本発明に従う比較例1の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。比較例1では、円柱状の単結晶シリコンインゴッドの断面が図1のbに示すような擬似正六角形状になるように面出し、スライスすることで半導体基板を得た。その後、接合形成、集電極形成等の工程を経て、擬似正六角形状の太陽電池素子1を形成した。こうして得た六角形状の太陽電池素子1をダイシングソー、スクライバー等により対抗する辺の中点を結ぶ線及び対抗する頂点を結ぶ線にて四分割した台形状の太陽電池素子1を作成した。図13に示すように台形状の太陽電池素子1を斜辺が接するように最密充填し、隣り合う素子の斜辺が隣接する非空白部においては並列接続、隣り合う素子が配線部材に対し直角を成す辺で隣接する非空白部では配線部材を入射面側から裏面側に引き回して、直列接続とした。このように並んだ素子を直線状に接続し、折り返し部では渡り配線部材3を用いて折り返した。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0058】
(比較例2)
図14は、本発明に従う比較例2の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。比較例2においては、円柱状インゴッドを正六角形状に面出しして、ウェハを切り出し、接合形成、電極形成を行った後に、ダイシングソー、スクライバー等により正六角形状太陽電池素子を半分に分割した。正六角形状太陽電池素子を対向する頂点を結ぶ線により半分に分割することで得られる台形状の太陽電池素子を、2個組み合わせて正六角形状に形成し、この正六角形状の素子を上下左右に隣接して配列し、左側及び右側の欠如部にそれぞれ台形状の素子を隣接して配列し、左側及び右側の各素子の側縁を直線状にした。また、上端部または下端部に,正六角形状の対向する辺の中心を結ぶ線により半分に分割することで得られる五角形状の太陽電池素子を,隣接する太陽電池素子と対向する辺が平行関係になるように配列し、上端部又は下端部の各素子の側縁を直線状にした。このように並んだ素子を直線状に接続し、折り返し部では渡り配線部材3を用いて折り返した。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0059】
実施例1では空白部において、配線部材を接続したことで、非空白部である太陽電池素子1の隙間は比較例1の並列接続部分での隙間と比較しても小さくできる。
【0060】
実施例2では空白部にコネクタ及び回路としての機能を果たす三角形状の金属箔を四角状の素子間接続部品5を用いている。こうする事で、素子を直列接続してなる回路を折り返す部分で自由度が得られ、渡り配線部材が不要となっている。また、取り出し電極の配置に関しても隣接する素子に配置することで、渡り配線部材の使用スペースを無くすか極めて小さくできる。また、二本の第二集電極を交差させ、素子と略同心で且つ相似形状となるように第一集電極を配置することで、素子間を接続する際の直列抵抗の増大が抑えられ、及び第一集電極に不具合が生じ断線した場合でも、別に接続された第二集電極から電流が回収できる。実施例では第一集電極を印刷する際の取り扱いの観点から、第一集電極と第二集電極が交差する部分において第一集電極を一部途切れさせているが、これらを互い違いにして、完全に交差させても良い。
【0061】
実施例3では第二集電極を入射面側と裏面側で位置を異ならせて形成し、入射側配線部材2、裏面側配線部材8も空白部において離間するように接続している。同じ太陽電池素子から接続部材2,8を同じ素子間接続部品5へ接続することで、回路を折り返す部分においても、より二つの空白部において接続が得られる設計が可能となる。素子間接続部品5の構成についても空白部に接する各素子に一個ずつ基材が接続され、この基材を重ねて接続することで回路が形成されるようになっている。基材形状は特に「くの字状」である必要はなく、ひし形や円形といった異なる形状でも良い。単に、作業性が良いだけでなく、基材の位置が多少ずれても接続が取れるので、応力の緩和や太陽電池素子間の位置調整のバッファとして機能する。本実施例において、取り出し電極4は上部中央としたが、モジュールの中心部分に取り出し電極4を配しても良い。また、本件では基材間の電気的接続を得る為に基材の一部のみに導電性接着剤を用いたが、異方性導電機能を有する導電性接着剤を用いる場合、基材側面からはみ出さない程度に基材全面に用いても良い。また、絶縁性接着剤と半田を組み合わせても良い。
【0062】
実施例4においては全ての太陽電池素子1の全ての第二集電極を、配線部材を用いて素子間接続部品5と電気的に接続している。素子間接続部品の周囲に沿って配線部材の極性が交互に反転するように並んでいる。素子間接続部品は内部において、隣り合う太陽電池素子の正極と負極を繋ぐ回路を有しており、この回路のオン/オフ機能を変更する機構を有している。封止外から電磁石によって回路のオン/オフを制御し回路を変更することができる。図8に示すように右下4枚の太陽電池素子が故障した場合、図9の拡大図に示すように素子間接続部品5の回路を変更することで、モジュール内での太陽電池素子の接続方法を図8に点線矢印で示すように変更することができ、故障していない太陽電池素子1のみを用いた回路を形成できる。取り出し電極4付近の太陽電池素子1が故障した場合に備えて、他の場所に取り出し電極を設けても良い。
【0063】
実施例5においては十二角形状太陽電池素子10とそれを半分割した八角形状太陽電池素子9を組み合わせて、太陽電池モジュールを作成している。八角形状太陽電池素子9同士を並列接続し、十二角形状太陽電池素子10と直列に接続する必要がある。空白部は比較例1の非空白部と比較して十分広いので、並列接続部分と直列接続部分を同一の素子間接続部品5に収める、接続回路を空白部の素子間接続部品5において曲げることで、一筆書きのような回路を自由に設計することが可能となる。本実施例では十二角形状太陽電池素子10を用いたが、十二角形状太陽電池素子10の対向する短い辺が円形インゴッドの円周部分を残している擬似六角形状太陽電池素子を用いてもよい。但し、十二角形状の場合、擬似六角形状素子を半分割したものと比較して、円周部が無く頂点部分を規定しやすく、空白部における円周部のせり出しが無いので素子間接続部品5と素子間の間隔を一定にでき、位置調整がしやすくなる。比較例1と比較して、非空白部の数が少なく、さらに非空白部の間隔が小さいので太陽電池素子1をより狭い面積に充填できる。また、本実施例では分割した太陽電池素子を並列接続し分割していないものと直列接続したが、取り出し電極をモジュール内の二箇所に設け別々に電流を取り出しても良い。
【0064】
実施例6においては、十二角形太陽電池素子を半分に分割して得られる第一太陽電池素子及び第二太陽電池素子のみでモジュールを形成している。第一素子組17と第二素子組18を最密のなるように組み合わせ、周囲の欠如部に第一太陽電池素子15或いは第二太陽電池素子16を配置している。こうする事で、全ての太陽電池素子間の電気的接続を少なくとも二箇所の空白部に配置された素子間接続部品5を介して行うことができ、素子間接続部品5を一つだけ介して接続する場合と比較して、直列抵抗、歩留まり等の信頼性に関して優れている。本実施例に関しても実施例5と同様に擬似六角形状太陽電池素子を分割した擬似五角形状太陽電池素子及び擬似台形状太陽電池素子を用いても良い。その場合においても、比較例2とは辺分割素子組と頂点分割素子組を両方用いている点において異なっている。
【0065】
実施例7では、十二角形状太陽電池素子10を四分割した六角形状太陽電池素子19のみを用い、六角形状太陽電池素子19を四つ組み合わせて、第三素子組20を形成している。第三素子組20を、第三素子組20の分割線が上下左右の周縁部と略三十度或いは略六十度となるように配置することで、太陽電池素子19最密にすべての素子間での電気的接続を空白部に配された素子間接続部品5を介して行うことが可能となる。本実施例では全ての第三素子組20の分割線の角度が周縁部に対して略30度或いは略60度に傾くように配置しているが、一部の第三素子組20は周縁部と平行であっても良い。四分割した太陽電池素子を使用しているので電流の絶対値が小さく、配線を細くすることができる。実施例5と同様に擬似六角形状太陽電池素子を四分割した擬似台形状太陽電池素子を用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
1.太陽電池素子
2.入射側配線部材
3.渡り配線部材
4.取り出し配線
5.素子間接続部品
6.コネクタ
7.第二集電極離間部分
8.裏面側配線部材
9.八角形状太陽電池素子
10.十二角形状太陽電池素子
11.導電性接着部
12.絶縁性接着部
13.入射側コネクタ
14.裏面側コネクタ
15.第一太陽電池素子
16.第二太陽電池素子
17.第一素子組
18.第二素子組
19.六角形状太陽電池素子
20.第三素子組
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板表面にヘテロ接合を有する結晶シリコン太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を用いた太陽電池は、光電変換効率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。通常、一枚の半導体基板からなる太陽電池素子を複数個組み合わせ直列に接続し、太陽電池モジュールとして使用する。これにより、電流値の絶対値を低減し、電圧を高めることができる。半導体基板を用いた太陽電池素子を組み合わせ直列接続する際に、太陽電池素子の間に生じる隙間は基本的に無効部となるので、この隙間を可能な限り狭くするような技術が発達している。
【0003】
無効部を少なくする為には、太陽電池モジュールと太陽電池素子の形状が重要になってくる。太陽電池モジュールの形状は取り扱いの観点から方形が取られる。一方で、太陽電池素子は四角形や六角形など様々な形が採られている。これは、半導体基板の製法に依るところが大きい。例えば単結晶シリコン基板は、円柱状の単結晶インゴッドの面出しを行い、それをスライスすることで得られる。基本的に柱状アズグロンの断面が円に近い頂点の数が多い形状に面出しをするほど、ロスは少なくなってゆく。従来、面出しによって円柱から角柱へと形状を変えるが円柱から四角柱を切り出す場合、四角形を正確に切り出すと36%程度のロスが発生してしまう。通常はロスを小さくするように四角形の角に円周の一部を残すように切り出す。このように頂点部分に円周の一部を残すことで、円柱状の単結晶インゴッドから切り出すときの切出しロスは低減できるが、太陽電池素子を敷き詰めてモジュールを作成する際には空白部を形成しモジュール有効面積が低下してしまう。最終的に多角形にどの程度円周を残すかは、切出しロスとモジュール空白部によるロスのバランスで決まる。また、多角形の鋭い角を切り落とし、より内角の大きな頂点を発生させたほうが、半導体基板を取り扱う際に応力集中による歩留まりの発生を抑えることができるため、こういった観点で半導体基板の形状が設計される場合もある。
【0004】
また、モジュール内では、基本隣り合う太陽電池素子を直列に接続し、電圧を上昇させ電流値を低減する方式が採られている。よって、面積の異なる素子を用いる場合は、一部を並列接続にして電流を一致させる方法や面積の揃った素子同士で直列接続し別配線にして取り出すといった措置が採られる。両主面にそれぞれ電極を備えるタイプの太陽電池素子を直列に接続するためには、電気配線を入射面側から裏面側へ引き回すスペースが必要で、モジュールに敷き詰める素子の間隔は少なくともこのスペースに律速されてしまう。両主面に夫々電極を備えるタイプの太陽電池素子において、素子を並列に接続する場合や、入射側極性の異なる素子同士を直列接続する場合は配線を入射面と裏面で引き回す必要がないので要するスペースを若干小さくできる。しかし、隣り合う素子を配線で接続する場合、電気的に接続する際の加熱によって生じる線膨張による応力が発生するので、ある程度スペースを空けておく必要がある。裏面のみに正負両極を取り出すタイプの太陽電池素子について直列接続する場合も同様のことが言える。
【0005】
特許文献1では正六角形を対抗する辺或いは対抗する頂点を結ぶ直線で半分割した五角形状或いは台形状の太陽電池素子を組み合わせて最密に充填するとしている。正六角形或いは正六角形を分割した形状を用いれば最密に充填できるのは公知の法則であるが、半分割されたセルの斜辺どうしを対向させ、この対向部分において配線を入射面から裏面へと引き回すようにしているため、この対向部分の隙間を比較的大きく空ける必要があり、その分、セルの充填率が低下するとの問題が生じる。また、このように斜辺部分にてインターコネクタを上面から下面へと引き回すようにすると、斜辺の部分においてセルに欠けや割れが生じ易く、セルに破損が引き起こされるとの問題が起り兼ねない。さらに、複数本のインターコネクタにてセル間の接続を行う場合には、セルの斜辺にて折り曲げがなされるために、インターコネクタ毎に折り曲げ位置が相違し、インターコネクタの接続作業が煩雑化するとの問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2のように、六角形を4分割した台形状素子を二つ合わせて組にし、夫々の斜辺部で組み合わせて方形を構成し、斜辺部では並列接続とすることで、特許文献1と比較して歩留まりを抑制し、並列接続部でのモジュール間隔を小さくできることから、モジュール有効面積も増大するとしている。しかし、この文献に記載の方法においても、斜辺部以外の直列接続部で従来と同様の素子間隔が必要である。また、基板を4分割したことで接続箇所が増えており、有効面積が減少している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3349318号公報
【特許文献2】特開2007−235113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、半導体基板を用いた太陽電池素子からなる太陽電池モジュールにおいて、原料からの切り出しロスを低減し太陽電池素子の太陽電池モジュール内での充填効率を高め、太陽電池素子を電気的に接続する際の歩留まりを抑制し、太陽電池素子の電気的接続をする際の自由度を向上させ、状況に応じて太陽電池モジュール内での太陽電池素子間の電気的接続を変更させることが可能な太陽電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、半導体基板を用いた太陽電池素子からなる太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子を敷き詰めた場合に生じる空白部で太陽電池素子間の電気的接続が成されており、該空白部に電気的接続のための素子間接続部品を設けることを特徴とする。
【0010】
即ち本発明は、多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に、隣接していない辺によって幾何学的に構成される空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴とする太陽電池モジュールに関する。
【0011】
好ましい実施態様は、前記空白部に素子間接続部品を備えることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0012】
好ましい実施態様は、前記多角形状太陽電池素子の少なくとも前記空白部近傍における正極と負極の配線部材が前記多角形状太陽電池素子の表面に垂直な方向から見て重なっておらず、前記素子間接続部品に接する前記多角形状太陽電池素子のそれぞれ正極側と負極側の配線部材が共に同一の前記素子間接続部品へ電気的に接続されていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0013】
好ましい実施態様は、集電極が、太陽電池から電流を回収する第一集電極と前記第一集電極から電流を回収し配線部材と電気的接続をされる第二集電極からなり、前記第二集電極は素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されており、前記第一集電極が前記多角形状素子の輪郭と略同心で且つ一部相似形を構成しており、前記第一集電極は一部離間していることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0014】
好ましい実施態様は、前記多角形状太陽電池素子が対抗する辺の長さが等しく、短い辺と長い辺の二種類の辺を有している十二角形を半分に分割した八角形状の太陽電池素子であって、夫々対抗する長い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第一太陽電池素子、及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第二太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記第一太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第一素子組と、前記第二太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第二素子組を形成し、前記第一素子組と前記第二素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記第一太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記第二太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記第一素子組及び前記第二素子組内で隣接している場合を除き、全ての第一及び第二太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0015】
好ましい実施態様は、前記多角形状太陽電池素子が頂点部分に曲率を有する擬似正六角形を半分に分割した太陽電池素子であって、夫々対抗する辺の中点を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似五角形状太陽電池素子、及び対抗する擬似頂点部分の中心を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似五角形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした辺分割素子組と、前記擬似台形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした頂点分割素子組を形成し、前記辺分割素子組と前記頂点分割素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似五角形状太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記辺分割素子組及び前記頂点分割素子組内で隣接している場合を除き、全ての太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0016】
好ましい実施態様は、前記十二角形を夫々対抗する長い辺の中点を通る直線及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて四分割した六角形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記六角形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記十二角形状にした第三素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記六角形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第三素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0017】
好ましい実施態様は、前記擬似六角形を夫々対抗する辺の中点を通る直線及び対抗する擬似頂点の中心を通る直線にて四分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似台形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記擬似六角形状にした第四素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第四素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0018】
好ましい実施態様は、少なくとも前記太陽電池モジュールの端部に前記八角形状太陽電池素子を備え、前記太陽電池モジュールの内側に前記十二角形状の太陽電池素子を備えることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0019】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品内の電気回路を変更することで、多角形状太陽電池素子の電気的接続を変更する機能を備えることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0020】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品が回路変更機構を有しており、外部からの作用によって、前記素子間接続部品内の電気回路を変更する機能を有することを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0021】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品が基材を挟んで、入射面側或いは裏面側或いは両方に配線部材を接続するためのコネクタを備えていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0022】
好ましい実施態様は、前記素子間接続部品が前記基材を複数重ねた階層構造を備え、所定の位置にて前記階層構造間の電気的接続がなされることで回路を形成することを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0023】
好ましい実施態様は、前記階層構造間の電気的接続が導電性粒子を含む樹脂によって形成されることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【0024】
好ましい実施態様は、一つの前記基材は一つの前記多角形状太陽電池素子とだけ直接接続されていることを特徴とする前記の太陽電池モジュールに関する。
【発明の効果】
【0025】
円に近い多角形状に半導体基板を切り出すことでロスが低減でき、該形状に切り出すことで幾何学的に生じる空白部において素子間接続部品を介して電気的接続を成すので、太陽電池素子の間隔を限界まで狭められ、太陽電池素子の充填効率を向上させることができ、空白部において空間的余裕を持った配線接続が可能となるので、比較的自由な配線設計が可能となり、更に歩留まりも減少する。素子間接続部品の回路を変更することで、モジュールとしての機能を状況に応じて高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の製造方法に係る図である。
【図2】製膜を基板の局所領域で制御する為の基板配置に係る図である。
【図3】本発明の実施例1に係る図である。
【図4】本発明の実施例2に係るマスク図である。
【図5】本発明の実施例2に係る図である。
【図6】本発明の実施例3に係る図である。
【図7】本発明の実施例4に係る図である。
【図8】本発明の実施例4の接続状況変更に係る図である。
【図9】本発明の実施例4に係る回路パターン図である。
【図10】本発明の実施例5に係る図である。
【図11】本発明の実施例6に係る図である。
【図12】本発明の実施例7に係る図である。
【図13】本発明の比較例1に係る図である。
【図14】本発明の比較例2に係る図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る太陽電池モジュールは、半導体基板からなる多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に幾何学的に生じる空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴としている。
【0028】
本発明を適用できる半導体基板としては特に限定されるものではないが、単結晶或いは多結晶のシリコン及びゲルマニウム基板、単結晶の砒化ガリウム、窒化ガリウム基板が挙げられる。本発明は半導体基板の導電型に関係なく効果が得られる。
【0029】
太陽電池モジュールに用いる太陽電池素子が両面に電極を有するタイプ、裏面側に正負両電極を有するタイプの両方で効果が得られる。電気的接続に関しては、上記タイプの太陽電池素子を直列接続、或いは直列と並列を組み合わせるパターン、隣接する素子同士の入射極性が同一の場合や異なる場合、電極の取り出しタイプが同一の場合や異なる場合が挙げられるが何れにおいても効果が得られる。その中でも、入射面と裏面で配線を引き回す必要がある場合や並列接続と直列接続を併用する場合、配線する素子の配列が複雑な場合等の電気的接続のための配線が複雑なほど効果が大きい。
【0030】
本発明により太陽電池モジュール内での太陽電池素子の並べ方の自由度が高まるので、より効率的な素子の形状や並べ方、電気的接続が選択可能となる。
【0031】
充填しやすい太陽電池素子の形状が好ましく、数学的には隣接する素子形状の内角の合計が360度になるような図形の組み合わせであれば面内に最密充填が可能である。隙間なく並べるための同一形状での組み合わせを挙げると三角形同士、四角形同士、六角形同士であれば最密充填が可能である。しかし、これら図形をそのまま切り出すと切り出しロスが多く発生してしまうし、本発明で用いる空白部が得られない。よって図1のa、bに示すような四角形の頂点部分に基の円柱インゴッドの円周を残した擬似四角形や、六角形の頂点部分に基の円柱インゴッドの円周を残した擬似六角形が好ましい。このように、円周部分を一部残すように切り出すことは、切り出しロスを低減させる観点からも好ましい。また、図1のc、dに示すように、上記擬似四角形の円周部分を面出しした八角形状の太陽電池素子や上記擬似六角形の円周部分を面出しした十二角形状太陽電池素子が更に好ましい。
【0032】
素子の並べ方であるが、異なる形状を組み合わせる場合は八角形と四角形の組み合わせ、十二角形と三角形の組み合わせ等が挙げられる。このような異なる図形の組み合わせの場合では、頂点数の多い形状のほうが必ず大きくなる。この頂点数の多い図形を正多角形でなく隣接する辺の長さが交互に異なり、対抗する辺の長さが等しくなるような形状とすることで、頂点数の少ない図形の大きさを更に小さくできる。そして図1のe、fに示すように、この小さな図形部分には素子を置かずに空白部とすることが好ましい。
【0033】
本件でいう空白部とは、様々な形の太陽電池素子を充填した際に素子間や素子とモジュール端の間に幾何学的に生じる素子の辺で囲まれた空白部を意味している。図1のe、fに実線で囲んで示すように、八角形、十二角形といった形状の太陽電池素子を並べた際に生じる四角形や三角形の空白部を意味する。また、上記擬似四角形や擬似六角形状の素子を並べた場合、図1のa、bに示す円周部分によって生じる隙間も本件で言う空白部に相当する。一方で図e、fに点線で示す素子の辺がそれぞれ平行に隣接しており、極限まで近づけることが可能な箇所は空白部には当たらない。
【0034】
また、モジュールは通常平らな方形であるが、それに素子を組み合わせた形状が一致し、モジュール面内に充填されていることが好ましい。六角形や八角形、十二角形といった形状の素子を並べても方形にはならないので、上記形状を分割したものを用いて組み合わせることで、方形上に組み合わせることが好ましい。その際に、全ての素子の面積が夫々一致していることが好ましい。また、分割しない素子と分割した素子を組み合わせて、方形状に並べることも可能であるが、その場合は分割した素子同士を並列接続することで分割しない素子と同等の電流を得るようにして分割しない素子と直列接続するか、分割した素子と分割しない素子で夫々直列回路を作成し別々に取り出すことが好ましい。
【0035】
また、隣接する素子との電気的接続は全て空白部において成されることが好ましい。よって、接続したい素子同士が少なくとも空白部を介して隣り合っていることが好ましい。接続したい素子同士が二つ以上の空白部を介していることがより好ましい。空白部以外でも電気的接続が成される場合は、入射面と裏面で配線を引き回すような接続ではなく、隣接素子間で入射面と入射面を接続するような単純な接続に留めることが好ましい。
【0036】
また、モジュールからの出力を取り出す為の正負夫々の取り出し配線も空白部の素子間接続部品において電気的に接続されていることが、取り扱い及び製造上の観点から好ましい。また、直列抵抗及び、渡り配線など少なくし、系を単純化するという観点から正負取り出し配線の位置はなるべく近くなるように全素子を接続することが好ましい。
【0037】
太陽電池では拡散電位によって移動してきたキャリアを取り出す為の集電極が用いられる。素子の全面に細く配置され電流を回収する第一集電極、と第一集電極の回収した電流を回収し配線部材へ伝える第二集電極の二種類がある。集電極は金属微粒子をバインダーと共に混錬したものを太陽電池素子上にスクリーン印刷や凸版印刷、インクジェット印刷などで細線状に印刷し、焼成或いは乾燥させることで形成する。金属微粒子を高密度に充填しつつ、金属微粒子界面を減らすことで導電率を向上させる技術として、大きさ及び形状の異なる金属微粒子を組み合わせる技術が、集電極に限らず電極形成技法として用いられている。バインダーには熱硬化性樹脂が用いられる。
【0038】
従来、非空白部にて行われていた素子の電気的接続を、空白部において行うことで、より複雑な配線を行うことが可能となる。空白部において電気的接続を行うためには配線部材と接続する第二集電極が、空白部を構成する辺付近に、辺に対して垂直に近い方向を向いて存在することが好ましい。図1に示すように素子形状において空白部は、擬似四角形状或いは八角形状素子においては周囲四箇所、擬似六角形状或いは十二角形状素子では周囲六箇所で生じる。それら空白部付近で空白部を構成する辺対して垂直に近い角度の第二集電極を配する為には、素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように第二集電極を配することが好ましい。また、図5に示すように第二集電極は素子の中心付近で接触交差していることが直列抵抗低減及び、配線の自由度を確保する観点から望ましい。また、それぞれ正と負の第二集電極を少なくとも空白部近傍においては、配線部材が接触しない程度に離間させるように配することが好ましい。こうする事で、空白部での短絡を防ぎつつ容易に同一素子の正極の第二集電極と負極の第二集電極とを同一の素子間接続部品に接続することができる。また、隣り合う素子が素子間接続部品を介して直列に接続される場合、それら素子から渡された配線部材の極性が、素子間接続部品の周囲に沿って交互に反転するように接続されていることが素子間接続部品の回路単純化の観点から好ましい。
【0039】
集電極の形状は特に限定するものではないが、第二集電極の形態に応じて設計する必要がある。上記したように第二集電極が素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されている場合、図5に示すように第一集電極は素子の輪郭と略同心で略相似形を模るように配置されていることが素子内での直列抵抗の観点から好ましい。またこのような集電極をスクリーン印刷等のマスクを用いる印刷方法にて作成する場合、第一集電極は一部途切れていることが、素子と大きさの異なる同心で相似な第一集電極を印刷する際の簡便さと言う観点から好ましい。この場合、第二集電極は第一集電極と第二集電極との電気的接触が確実に得られるようにする為に、図5のcのように第一及び第二集電極の接触点における第二集電極の大きさを大きくすることが好ましい。
【0040】
第二集電極には配線部材が接続される。この配線部材は細い金属線や金属箔を半田や導電性接着剤、絶縁性接着剤、導電性微粒子を含む樹脂接着層等で接続するパターンや、絶縁性基材の表面に金属メッキ層を有するものを接続するパターン等が挙げられる。上記したように第二集電極が素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されている場合、図5に示すように第二集電極は素子の中心付近で接触交差していることが直列抵抗低減及び、配線の自由度を確保する観点から望ましい。第二集電極が交差する部分に配線部材を接続する場合、応力を緩和する措置をとることが好ましい。この場合の応力を緩和する措置として、後から接続される接続素子に拒形状の構造を採らせる、後から接続する接続素子を交差部分付近では接続せずに若干の自由度を持たせる、どちらかの配線部材が交差部分を除いて接続され、もう一方の配線部材の端に接続される、予め交差した形状の配線部材を作成し、集電極に接続する等が挙げられる。
【0041】
また、本発明により太陽電池モジュール内での太陽電池素子の電気的接続を変更することができる。このため、一部の素子が故障した場合や一部の素子に影が差した場合、集光太陽電池モジュールや凹面上に素子を配置した太陽電池モジュールなどで一部の素子の光照射が集中した場合、取り出し電極を複数有する太陽電池モジュールにおいて別の取り出し電極へ出力が必要な場合など様々な状況に応じて素子の接続回路を変更することで、いかなる状況でも最適な素子の接続状況を維持することが可能となる。そのためには、太陽電池素子の正極第二集電極と負極第二集電極が隣接する全ての空白部の素子間接続部品と電気的に接続されていることが好ましい。こうする事で、素子間接続部品の回路を変更すれば、ある素子を、空白部を介して隣接している任意の素子と電気的に接続させることが可能となり、接続様式を直列接続にするのか並列接続にするかも変更できる。また、取り出し電極が故障した場合や取り出し電極付近の素子が全て機能低下するような状況を改善するという観点から取り出し電極が複数存在することが好ましい。
【0042】
単に一部の素子が故障した場合に故障したセルを避けるような回路を組み直すだけの機能を求めるなら、手動で回路を組みかえられるような機能を有すればよい。一方で、リアルタイムで最適な素子接続方式を求める場合、素子間接続部品には電磁力や圧空、応力等によって外部から素子間接続部品の回路を制御できる仕組みを持っていることが好ましい。
【0043】
素子間接続部品は配線部材との電気的接続をする為の複数のコネクタを備えた基部と、コネクタ同士をつなぐ為の回路部を有しており、回路部を他の回路を有する回路部と交換、又は回路部の接続方向変更することで素子の接続を変更させるものや、回路部に電磁気力や応力等の外力を加えることで、回路部の回路構成を変更する機構を備えるもの等が挙げられる。回路構成を外力によって変更する機構は、公知の双安定リレー等のスイッチング機構を用いれば容易に可能な技術である。封止外から回路構成を制御するという観点から外力として電磁気力を用いることが好ましい。
【0044】
一方で、コスト重視の太陽電池モジュールにおいては、素子間の接続を変更するよりも単純で製造の簡便さがより求められる。素子間接続部品のコネクタの接続自由度の観点から、コネクタ自体が半田濡れ性の良い銅などの金属箔からできており、同一の金属箔に、隣り合う素子から配線部材を接続することで素子間の接続するような単純な機構が好ましい。また、コネクタと配線部材の接着強度を高める為にコネクタ部分近傍或いはコネクタ自体に配線部材を固定化するような機構が備えられていても良い。
【0045】
通常、切り出しロスを低減するように円周部を頂点に残した多角形状素子を並べてできる空白部は、従来配線部材を引き回していた距離と比較すると十倍程度の広さとなる。空白部に素子間接続部品を設けて、素子の裏面或いは入射面から、素子間接続部品の入射面或いは裏面に引き回すことを考えても十分な余白がある。今後、半導体インゴッド作成技術が向上することでコストが低下すると、空白部を小さくなると考えられる。このような場合、配線部材の引き回しに更に余裕を持たせる為に素子間接続部品の入射面と裏面側にそれぞれ、コネクタが配置されていることが好ましい。より複雑な回路構成や想定外の短絡を防ぐ観点から一つのコネクタは入射側と裏面側のどちらかに存在し、それぞれが回路で接続されていても良いし、素子間接続部品の汎用性の観点から、一つのコネクタ自体が素子間接続部品を貫通して存在していても良い。また、入射面と裏面という二つの階層に留まらず、複数の平面を重ねたような太陽電池素子と素子間接続部品の電気的接続を行う方法であるが、様々な方向の接続を行う場合、作業の簡素化の観点から、図2に示すように太陽電池に予め配線部材を取り付け、その後、配線部材と素子間接続部品を接続させることが好ましい。その際に素子間接続部品のコネクタ部と配線部材の位置のずれによって生じる応力を吸収するような機構を設けることが好ましい。これは配線部材と素子間接続部品の間に柔軟性のある導電部材を設けることや、素子間接続部品のコネクタが可動する機構を有することなどが挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
図3は、本発明に従う実施例1の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。円柱状の単結晶シリコンインゴッドの断面が、図1のaに示すように擬似四角形状になるように面出しして、ウェハ状にスライスすることで半導体基板を得た。半導体基板の両面に接合形成し、集電極形成し太陽電池素子1を得た。図4に示すように第二集電極は素子の接続方向に対して平行に形成されており、第二集電極上に、空白部付近で折れ曲がった構造の入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を半田にて接続した。負極側取り出し電極に近い位置から順に太陽電池素子1を並べ空白部にて入射側配線部材2と裏面側配線部材8の接続を行った。接続の折り返し部では渡り配線部材3を介して折り返した。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0048】
(実施例2)
図4は、本発明に従う実施例2の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。図5は本発明に従う実施例2の集電極及び集電極を形成するのに用いるマスクを模式的に示している。実施例2では、実施例1と同様に擬似四角形状の半導体基板を切り出した後に、接合形成し、集電極を形成したが、図5に示すようにこの集電極形状が異なっている。具体的には図5のbに示すマスクを用いてAg微粒子とエポキシ樹脂からなる導電ペーストをスクリーン印刷し、加熱することで硬化させた。その後、図5のcに示すマスクを用いて同様に第二集電極を形成することで太陽電池素子1を得た。第一集電極は擬似四角形状素子の形状に略同心な複数の相似形状を有しており、その端は全て第二集電極と接続している。第二集電極の第一集電極と接する部分には六角形状の幅広部分がある。
【0049】
入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を第二集電極に接続した太陽電池素子1を敷き詰め、図4のaに示すように素子間接続部品5を介して接続した。図4のbに示すように、素子間接続部品5は擬似四角形状の太陽電池素子1を並べた際に頂点に残る円周部分によって幾何学的に生じる空白部に配置されており、空白部形状に略一致するように四角形状をしている。この四角形状の素子間接続部品は二枚の三角形状金属箔が夫々離間して配置されており、隣り合う素子の入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を同一の金属箔に接続することで直列に接続している。素子間接続部品5の方向及び接続する配線部材の極性を変えることで全ての素子間において直列接続回路を形成している。
【0050】
最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0051】
(実施例3)
図6は、本発明に従う実施例3の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例3では、第二集電極の位置を入射側と裏面側で第二集電極の幅2〜3本分の距離ほど離して形成し、その上に入射側配線部材2及び裏面側配線部材8を夫々接続した点、素子間接続部品5の形状及び素子間接続部品5への接続方式が実施例2と異なっている。素子間接続部品5の周囲に沿って、配線部材の接続する第二集電極の極性は交互に反転している。素子間接続部品5は入射側と裏面側に第二集電極の幅2本分程度の直径の円形コネクタを有しており、図6のbに示すように素子間接続部品5の隣り合う辺に存在するコネクタ同士が短絡している。図6のcには素子間接続部品5の構造を示している。図6のcに示すように素子間接続部品5は「くの字型」の4つの基材を重ねて形成されている。それぞれの基材の両面には、金属箔からなる入射側コネクタと裏面側コネクタがそれぞれ配置されており、一つの基材は一つの素子とだけ接続されており、基材の入射側コネクタには素子の入射側と接続した配線部材が、裏面側コネクタには素子の裏面側と接続した配線部材が夫々接続されている。図6のcに示すように基材の入射側コネクタ上に金属微粒子を含む樹脂からなる導電性接着剤を配置し、基材入射側のコネクタが配置されていない領域には絶縁性接着剤が配置されている。基材4には接着剤は配置されていない。基材1から4の順で下から積み重ね樹脂のガラス転移点近傍で加熱することで、基材1から4を接続した。基材1の入射側コネクタは基材2の裏面側コネクタと、基材2の入射側コネクタは基材3の裏面側コネクタと、基材3の入射側コネクタは基材4の裏面側コネクタとそれぞれ導電性接着剤を介して接続されている。図6のbで拡大された空白部の以外の空白部においても、設計した素子の接続に応じて2〜4個の基材を接続して、電気的接続を得た。
【0052】
最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0053】
(実施例4)
図7は、本発明に従う実施例4の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。図8は、本発明に従う実施例4の太陽電池素子間の接続状況を変更した場合の、入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。図9は、本発明に従う実施例4の素子間接続部品の回路のパターンを示す模式図である。実施例4では図7のbに示すように、素子間接続部品5と接する全ての太陽電池素子1の空白部に位置する正負両方の第二集電極を入射側配線部材2、裏面側配線部材8を介して素子間接続部品5に接続している点、素子間接続部品が、図9に点線で示すように4通りの回路を有しており、夫々の回路に対して制御機能が存在する点、素子間接続部品5が回路制御に当たりラッチングリレー機能を有する点において、実施例3とは異なっている。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。このとき共に封止される素子間接続部品5の回路の制御には外部から電磁石を用いて行う。4つの回路に対して夫々、外部電磁石が配されており、外部電磁石を二方向の磁場印加、及び磁場印加無しの三種類で変更することで、封止内部の素子間接続部品5の4つの回路がそれぞれ、OFF、ON、保持というように制御することができる。
【0054】
(実施例5)
図10のaは、本発明に従う実施例5の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例5では、図1のdに示すように十二角形状になるように面出しして、ウェハ状にスライスすることで半導体基板を得た。その後、接合形成、集電極形成等の工程を経て、十二角形状太陽電池素子10を形成した。こうして得た十二角形状太陽電池素子10をダイシングソー、スクライバー等により対抗する長い辺の中点を結ぶ線、又は対抗する短い辺の中点を結ぶ線にて半分二分割した八角形状太陽電池素子9を作成した。図10に示すようにモジュール端部に分割した2種類の八角形状太陽電池素子9の最も長い辺が接するように配置し、それ以外は分割しない十二角形状太陽電池素子10を配置した。空白部には三角形状の素子間接続部品5を配置し、図10のbに示すように、接続部品5を介して隣り合う八角形状太陽電池素子が並列に接続され、十二角形状太陽電池素子10に対しては直列に接続されている。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0055】
(実施例6)
図11は、本発明に従う実施例6の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例6では、十二角形状太陽電池素子10を対抗する長い辺の中点を結ぶ線にて半分に分割して得られる形状の第一太陽電池素子15、及び対抗する短い辺の中点を結ぶ線にて半分に分割して得られる形状の第二太陽電池素子16のみを用いた点、素子の並べ方、接続様式において実施例5とは異なっている。第一太陽電池素子15を二個組み合わせて前記十二角形状にした第一素子組17と、第二太陽電池素子16を二個組み合わせて前記十二角形状にした第二素子組18を形成し、第一素子組17と第二素子組18を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ第一太陽電池素子15を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ第二太陽電池素子16を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にし、第一素子組17及び第二素子組18内で隣接している場合を除き、全ての太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接しているように配置した。図11のbに示すように、正負の配線部材を離間させて、同一の第一太陽電池素子15の正負極の配線部材を一つの素子間接続部品5へ接続し、素子間接続部品5内の回路で隣り合う別々の第二太陽電池素子16へ分けて接続されている。また、実施例6においては全ての八角形状太陽電池素子9は隣接する素子と、二つの空白部に存在する素子間接続部品5を介して直列に接続されている。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0056】
(実施例7)
図12のaは、本発明に従う実施例7の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。実施例7では、十二角形状太陽電池素子10を対抗する長い辺の中点を結ぶ線、及び対抗する短い辺の中点を結ぶ線にて四分割することで得られる六角形状太陽電池素子19のみを用いた点で実施例6とは異なる。図12のaに示すように、六角形状太陽電池素子19を四つ組み合わせて、十二角形状にした第三素子組20を形成した。第三素子組20が最密になるように並べ、周囲には六角形状太陽電池素子19をそれぞれ欠如部に配置することで、素子を組み合わせた状態での上下左右の周縁部を直線状にした。このとき、第三素子組20は第三素子組20の分割線が上下左右の周縁部と略三十度或いは略六十度となるように配置している。ここで分割線とは十二角形状太陽電池素子10を四分割する際の、十二角形状太陽電池素子10を対抗する長い辺の中点を結ぶ線、及び対抗する短い辺の中点を結ぶ線を意味する。図12のb及びcに示すように、正負の配線部材を離間させて、正負極の配線部材を一つの素子間接続部品5へ接続し、素子間接続部品5内の回路で隣り合う別々の素子16へ分けて接続されている。図12のdに示すように、素子間の電気的接続が成されており、各素子間の接続は全て空白部に配置された素子間接続部品5を介して成されている。最後に取り出し電極4を接続し、充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0057】
(比較例1)
図13は、本発明に従う比較例1の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。比較例1では、円柱状の単結晶シリコンインゴッドの断面が図1のbに示すような擬似正六角形状になるように面出し、スライスすることで半導体基板を得た。その後、接合形成、集電極形成等の工程を経て、擬似正六角形状の太陽電池素子1を形成した。こうして得た六角形状の太陽電池素子1をダイシングソー、スクライバー等により対抗する辺の中点を結ぶ線及び対抗する頂点を結ぶ線にて四分割した台形状の太陽電池素子1を作成した。図13に示すように台形状の太陽電池素子1を斜辺が接するように最密充填し、隣り合う素子の斜辺が隣接する非空白部においては並列接続、隣り合う素子が配線部材に対し直角を成す辺で隣接する非空白部では配線部材を入射面側から裏面側に引き回して、直列接続とした。このように並んだ素子を直線状に接続し、折り返し部では渡り配線部材3を用いて折り返した。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0058】
(比較例2)
図14は、本発明に従う比較例2の入射面側から見た太陽電池モジュールを示す模式図である。比較例2においては、円柱状インゴッドを正六角形状に面出しして、ウェハを切り出し、接合形成、電極形成を行った後に、ダイシングソー、スクライバー等により正六角形状太陽電池素子を半分に分割した。正六角形状太陽電池素子を対向する頂点を結ぶ線により半分に分割することで得られる台形状の太陽電池素子を、2個組み合わせて正六角形状に形成し、この正六角形状の素子を上下左右に隣接して配列し、左側及び右側の欠如部にそれぞれ台形状の素子を隣接して配列し、左側及び右側の各素子の側縁を直線状にした。また、上端部または下端部に,正六角形状の対向する辺の中心を結ぶ線により半分に分割することで得られる五角形状の太陽電池素子を,隣接する太陽電池素子と対向する辺が平行関係になるように配列し、上端部又は下端部の各素子の側縁を直線状にした。このように並んだ素子を直線状に接続し、折り返し部では渡り配線部材3を用いて折り返した。最後に取り出し電極4を接続し充填材としてのEVA樹脂、保護ガラス板を基板として、保護フィルムとしてのPETフィルムをラミネートした。
【0059】
実施例1では空白部において、配線部材を接続したことで、非空白部である太陽電池素子1の隙間は比較例1の並列接続部分での隙間と比較しても小さくできる。
【0060】
実施例2では空白部にコネクタ及び回路としての機能を果たす三角形状の金属箔を四角状の素子間接続部品5を用いている。こうする事で、素子を直列接続してなる回路を折り返す部分で自由度が得られ、渡り配線部材が不要となっている。また、取り出し電極の配置に関しても隣接する素子に配置することで、渡り配線部材の使用スペースを無くすか極めて小さくできる。また、二本の第二集電極を交差させ、素子と略同心で且つ相似形状となるように第一集電極を配置することで、素子間を接続する際の直列抵抗の増大が抑えられ、及び第一集電極に不具合が生じ断線した場合でも、別に接続された第二集電極から電流が回収できる。実施例では第一集電極を印刷する際の取り扱いの観点から、第一集電極と第二集電極が交差する部分において第一集電極を一部途切れさせているが、これらを互い違いにして、完全に交差させても良い。
【0061】
実施例3では第二集電極を入射面側と裏面側で位置を異ならせて形成し、入射側配線部材2、裏面側配線部材8も空白部において離間するように接続している。同じ太陽電池素子から接続部材2,8を同じ素子間接続部品5へ接続することで、回路を折り返す部分においても、より二つの空白部において接続が得られる設計が可能となる。素子間接続部品5の構成についても空白部に接する各素子に一個ずつ基材が接続され、この基材を重ねて接続することで回路が形成されるようになっている。基材形状は特に「くの字状」である必要はなく、ひし形や円形といった異なる形状でも良い。単に、作業性が良いだけでなく、基材の位置が多少ずれても接続が取れるので、応力の緩和や太陽電池素子間の位置調整のバッファとして機能する。本実施例において、取り出し電極4は上部中央としたが、モジュールの中心部分に取り出し電極4を配しても良い。また、本件では基材間の電気的接続を得る為に基材の一部のみに導電性接着剤を用いたが、異方性導電機能を有する導電性接着剤を用いる場合、基材側面からはみ出さない程度に基材全面に用いても良い。また、絶縁性接着剤と半田を組み合わせても良い。
【0062】
実施例4においては全ての太陽電池素子1の全ての第二集電極を、配線部材を用いて素子間接続部品5と電気的に接続している。素子間接続部品の周囲に沿って配線部材の極性が交互に反転するように並んでいる。素子間接続部品は内部において、隣り合う太陽電池素子の正極と負極を繋ぐ回路を有しており、この回路のオン/オフ機能を変更する機構を有している。封止外から電磁石によって回路のオン/オフを制御し回路を変更することができる。図8に示すように右下4枚の太陽電池素子が故障した場合、図9の拡大図に示すように素子間接続部品5の回路を変更することで、モジュール内での太陽電池素子の接続方法を図8に点線矢印で示すように変更することができ、故障していない太陽電池素子1のみを用いた回路を形成できる。取り出し電極4付近の太陽電池素子1が故障した場合に備えて、他の場所に取り出し電極を設けても良い。
【0063】
実施例5においては十二角形状太陽電池素子10とそれを半分割した八角形状太陽電池素子9を組み合わせて、太陽電池モジュールを作成している。八角形状太陽電池素子9同士を並列接続し、十二角形状太陽電池素子10と直列に接続する必要がある。空白部は比較例1の非空白部と比較して十分広いので、並列接続部分と直列接続部分を同一の素子間接続部品5に収める、接続回路を空白部の素子間接続部品5において曲げることで、一筆書きのような回路を自由に設計することが可能となる。本実施例では十二角形状太陽電池素子10を用いたが、十二角形状太陽電池素子10の対向する短い辺が円形インゴッドの円周部分を残している擬似六角形状太陽電池素子を用いてもよい。但し、十二角形状の場合、擬似六角形状素子を半分割したものと比較して、円周部が無く頂点部分を規定しやすく、空白部における円周部のせり出しが無いので素子間接続部品5と素子間の間隔を一定にでき、位置調整がしやすくなる。比較例1と比較して、非空白部の数が少なく、さらに非空白部の間隔が小さいので太陽電池素子1をより狭い面積に充填できる。また、本実施例では分割した太陽電池素子を並列接続し分割していないものと直列接続したが、取り出し電極をモジュール内の二箇所に設け別々に電流を取り出しても良い。
【0064】
実施例6においては、十二角形太陽電池素子を半分に分割して得られる第一太陽電池素子及び第二太陽電池素子のみでモジュールを形成している。第一素子組17と第二素子組18を最密のなるように組み合わせ、周囲の欠如部に第一太陽電池素子15或いは第二太陽電池素子16を配置している。こうする事で、全ての太陽電池素子間の電気的接続を少なくとも二箇所の空白部に配置された素子間接続部品5を介して行うことができ、素子間接続部品5を一つだけ介して接続する場合と比較して、直列抵抗、歩留まり等の信頼性に関して優れている。本実施例に関しても実施例5と同様に擬似六角形状太陽電池素子を分割した擬似五角形状太陽電池素子及び擬似台形状太陽電池素子を用いても良い。その場合においても、比較例2とは辺分割素子組と頂点分割素子組を両方用いている点において異なっている。
【0065】
実施例7では、十二角形状太陽電池素子10を四分割した六角形状太陽電池素子19のみを用い、六角形状太陽電池素子19を四つ組み合わせて、第三素子組20を形成している。第三素子組20を、第三素子組20の分割線が上下左右の周縁部と略三十度或いは略六十度となるように配置することで、太陽電池素子19最密にすべての素子間での電気的接続を空白部に配された素子間接続部品5を介して行うことが可能となる。本実施例では全ての第三素子組20の分割線の角度が周縁部に対して略30度或いは略60度に傾くように配置しているが、一部の第三素子組20は周縁部と平行であっても良い。四分割した太陽電池素子を使用しているので電流の絶対値が小さく、配線を細くすることができる。実施例5と同様に擬似六角形状太陽電池素子を四分割した擬似台形状太陽電池素子を用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
1.太陽電池素子
2.入射側配線部材
3.渡り配線部材
4.取り出し配線
5.素子間接続部品
6.コネクタ
7.第二集電極離間部分
8.裏面側配線部材
9.八角形状太陽電池素子
10.十二角形状太陽電池素子
11.導電性接着部
12.絶縁性接着部
13.入射側コネクタ
14.裏面側コネクタ
15.第一太陽電池素子
16.第二太陽電池素子
17.第一素子組
18.第二素子組
19.六角形状太陽電池素子
20.第三素子組
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に、隣接していない辺によって幾何学的に構成される空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記空白部に素子間接続部品を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記多角形状太陽電池素子の少なくとも前記空白部近傍における正極と負極の配線部材が前記多角形状太陽電池素子の表面に垂直な方向から見て重なっておらず、前記素子間接続部品に接する前記多角形状太陽電池素子のそれぞれ正極側と負極側の配線部材が共に同一の前記素子間接続部品へ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
集電極が、太陽電池から電流を回収する第一集電極と前記第一集電極から電流を回収し配線部材と電気的接続をされる第二集電極からなり、前記第二集電極は素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されており、前記第一集電極が前記多角形状素子の輪郭と略同心で且つ一部相似形を構成しており、前記第一集電極は一部離間していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記多角形状太陽電池素子が対抗する辺の長さが等しく、短い辺と長い辺の二種類の辺を有している十二角形を半分に分割した八角形状の太陽電池素子であって、夫々対抗する長い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第一太陽電池素子、及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第二太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記第一太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第一素子組と、前記第二太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第二素子組を形成し、前記第一素子組と前記第二素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記第一太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記第二太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記第一素子組及び前記第二素子組内で隣接している場合を除き、全ての第一及び第二太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記多角形状太陽電池素子が頂点部分に曲率を有する擬似正六角形を半分に分割した太陽電池素子であって、夫々対抗する辺の中点を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似五角形状太陽電池素子、及び対抗する擬似頂点部分の中心を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似五角形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした辺分割素子組と、前記擬似台形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした頂点分割素子組を形成し、前記辺分割素子組と前記頂点分割素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似五角形状太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記辺分割素子組及び前記頂点分割素子組内で隣接している場合を除き、全ての太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記十二角形を夫々対抗する長い辺の中点を通る直線及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて四分割した六角形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記六角形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記十二角形状にした第三素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記六角形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第三素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記擬似六角形を夫々対抗する辺の中点を通る直線及び対抗する擬似頂点の中心を通る直線にて四分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似台形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記擬似六角形状にした第四素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第四素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
少なくとも前記太陽電池モジュールの端部に前記八角形状太陽電池素子を備え、前記太陽電池モジュールの内側に前記十二角形状の太陽電池素子を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記素子間接続部品内の電気回路を変更することで、多角形状太陽電池素子の電気的接続を変更する機能を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記素子間接続部品が回路変更機構を有しており、外部からの作用によって、前記素子間接続部品内の電気回路を変更する機能を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記素子間接続部品が基材を挟んで、入射面側或いは裏面側或いは両方に配線部材を接続するためのコネクタを備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記素子間接続部品が前記基材を複数重ねた階層構造を備え、所定の位置にて前記階層構造間の電気的接続がなされることで回路を形成することを特徴とする請求項1乃至9または請求項12のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項14】
前記階層構造間の電気的接続が導電性粒子を含む樹脂によって形成されることを特徴とする請求項1乃至9または請求項12又は13のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項15】
一つの前記基材は一つの前記多角形状太陽電池素子とだけ直接接続されていることを特徴とする請求項1乃至9または請求項12乃至14のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項1】
多角形状太陽電池素子を組み合わせてなる太陽電池モジュールであって、前記多角形状太陽電池素子を組み合わせた際に、隣接していない辺によって幾何学的に構成される空白部を有しており、隣接する前記多角形状太陽電池素子の電気的接続が前記空白部において成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記空白部に素子間接続部品を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記多角形状太陽電池素子の少なくとも前記空白部近傍における正極と負極の配線部材が前記多角形状太陽電池素子の表面に垂直な方向から見て重なっておらず、前記素子間接続部品に接する前記多角形状太陽電池素子のそれぞれ正極側と負極側の配線部材が共に同一の前記素子間接続部品へ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
集電極が、太陽電池から電流を回収する第一集電極と前記第一集電極から電流を回収し配線部材と電気的接続をされる第二集電極からなり、前記第二集電極は素子の中心付近を挟んで対向する空白部を結ぶように配されており、前記第一集電極が前記多角形状素子の輪郭と略同心で且つ一部相似形を構成しており、前記第一集電極は一部離間していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記多角形状太陽電池素子が対抗する辺の長さが等しく、短い辺と長い辺の二種類の辺を有している十二角形を半分に分割した八角形状の太陽電池素子であって、夫々対抗する長い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第一太陽電池素子、及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて前記十二角形を半分に分割した第二太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記第一太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第一素子組と、前記第二太陽電池素子を二個組み合わせて前記十二角形状にした第二素子組を形成し、前記第一素子組と前記第二素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記第一太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記第二太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記第一素子組及び前記第二素子組内で隣接している場合を除き、全ての第一及び第二太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記多角形状太陽電池素子が頂点部分に曲率を有する擬似正六角形を半分に分割した太陽電池素子であって、夫々対抗する辺の中点を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似五角形状太陽電池素子、及び対抗する擬似頂点部分の中心を通る直線にて前記擬似正六角形を半分に分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似五角形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした辺分割素子組と、前記擬似台形状太陽電池素子を二個組み合わせて前記擬似六角形状にした頂点分割素子組を形成し、前記辺分割素子組と前記頂点分割素子組を上下左右に隣接して配置し、左右に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似五角形状太陽電池素子を配置し、上下に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、前記辺分割素子組及び前記頂点分割素子組内で隣接している場合を除き、全ての太陽電池素子が二個以上の空白部を介して他の太陽電池素子に隣接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記十二角形を夫々対抗する長い辺の中点を通る直線及び対抗する短い辺の中点を通る直線にて四分割した六角形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記六角形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記十二角形状にした第三素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記六角形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第三素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記擬似六角形を夫々対抗する辺の中点を通る直線及び対抗する擬似頂点の中心を通る直線にて四分割した擬似台形状太陽電池素子からなる太陽電池モジュールであって、前記擬似台形状太陽電池素子を四個組み合わせて前記擬似六角形状にした第四素子組を上下左右に隣接して配置し、周縁部に存在する欠如部にそれぞれ前記擬似台形状太陽電池素子を配置し、素子を配置して構成される上下左右の周縁部を直線状にした太陽電池モジュールであって、少なくとも一つ以上の前記第四素子組の分割線の角度が太陽電池モジュールの直線状周縁部に対して、略三十度又は略六十度傾いていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
少なくとも前記太陽電池モジュールの端部に前記八角形状太陽電池素子を備え、前記太陽電池モジュールの内側に前記十二角形状の太陽電池素子を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記素子間接続部品内の電気回路を変更することで、多角形状太陽電池素子の電気的接続を変更する機能を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記素子間接続部品が回路変更機構を有しており、外部からの作用によって、前記素子間接続部品内の電気回路を変更する機能を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記素子間接続部品が基材を挟んで、入射面側或いは裏面側或いは両方に配線部材を接続するためのコネクタを備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項13】
前記素子間接続部品が前記基材を複数重ねた階層構造を備え、所定の位置にて前記階層構造間の電気的接続がなされることで回路を形成することを特徴とする請求項1乃至9または請求項12のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項14】
前記階層構造間の電気的接続が導電性粒子を含む樹脂によって形成されることを特徴とする請求項1乃至9または請求項12又は13のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【請求項15】
一つの前記基材は一つの前記多角形状太陽電池素子とだけ直接接続されていることを特徴とする請求項1乃至9または請求項12乃至14のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−71214(P2011−71214A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219324(P2009−219324)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
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