説明

太陽電池内蔵建材

【課題】発電量と透光性の両立を図ることができる太陽電池内蔵建材を提供すること。
【解決手段】太陽電池内蔵建材1−4は、透光性を有する基材2と、基材2内部に配置され、外表面が受光することにより発電する複数の球状太陽電池素子3とを備える。複数の球状太陽電池素子3は、厚さ方向と直交する平面上および厚さ方向において間隔をあけて複数個配列されている。基材2内部には、厚さ方向において隣り合う複数の球状太陽電池素子3が直線状に配列されることで太陽電池ユニット9が複数形成されている。太陽電池ユニット9は、厚さ方向に対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を内蔵した太陽電池内蔵建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池を内蔵した太陽電池内蔵建材として、例えば特許文献1に示すように、透光部を介して複数の板状の太陽電池素子を平面的に配置した2つの太陽電池素子群を形成し、一方の太陽電池素子群の太陽電池素子が他方の太陽電池素子群の透光部と重なるように、2つの太陽電池素子群を配列したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−168062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、太陽電池素子は、上記太陽電池内蔵建材を外壁や窓として用いる場合、すなわち構造物の外部と内部との間に配置する場合において太陽光により発電する。太陽光は、昼における時刻や、同じ時刻でも月日に応じて、太陽電池内蔵建材に対する太陽光の入射角度が異なる。従って、太陽電池内蔵建材は、入射角度に応じて発電量と透光性が変化するため、発電量と透光性の両立を図ることが要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発電量と透光性の両立を図ることができる太陽電池内蔵建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の太陽電池内蔵建材は、透光性を有する基材と、前記基材内部に配置され、外表面が受光することにより発電する複数の球状太陽電池素子と、を備え、複数の前記球状太陽電池素子は、厚さ方向と直交する平面上および厚さ方向において間隔をあけて複数個配列されていることを特徴とする。
【0007】
上記太陽電池内蔵建材において、複数の前記球状太陽電池素子は、厚さ方向から前記基材を見た場合に、厚さ方向において隣り合う少なくとも一方の前記球状太陽電池素子と離れているあるいは一部が重なり合うように配列されていることが好ましい。
【0008】
上記太陽電池内蔵建材において、厚さ方向において隣り合う複数の前記球状太陽電池素子が直線状に配列されることで太陽電池ユニットが複数形成されており、前記太陽電池ユニットは、厚さ方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0009】
上記太陽電池内蔵建材において、第1傾斜方向に傾斜する第1太陽電池ユニットと、前記第1傾斜方向と厚さ方向を基準に線対称な第2傾斜方向に傾斜する第2太陽電池ユニットと有し、前記第1太陽電池ユニットに対して、幅方向あるいは上下方向の少なくとも一方において、隣り合う2つの太陽電池ユニットのうち、一方が第1太陽電池ユニットであり、他方が第2太陽電池ユニットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る太陽電池内蔵建材によれば、厚さ方向において間隔をあけて複数の球状太陽電池素子が配列されているので、発電量と透光性の両立を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態に係る太陽電池内蔵建材が用いられる構造物の外壁の一例を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材の動作説明図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材の動作説明図である。
【図5】図5は、第1実施形態の変形例を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態の変形例を示す図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る太陽電池内蔵建材を示す図である。
【図8】図8は、第3実施形態に係る太陽電池内蔵建材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材について説明する。図1は、実施形態に係る太陽電池内蔵建材が用いられる構造物の外壁の一例を示す図である。図2は、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材を示す図である。なお、図2は、太陽電池内蔵建材の一部拡大斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−1は、構造物の外壁を構成するカーテンウォール100に用いられる。ここで、カーテンウォール100は、ユニット(壁部材)として用いられる太陽電池内蔵建材1−1を上下左右に連結することで、構造物の外周面を覆う構造となっている。各太陽電池内蔵建材1−1は、上端部を枠部材101において上端部と対向する部分に取り付けて、枠部材101に吊り下げられた状態で、枠部材101に固定されている。
【0015】
太陽電池内蔵建材1−1は、本実施形態では、室外の太陽光を受光することで発電し、透光性を有するものである。太陽電池内蔵建材1−1は、図2に示すように、基材2と、球状太陽電池素子3と、電線4とを含んで構成されている。
【0016】
基材2は、透光性を有するものであり、矩形に形成されている。基材2は、例えば透光性を有するEVA(エチレン・ビニル・アセテート)樹脂などの合成樹脂により形成されている。なお、基材2は、単一の構成要素で形成されていなくても良い。例えば、室外側から室内側に向かって、ガラス層、基層、フィルム層と積層して構成しても良い。ガラス層には、矩形の透光性を有する強化ガラス材を用いる。基層には、上述の合成樹脂を用いる。フィルム層には、ガラス層と同一形状の透光性を有するプラスチックフィルムを用いる。基材2を積層することで、室内外の環境に対する耐久性を向上させることができる材料を室外側の層および室内側の層に用いることができる。
【0017】
球状太陽電池素子3は、外表面が受光することで発電するものである。球状太陽電池素子3は、基材2内部に複数配置されている。球状太陽電池素子3は、直径が1〜2mm程度であり、光起電力を発生可能なpn接合を有する太陽電池である。球状太陽電池素子3は、球状のp形シリコン単結晶と、p形シリコン単結晶の外表面に積層されたn拡散層と、p形シリコン単結晶の中心を挟んで対向して形成された一対の電極と、正電極とp形シリコン単結晶との間に形成されたn拡散層とを含んで構成されている。ここで、球状太陽電池素子3の各電極は、電線4によって他の球状太陽電池素子3の各電極と接続されている。例えば、隣り合う球状太陽電池素子3の両方の正電極を電線4で接続し、負電極を他の電線4で接続することで、隣り合う球状太陽電池素子3が並列に接続される。また、一方の球状太陽電池素子3の正電極と他方の球状太陽電池素子3の負電極とを電線4で接続することで、隣り合う球状太陽電池素子3が直列に接続されることとなる。電線4による複数の球状太陽電池素子3の接続方法は、要求される電圧などに応じて設定される。球状太陽電池素子3は、複数個で1つの太陽電池ユニット5を形成している。
【0018】
太陽電池ユニット5は、厚さ方向において隣り合う複数の球状太陽電池素子3を直線状に間隔をあけて、本実施形態では等間隔に配列して構成されている。つまり、基材2内部には、複数の球状太陽電池素子3から構成される太陽電池ユニット5が複数配置されている。各太陽電池ユニット5は、基材2内部において厚さ方向と平行に配置されている。従って、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3は、厚さ方向と平行に配列されている。つまり、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3は、厚さ方向から基材2を見た場合に、厚さ方向において隣り合う一方の球状太陽電池素子3と全部が重なり合うように配列されている。各太陽電池ユニット5は、基材2内部において上下方向および幅方向に平行に間隔をあけて、本実施形態では等間隔に複数配置されている。各太陽電池ユニット5は、球状太陽電池素子3が上下方向および幅方向において隣り合う球状太陽電池素子3と、厚さ方向と直交する平面上に位置するように基材2内部において配置されている。つまり、太陽電池内蔵建材1−1は、基材2内部に、複数の球状太陽電池素子3を厚さ方向と直交する平面上に間隔をあけて複数個配置するとともに厚さ方向に間隔をあけて複数個配置したものである。
【0019】
次に、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−1の動作について説明する。図3は、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材の動作説明図である。図4は、第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材の動作説明図である。なお、図3は、太陽電池内蔵建材を上下方向から見た図である。また、図4は、太陽電池内蔵建材を幅方向から見た図である。
【0020】
太陽電池内蔵建材1−1は、室外側から太陽光が入射され、一部が球状太陽電池素子3により遮光され、一部が基材2を透過して図示しない室内に入射される。球状太陽電池素子3が太陽光を遮光する場合は、球状太陽電池素子3の外表面において太陽光が受光されるので、球状太陽電池素子3が発電し、電力が生成される。ここで、太陽光は、日時により太陽の仰角(水平線に対する角度)や方位角(水平面内の基準に対する角度)が変化するため、日時により太陽電池内蔵建材1−1に対する太陽光の入射方向が異なることとなる。太陽光は、1日の中では主に方位角が変化するため、太陽電池内蔵建材1−1の幅方向および厚さ方向を含む平面(以下、単に「水平面」と称する)における入射方向が1日の中で変化する。また、太陽光は、同じ時刻であっても日にちによって仰角が変化するため、太陽電池内蔵建材1−1の上下方向および厚さ方向を含む平面(以下、単に「垂直面」と称する)における入射方向が同じ時刻であっても一年の中で変化する。
【0021】
図3に示すように、午前の太陽Sm、正午の太陽Sn、午後の太陽Seのそれぞれから照射される太陽光Lm,Ln,Leの太陽電池内蔵建材1−1に対する入射角度(水平面において幅方向に対する角度)は、それぞれ異なる。例えば、太陽電池内蔵建材1−1を厚さ方向が正午の太陽Snから照射される太陽光Lnの入射方向と平行となるように配置した場合は、太陽光Lnの入射方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合(太陽光の入射方向から基材2を見た場合の基材を100%とした割合)が最も小さくなる。つまり、太陽電池内蔵建材1−1に対しては、水平面において厚さ方向が光の透光を重視する透光重視方向となる。太陽光Lnは、大部分が幅方向および上下方向において隣り合う太陽電池ユニット5の間を傾斜方向に通過することで基材2を透過し、室内に入射され、一部が太陽電池ユニット5における室外側の球状太陽電池素子3により遮光され、球状太陽電池素子3が発電する。これにより、太陽電池内蔵建材1−1は、水平面において厚さ方向と平行に入射される太陽光に対して透過性が高く、発電量が低くなる。ここで、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3は、どの方向から見てもほぼ円を形成するので、厚さ方向において間隔をあけることにより、水平面において厚さ方向から幅方向に向かって太陽電池ユニット5を見る方向を変化させると、厚さ方向において隣り合う球状太陽電池素子3が全部重なり合った状態から、一部が重なり合った状態に移行し、最終的に幅方向から見ると離れた状態となる。つまり、水平面において厚さ方向と異なる方向から太陽電池ユニット5に向かう太陽光は、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3により遮光される比率が高くなり、透過する比率が低くなる。従って、太陽光Lnの入射方向と異なる入射方向である太陽光Lm,Leの入射方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合(太陽光Lnの入射方向から基材2を見た場合の基材2を100%とした割合)が太陽光Lnの場合と比較して高くなる。このことから、太陽電池内蔵建材1−1は、正午の太陽Snから照射される太陽光Lnと厚さ方向が平行となるように配置すると、午前、午後に透過性が低く、発電量が多くなり、正午に透過性が高く、発電量が低くなるので、正午における採光を優先しても、午前および午後と発電することができるので、昼の間、時刻に応じて発電量と透光性とを変化させることができる。
【0022】
また、図4に示すように、夏期の太陽Ss、冬期の太陽Swのそれぞれから照射される太陽光Ls,Lwの太陽電池内蔵建材1−1に対する入射角度(垂直面において上下方向に対する角度)は、それぞれ異なる。冬期の太陽Swは、夏期の太陽Ssと比較して仰角が小さくなるので、太陽光Lwの入射方向が太陽光Lsの入射方向と比較して厚さ方向に近づくこととなる。例えば、太陽電池内蔵建材1−1を上下方向が鉛直方向と平行となるように配置した場合は、厚さ方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合が最も小さくなる。つまり、太陽電池内蔵建材1−1に対しては、垂直面において厚さ方向が光の透光を重視する透光重視方向となる。従って、厚さ方向と平行な入射方向の太陽光の大部分が幅方向および上下方向に隣り合う太陽電池ユニット5の間を厚さ方向に通過することで基材2を透過し、室内に入射され、一部が室外側の球状太陽電池素子3により遮光され、球状太陽電池素子3が発電する。つまり、太陽電池内蔵建材1−1は、鉛直面において厚さ方向と平行に入射される太陽光に対して透過性が高く、発電量が低くなる。上述のように、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3は、どの方向から見てもほぼ円を形成するので、厚さ方向において間隔をあけることにより、垂直面において厚さ方向から上下方向に向かって太陽電池ユニット5を見る方向を変化させると、厚さ方向において隣り合う球状太陽電池素子3が全部重なり合った状態から、一部が重なり合った状態に移行し、最終的に上下方向から見ると離れた状態となる。つまり、垂直面において厚さ方向と異なる方向から太陽電池ユニット5に向かう太陽光は、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3により遮光される比率が高くなり、透過する比率が低くなる。太陽光Lwの入射方向は、太陽光Lsの入射方向よりも厚さ方向に近いので、太陽光Lwの入射方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合は、太陽光Lsの入射方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合よりも小さくなる。このことから、太陽電池内蔵建材1−1は、上下方向が鉛直方向と平行となるように配置すると、夏期に透過性が低く、発電量が多くなり、冬期に透過性が高く、発電量が低くなるので、夏期よりも冬期において採光を優先しても、発電することができるので、時期に応じて発電量と透光性とを変化させることができる。
【0023】
以上のように、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−1は、厚さ方向に間隔をあけ、太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3を、厚さ方向に対して平行に直線状に配列するので、厚さ方向と異なる方向から太陽光のうち太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3に向かう太陽光の大部分を太陽電池ユニット5における複数の球状太陽電池素子3により遮光することができるとともに、球状太陽電池素子3が球状であるので、板状の太陽電池素子と比較して透光性を確保することができる。従って、発電量と透光性の両立を図ることができる。また、太陽電池が球状太陽電池素子3であるので、太陽電池内蔵建材1−1を見るユーザーには点に見える。従って、太陽電池内蔵建材1−1の意匠設計の自由度が高く、太陽電池内蔵建材1−1の意匠性を向上することができる。
【0024】
〔第1実施形態の変形例〕
上記実施形態では、太陽電池内蔵建材1−1をカーテンウォール100のユニット(壁部材)として用いたが本発明はこれに限定されるものではなく、太陽電池内蔵建材を外部と室内との間に設けられるルーバーとして用いても良い。図5は、第1実施形態の変形例を示す図である。図6は、第1実施形態の変形例を示す図である。
【0025】
図5に示すように、太陽電池内蔵建材1−2は、ルーバーであり、上下方向に複数連続して設けられており、基材2と、球状太陽電池素子3と、回転軸部材6とを含んで構成されている。太陽電池内蔵建材1−2は、太陽電池内蔵建材1−1と同様に、基材2内部に、厚さ方向に対して平行に直線状に配列された複数の球状太陽電池素子3からなる太陽電池ユニット5が複数配置されている。回転軸部材6は、太陽電池内蔵建材1−2を幅方向周りに回転させるものである。回転軸部材6は、保持部61と、一対の回転軸62とを含んで構成されている。保持部61は、基材2の上端部と対向し、基材2を上端部において保持するものである。一対の回転軸62は、保持部61の幅方向の両端部に幅方向に突出して形成されており、図示しない構造物に固定された枠部材に対して回転可能に支持されている。太陽電池内蔵建材1−2を幅方向周りに回転させると、垂直面において太陽光の入射方向と基材2とのなす角度を変更することができる。つまり、太陽電池内蔵建材1−2を幅方向周りに回転させると、基材2の向きを太陽の仰角に対応することができる。従って、太陽電池内蔵建材1−2は、時期に拘わらず発電量と透光性とを変化させることができる。
【0026】
図6に示すように、太陽電池内蔵建材1−3は、ルーバーであり、幅方向に複数連続して設けられており、基材2と、球状太陽電池素子3と、一対の回転軸部材7,8とを含んで構成されている。太陽電池内蔵建材1−3は、太陽電池内蔵建材1−1と同様に、基材2内部に、厚さ方向に対して平行に直線状に配列された複数の球状太陽電池素子3からなる太陽電池ユニット5が複数配置されている。一対の回転軸部材7,8は、太陽電池内蔵建材1−3を上下方向周りに回転させるものである。回転軸部材7は、基材2の上端部に設けられており、保持部71と、回転軸72とを含んで構成されている。保持部71は、基材2の上端部と対向し、基材2を上端部において保持するものである。回転軸72は、保持部71の幅方向の中央部から上方向に突出して形成されており、図示しない構造物に固定された枠部材に対して回転可能に支持されている。回転軸部材8は、基材2の下端部に設けられており、保持部81と、回転軸82とを含んで構成されている。保持部81は、基材2の下端部と対向し、基材2を下端部において保持するものである。回転軸82は、保持部81の幅方向の中央部から下方向に突出して形成されており、図示しない構造物に固定された枠部材に対して回転可能に支持されている。太陽電池内蔵建材1−3を上下方向周りに回転させると、水平面において太陽光の入射方向と基材2とのなす角度を変更することができる。つまり、太陽電池内蔵建材1−3を上下方向周りに回転させると、基材2の向きを太陽の方位角に対応することができる。従って、太陽電池内蔵建材1−3は、昼の間、時間に拘わらず発電量と透光性とを変化させることができる。なお、太陽電池内蔵建材1−2,1−3の回転は、手動あるいは自動のいずれで行われても良い。
【0027】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る太陽電池内蔵建材について説明する。図7は、第2実施形態に係る太陽電池内蔵建材を示す図である。図7に示す第2実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−4が図1〜図4に示す第1実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−1と異なる点は、太陽電池ユニット9が厚さ方向に対して傾斜している点である。なお、第2実施形態の基本的構成は、第1実施形態と同一であるので、その説明は省略或いは簡略化する。
【0028】
太陽電池ユニット9は、直線状に間隔をあけて、本実施形態では等間隔に配列して構成されている。太陽電池ユニット9は、基材2内部に、厚さ方向に対して傾斜して配置されている。つまり、太陽電池ユニット9における厚さ方向において隣り合う複数の球状太陽電池素子3は、直線状に厚さ方向に対して傾斜して配列されている。ここで、太陽電池ユニット9の傾斜方向は、厚さ方向において室内側に向かうに伴い、基材2の幅方向において一方の端部から中央部に向かう(同図左側から右側に向かう)方向である。つまり、太陽電池ユニット9は、基材2内部に、厚さ方向に対して傾斜して配置されている。太陽電池ユニット9における複数の球状太陽電池素子3は、厚さ方向から基材2を見た場合に、厚さ方向において隣り合う一方の球状太陽電池素子3と一部が重なり合うように配列されている。各太陽電池ユニット9は、基材2内部において上下方向および幅方向に平行に間隔をあけて、本実施形態では等間隔に複数配置されている。各太陽電池ユニット9は、球状太陽電池素子3が上下方向および幅方向において隣り合う球状太陽電池素子3と、厚さ方向と直交する平面上に位置するように基材2内部において配置されている。つまり、太陽電池内蔵建材1−4は、基材2内部に、複数の球状太陽電池素子3を厚さ方向と直交する平面上に間隔をあけて複数個配置するとともに厚さ方向に間隔をあけて複数個配置したものである。
【0029】
次に、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−4の動作について説明する。なお、第2実施形態における太陽電池内蔵建材1−4の動作は、第1実施形態と同一であるので、その説明は省略或いは簡略化する。
【0030】
例えば、太陽電池内蔵建材1−4を太陽電池ユニット9の傾斜方向が午前の太陽Smから照射される太陽光Lmの入射方向と平行となるように配置した場合は、傾斜方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合が最も小さくなる。つまり、太陽電池内蔵建材1−4に対しては、水平面において傾斜方向が光の透光を重視する透光重視方向となる。従って、太陽光Lmは、大部分が幅方向および上下方向に隣り合う太陽電池ユニット9の間を傾斜方向に通過することで基材2を透過し、室内に入射され、一部が球状太陽電池素子3により遮光され、球状太陽電池素子3が発電する。これにより、太陽電池内蔵建材1−4は、水平面において太陽電池ユニット9の傾斜方向と平行に入射される太陽光に対して透過性が高く、発電量が低くなる。上述のように、水平面において傾斜方向から厚さ方向に向かいさらに厚さ方向を基準に傾斜方向と線対称な反対方向に向かって太陽電池ユニット9を見る方向を変化させると、厚さ方向において隣り合う球状太陽電池素子3が全部重なり合った状態から、一部が重なり合った状態に移行し、最終的に反対方向から見ると離れた状態となる。つまり、水平面において傾斜方向と異なる方向から太陽電池ユニット9に向かう太陽光は、太陽電池ユニット9における複数の球状太陽電池素子3により遮光される比率が高くなり、透過する比率が低くなる。従って、太陽光Lmの入射方向と異なる入射方向である太陽光Ln,Leの入射方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合(太陽光Lnの入射方向から基材2を見た場合の基材2を100%とした割合)が太陽光Lmの場合と比較して高くなる。このことから、太陽電池内蔵建材1−4は、午前の太陽Smから照射される太陽光Lmと太陽電池ユニット9の傾斜方向が平行となるように配置すると、正午、午後に透過性が低く、発電量が多くなり、午前に透過性が高く、発電量が低くなるので、午前における採光を優先しても、正午および午後と発電することができるので、昼の間、時刻に応じて発電量と透光性とを変化させることができる。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−4は、太陽電池ユニット9を厚さ方向に対して傾斜した傾斜方向に配置するので、傾斜方向と異なる方向から太陽光のうち太陽電池ユニット9における複数の球状太陽電池素子3に向かう太陽光の大部分を太陽電池ユニット9における複数の球状太陽電池素子3により遮光することができるとともに、球状太陽電池素子3が球状であるので、板状の太陽電池素子と比較して透光性を確保することができる。従って、発電量と透光性の両立を図ることができる。
【0032】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る太陽電池内蔵建材について説明する。図8は、第3実施形態に係る太陽電池内蔵建材を示す図である。図8に示す第3実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−5が図7に示す第2実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−4と異なる点は、傾斜方向のことなる2つの太陽電池ユニット10,11を有する点である。なお、第3実施形態の基本的構成は、第2実施形態と同一であるので、その説明は省略或いは簡略化する。
【0033】
第1太陽電池ユニット10は、基材2内部に、上記太陽電池ユニット9と同様の傾斜方向である第1傾斜方向に配置されている。第2太陽電池ユニット11は、基材2内部に、第1傾斜方向と厚さ方向を基準に線対称な第2傾斜方向に傾斜して配置される。ここで、第2傾斜方向は、厚さ方向において室内側に向かうに伴い、基材2の幅方向において他方の端部から中央部に向かう(同図右側から左側に向かう)方向である。太陽電池内蔵建材1−5は、第1太陽電池ユニット10が幅方向において隣り合う2つの太陽電池ユニットが第1太陽電池ユニット10、第2太陽電池ユニット11であり、第2太陽電池ユニット11が幅方向において隣り合う2つの太陽電池ユニットが第1太陽電池ユニット10、第2太陽電池ユニット11である。つまり、太陽電池内蔵建材1−5は、幅方向において同一の傾斜方向となる2つの太陽電池ユニットを交互に配置したものとなる。第1,2太陽電池ユニット10,11における複数の球状太陽電池素子3は、厚さ方向から基材2を見た場合に、厚さ方向において隣り合う一方の球状太陽電池素子3と一部が重なり合うように配列されている。各第1,2太陽電池ユニット10,11は、基材2内部において上下方向および幅方向に平行に間隔をあけて、本実施形態では等間隔に複数配置されている。各第1,2太陽電池ユニット10,11は、球状太陽電池素子3が上下方向および幅方向において隣り合う球状太陽電池素子3と、厚さ方向と直交する平面上に位置するように基材2内部において配置されている。つまり、太陽電池内蔵建材1−5は、基材2内部に、複数の球状太陽電池素子3を厚さ方向と直交する平面上に間隔をあけて複数個配置するとともに厚さ方向に間隔をあけて複数個配置したものである。
【0034】
次に、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−5の動作について説明する。なお、第3実施形態における太陽電池内蔵建材1−5の動作は、第2実施形態と同一であるので、その説明は省略或いは簡略化する。
【0035】
例えば、太陽電池内蔵建材1−5を第1太陽電池ユニット10の第1傾斜方向が午前の太陽Smから照射される太陽光Lmの入射方向と平行となり、第2太陽電池ユニット11の第2傾斜方向が午後の太陽Seから照射される太陽光Leの入射方向と平行となるように配置した場合は、傾斜方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合が最も小さくなる。つまり、太陽電池内蔵建材1−5に対しては、水平面において第1傾斜方向および第2傾斜方向が光の透光を重視する透光重視方向となる。ここで、太陽光Lmは、一部が幅方向および上下方向に隣り合う第1太陽電池ユニット10の間や第2太陽電池ユニット11における球状太陽電池素子3の間を第1傾斜方向に通過することで基材2を透過し、室内に入射され、一部が球状太陽電池素子3により遮光され、球状太陽電池素子3が発電する。一方、太陽光Leは、一部が幅方向および上下方向に隣り合う第2太陽電池ユニット11の間や第1太陽電池ユニット10における球状太陽電池素子3の間を第2傾斜方向に通過することで基材2を透過し、室内に入射され、一部が球状太陽電池素子3により遮光され、球状太陽電池素子3が発電する。これにより、太陽電池内蔵建材1−5は、水平面において第1太陽電池ユニット10の第1傾斜方向と平行に入射される太陽光および第2太陽電池ユニット11の第2傾斜方向と平行に入射される太陽光に対して透過性が高く、発電量が低くなるが、上記第2実施形態における太陽電池ユニット9の傾斜方向と平行に入射される太陽光に対する透光性よりも低くなり、発電量が高くなる。つまり、第1傾斜方向および第2傾斜方向と平行な方向の太陽光に対しては、透光性と発電量とのバランスをとることができる。水平面において第1傾斜方向から厚さ方向に向かい、さらに第2傾斜方向に向かって第1,2太陽電池ユニット10,11を見る方向を変化させると、厚さ方向において隣り合う球状太陽電池素子3が一部重なり合った状態から、全部が重なり合った状態に移行し、再び一部が重なり合った状態となる。つまり、水平面において第1傾斜方向および第2傾斜方向と異なる方向から太陽電池ユニット10,11に向かう太陽光は、太陽電池ユニット10,11における複数の球状太陽電池素子3により遮光される比率が高くなり、透過する比率が低くなる。従って、太陽光Lm,Leの入射方向と異なる入射方向である太陽光Lnの入射方向から基材2を見た場合における基材2に対する球状太陽電池素子3の占める割合(太陽光Lnの入射方向から基材2を見た場合の基材2を100%とした割合)が太陽光Lm,Leの場合と比較して高くなる。このことから、太陽電池内蔵建材1−5は、午前の太陽Smから照射される太陽光Lmの入射方向と第1傾斜方向および午後の太陽Seから照射される太陽光Leの入射方向と第2傾斜方向が平行となるように配置すると、正午に透過性が低く、発電量が多くなり、午前、午後に透光性と発電量の両立を図るので、日差しの強い正午の採光を抑制し、昼の間中、発電することができるので、昼の間、時間に応じて発電量と透光性とを変化させることができる。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る太陽電池内蔵建材1−5は、太陽電池ユニット10,11を厚さ方向に対して傾斜した第1傾斜方向と第2傾斜方向に配置するので、第1傾斜方向および第2傾斜方向と異なる方向から太陽光のうち太陽電池ユニット10,11における複数の球状太陽電池素子3に向かう太陽光の大部分を太陽電池ユニット10,11における複数の球状太陽電池素子3により遮光することができるとともに、球状太陽電池素子3が球状であるので、板状の球状太陽電池素子と比較して透光性を確保することができる。従って、発電量と透光性の両立を図ることができる。
【0037】
なお、実施形態では、太陽電池内蔵建材1−1〜1−5をカーテンウォール100のユニット(壁部材)あるいはルーバーとして用いたが本発明はこれに限定されるものではなく、窓部材であってもよい。また、本実施形態では、太陽電池ユニット9,10,11における複数の球状太陽電池素子3を、厚さ方向から基材2を見た場合に、厚さ方向において隣り合う一方の球状太陽電池素子3と離れて配列しても良い。
【0038】
また、上記各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0039】
1−1〜1−5 太陽電池内蔵建材
2 基材
3 球状太陽電池素子
4 電線
5,9〜11 太陽電池ユニット
6〜8 回転軸部材
100 カーテンウォール
101 枠部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基材と、
前記基材内部に配置され、外表面が受光することにより発電する複数の球状太陽電池素子と、
を備え、
複数の前記球状太陽電池素子は、厚さ方向と直交する平面上および厚さ方向において間隔をあけて複数個配列されていることを特徴とする太陽電池内蔵建材。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池内蔵建材において、
複数の前記球状太陽電池素子は、厚さ方向から前記基材を見た場合に、厚さ方向において隣り合う少なくとも一方の前記球状太陽電池素子と離れているあるいは一部が重なり合うように配列されていることを特徴とする太陽電池内蔵建材。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池内蔵建材において、
厚さ方向において隣り合う複数の前記球状太陽電池素子が直線状に配列されることで太陽電池ユニットが複数形成されており、
前記太陽電池ユニットは、厚さ方向に対して傾斜している太陽電池内蔵建材。
【請求項4】
請求項3に記載の太陽電池内蔵建材において、
第1傾斜方向に傾斜する第1太陽電池ユニットと、前記第1傾斜方向と厚さ方向を基準に線対称な第2傾斜方向に傾斜する第2太陽電池ユニットと有し、
前記第1太陽電池ユニットに対して、幅方向あるいは上下方向の少なくとも一方において、隣り合う2つの太陽電池ユニットのうち、一方が第1太陽電池ユニットであり、他方が第2太陽電池ユニットである太陽電池内蔵建材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−146792(P2012−146792A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3421(P2011−3421)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】