説明

太陽電池固定装置

【課題】太陽電池モジュールを屋根に固定する際に、部品点数が少なく、かつ、設置作業を容易に行うこと。
【解決手段】屋根材100上面と平行に、かつ、細長状に形成されたベース部410と、ベース部410の幅方向両端部に第1の長さMだけ垂直方向に延び、その先端が太陽電池モジュール200の下面に接する壁面部420とを有するラック部材400と、ベース部410に着脱自在に取り付けられる支持部510と、支持部510からベース部410に対して垂直方向に第1の長さMより長い第2の長さPだけ突出した突出部520と、突出部520からベース部410と平行に延設され、かつ、太陽電池モジュール200の上面に接するモジュール押さえ部530とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の屋根の上面に設置される太陽電池固定装置に関し、特に部品点数が少なく、設置が容易なものに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根に葺かれる屋根材に太陽電池モジュールを取り付ける方法が知られている。図6は、このような太陽電池モジュールを取り付けるための構造の一例を示す図である。なお、図6中100は屋根材、200は太陽電池モジュールを示している。
【0003】
太陽電池モジュール200は、次のようにして屋根材100上に固定されている。すなわち、基板となる支持金物10が屋根材100の上面側から建物の主要構造部であるトラス等にネジ11によりネジ止めされている。この支持金物10には、太陽電池モジュール200を固定するための長尺枠体30がL字金具20をボルト21,22を介して取付けられている。さらに、長尺枠体30に対して太陽電池モジュール200が取付金具40,50を用いて取り付けられている。
【0004】
このような取付構造であると、支持金具10を屋根材100上面に配置し、ネジ11によって屋根材100上面から屋根下地材に向かってネジこみをした後、L字金具20をボルト21により支持金具10に緊結する。次に、長尺枠体30をL字金具20にボルト22で緊結する。さらに、太陽電池モジュール200を長尺枠体30上に順次配置をしながら、取付金具40,50により固定していく作業を繰り返すこととなる。
【0005】
この他、太陽電池モジュールを専用の枠体に嵌めて、この枠体を金具に取り付ける構造となったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−95281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した太陽電池固定装置には、次のような問題があった。すなわち、太陽電池を固定するために使用する部品が、それぞれ個々の独立した部品であり、部品点数が多くなる。このため、部品コストが高くなるとともに、作業が複雑で設置コストが上昇するという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、太陽電池モジュールを屋根に固定する際に、部品点数が少なく、かつ、設置作業を容易に行うことができる太陽電池固定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の太陽電池固定装置は次のように構成されている。
【0010】
平板状の太陽電池モジュールを屋根材上に固定するための太陽電池固定装置において、
前記屋根材上面と平行に、かつ、細長状に形成されたベース部と、このベース部の幅方向両端部に第1の長さだけ垂直方向に延び、その先端が前記太陽電池モジュールの下面に接する壁面部とを有するラック部材と、
このラック部材のベース部に着脱自在に取り付けられる支持部と、この支持部から前記ベース部に対して垂直方向に前記第1の長さより長い第2の長さだけ突出した突出部と、この突出部から前記ベース部と平行に延設され、かつ、前記太陽電池モジュールの上面に接するモジュール押さえ部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、太陽電池モジュールを屋根に固定する際に、部品点数が少なく、かつ、設置作業を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る太陽電池固定装置を介して屋根の上に取り付けられた太陽電池モジュールを示す平面図。
【図2】同太陽電池固定装置を示す分解斜視図。
【図3】同太陽電池固定装置の要部を示す縦断面図。
【図4】同太陽電池固定装置の要部を示す正面図。
【図5】同太陽電池固定装置の要部の別の例を示す分解斜視図。
【図6】太陽電池固定装置を介して取り付けられた太陽電池モジュールの一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の一実施の形態に係る太陽電池固定装置300を介して取り付けられた太陽電池モジュール200を示す平面図、図2は太陽電池固定装置300を示す分解斜視図、図3は太陽電池固定装置300の要部を示す縦断面図、図4は太陽電池固定装置300の要部を示す正面図である。
【0014】
屋根材100は、板材110を重ね合わせて形成され、屋根下地材(不図示)の上に固定されている。
【0015】
太陽電池モジュール200は、四角枠状のフレーム210と、このフレーム210に支持され、太陽電池セル220とを備えている。太陽電池モジュール200の外観は平板状となる。
【0016】
平板状の太陽電池モジュール200を屋根材100上に固定するための太陽電池固定装置300は、レール状のラック部材400と、このラック部材400の所定箇所に着脱自在に取り付けられるモジュール押さえ具500とを備えている。
【0017】
ラック部材400は、屋根材100上面と平行に、かつ、細長状に形成されたベース部410と、ベース部410の幅方向両端部に第1の長さMだけ垂直方向に延び、その先端が太陽電池モジュール200の下面に接する壁面部420と、この壁面部420からベース部410の平行に延設された鍔部430とを備えている。
【0018】
モジュール押さえ具500は、ラック部材400のベース部410にボルトB及びナットNにより着脱自在に取り付けられる支持部510と、この支持部510からベース部410に対して垂直方向に第1の長さMより長い第2の長さPだけ突出した突出部520と、この突出部520からベース部410と平行に延設され、かつ、太陽電池モジュール200の上面に接するモジュール押さえ部530とを備えている。
【0019】
また、図2,3中600は、金属板製のアース部材を示している。アース部材600は、ベース部材410に対し、支持部510と共にボルトBにより共締めされた平板部610と、この平板部610の一部であって、太陽電池モジュール200の下面に当接する当接部620とを備えている。なお、当接部620は、後述する係合部715に係合することで、後述する化粧カバー700の脱落を防止する機能を有している。
【0020】
さらに、図2,3に示すように、鍔部430とモジュール押さえ部530との間には、化粧カバー700が着脱自在に固定されている。
【0021】
化粧カバー700は、鍔部430とモジュール押さえ部530との間(長さL)に挟持される被挟持部710と、被挟持部710と一体に形成された化粧面720とを備えている。被挟持部710には、ベース部410側に延びる係合部715が形成されている。
【0022】
図2中800は、ラック部材400を屋根材100に取り付けるための取付具を示している。取付具800は、平板状の防水シート810と、この防水シート810の上に設けられたスレート金具820と、このスレート金具820に設けられたボルト830とを備えている。ボルト830は、ラック部材400に設けられた長穴411に挿通され、ナットN、ワッシャWにより締結されて固定される。また、Tはスペーサを示している。
【0023】
このように構成された太陽電池固定装置300は、次のようにして太陽電池モジュール200を屋根材100上に取り付ける。最初に、ラック部材400にモジュール押さえ具500をボルトB及びナットNによって取り付ける。取り付ける位置は、各太陽電池モジュール200の下端面に対応する位置となる。この際、当接部620とラック部材400の先端との間に隙間Sができるように配置する。
【0024】
次に、ラック部材400を取付具800を用いて、図1に示すように、屋根材100の上方から下方に沿って設置する。この際、ラック部材400は太陽電池モジュール200の1枚の幅に対し2本用いる。なお、作業者は、ラック部材400の間の屋根材100上を足場として、作業を進めることができる。
【0025】
次に、化粧カバー700の被挟持部710を、ラック部材400の鍔部430の上面とモジュール押さえ具500のモジュール押さえ部530の下面との間に嵌め込む。この時、係合部715が隙間Sに入り込んで、当接部620と係合する。
【0026】
次に、作業者は、化粧カバー700の位置を下側にして足場を確保し、太陽電池モジュール200を鍔部430上面とモジュール押さえ部530の下面との間に嵌め込む(図3中左側の太陽電池モジュール200)。この時、太陽電池モジュール200は下端部を支持されるため、仮止めしなくても、安定して支持される。さらに、太陽電池モジュール200の下面には当接部620が当接することで、アースが確保される。
【0027】
次に、上側に位置する太陽電池モジュール200を嵌め込む(図3中右側の太陽電池モジュール200)。同様にして、太陽電池モジュール200を嵌め込んで上端まで設置を行う。
【0028】
このため、作業者は下側から上側にかけて順次太陽電池モジュール200を嵌め込むだけで良いので、足場を確保することができ、容易に施工を行うことができる。
【0029】
上述したように、本発明の一実施の形態に係る太陽電池固定装置300によれば、太陽電池モジュール200を屋根材100上に取り付ける際に、部品点数が少なく、かつ、設置作業を容易に行うことが可能となる。また、アースも容易にとることができ、引き廻す配線の数を減らすことができる。さらに、太陽電池モジュール200の厚さが製品によって異なる場合であっても、モジュール押さえ具500を取り替えることで、ラック部材400を共通部品としたまま容易に対応することができる。
【0030】
図5は、上述した太陽電池固定装置300に組み込まれた取付具800の変形例に係る取付具900を示す分解斜視図である。なお、図5において図2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0031】
取付具900は、屋根材として瓦120を用いた場合に用いるものである。取付具900は、瓦板910と、この瓦板910に取り付けられた瓦用金具920と、この瓦用金具920に設けられ、瓦120に設けられた孔121に挿通されるボルト921と、このボルト920に取り付けられる瓦キャップ930、瓦水よけシート931、ナットN、ワッシャW等を介して取り付けられている。
【0032】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
太陽電池モジュールを屋根に固定する際に、部品点数が少なく、かつ、設置作業を容易に行うことができる太陽電池固定装置を提供できる。
【符号の説明】
【0034】
100…屋根材、110…板材、200…太陽電池モジュール、210…フレーム、220…太陽電池セル、300…太陽電池固定装置、400…ラック部材、410…ベース部、420…壁面部、430…鍔部、500…モジュール押さえ具、510…支持部、520…突出部、530…モジュール押さえ部、600…アース部材、610…平板部、620…当接部、700…化粧カバー、710…被挟持部、715…係合部、720…化粧面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の太陽電池モジュールを屋根材上に固定するための太陽電池固定装置において、
前記屋根材上面と平行に、かつ、細長状に形成されたベース部と、このベース部の幅方向両端部に第1の長さだけ垂直方向に延び、その先端が前記太陽電池モジュールの下面に接する壁面部とを有するラック部材と、
このラック部材のベース部に着脱自在に取り付けられる支持部と、この支持部から前記ベース部に対して垂直方向に前記第1の長さより長い第2の長さだけ突出した突出部と、この突出部から前記ベース部と平行に延設され、かつ、前記太陽電池モジュールの上面に接するモジュール押さえ部とを備えていることを特徴とする太陽電池固定装置。
【請求項2】
金属板で形成され、前記支持部と前記ベース部に共締めされる平板部と、この金属板の一部であって、前記太陽電池モジュールの下面に当接する当接部とを有するアース部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池固定装置。
【請求項3】
前記壁面部と前記モジュール押さえ部との間には、化粧カバーが着脱自在に固定されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池固定装置。
【請求項4】
前記化粧カバーには、前記壁面部より前記ベース部側に延びる係合部材が設けられ、
前記アース部材の前記当接部は、前記係合部材に係合することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−196029(P2011−196029A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61573(P2010−61573)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(591135794)高島株式会社 (11)
【Fターム(参考)】