説明

太陽電池封止材用シートの製造方法

【課題】本発明は、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが有機過酸化物、多官能性モノマ、シランカップリング剤を均一に、且つ短時間で吸収することができ、さらに太陽電池モジュール作成の際は均一に架橋することができる太陽電池封止材用シートの製造方法を提供する。
【解決手段】エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと、有機過酸化物および多官能性モノマ、シランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上の液体状の添加剤とを原料として用いる太陽電池封止材用シートの製造方法であって、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を25〜40℃の範囲となるように温度調整する温調工程と、
温調されたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに前記液体状の添加剤を攪拌下投入し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめる混合工程と、
混合工程により得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を押出機に供給し、シート状に成形する成形工程とを有することを特徴とする、
太陽電池封止材用シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池封止材用シート製造法に関わり、特に、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと有機過酸化物、多官能性モノマ、シランカップリング剤を均一に、且つ短時間で混合することができ、かかる製造方法により得られた太陽電池封止材用シートは太陽電池モジュールを作成する際に均一に架橋することから、好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、様々な開発が進められている。近年の太陽電池モジュールの性能向上は著しく、且つ、価格低下も進んでおり、国や自治体が住宅用太陽電池システムの導入促進事業を進めてきたことから、その普及が著しく進んでいる。このような太陽電池の市場拡大を背景に、太陽電池モジュール生産においては、より一層の生産性の向上が求められている。
太陽電池は、一般に、ガラス基板とバックシートとの間に、封止材シートにより、太陽電池セルを封止した構成を採っている。例えば太陽電池モジュールとして主流である結晶シリコン型太陽電池の場合、ガラス基板、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる封止材シート、太陽電池セル(シリコン発電素子)、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる封止材シート及びバックシートの順に積層され、真空ラミネータを用い積層体を真空下で加熱することで封止材シートを加熱溶融、架橋硬化させることにより、気泡なく接着された太陽電池モジュールが製造される。
【0003】
上記太陽電池封止材用シートは、有機過酸化物を含有するエチレン酢酸ビニル共重合体からなり、有機過酸化物として、ジアルキルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル及びパーオキシケタール等を配合したものが一般に用いられている。
【0004】
エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに添加剤を混合する場合、有機過酸化物を分解させずに混練する必要があるため、有機過酸化物の分解温度以下にて混練を行わなければならず、それ故にエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと添加剤とを単に押出機に供給して溶融混練しただけでは添加剤をエチレン酢酸ビニル共重合体中に均一に混合させることは困難である。そこで、例えば特許文献1には、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと有機過酸化物をタンブラーミキサーに供給し、ペレットを25〜45℃となる様に加熱しながら添加剤を吸収させた後、押出機に供給するという方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−258436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記方法を用いて作製したシートやそのシートを用いて製造した太陽電池モジュールは性質にばらつきが生じ易く、また、ペレット同士が合着して原料ホッパから排出不可になったり、一時的に生産が止まったりすることがあった。
さらに、上記方法ではエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに液体状の添加剤を吸収せしめるために2〜12時間と長時間を要し、生産性の面でも改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況に際し、我々はエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに液体状の添加剤を均一に吸収せしめ、ペレット同士の合着を起こさず、且つ、短時間で液体状の添加剤をエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめる方法について検討を実施した。その結果、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を25〜40℃の範囲となるように温度調整し、温調されたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに前記液体状の添加剤を攪拌下投入し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめることで上記問題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、
エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと、有機過酸化物、多官能性モノマおよびシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上の液体状の添加剤とを原料として用いる太陽電池封止材用シートの製造方法であって、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を25〜40℃の範囲となるように温度調整する温調工程と、
温調されたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに前記液体状の添加剤を攪拌下投入し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめる混合工程と、
混合工程により得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を押出機に供給し、シート状に成形する成形工程とを有することを特徴とする、
太陽電池封止材用シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法によると、短時間で液体状の添加剤を均一に吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得ることができ、また、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体同士の合着が低減されることから、生産性及び得られる製品の品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の太陽電池封止材用シートの製造方法は、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと、有機過酸化物、多官能性モノマ、シランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上の液体状の添加剤とを原料として用いる太陽電池封止材用シートの製造方法であって、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を25〜40℃の範囲となるように温度調整する温調工程と、温調されたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに前記液体状の添加剤を攪拌下投入し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめる混合工程と、混合工程により得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を押出機に供給し、シート状に成形する成形工程とを有することを特徴とする。
本発明で使用するエチレン酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルを共重合したポリマーである。
かかるエチレン酢酸ビニル共重合体において、エチレンに由来する単位構造をエチレン単位、酢酸ビニルに由来する単位構造を酢酸ビニル単位としたとき、本発明に用いるエチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル単位の含有量が15〜40質量%の範囲であることが好ましい。酢酸ビニル単位の含有量とエチレン酢酸ビニル共重合体の融点とは相関関係があり、前記含有量に対応するエチレン酢酸ビニル共重合体の融点は、45〜100℃である。酢酸ビニル単位の含有量の範囲が15質量%に満たないと、これを用いて製造したシートの透明性が減少し、それ故にこれを用いて製造した太陽電池モジュールの発電効率が減少したり、製造したシートが変形し難くなり、それ故にこれを用いて太陽電池モジュールを作製するとセルが割れ易くなり太陽電池モジュールの生産性が低下したりする場合がある。また、酢酸ビニル単位の含有量が40質量%を超えると、融点が45℃より低くなるため、液体状の添加剤をエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収させる際にエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士及び/または添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体が温調工程で合着し易くなり、合着した場合には成形工程で押出機への供給に支障をきたし生産性が悪くなったり、そのように合着した添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を用いたときには液体状の添加剤を吸収した量が異なるペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体が短時間で大量に押出機内に投入されることとなるので、混合工程で液体状添加剤の吸収が不均一となるため結果としてシート面内において液体状添加剤の含有状態が不均一なものとなったりする場合がある。
【0010】
本発明において、ペレットとは、直径または一辺が2mmから5mm程度の塊状の樹脂原料のことを言う。
【0011】
本発明の製造方法の温調工程においては、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を25〜40℃の範囲となるように温度調整する。エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度が25℃に満たないと、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに液体状の添加剤を吸収させるために長時間を要し生産性が悪くなるため好ましくなく、40℃を超えるとエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士が合着し、それゆえに生産性が悪くなるため好ましくない。ここで、ペレットの温度とは、ペレットの、外気に触れる部位の温度を言うものとし、接触式温度計をペレットに接触させることによって測定する。
【0012】
本発明の製造方法の温調工程におけるエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度の調整方法は、適用する装置の形状と密接に関係し、ヒータからの輻射や熱風などにより直接的に加熱する方法、温調工程にて用いる装置が容器状の場合はエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを入れた容器の周囲を二重缶構造として温調水等の熱媒を供給し、容器の周囲からの伝熱により間接的に加熱する方法など、従来公知の方法を用いることができる。 本発明の製造方法の温調工程に適用する容器が、ホッパである場合(温調工程に適用する容器の一部としてホッパが含まれる場合を含む)、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットをホッパ内に投入する際に、ホッパ内に熱風を投入してエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度調整を行うことができる。この場合、ホッパの直径(以降単に、ホッパ径と記す)Dは、大きすぎると熱風が行き渡らずエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度ムラが大きくなり、小さすぎると、ホッパ内に投入できる風量が少なくなり加熱に長時間を要するため、400〜1000mmの範囲が好ましい。また、ホッパ径Dと、ホッパの高さLの比L/Dは、1.2〜1.5の範囲であることが好ましい。L/Dが1.2を下回ると、Dが上記の範囲では、一度に加熱するエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの量が少なくなり、その結果、生産性が悪くなる場合があり、1.5を上回ると、ホッパ底部のペレットにかかる荷重が大きくなり、その結果、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士が合着する場合がある。ホッパ内に供給する熱風の風量の範囲は、空塔速度で0.2〜0.3m/secの範囲が好ましい。0.2m/secを下回ると熱風が偏流し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを均一に加熱することができない場合があり、0.3m/secを超えると、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが風に舞い熱伝達が悪くなり、その結果、加熱に長時間を要する場合がある。ホッパに供給する熱風の温度範囲は30〜40℃が好ましい。30℃を下回るとエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度が25〜40℃の範囲に到達しない場合があり、そのような場合には混合工程でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが液体状の添加剤を吸収するために長時間を要する場合があり、40℃を超えるとエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士が合着し、ホッパから排出できなくなる場合がある。ホッパ内での加熱時間の範囲は0.5〜2時間が好ましい。0.5時間を下回るとエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット毎に温度ムラが生じる場合があり、2時間を超えるとペレット同士が合着し、ホッパからの排出ができなくなる場合がある。熱風には、加熱した外気、もしくはドライエアーを用いるのが好ましい。また、ホッパの壁面近くのエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが中心部と比較して温まりにくいので、ホッパの外周に断熱材を巻く、もしくはホッパの壁面を温水で加熱することは好ましい態様の一つである。
ヒータを用いて加熱する場合は、ヒータに面している部分が加熱されるため、例えばベルトの上にエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを拡げた状態で搬送しながら連続的に加熱することが好ましく、ホッパなどの容器内にヒータを設置する場合は、温度ムラが発生しないようにエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを攪拌しながら加熱することが好ましい。
ベルトの上にエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを拡げた状態で搬送しながら連続的に加熱する場合、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットのベルトの上での厚みは25〜50mm、ベルトの幅長さは15〜25cm、搬送速度は0.6〜1.0cm/s、ヒータ位置はベルト上面から25〜35cm程度離した位置が好ましい。使用するヒータは、エチレン酢酸ビニル共重合体が効率よく吸収する波長の電磁波を放射する遠赤外線ヒータ(セラミックヒータ)が好ましく、その中でもアルミナ型、窒化珪素型が好ましい。ヒータ温度は、300〜350℃が好ましい。
ホッパ内に投入したエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを、ホッパを二重缶構造にし熱媒を用いて加熱する場合、熱媒は熱伝達効率の大きい水が好ましい。水温35〜40℃、水量は、ホッパ内部の温度ムラを小さくするため、ジャケット内部を満たしていることが好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットはホッパ内の外周部から温まっていくので、ホッパ内でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度ムラを小さくするために撹拌しながら加熱することが好ましい。
次に、混合工程について説明する。本発明における混合工程に用いる混合機は、既知のものを用いることができる。一般に混合機とは、容器そのものが回転することによりエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと液体状の添加剤を混合する容器回転型、容器そのものは回転しないが、容器内に設けた攪拌機によってエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと液体状の添加剤を混合する撹拌型がある。また、撹拌型にも、ブレードが撹拌軸を中心に回転することで撹拌を行うブレード型ミキサー、中心軸から偏芯させたブレードを回転させると共に容器を中心軸の周りに回転させることでブレードを自公転させることにより撹拌を行うスパイラルミキサーがある。これらの混合機の具体的な例としては、容器回転型としては、タンブラーミキサー、コニカルブレンダー、Vブレンダーなどが、攪拌型混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、リボンミキサーなどが挙げられる。尚、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンミキサーはブレード型ミキサーに、ナウターミキサーはスパイラルミキサーに分類される。これらの中でも、安全性の観点から、攪拌型混合機を用いることが好ましい。スパイラルミキサーは、公転によってホッパ底部のエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを上部に持ち上げ、自転によってエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを平面方向へ撹拌する。高さの大きいホッパに対しては、ブレード型ミキサーより、スパイラルミキサーを用いることが好ましい。
攪拌型の混合機においては、攪拌時のせん断発熱によりエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士を合着させないため、また、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが破砕され微粉末を発生させないため、攪拌部の回転の仕方や速度が重要である。スパイラルミキサーを用いる場合、スクリューの回転速度(自転の速度)は80〜180rpmの範囲が好ましい。80rpmを下回ると撹拌が不十分になり、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの液体状の添加剤の吸収にムラが生じ、180rpmを超えると剪断速度が大きくなり、剪断を受けることにより発熱し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士が合着するおそれがあり、また、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが粉砕されることにより比表面積が大きいものが生じ、比表面積の大きいものは液体状の添加剤を吸収する速度が比表面積の小さいものに対して相対的に大きいため、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの液体状の添加剤の吸収にムラが生じる場合がある。公転の速度は、1.2〜8.0rpmの範囲が好ましい。1.2rpmを下回ると撹拌が不十分になり、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの液体状の添加剤の吸収量にムラが生じ、8.0rpmを超えると、平面方向の撹拌が不十分な状態でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを上部へ送るため、撹拌が不十分となり、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの液体状の添加剤の吸収にムラが生じる場合がある。容器の形状、羽根の枚数、形状等、剪断発熱やエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの粉砕が起こらない範囲であれば特に指定はないが、生産設備の設計のし易さや、温度上昇によるエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット同士の合着を防止する目的から、羽根の枚数は1〜2枚、形状はプロペラ型、タービン型、パドル型、リボン翼型、門形翼型、もしくはアンカー型が好ましい。
本発明における混合工程で用いる混合機は保温機構を有することが好ましい。混合機の保温は、温度低下を防止する目的であり、ヒータなどを用いる必要はなく、混合機の外周を二重構造とし温調水を流す、混合機に保温材を巻き付けるなどの方法が好ましい。混合工程での処理後の、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度が30〜40℃となるように混合機内部の壁面温度を設定することが好ましく、混合機内部の壁面の温度は30〜45℃程度が好ましい。
本発明における混合工程での撹拌時間は、短ければエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが液体状の添加剤を吸収せず、また、長すぎるとこの過程が生産速度を律速し、生産速度を低下させるおそれがあるため、10〜60分程度とすることが好ましい。
このようにして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体は、成形工程において、押し出し機に供給され溶融混練され、押し出し機に接続されたダイから、ダイ直下に設置された冷却ロール状に押し出しすことによってシート状に成形される。
次に本発明の太陽電池封止材用シートの製造に用いる原料について説明する。
なお、本発明で使用するエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットとしては、サイズは一辺が2〜5mmのものが好ましく、かさ密度が0.55〜0.75g/cmであれば特に限定されないが、円柱、角柱、球状、半球状、円錐、角錐、多角体、のいずれかが好ましい。また、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの比表面積は、液体状の添加剤を吸収する速度を左右する場合があるので、1.3×10−3〜6.5×10−3/gの範囲であることが好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの比表面積が6.5×10−3/gより大きいと、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレット間の接触面積が大きくなり、ペレットの合着が起こりやすくなる。一方、比表面積が1.3×10−3/gより小さいと液体状の添加剤を吸収する速度が小さくなり生産性が低下する。
又、本発明で樹脂組成物を製造する際に使用する有機過酸化物、多官能性モノマ、シランカップリング剤は、撹拌器内においてエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収させる条件下にて液状である。なお、有機過酸化物、多官能性モノマ、シランカップリング剤は、攪拌器内において加熱されなくとも常温、常圧下にて液体であってもよいし、加熱されない状態において固体状であっても、撹拌器内においてエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに有機過酸化物を吸収させる条件下にて融解して液体となっていればよい。
【0013】
本発明に用いる有機過酸化物は、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、封止材シートを製造する時の温度、太陽電池モジュールを作成するときの加熱・貼り合わせ温度、貯蔵安定性などを考慮して選択される。この有機過酸化物の例としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、コハク酸パーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレートなどを挙げることができる。これらの有機過酸化物は二種以上組み合わせて含有しても良い。これらの有機過酸化物の含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレット100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部、特に好ましくは0.1〜2質量部の範囲であることが好ましい。有機過酸化物の含有量が0.1質量部を下回るとエチレン酢酸ビニル共重合体を架橋させることが出来ず、5質量部を超えて含有した場合、未分解の有機過酸化物がシート中に残存し、経年劣化の原因となる可能性がある。架橋剤の状態について、常温で固体状でもエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが吸収する際に液体状であればよく、具体的には、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが吸収する際に粘度が0.2〜40(cP)の範囲であればよい。
【0014】
本発明を用いて製造する太陽電池封止材用シートは、更に架橋助剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤などを含んでいても良い。
架橋助剤は、分子内に複数個の不飽和結合を有する多官能性モノマであり、有機過酸化物の分解によって発生した活性ラジカル化合物と反応し、エチレン酢酸ビニル共重合体を均一に、効率よく架橋させるために用いられる。これらの架橋助剤の例としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらの架橋助剤は、それぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。なお、上記において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する(以下同じ)。
【0015】
これらの架橋助剤の中でも、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらの架橋助剤の含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.3〜3質量部の範囲である。5質量部を超えて含有しても、効果の向上はわずかであり、コストアップ要因となる。架橋助剤の状態について、常温で固体状でも混合工程において液体状であればよく、具体的には、混合工程において粘度が0.2〜40(cP)の範囲であればよい。
シラン系カップリング剤は、封止材シートと、太陽電池セル、バックシート、ガラスなどとの接着性を向上させるために使用する。シラン系カップリング剤の含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲である。0.01質量部を下回ると含有効果が無く、5質量部を超えて含有しても分散性向上効果はそれ以上向上しない。シラン系カップリング剤としては特に限定されるものではないが、例えばメタクリロキシ基、アクリロキシ基、エポキシ基、メルカプト基、ウレイド基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物が挙げられる。その具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのメタクリロキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリロキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂との相溶性の観点からメタクリロキシ基含有アルコキシシラン化合物が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがさらに好ましい。シランカップリング剤の状態について、常温で固体状でも混合工程において液体状であればよく、具体的には、混合工程において粘度が0.2〜40(cP)の範囲であればよい。
【0016】
本発明を用いて製造する封止材シートには、更に紫外線吸収剤を含有することがより好ましい。紫外線吸収剤は、照射光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものである。紫外線吸収剤としては、既知のものを用いることができる。例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系などを使用することができる。これらの1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせ使用してもよい。
【0017】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(2−ヒドロキシエチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0018】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等、あるいは2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、3,3−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}プロパン、2,2−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}ブタン、2,2’−オキシビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルフィド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホキシド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホン、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕アミン等が挙げられる。
【0019】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
【0020】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
【0021】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0022】
これらの紫外線吸収剤の中でもベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が紫外線吸収効果と、紫外線吸収剤そのものの着色の観点から最も好ましい。
【0023】
上記の紫外線吸収剤は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.1〜3質量部、より好ましくは0.1〜2.0質量部の範囲で使用することが好ましい。含有量が0.1質量部下回ると含有効果が低く、3質量部を超えると着色傾向となる。
【0024】
本発明を用いて製造する封止材シートには、更に光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤は、ポリマーに対して有害なラジカル種を補足し、新たなラジカルを発生しないようにするものである。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。
【0025】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキサイド及びオクタンの反応生成物70質量%とポリプロピレン30質量%からなるもの、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンと上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物などが挙げられる。上述したヒンダードアミン系光安定剤は、一種で用いられてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
これらの中でも、ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、並びにメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを用いるのが好ましい。また、ヒンダードアミン系光安定剤は、融点が、60℃以上であるものを用いるのが好ましい。
【0027】
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0.1〜3.0質量部、より好ましくは0.1〜2.0質量部とするのが好ましい。含有量が、0.1質量部未満では、安定化効果が不十分であり、3.0質量部を超えて含有しても着色やコストアップの要因となるだけである。
【0028】
その他、本発明の効果を阻害しない範囲内で、既知の添加剤として、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、着色剤などを必要に応じて含有しても良い。
【0029】
また、これらが液体の場合は混合機内に投入し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめてもよく、固体の場合は押し出し機に直接添加しても構わない。
【実施例】
【0030】
実施例において、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに液体状添加剤としてトリアリルイソシアヌレートをブレンドして得た樹脂組成物について確認を行った。
【0031】
トリアリルイソシアヌレートは他の液体状添加剤に比べエチレン酢酸ビニル共重合体との相溶性が悪く、含浸しづらい。そのため、トリアリルイソシアヌレートがエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに十分吸収される条件は、他の液体状添加剤もエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに十分吸収される条件と見なすことができる。
実施例比較例で用いた評価方法について説明する。
1.ガスクロマトグラフィーによるトリアリルイソシアヌレートの定量方法
ガスクロマトグラフィーは化合物の同定・定量に用いられる機器分析手法の1つであり、気化しやすい化合物に対して用いられる。注入口からサンプルをシリンジ等で打ち込み、高温の気化室でサンプルを気化させ、キャリアガスによってカラムへ移動し、その後サンプルがカラムに吸着する。このサンプル注入から吸着までの時間を保持時間と呼び、この保持時間が化合物によって異なるため、化合物を区別することができる。また、カラム出口に検出器が設置されており、この検出器で化合物の量を同定する。化合物の同定方法について、例えば、FIDでは、吸着した化合物を水素炎中で燃焼することにより発生するプラズマ電子を検知することで化合物量を同定する。
(1)試料を約0.05g又は約0.1g秤量し、メスフラスコ中でクロロホルム2mlを加えて溶解した。次にメタノールを徐々に加えて5mlに定容した。ポリマーが析出したため、遠心分離(3000rpm×5min)後、上澄み液をガスクロマトグラフに注入し、測定した。
(2)標準液
トリアリルイソシアネート24.7mgをメスフラスコに採取し、クロロホルム:メタノール=2:3混合溶媒を加えて20mlに定容したものを標準原液(1240mg/ml)とした。この標準原液を同混合溶媒で順次希釈して標準液を調整した。
(3)ガスクロマトグラフィー測定条件
カラム:HP−1 長さ 30m 内径 0.32mm 膜厚 0.25mm
オーブン温度:690℃(hold 2min)→280℃(at 20℃/min hold 3min)
キャリヤガス(He):2.5ml/min
検出器:FID
H2・Air:40ml/min・400ml/min
メイクアップガス:30ml/min
検出器温度:280℃
注入量:1ml、split 1/10
注入温度:250℃
ガスクロマトグラフ 型式:HP6890 (Agilent製)
2.エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度
加熱ホッパ底部の中心に接触式温度計を仕込み、接触するエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を測定した。
3.添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度
混合機底部の中心に接触式温度計を仕込み、接触するペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度を測定した。
(実施例1)
容量50L、ホッパ径400mmのホッパに25kgのエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット(VA含有率28wt%、融点71℃)を仕込み、前記ホッパ内で風量1.5m/min、温度40℃の熱風でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを1時間加熱した結果、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度は34〜40℃(中心部40℃、外周部34℃)になった。
【0032】
このようにして温度を調整したエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット100重量部を、内容積が50Lで、内部に設けられたスクリューが自転とともに公転するナウターミキサーに供給した。なお、ミキサーの外周部は二重構造とし、二重構造の内部に45℃の温調水を流し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度の低下を防ぐようにした。エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを供給した後、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン1質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.1質量部、トリアリルイソシアヌレート2質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5重量部を添加し、ナウターミキサーのスクリュー軸の自転速度が100rpm、公転速度が3rpmにて60分間混合した。混合終了後の添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は38℃であった。
こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を2軸押出機に供給して太陽電池封止材用シートを得た。具体的には、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、80℃に設定した2軸押出機に供給して溶融混練し、2軸押出機に接続され且つ105℃に保持されたTダイから液体状添加剤含浸シートを押出した。この時、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.3質量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート0.1質量部はそれぞれスクリューフィーダーにて押出機に供給し、上記添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体と共に溶融混練し、厚さが500imの太陽電池封止材用シートを得た。
ここにおいて、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体をナウターミキサーから排出し、押出機に供給する際、4回に分割して排出を行い、各排出時に添加剤を吸収したエチレン酢酸ビニル共重合体を約100mg採取し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
(実施例2)
熱風温度を35℃としたこと以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した結果、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度は32〜35℃(中心部35℃、外周部32℃)になった。こうして得られたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット100質量部を、ミキサー外周部の二重構造部に流す温調水の温度を35℃とした以外は実施例1と同じ条件で液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は34℃だった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例1と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例1と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
【0033】
(実施例3)
熱風温度を30℃としたこと以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した結果、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度は28〜30℃(中心部30℃、外周部28℃)になった。こうして得られたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット100質量部を、ミキサー外周部の二重構造部に流す温調水の温度を35℃とした以外は実施例1と同じ条件で液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は31℃だった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例1と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例1と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
【0034】
(実施例4)
実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ナウターミキサー内での混合時間を30分としたこと以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は38℃になった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例1と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例1と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
(実施例5)
実施例2と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ナウターミキサー内での混合時間を30分としたこと以外は実施例2と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は33℃になった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例2と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例2と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
【0035】
(実施例6)
実施例3と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ナウターミキサー内での混合時間を30分としたこと以外は実施例3と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は30℃となった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例3と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例3と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
(実施例7)
実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ナウターミキサー内での混合時間を10分としたこと以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は37℃になった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例1と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例1と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
(実施例8)
実施例2と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ナウターミキサー内での混合時間を10分としたこと以外は実施例2と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は33℃になった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例2と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例2と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
(実施例9)
実施例3と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ナウターミキサー内での混合時間を10分としたこと以外は実施例3と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は30℃になった。こうして得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を、実施例3と同じ条件でシート化し、厚み500imの太陽電池封止材用シートを得た。また、押出機に供給する際、実施例3と同様にして添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体に含まれるトリアリルイソシアヌレートの定量分析を行った。この結果を表1に示す。各抜き出し時、それぞれほぼ同量のトリアリルイソシアヌレートを含有していた。
これら実施例の結果を表2にまとめる。
(比較例1)
熱風温度を45℃に設定した以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した結果、ブロッキングが起こり、ホッパからの排出が困難となった。この時、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度は41〜45℃(中心部45℃、外周部41℃)だった。
(比較例2)
熱風温度を20℃に設定した以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した結果、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度は17〜20℃(中心部20℃、外周部17℃)になった。こうして得られたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット100質量部を、ミキサー外周部の二重構造部に流す温調水の温度を30℃とした以外は実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は22℃だった。また、得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体は未含浸の液体状の添加剤でべとついており、シートの製造に用いることができない状態だった。
(比較例3)
実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、ミキサー外周部の二重構造部に流す温調水の温度を70℃とした以外は実施例1と同じ条件で液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は46℃だった。また、得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体はブロッキングを起こしており、排出不可能だった。
(比較例4)
実施例1と同じ条件でエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを加熱した後、混合時間を5分としたこと以外は実施例1と同じ条件で液体状の添加剤と混合し、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を得た。混合終了後、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度は37℃だった。また、得られた添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体は未含浸の液体状の添加剤でべとついており、シートの製造に用いることができない状態だった。
これら比較例の結果を表3にまとめる。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、太陽電池封止材用シートの製造方法に非常に好適に用いることが出来る。特に、予め加熱を行っているため液体状の添加剤をエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットが短時間で吸収することができ、また、上記理由によりエチレン酢酸ビニル共重合体のペレット毎の熱ムラが小さく、ブロッキングを低減することができ、そのため、太陽電池封止材用シートの生産性を著しく向上させることができる。また、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレット毎の熱ムラが小さいことにより、液体状の添加剤をエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを均一に吸収することができるため、モジュール製造時の封止ムラを小さくできるのでモジュールの生産性を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと、有機過酸化物、多官能性モノマおよびシランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上の液体状の添加剤とを原料として用いる太陽電池封止材用シートの製造方法であって、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの温度を25〜40℃の範囲となるように温度調整する温調工程と、
温調されたエチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに前記液体状の添加剤を攪拌下投入し、エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットに吸収せしめる混合工程と、
混合工程により得られた、添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体を押出機に供給し、シート状に成形する成形工程とを有することを特徴とする、
太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項2】
前記液体状の添加剤が、有機過酸化物、多官能性モノマ、及び、シランカップリング剤を含む、請求項1記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項3】
前記エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットを予め、熱風、ヒータおよび熱媒から選ばれる何れか一つ以上の手段を用いて加熱し、しかる後に内部壁面を保温した容器型混合機に供給して温度調整を行う、請求項1または2に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項4】
前記エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットの加熱方法が、熱風による加熱である、請求項3に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項5】
前記エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと前記液体状の添加剤とを混合機内で混合し、前記液体状の添加剤を吸収したペレット状のエチレン酢酸ビニル共重合体の温度を25〜40℃の範囲となるように混合機を保温して温度調整を行う、請求項1〜4何れかに記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。
【請求項6】
前記エチレン酢酸ビニル共重合体のペレットと前記液体状の添加剤とを混合機内で攪拌する時間が10〜60分の範囲内である、請求項5に記載の太陽電池封止材用シートの製造方法。

【公開番号】特開2013−75414(P2013−75414A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216289(P2011−216289)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】