説明

太陽電池搭載屋根模型

【課題】瓦材と太陽電池モジュールとの取り合いを身近に見て太陽電池搭載屋根の意匠性を容易に把握することができ、しかも使い勝手の良好な太陽電池搭載屋根模型を提供する。
【解決手段】この屋根模型1は、太陽電池モジュールを搭載した屋根を簡略化して再現したものであって、外装ケース2内に瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22とを並設した状態で収めて、全体的に略パネル状としたシンプルで携帯性に優れた構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池モジュールを搭載した屋根を簡略化して再現した携帯可能な太陽電池搭載屋根模型に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールを屋根に搭載して、太陽光発電により電力を得るようにした太陽光発電システムを導入した住宅が増加している。この太陽光発電システムは、省エネルギー対策として有効であり、二酸化炭素を排出しないクリーンなシステムとして注目されている。
【0003】
住宅メーカー等の住宅供給者は、専門知識を持たない住宅購入予定者等に対して太陽光発電システムの特徴や性能を理解してもらうために、例えば展示場等に展示してある太陽光発電システムを導入した実際の住宅を見学してもらったり、カタログや写真、発電量や光熱費等の各種データ、太陽電池モジュール単体のサンプルを提示して説明していた。
【0004】
また、例えば特許文献1〜4にも開示されているように、太陽光発電システムを組み入れた各種の住宅模型を用いて説明することもあった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−280033号公報
【特許文献2】特開2000−181341号公報
【特許文献3】特開2000−172168号公報
【特許文献4】特開2000−172167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、屋根への太陽電池モジュールの搭載に際して、太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを良好にして一体感を持たせることで、意匠性を高めた美しいシルエットの太陽電池搭載屋根が提案されており、太陽光発電システムの特徴や性能だけでなく、屋根自体の意匠性の高さもアピール要因の1つとなっている。
【0007】
しかしながら、上記のように実際の住宅を見学してもらう場合には、住宅予定購入者等に展示場まで出向いてもらう必要があってタイミングが難しく、しかも下から見上げて屋根を見ることになるから、屋根における太陽電池モジュールと瓦材との取り合いまでも確認することが困難であった。足場を使用して屋根上まで案内することもあるが、安全性に問題があった。
【0008】
また、カタログや写真、各種データ、太陽電池モジュール単体のサンプルを提示するだけでは、太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを十分に確認することができず、この場合も太陽電池搭載屋根の意匠性を把握し難かった。
【0009】
すなわち、実際の住宅を見学してもらう場合や、カタログや写真、各種データ、太陽電池モジュール単体のサンプルを提示する場合には、太陽光発電システムの特徴や性能については十分に理解することはできても、太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを十分に確認することができず、太陽電池搭載屋根の意匠性については今一つ理解が得られないといった問題があった。
【0010】
一方、住宅模型を用いる場合には、太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを身近に見て確認することができ、太陽電池搭載屋根の意匠性についての理解度を深めることができる。
【0011】
しかしながら、住宅模型は、大掛かりな構造となっていて、模型全体の外形が大きく、また重量も大きくなることから、例えば住宅メーカーの営業マン等が手軽に持ち歩いて、住宅購入予定者に対して場所を選ばずに簡単に提示するといったことが困難で、使い勝手が悪いという問題があった。
【0012】
この発明は、上記不具合を解消して、太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを身近に見ることができて、太陽電池搭載屋根の意匠性を容易に把握することができ、しかも使い勝手の良好な太陽電池搭載屋根模型の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の太陽電池搭載屋根模型1は、太陽電池モジュールを搭載した屋根を簡略化して再現した携帯可能なものであって、外装ケース2内に、真正若しくは模擬の瓦材11、12と、真正若しくは模擬の太陽電池モジュール21、22とを並設した状態で収めて、全体的に略パネル状に形成したことを特徴としている。
【0014】
具体的に、前記外装ケース2に支持脚51を設け、この支持脚51は、前記外装ケース2から張り出して、前記瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22の両表面によって構成される仮想屋根面61が屋根勾配に合わせた状態となるように、前記外装ケース2を設置可能とする使用状態と、前記外装ケース2に沿った不使用状態とに切換可能とされている。
【0015】
また、前記瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22とをそれら表面が略面一となるように屋根桁行方向を想定した横方向に並設してなる横並び組品81、82を複数備え、これら横並び組品81、82を、屋根勾配方向を想定した縦方向に互いの端部を重ねるようにして階段状に並設している。
【0016】
さらに、前記太陽電池モジュール21、22は、モジュール枠3に模擬の太陽電池セル23を取り付けてなる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の太陽電池搭載屋根模型を用いることで、太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを間近に見ることができ、これによってアピール要因の1つである太陽電池搭載屋根の意匠性の高さを住宅購入予定者等に十分に理解してもらうことができる。特に、この模型の使用に併せて、カタログや写真等を提示したり、太陽電池モジュールの実物を見てもらうことで、イメージがさらに膨らみ、理解度を深めることができる。
【0018】
しかも、この屋根模型は、全体的に略パネル状としたシンプルで携帯性に優れた構造となっているので、例えば住宅メーカーの営業マン等が手軽に持ち歩いて、住宅購入予定者等に対して場所を選ばずに簡単に提示することができ、従来のような住宅模型と比べて、使用性の向上を図ることができる。
【0019】
また、外装ケースに使用状態と不使用状態とに切換可能とされた支持脚を設けることで、仮想屋根面を実際の屋根勾配に合わせるようにして設置することができ、太陽電池搭載屋根の意匠性をより実感することができる。しかも、このような設置を可能としながらも、支持脚を外装ケースに沿ってコンパクトに収めることができ、持ち運びに支障をきたすことなく、また場所を取らずに保管することができる。
【0020】
また、太陽電池モジュールと瓦材を横方向及び縦方向に並設することで、屋根桁行方向及び屋根勾配方向の双方における太陽電池モジュールと瓦材との取り合いを身近に見て確認することができ、屋根の意匠性をより実感することができる。
【0021】
さらに、太陽電池モジュールとして、モジュール枠に模擬の太陽電池セルを取り付けたものを使用することで、真正の太陽電池モジュールを使用するときと比べて、小型軽量で破損等の少ない耐久性に優れた模型とすることができ、しかも製造コストを安価に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る太陽電池搭載屋根模型1は、太陽電池モジュールを搭載した屋根を簡略化して再現した携帯可能な模型である。この模型1は、図1に示すように、外装ケース2内に2枚の瓦材11、12と2つの太陽電池モジュール21、22とを並設した状態で収めて、全体的に略パネル状に形成されている。
【0023】
外装ケース2は、一対の鋼板製の横フレーム31、32と、一対の鋼板製の縦フレーム41、41とを方形枠状に組み付けることによって構成されている。上側の横フレーム31には、化粧カバー33が取り付けられている。縦フレーム41、41は、後述する階段状に並設される横並び組品81、82の側面形状に合わせて、段差状に形成されている。この外装ケース2の縦方向の長さは、例えば600〜800mm、具体的には約700mmとされ、横方向の長さは、例えば400〜600mm、具体的には約500mmに設定されている。
【0024】
なお、外装ケース2は、上記のように方形枠状のものだけに限らず、例えば底板を有する表面側を開放した箱型に形成してもよい。また、縦フレーム41、41及び横フレーム31、32は、鋼板製のものだけに限らず、例えば合成樹脂製として軽量化を図るようにしてもよい。
【0025】
瓦材11、12としては、真正の陶器瓦が用いられている。そして、2枚の瓦材11、12のうち、一方の瓦材11の幅寸法が、他方の瓦材12の幅寸法の約半分とされている。なお、瓦材11、12としては、真正の陶器瓦を用いる代わりに、例えば合成樹脂の模擬瓦を用いて軽量化を図るようにしてもよい。
【0026】
太陽電池モジュール21、22としては、真正のモジュール枠3に模擬の太陽電池セル23を取り付けることによって構成されている。モジュール枠3は、模型の小型軽量化を図るために、方形枠状のものを幅方向に切断したもので、略コ字形に形成されている。太陽電池セル23は、強化ガラスの代替品とした粗面加工が施された透明なポリカーボネート板に、真正の太陽電池セルのカラーコピー紙を貼り付けてなる。カラーコピー紙には、電極に見立てたアルミテープが貼り付けられている。また、ポリカーボネート板へのカラーコピー紙の貼り付けに際しては、透明な両面接着テープを使用して面接着しており、これによってポリカーボネート板とカラーコピー紙との間に空気が入って本物感が損なわれるのを防いでいる。そして、2つの太陽電池モジュール21、22のうち、一方の太陽電池モジュール21の幅寸法が、他方の太陽電池モジュール22の幅寸法の約2倍に設定されている。
【0027】
なお、このような模擬の太陽電池モジュール21、22の代わりに、真正の太陽電池モジュールを使用しても良いが、この場合、真正の太陽電池セルや強化ガラスは切断不可能であって模型の小型軽量化の妨げになり、また持ち運びに際しての耐久性にも問題があり、さらに製造コストも高価となる。そこで、上記のような見栄えや質感を真正の太陽電池モジュールにできるだけ近づけた模擬の太陽電池モジュール21、22を使用して、模型の小型軽量化、耐久性の向上、さらには製造コストの削減を図るようにしている。
【0028】
上記のようにして構成された瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22は、以下のようにして外装ケース2に収められている。すなわち、瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22とをそれら表面が略面一となるように屋根桁行方向を想定した横方向に並設してなる2組の横並び組品81、82を用意する。一方の横並び組み品81は、幅狭の瓦材11と幅広の太陽電池モジュール21とを並設してなり、他方の横並び組品82は、幅広の瓦材12と幅狭の太陽電池モジュール22とを並設してなり、これら横並び組品81、82の外形寸法は同じになっている。
【0029】
そして、これら横並び組品81、82が、屋根勾配方向を想定した縦方向に互いの端部を重ねるようにして階段状に並設した状態で、外装ケース2内に収められている。この収容状態において、階段状の横並び組品81、82の周囲が外装ケース2によって囲まれ、棟側を想定した上側の横並び組品81の上端部が化粧カバー33によって覆われている。このように、太陽電池モジュール21、22と瓦材11、12を横方向及び縦方向に並設することで、屋根桁行方向及び屋根勾配方向の双方における太陽電池モジュール21、22と瓦材11、12との取り合いを再現している。
【0030】
また、外装ケース2には、支持脚51が設けられている。この支持脚51は、板状に形成され、その上端部が外装ケース2に横軸52周りに回転自在に支持されている。そして、この支持脚51は、外装ケース2から張り出して、瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22の両表面によって構成される仮想屋根面61が実際の屋根勾配(例えば5寸勾配)に合わせた傾斜状態となるように外装ケース2を設置可能とする使用状態と、外装ケース2に沿った不使用状態とに切換可能とされている。
【0031】
従って、支持脚51を使用状態とすることで、勾配屋根をよりリアルに再現することができ、支持脚51を不使用状態とすることで、模型1が持ち運び易くなり、また場所を取らずに保管することができる。
【0032】
上記構成の太陽電池搭載屋根模型1を用いることで、瓦材11、12と太陽電池モジュール21、22との取り合いを身近に見て確認することができ、太陽光発電システムの導入に際してのアピール要因の1つである太陽電池搭載屋根の意匠性の高さを住宅購入予定者等に十分に理解してもらうことができる。
【0033】
さらに、太陽電池搭載屋根模型1の使用に併せて、カタログや写真等を提示したり、太陽電池モジュールの実物を見てもらうことにより、イメージがさらに膨らみ、理解度を深めることができる。
【0034】
しかも、模型全体が略パネル状のシンプルで携帯性に優れた構造となっているので、例えば住宅メーカーの営業マン等が手軽に持ち歩いて、住宅購入予定者等に対して場所を選ばずに簡単に提示することができる。
【0035】
図4は、上記の太陽電池搭載屋根模型1を用いて太陽光発電システムの概要を説明するための装置を示している。この装置においては、太陽電池搭載屋根模型1に対して模擬配線71を使用して、カラーモニター72、電球73、風車75を接続してある。そして、太陽光に見立てたライト74や懐中電灯を点灯するとともに、カラーモニター72に発電の様子を表示して、さらに電球73を点灯させたり、風車75を回転させたりすることで、太陽光によって太陽電池が発電することで電力を得て、この電力が照明(電球73)や風車75(各種電化製品)の駆動源となる旨を説明する。これによって、住宅購入者等に太陽光発電システムの仕組みを理解してもらうことができる。
【0036】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加えることは勿論である。
【0037】
例えば、上記実施形態の太陽電池搭載屋根模型においては、2組の横並び組品を階段状に並設していたが、3組以上の横並び組品を階段状に並設してもよく、また階段状に並設することなく、平面状に並設してもよい。また、支持脚を長さ調節可能とすることで、仮想屋根面を任意の屋根勾配に合わせるよう設置可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施形態に係る太陽電池搭載屋根模型の斜視図である。
【図2】支持脚が使用状態のときの太陽電池搭載屋根模型の側面図である。
【図3】支持脚が不使用状態のときの太陽電池搭載屋根模型の側面図である。
【図4】太陽光発電システムの概要を説明するための装置の概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・屋根模型、2・・外装ケース、3・・モジュール枠、11、12・・瓦材、21、22・・太陽電池モジュール、23・・太陽電池セル、51・・支持脚、61・・仮想屋根面、81、82・・横並び組品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを搭載した屋根を簡略化して再現した携帯可能な屋根模型(1)であって、外装ケース(2)内に、真正若しくは模擬の瓦材(11)(12)と、真正若しくは模擬の太陽電池モジュール(21)(22)とを並設した状態で収めて、全体的に略パネル状に形成したことを特徴とする太陽電池搭載屋根模型。
【請求項2】
前記外装ケース(2)に支持脚(51)を設け、この支持脚(51)は、前記外装ケース(2)から張り出して、前記瓦材(11)(12)と太陽電池モジュール(21)(22)の両表面によって構成される仮想屋根面(61)が実際の屋根勾配に合わせた傾斜状態となるように前記外装ケース(2)を設置可能とする使用状態と、前記外装ケース(2)に沿った不使用状態とに切換可能とされている請求項1記載の太陽電池搭載屋根模型。
【請求項3】
前記瓦材(11)(12)と太陽電池モジュール(21)(22)とをそれら表面が略面一となるように屋根桁行方向を想定した横方向に並設してなる横並び組品(81)(82)を複数備え、これら横並び組品(81)(82)を屋根勾配方向を想定した縦方向に互いの端部を重ねるようにして階段状に並設した請求項1又は2記載の太陽電池搭載屋根模型。
【請求項4】
前記太陽電池モジュール(21)(22)は、モジュール枠(3)に模擬の太陽電池セル(23)を取り付けてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池搭載屋根模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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