説明

太陽電池用カバーガラス

【課題】太陽電池用のカバーガラスにおいて、広い幅の黒色セラミック層が形成された風冷強化ガラスとし、カバーガラスの反り量を抑制せしめたものを提供する。
【解決手段】太陽光の受光側面を第1面、その裏面を第2面とする平面状の風冷強化されたガラス板と、ガラス板の第2面上で太陽電池素子とは対向しない部位に形成される黒色セラミック層とを有し、該黒色セラミック層は、黒色顔料を含む低融点ガラスを前記第2面上に風冷強化前の加熱によって焼成して形成したものであり、前記黒色セラミック層の幅は、前記ガラス板の外縁部から、5mm〜200mmであり、前記ガラス板は厚さ2mm〜4mmであり、反り量が0.5%以下であり、破砕した場合の単位面積(100mm×100mm)あたりの破片数が黒色セラミック層に接する部位で且つ太陽電池素子とは対向する部位で40〜800個であり、ガラス板中央部で160〜800個である、カバーガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、太陽電池素子を有する層と、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂などの中間膜層と、カバーガラスとが一体化されたパネル構成を有している。太陽電池素子を有する層は、例えば、特許文献1、2などのように複数の太陽電池素子を配列して一つの層をなしている。また、特許文献3は、強化されたガラス板をカバーガラスとして使用している。そして、太陽電池素子を有する層にある電極を覆い隠すために、カバーガラスに黒色セラミック層を形成し、太陽電池モジュール全体を黒色感のある色味に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−240352号公報
【特許文献2】特開2011−71214号公報
【特許文献3】特開2008−85128号公報
【特許文献4】特開2002−91326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台形や菱形形状の太陽電池モジュールのその端部には、太陽電池素子の無い部分が生じる。このことは特許文献1の図1〜図5からも確認できる。太陽電池素子は黒色基調の色味であるので、太陽電池モジュール全体を黒色感のある色味に調整するためには、このような形状の太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスの太陽電池素子の無い部分に黒色セラミック層を形成しておくことが好ましい。
【0005】
太陽電池素子は、その大きさは10〜20cm角程度であり、台形や菱形形状のモジュールの端部をも黒色基調とするためには、カバーガラスの端部領域にも、太陽電池素子の形状に応じた面積で黒色セラミック層を形成する必要がある。
【0006】
黒色セラミック層の形成時には加熱することが必要なので、ガラス板に黒色セラミック層の前駆層をスクリーン印刷などで形成し、黒色セラミック層を焼成して形成し、その後、加熱を継続し、ガラス板を風冷して強化ガラスとされる。
【0007】
風冷強化ガラス作製、特には平面状の風冷強化ガラスの作製において、風冷強化時に発生する反り量をいかにして抑制するかということが技術的なキーとなる。
【0008】
特許文献4は、本発明とは技術分野が異なるが、表示装置用のフィルター基板ガラス用の強化ガラスにおいて、当該ガラスがマスキング層、すなわち、黒色セラミック層を有する場合には、加熱過程でガラスが変形しやすい、すなわち反りが発生しやすいことを示している。そして、その解決手段として、ガラス基板の縁からの幅を50mm以下とすることを提案している。
【0009】
特許文献3の太陽電池モジュールに使用される強化ガラスは、太陽電池素子を有する層にある電極を覆い隠すために、カバーガラスに黒色セラミックス層を形成しているが、その目的からして、その黒色セラミック層は、ガラス基板の縁から幅50mm以下程度形成すれば十分なものである。
【0010】
台形や菱形形状の太陽電池モジュール全体を黒色感のある色味に調整するためには、風冷強化ガラスの縁部に特許文献3、4よりもずっと広い幅の黒色セラミック層を形成させる必要がある。これは、黒色セラミック層の形成から風冷強化を行うまでの一連の加熱工程で、ガラス板により多くの温度分布をもたらすことになり、結果、得られる風冷強化ガラスの反り量を大きなものとしてしまう。
【0011】
太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスは、太陽電池素子を有する層と中間膜層を介してパネル化されるので、風冷強化ガラスの生成時に反り量を抑制させる必要がある。
【0012】
本発明は、太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスにおいて、該カバーガラスを、広い幅の黒色セラミック層が形成された風冷強化ガラスとし、該カバーガラスの反り量を抑制せしめたものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
風冷強化ガラスの強度は、風冷による冷却開始時のガラス温度を高くすることで上昇する傾向にあるが、この温度を高くしすぎると、ガラスに反りが発生しやすくなる。なぜなら、実際的には、ガラスの風冷強化は、加熱炉内でガラスを搬送ロールで搬送させながら、所定の温度までの加熱が行われるため、ガラスをより高温で加熱することは、搬送ロール間の隙間で、ガラスが自重で垂れ下がるような変形を生じやすくさせ、結果としてガラスに反りを発生させやすくする。
【0014】
ガラスの反りが大きいと、太陽電池モジュールの製造を阻害する。すなわち、ガラスの高強度化と、ガラスの反りの抑制は、相反する要求特性であり、反りの少ない風冷強化ガラスを得ることは一つの技術的な課題である。
【0015】
黒色セラミック層が形成された部分は、他の部分よりもガラス板温度が上昇しやすくなることから、風冷強化時に発生する反り量が大きくなりやすい。本発明で得ようとしている強化ガラスは、ガラス板の縁部から比較的広い幅にて、黒色セラミック層を形成しようとしているものであるから、特許文献3、4の黒色セラミック層が形成された強化ガラスよりも、反り量が大きくなりやすい。
【0016】
本発明者は、ガラス板の縁部から比較的広い幅にて、黒色セラミック層を形成させた風冷強化ガラスの反り量をいかにして抑制するかについて鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
【0017】
すなわち、本発明のカバーガラスは、太陽電池素子を含む太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスであり、太陽光の受光側面を第1面、その裏面を第2面とする平面状の風冷強化されたガラス板と、該ガラス板の第2面上で太陽電池素子とは対向しない部位に形成される黒色セラミック層とを有し、前記黒色セラミック層は、黒色顔料を含む低融点ガラスを前記第2面上に風冷強化前の加熱によって焼成して形成したものであり、前記黒色セラミック層の幅は、前記ガラス板の外縁部から、5mm〜200mmであり、前記ガラス板は厚さ2mm〜4mmであり、「JIS R3206:2003年(強化ガラス)」に準拠して測定した反り量が0.5%以下であり、好ましくは0.3%以下、破砕した場合の単位面積(100mm×100mm)あたりの破片数が、黒色セラミック層に接する部位で且つ太陽電池素子とは対向する部位(すなわち、カバーガラスの可視光透過領域)で40〜800個、好ましくは60〜600個であり、ガラス板中央部で160〜800個、好ましくは200〜600個、であることを特徴とする。
【0018】
風冷強化ガラスでは、ガラス板の表層に圧縮応力層が形成される。このため、ガラスの内部では逆に引っ張り応力が働くため、ガラスが破砕されたときは、この引っ張り応力のためにガラスが小片状に分断され、破片数が大きくなる。風冷によって、よく強化されているガラスほど、破片数の数が大きくなる。本発明では、強化ガラスの破砕時における破片数を上記範囲のものとすることで、太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスとして使用可能な強度を有するものとでき、且つ反り量を0.5%以下と抑制することに奏功した。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスにおいて、該カバーガラスを、広い幅の黒色セラミック層が形成された風冷強化ガラスとし、該カバーガラスの反り量を抑制せしめたものを提供できることから、台形や菱形形状のモジュールであっても、太陽電池モジュール全体を黒色感のある色味に調整することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のカバーガラスが適用された太陽電池モジュールを模式的に表した断面図である。
【図2】本発明のカバーガラスの表面プロファイルを示す一例である。
【図3】本発明のカバーガラスを太陽電池モジュールに適用した一例である。
【図4】平行四辺形状の太陽電池モジュールの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のカバーガラスは、太陽電池素子を含む太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスであり、例えば、特許文献1(特開2005−240352号公報)の図1〜図5に示されるような平行四辺形、三角形、台形、菱形などの形状の太陽電池モジュールに使用される表面パネルとして使用することができる。
【0022】
以下に、図4を参照して、特許文献1にて開示された太陽電池モジュールの一例について紹介する。図4は、平行四辺形状の太陽電池モジュールの一例を示す斜視図である。
【0023】
太陽電池モジュール1は、平面視で平行四辺形状に形成されており、一対の鋭角部分に切り欠き2、2 が形成されている。太陽電池モジュール1は、周囲が枠体3によって構成されており、枠体3の側面には、複数の通気孔4が貫通形成されている。ここで、枠体3の切り欠き2、2の部分の側面にも、通気孔4が形成されている。
【0024】
枠体3の内側上部は、表面パネル5によって塞がれている。この表面パネル5 は枠体3の上面よりも低い位置で枠体に接続されている。そして、枠体3と表面パネル5により構成される凹陥部に嵌め込むようにして、太陽電池アレイ6が固定されている。この太陽電池アレイ6は、多数の方形状の太陽電池セル7が直並列に平面的に接続されてなる集合体である。
【0025】
枠体3の内側の表面パネル5の下部は、下面が解放された空洞状の放熱室が形成されている。太陽光照射により加熱された太陽電池アレイ6の熱は、表面パネル5を通して、この放熱室内に放熱される。加熱された放熱室内の暖気は、通気孔4を通って外部に排出され換気される。
【0026】
以下、図1を参照にして、本発明の太陽電池用カバーガラス10について説明する。図1は、本発明の太陽電池用カバーガラス10を用いた太陽電池モジュール100を模式的に表した断面図である。
【0027】
太陽電池モジュール100は、太陽電池用カバーガラス10の平坦な裏面に、EVA膜(エチレンビニルアセテート膜)などからなる中間膜14を介して太陽電池素子15が積層され、これらの太陽電池素子15に裏面保護材16が積層され、周縁部がアルミなどのフレーム部材17で支持される構造となっている。なお、裏面保護材16としては、アルミ−フッ素樹脂積層体、その他、フィルム状の有機材料、板状の有機材料、無機材料、有機−無機複合材料などが用いられる。
【0028】
図1に示すように、太陽電池用カバーガラス10は、太陽光の受光側面を第1面11と、その裏面を第2面12とする平面状の風冷強化されたガラス板であり、該ガラス板の第2面12上で太陽電池素子15とは対向しない部位に形成される黒色セラミック層13とを有する。
【0029】
カバーガラス10として用いられるガラス板は、ソーダライム系のガラスを用いることができる。ガラス板の厚さは、板厚が2mm〜4mm、好ましくは、2.5〜3.5mmであるものを用いることが特に好ましく、2mmより小さいと強度が不足しやすく、4mmより大きいとガラス板の重量が過度に大きくなる。
【0030】
黒色セラミック層13を形成する方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、大量、安価な生産方法の観点から、低融点ガラス粉末、黒色顔料などを溶剤に混合したペーストをスクリーン印刷し、乾燥させた後、焼き付ける方法を用いるとよい。例えば、ホウ珪酸ビスマスガラス粉末と、酸化銅、酸化マンガン、酸化クロムの何れか1つ以上からなる黒色顔料と、シリカ(SiO2)粉末を主成分とする無機フィラーと、パインオイルなどの溶剤を配合した混合物(ペースト)をスクリーン印刷し、乾燥させて前駆体とし、これを焼成したものを黒色セラミックス層13とすることができる。
【0031】
黒色セラミック層13の厚みは、5〜50μm、より好ましくは5〜45μmとすることが好ましい。5μm未満では、可視光の遮蔽効果が低くなりやすく、また、50μm超では、ガラス板の加熱時の熱吸収が大きくなりやすく、強化ガラスとしたときの反り量の抑制がしがたくなる。さらに、黒色セラミック層の前駆体層の形成時にペーストの溶剤が抜けきらず、黒色セラミック層を焼成する際、溶剤の揮発により、微小なピンホールと呼ばれる孔状欠陥が生じやすくなり、外観品質を悪化させる恐れがある。
【0032】
なお、本発明のカバーガラス10は広い幅の黒色セラミック層13を形成することができ、例えば、黒色セラミック層13の幅は、カバーガラス10の外縁部から、5mm〜200mmとすることができる。
【0033】
また、太陽電池用カバーガラス10の第2面12上には、光の乱反射を抑えるために、図2(後述の実施例参考)に示すような規則的な配列を持つ凹凸パターンの形状を有するガラス板を用いてもよい。
【0034】
具体的に、第2面12には、規則的な配列を持つ凹凸パターンの形状を有し、凹部の最深部を基準としてみたときの凸部の高さが50〜300μmであるガラス板を用いてもよい。なお、ここで言う、凹凸パターンの形状(凸部の高さなど)については、一般的な非接触の表面測定装置(レーザープローブ式非接触三次元測定装置「NH-3N」、三鷹光器株式会社製など)によって測定することができる。このような凹凸パターンをガラス面にスクリーン印刷など黒色セラミック層の前駆体層を形成した場合、凹凸のパターンに応じて得られる黒色セラミックの厚みが変動する。例えば、凹部の黒色セラミック層の厚みは25〜39μm、凸部での黒色セラミック層の厚みは5〜11μmとなったりする。
【0035】
このために、ガラス板の加熱過程で、黒色セラミック層が受ける熱量が場所ごとで一定とすることは難しくなり、より一層、反り量の大きい風冷強化ガラスとなりやすい。しかしながら、本発明では、こうした凹凸パターンを有するガラス板であっても反り量が抑制された風冷強化ガラスを提供することができる。
【0036】
本発明のカバーガラス10は、ガラス融液をロールアウト成形にて板状に製板したガラス板に黒色セラミックの前駆体層が形成し、公知の風冷強化装置(図示せず)によって、黒色セラミック層の焼成とガラス板の強化処理を連続して行い、黒色セラミック層が形成された太陽電池用カバーガラス10を製造することができる。以下にその一連の工程について説明する。
【0037】
風冷強化装置は、一般的に公知の風冷強化装置を使用することができる。強化処理において、黒色セラミックの前駆体層が形成されたガラス板をセラミック製の搬送ロールで搬送し、所定の温度に加熱された領域まで搬送後、炉外にガラス板を搬送し、ただちに冷却ノズルからガラス板に風を吹き付けて風冷強化を行う。炉外に搬送される直前のガラス板の温度を、風冷強化開始時のガラス板の温度とし、所定の応力を得るために、ガラス板の温度(ガラス板の中央部)は、550〜700℃、好ましくは590〜640℃とするとよい。なお、黒色セラミック層13の焼成は、ガラス板の強化処理時の加熱により行われるものであり、具体的に、上記の風冷強化開始時のガラス板の温度と同程度の温度であり、550〜700℃の範囲内にて行われる。
【0038】
さらに、風冷強化の処理において、ガラスが炉外に搬送されると同時に、冷却ノズルからガラス板に所定の風圧で風を吹きつけ、ガラスの温度が400℃以下となるまで所定の時間保持する。この風冷するときの風圧は、5〜20kPa、好ましくは10〜16kPaとするとよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の太陽電池用カバーガラスにおいて、風冷強化によって得られた強化ガラスの反り量、および破砕したときの単位面積(100mm×100mm)あたりの破片数を、「JIS R3206:2003年(強化ガラス)」に準拠して測定した。
【0040】
<ガラス板の準備>
ガラス板の表面に、ドーム状の凸状体が格子状に規則的に配列したパターンを有するガラス板(厚さ 3.1mm、1m角サイズ)を準備した。このパターンを有する面が本発明でいうところの第2面となる。非接触の表面測定によるガラス板表面プロファイルを図2に示す。凸状体間の距離も図2内に示している。この測定より、凹部の最深部を基準としてみたときの凸部の高さが140μmであることを導いた。
【0041】
当該ガラス板は、ガラス融液をロールアウト成形にて板状に製板したものであり、太陽電池用途のためにガラス中の鉄酸化物の量を、Feに換算で0.0015質量%と極めて低くしたものを用いた。
【0042】
<黒色セラミック層の前駆体層の形成>
ホウ珪酸ビスマスガラス粉末54質量部、酸化銅と酸化クロムと酸化マンガンとの複合酸化物からなる黒色顔料19質量部、シリカ粉末を主成分とする無機フィラー4重量部、パインオイルを主成分とする溶剤23質量部からなるペーストを準備した。当該ペーストをスクリーン印刷によって、図3に示すようにガラス板の縁側に、直角二等辺三角形(直角側の二辺を共に200mmとした)の底辺が来るようにし、当該三角形が連続して連なるような模様となるように印刷、乾燥させ、黒色セラミック層の前駆体層を形成した。このとき、ガラス板の縁からの最大幅は、141.4mmとなる。
【0043】
<黒色セラミック層の形成およびガラス板の風冷強化>
黒色セラミックの前駆体層が形成されたガラス板を図示しない風冷強化装置にて、黒色セラミック層の焼成と強化処理を連続して行った。なお、黒色セラミック層の焼成は、ガラス板の強化処理時の加熱により行った。
【0044】
当該強化処理では、ガラス板をセラミック製の搬送ロールで搬送し、所定の温度に加熱された領域まで搬送後、炉外にガラス板を搬送し、ただちに冷却ノズルからガラス板に風を吹き付けて風冷強化を行う。炉外に搬送される直前のガラス板の温度を、風冷強化開始時のガラス板の温度とする。風冷強化処理後、ガラスの温度が400℃以下となるまで所定の時間保持し、黒色セラミック層が形成された風冷強化ガラスを得た。
【0045】
各実施例、比較例では、風冷強化開始時のガラス板の温度(ガラス中央部)、風冷強化処理時に冷却ノズルからガラス板に吹き付ける風圧を、それぞれ、表1に示す条件とした。
【0046】
得られた強化ガラスの反り量、および破砕したときの単位面積(100mm×100mm)あたりの破片数を、「JIS R3206:2003年(強化ガラス)」に準拠して測定した。その結果も合せて表1に示す。
【0047】
表1における、実施例1〜5及び比較例1、2の結果において、本発明の範疇内にある場合、広い幅の黒色セラミック層が形成されたガラス板において、十分な強度であり、かつ、ガラス板の反り量を、0.5%以下に抑制できていることが分かった。
【表1】

【符号の説明】
【0048】
100 太陽電池モジュール
10 カバーガラス
11 第1面(カバーガラス)
12 第2面(カバーガラス)
13 黒色セラミック
14 中間膜層
15 太陽電池素子
16 裏面保護材
17 フレーム部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池素子を含む太陽電池モジュールに使用されるカバーガラスであり、該カバーガラスは、太陽光の受光側面を第1面、その裏面を第2面とする平面状の風冷強化されたガラス板と、該ガラス板の第2面上で太陽電池素子とは対向しない部位に形成される黒色セラミック層とを有し、
前記黒色セラミック層は、黒色顔料を含む低融点ガラスを前記第2面上に風冷強化前の加熱によって焼成して形成したものであり、
前記黒色セラミック層の幅は、前記ガラス板の外縁部から、5mm〜200mmであり、
前記ガラス板は厚さ2mm〜4mmであり、「JIS R3206:2003年(強化ガラス)」に準拠して測定した反り量が0.5%以下であり、
破砕した場合の単位面積(100mm×100mm)あたりの破片数が黒色セラミック層に接する部位で且つ太陽電池素子とは対向する部位(すなわち、カバーガラスの可視光透過領域)で40〜800個であり、ガラス板中央部で160〜800個である、
ことを特徴とするカバーガラス。
【請求項2】
黒色セラミック層の厚みが5μm〜50μmであることを特徴とする請求項1記載のカバーガラス。
【請求項3】
第2面が規則的な配列を持つ凹凸パターンの形状を有し、凹部の最深部を基準としてみたときの凸部の高さが50〜300μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のカバーガラス。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−93511(P2013−93511A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235935(P2011−235935)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】