説明

太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュール

【課題】意匠性又は反射性を有するとともに、層間剥離し難く、封止材との密着力が高く、長期間使用しても湿熱経時による密着力の低下が少ない太陽電池用バックシートを提供する。
【解決手段】ポリマー基材と、前記ポリマー基材上に直接配置されており、酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダー及び含有量が2.5〜8.5g/mである顔料を含有し、エチレン−ビニルアセテート封止材に対して50N/cm以上の接着力を有する着色層と、を有する太陽電池用バックシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池素子の太陽光入射側の反対側に設けられる太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、発電時に二酸化炭素の排出がなく環境負荷が小さい発電方式であり、近年急速に普及が進んでいる。
【0003】
太陽電池モジュールは、通常、太陽光が入射する側のオモテ面ガラスと、太陽光が入射する側とは反対側(裏面側)に配置される、いわゆるバックシートとの間に、太陽電池セルが挟まれた構造を有しており、オモテ面ガラスと太陽電池セルとの間、及び太陽電池セルとバックシートとの間は、それぞれEVA(エチレン−ビニルアセテート)樹脂などで封止されている。
【0004】
バックシートは、太陽電池モジュールの裏面からの水分の浸入を防止する働きを有するもので、従来はガラスやフッ素樹脂等が用いられていたが、近年では、コストの観点からポリエステルが用いられるようになってきている。そして、バックシートは、単なるポリマーシートではなく、種々の機能が付与される場合がある。
【0005】
バックシートは、通常、支持体となるポリマー基材上に他の機能を有する層が積層された構造が採用されている。機能層を積層する手段としては、例えば、要求に応じた機能を持つポリマーシートを支持体に貼合わせる方法がある。例えば、複数の樹脂フィルムの接着剤を介して貼合せることによりバックシートを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
更に、貼合よりも低コストでバックシートを形成する方法として、要求に応じた機能を持つ層を形成するための塗布液を支持体に塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−100788号公報
【特許文献2】特開2007−128943号公報
【特許文献3】特開2006−210557号公報
【特許文献4】特開2003−060218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、意匠性又は反射性を有するとともに、層間剥離し難く、封止材との密着力が高く、長期間使用しても湿熱経時による密着力の低下が少ない太陽電池用バックシートを提供することを目的とする。また、長期間にわたって発電性能を安定して保つことができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリマー基材と、
ポリマー基材上に直接配置されており、酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダー及び含有量が2.5〜8.5g/mである顔料を含有し、エチレン−ビニルアセテート封止材に対して50N/cm以上の接着力を有する着色層と、
を有する太陽電池用バックシート。
<2> 着色層は、更に、バインダーに対して0.5〜50質量%の架橋剤に由来する構造部分を含む<1>に記載の太陽電池用バックシート。
<3> 架橋剤が、オキサゾリン系架橋剤又はトリアジン系架橋剤である<2>に記載の太陽電池用バックシート。
<4> ポリマー基材上に設けられた少なくとも1つの層がフッ素系界面活性剤を含有する<1>〜<3>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<5> 顔料が白色顔料であり、着色層が設けられた面における波長550nmの光に対する反射率が80%以上である<1>〜<4>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<6> 封止材と着色層とを直接接着させて120℃、100%RHの雰囲気下に60時間保存したときに、保存後の封止材と着色層との接着力が、保存前の封止材と着色層との接着力の60%以上であり、かつ、ポリマー基材と着色層との間で剥離が生じないものである<1>〜<5>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<7> ポリマー基材は、カルボキシル基の含量が20当量/トン以下であるポリエステル樹脂を含む<1>〜<6>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<8> ポリマー基材は、カルボキシル基の含量が17当量/トン以下であるポリエステル樹脂を含む<1>〜<7>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<9> バインダーがポリオレフィンで構成されている<1>〜<8>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<10> ポリマー基材が、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの全質量に対して0.1質量%〜10質量%の末端封止剤を含有して構成されている<1>〜<9>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<11> ポリマー基材が、無機粒子又は有機粒子を含有し、粒子の平均粒径が0.1μm〜10μmであり、且つ粒子の含有量がポリマー基材の全質量に対して0〜50質量%である<1>〜<10>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<12> ポリマー基材の少なくとも着色層が設けられている側の面が、コロナ処理、グロー放電処理、及び火炎処理の少なくとも1種の方法で表面処理されている<1>〜<11>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<13> 太陽電池素子と、太陽電池素子を封止するエチレン−ビニルアセテート封止材と、封止材と接着し、受光面側を保護する表面保護部材と、<1>〜<12>のいずれかに記載の太陽電池用バックシートを含み、着色層が封止材と直接接着し、受光面とは反対側を保護する裏面保護部材とを有する太陽電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、意匠性又は反射性を有するとともに、層間剥離し難く、封止材との密着力が高く、長期間使用しても湿熱経時による密着力の低下が少ない太陽電池用バックシートが提供される。また、長期間にわたって発電性能を安定して保つことができる太陽電池モジュールが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明するが、以下の実施形態は本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。なお、本願明細書において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0011】
<太陽電池用バックシート>
本発明の太陽電池用バックシート(適宜、バックシートと記す。)は、ポリマー基材と、ポリマー基材上に直接配置されており、酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダー及び含有量が2.5〜8.5g/mである顔料を含有し、エチレン−ビニルアセテート封止材に対して50N/cm以上の接着力を有する着色層と、を有する。
本発明の太陽電池用バックシートは、ポリマー基材上に特定のバインダー樹脂と所定量の顔料を含む着色層が、顔料の種類に応じて優れた光反射性又は意匠性を呈するとともに、太陽電池素子を封止するエチレン−ビニルアセテート封止材(以下、適宜、「EVA封止材」又は単に「封止材」と記す。)との接着力に優れた易接着層としても機能し、湿熱環境下での経時で剥離等を起こすことなく安定的に保つことができ、かかる太陽電池用バックシートを用いることで長期に亘って発電性能を安定して保つことができる。
また、本発明の太陽電池用バックシートは、ポリマー基材とEVA封止材との間には着色層のみが配置される構成であるため、着色層とポリマー基材との間、あるいは、着色層と封止材との間に易接着層等の他の層を設ける場合に比べて剥離し得る界面が少なく、湿熱環境下での層間剥離を抑制することができる。
【0012】
−ポリマー基材−
本発明におけるバックシートの支持体となるポリマー基材としては、ポリエステルが好適である。ポリマー基材に用いられるポリエステルは、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを挙げることができる。このうち、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
【0013】
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。更に、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。
【0014】
本発明におけるポリエステルを重合する際には、カルボキシル基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、Ti系の化合物を触媒として用いることが好ましく、中でも特にTi系化合物が好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1ppm以上30ppm以下、より好ましくは3ppm以上15ppm以下の範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が範囲内であると、末端カルボキシル基を下記範囲に調整することが可能であり、ポリマー基材の耐加水分解性を低く保つことができる。
【0015】
Ti系化合物を用いたポリエステルの合成には、例えば、特公平8−301198号公報、特許第2543624号、特許第3335683号、特許第3717380号、特許第3897756号、特許第3962226号、特許第3979866号、特許第3996871号、特許第4000867号、特許第4053837号、特許第4127119号、特許第4134710号、特許第4159154号、特許第4269704号、特許第4313538号等に記載の方法を適用できる。
【0016】
ポリマー基材を構成するポリエステル樹脂のカルボキシル基含量は、好ましくは35当量/トン以下であり、より好ましくは20当量/トン以下、特に好ましくは17当量/トン以下である。
ポリマー基材を構成するポリエステル樹脂のカルボキシル基含量が35当量/トン以下であると、耐加水分解性を保持し、湿熱経時したときの強度低下を小さく抑制することができる。カルボキシル基含量の下限は、ポリマー基材の表面に形成される着色層との間の接着性を保持する点で、2当量/トンが望ましい。なお、本明細書において、「当量/トン」とは、1トン当たりのモル当量を表す。
【0017】
カルボキシル基含量(AV)は、以下の方法により測定される値である。すなわち、樹脂0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解後、さらにクロロホルムを加えて混合溶液を得て、これにフェノールレッド指示薬を滴下する。この溶液を、基準液(0.01N KOH−ベンジルアルコール混合溶液)で滴定し、滴下量から末端カルボキシル基含量を求める。
【0018】
ポリエステル中のカルボキシル基含量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)により調整することが可能である。
【0019】
本発明におけるポリマー基材を構成するポリエステルは、重合後に固相重合されていることが好ましい。これにより、好ましいカルボキシル基含量を達成することができる。固相重合は、連続法(タワーの中に樹脂を充満させ、これを加熱しながらゆっくり所定の時間滞流させた後、送り出す方法)でもよいし、バッチ法(容器の中に樹脂を投入し、所定の時間加熱する方法)でもよい。具体的には、固相重合には、特許第2621563号、特許第3121876号、特許第3136774号、特許第3603585号、特許第3616522号、特許第3617340号、特許第3680523号、特許第3717392号、特許第4167159号等に記載の方法を適用することができる。
【0020】
固相重合の温度は、170℃以上240℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以上230℃以下であり、さらに好ましくは190℃以上220℃以下である。また、固相重合時間は、5時間以上100時間以下が好ましく、より好ましくは10時間以上75時間以下であり、さらに好ましくは15時間以上50時間以下である。固相重合は、真空中あるいは窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0021】
本発明におけるポリマー基材は、例えば、上記のポリエステルをフィルム状に溶融押出を行なった後、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後Tg〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるように延伸した2軸延伸フィルムであることが好ましい。
さらに、必要に応じて180〜230℃で1〜60秒間の熱処理を行なったものでもよい。
【0022】
ポリマー基材の厚みは、25〜300μm程度が好ましく、より好ましくは125〜260μmである。ポリマー基材の厚みは、25μm以上であると力学強度が良好であり、300μm以下であるとコスト的に有利である。
ポリマー基材は、厚みが増すに伴なって耐加水分解性が悪化し、長期使用に耐えない傾向にあり、本発明においては、厚みが120μm以上300μm以下であって、かつポリエステル中のカルボキシル基含量が2〜20当量/トンである場合に、より湿熱耐久性の向上効果が奏される。
【0023】
ポリマー基材は、必要に応じて、少なくとも着色層が設けられている側の面に対し、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理のような表面処理を行ってもよい。
コロナ放電処理は、通常誘導体を被膜した金属ロール(誘電体ロール)と絶縁された電極間に高周波、高電圧を印加して、電極間の空気の絶縁破壊を生じさせることにより、電極間の空気をイオン化させて、電極間にコロナ放電を発生させる。そして、このコロナ放電の間を、ポリマー基材を通過させることにより行う。
本発明で用いる好ましい処理条件は、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランス1〜3mm、周波数1〜100kHz、印加エネルギー0.2〜5kV・A・分/m程度が好ましい。
【0024】
グロー放電処理は、真空プラズマ処理又は低圧プラズマ処理とも呼ばれる方法で、低圧雰囲気の気体(プラズマガス)中での放電によりプラズマを発生させ、基材表面を処理する方法である。本発明の処理で用いる低圧プラズマはプラズマガスの圧力が低い条件で生成する非平衡プラズマである。本発明の処理は、この低圧プラズマ雰囲気内に被処理フィルム(ポリマー基材)を置くことにより行われる。
【0025】
本発明のグロー放電処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方法を利用することができる。放電に用いる電源は直流でも交流でもよい。交流を用いる場合は30Hz〜20MHz程度の範囲が好ましい。
交流を用いる場合には50又は60Hzの商用の周波数を用いてもよいし、10〜50kHz程度の高周波を用いてもよい。また、13.56MHzの高周波を用いる方法も好ましい。
【0026】
本発明のグロー放電処理で用いるプラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが好ましい。具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましい。酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いる場合、両者の比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が好ましい。また、特に気体を処理容器に導入せず、リークにより処理容器に入る大気や被処理物から出る水蒸気などの気体をプラズマガスとして用いる方法も好ましい。
【0027】
プラズマガスの圧力としては、非平衡プラズマ条件が達成される低圧が必要である。具体的なプラズマガスの圧力としては、0.005〜10Torr(0.666〜1333Pa)、より好ましくは0.008〜3Torr(1.067〜400Pa)程度の範囲が好ましい。プラズマガスの圧力が0.666Pa以上であれば接着性改良効果が充分となり、1333Pa以下であれば電流が増大して放電が不安定になることが抑制される。
【0028】
プラズマ出力としては、処理容器の形状や大きさ、電極の形状などにより一概には言えないが、100〜2500W程度、より好ましくは、500〜1500W程度が好ましい。
本発明のグロー放電処理の処理時間は、好ましくは0.05〜100秒、より好ましくは0.5〜30秒程度である。処理時間が0.05秒以上であれば接着性改良効果が充分得られ、100秒以下であれば被処理フィルムの変形や着色等を防ぐことができる。
【0029】
本発明のグロー放電処理の放電処理強度はプラズマ出力と処理時間によるが、0.01〜10kV・A・分/mの範囲が好ましく、0.1〜7kV・A・分/mがより好ましい。
放電処理強度を0.01kV・A・分/m以上とすることで充分な接着性改良効果が得られ、10kV・A・分/m以下とすることで被処理フィルムの変形や着色といった問題を避けることができる。
【0030】
本発明のグロー放電処理では、あらかじめ被処理フィルムを加熱しておくことも好ましい。この方法により、加熱を行わなかった場合に比べ、短時間で良好な接着性が得られる。加熱の温度は40℃〜被処理フィルムの軟化温度+20℃の範囲が好ましく、70℃〜被処理フィルムの軟化温度の範囲がより好ましい。加熱温度を40℃以上とすることで充分な接着性の改良効果が得られる。また、加熱温度を被処理フィルムの軟化温度以下とすることで処理中に良好なフィルムの取り扱い性が確保できる。
真空中で被処理フィルムの温度を上げる具体的方法としては、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させることによる加熱などが挙げられる。
【0031】
火炎処理としては、例えばシラン化合物を導入した火炎を用いる火炎処理が挙げられる。
【0032】
また、ポリマー基材は、末端封止剤を添加し、耐加水分解性(耐候性)を向上させたものを用いても良い。
【0033】
(末端封止剤)
本発明のポリマー基材は、ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂の全質量に対して0.1〜10質量%の末端封止剤を含むことができる。ポリマー基材を構成するポリエステル樹脂の全質量に対する末端封止剤の上記添加量はより好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.3〜2質量%である。
【0034】
ポリエステルの加水分解は、末端カルボン酸等から生じるHの触媒効果により加速されるため、耐加水分解性(耐候性)を向上させるには、末端カルボン酸と反応する末端封止剤を添加することが有効である。
末端封止剤の添加量が、ポリエステル樹脂の全質量に対して0.1質量%以上であれば、耐候性向上効果が発現し易く、10質量%以下であればポリエステルに対して可塑剤として作用することが抑制され、力学強度、耐熱性の低下が抑制される。
【0035】
末端封止剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、カーボネート化合物等が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)と親和性が高く末端封止能の高いカルボジイミドが好ましい。
【0036】
末端封止剤(特にカルボジイミド末端封止剤)は高分子量であることが好ましい。これにより溶融製膜中の揮散を低減できる。分子量は200〜10万が好ましく、より好ましくは2000〜8万、さらに好ましくは1万〜5万である。末端封止剤(特にカルボジイミド末端封止剤)の分子量が上記範囲内であればポリエステル中に均一分散し易く耐候性改良効果を充分に発現し易くなり、また、押出し、製膜中に揮散し難く、耐候性向上効果を発現し易くなる。
なお、末端封止剤の分子量は、重量平均分子量を意味する。
【0037】
カルボジイミド系末端封止剤:
カルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物は、一官能性カルボジイミドと多官能性カルボジイミドがあり、一官能性カルボジイミドとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミドおよびジ−β−ナフチルカルボジイミドなどが挙げられる。特に好ましくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドである。
【0038】
また、多官能性カルボジイミドとしては、重合度3〜15のカルボジイミドが好ましく用いられる。具体的には、1,5−ナフタレンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルジメチルメタンカルボジイミド、1,3−フェニレンカルボジイミド、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンカルボジイミド、2,6−トリレンカルボジイミド、2,4−トリレンカルボジイミドと2,6−トリレンカルボジイミドの混合物、ヘキサメチレンカルボジイミド、シクロヘキサン−1,4−カルボジイミド、キシリレンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−カルボジイミド、メチルシクロヘキサンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドおよび1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−カルボジイミドなどを例示することができる。
【0039】
カルボジイミド化合物は、熱分解によりイソシアネート系ガスが発生するため、耐熱性の高いカルボジイミド化合物が好ましい。耐熱性を高めるためには、分子量(重合度)が高いほど好ましく、より好ましくはカルボジイミド化合物の末端を耐熱性の高い構造にすることが好ましい。また、一度熱分解を起こすとさらなる熱分解を起こし易くなるため、ポリエステルの押出温度をなるべく低温下にするなどの工夫が必要である。
【0040】
末端封止剤のカルボジイミドは、環状構造を持つもの(例えば、特開2011−153209号公報に記載のもの)も好ましい。これらは低分子量でも上記高分子量カルボジイミド同等の効果を発現する。これはポリエステルの末端カルボン酸と環状のカルボジイミドが開環反応し、一方がこのポリエステルと反応、開環した他方が他のポリエステルと反応し高分子量化するため、イソシアネート系ガスが発生することを抑制するためである。
【0041】
これらの環状構造を持つものの中でも、本発明では、末端封止剤が、カルボジイミド基を有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含むカルボジイミド化合物であることが好ましい。さらに、末端封止剤は、芳香環に隣接したカルボジイミド基を少なくとも1個有し、芳香環に隣接したカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含むカルボジイミド(芳香族環状カルボジイミドとも言う)であることがより好ましい。
芳香族環状カルボジイミドは、環状構造を複数有していてもよい。
芳香族環状カルボジイミドは分子内に2つ以上のカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが連結基により結合した環構造を有さない芳香族カルボジイミドであること、すなわち単環であるものも好ましく用いることができる。
【0042】
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していてよいことはいうまでもない。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に、10〜15が好ましい。
【0043】
ここで、環状構造中の原子数とは、環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50以下の原子数の環状カルボジイミド化合物は合成の困難性が小さく、コストを低く抑えられる。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
【0044】
環状構造を持つカルボジイミド系末端封止剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
【化1】



【0045】
エポキシ系末端封止剤:
また、エポキシ化合物の好ましい例としては、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。
【0046】
グリシジルエステル化合物の具体例としては、安息香酸グリシジルエステル、t−Bu−安息香酸グリシジルエステル、P−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステルおよびピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどを挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0047】
また、グリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニルグリシジルエ−テル、O−フェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0048】
オキサゾリン系末端封止剤:
また、オキサゾリン化合物としては、ビスオキサゾリン化合物が好ましく、具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)および2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等を例示することができる。これらの中では、ポリエステルとの反応性の観点から、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)が最も好ましく用いられる。さらに、上記で挙げたビスオキサゾリン化合物は本発明の目的を達成する限り、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもどちらでもよい。
【0049】
このような末端封止剤はポリエステルフィルム中に練り込むことが必要である。即ちポリエステル分子と直接反応させないと上記効果が得られない。PET上の塗布層に添加しても、ポリエステルと末端封止剤は反応しないためである。
【0050】
また、ポリマー基材は、無機粒子または有機粒子を混合したポリエステルフィルムを用いても良い。これにより光の反射率(白色度)を向上させ太陽電池の発電効率を上げることができる。
粒子の平均粒径は0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.15〜1μmの粒子である。粒子の平均粒径が0.1〜10μmであれば、添加量を上げなくてもフィルムの白色度を50以上とすることができる。
粒子の含有量は、フィルム全質量に対して、0〜50質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜5質量%含まれる。粒子の添加量が1質量%以上であれば、白色度を50以上とすることが容易となり、50質量%以下であればフィルム重量の増大を抑制し、加工などでの取り扱いが容易となる。なお、ここで云う平均粒径、含有量は、基材となるフィルムが多層構造の場合、各層の平均値を指す。即ち、(各層の粒子径、含有量)×(各層の厚み/全層の厚み)を層ごとに算出し、総和としたものである。
【0051】
なお、本発明のポリマー基材に含まれる粒子の平均粒径は電顕法により求める。具体的には、以下の方法による。
粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーする。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について、各粒子の外周をトレースする。画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、それらの平均値を平均粒径とする。
【0052】
粒子は無機粒子または有機粒子いずれでもよく、両者併用しても良い。これにより光の反射率を向上させ太陽電池の発電効率を上げることができる。好適に使用される無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミ、リン酸カルシウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を使用することができるが、特に二酸化チタン、硫酸バリウムが好ましい。なお、酸化チタンはアナターゼ型、ルチル型の何れでもよい。また、粒子表面にアルミナやシリカ等の無機処理を施してもよいし、シリコン系あるいはアルコール系等の有機処理を施してもよい。
【0053】
これらの粒子のなかでも二酸化チタンが好ましく、これにより光照射下でも優れた耐久性を奏することができる。具体的には、63℃、50%Rh、照射強度100mW/cmで100時間UV照射した場合、破断伸び保持率が好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上である。このように光照射によっても本発明のポリマー基材は光分解や劣化が抑制されるため、屋外で用いられる太陽電池の裏面保護膜としてより好適である。
【0054】
二酸化チタンにはルチル型とアナターゼ型が存在するが、本発明のポリマー基材にルチル型を主体とする二酸化チタン粒子を添加することが好ましい。アナターゼ型は紫外線の分光反射率が非常に大きいのに対し、ルチル型は紫外線の吸収率が大きい(分光反射率が小さい)という特性を有している。本発明者は、二酸化チタンの結晶形態におけるこうした分光特性の違いに着目し、ルチル型の紫外線吸収性能を利用することで、太陽電池裏面保護用ポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)において、耐光性を向上させることができる。これにより他の紫外線吸収剤を実質的に添加しなくても光照射下でのフィルム耐久性に優れる。そのため、紫外線吸収剤のブリードアウトによる汚染や密着性の低下が生じにくい。
【0055】
なお、上記の通り、本発明に係る二酸化チタン粒子はルチル型を主体とするものであるが、ここでいう「主体」とは、全二酸化チタン粒子中のルチル型二酸化チタン量が50質量%を超えていることを意味する。
また、全二酸化チタン粒子中のアナターゼ型二酸化チタン量が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは0質量%である。アナターゼ型二酸化チタンの含有量が上記上限値を超えると、全二酸化チタン粒子中に占めるルチル型二酸化チタン量が少なくなるために紫外線吸収性能が不十分となる場合がある他、アナターゼ型二酸化チタンは光触媒作用が強いため、この作用によっても耐光性が低下する傾向にある。ルチル型二酸化チタンとアナターゼ型二酸化チタンとは、X線構造回折や分光吸収特性により区別することができる。
【0056】
本発明のルチル型二酸化チタン粒子は、粒子表面にアルミナやシリカ等の無機処理を施してもよいし、シリコン系あるいはアルコール系等の有機処理を施してもよい。ルチル型二酸化チタンは、ポリエステル組成物に配合する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行ってもよい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段で例えばジェットミル、ボールミルを適用することができ、分級手段としては、例えば乾式もしくは湿式の遠心分離を適用することができる。
【0057】
本発明では有機粒子も使用できる。ポリエステル製膜中の熱に耐えるものが好ましく、例えば架橋型樹脂からなるものが用いられ、具体的にはジビニルベンゼンで架橋したポリスチレン等が用いられる。粒子のサイズや添加量は無機粒子の場合と同様である。
ポリマー基材となるフィルム中への粒子の添加は公知の方法を用いる方法として、従来から公知の各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記の方法を挙げることができる。
【0058】
(A)ポリエチレンテレフタレート合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に粒子を添加、または重縮合反応開始前に粒子を添加する方法。
(B)ポリエチレンテレフタレートに粒子を添加し、溶融混練する方法。
(C)上記(A)、(B)の方法において粒子を多量に添加したマスターペレット(またはマスターバッチ(MB)とも云う)を製造し、これらと粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートとを混練して、所定量の粒子を含有させる方法。
(D)上記(C)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
【0059】
この中で事前にポリエステル樹脂と粒子を押出機で混合しておくマスターバッチ法(MB法:上記(C))が好ましい。また、事前に乾燥させていないポリエステル樹脂と粒子を押出機に投入し、水分や空気などを脱気しながらMBを作製する方法を採用することもできる。さらに、好ましくは、事前に少しでも乾燥したポリエステル樹脂を用いてMBを作製する方が、ポリエステルの酸価上昇を抑えられる。この場合、脱気しながら押出する方法や、十分乾燥したポリエステル樹脂により脱気をせずに押出する方法などがあげられる。
【0060】
例えば、MBを作製する場合は投入するポリエステル樹脂はあらかじめ乾燥により水分率を低減させることが好ましい。乾燥条件としては、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃において、1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは6時間以上乾燥する。これにより、ポリエステル樹脂の水分量を好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥する。予備混合を方法は特に限定せず、バッチによる方法でもよいし、単軸もしくは二軸以上の混練押出機によっても良い。脱気しながらMBを作製する場合は、250℃〜300℃、好ましくは270℃〜280℃の温度でポリエステル樹脂を融解し、予備混練機に一つ、好ましくは2以上の脱気口を設け、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上の連続吸引脱気を行い、混合機内の減圧を維持すること等の方法を採用することが好ましい。
【0061】
本発明のポリマー基材は、内部に微細な空洞(ボイド)を多数含有してもよい。これにより、より高い白色度を好適に得ることができる。その場合の見かけ比重は0.7以上1.3以下、好ましくは0.9以上1.3以下、より好ましくは1.05以上1.2以下である。0.7以上であれば、ポリマー基材に腰が備わり、太陽電池モジュール作製時の加工が容易となり得る。見かけ比重が1.3以下であるとポリマー基材の重量が小さいため太陽電池の軽量化に寄与し得る。
【0062】
上記の微細な空洞は、粒子および/または後述のポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂に由来して形成することができる。なお、粒子またはポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞とは粒子または熱可塑性樹脂のまわりに空洞が存在することを言い、例えばポリマー基材の電子顕微鏡による断面写真などで確認することができる。
【0063】
空洞形成のためにポリエステルフィルム中に添加する樹脂とは、ポリエステルと非相溶な樹脂が好ましく、これにより光を散乱させ光反射率を上げることができる。好ましい非相溶な樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、およびフッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、表面張力の小さなポリプロピレンやポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂やポリスチレン系樹脂が好ましく、さらにはポリメチルペンテンが最も好ましい。ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、ポリエステル製膜工程においてポリエステルとの親和性が低くボイド(空洞)を形成し易く、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
非相溶樹脂を含有する場合は、その量は、ポリエステルフィルム全体に対して0〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%の範囲である。非相溶樹脂の含有量が上記範囲内にある場合は、反射率が高く、かつ、ポリマー基材全体の見かけ密度が下がり過ぎず、延伸時にフィルム破れ等が生じ難く、生産性の低下を防ぐことができる。
【0064】
粒子を添加する場合、粒子の平均粒径は0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.15〜1μmの粒子である。この範囲内であれば高い反射率(白色度)が得られ、かつ、力学強度の低下が抑制される。粒子の含有量はフィルム全質量に対して、0〜50質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜5質量%含まれる。この範囲内であれば反射率(白色度)が高く、ボイドによる力学強度の低下が抑制される。好ましい粒子としてポリエステルと親和性の低いものが挙げられ、具体的には硫酸バリウム等が挙げられる。
【0065】
これらの白色ポリエステル、すなわち、粒子含有及び/又は空洞形成ポリエステルフィルムは、単層または2層以上の多層からなる積層構成であっても構わない。積層構成としては、白色度の高い(ボイドや粒子の多い層)と白色度の低い層(ボイドや粒子の少ない層)を組み合わせることが好ましい。ボイドや粒子が多い層で光の反射効率を高くできるが、ボイドや粒子による力学強度の低下(脆化)が発生し易く、これを補うために白色度の低い層と組み合わせることが好ましい。このため白色度の高い層は外層に用いることが好ましく、片面に使用してもよく、両面に使用しても良い。また、二酸化チタンを粒子に用いた高白色層を外層に用いると、UV吸収能を有することから耐光性を向上する効果も有する。
【0066】
白色度の高い層とは、粒子添加の場合、粒子量が5質量%以上50質量%以下のものが好ましく、より好ましくは6質量%以上20質量%以下がより好ましい。空洞形成の場合、白色度の高い層の見かけ比重は0.7以上1.2以下が好ましく、より好ましくは0.8以上1.1以下である。一方、白色度の低い層とは、粒子添加の場合、粒子量が5質量%未満0質量%以上のものが好ましく、より好ましくは4質量%以下1質量%以上がより好ましい。空洞形成の場合、白色度の低い層の見かけ比重は0.9以上1.4以下でかつ高白色層より高密度のものが好ましく、より好ましくは1.0以上1.3以下でかつ高白色層より高密度のものである。低白色層は粒子や空洞を含まないものでも構わない。
好ましい層構成として、高白色層/低白色層、高白色層/低白色層/高白色層、高白色層/低白色層/高白色層/低白色層、高白色層/低白色層/高白色層/低白色層/高白色層などが挙げられる。
各層の厚み比は特に限定されるものではないが、各層の厚みは全層厚みの1%以上99%以下が好ましく、より好ましくは2%以上95%以下である。この範囲の上限値を超えるあるいは下限値未満では、上記反射効率アップ、耐光(UV)性付与の効果が得難い。ポリエステルフィルムの全層の厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常20〜500μm、好ましくは25〜300μmの範囲である。
本発明におけるポリマー基材として用いるポリエステルフィルムの積層方法は、溶融押出機を2台または3台以上用いた、いわゆる共押出法が好ましく用いられる。
【0067】
なお、本発明において白色度を増すためにチオフェジイル等の蛍光増白剤を用いることも好ましい。好ましい添加量は0.01質量%以上1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上0.3質量%以下である。この範囲内であれば光線反射率向上の効果を得易く、押出しでの熱分解による黄変が抑制され、反射率の低下が抑制される。このような蛍光増白剤としては、例えばイーストマンコダック社製 OB−1等を用いることができる。
【0068】
本発明のポリマー基材として用い得る白色ポリエステルフィルムは、照度:100mW/cm、温度:60℃、相対湿度:50%RH、照射時間:48時間で紫外線照射した後の黄色み変化量(Δb値)が5未満であることが好ましい。Δb値はより好ましくは4未満であり、さらに好ましくは3未満である。これにより太陽光の照射を長時間受けたとしても色変化を少なくできる点で有用である。このような効果は、積層型の場合、特に太陽電池モジュールのバックシート側から照射を受けた場合に顕著に現れる。
【0069】
−着色層−
本発明における着色層は、ポリマー基材上に直接配置されており、2.5〜8.5g/mの顔料及び酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダーを含有し、エチレン−ビニルアセテート封止材に対して50N/cm以上の接着力を有する。着色層は、必要に応じて、さらに上記以外の樹脂、各種添加剤などの他の成分を含んで構成されてもよい。
【0070】
本発明における着色層の第1の機能は、反射機能又は装飾機能であり、例えば、白色の顔料を含めば、入射光のうち太陽電池セルを通過して発電に使用されずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることにある。また、例えば、青色又は黒色の顔料を含めば、太陽電池モジュールを太陽光が入射する側(オモテ面側)から見た場合の外観の装飾性を向上させる。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側(受光側)から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートが着色層を有することにより装飾性を向上させて見栄えを改善することができる。
【0071】
(顔料)
本発明における着色層は、少なくとも一種の顔料を含有する。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の顔料を、適宜選択して含有することができる。例えば、反射性の向上を考慮する場合は白色顔料を用い、意匠性(装飾性)を考慮する場合は青色顔料又は黒色顔料を用いることができる。
【0072】
本発明における着色層中には、顔料を2.5〜8.5g/mの範囲で含有する。着色層中における顔料の含有量が2.5g/m未満であると、必要な着色が得られず、反射性や装飾性が不十分となる。また、着色層中における顔料の含有量が8.5g/mを超えると、EVA封止材との接着性が不十分となり、50N/cm以上の接着力を得られないほか、着色層の面状が悪化し、膜強度が低下する。
これらの観点から、着色層中の顔料の好ましい含有量は、3.5〜7.5g/mの範囲であり、より好ましくは4.5〜6.5g/mである。
【0073】
顔料の平均粒径としては、体積平均粒径で0.03〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.15〜0.5μm程度である。平均粒径が範囲内であると、光の反射効率が高い。平均粒径は、レーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置LA950〔(株)堀場製作所製〕により測定される値である。
【0074】
(バインダー)
本発明の着色層は、酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダーを含有する。着色層のバインダーの酸価が2mgKOH/g以上であれば安定にバインダーを水分散でき、10mgKOH/g以下であればEVAとの密着力が出せる。
着色層に用いるバインダーの酸価は、試料をキシレンとジメチルホルムアミド(1+1)を混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とし、その終点までの滴定量から酸価が求められる。
【0075】
酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダーであれば、酸価が10mgKOH/gを超えるポリエステルなどの樹脂に比べ、加水分解し難く、湿熱経時による劣化が抑制され、屋外の過酷な環境下においても長期にわたってEVA封止材との密着性を高く保つことができる。この原因の詳細は不明であるが、おそらくバインダー樹脂の主鎖が湿熱経時で分解しにくいためであると推測される。着色層は、特に酸価が2〜10mgKOH/gであるポリオレフィンを含むことが好ましい。
酸価が2〜10mgKOH/gであるポリオレフィンとして市販されているものとしては、例えば、ユニチカ社製のアローベースSE−1013Nが挙げられる。
【0076】
着色層におけるバインダーの含有量は、顔料に対して、15〜200質量%の範囲が好ましく、17〜100質量%の範囲がより好ましい。バインダーの含有量は、15質量%以上であると、着色層の強度が充分に得られ、また200質量%以下であると、反射率や装飾性を良好に保つことができる。
【0077】
本発明の着色層は、酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダー以外に、必要に応じてこれ以外のポリマーをバインダーとして混合してもよい。例えば、酸価が2〜10mgKOH/gの範囲外にあるポリエステル、ポリウレタンなどを挙げることができる。酸価が2〜10mgKOH/gの範囲外にある樹脂の添加量は全バインダーの30質量%以下、好ましくは20質量%以下であることが好ましい。これらの樹脂の割合が全バインダーの30質量%を越えると湿熱経時で剥離等の不都合が生じる場合がある。
【0078】
本発明における着色層を形成する場合、上記バインダー樹脂及び顔料以外に、必要に応じて、更に他の樹脂、架橋剤、界面活性剤、フィラー等の添加剤を添加してもよい。
【0079】
(架橋剤)
着色層は、架橋剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。
着色層に好適な架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、トリアジン系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。中でも、湿熱経時後の接着性を確保する観点から、トリアジン系架橋剤又はオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
トリアジン系架橋剤の具体例としては、2,4ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5トリアジンナトリウム塩が挙げられる。
【0080】
オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく用いられ、特に2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが特に好ましい。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS-500、同WS-700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
【0081】
カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、カルボジライトV-02-L2、カルボジライトSV−02、カルボジライトV−02、カルボジライトE−01(以上カルボジライト系架橋剤、日清紡(株)製)が挙げられる。
【0082】
着色層を形成するための塗布液に架橋剤を添加する場合、その添加量(着色層を構成するバインダー樹脂に対する架橋剤に由来する構造部分の割合)としては、バインダー樹脂に対して、0.5〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜35質量%であり、特に好ましくは1.0〜30質量%である。架橋剤の添加量が0.5質量%以上であると、着色層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、40質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保てコストの増大も抑制される。架橋剤の添加量が40質量%を超えた、ポットライフの短い塗布液を用いると塗布層中に凝集物が発生する場合がある、かつコストも増大する。
【0083】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜15mg/mが好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/mである。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、15mg/m以下であると、接着を良好に行なうことができる。
【0084】
(微粒子)
着色層は、顔料以外の無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。中でも、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性の低下が小さい点で、酸化錫、シリカの微粒子が好ましい。
【0085】
無機微粒子の粒径は、体積平均粒径で10〜700nm程度が好ましく、より好ましくは20〜300nm程度である。粒径がこの範囲内であると、より良好な易接着性を得ることができる。粒径は、レーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置LA950〔(株)堀場製作所製〕により測定される値である。
【0086】
無機微粒子の形状には、特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のいずれのものを用いることができる。
【0087】
無機微粒子の含有量は、着色層中のバインダー樹脂に対して、5〜400質量%の範囲とすることが好ましい。無機微粒子の含有量は、5質量%未満であると、湿熱雰囲気に曝されたときに良好な接着性が保持できず、400質量%を超えると、着色層の面状が悪化する。
中でも、無機微粒子の含有量は、50〜300質量%の範囲が好ましい。
【0088】
(物性)
−厚み−
着色層の厚みには、特に制限はないが、通常は0.05〜15μmが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。着色層の厚みは、0.05μm以上であると、反射性又は意匠性を好適に得ることができるとともに、必要な易接着性を好適に得ることができ、15μm以下であると面状がより良好になる。
【0089】
−接着力−
着色層は、2.5〜8.5g/mの顔料及び酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダーを含有することで、太陽電池素子を封止することで、エチレン−ビニルアセテート封止材に対して50N/cm以上の接着力を有することができる。また、封止材と着色層を接着させて120℃、100%RHの雰囲気下に60時間保存したときに、保存後の封止材との接着力が、保存前の封止材との接着力の60%以上であり、ポリマー基材と着色層との間で剥離が生じない太陽電池用バックシートとなる。
なお、バックシートのEVA封止材と接着させる面(着色層)に前述したコロナ処理、グロー放電処理などの表面処理を施すことで接着力を高めてもよい。
なお、本発明において、エチレン−ビニルアセテート封止材に対する着色層の接着力は以下のように測定する。
測定対象とするサンプルシートを20mm巾×150mm長にカットして、サンプル片を1枚準備する。このサンプル片を、着色層側が内側になるようにガラスに配置し、この間に20mm巾×100mm長にカットしたEVAシート(三井化学ファブロ(株)製のEVAシート:SC50B)を挟み、真空ラミネータ(日清紡(株)製の真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させる。このときの接着条件は、以下の通りとする。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着する。その後、ドライオーブンを用いて150℃で30分間、本接着処理を施す。サンプル片の一端から20mmの部分はEVAと未接着で、残りの100mmの部分にEVAシートが接着されるように前述の通り接着を施し、接着評価用試料を得る。
得られた接着評価用試料のEVA未接着部分を、テンシロン(ORIENTEC製 RTC−1210A)にて上下クリップに挟み、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行ない、接着力を測定する。
【0090】
−反射率−
着色層に顔料として白色顔料を添加して反射層とする場合、着色層が設けられた面における550nmの光に対する反射率は、80%以上であることが好ましい。なお、光反射率とは、反射層側から入射した光が反射層(着色層)で反射した光量の入射光量に対する比率である。
光反射率が80%以上であると、セルを素通りして内部に入射した光を効果的にセルに戻すことができ、発電効率の向上効果が大きい。着色層における白色顔料の含有量を2.5〜8.5g/mの範囲で制御することにより、光反射率を80%以上に調整することができる。
【0091】
着色層を反射層として構成する場合、反射層の厚みは、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1.5〜10μm程度である。この厚みが1μm以上であると、必要な装飾性や反射率を得ることができ、また20μm以下であると、面状を良好に保つことができる。
【0092】
(着色層の形成方法)
本発明における着色層は、着色層を形成するための塗布液(着色層形成用塗布液)をポリマー基材に直接塗布することにより形成することができる。例えば、顔料等を含む樹脂フィルムをウレタンやポリエステル等の接着剤を介して貼り合わせる場合、太陽電池用バックシート全体の厚みが厚くなるほか、長期間の使用により接着剤が加水分解して劣化して剥離が生じ易い。また、例えば、ポリマー基材にポリマー層を介して着色層を設ける場合、ポリマー層と着色層との界面で剥離が生じる場合がある。一方、塗布によりポリマー基材に着色層を直接形成すれば、簡便であると共に、均一性の薄膜での形成が可能であるほか、剥離が生じにくい。
【0093】
塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、バーコーターなどの公知の塗布方法を利用することができる。
塗布液は、塗布溶媒として水を用いた水系でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒を用いた溶剤系でもよい。中でも、環境負荷の観点から、水を溶媒とすることが好ましい。塗布溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0094】
−耐候性層−
本発明の太陽電池用バックシートは、ポリマー基材の、着色層が配置されている面とは反対側の面に、さらに、フッ素系樹脂及びシリコーン−アクリル複合樹脂の少なくとも一方を含有する耐候性層を有することが好ましい。
【0095】
耐候性層形成用塗布液が含有するフッ素系樹脂としては、例えば、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が挙げられる。中でも、溶解性、および耐候性の観点から、ビニル系化合物と共重合させたクロロトリフルオロエチレン・ビニルエーテル共重合体が好ましい。
耐候性層形成用塗布液の全固形分質量に対するフッ素系樹脂の含有量は、耐候性と膜強度の観点から、40質量%〜90質量%であることが好ましく、50質量%〜80質量%であることがより好ましい。
【0096】
耐候性層形成用塗布液が含有するシリコーン−アクリル複合樹脂としては、セラネートWSA1060、WSA1070〔共にDIC(株)製〕とH7620、H7630、H7650〔共に旭化成ケミカルズ(株)製〕が挙げられる。
耐候性層形成用塗布液全固形分質量に対するシリコーン−アクリル複合樹脂の含有量は、耐候性と膜強度の観点から、40質量%〜90質量%であることが好ましく、50質量%〜80質量%であることがより好ましい。
【0097】
耐候性層形成用塗布液の塗布量は、耐候性およびポリマー基材との密着性の観点から、0.05g/m〜30g/mとすることが好ましく、1g/m〜20g/mとすることがより好ましい。
【0098】
耐候性層形成用塗布液を塗布するための方法は、特に制限はない。
塗布方法としては、たとえばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
耐候性層形成用塗布液の塗布溶媒としては好ましくは水が用いられ、耐候性層形成用塗布液に含まれる溶媒中の60質量%以上が水であることが好ましい。水系塗布液は、環境に負荷かけにくい点で好ましく、また水の割合が60質量%以上であることにより、防爆性、および安全性の点で有利である。
耐候性層形成用塗布液中の水の割合は、環境負荷の観点からは、さらに多い方が望ましく、水が全溶媒の70質量%以上含まれる場合がより好ましい。
【0099】
耐候性層は、着色層に含ませてもよい無機微粒子、無機微粒子以外の微粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
【0100】
耐候性層の層厚は、0.3μm〜15.0μmであることが好ましく、0.5μm〜12.0μmであることがより好ましい。膜厚を0.3μm以上とすることで、耐候性を十分に発現することができ、15.0μm以下とすることで面状悪化を抑制することができる。
なお、耐候性層は、単層でもよいし、2層以上を積層して構成してもよい。
【0101】
また、ポリマー基材の表面に直接又は他の層を介して形成されている少なくとも1つの層には、被膜面状を向上させるために界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
【0102】
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
【0103】
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
【0104】
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
【0105】
本発明のポリマー基材上の層に含まれる界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、両性系界面活性及びフッ素系界面活性剤より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
なお、上塗り層と顔料層の両方にフッ素系界面活性剤を含むことが特に好ましい。
【0106】
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
【0107】
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
【0108】
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
【0109】
界面活性剤は、本発明のポリマー基材上の層中に、不揮発性成分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で使用される。また、界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0110】
好ましい界面活性剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0111】
【化2】

【0112】
−バックシートの製造−
本発明の太陽電池用バックシートは、上記のように、ポリマー基材の上に上記着色層を塗布により形成することにより好適に作製することができる。
なお、着色層形成用塗布液は、2.5〜8.5g/mの顔料と酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダーを含有する塗布液であり、塗布液を構成する成分や量的範囲の詳細については、既述の通りである。
【0113】
好適な塗布法も既述の通りであり、例えばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
【0114】
着色層形成用塗布液としては、これに含まれる溶媒中の60質量%以上が水である水系塗布液であることが好ましい。水系塗布液は、環境負荷の点で好ましく、また水の割合が60質量%以上であることにより、環境負荷が特に小さくなる点で有利である。
着色層形成用塗布液中の水の割合は、環境負荷の観点からは、さらに多い方が望ましく、水が全溶媒の90質量%以上含まれる場合がより好ましい。
【0115】
また、本発明における塗布工程では、ポリマー基材の表面に直に着色層形成用塗布液を塗布し、ポリマー基材上に直接着色層を形成することができる。
【0116】
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子と、太陽電池素子を封止するエチレン−ビニルアセテート封止材と、封止材と接着し、受光面側を保護する表面保護部材と、本発明の太陽電池用バックシートを含み、着色層が封止材と直接接着し、受光面とは反対側を保護する裏面保護部材と、を有する太陽電池モジュールである。太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板(表面保護部材)と既述の本発明の太陽電池用バックシートとの間に配置し、基板とバックシートとの間をエチレン−ビニルアセテート(EVA)封止材で封止して構成される。
【0117】
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
【0118】
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
【0119】
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
【実施例】
【0120】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0121】
(実施例1)
−ポリマー基材の作製−
<ポリエステルの合成>
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行なった。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
【0122】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリマーに対して0.3質量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、チタンアルコキシド化合物の2質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。チタンアルコキシド化合物には、特開2005−340616号公報の段落番号[0083]の実施例1で合成しているチタンアルコキシド化合物(Ti含有量=4.44質量%)を用いた。その5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。
【0123】
その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。そのまま3時間反応を続け、その後反応系を窒素パージし、常圧に戻し、重縮合反応を停止した。そして、得られたポリマー溶融物を冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリマーのペレット(直径約3mm、長さ約7mm)を作製した。
【0124】
<固相重合>
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行なった。
【0125】
<ベース形成>
以上のように固相重合を経た後のペレットを、280℃で溶融して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約2.5mmの未延伸ベースを作成した。その後、90℃で縦方向に3倍に延伸し、更に120℃で横方向に3.3倍に延伸した。その後215℃で1分間熱固定して、厚み250μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材(以下、「PET基材」と称することがある。)を得た。
固相重合の条件を変更する以外は同様にしてそれぞれカルボキル基の含量(AV)が、16当量/トン、18当量/トン、22当量/トンのPET基材を得た。
【0126】
(AV)
ポリエステル試料0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解後、さらにクロロホルムを加えて混合溶液を得、これにフェノールレッド指示薬を滴下した。この溶液を、基準液(0.01N KOH−ベンジルアルコール混合溶液)で滴定し、滴下量から末端カルボキシル基量を求めた。
【0127】
<着色層>
−二酸化チタン分散物の調製−
下記組成中の成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
【0128】
(二酸化チタン分散物の組成)
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒径0.3μm) ・・・45.6質量%
〔タイペークCR95、石原産業(株)製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・22.8質量%
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分10%〕
・界面活性剤 ・・・5.5質量%
〔デモールEP、花王(株)製、固形分25%〕
・蒸留水 ・・・全体で100%となるように添加
【0129】
−着色層形成用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、着色層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・二酸化チタン分散物 ・・・31.0質量%
・ポリオレフィン ・・・54.2質量%
〔アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、酸価:2mgKOH/g、固形分:20質量%〕
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・2.5質量%
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%〕
・オキサゾリン化合物 ・・・2.8質量%
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25%;架橋剤〕
・蒸留水 ・・・1.2質量%
【0130】
(酸価の測定方法)
着色層に用いるバインダーの酸価は、試料をキシレンとジメチルホルムアミド(1+1)を混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とし、その終点までの滴定量から酸価を求めた。
【0131】
−着色層の形成−
得られた塗布液を、上記の2軸延伸PET基材上の一方の面に塗布し、180℃で1分間乾燥させて、厚さが5μmであり、二酸化チタン量が5.5g/m、バインダー量が4.2g/mの着色層(白色層)を形成した。
【0132】
<裏面下塗り層>
−顔料分散物の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
【0133】
(顔料分散物の組成)
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒径0.3μm) ・・・45.6質量%
〔タイペークCR95、石原産業(株)製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・22.8質量%
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分10%〕
・界面活性剤 ・・・5.5質量%
〔デモールEP、花王(株)製、固形分25%〕
・蒸留水 ・・・全体で100%となるように添加
【0134】
−裏面下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、下塗り層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・シリコーンポリマー水分散物 ・・・36.4質量部
(セラネートWSA1070、DIC(株)製、固形分濃度37.4質量%)
・オキサゾリン系架橋剤 ・・・11.2質量部
(エポクロスWS−700、日本触媒化学工業(株)製(固形分:25質量%);オキサゾリン基を有する架橋剤)
・リン酸水素二アンモニウム(オニウム化合物) ・・・0.4質量部
・顔料分散物 ・・・49.4質量部
・蒸留水 ・・・1.1質量部
【0135】
−裏面下塗り層の形成−
得られた下塗り層形成用塗布液をPET基材の白色層を形成した面の反対面に、バインダー量が塗布量で6.1g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約8μmの下塗り層を形成した。
【0136】
<裏面耐候性層>
−裏面耐候性層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、裏面耐候性層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・フッ素ポリマー水分散物 ・・・20.7質量%
(オブリガードAW0011F、AGCコーテック(株)、固形分濃度36.1質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・0.4質量%
〔ナロアクティーCL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1%〕
・オキサゾリン系架橋剤 ・・・6.0質量%
(エポクロスWS−700、日本触媒化学工業(株)製(固形分:25質量%);オキサゾリン基を有する架橋剤)
・シリカゾル ・・・0.2質量%
〔スノーテックス−UP、日産化学工業(株)製、固形分20%〕
・シランカップリング剤 ・・・4.7質量%
〔TSL8340、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアル社製、固形分1%〕
・ポリオレフィンワックス分散物 ・・・12.5質量%
〔ケミパールW950、三井化学(株)製、固形分5%〕
・蒸留水 ・・・全体で100%となるように添加
【0137】
−裏面耐候性層の形成−
得られた裏面耐候性層形成用塗布液を裏面下塗り層の上に、バインダー量が塗布量で1.3g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚み約1.3μmの裏面耐候性層を形成した。
【0138】
こうして、PET基材の両面に塗布により各層を形成したバックシート試料を作製した。この試料について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0139】
<評価>
−1.接着性−
[A]湿熱経時前の接着性(Fr)
上記のようにして作製したサンプルシートを20mm巾×150mm長にカットして、サンプル片を1枚準備した。このサンプル片を、白色層側が内側になるようにガラスに配置し、この間に20mm巾×100mm長にカットしたEVAシート(三井化学ファブロ(株)製のEVAシート:SC50B)を挟み、真空ラミネータ(日清紡(株)製の真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。このときの接着条件は、以下の通りとした。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンで150℃で30分間、本接着処理を施した。このようにして接着したサンプル片の一端から20mmの部分はEVAと未接着で、残りの100mmの部分にEVAシートが接着された接着評価用試料を得た。
【0140】
得られた接着評価用試料のEVA未接着部分を、テンシロン(ORIENTEC製 RTC−1210A)にて上下クリップに挟み、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行ない、接着力を測定した。
測定されたEVAと白色層間の接着力を評価するとともに、白色層と基材界面で剥がれた場合には、以下の評価基準に従ってランク付けした。
【0141】
<評価基準:界面剥離>
A:密着が非常に良好であった(界面剥離発生確率10%未満)
B:密着は良好であった (界面剥離発生確率10%以上70%未満)
C:密着が不良であった (界面剥離発生確率70%以上)
【0142】
[B]湿熱経時後の接着性(PCT)
得られた接着評価用試料を、120℃、100%RHの環境条件下で48時間保持(湿熱経時)した後、[A]と同様の方法にて接着力を測定した。測定された保持後の接着力について、同じ接着評価用試料の[A]湿熱経時前の接着力に対する比率〔%;=湿熱経時後の接着力/[A]湿熱経時前の接着力×100〕を算出した。また、測定された湿熱経時後の接着力をもとに、[A]と同様の方法にて接着力を評価した。
【0143】
‐2.耐加水分解性‐
上記のようにして作製したサンプルシートを20mm巾×150mm長にカットして、サンプル片を2枚準備した。このサンプル片を、1枚はそのまま(Frと略記)で、1枚は120℃、100%RHの環境条件下で60時間保持(湿熱経時、PCT60hと略記)した後、テンシロン(ORIENTEC製 RTC−1210A)にて上下クリップに挟み、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行ない、破断伸度を測定した。PCT60h後の破断伸度/Frの破断伸度を求め、以下の評価基準に従ってランク付けした。
A:耐加水分解性が非常に良好であった(80%以上)
B:耐加水分解性が良好であった(60%以上80%未満)
C:耐加水分解性が十分ではない(40%以上60%未満)
D:耐加水分解性がやや不足(20%以上40%未満)
E:耐加水分解性が不足(20%未満)
【0144】
−3.反射率の測定−
得られた太陽電池用バックシートについて、反射率を以下に示す測定方法により測定した。
分光光度計((株)日立製作所製、U−3410 Spectrophotomater)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)及び10°傾斜スペーサーを取り付け、バックシートの反射率を測定した。なお、サンプルとしたバックシートは、長手方向が上下方向になるようにセットし、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/minの検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のAlを用いた。なお、反射率は、550nm波長における反射率として算出した。なお、着色層が存在する側の面について、測定を行った。結果を表1に示す。
【0145】
−4.ハジキ−
得られた太陽電池用バックシートについて、塗布面状を透過光で目視検査し、0.5mm以上のハジキ(弾き)の有無を確認した。以下の評価基準に従って採点した。
A:0個/A4サイズ
B:5個以下/A4サイズ
【0146】
(実施例2〜4)
実施例1と同様のPET基材を用い、着色層の架橋剤を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。なお、トリアジン系架橋剤としては、2,4ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5トリアジンナトリウム塩を用いた。
(実施例5)
PET基材としてAV値が18当量/トンのPET基材を用いたこと以外は実施例2と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0147】
(比較例1)
着色層に架橋剤を用いず、顔料の含有量を増やしたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0148】
(比較例2)
着色層に架橋剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0149】
(比較例3)
着色層の架橋剤として、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−02−L2、日清紡ホールディングス(株)製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0150】
(実施例6)
PET基材として富士フイルム社製(AV値:22当量/トン)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0151】
(比較例4)
着色層のバインダーとして、ハイテックS−3148(東邦化学社製)(酸価:25mgKOH/g)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0152】
(比較例5)
<下塗り層>
−下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、下塗層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・アクリル系バインダー ・・・2.6質量部
(AS−563A ダイセルファインケム製 固形分:28質量%)
・オレフィン系バインダー ・・・3.6質量部
(アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、固形分:20質量%)
・カルボジイミド化合物(架橋剤) ・・・1.7質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:10質量%)
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・0.3質量部
(エポクロスWS700、(株)日本触媒製、固形分:25質量%)
・界面活性剤 ・・・1.5質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・蒸留水 ・・・89.4質量部
【0153】
−下塗り層の形成−
得られた下塗り層形成用塗布液を実施例1で用いたものと同様のPET基材の一方の面に、バインダー量が塗布量で0.1g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約0.1μmの下塗り層を形成した。
【0154】
<着色層>
下塗り層上に着色層を形成した。着色層は、架橋剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様に形成した。これにより太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0155】
(比較例6)
比較例5と同様に下塗り層を形成した後、下塗り層上に実施例2と同様の着色層を形成して太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
【0156】
(実施例7)
着色層のバインダーを(ユニチカ社製、商品名:酸成分2倍品、酸価:5mgKOH/g)に変更したこと以外は、実施例2と同様にしてバックシートを作製し、評価を行った。
【0157】
(実施例8)
着色層のバインダーを(ユニチカ社製、商品名:酸成分6倍品、酸価:10mgKOH/g)に変更したこと以外は、実施例2と同様にしてバックシートを作製し、評価を行った。
【0158】
(実施例9)
ポリエチレンテレフタレートの合成およびポリマー基材の作製方法を以下で示す方法で行う以外は、実施例2と同様に実施例9のバックシートを作製した。
【0159】
<ポリエチレンテレフタレートの合成>
エステル交換反応容器にジメチルテレフタレートを100質量部、エチレングリコールを61質量部、酢酸マグネシウム四水塩を0.06質量部仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内の温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらトリメチルリン酸を0.02質量部添加した。トリメチルリン酸を添加した後、三酸化アンチモンを0.03質量部添加し、反応物を重合装置に移行した。ついで重合装置内の温度を235℃から290℃まで90分かけて昇温し、同時に装置内の圧力を大気圧から100Paまで90分かけて減圧した。重合装置における内容物の撹拌トルクが所定の値に達したら装置内を窒素ガスで大気圧に戻して重合を終了した。
重合装置下部のバルブを開いて重合装置内部を窒素ガスで加圧し、重合の完了したポリエチレンテレフタレート(PET)をストランド状にして水中に吐出した。ストランドはカッターによってチップ化した。このようにして固有粘度IV=0.58、酸価(AV)=12のPETを得た。これをPET−Aとした。
【0160】
<ポリエステルの固相重合>
PET−Aを150℃〜160℃で3時間予備乾燥した後、100トール(13332Pa)、窒素ガス雰囲気下、205℃で25時間固相重合を行いPET−Bを得た。
【0161】
<ポリエステルと末端封止剤を含むマスターペレットの製造>
90質量部のPET−Bと、末端封止剤として10質量部の下記化合物とをブレンドし、得られた混合物を二軸混練機に供給して280℃で溶融混練し、これをストランド状に水中吐出し、カッターで裁断しチップ化した。これをPET−Cとした。
【0162】
【化3】



【0163】
<ポリエステルフィルムの製膜>
PET−BとPET−Cとを180℃で3時間乾燥させた後、末端封止材の含有量が表1に示す量となるように混合して押出機に投入し、280℃で混練した。混練物をギアポンプ及び濾過器を通した後、Tダイから静電印加をかけた25℃の冷却ドラム上に押出し、冷却固化し未延伸シートを得た。未延伸ポリマー基材を、90℃で縦方向に3.4倍に延伸し、更に120℃で横方向に4.5倍に延伸することにより二軸延伸に供し、200℃で30秒熱固定した後、190℃で10秒熱緩和し、厚み240μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)であるポリマー基材を作製した。
このポリマー基材を用い、実施例2と同様の方法で実施例9のバックシートを作製した。
【0164】
(実施例10)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレート樹脂の全質量に対して50質量%の分画を、事前に120℃、約8時間10−3torr(0.1333Pa)下で乾燥した。これに前述の電顕法による測定値に基づく平均粒径0.3μmを有するルチル型二酸化チタンを、分画と同質量混合し、得られた混合物をベント式二軸押出機に供給して、混練りして脱気しながら275℃で押出し、粒子(酸化チタン)含有ペレットを調製した以外は、実施例2と同様の方法で実施例10のバックシートを作製した。
【0165】
(実施例11)
実施例1において、PETフィルムの表面処理を、以下で示すグロー放電処理で実施した以外は、実施例2と同様の方法で実施例11のバックシートを作製した。
【0166】
<グロー放電処理>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを、加熱ローラーを用いて145℃に加熱した後、処理雰囲気圧力 0.2Torr、放電周波数 30kHz、出力 5000w、放電処理強度 4.2kV・A・分/m の条件にてグロー放電処理に供した。
【0167】
(実施例12)
実施例2において、着色層の塗布液にフッ素系界面活性剤ナトリウム=1,2−{ビス(3,3,4,4,5,5,6,6−ナノフルオロヘキシルカルボニル)}エタンスルホナート(FFFC社製、固形分1.0%)を3.0質量%添加した意外は実施例2と同様の方法で実施例12のバックシートを作製した。
【0168】
(実施例13)
実施例1において、着色層における顔料の含有量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例13のバックシートを作製した。
【0169】
(実施例14)
実施例1において、着色層における顔料の含有量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例14のバックシートを作製した。
【0170】
<太陽電池モジュールの作製>
厚さ3.2mmの強化ガラスと、EVAシート〔三井化学ファブロ社製のSC50B〕と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート〔三井化学ファブロ社製のSC50B〕と、実施例1の太陽電池用バックシート1と、をこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ〔日清紡社製、真空ラミネート機〕を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。バックシートはその着色層がEVAシートと接触するように配置した。また、EVAの接着条件は、以下の通りである。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンにて150℃で30分間、本接着処理を施した。
このようにして、結晶系の太陽電池モジュール1を作製した。
【0171】
また、太陽電池用バックシート1に代え、実施例2〜5の太陽電池用バックシート2〜5を用いることにより、結晶系の太陽電池モジュール2〜5を作製した。
【0172】
作製した太陽電池モジュール1〜5について、発電運転をしたところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示した。
【0173】
【表1】

【0174】
表1に示すように、実施例では、EVA封止材への接着性に優れていた。これに対し、比較例では、接着性の点で大幅に劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー基材と、
前記ポリマー基材上に直接配置されており、酸価が2〜10mgKOH/gであるバインダー及び含有量が2.5〜8.5g/mである顔料を含有し、エチレン−ビニルアセテート封止材に対して50N/cm以上の接着力を有する着色層と、
を有する太陽電池用バックシート。
【請求項2】
前記着色層は、更に、前記バインダーに対して0.5〜50質量%の架橋剤に由来する構造部分を含む請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項3】
前記架橋剤が、オキサゾリン系架橋剤又はトリアジン系架橋剤である請求項2に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項4】
前記ポリマー基材上に設けられた少なくとも1つの層がフッ素系界面活性剤を含有する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項5】
前記顔料が白色顔料であり、前記着色層が設けられた面における波長550nmの光に対する反射率が80%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項6】
前記封止材と前記着色層とを直接接着させて120℃、100%RHの雰囲気下に60時間保存したときに、保存後の前記封止材と前記着色層との接着力が、保存前の前記封止材と前記着色層との接着力の60%以上であり、かつ、前記ポリマー基材と前記着色層との間で剥離が生じないものである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項7】
前記ポリマー基材は、カルボキシル基の含量が20当量/トン以下であるポリエステル樹脂を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項8】
前記ポリマー基材は、カルボキシル基の含量が17当量/トン以下であるポリエステル樹脂を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項9】
前記バインダーがポリオレフィンで構成されている請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項10】
前記ポリマー基材が、ポリエチレンテレフタレートと該ポリエチレンテレフタレートの全質量に対して0.1質量%〜10質量%の末端封止剤を含有して構成されている請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項11】
前記ポリマー基材が、無機粒子又は有機粒子を含有し、該粒子の平均粒径が0.1μm〜10μmであり、且つ該粒子の含有量がポリマー基材の全質量に対して0〜50質量%である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項12】
前記ポリマー基材の少なくとも前記着色層が設けられている側の面が、コロナ処理、グロー放電処理、及び火炎処理の少なくとも1種の方法で表面処理されている請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項13】
太陽電池素子と、
前記太陽電池素子を封止するエチレン−ビニルアセテート封止材と、
前記封止材と接着し、受光面側を保護する表面保護部材と、
請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシートを含み、前記着色層が前記封止材と直接接着し、前記受光面とは反対側を保護する裏面保護部材と、
を有する太陽電池モジュール。


【公開番号】特開2013−65846(P2013−65846A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−192400(P2012−192400)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】