説明

太陽電池用保護材

【課題】長期に防湿性が劣化せず、デラミネーションの発生を防止し、柔軟性と防湿性に優れた太陽電池用保護材を実現し、太陽電池の性能低下を同時に防止し、かつ太陽電池の耐久性の向上に有効な太陽電池用保護材を提供する。
【解決手段】フッ素系樹脂フィルム、中間フィルム、粘着剤層、及び基材の少なくとも一方の面に金属酸化物層を有し水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、前記中間フィルムの融点が150℃以下、かつ前記粘着剤層の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、その厚みが13μm以上である太陽電池用保護材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池等に用いられる保護材に関し、特に、防湿性が保持されデラミネーションの発生を防止しうる太陽電池用保護材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。太陽電池は受光面側より前面保護フィルムと裏面保護フィルムとの間にエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止材により太陽電池用セルを封止した構成とされている。
このような太陽電池は、通常、前面保護フィルム、封止材、発電素子、封止材及び裏面保護フィルムをこの順で積層し、加熱溶融させることにより接着一体化することで製造される。太陽電池の前面保護フィルム及び/又は裏面保護フィルムである太陽電池保護材としては、紫外線に対する耐久性に優れることが要求されるが、加えて、湿気ないし水の透過による内部の導線や電極の発錆を防止するために、防湿性に優れることが極めて重要な要件となる。さらには長期使用や高温条件下における防湿性の劣化が少ない優れた保護材の開発がなされてきた。
【0003】
例えば、特許文献1では、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とする水蒸気透過率が0.22[g/(m2・日)]の防湿フィルムにポリエステル系接着剤を用い、無機蒸着面側に耐候性ポリエステルフィルム、背面にポリプロピレンフィルムと張り合わせることにより太陽電池保護材を作製し85℃、85%湿度下で、1000時間試験後の防湿性を評価して、防湿性低下防止の提案を行なっている。
また、特許文献2の実施例では、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とする水蒸気透過率が1〜2[g/(m2・日)]の防湿フィルムの両側にポリウレタン系接着剤層を設け、その両側に耐候性ポリエステルフィルムを積層し太陽電池用表面保護材を製作し、85℃、85%湿度下で1000時間加速試験後のバリア性能と層間強度を評価し、両特性の劣化防止の提案を行なっている。
特許文献3では、同じく二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とする水蒸気透過率が0.5[g/(m2・日)]の防湿フィルムに二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いてPVFフィルムを貼り合わせた後、プレッシャークッカーテスト(PCT)(高温高圧による過酷環境試験、105℃ 92時間)前後の防湿性と層間強度を評価、特性の劣化防止の提案を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−150084号公報
【特許文献2】特開2009−188072号公報
【特許文献3】特開2009−49252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3の各々に開示される技術は、いずれも水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]以上の防湿フィルムを有する積層体に関するものであり、より高い防湿性が要求される化合物系発電素子太陽電池モジュールなどの太陽電池の表面保護材などに適用した場合、前記プレッシャークッカーテスト(PCT)等の加速耐久試験後の防湿性の維持、保護フィルム端部のデラミネーションの発生防止を十分に行い得るものではなかった。
太陽電池用保護材は、防湿性及びデラミネーションの発生防止に優れるものであって、更に当該防湿性やデラミネーションの発生防止が長期に維持されるものが望まれるが、これまで、水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の高い防湿性を有するフィルムを用いた場合においては、防湿性及びデラミネーションの発生防止を長期に可能とする具体的な提案はなされていないのが実情であった。
【0006】
すなわち、本発明の課題は、水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムを含む太陽電池用保護材に関して、長期に防湿性が劣化せず、デラミネーションの発生を防止し、柔軟性と防湿性に優れた太陽電池用保護材を実現し、太陽電池の性能低下を同時に防止し、かつ太陽電池の耐久性の向上に有効な太陽電池用保護材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、検討を重ねた結果、フッ素系樹脂フィルム、中間フィルム、粘着剤層、及び基材の少なくとも一方の面に金属酸化物層を有し水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、前記中間フィルムの融点が150℃以下、かつ前記粘着剤層の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、その厚みが13μm以上である太陽電池用保護材が、高温高湿環境下での長期保存においても防湿性の劣化とデラミネーションの発生の防止を同時に満足できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)フッ素系樹脂フィルム、中間フィルム、粘着剤層、及び基材の少なくとも一方の面に金属酸化物層を有し水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、
前記中間フィルムの融点が150℃以下、かつ
前記粘着剤層の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、その厚みが13μm以上
であることを特徴とする太陽電池用保護材、
(2)前記中間フィルムの厚みが50〜600μmである、上記(1)に記載の太陽電池用保護材、
(3)前記中間フィルムが、ポリエチレン樹脂を主成分として含む、上記(1)又は(2)に記載の太陽電池用保護材、
(4)前記防湿フィルムの金属酸化物層側に前記粘着剤層及び中間フィルムを有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池用保護材、
(5)初期水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池用保護材、
(6)前記防湿フィルムの基材の厚み(t1)と前記フッ素系樹脂フィルムの厚み(t2)が以下の関係式を満たす、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の太陽電池用保護材、
t1<t2
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池用モジュール、
を提供するものである。
【0009】
なお、本発明において、「フィルムの融点」とは、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて、フィルム試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、融解ピークを確認,200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度の中で最大ピークを融点(Tm)(℃)とすることを意味するものとする。なお、ポリエステルなど、融点が200℃を超え融解ピークが観測されない場合は、昇温上限温度を300℃とし、その後同様な測定を行なうことで求めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長期に防湿性劣化やデラミネーションの発生がなく柔軟性と防湿性に優れた太陽電池用保護材を実現し、太陽電池の性能低下を同時に防止し、かつ太陽電池の耐久性の向上に有効な高防湿太陽電池用保護材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
通常、太陽電池用保護材の製造においては、積層させるプラスチックフィルムに溶剤を用いて希釈した接着剤又は粘着剤を所定の厚みに塗布し70℃〜140℃の範囲での乾燥により溶剤を蒸発させプラスチックフィルム上に接着剤層又は粘着剤層を形成した後、他のプラスチックフィルムを接着剤又は粘着剤側に向けて貼合することを繰り返し、最後に所定の温度での養生を経て作製する。養生は30℃〜80℃の範囲で1日から1週間行なわれる。
【0012】
本積層工程において、熱や貼合の張力が各フィルムに作用し太陽電池用保護材に残留歪が蓄積される。作製された太陽電池用保護材は太陽電池素子や封止材と共に真空ラミネーションにより加熱溶融され一体化させ、太陽電池に組み込まれる。この真空ラミネーションプロセスは通常130℃〜180℃の範囲で行なわれる。
このように、太陽電池用保護材は、真空ラミネーションプロセスにおいて接着剤の乾燥、養生温度よりはるかに高い温度である130℃〜180℃の範囲での熱処理を受けることとなる。上記の積層工程において蓄積された残留歪は、高温高湿環境下での保存において、各積層界面への応力となって作用する。特に、プラスチックフィルムに残留歪が蓄積した場合、高温高湿環境下での温度によりフィルムは収縮し、金属酸化物層に対して応力が作用し、金属酸化物層に重大な劣化を生じることがある。
【0013】
また、太陽電池用保護材は防湿フィルムが積層されていることによりフィルムの暴露面(フッ素系樹脂フィルム面)からの水分の浸入を防止することが可能であるが,高温高湿環境下での加速試験においては太陽電池用保護材の端面からの水分の浸入により、積層に使用している接着剤や金属酸化物無用基材が徐々に劣化し、端部からのデラミネーションの発生や防湿性能低下が起こることがある。
特に、0.1[g/(m2・日)]未満程度の高い防湿性をもった防湿フィルムの場合、フィルムの収縮による防湿性の劣化や端部からの水分侵入による影響は著しい。これは金属酸化物層内部及び基材と金属酸化物層間での少量の欠陥や基材の加水分解などによる劣化が防湿性に対して重大な影響を与えるからである。
【0014】
以上より、本発明者らは金属酸化物層上に特定の引張り貯蔵弾性率を有する粘着剤層を設けること、当該粘着剤層上に融点が150℃以下の中間フィルムを設けることにより高温高湿環境下において防湿フィルムの金属酸化物層に作用する応力を低下させ、かつ真空ラミネーション工程において中間フィルムが溶融し、当該保護材端部に回りこみ、端面を封止するなどの効果により、防湿性の劣化防止と端部からのデラミネーションの発生防止の両立を実現することを見出すに至った。
【0015】
具体的には、高温高湿環境下において、プラスチックフィルム内の残留歪から生じる金属酸化物層に掛かる収縮による応力の伝達を低減するためには、真空ラミネーションでの貼り合わせに使用する粘着剤層がその引張り弾性率が十分低い柔軟なものであり、粘着剤層が変形することにより応力を吸収してしまうことが重要である。すなわち、真空ラミネーション等の高温環境下での引張り弾性率が低い粘着剤層を使用することが重要である。また真空ラミネーションプロセスにおいて溶融する融点が150℃以下の中間フィルムを粘着剤層上に設けることにより、溶融した中間フィルムが太陽電池用保護材の端面に回りこむことができることが重要である。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における太陽電池用保護材は、フッ素系樹脂フィルム、中間フィルム、粘着剤層、及び基材の少なくとも一方の面に金属酸化物層を有し水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、前記中間フィルムの融点が150℃以下、かつ前記粘着剤層の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、その厚みが13μm以上であることを特徴とする。
【0017】
<太陽電池用保護材>
[防湿フィルム]
本発明において、防湿フィルムは、基材の少なくとも一方の面に金属酸化物層を有するものであり、その水蒸気透過率は0.1[g/(m2・日)]未満である。本発明は、長期に高い防湿性を保持することが望まれる太陽電池用保護材に関するものであるため、初期の防湿性も一定以上のものである必要がある。したがって、本発明において、上記防湿フィルムは水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満であり、好ましくは0.05[g/(m2・日)]以下であり、より好ましくは、0.03[g/(m2・日)]以下である。また、該防湿フィルムは、太陽電池用保護材、特に、受光面側に用いられるフロントシートとして使用される場合には、透明であることが好ましい。水蒸気透過率の調整は、基材の選択、金属酸化物層を構成する金属酸化物の選択、金属酸化物層の厚み及び金属酸化物の酸化数等を適宜調整することにより行うことができる。
【0018】
(基材)
上記防湿フィルムの基材としては、透明基材であることが好ましく、具体的には、熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、その材料としては、通常、太陽電池用部材に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリル樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。これらの中では、フィルム物性、コスト等の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。中でも、表面平滑性、フィルム強度、耐熱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
【0019】
また、上記基材は、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
【0020】
上記基材は、上記の原料等を用いて成形してなるものであるが、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、後述するように、単層であっても多層であってもよい。
かかる基材は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
【0021】
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。延伸倍率は任意に設定できるが、100℃における熱収縮率が、0.01〜5%であることが好ましく、0.01〜2%であることがより好ましい。更に150℃における熱収縮率が、0.01〜5%であることが更に好ましく、0.01〜2%であることが特に好ましい。中でもフィルム物性の点から、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートと他のプラスチックの共押出二軸延伸フィルムが好ましい。
【0022】
なお、上記基材には、金属酸化物層との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布することが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、変性ビニル樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニルブチラール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ニトロセルロース樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、メラミン基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、変性スチレン樹脂及び変性シリコーン樹脂等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
またアンカーコート剤は、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルキルチタネート、光線遮断剤、紫外線吸収剤、安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有したり、紫外線吸収剤等を上記樹脂と共重合させたものを含有することができる。
【0023】
アンカーコート層の厚みは金属酸化物層との密着性向上の観点から、10〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。その形成方法としては、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターまたはスプレイを用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、基材をアンカーコート剤液に浸漬して行ってもよい。塗布後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることができる。また、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行う事もできる。また、アンカーコート層の形成は、基材の製造ラインの途中で行う方法(インライン)でも、基材製造後に行う方法(オフライン)でも良い。
【0024】
(金属酸化物層)
防湿フィルムの金属酸化物層を構成する物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン等の酸化物、酸化炭化物、酸化窒化物、酸化炭化窒化物及びこれらの混合物等が挙げられるが、太陽電池に適用した場合に電流がリークする等の恐れがない点、透明性及び高い防湿性が安定に維持できる点から、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム及び酸化窒化アルミニウム等の金属酸化物並びにこれらの混合物が好ましい。
【0025】
上記金属酸化物層の形成方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な金属酸化物層が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)等の方法がいずれも含まれる。物理気相蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
【0026】
上記金属酸化物層の厚みは、安定な防湿性の発現の点から、40〜1000nmであることが好ましく、50〜800nmがより好ましく、50〜600nmが更に好ましい。また、上記基材の厚みは、一般に5〜100μm程度であり、生産性や取り扱いやすさの点から8〜50μmが好ましく、12〜25μmが更に好ましい。従って、防湿フィルムの厚みは、一般に5〜100μm程度であり、生産性や取り扱いやすさの点から8〜50μmが好ましく、12〜25μmが更に好ましい。
また、上記金属酸化物層は、上記に挙げられる種々の成膜法を用い多層成膜し、防湿性を高めることが可能である。その場合、同一の成膜法を用いてもよいし、各層ごとに異なる成膜法を用いてもよいが、何れも減圧下で連続して行うことが、効率的な防湿性向上、生産性の点で好ましい。
【0027】
[中間フィルム]
本発明における中間フィルムは、前記防湿フィルムの金属酸化物層面に形成される粘着剤層に直接貼合されるフィルムである。当該中間フィルムは150℃以下の融点を有することから、真空ラミネーション工程において溶融しドローダウンにより該中間フィルムより裏面の粘着剤層、防湿フィルム、さらには防湿フィルムより裏面に設けられることがある背面フィルム等の側面に端面封止の膜を形成し、粘着剤層、防湿フィルムの基材等を保護し、防湿性の低下とデラミネーションの発生を防止するものである。
以上より、中間フィルムは耐候性、耐湿熱性に優れかつ太陽電池用保護材を形成する各層と良好な密着性を有するものであることが好ましく、上記観点から、太陽電池用封止材と同様のフィルムを用いることが望ましい。
【0028】
前記中間フィルムの融点は、上記観点から、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。その下限値は通常50℃であり、60℃であることが好ましい。中間フィルムの融点は60〜110℃であることが特に好ましい。
融点が上記の温度範囲内の中間フィルムを用いることで、真空ラミネーション時の温度で、それまでの工程で加えられた力の履歴や熱履歴によって生じたフィルム内の分子・結晶配向を緩和させ残留歪を低減させる効果も併せて得ることができる。
【0029】
中間フィルムとしては、太陽電池表面保護材への使用を考えると、可撓性に富み、紫外線、加湿耐久性に優れることが望ましい。中間フィルムとしては、エチレン−酢酸ビニルまたはポリエチレン等を主成分として含むフィルム、例えば50質量%以上、100質量%未満含むフィルムが挙げられる。更に、上記の観点から、融点の低いポリエチレンを主成分として含むフィルム、例えば50質量%以上、100質量%未満含むフィルムが好ましい。なかでも低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−α−オレフィン共重合体などの樹脂に紫外線吸収剤や着色剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられるが、更に低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン−α−オレフィン共重合体などを主成分として含むフィルム、例えば50質量%以上、100質量%未満含むフィルムが特に好ましい。
【0030】
なお、中間フィルムに用いられる上記紫外線吸収剤としては、種々の市販品があげられるが、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4、4’−ジメトキシベンゾフェノン、2、2’、4、4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
【0031】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4、6−ビス(2、4−ジメチルフェニル)−1、3、5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4、6−ジフェニル−1、3、5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。該紫外線吸収剤の配合量は、中間フィルム中、通常、0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%配合することが好ましい。
【0032】
紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。
【0033】
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)アミノ−1、3、5−トリアジン−2、4−ジイル}{(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N、N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2、4−ビス[N−ブチル−N−(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1、3、5−トリアジン縮合物、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3、5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、中間フィルム中、通常、0.01〜0.5質量%程度であり、0.05〜0.3質量%添加することが好ましい。
【0034】
本発明においては、中間フィルムの厚みはフィルムの取り扱いやすさの点から50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、保護材の部分放電確保の観点からは更に厚いことが望まれ、更に好ましくは300μm以上である。その上限値は特に制限はないが、通常、取り扱いの点から500μmである。中間フィルムの厚みは以上から100〜500μmが好ましい。
【0035】
[粘着剤層]
本発明の太陽電池用保護材は、前記防湿フィルムの金属酸化物層面と前記中間フィルムとを粘着剤層を介して貼合する。
本発明において、上記粘着剤層は、100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×104[Pa]以上、5.0×105[Pa]以下であって、その厚みが13μm以上である。すなわち、100℃における引張り貯蔵弾性率が5.0×104[Pa]以上であれば真空ラミネーションなどの加熱時に粘着剤層が流動せず、層厚みを均一に維持することが可能であり、また、5.0×105[Pa]以下であれば、該粘着剤層を介し対抗するフィルムの収縮などにより発生する応力を粘着剤層で吸収することで金属酸化物層へのダメージを防ぐことが可能となり、好ましい。上記観点から、粘着剤層の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率は、1.0×104[Pa]〜5.0×105[Pa]であることが好ましく、1.0×105[Pa]〜5.0×105[Pa]であることがより好ましい。また粘着剤層の厚さは十分な接着力を得る観点から13μm以上であり、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、高温高湿試験中において粘着剤層に発生する構造変化により金属酸化物層を有する樹脂フィルムの金属酸化物層面への応力が増大して防湿性能が劣化するのを防止する観点から、前記厚みは45μm以下であり、好ましくは30μm以下である。特に粘着剤層の厚みが50μmを超えると金属酸化物層面へは粘着剤層厚みと粘着剤層で発生する応力積にとして作用するため、耐久試験中の防湿性の低下は著しくなる。従って粘着剤層の厚さは13〜45μmであることが好ましい。
【0036】
本発明において、上記粘着剤層に用いられる粘着剤としては、100℃、周波数10Hz、歪0.1%における前記引張り貯蔵弾性率を5×105[Pa]以下とするために、また、更に常温(20℃)において接着強度を維持するために1×106[Pa]以上の引張り貯蔵弾性率を発揮する観点から、アクリル系粘着剤を含むものが好ましく、アクリル系粘着剤を主成分とするものがさらに好ましい。ここで、主成分とは、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨であり、具体的な含有率を制限するものではないが、一般に粘着剤層の構成成分全体を100質量部とした場合、50質量部以上であり、好ましくは65質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であって100質量部以下の範囲を占める成分である。
【0037】
前記アクリル系粘着剤としては、粘着性を与える低ガラス転移点(Tg)の主モノマー成分、接着性や凝集力を与える高Tgのコモノマー成分、及び架橋や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体(以下、「アクリル系(共)重合体」という)よりなるものが好ましい。
前記アクリル系粘着剤の主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以を上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
前記アクリル系粘着剤のコモノマー成分としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系粘着剤の官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
前記アクリル系粘着剤のモノマー成分の重合に使用する開始剤の例としては、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。また、前記アクリル系粘着剤の主成分となるアクリル系(共)重合体の共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、前記アクリル系粘着剤が上述のアクリル系(共)重合体である場合の分子量としては、質量平均分子量で30万〜150万であるものが好ましく、40万〜100万であることがさらに好ましい。質量平均分子量を前記範囲にすることによって被着体に対する密着性や接着耐久性を確保し、浮きや剥がれなどを抑制することができる。
【0040】
さらに、前記アクリル系(共)重合体において、官能基含有モノマー成分単位の含有量は、1〜25質量%の範囲が好ましい。この含有量を前記範囲内にすることにより、被着体との密着性および架橋度を確保し、本発明において必須条件である粘着剤層の引張り貯蔵弾性率を、100℃において5.0×104〜5.0×105Paの範囲の値にすることができる。
【0041】
本発明における粘着剤層は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。使用しうる紫外線吸収剤としては、前述の中間フィルムに含有される紫外線吸収剤と同様のものが使用できる。
【0042】
本発明において、粘着剤層は、前記中間フィルムもしくは防湿フィルムの金属酸化物層に直接塗工することにより形成してもよいし、前記粘着剤を剥離処理された剥離シートの剥離処理面に塗工し、これを中間フィルムもしくは防湿フィルムの金属酸化物層に接合することにより形成することができる。防湿フィルムの金属酸化物層を中間フィルム側にして貼り合わせることにより、粘着剤層により金属酸化物層が保護されるため、防湿性が劣化し難いため好ましい。また、金属酸化物層より硬い基材が太陽電池用素子側になるため、太陽電池モジュールとした際に形状が保持され易いため好ましい。
前記粘着剤は、塗工液にして塗工するのが好ましく、有機溶剤系、エマルション系、無溶剤系の塗工液があるが、耐水性が問われる太陽電池部材などの用途には有機溶剤系の塗工液が望ましい。
有機溶剤系の塗工液に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0043】
塗工液は、塗工の利便さから、これらの有機溶剤を使用して、固形分濃度が10〜50質量%の範囲になるように調製するのが好ましい。
塗工液の塗工は、例えば、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法等、従来公知の塗工方法により行うことができる。
塗工後、通常70〜110℃の温度で1〜5分程度乾燥処理することにより、粘着剤層が形成される。
【0044】
粘着剤層の厚みは、十分な接着力を得るとの観点から13μm以上とする必要があり、好ましくは15μm以上、より好ましくは18μm以上、更に好ましくは20μm以上である。また、塗工可能な厚みとする観点から、上記厚みは100μm以下が好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
【0045】
[フッ素系樹脂フィルム]
本発明の太陽電池用保護材は、耐加水分解性や耐候性を備え、長期の耐久性を付与するために、フッ素系樹脂フィルムを有する。
フッ素系樹脂フィルムは、耐候性を有するものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等からなるフィルムが好ましく用いられる。
【0046】
長期耐久性の観点からは、上記樹脂としては、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)がより好ましく用いられる。
フッ素系樹脂フィルムとしては、真空ラミネーション時や高温高湿時の温度・湿度変化においてもその特性変化が小さいことが好ましいことから、収縮率が大きいフッ素系フィルムであっても、事前の熱処理による低収縮率化等が行われたフィルムを使用することができる。
【0047】
前記フッ素系樹脂フィルムの厚みは、一般に20〜200μm程度であり、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から20〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
更に、基材の厚み(t1)と前記フッ素系樹脂フィルムの厚み(t2)が以下の(1)の関係式を満たすことが好ましく、これにより柔軟性に優れた太陽電池用保護材が得られる。このような太陽電池用保護材を用いた太陽電池モジュールは、曲げられた際に、太陽電池用保護材がその曲げに追従することができ、太陽電池用保護材と封止材とのデラミネーションが起こりにくい。
t1<t2 ・・・(1)
【0048】
[太陽電池用保護材]
本発明の太陽電池用保護材は、フッ素系樹脂フィルム、中間フィルム、粘着剤層、及び防湿フィルムをこの順に有するものであり、太陽電池に用いる場合、フッ素系樹脂フィルムを暴露側に有するものである。
本発明の太陽電池用保護材には、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性あるいは経済性等を更に向上させる目的で、例えば、ポリオレフィン系樹脂や各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系等)、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基、シラノール基等の極性基で変性された樹脂及び粘着付与樹脂等を含有することができる。
【0049】
該粘着付与樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、又はそれらの水素添加誘導体等が挙げられる。具体的には、石油樹脂としては、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等を例示することができる。また、該粘着付与樹脂は主に分子量により種々の軟化温度を有するものが得られるが、軟化温度が100〜150℃、好ましくは120〜140℃の脂環式石油樹脂の水素添加誘導体が特に好ましく、通常、太陽電池用保護材を構成する各フィルム中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
【0050】
(添加剤)
また、太陽電池用保護材には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光拡散剤、造核剤、顔料(例えば白色顔料)、難燃剤、変色防止剤等が挙げられる。本発明においては、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤が配合されていることが後述する理由等から好ましい。また、本発明においては、例えば、高度の耐熱性を要求される場合は架橋剤及び/又は架橋助剤を配合してもよい。
【0051】
シランカップリング剤の例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基等とともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変等の変色が少ないこと等からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、太陽電池用保護材を構成する各フィルム中、通常、0.1〜5質量%程度であり、0.2〜3質量%添加することが好ましい。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物等のカップリング剤も有効に活用できる。
【0052】
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等を挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカン等を挙げることができる。
【0053】
高分子フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)等を挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等を挙げることができる。
【0054】
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/又はジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
【0055】
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等からフェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることが更に好ましい。該酸化防止剤の添加量は、太陽電池用保護材を構成する各フィルム中、通常、0.1〜1質量%程度であり、0.2〜0.5質量%添加することが好ましい。
【0056】
(製膜方法)
本発明に用いられる太陽電池用保護材を構成する粘着剤層を除く各層の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね130〜300℃、好ましくは150〜250℃である。シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給しても良いし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給しても良いし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもかまわない。
【0057】
本発明の太陽電池用保護材は、上述の製膜された各フィルムに粘着剤を塗工し、例えば70〜140℃の温度で粘着剤層を乾燥させ、0〜80℃の温度下、貼り合わせて製造することができる。粘着剤層を十分飽和架橋度に到達させることの観点から、得られた積層体は30〜80℃の温度で、1〜7日間養生を行うことが好ましい。
本発明の太陽電池用保護材は、高熱環境、すなわち、熱ラミネート条件での熱処理を経ても、防湿性及び層間強度が劣化しない柔軟性と防湿性に優れるものである。
太陽電池用保護材の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは200〜600μmであり、より好ましくは200〜590μmであり、より好ましくは200〜350μmであり、更に好ましくは220〜320μmのシート状で用いられる。
【0058】
(太陽電池用保護材の防湿性)
本発明の太陽電池用保護材は、上述の通り、基材に金属酸化物層を有する水蒸気透過率0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムを用いることにより、初期防湿性が、水蒸気透過率で好ましくは0.1[g/(m2・日)]以下であり、より好ましくは0.05[g/(m2・日)]以下であるものとすることができる。
本発明の太陽電池用保護材は、初期防湿性に優れ、且つ、高温高湿環境下での保存においても防湿性やデラミネーション防止にも優れる太陽電池用保護材であることが好ましい。
【0059】
また、前記粘着剤を用いることにより、その防湿性は、真空ラミネーション及びJIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークーカーテスト(120℃)による連続する高温高湿環境による劣化度、すなわち、(前記の高温高湿環境後の水蒸気透過率/初期水蒸気透過率)を、好ましくは25以内、より好ましくは15以内、更に好ましくは10以内とすることができる。
なお、本発明における太陽電池用保護材の「初期防湿性」とは、部材が真空ラミート条件等の高温高湿環境下での熱等の履歴を受ける前の防湿性をいい、熱等による防湿性劣化が起こる前の値を意味する。よって、製造直後から高温高湿処理前までの経時的な変化を含むものである。例えば、100℃前後の高温高湿環境処理や、130〜180℃で10分〜40分行われる熱ラミネーション処理等の熱処理が行われていない状態での防湿性の値を意味する。「初期水蒸気透過率」も同様である。
【0060】
太陽電池用保護材が高温高湿下に曝された場合、防湿フィルムの金属酸化物層側に接しているのは粘着剤層であるので、粘着剤の性能が防湿性の劣化度合いに大きく影響する。
太陽電池用保護材の防湿性の劣化の原因として、粘着剤自身の防湿性の劣化が挙げられる。これについては加水分解しにくい粘着剤層塗膜を選択することが有効である。もう一つの原因として、金属酸化物層の蒸着面が傷められることによる防湿性の劣化が挙げられる。
【0061】
本発明者らは、高温高湿下で防湿フィルムの金属酸化物層を劣化させないという点に着目して粘着剤層を設計し本発明の太陽電池用保護材を得た。防湿フィルムの金属酸化物層面の劣化は、金属酸化物層と粘着剤層が強い化学結合を形成すると、粘着剤層の粘弾性の変化や粘着剤層塗膜の分解、収縮によって金属酸化物層に大きな応力がかかることによると考えられる.これに対して、金属酸化物層と粘着剤層の密着度が弱いと、粘着剤塗膜の物性変化による応力は軽減されるので防湿性の劣化が防止される。金属酸化物層と粘着剤層が化学結合を形成する要因は、例えばSiOx層の欠陥部分と粘着剤層中の水酸基等が反応することによると考えられるが、これを抑制するためには、粘着剤中の反応性官能基の数を減らせばよく、まず、粘着剤の塗布、硬化後の未反応官能基の数を抑えることが挙げられる。
【0062】
更に、粘着剤層の物性については、防湿フィルムの金属酸化物層を保護し防湿性の劣化を防止する観点から、ある程度柔らかさと厚みを持ち、ファンデルワールス力によって密着することが望ましい。粘着剤塗膜が硬すぎると収縮等に伴うフィルム間の応力を受けやすく金属酸化物層の劣化が起こりやすいので、100℃での引っ張り貯蔵弾性率は5.0×104[Pa]以上、5.0×105[Pa]以下であり、また粘着剤層の厚みは13μm以上である。
このようにして、上記防湿性を満たすことにより、発電素子の劣化、内部の導線や電極の発錆を防止することができる。
本発明における各防湿性はJIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ評価することができる。
【0063】
(太陽電池用保護材の層間強度)
本発明の太陽電池用保護材は、前記粘着剤と融点が150℃以下の中間フィルムを防湿フィルム上に設けることにより、真空ラミネーション及びJIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークーカーテスト(120℃)による連続する高熱処理後のデラミネーション発生を防止することができる。
【0064】
(太陽電池用保護材の用途)
本発明の太陽電池用保護材は、特に化合物系発電素子太陽電池モジュール又はフレキシブル太陽電池モジュールの太陽電池用表面保護部材に用いられることが、湿気ないし水の透過による発電素子の劣化、内部の導線や電極の発錆を防止することができ、長期に渡る起電力の保持を達成できることから好ましい。
【0065】
太陽電池用太陽電池用保護材は、該太陽電池用保護材の構成、特に、防湿フィルムの金属酸化物層に前記特定の粘着剤層を介して前記特定の中間フィルムを張り合わせることにより、高温条件下においても長期に防湿性、層間強度が劣化しない柔軟性と防湿性に優れた太陽電池用保護材を実現し、太陽電池等の性能低下を同時に防止すること、及び太陽電池等の耐久性の向上に有効な高防湿太陽電池用,電子ペーパー用表面保護材を提供することができる。
太陽電池用表面保護材は、封止材を積層してなる封止材・表面保護材一体型であってもよい。予め封止材を更に積層することにより、真空ラミネーション工程における裏面保護シート、封止材、発電素子、封止材、前面保護シートそれぞれを個々に積層する作業を低減でき、太陽電池モジュール製造の効率化を図ることができる。
【0066】
<太陽電池モジュール、太陽電池の製造方法>
前記太陽電池用保護材は、そのまま、あるいはガラス板等と貼り合わせて太陽電池用表面保護部材として用いることができる。本発明の太陽電池用保護材を用いて本発明の太陽電池モジュール及び/又は太陽電池を製造するには、公知の方法により、作製すれば良い。
【0067】
本発明の太陽電池用保護材を太陽電池用フロントシート、バックシート等の表面保護部材の層構成に使用し、太陽電池素子を封止材とともに固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、好ましくは、本発明の太陽電池用保護材を前面保護材として使用した場合、封止材と、太陽電池素子と、裏面保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられ、具体的には、前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)/封止材(封止樹脂層)/太陽電池素子/封止材(封止樹脂層)/裏面保護材の構成のもの、裏面保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)を形成させるような構成のもの、前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材と裏面保護材を形成させるような構成のもの等を挙げることができる。上記前面保護材として本発明の太陽電池用保護材の外側にガラス板を貼り合わせることは任意である。なお、前述の封止材・表面保護材一体型の表面保護材を用いる場合は、上記の封止材は用いなくてもよい場合がある。
【0068】
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
本発明における太陽電池用保護材を用いて、太陽電池モジュールを形成する場合、前記太陽電池発電素子の種類により防湿性が、水蒸気透過率で0.1[g/(m2・日)]未満程度の低防湿フィルムから0.01[g/(m2・日)]未満程度の高防湿フィルムまで素子のタイプに応じて適宜選択し、融点が150℃以下の中間フィルム等と特定の引張り貯蔵弾性率と厚みを有する粘着剤を使用し積層して形成する。
【0069】
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池モジュールを構成する他の各部材については、特に限定されるものではないが、封止材としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を挙げることができる。裏面保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレス等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。前面及び/又は裏面の保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等公知の表面処理を施すことができる。
【0070】
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池モジュールを既述した前面保護材(本発明の太陽電池用保護材)/封止材/太陽電池素子/封止材/裏面保護材のような構成のものを例として説明する。太陽光受光側から順に、本発明の太陽電池用保護材、封止材、太陽電池素子、封止材、バックシートが積層されてなり、更に、バックシートの下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、バックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
【0071】
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、本発明の太陽電池用保護材、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、裏面保護材の順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。前記真空吸引し加熱圧着する工程は、例えば、真空ラミネーターで、温度が好ましくは130〜180℃、より好ましくは130〜150℃、脱気時間が2〜15分、プレス圧力が0.05〜1MPa、プレス時間が好ましくは8〜45分、より好ましくは10〜40分で加熱加圧圧着することよりなる。
また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
【0072】
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池等屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。特に、電子デバイスの中でも、化合物系発電素子太陽電池モジュールやアモルファスシリコン系等のフレキシブル太陽電池モジュール用の太陽電池用保護材として、また、電子ペーパー等への使用においては、高防湿性が要求されることから、この連続する高熱処理を考慮した太陽電池用保護材として有効に用いられる。そのため、本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池モジュールは、特に前記電子デバイスの表面保護材として好ましく用いられる。
【実施例】
【0073】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は制限を受けるものではない。種々の物性の測定及び評価は次のようにして行った。
【0074】
(物性測定)
(1)粘着剤層または接着剤層のの引張り貯蔵弾性率
シリコーン離型PETフィルム上に使用する粘着剤を、25g/m2(乾燥後の厚みが25μm)となるよう塗布し、40℃で4日間養生し、更にその後150℃で30分保持し粘着剤層または接着剤層を形成した。その後当該粘着剤層または接着剤層のみを取り出し、該粘着剤層または接着剤層を複数枚重ねてサンプル(縦4mm、横60mm、厚み200μm)を作製した。得られたサンプルについて、アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置(商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」)を用いて、振動周波数10Hz、歪0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から180℃までサンプルに印加される歪に対する応力を測定し、得られたデータから100℃における引張り貯蔵弾性率を求めた。なお、昇温時にサンプル形状変化から100℃での測定が困難な場合、引っ張り貯蔵弾性率は0とした。
【0075】
(2)中間フィルムの結晶融解ピーク温度(融点、Tm)
ティー・エイ・インスツルメント(株)製の示差走査熱量計Q20を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、融解ピークを確認、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度の中で最大ピークを融点℃)として求めた。なお,ポリエステルなど融点が200℃を超え融解ピークが観測されない場合は,昇温上限温度を300℃とし,その後同様な測定を行なって融点を求めた。
【0076】
(3)プレッシャークッカー(PC)試験
各太陽電池用保護材を150mm×150mm角に切り出し、これを表面保護材として用い、ガラス、封止材、表面保護材(フッ素系樹脂フィルムが外側になる)の順になるように積層し、真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、「LM30×30」)を用いて150℃、15分、圧力0.1MPaの条件で真空ラミネートを行った。次に、トミー精工社製プレッシャークッカー試験LSK−500を用い、105℃、湿度100%、48時間の試験(PC48)条件でプレッシャークッカー試験を行った。
【0077】
(4)プレッシャークッカー(PC) デラミネーション試験
各太陽電池用保護材を150mm×150mm角に切り出し、これを表面保護材として用い、ガラス、封止材、表面保護材(フッ素系樹脂フィルムが外側になる)の順になるように積層し、真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、「LM30×30」)を用いて150℃、15分、圧力0.1MPaの条件で真空ラミネートを行った。次に、トミー精工社製プレッシャークッカー試験LSK−500を用い、105℃、湿度100%の条件でプレッシャークッカー試験を行い、表面保護材の端面部においてデラミネーションの発生を目視で確認できるまでの試験時間を測定した。90時間にてデラミネーションが発生を確認できないものは90時間超(>90)とした。
【0078】
(5)防湿性
防湿フィルム(D−1、D−2)の防湿性は、防湿フィルム作製後、一週間40℃で保管後の時点における水蒸気透過率として、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、以下の手法で測定した。
また、太陽電池用保護材(E−1〜E−8)の防湿性については、以下の手法で測定した水蒸気透過率の測定値を初期水蒸気透過率とした。次に、上記(3)の条件で真空ラミネート後にプレッシャークッカー試験を行った後に、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、以下の手法で測定した各太陽電池用保護材の水蒸気透過率の測定値をプレッシャークッカー試験後の水蒸気透過率とした。
【0079】
(防湿フィルムの水蒸気透過率)
厚み60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製 P1146)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚み約3μmの接着剤層を形成した。この接着剤層上に、作製後、一週間40℃で保管後の防湿フィルムの金属酸化物層側をラミネートし、積層体を得た。
次に、該積層体からなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層体各2枚用い、延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるようにして、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率[g/(m2・日)]を算出した。
【0080】
(太陽電池用保護材の水蒸気透過率および防湿性の劣化度)
厚み60μmの延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製 P1146)の表面に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製AD900とCAT−RT85を10:1.5の割合で配合したもの)を塗布、乾燥し、厚み約3μmの接着剤層を形成し、この接着剤層上に太陽電池用保護材の防湿フィルムの基材面側をラミネートし、積層体を得た。
次に、該積層体からなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層体各2枚用い、延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるようにして、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率[g/(m2・日)]を算出し、太陽電池用保護材の初期水蒸気透過率とした。プレッシャークッカー試験後の防湿性評価についても、試験後の太陽電池用保護材を用いて上記と同様に積層体を作製し、該積層体からなる透湿面積10.0cm×10.0cm角の積層体各2枚を用い、上記と同様の方法で評価を行なった。
得られた水蒸気透過率を用いて、防湿性劣化度を次式により求めた。
防湿性劣化度=(プレッシャークッカー試験後の太陽電池用保護材の水蒸気透過率)/(太陽電池用保護材の初期水蒸気透過率)
【0081】
<構成フィルム>
(フッ素系樹脂フィルム)
フッ素系樹脂フィルムとして、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)フィルム(旭硝子(株)製、商品名:アフレックス50 MW1250DCS、厚み50μm)を使用した。
【0082】
(中間フィルム)
B−1:ブリヂストン社製のエチレン−酢酸ビニル製封止材(商品名:EVASKY S11(厚み500μm、融点;69.6℃))を中間フィルムとして使用した。
【0083】
B−2:低密度ポリエチレン樹脂に、所要の添加剤を添加し、十分に混練して低密度ポリエチレン樹脂を調製し、次いで、該低密度ポリエチレン樹脂を押出機で押し出して、厚み140μmの無延伸低密度ポリエチレン樹脂からなる中間フィルムを製造した。融点は109℃であった。
【0084】
B−3:ホモポリプロピレン樹脂組成物とエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂とを押出機で層厚み比0.1:0.8:0.1(ホモポリプロピレン樹脂層が中心層、エチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂が両外層)で多層押出して、厚み190μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、中間フィルムとして使用した。前述の方法で測定した融点は162.3℃であった。
【0085】
(粘着剤塗工液)
C−1:温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、アクリル酸ブチル90質量部、アクリル酸10質量部、酢酸エチル75質量部、トルエン75質量部の混合溶液に、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で8時間重合した。反応終了後、トルエンにて固形分30質量%に調製し、質量平均分子量50万である樹脂を得た。得られた樹脂100質量部に対して、イソシアナート系架橋剤としてコロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業社製、固形分75質量%)1質量部を添加して、粘着剤塗工液を調製した。前述の方法により100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率を測定した結果を表1に示す。
【0086】
C−2:温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、アクリル酸2−エチルヘキシル70質量部、アクリル酸メチル10質量部,アクリル酸5質量部、酢酸エチル20質量部、トルエン20質量部の混合溶液に、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で8時間重合した。反応終了後、トルエンにて固形分30質量%に調製し、質量平均分子量50万である樹脂を得た。得られた樹脂100質量部に対して、イソシアナート系架橋剤としてコロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業社製、固形分75質量%)1質量部を添加して、粘着剤塗工液を調製した。前述の方法により100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率を測定した結果を表1に示す。
【0087】
C−3:温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、アクリル酸ブチル40質量部、アクリル酸イソブチル10質量部、アクリル酸メチル40、質量部アクリル酸10質量部、酢酸エチル75質量部、トルエン75質量部の混合溶液に、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下、80℃で8時間重合した。反応終了後、トルエンにて固形分30質量%に調製し、質量平均分子量50万である樹脂を得た。得られた樹脂100質量部に対して、イソシアナート系架橋剤としてコロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業社製、固形分75質量%)1質量部を添加して、粘着剤塗工液を調製した。前述の方法により100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率を測定した結果を表1に示す。
【0088】
(接着剤塗工液)
C−4:ポリウレタンポリオール成分を含む主剤としてロックペイント株式会社製HD1013を使用し、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアナート成分を含む硬化剤としてロックペイント株式会社製H62を使用し、重量比で10:1となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗工液を調製した。前述の方法により100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率を測定した結果を表1に示す。
【0089】
(防湿フィルム)
D−1:基材として、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン製、「Q51C12」)を用い、そのコロナ処理面に、下記のコート液を塗布乾燥して厚み0.1μmのコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、コート層上に厚み50nmのSiOx(x=1.5)の金属酸化物層を有する防湿フィルムD−1を得た。作製した防湿フィルムD−1の防湿性は0.01[g/(m2・日)]であった。
【0090】
コート液
日本合成(株)製「ゴーセノール」(ケン化度:97.0〜98.8mol%、重合度:2400)のポリビニルアルコール樹脂220gをイオン交換水2810gに加え加温溶解した水溶液に、20℃で攪拌しながら35mol%塩酸645gを加えた。次いで、10℃でブチルアルデヒド3.6gを攪拌しながら添加し、5分後に、アセトアルデヒド143gを攪拌しながら滴下し、樹脂微粒子を析出させた。次いで、60℃で2時間保持した後、液を冷却し、炭酸水素ナトリウムで中和し、水洗、乾燥し、ポリビニルアセトアセタール樹脂粉末(アセタール化度75mol%)を得た。
また、架橋剤としてイソシアネート樹脂(住友バイエルウレタン(株)製「スミジュールN−3200」)を用い、水酸基に対するイソシアネート基の当量比が1:2になるように混合した。
【0091】
D−2:12μmポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムにシリカを蒸着した三菱樹脂製テックバリアLXを防湿フィルムD−2として使用した。また前述の方法で測定した防湿性は0.2[g/(m2・日)]であった。
【0092】
(封止材)
中間フィルムB−1を封止材として使用した。
【0093】
(ガラス)
AGCファブリテック製太陽電池専用カバーガラス TCB09331、サイズ150×150×3.2mmを使用した。
【0094】
実施例1
38μmシリコーン離型PETフィルムに粘着剤塗工液C−1を乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布し、乾燥して粘着面を形成した。形成した粘着面に防湿フィルムD−1を貼り合せ、その後シリコーン離型PETフィルムを剥離し、もう一方の粘着面に中間フィルムB−1を貼合し40℃で4日間養生した。さらにフッ素系樹脂フィルムを、作製した積層体の中間フィルムB−1面と重ね、90℃、30秒間の熱プレスにより接着した。その後40℃で5日間養生し、582μmの太陽電池用保護材E−1を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0095】
実施例2
中間フィルムをB−2とした以外は実施例1と同様にして厚み222μm太陽電池用保護材E−2を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0096】
実施例3
粘着剤塗工液をC−2とした以外は実施例1と同様にして厚み582μm太陽電池用保護材E−3を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
実施例4
粘着剤塗工液をC−2とした以外は実施例2と同様にして厚み222μm太陽電池用保護材E−4を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
比較例1
実施例1の粘着剤塗工液C−1をC−3としたこと以外は実施例1と同様にして厚み582μmの太陽電池用保護材E−5を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
比較例2
実施例1の中間フィルムB−1をB−3としたこと以外は実施例1と同様にして厚み272μmの太陽電池用保護材E−6を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0100】
比較例3
実施例1の防湿フィルムD−1をD−2としたこと以外は実施例1と同様にして厚み582μmの太陽電池用保護材E−7を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
比較例4
実施例1の粘着剤塗工液C−1を接着剤塗工液C−4に変更し、接着剤層の乾燥後の厚みが6μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして厚み568μmの太陽電池用保護材E−8を作製した。得られた太陽電池用保護材を用い、各種物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
表1より、本発明の構成を有する実施例1〜4はいずれも、長期間防湿性が劣化せず、デラミネーションの発生が防止されたものであった。また、融点が本発明の範囲を越える中間フィルムを用いた比較例2は、経時による防湿性に劣り、またデラミネーションの発生防止が不十分なものであり、引張り弾性率が本発明の範囲を逸脱する粘着剤層を用いた比較例1は経時による防湿性に劣るものであり、粘着剤層に代えて接着剤層を使用した比較例4は、経時による防湿性に劣り、またデラミネーションの発生防止に劣るものであった。なお、防湿フィルムの水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]より高い防湿フィルムを使用した比較例3は、水蒸気透過率の劣化度は劣るものではないが、PC48後の水蒸気透過率が高いものであり、実用上好ましくないものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素系樹脂フィルム、中間フィルム、粘着剤層、及び基材の少なくとも一方の面に金属酸化物層を有し水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満の防湿フィルムをこの順に有する太陽電池用保護材であって、
前記中間フィルムの融点が150℃以下、かつ
前記粘着剤層の100℃、周波数10Hz、歪0.1%における引張り貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Paであり、その厚みが13μm以上
であることを特徴とする太陽電池用保護材。
【請求項2】
前記中間フィルムの厚みが50〜600μmである、請求項1に記載の太陽電池用保護材。
【請求項3】
前記中間フィルムが、ポリエチレン樹脂を主成分として含む、請求項1又は2に記載の太陽電池用保護材。
【請求項4】
前記防湿フィルムの金属酸化物層側に前記粘着剤層及び中間フィルムを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
【請求項5】
初期水蒸気透過率が0.1[g/(m2・日)]未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
【請求項6】
前記防湿フィルムの基材の厚み(t1)と前記フッ素系樹脂フィルムの厚み(t2)が以下の関係式を満たす、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
t1<t2
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池用モジュール。

【公開番号】特開2013−77818(P2013−77818A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−203031(P2012−203031)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22〜24年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽エネルギー技術研究開発/太陽光発電システム次世代高性能技術の開発/超ハイガスバリア太陽電池部材の研究開発」に係る共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】