説明

太陽電池用封止シート

【課題】 本発明は、高温高湿下にて長期間に亘って使用した場合にあっても、腐食による太陽電池素子の劣化がなく、太陽電池素子の発電性能の低下の生じない太陽電池用封止シートを提供する。
【解決手段】 本発明の太陽電池用封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアルコール性水酸基を含有する化合物を含むことを特徴とするので、アルコール性水酸基を含有する化合物がエチレン−酢酸ビニル共重合体に起因して発生する酢酸を捕捉し、太陽電池素子が酢酸によって腐食するようなことはなく、更に、アルコール性水酸基を含有する化合物がエステルの加水分解の触媒としての作用を有する酢酸を捕捉するのでエチレン−酢酸ビニル共重合体自体の加水分解を防止して酢酸自体の発生も抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用封止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンやセレンの半導体ウエハーからなる太陽電池モジュールは、太陽電池素子の両面にエチレン系共重合体などの接着性シートを積層し、接着性シートの上面に上部保護材を、下面に下部保護材を重ね合わせて真空中で脱気すると共に加熱することにより太陽電池素子を接着性シートで封止すると共に、接着性シートを介して太陽電池素子と上下保護材とを接着一体化したものが用いられている。
【0003】
上記接着性シートは、透明性、耐候性及び接着性などが要求され、エチレン系共重合体と有機過酸化物とからなる接着性シートが提案されている。この接着性シートは、加熱溶融されて太陽電池素子と上下保護材とを接着一体化し、更に、有機過酸化物の分解によって接着性シートが架橋されて耐熱性及び耐候性の高い太陽電池モジュールが得られる。
【0004】
特許文献1には、エチレン−酢酸ビニル共重合体に、シランカップリング剤および有機過酸化物あるいは光増感剤を混加した電子材料を封止する封止用組成物が提案されている。
【0005】
しかしながら、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる太陽電池封止材膜は、高温高湿下で酢酸残基が加水分解し、酢酸を発生し、この酢酸が原因となって太陽電池素子が腐食するといった問題点がある。特に、薄膜太陽電池素子や透明電極は、薄膜であるために発電性能の低下を起こし易い。
【0006】
このような腐食の問題を解決するために、種々の太陽電池封止材が提案されている。特許文献2には、1以上のバイパスダイオードが接続された光起電力素子が、1種類以上の封止材で封止されてなる光起電力素子モジュールにおいて、少なくとも前記バイパスダイオードに接触して設けられた封止材が、加水分解もしくは熱分解により酸を発生するような構成成分の含有量を20%以下とした樹脂からなることを特徴とする光起電力素子モジュールが提案されているものの、この封止材においても酢酸は発生し、太陽電池素子の腐食を防ぐには不十分である。
【0007】
更に、特許文献3には、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及び該共重合体中に分散された受酸剤粒子を含む透明フィルムであって、受酸剤粒子の含有量が共重合体に対して0.5質量%以下であり、且つ受酸剤粒子の平均粒径が5μm以下である透明フィルムが提案されている。
【0008】
しかしながら、無機物質が樹脂に対して0.5質量%以下の添加量では、酸を吸収し或いは中和する効果は十分ではない。又、大量の受酸剤粒子を配合すると、太陽電池に必要とされる透明性が損なわれるといった問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公平6−35575号公報
【特許文献2】特開2000−216422号公報
【特許文献3】特開2005−29588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高温高湿下にて長期間に亘って使用した場合にあっても、腐食による太陽電池素子の劣化がなく、太陽電池素子の発電性能の低下の生じない太陽電池用封止シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の太陽電池用封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアルコール性水酸基を含有する化合物を含むことを特徴とする。
【0012】
太陽電池用封止シートを構成しているエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル量は、少ないと、太陽電池モジュールの透明性が低下し、太陽電池の発電性能が低下することがあり、多いと、太陽電池用封止シートの製膜が困難となり、或いは、太陽電池用封止シートの機械的強度が低下することがあるので、5〜50重量%が好ましい。
【0013】
太陽電池用封止シートにはアルコール性水酸基を含有する化合物が含有されている。このアルコール性水酸基を含有する化合物とは、一分子中に一個以上のアルコール性水酸基を含有する低分子化合物又は低分子量物(オリゴマー)をいう。一分子中に一個以上のアルコール性水酸基を含有する低分子化合物とは、一価アルコール及び多価アルコールを含み、沸点が150℃以上の液体であるアルコール又は融点が100℃以下の固体であるアルコールをいう。
【0014】
アルコール性水酸基を含有する化合物が、沸点が150℃未満の液体である一価又は多価アルコールであると、太陽電池用封止シートの押出製膜時に、アルコール性水酸基を含有する化合物が揮発して太陽電池用封止シートが発泡して外観を低下させ、或いは、引き取りロールを汚染する虞れがある。
【0015】
アルコール性水酸基を含有する化合物が、融点が100℃を越える固体である一価又は多価アルコールであると、アルコール性水酸基を含有する化合物がエチレン−酢酸ビニル共重合体中に均一に分散せず、酢酸を捕捉する効果が得られず、或いは、太陽電池用封止シートの外観ムラが発生する虞れがある。
【0016】
アルコール性水酸基を有する化合物としては、1級アルコール、2級アルコール又は3級アルコールの何れであってもよく、炭素数が6以上(C6以上)のアルコールが好ましく、炭素数が6以上の脂肪族アルコールがより好ましい。
【0017】
アルコール性水酸基を含有する化合物としては、例えば、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、1−オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。アルコール性水酸基を含有する化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されもよい。
【0018】
そして、アルコール性水酸基を有する化合物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の加水分解によって発生する酢酸と反応し、太陽電池素子に接触して腐食させる遊離酢酸を減少させる。
【0019】
太陽電池用封止シート中におけるアルコール性水酸基を含有する化合物の含有量は、少ないと、エチレン−酢酸ビニル共重合体の加水分解によって発生する酢酸の捕捉効果が低くなり、多いと、アルコール性水酸基を含有する化合物がブリードアウトして太陽電池用封止シートの表面汚れ、ブロッキング又は臭気の原因となるので、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましい。
【0020】
本発明の太陽電池用封止シートには有機過酸化物が含有されていることが好ましい。このように、太陽電池用封止シートに有機過酸化物を含有させることによって、太陽電池用封止シートを架橋させて耐熱性及び耐候性に優れたものとすることができる。
【0021】
有機過酸化物としては、特に限定されないが、一時間半減期温度が110〜140℃である有機過酸化物が好ましい。これは、有機過酸化物の一時間半減期温度が低いと、有機過酸化物を分解させることなく太陽電池用封止シートを製膜することができないことがあり、高いと、太陽電池用封止シートを架橋させるための熱処理に長時間を要して太陽電池の生産性が低下するからである。
【0022】
一時間半減期温度が110〜140℃である有機過酸化物としては、例えば、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(111℃)、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン(114℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(115℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(118℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(118℃)、t−ブチルパーオキシマレイン酸(119℃)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(119℃)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート(119℃)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(119℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(119℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(121℃)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(122℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(125℃)、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート(127℃)、ジクミルパーオキサイド(136℃)、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(136℃)、t−ブチルクミルパーオキサイド(137℃)、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(138℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(138℃)などが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、括弧内の温度は、有機過酸化物の一時間半減期温度である。
【0023】
太陽電池用封止シート中における有機過酸化物の含有量は、少ないと、太陽電池用封止シートを充分に架橋させることができず、太陽電池用封止シートの耐熱性及び耐候性が低下することがあり、多いと、太陽電池モジュールの製造時に有機過酸化物の分解時に発生するガスによって太陽電池素子と太陽電池用封止シートとの間に気泡溜まりが発生し、得られる太陽電池モジュールの発電性能が低下することがあるので、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.3〜1.5重量部が好ましい。
【0024】
又、太陽電池用封止シート中における有機過酸化物の含有量の目安として架橋後の太陽電池用封止シートのゲル分率が挙げられるが、架橋後の太陽電池用封止シートのゲル分率は、70重量%以上が好ましい。
【0025】
なお、架橋後の太陽電池用封止シートのゲル分率は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、太陽電池用封止シートをAg秤量し、これを120℃のキシレン中に24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量を測定し(Bg)、下記式により算出することができる。
ゲル分率(重量%)=(B/A)×100
【0026】
又、太陽電池用封止シートには、カップリング剤が含有されていてもよい。このようにカップリング剤を含有させることによって、太陽電池用封止シートを介して太陽電池素子と上下保護材とを強固に一体化することができる。
【0027】
上記カップリング剤としては、アミノ基、グリシジル基、メタクリロキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる一種又は二種以上の官能基を有するシランカップリング剤が好ましく、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。なお、カップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0028】
なお、太陽電池用封止シートには、その物性を損なわない範囲内において、架橋助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが含有されていてもよい。
【0029】
次に、太陽電池用封止シートの製造方法について説明する。エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアルコール性水酸基を含有する化合物と、必要に応じて有機過酸化物やその他の添加剤とを押出機に供給して必要に応じて有機過酸化物の一時間半減期温度よりも低い温度で溶融混練して押出機の先端に取り付けたTダイから押出して太陽電池用封止シートを製造する方法が挙げられる。なお、有機過酸化物が二種以上含有されている場合には、最も低い有機過酸化物の一時間半減期温度よりも低い温度にて溶融混練すればよい。
【0030】
又、太陽電池モジュールの製造時において、太陽電池素子又は上下保護材と、太陽電池用封止シートとの間における脱気性を向上させるために、太陽電池用封止シートの表面にエンボス加工を施すことが好ましい。
【0031】
太陽電池用封止シートの表面にエンボス加工を施す方法としては、特に限定されず、Tダイから押出された直後の溶融シートを、表面にエンボス模様が施されたエンボスロールと、このエンボスロールに対峙して配設されたゴムロールとの間に供給し、エンボスロールを溶融シートに押圧させて、太陽電池用封止シートの表面にエンボス加工を施す方法が挙げられる。なお、一旦製造された太陽電池用封止シートを再度、加熱して溶融状態とした上で上述の要領でエンボス加工を施してもよい。
【0032】
そして、本発明の太陽電池用封止シートを用いた太陽電池モジュールBの製造方法としては、太陽電池素子1の上面に上側太陽電池用封止シートAを介して上部透明保護材2を、下面に下側太陽電池用封止シートAを介して下部保護材3を積層して積層体を製造し、この積層体を減圧下にて加熱することによって上下太陽電池用封止シートを架橋させながら太陽電池素子1を上下太陽電池用封止シートA、Aによって上下から封止すると共に太陽電池素子1の上下面に上下太陽電池用封止シートA、Aを介して保護材2、3を積層一体化させる太陽電池モジュールBの製造方法が挙げられる。なお、積層体を加熱する際の条件としては、有機過酸化物の一分間半減期温度にて5〜10分間に亘って加熱すればよい。例えば、有機過酸化物の一分間半減期温度が160℃であれば、160℃にて5〜10分間に亘って積層体を加熱すればよい。
【0033】
上記では、太陽電池素子をその上下面から太陽電池用封止シートを用いて封止一体化してなる構造を有する太陽電池モジュールBを説明したが、本発明の太陽電池用封止シートAは、下記の構造の太陽電池モジュールBにも用いることができる。
【0034】
透明基板4上に、シリコンや化合物半導体などからなる太陽電池セル5が薄膜状に積層一体化されており、この太陽電池セル5上に太陽電池用封止シートAを積層させると共に、太陽電池用封止シートA上に下部保護材3を積層させた積層体を作製し、この積層体を減圧下で加熱圧着して、透明基板4、太陽電池セル5、太陽電池用封止シートA及び下部保護材3が積層一体化されてなる太陽電池モジュールBを得ることができる(図2参照)。なお、太陽電池セル5は、透明基板4と太陽電池用封止シートAとによって封止一体化されている。
【発明の効果】
【0035】
本発明の太陽電池用封止シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアルコール性水酸基を含有する化合物を含むことを特徴とするので、アルコール性水酸基を含有する化合物が、エチレン−酢酸ビニル共重合体に起因して発生する酢酸を捕捉し、太陽電池素子が酢酸によって腐食するようなことはなく、更に、アルコール性水酸基を含有する化合物がエステルの加水分解の触媒としての作用を有する酢酸を捕捉するのでエチレン−酢酸ビニル共重合体自体の加水分解を防止して酢酸自体の発生も抑制する。
【0036】
よって、本発明の太陽電池用封止シートは、太陽電池素子の腐食の原因となる酢酸が抑えられており、太陽電池素子の発電性能を長期間に亘って良好な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の太陽電池用封止シートを用いて得られた太陽電池モジュールを示した模式縦断面図である。
【図2】本発明の太陽電池用封止シートを用いて得られた太陽電池モジュールの他の一例を示した模式縦断面図である。
【図3】実施例及び比較例にて抵抗変化比を測定するために作製した試験体を示した模式縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施例1、2、比較例1、2)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製 商品名「エバフレックス EV250」、酢酸ビニル含有量:28重量%、メルトフローレイト:15g/10分)100重量部、表1に示した所定量のアルコール性水酸基を含有する化合物又は水酸化マグネシウム、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート0.8重量部、三官能モノマーとしてトリアリルイソシアヌレート0.3重量部、酸化防止剤として2, 6−ジ−t −ブチル−4−メチルフェノール0.1重量部及び紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノン0.3重量部よりなる樹脂組成物を押出機に供給して110℃にて溶融混練し、押出機の先端に取り付けたTダイから100℃で押出して厚さ0.6mm、幅1250mmの太陽電池用封止シートを得た。なお、1−ヘプタノールは、その融点が−36℃、沸点が176℃である。1,5−ペンタンジオールは、その融点が−18℃、沸点が242℃であった。
【0039】
得られた太陽電池モジュールについて、耐湿試験前後の抵抗変化比、全光線透過率及びヘイズを下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0040】
(耐湿試験前後の抵抗変化比)
縦100mm×横75mm×厚み0.7mmの平面長方形状で且つ一面にGZO電極層61が形成されたGZO電極層付きガラス6(株式会社ZnOラボ社製、GZO電極層の厚み:1500Å)を用意した。GZO電極層61の抵抗が測定できるように、GZO電極層付きガラス6のGZO電極層61表面における縦方向の両端部に取り出し電極62、62を形成した。
【0041】
取り出し電極62は、GZO電極層付きガラス6のGZO電極層61表面における縦方向の両端部に導電性ペースト(太陽インキ製造社製 商品名「ECM−100 AF5200」)を幅5mm、厚み200μmでもって塗布し120℃にて30分間に亘って乾燥することによって形成した。
【0042】
太陽電池用封止シートを縦100mm×横75mmの平面長方形状に裁断した。GZO電極層付きガラス6と厚みが2mmのソーダライムガラス7とを太陽電池用封止シートAを介在させた状態で重ね合わせて積層体を作製した。なお、GZO電極層付きガラス6のGZO電極層61が太陽電池用封止シートAに対向した状態とした。
【0043】
次に、積層体を真空ラミネーターを用いて125℃で10mmHgまで2.5分間に亘って減圧した後に、積層体を125℃で2.5分間に亘って厚み方向に押圧し、更に、積層体を140℃にて45分間に亘って放置して図3に示した試験体を作製した。なお、試験体の四方外周をブチルゴム8にて包囲した。
【0044】
得られた試験体における取り出し電極間の抵抗値をデジタルテスターを用いて測定し、初期抵抗値とした。
【0045】
次に、試験体を85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽内に投入して1000時間に亘って放置した。この試験体における取り出し電極間の抵抗値をデジタルテスターを用いて測定し、耐湿試験後抵抗値とした。そして、下記式に基づいて抵抗変化比を算出した。
(抵抗変化比)=(耐湿試験後抵抗値)/(初期抵抗値)
【0046】
(全光線透過率及びヘイズ)
2枚の3mm厚のソーダライムガラスを太陽電池用封止シートを介在させた状態で重ね合わせて積層シートを作製した。この積層シートを真空ラミネーターを用いて125℃で10mmHgまで2.5分間に亘って減圧した後に、積層シートを125℃にて2.5分間に亘って厚み方向に押圧した。
【0047】
更に、積層シートを140℃にて45分間に亘って放置した後、積層シートを室温まで冷却させて試験体を作製した。試験体の全光線透過率及びヘイズをヘイズメーター(日本電色社製 商品名「全自動ヘーズメーターTC−HIIIDPK」)を用いて測定した。
【0048】
【表1】

【符号の説明】
【0049】
1 太陽電池素子
2 上部透明保護材
3 下部保護材
4 透明基板
5 太陽電池セル
A 太陽電池用封止シート
B 太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−酢酸ビニル共重合体及びアルコール性水酸基を含有する化合物を含むことを特徴とする太陽電池用封止シート。
【請求項2】
エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対してアルコール性水酸基を含有する化合物0.01〜5重量部を含有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用封止シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−63685(P2011−63685A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214479(P2009−214479)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】