説明

太陽電池装置およびその覆蓋ユニット

【課題】発電性能の低下を抑制することが可能な太陽電池装置およびその覆蓋ユニットを提供する。
【解決手段】太陽電池装置1は、間に吹き抜けの空間C1が形成されるように離間する少なくとも2つの蓋部12を備える覆蓋ユニット10と、少なくとも2つの蓋部12の上面S1を跨がるように設置された太陽電池パネル30と、を備える。少なくとも2つの蓋部12の上面S1は、それぞれ同一平面内に位置し、且つ、蓋部12の底面に対してそれぞれ同一方向へ傾いていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池装置およびその覆蓋ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば下水処理場などに設置された反応槽や沈殿槽など、臭気や有害なガスを発生する可能性のある槽は、たとえばFRP(Fiber Reinforced Plastics)や合成樹脂からなる覆蓋によって塞がれることがあった(たとえば以下に示す特許文献1参照)。この際、覆蓋の上面を利用して、太陽電池パネルなどを配置することがあった。たとえば特許文献1には、天井がアーチ状をした覆蓋の上面におけるフラットな部分に太陽電池パネルを設置し、この太陽電池パネルで発電された電力で、覆蓋内部の脱臭ファンを駆動する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−66405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池パネルの温度が上昇すると、内部抵抗が上昇したり出力電圧が低下したりなど、太陽電池パネルの発電性能が低下してしまう場合がある。特に、太陽電池パネルをフラットな面に設置した場合では、太陽電池パネルの裏面側の空間が狭くなるか若しくは無くなるため、太陽電池パネルの裏面を流れる風の量が低減してしまう。この結果、太陽電池パネルの温度が上昇し易くなり、これにより、発電性能が低下してしまう場合がある。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、発電性能の低下を抑制することが可能な太陽電池装置およびその覆蓋ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明による太陽電池装置は、間に吹き抜けの空間が形成されるように離間する少なくとも2つの凸部を備える覆蓋ユニットと、前記少なくとも2つの凸部の上面を跨がるように設置された太陽電池パネルと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による覆蓋ユニットは、たとえば、間に吹き抜けの空間が形成されるように離間する少なくとも2つの凸部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、太陽電池パネルの下に通風路となる空間が設けられるため、太陽電池パネルを裏面側からも空冷して発電性能の低下を抑制することが可能な太陽電池装置およびその覆蓋ユニットを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態による覆蓋ユニットを備えた太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す覆蓋のうち一方の概略構成を示す斜視図である。
【図2B】図2Bは、図1に示す覆蓋のうち他方の概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2Aに示す覆蓋の概略構成を示す上視図である。
【図4】図4は、図2Aに示す覆蓋の概略構成を示す側視図である。
【図5】図5は、図2Aに示す覆蓋の概略構成を示す正面図である。
【図6】図6は、図2Aに示す覆蓋の概略構成を示す背面図である。
【図7】図7は、図2Aに示す覆蓋の内部概略構成を示すA−A断面図である。
【図8】図8は、本実施の形態による覆蓋ユニットの概略構成を示す分解図である。
【図9】図9は、本実施の形態による取付具が取り付けられた覆蓋の部分拡大図である。
【図10】図10は、本実施の形態による太陽電池装置の概略構成を示す分解図である。
【図11】図11は、本実施の形態による太陽電池装置の正面図である。
【図12】図12は、本実施の形態による太陽電池装置の背面図である。
【図13A】図13Aは、本実施の形態における蓋部の厚みを変えた変形例を示すB1−B1線断面図である。
【図13B】図13Bは、本実施の形態における蓋部の厚みを変えた変形例を示すB2−B2線断面図である。
【図13C】図13Cは、本実施の形態における蓋部の厚みを変えた変形例を示すB3−B3線断面図である。
【図14】図14は、本実施の形態における蓋部の内面に支持棒を設けた変形例を示す上面図である。
【図15】図15は、図14に示した支持棒の取付状態を示す拡大断面図である。
【図16】図16は、図14に示した支持棒の他の取付状態を示す拡大断面図である。
【図17】図17は、隣接する覆蓋間に落とし杭によって連接する状態を示す覆蓋の上面図である。
【図18】図18は、図17に示した覆蓋の側面図である。
【図19】図19は、図3に示した覆蓋の上面を低くし、この上面に点検窓を設けた構成を示す斜視図である。
【図20】図20は、図3に示した2つの覆蓋を1つの覆蓋の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【0011】
以下、本発明の一実施の形態による太陽電池装置およびその覆蓋ユニットを、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態による覆蓋ユニットを備えた太陽電池装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、太陽電池装置1は、2つ以上の覆蓋11Aおよび11Bを一列に配列した状態で組み合わせてなる覆蓋ユニット10と、覆蓋ユニット10上に載置された1つ以上の太陽電池パネル30よりなる1つ以上の太陽電池パネルアレイ30Aと、を備える。
【0012】
ここで、図1に示す覆蓋11Aおよび11Bについて、図面を用いてより詳細に説明する。図2Aは、図1に示す覆蓋のうち一方の概略構成を示す斜視図である。図2Bは、図1に示す覆蓋のうち他方の概略構成を示す斜視図である。図3〜図6は、それぞれ、図2Aに示す覆蓋の概略構成を示す上視図、側視図、正面図および背面図である。また、図7は、図2Aに示す覆蓋の内部概略構成を示すA−A断面図である。なお、図2Bに示す覆蓋11Bは、裾部14の構成以外、図2Aに示す覆蓋11Aと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0013】
図2A〜図5に示すように、本実施の形態による覆蓋11Aおよび11Bは、それぞれ、開口A1によって開口する底面に対して上面S1が傾斜する蓋部12と、蓋部12の底面に設けられた裾部14と、よりなる。このような覆蓋11Aおよび11Bは、たとえばFRPや合成樹脂などを用いて形成することが可能である。たとえば覆蓋11Aおよび11BをFRPで形成した場合、比較的強度の高い覆蓋11Aおよび11Bを製造することが可能となるため、覆蓋11Aならびに11B、および覆蓋ユニット10を補強するための部材の強度または点数を低減したり無くしたりすることが可能となる。この結果、覆蓋ユニット10および太陽電池装置1の構造を簡略化でき、また、そのコストや総重量や維持管理の手間を低減することが可能となる。また、FRPは比較的軽量の材料であるため、覆蓋11Aおよび11B自体、ならびに覆蓋ユニット10および太陽電池装置1の重量を軽量化できる。この結果、船舶やトラック等での積荷および運搬作業や組立作業などにおける負担を軽減することが可能となる。また、各覆蓋11Aおよび11Bの形成方法には、型成形などの簡易な方法を適用することができる。ただし、これに限定されるものではなく、本実施の形態による形状が達成できるのであれば種々変形可能である。
【0014】
蓋部12は、上辺が底辺よりも短い台形状の側面(以下、これを前側面とする)S2および側面(以下、これを背側面とする)S4を備える。前側面S2と背側面S4とは、互いの上辺が近づくように、蓋部12の底面に対して傾斜している。ここで、前側面S2の上辺は、背側面S4の上辺よりも長い。したがって、前側面S2の上辺と背側面S4の上辺とを結ぶ面(これを上面とする)S1は、前側面S2の上辺を底辺とし、背側面S4の上辺を上辺とする台形となる。
【0015】
また、上面S1の斜辺と前側面S2の斜辺と背側面S4の斜辺と蓋部12の底面の各側辺とは、それぞれ蓋部12の底面との内角が鋭角となる側面S3を形成する。この側面S3は、平坦面であることが好ましい。側面S3がねじれていると、各側面S3にかかる負荷が位置に依存して偏る場合があり、この結果、個々の覆蓋11Aおよび11Bの強度が低下してしまう場合があるためである。そこで、本実施の形態では、各側面S3が平坦面となるように、前側面S2の上辺と背側面S4の上辺との長さが調節される。
【0016】
以上のように、蓋部12は、上面S1から開口A1が形成された底面にかけてテーパ状に広がる形状を備える。また、図7に示すように、蓋部12の内部は、空洞となっている。さらに、蓋部12における裾部14が設けられた底面には、開口A1が設けられている。このような構成とすることで、保管時や運搬時に重ね置きしておくことが可能となる。この結果、保管スペースや運搬作業および運搬回数を低減することが可能である。
【0017】
ここで、図2A/図2B、図4および図5に示すように、上面S1は、底辺が上辺に対して下方に位置するように、蓋部12の底面に対して傾斜する。底面と上面S1との内角(すなわち、上面S1の仰角)は、たとえば太陽電池装置1の設置場所によって種々変形されるとよい。たとえば緯度が10°の場所であって地表面に対して水平な場所に太陽電池装置1を設置する場合、この内角を10°とするとよい。これにより、たとえば図1に示したように、上面S1上に載置される太陽電池パネル30に年間を通じて最も多くの太陽光を入射させることが可能となる。ただし、このケースであっても、気温や日照時間などに影響される発電効率を考慮した結果、内角を10°からずらされることがあるのは当然である。
【0018】
また、図2A/図2B、図3、図5および図6に示すように、蓋部12の2つの側面S3は、たとえば2つの覆蓋11Aおよび11Bを側面S3を向かい合わせた状態で組み合わせた際に蓋部12の間に空間C1(たとえば図11または図12参照)が形成されるように、それぞれ蓋部12の底面に対して傾斜している。2つの側面S3と蓋部12の底面とのそれぞれの内角(すなわち、各側面S3の仰角)は、同じであるとよい。これにより、各側面S3への負荷を均等に分散することができる。また、底面と各側面S3との内角は、たとえば60°とすることができる。内角をそれぞれ60°程度とすることで、個々の覆蓋11Aおよび11Bの強度を構造的に高めることが可能となる。
【0019】
また、図2A/図2B、図3および図5に示すように、蓋部12の前側面S2には、覆蓋ユニット10が被せられた反応槽などの点検対象の状態を外から点検するための点検窓13が設けられている。たとえば図2A/図2Bおよび図4に示すように、点検窓13が設けられる前側面S2は、その垂線が覆蓋11Aまたは11Bの下方へ向けて傾くように、蓋部12の底面に対して傾斜する。これにより、通常、覆蓋11Aまたは11Bの下方に位置される反応槽などの点検対象に対する点検窓13からの視界を広くすることができる。
【0020】
また、図3および図6に示すように、蓋部12の背側面S4には、たとえば排気ダクト18が設けられている。ここで、図7に示すように、各覆蓋11Aおよび11Bの内部には、覆蓋ユニット10で覆われた空間内部の空気を浄化するための脱臭装置19などの電気回路を含む装置を設けることが可能である。脱臭装置19を設けた場合、その排気口は、取付具19aを用いて排気ダクト18に連結される。この構成により、覆蓋ユニット10外部へ脱臭後のきれいな空気を排気することが可能となる。また、覆蓋ユニット10で覆われた空間内において有用または有毒のガス等が発生するケースでは、排気ダクト18をたとえばガスタンクやガス精製装置(設備を含む)などに繋がるパイプを接続可能な構成などに置き換えてもよい。なお、本実施の形態では、背側面S4も、蓋部12の底面に対して傾斜している。これは、覆蓋11Aおよび11Bの強度の向上や、運搬時の他の覆蓋11Aまたは11Bに対する重ね易さや、製造のし易さなどを考慮した構成である。ただし、背側面S4は、蓋部12の底面に対して垂直であってもよい。
【0021】
また、各覆蓋11Aおよび11Bの裾部14は、開口する蓋部12の開口部分を補強するための構成である。覆蓋11Aの裾部14における2つの側面S3側の端部には、たとえば図2A、図3、図5および図6に示すように、隣接配置される覆蓋11Bと組み合うための係合部14aが設けられる。一方、覆蓋11Bの裾部14における2つの側面S3側の端部には、たとえば図2Bに示すように、隣接配置される覆蓋11Aと組み合うための係合部14bが設けられる。すなわち、本実施の形態では、覆蓋11Aと覆蓋11Bとが交互に配置される。ただし、これに限定されるものではなく、各覆蓋を互いに係合可能な同一形状とすることも可能である。たとえば、裾部14における2つの側面S3の端部の一方を係合部14aとし、他方を係合部14bとすることも可能である。この場合、組み合わせる全ての覆蓋11を同じ形状とすることが可能であるため、製造用の金型の種類が少なくて済む。
【0022】
ここで、複数の覆蓋11Aおよび11Bを組み合わせてなる覆蓋ユニット10の構成を、図面を用いて詳細に説明する。図8は、本実施の形態による覆蓋ユニットの概略構成を示す分解図である。図8に示すように、覆蓋ユニット10は、それぞれの上面S1が同一の平面内に位置するように、複数の覆蓋11Aおよび11Bを組み合わせてなる。組み合わせる覆蓋11Aおよび11Bの数は、たとえば各覆蓋11Aおよび11Bの組み合わせ方向の長さと太陽電池装置1(または覆蓋ユニット10)を設置する場所の面積とで適宜決定すればよい。組み合わされた覆蓋ユニット10において、隣接する覆蓋11Aおよび11Bの特に蓋部12の間には、上述したように、通風路として機能する空間C1(たとえば図11または図12参照)が形成される。
【0023】
各覆蓋11Aおよび11Bの係合部14aと係合部14bとは、互いに係合可能であるとよい。また、組み合わされた係合部14aおよび14bとは、たとえば金具などを用いて固定されてもよい。ただし、これに限定されず、たとえば裾部14に係合部14aおよび14bが設けられていない構成であってもよい。この場合、隣接配置される覆蓋11Aおよび11Bが、たとえば金具などを用いて連結されるとよい。また、図1および図8に示すように、組み合わせられる複数の覆蓋11Aおよび11Bのうち、最外に位置する覆蓋11Aまたは11Bの係合部14aまたは14bには、それぞれ係合部14aまたは14bと係合可能な終端部材16aが係合されてもよい。
【0024】
各覆蓋11Aおよび11Bの上面S1には、太陽電池パネルアレイ30Aを固定するための取付具21が設けられる。取付具21には、太陽電池パネルアレイ30Aの枠体32(たとえば図10参照)がたとえばボルト22aおよびナット22bなどを用いて固定される。ここで図9に、本実施の形態による取付具が取り付けられた覆蓋の部分拡大図を示す。図8および図9に示すように、取付具21には、たとえば断面がH型の鋼材を用いることができる。この取付具21において、下側に位置する平板部分は、たとえばボルト17aおよびナット17bを用いて覆蓋11Aまたは11Bの上面S1に固定される。
【0025】
ここで、太陽電池パネルアレイ30Aの枠体32は、図9(および図10)に示すように、平行に配置された鋼材32aおよび32bと、鋼材32aおよび32bの間を固定する鋼材32cと、が格子状に組み合わされてなる。鋼材32aには、たとえば断面がコ型またはH型の鋼材を用いることができる。取付具21の上側に位置する平板部分は、鋼材32aにおける下側に位置する平板部分にたとえばボルト22aおよびナット22bを用いて固定される。この際、太陽電池パネルアレイ30Aが覆蓋11Aおよび11Bを跨がるように、枠体32がそれぞれの取付具21に固定される。なお、取付具21および/または枠体32は、太陽電池パネル30または太陽電池パネルアレイ30Aの傾きを微調整できるように構成されてもよい。
【0026】
つづいて、図9〜図12を用いて、本実施の形態による太陽電池装置1の構成をより詳細に説明する。図10は、本実施の形態による太陽電池装置の概略構成を示す分解図である。図11は、本実施の形態による太陽電池装置の正面図である。図12は、本実施の形態による太陽電池装置の背面図である。
【0027】
まず、図10に示すように、太陽電池装置1は、覆蓋ユニット10と、枠体32に複数の太陽電池パネル30が取り付けられてなる太陽電池パネルアレイ30Aと、よりなる。ここで、枠体32は、図9および図10に示すように、鋼材32cと平行に設けられた棒材34aと、棒材34aの両端に設けられた板材34bと、よりなる保持部34を備える。複数の太陽電池パネル30は、互いに連結されるとともに、この保持部34の板材34bにたとえばねじ等を用いて固定される。
【0028】
ここで、1つの太陽電池パネルアレイ30Aは、隣接配置された2つの覆蓋11Aおよび11Bの上面S1を跨がるように、それぞれの上面S1に設けられた取付具21に取り付けられる。これにより、図11および図12に示すように、太陽電池パネルアレイ30Aの下には、隣接配置された2つの覆蓋11Aおよび11Bが形成する空間C1が形成される。この空間C1は、太陽電池装置1の正面側(図11参照)から背面側(図12参照)にかけて、吹き抜けとなっている。したがって、覆蓋ユニット10に載置された太陽電池パネル30は、空間C1を通過する風によって空冷される。
【0029】
また、1つの太陽電池パネルアレイ30Aにおける複数の太陽電池パネル30は、不図示の配線および電気回路によって互いに接続されており、1つのバッテリ装置として電力を出力する。太陽電池パネルアレイ30Aから出力された電力は、たとえば1つの覆蓋11Aまたは11Bの内部に設けられた脱臭装置19へ送られ、脱臭装置19の動作電力として使用されてもよい。この際、隣接配置された2つの覆蓋11Aおよび11Bが形成する空間C1は、各太陽電池パネル30間および太陽電池パネルアレイ30Aと脱臭装置19等とを電気的に接続する配線や電気回路等の配置空間としても利用できる。
【0030】
ここで、蓋部12の厚みは、図13A〜図13Cに示すように、長手方向に沿って厚みを変えるようにしてもよい。蓋部12の上面S1は、点検窓13側に向かうにしたがって幅広となり、蓋部12の側面S3は、排気ダクト18側に向かうにしたがって幅広となる。この幅広となった部分と、幅が狭い部分とでは、剛性に差があるため、強度差が生じる。このため、上面S1は、点検窓13側に向かうにしたがって厚くしている(d1>d2>d3)。一方、側面S3は、排気ダクト18側に向かうにしたがって厚くしている(t1<t2<t3)。このような上面S1および側面S3の厚み調整を行うことによって、蓋部12全体の強度が平坦化されるとともに、軽量化を図ることができる。なお、この厚み調整は、上面S1のみ、あるいは側面S3のみに対して行うようにしてもよい。
【0031】
また、覆蓋11A,11Bは、FRPや合成樹脂で形成された場合、幅方向で内面側に凹む可能性がある。このような幅方向で内面側への凹みが生じると、隣接する覆蓋間に隙間が生じ、覆う対象である下水処理槽などからの臭気が漏れる可能性があるとともに、隣接する覆蓋間の組み合わせ作業に時間がかかる場合がある。このため、図14に示すように、蓋部12の内面に、幅方向内側への縮みを抑える支持棒40を設けることが好ましい。この支持棒40の取付は、覆蓋の搬送作業上の便利性を考慮し、覆蓋ユニットの組立時に行うのが好ましい。
【0032】
この支持棒40の側面S3内部への取付は、図15に示すように、側面S3内部の取付位置に予め凹部41を設けておき、この凹部41に支持棒40を嵌め込むようにしている。この支持棒40先端と凹部41内面とは、たとえば接着剤によって接合することが好ましい。なお、支持棒40は、たとえばFRPや合成樹脂で形成された円筒である。支持棒40は、円柱、角柱、角筒であってもよいが、筒状のものの方が軽量化を図ることができる。
【0033】
また、支持棒40は、図16に示すように、側面S3に取り付けるようにしてもよい。図16では、予め平板状の取付板42を設け、予め斜めに先端がカットされた支持棒40と取付板42とをライニングによって接合し、ライニング部43を形成する。その後、取付板42を側面S3内面に沿ってあてがい、ボルト44とナット45とで取付板42を側面S3に取り付けることによって、支持棒40を側面S3に取り付ける。なお、ボルト44頂部は、キャップ46によって覆われる。このキャップ46によって、蓋部12内の臭気などの漏洩を防止することができる。なお、取付部42、ボルト44、ナット45の適宜の箇所に接着剤を用いることによって、臭気の漏洩を確実に防止することができる。
【0034】
さらに、上述した支持棒40と合わせ、あるいは単独に、図17および図18に示すように、裾部14の重ね合わせ部分に落とし孔50を設け、この落とし孔50に落とし杭51を挿入するようにしてもよい。この落とし杭51によって、幅方向における内面側への凹みが矯正された状態で覆蓋を組み立てることができる。
【0035】
また、本実施の形態の変形例として、図19に示すように、図2Aに比して上面S1を低くした構成としてもよい。上面S1を低くすると、上面が広くなることも相まって、上部に取り付けられる太陽電池パネルアレイ30Aを安定して取り付けることができる。この場合、点検窓13は、前側面S2ではなく、上面S1端部に取り付けられるため、点検窓13の取付位置が低くなり、点検窓13の維持管理がしやすくなるとともに、点検窓13の法線方向が一層下部方向に向くため、下水処理槽などを鳥瞰しやすくなり、下水処理槽などの維持管理がしやすくなる。さらに、点検窓13が上面S1に取り付けられ、前側面S2の高さをほぼ無視できることから、上面S1の角度を大きくすることができる。このため、蓋部12上部に取り付けられる太陽電池パネルアレイ30Aの設定角度を大きく変更することが可能となる。
【0036】
さらに、本実施の形態の変形例として、図20に示すように、覆蓋11Aと覆蓋11Bとを一体化した覆蓋11としてもよい。このような覆蓋11とすることによって、裾部14の係合部14a,14bが対称配置となり、同一規格の覆蓋11として生産することができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、隣接する覆蓋11A,11B間に、通風路として機能する空間C1が形成され、この空間C1を通過する風によって太陽電池パネル30が空冷されるようにしていたが、これに限らず、この空間C1に図示しない冷却ファンを設け、強制冷却するようにしてもよい。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、蓋部12の底面(開口A1部分)を上面S1よりも幅広の形状としているため、太陽電池パネルアレイ30Aの下に通風路となる空間C1が形成される。この空間C1を太陽電池パネル30の下に設けているため、空間C1を通過する自然風あるいは強制風によって覆蓋ユニット10上に載置された太陽電池パネル30を裏面からも空冷することができる。この構成により、個々の太陽電池パネル30の昇温を抑制でき、この結果、太陽電池装置1の発電性能の低下を抑制することが可能となる。なお、上記の実施の形態では、2つの覆蓋11Aおよび11Bの上面S1を跨がるように、言い換えれば、2つの凸部の上面S1を跨がるように、太陽電池パネル30を設置したが、本発明はこれに限定されず、たとえば3つ以上の覆蓋11Aおよび11Bを跨がるように太陽電池パネル30を設置してもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、各覆蓋11Aおよび11Bにおける蓋部12の長手方向と垂直な断面を略三角形または台形としているため、言い換えれば、隣接配置された2つの覆蓋11Aおよび11Bの側面S3と太陽電池パネル30とが形成する空間C1の長手方向と垂直な断面を略逆三角形としているため、太陽電池パネルアレイ30Aの荷重に対して覆蓋ユニット10の強度を高くすることが可能である。これにより、覆蓋11Aならびに11Bおよび覆蓋ユニット10を補強するための部材の強度または点数を低減することが可能となり、この結果、覆蓋ユニット10および太陽電池装置1の構造を簡略化でき、また、その重量やコストを低減することが可能となる。また、このような構造的特徴と、材料にFRPを用いることとを組み合わせることで、その効果をより向上することが可能である。
【0040】
なお、本実施の形態では、覆蓋11Aおよび11Bにおける底面と側面S3との内角を鋭角とすることで、隣接する覆蓋11Aおよび11B間に空間C1を形成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば覆蓋11Aおよび11Bの側面S3を階段状の側面やアーチ型の側面などに置き換えてもよい。このような場合でも、覆蓋11Aおよび11Bを隣接配置した際に、互いに向き合う側面間に通風路となる空間を形成することが可能である。また、側面S3を覆蓋11Aまたは11Bの底面に対して垂直とした場合でも、裾部14の幅をある程度広い幅とすることで、十分な量の風を通すことが可能な空間を隣接配置された覆蓋11Aおよび11B間に形成することが可能である。
【0041】
このように、本実施の形態は、間に空間が形成されるように離間する2つの凸部(たとえば蓋部12に相当)の上面に太陽電池パネルアレイ30Aを載置した構成であればよい。このような構成とすることで、太陽電池パネル30の裏面側に通風路となる空間が形成されるため、太陽電池パネル30を裏面からも空冷することが可能となり、この結果、太陽電池装置1の発電性能の低下を抑制することが可能となる。
【0042】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0043】
1 太陽電池装置
10 覆蓋ユニット
11A、11B 覆蓋
12 蓋部
13 点検窓
14 裾部
14a、14b 係合部
16a 終端部材
17a、22a ボルト
17b、22b ナット
18 排気ダクト
19 脱臭装置
19a 取付具
21 取付具
30 太陽電池パネル
30A 太陽電池パネルアレイ
32 枠体
32a、32b、32c 鋼材
34 保持部
34a 棒材
34b 板材
40 支持棒
41 凹部
42 取付板
43 ライニング部
44 ボルト
45 ナット
46 キャップ
50 落とし孔
51 落とし杭
C1 空間
S1 上面
S2 前側面
S3 側面
S4 背側面
d1〜d3,t1〜t3 厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に吹き抜けの空間が形成されるように離間する少なくとも2つの凸部を備える覆蓋ユニットと、
前記少なくとも2つの凸部の上面を跨がるように設置された太陽電池パネルと、
を備えたことを特徴とする太陽電池装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの凸部の前記上面は、それぞれ同一平面内に位置し且つ該凸部の底面に対してそれぞれ同一方向へ傾いていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項3】
前記凸部の底面は、該凸部の上面よりも幅広であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池装置。
【請求項4】
前記凸部の側面は、該凸部の上面から底面にかけてテーパ状に広がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池装置。
【請求項5】
前記凸部の上面は、幅が広くなるにしたがって肉厚に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項6】
前記凸部の側面は、幅が広くなるにしたがって肉厚に形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項7】
前記凸部の側面内部に設けられた支持棒を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項8】
前記覆蓋ユニットは、前記凸部ごとに分離可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項9】
前記覆蓋ユニットは、前記凸部ごとに分離可能であり、
前記凸部の底面に設けられた裾部をさらに備え、
前記裾部は、隣接配置される他の凸部の裾部と係合可能な係合部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項10】
前記覆蓋ユニットは、2つの凸部ごとに分離可能であり、
前記裾部は、他の覆蓋ユニットの裾部と係合可能で、長手方向を軸とする回転対称の係合部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項11】
前記係合部に形成された落とし孔と、
前記落とし孔に挿通される落とし杭と、
を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の太陽電池装置。
【請求項12】
前記凸部の前側面または背側面に設けられた窓をさらに備え、
前記凸部の前側面または背側面と該凸部の底面との内角は、鋭角であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項13】
前記凸部の上面に設けられた窓を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項14】
前記凸部の内部に設けられた電気回路と、
前記太陽電池パネルと前記電気回路とを電気的に接続する配線と、
をさらに備え、
前記配線の少なくとも一部は、前記吹き抜けの空間内に配線されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項15】
前記吹き抜けの空間に冷却ファンを設けたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項16】
前記覆蓋ユニットは、FRP製であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載の太陽電池装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一つに記載の覆蓋ユニット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−44162(P2012−44162A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161174(P2011−161174)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】