説明

契約媒体発行装置および契約媒体発行システム

【課題】この発明は、契約媒体の発行に先立って、手間のかかる入力内容を事前に審査した審査媒体を用い、この審査媒体の事前審査情報に基づいて契約媒体を短時間に発行する発行時間の短縮化を図った契約媒体発行装置および契約媒体発行システムの提供を目的とする。
【解決手段】この発明は、顧客が入力操作した事前入力内容を審査する事前審査手段と、この事前審査手段が審査内容を了承したとき審査媒体を発行する審査媒体発行手段と、この審査媒体発行手段が発行した審査媒体を受付けたとき契約媒体を発行する契約媒体発行手段とを備えた契約媒体発行装置であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、契約カード等の契約媒体を自動的に発行する自動契約機のような契約媒体発行装置に関し、さらに詳しくは契約媒体の発行操作時間を短縮した契約媒体発行装置および契約媒体発行システムに関する。
【0002】
【従来の技術】以下、自動契約機を例にとって説明すると、この自動契約機は顧客が免許証や健康保険証等の身分証明書や申請用紙を定位置にセットすると、これを自動的に受付けて読取り、この読取った顧客の審査内容から契約有効と確認すれば契約成立して顧客が要請した契約カードを発行している。このように、顧客が要請する契約カードを無人対応して自動的に発行するため、顧客自身で操作が完結し、係員の窓口業務の省力化が図れ、また顧客へのサービス性を高めている。
【0003】この場合、顧客の提示した証明書類を審査するとき、審査に必要な個人情報が数十項目あり、全てを入力操作して取引完了するには長時間(一人当たり30分程度)要してしまう。それゆえ、入力項目を減らしたり、記入した書面をイメージ画像として一括して案内係員に送信し、このイメージ画像をチェックして時間短縮を図っている。
【0004】しかし、審査に必要な個人情報の入力項目を減少するには限界があり、また案内係員がイメージ画像を見ながら手作業で一つずつチェックしているのが実情である。さらに、顧客の入力操作および係員の入力操作との全ての情報を入力完了した後に審査するため、顧客の待ち時間が長くなり、また書面への記入漏れがある場合は再記入を要するなど手間がかかり、顧客および案内係員を煩わせるという問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、契約媒体の発行に先立って、手間のかかる入力内容を事前に審査した審査媒体を用い、この審査媒体の事前審査情報に基づいて契約媒体を短時間に発行する発行時間の短縮化を図った契約媒体発行装置および契約媒体発行システムの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、顧客が入力操作した事前入力内容を審査する事前審査手段と、この事前審査手段が審査内容を了承したとき審査媒体を発行する審査媒体発行手段と、この審査媒体発行手段が発行した審査媒体を受付けたとき契約媒体を発行する契約媒体発行手段とを備えた契約媒体発行装置であることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、事前に入力情報が記録された情報伝達媒体から審査する事前審査手段を備えたことを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、事前に審査する顧客の入力情報を通信で受付ける事前審査手段を備えたことを特徴とする。
【0009】請求項4記載の発明は、顧客が入力操作した識別情報に基づいて事前に審査する事前審査情報を通信で受付ける事前審査手段を備えたことを特徴とする。
【0010】請求項5記載の発明は、契約媒体を発行する契約媒体発行システムであって、上記契約媒体を発行するための事前審査を行い、この事前に審査された顧客の事前審査情報を受付けることに基づいて契約媒体を発行することを特徴とする。
【0011】
【作用】この発明によれば、契約媒体を発行するに先立って、先ず、顧客が入力操作した事前入力内容を事前審査手段により審査し、この事前審査手段が審査内容を了承したとき審査媒体発行手段は審査媒体を発行し、この発行された審査媒体を契約媒体発行手段が受付けたとき契約媒体を発行する。
【0012】また、顧客の入力情報を事前に審査するとき、事前に入力情報が記録された情報伝達媒体から直接審査する。同じく、顧客の入力情報を事前に審査するとき、事前に審査すべき顧客の入力情報を通信によって受付ける。
【0013】同じく、顧客の入力情報を事前に審査するとき、顧客が入力操作した識別情報に基づいて事前に審査すべき事前審査情報を通信で受付ける。さらに、契約媒体の発行に際して、契約媒体を発行するための事前審査を行い、この事前に審査された顧客の事前審査情報を受付けることに基づいて契約媒体を発行する。
【0014】
【発明の効果】この結果、顧客の事前入力内容を審査した審査媒体を用いれば、契約媒体の発行要請時に既に審査完了しているため、顧客の手間のかかる入力操作を省略して直ちに契約媒体を発行することができる。このため、短時間に契約媒体を発行操作して顧客の待ち時間を短縮し、顧客および係員を煩わせず、効率のよい契約媒体の発行処理ができる。
【0015】また、事前に入力情報が記録されたカード等の情報伝達媒体を審査媒体として用いれば、事前審査も省略することができる。さらに、顧客の識別情報等の入力情報を係員側に通信して伝達すれば、審査処理が一層容易となる。
【0016】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。図1は各種端末機11〜14間を通信網15により接続した接続構成図を示し、顧客が使用する事前入力端末機11および自動契約機12側と、係員が使用する事前審査端末機13および受付端末機14側とをINS(高度情報通信システム)等の通信網15を介して接続している。
【0017】図2および図3は事前入力端末機11を示し、この事前入力端末機11は前面に、タッチ入力許容するタッチパネル21と画像を表示するCRT22とを組合わせた入力操作面23を有して接客対応し、またその周囲には顧客の顔を映すTVカメラ24と、音声案内するスピーカ25と、顧客の事前審査完了時に審査済みの申込書Aを発行する申込書発行口26とを有している。
【0018】また、この事前入力端末機11の内部には既述した入力操作面23、TVカメラ24、スピーカ25に加えて、データ印刷用のプリンタ27と、電源28およびデータ制御用のパーソナルコンピュータ29を内蔵して申込書Aを発行許容している。
【0019】図4は事前入力端末機11の制御回路ブロック図を示し、CPU41はROM42に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御データを読出し可能にRAM43で記憶する。
【0020】通信処理部44は、事前入力端末機11の使用状態を通信網を介して遠隔位置で監視する事前審査端末機13と通信接続し、この通信接続された事前審査端末機13は事前入力端末機11で顧客が入力操作したときの情報を受信し、これを係員がチェックして顧客自身による事前入力操作を遠隔位置から促進する。
【0021】また、顧客が最終的に得ようとする契約カードの発行に先立って、入力内容を事前に審査した申込書Aを発行することにより、契約カードの発行に際しては、既に審査が完了しているため、直ちに契約カードを発行することができる。このため、短時間に契約カードを発行操作して顧客の待ち時間を短縮し、顧客および係員を煩わせず、効率のよい契約カードの発行処理ができる。
【0022】このように構成された事前入力端末機11の事前審査処理動作を図5のフローチャートを参照して説明する。今、顧客が申込書Aを得るため事前入力端末機11を利用する際、この前面の入力操作面23には、顧客本人の個人情報を特定するための様々な事前審査の関連項目を表示案内して一つずつ入力操作させる。例えば、図6に示すように、顧客の生年月日を表示案内し(顧客ステップn1 )、この表示案内に従って、顧客が生年月日を入力操作すると、続いて次の審査項目を表示案内して入力操作させ、全ての指定された入力操作が完了すると(顧客ステップn2 〜n3 )、CPU41は、入力操作が完了した一人の個人情報を事前審査端末機13に送信する(顧客ステップn4 )。
【0023】この個人情報を受けた事前審査端末機13は、顧客の識別番号を事前入力端末機11側に直ちに返答する(係員ステップo1 〜o2 )。
【0024】事前入力端末機11は返答された識別番号を受付けて、その番号をプリンタ27により申込書Aに印刷する。例えば、図7に示すように、申込書Aに個人情報の住所氏名欄71に加えて、識別番号欄72に受付けた受付番号を印刷した後、この申込書Aを顧客に発行する(顧客ステップn5 )。
【0025】また、事前審査端末機13にあっては受付けた個人情報の審査を開始し、この審査結果を記憶管理する(係員ステップo3 〜o4 )。
【0026】図8は無人化コーナに設置されて顧客の契約カードを自動的に発行する自動契約機12を示し、この自動契約機12は上部前面に撮像窓81と、カード発行口82と、入力操作面83と、契約書発行口84と、接客テーブル85および筆記トレー86等を備えて構成し、ここに事前に審査された審査済みの申込書Aを用いて読取らせると、審査に必要な多くの個人情報を入力せずに簡単に契約カードCを発行することができる。
【0027】また、このとき自動契約機12を利用する顧客の操作内容を受付端末機14でチェックし、また顧客が要請する相談内容に応答する。このように、自動契約機12で顧客が自動契約するときの情報を受付端末機14が受信し、これを係員が遠隔監視して顧客自身による無人の自動契約操作を遠隔位置から促進する。
【0028】また、事前入力端末機11と自動契約機12は同場所に設置する必要がないため、設置形態の自由度が高くなり、事前入力端末機11に対する顧客の入力操作性の向上と、自動契約機12に対する顧客一人の占有時間の短縮に伴って稼働率の向上が図れる。
【0029】次に、自動契約機12を使用した契約カードCの発行処理動作を図9のフローチャートを参照して説明する。今、顧客が審査済みの申込書Aを用いて無人化コーナに設置された自動契約機12を使用する際、先ず、顧客は入力案内に伴って契約操作を開始する旨と、事前審査済みの申込書Aを用いる旨とを入力する。この入力操作に基づいて自動契約機12は顧客の来店通知と、申込書Aの有無とを受付端末機14に送信する(顧客ステップn11)。
【0030】これらのデータを受けた受付端末機14は、これに基づいて申込書Aの有無別に応じた処理を実行し(係員ステップo11)、続いて、自動契約機12は審査済みの申込書Aを定位置にセットさせて申込書Aに印刷された受付番号や記載データを読取り、この読取った画像のイメージデータを受付端末機14に送信する(顧客ステップn12〜n13)。
【0031】受付端末機14は受付けた申込書Aの受付番号に基づいて事前審査端末機13と通信し、この事前審査端末機13から審査済みの同申込書Aの審査結果を収集する(係員ステップo12)。
【0032】続いて、自動契約機12は顧客本人を照合確認するための身分証明書を定位置にセットさせて読取り、この読取った身分証明データを受付端末機14に送信し、また入力操作面83で契約内容を顧客に表示案内して説明する(顧客ステップn14〜n15)。
【0033】一方、受付端末機14は受付けた個人情報の審査を開始し、本人を照合確認すれば、審査済みの申込書Aから直ちに契約取引が成立し、これに基づいて決定した契約額を自動契約機12に返答する(係員ステップo13〜o14)。
【0034】自動契約機12は返答された契約額のデータを表示案内し、契約書を発行して顧客に契約承認した旨のサインを記入させる。このサイン記入済みの契約書を読取ると、この読取ったデータを受付端末機14側に送信する(顧客ステップn16〜n19)。
【0035】この顧客が契約承認したデータを受付端末機14が受信して確認すると、契約書の控えと契約カードを発行指令する(係員ステップo15〜o16)。
【0036】この発行指令に従って自動契約機12は契約事項を印刷して顧客に契約書控えと、契約カードCとを発行して一契約処理が終了する(顧客ステップn20〜n21)。
【0037】またこの場合、事前に入力情報が記録されたキャッシュカード、IDカード等の本人が予め特定された発行済みカードを申込書Aに代えて審査済みカードとして使用することもでき、この場合は事前審査を省略することができるため、自動契約機12の取扱い操作が一層容易となる。
【0038】図10および図11はこの発明の他の事前入力端末機101の実施例を示し、この事前入力端末機101は申込書Aに変えて磁気記録可能な申込カードBを発行するようにしたものであって、端末機前面に、タッチ入力許容するタッチパネル102と画像を表示するCRT103とを組合わせた入力操作面104を有して接客対応し、またその周囲には顧客の顔を映すTVカメラ105と、音声案内するスピーカ106と、顧客の事前審査が完了したときに審査済みの申込カードBを発行する申込カード発行口107とを有している。
【0039】また、この事前入力端末機101の内部には入力操作面104、TVカメラ105、スピーカ106に加えて、申込カードBを発行する申込カード発行部108と、電源109およびデータ制御用のパーソナルコンピュータ110を内蔵して申込カードBを発行許容している。
【0040】図12は他の事前入力端末機101の制御回路ブロック図を示し、CPU121はROM122に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御データを読出し可能にRAM123で記憶する。
【0041】通信処理部124は、事前入力端末機101の使用状態を通信網を介して遠隔位置で監視する事前審査端末機13と通信接続し、この通信接続された事前審査端末機13は事前入力端末機101で顧客が入力操作したときの情報を受信し、これを係員がチェックして顧客自身による事前入力操作を遠隔位置から促進する。
【0042】このように、申込カードBは既述した申込書Aと同様に事前に審査して用いることにより、契約カードCの発行要請時に多くの入力操作を省略して直ちに契約カードが得られる。
【0043】上述のように、顧客の事前入力内容を審査した申込書や申込カードを用いれば、契約カードの発行要請時に既に審査完了しているため、顧客の手間のかかる入力操作を省略して直ちに契約カードを発行することができる。このため、短時間に契約カードを発行でき、顧客の待ち時間を短縮できる。特に、顧客および係員を煩わせず、効率のよい契約カードの発行処理ができる。
【0044】この発明と、上述の実施例の構成との対応において、この発明の契約媒体発行装置および契約媒体発行手段は、実施例の自動契約機12に対応し、以下同様に、事前審査手段は、事前審査端末機13に対応し、審査媒体発行手段は、事前入力端末機11,101に対応し、審査媒体は、申込書Aおよび申込カードBに対応し、契約媒体は、契約カードCに対応し、契約媒体発行手段は、自動契約機12に対応し情報伝達媒体は、キャッシュカードやIDカード等に対応し、通信は、通信網15に対応し、識別情報は、識別番号欄72の受付番号に対応するも、この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の各種端末機間を通信網により接続した接続構成図。
【図2】 この発明の事前入力端末機の外観斜視図。
【図3】 この発明の事前入力端末機の内部構成図。
【図4】 この発明の事前入力端末機の制御回路ブロック図。
【図5】 この発明の事前入力端末機の事前審査処理動作を示すフローチャート。
【図6】 この発明の事前入力端末機の事前審査入力画面の一例を示す表示案内図。
【図7】 この発明の事前入力端末機が発行した申込書の一例を示す要部説明図。
【図8】 この発明の自動契約機の外観斜視図。
【図9】 この発明の自動契約機を使用した契約カードの発行処理動作を示すフローチャート。
【図10】 この発明のカード発行タイプの事前入力端末機の外観斜視図。
【図11】 この発明のカード発行タイプの事前入力端末機の内部構成図。
【図12】 この発明のカード発行タイプの事前入力端末機の制御回路ブロック図。
【符号の説明】
11,101…事前入力端末機
12…自動契約機
13…事前審査端末機
14…受付端末機
15…通信網
41…CPU
72…識別番号欄
121…CPU
A…申込書
B…申込カード
C…契約カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】顧客が入力操作した事前入力内容を審査する事前審査手段と、上記事前審査手段が審査内容を了承したとき、審査媒体を発行する審査媒体発行手段と、上記審査媒体発行手段が発行した審査媒体を受付けたとき、契約媒体を発行する契約媒体発行手段とを備えた契約媒体発行装置。
【請求項2】事前審査手段は、事前に入力情報が記録された情報伝達媒体から審査することを特徴とする請求項1記載の契約媒体発行装置。
【請求項3】事前審査手段は、事前に審査する入力情報を通信で受付けることを特徴とする請求項1記載の契約媒体発行装置。
【請求項4】事前審査手段は、顧客が入力操作した識別情報に基づいて事前に審査する事前審査情報を通信で受付けることを特徴とする請求項1記載の契約媒体発行装置。
【請求項5】契約媒体を発行する契約媒体発行システムであって、上記契約媒体を発行するための事前審査を行い、この事前に審査された顧客の事前審査情報を受付けることに基づいて契約媒体を発行する契約媒体発行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開平10−162055
【公開日】平成10年(1998)6月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−338880
【出願日】平成8年(1996)12月3日
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)