説明

女性の尿失禁を治療するための用具および方法

【課題】女性の子宮頸部中でオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための新規のおよび有用な用具および方法の提供。
【解決手段】本発明の用具は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含むリングを包含する。オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物は、リング中に位置する内腔内に置かれ、この場合、内腔はリングの表面からリング中に延びる。リングは、女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有する。内腔内に医薬組成物を含入するために、キャップはリングの表面で内腔上に置かれる。リングが膣管中に挿入されると、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーは、女性の尿失禁を治療するために、排尿筋に治療的有効量のオキシブチニンを制御可能的に放出し、局所的に送達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
産業上の利用分野
本発明は、28連続日までの間、または必要な場合に、尿失禁を治療するために制御方式でオキシブチニンを局所的に送達するためにトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを利用する新規のおよび有用な用具および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
尿失禁は、高齢人口の少なくとも15%を悩ませる消耗性障害であり、施設収容高齢者の約50%に存在する。実際多数の高齢者が、彼等の尿失禁のために施設に収容されている。このような患者をケアするための経費は、特に彼等が絶え間ない監視ならびに彼等の衣服および寝具の取替えを必要とするために、極端に高い。
【0003】
しかしながら高齢者は、尿失禁に罹患している人口群だけではない。この障害は、閉経後の女性においても流布する。特に出産による骨盤弛緩は、子宮脱および膀胱脱を引き起こし、これが正常尿道膀胱角を下降させ、尿失禁を生じさせる。女性における自然加齢過程、例えばエストロゲンレベルの低減も、尿失禁を生じ得る。
【0004】
1992 Physician’s Desk Reference, pages1332-1333(Marion Merrill Dowにより製造された薬剤「ジトロパン」と関連して)に記載されているオキシブチニン(4−ジエチルアミノ−2−ブチニルフェニルシクロヘキシルグリコレート)の治療的効果は、十分に実証されている[Yarker, Y.E., Goe, K.L. & Fitton, A., Oxybutynin: A Review of its Pharmacodynamic and Pharmacokinetic Properties, and its Therapeutic Use in Detrusor Stability. Drugs & Aging 6(3):243-265(1995)]。特にオキシブチニンは膀胱に及ぼす抗コリン作動性および鎮痙性作用を有し、これは、排尿筋の弛緩、より少ない自発性収縮、排尿の頻度および促迫の減少、ならびに膀胱充填能力増大をもたらす。
【0005】
伝統的に、オキシブチニンは相対的に高用量で経口投与されている(5 mg錠1日2〜4回摂取)。オキシブチニンは1〜5 mg、好ましくは5 mgの塩化オキシブチニンを含有する錠剤、カプセル、顆粒およびピル中に、そして1〜5 mg、好ましくは5 mgの塩化オキシブチニン/5 mlを含有するシロップ中に、そして1〜10重量パーセント(重量%)の塩化オキシブチニンを含有する経皮組成物(クリームまたは軟膏)中に混入されている。このような投与技法は内在的に、オキシブチニンが身体全体を循環するのを可能にする。しかし残念ながらオキシブチニンは、全身投与した場合、有害副作用を有する。特にオキシブチニンが経口的に送達される場合、抗コリン作動性副作用、例えば口渇、ドライアイ、かすみ目、便秘および頭痛が観察された。さらに、肝臓で産生されるオキシブチニンの代謝物質であるN−デスエチルオキシブチニンは同様の抗ムスカリン活性を有し、それゆえ膀胱の排尿筋に及ぼす、そして他の器官におけるオキシブチニンと同一作用の多くを有し得る[Yarker, et al; Westlin, L., Anticholinergic Effects of Two Metabolites of Oxybutynin, Research Report No. 840625F, data on file, Smith and Nephew Pharmaceuticals, Ltd., 1985; Hughes, K.M., Lang, J.C.T., Lazare, R., et al., Measurement of Oxybutynin and its N-desethyl metabolite in Plasma, and its Application to Pharmacokinetic Studies in Young, Elderly and Frail Volunteers. Xenobiotica 22(7): 859-69(1992); Waldeck, K., Larsson, B., Andersson, K.E., Comparison of Oxybutynin and its Active Metabolite, N-desethyloxybutynin, in the Human Detrusor and Parotid Gland. Jnl. Of Urology 157:1093-97 (1997)]。経口投与は特に、オキシブチニンそれ自体の濃度より6〜9倍高い代謝物質のピーク血中濃度を生じることが示されている。さらに血漿時間濃度曲線下面積(またはAUC。これは長時間に存在する薬剤の全量を測定する)も、オキシブチニンより代謝物質のほうが高い(10〜12倍)。
【0006】
身体中のオキシブチニンの作用を改善し、代謝物質の産生を限定するために、オキシブチニンを膀胱内投与するための努力がなされてきた。このような送達は、オキシブチニンが患者の膀胱に直接送達され、身体中のオキシブチニンの循環ならびに有害副作用を制限し得ることを実証した。しかしながら膀胱内送達は、固有の制限を保有する。最初に、膀胱内投与はカテーテルにより3〜4回生じ、したがって相対的に静止患者に対してのみ適した厄介な物理療法である。別の制限は、このような送達が患者にとって不快である点である。膀胱内投与の大きな制限は、この方法がほとんどの失禁患者のための頻繁な長期使用に全く適していないという点である。
【0007】
したがって必要とされるものは、オキシブチニンを制御可能な方法で局所的に、すなわち直接的に排尿筋に送達し、そしてこのような送達に関して身体の循環系に全く頼らない新規の且つ有用な用具である。その結果、他の身体部位へのオキシブチニンおよびその代謝物質の全身性循環は、制限され得る。
【0008】
さらに必要とされるものは、28連続日までの間、患者の排尿筋に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出し得る新規の且つ有用な用具である。
【0009】
本明細書中の任意の参考文献の引用は、このような参考文献が当該出願に対して「従来技術」として利用可能であるとの承認と解釈されるべきでない。
【0010】
発明の要約
本発明によれば、女性における尿失禁を治療するために排尿筋に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための用具および方法が提供される。
【0011】
概して、本発明は、尿失禁を治療するために女性の子宮頸部にオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための用具に及ぶが、この場合、用具は、一表面およびその表面からリング中に延びる内腔を有するリングを包含し、リングはトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む。本発明の用具のリングは、女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有する。さらに本発明の用具は、内腔内に置かれた医薬組成物であって、オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物を包含する。本発明の用具は、リングの表面の内腔上のキャップであって、リングの表面での内腔からの医薬組成物の拡散を防止し得るキャップも包含する。膣管中へのリングの挿入時に、オキシブチニンは尿失禁を治療するために治療的有効量でリングから制御可能的に放出される。
【0012】
本発明の用具のリングは、その中に内腔を有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分、およびその中でオキシブチニンが不溶性である物質、例えば硫酸バリウム複合物を含む第二構成部分をさらに包含する。本発明の用具のリングは、第一構成部分の表面から第一構成部分中に延びる内腔を有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分、ポリジメチルシロキサンエラストマーまたは硫酸バリウム複合物、ならびに第一および第二構成部分間に置かれた少なくとも2つのシールドであって、その中ではオキシブチニンが不溶性である物質、例えば硫酸バリウム複合物またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むシールドを含む第二構成部分も包含する。
【0013】
2つのシールドは、第一および第二構成部分と交差して、第一および第二構成部分間の接触を防止する。特定の実施態様では、ある内腔は第一構成部分の表面と2回交差し、前記のキャップで両端に蓋をされる。その結果、第一構成部分のトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーは内腔内に含入されるオキシブチニンを制御可能的に放出し、そして硫酸バリウム複合物シールドがリングの他の構成部分へのオキシブチニンの拡散を防止する。第一および第二構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む別の実施態様では、内腔は、第一構成部分の表面から第一構成部分中に延びる第一内腔および第二構成部分の表面から第二構成部分中に延びる第二内腔を包含する。任意に内腔は、2つの異なる点でリングの表面と交差し得る。天然には本発明のキャップは、内腔(単数または複数)内の医薬組成物がリングの表面で内腔から非制御可能的に拡散するのを防止されるよう、両内腔を被覆するための十分数のキャップを包含する。
【0014】
あるいは本発明の用具のリングは、各シールドが2つの構成部分と交差し、各構成部分が任意の他の構成部分との接触を防止されるよう、4つの構成部分および4つのシールドを包含する。少なくとも1つの構成部分は、その構成部分の表面からその構成部分中に延びる内腔を有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを包含する。リングの他の構成部分は、ポリジメチルシロキサン、硫酸バリウム複合物またはそれらの組合せを含み得る。
【0015】
さらに本発明は、前記のようにオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための用具に及ぶが、この場合、医薬組成物中のオキシブチニンの量は、患者に投与される所望の用量によって変わり得る。特定の実施態様では、医薬組成物は約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%の賦形剤、例えばスズ触媒化シリコーンポリマーを含む。天然にはオキシブチニンは、遊離塩基形態、塩またはそれらの組合せであり得る。任意に医薬組成物は、リングのある内腔(単数または複数)中に挿入されるロッドを包含する。このようなロッドの製造方法は、いかに記載される。本発明の用具を用いて局所的に送達されうるオキシブチニンの治療的有効量は、必要に応じて、約0.5 mg/日〜約5.0 mg/日の範囲である。特定の実施態様では、本発明の用具は、28連続日までの間、治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し得る。
【0016】
さらに本発明は、キャップがリングの表面の内腔上に置かれた前記のような装置に及ぶ。したがってオキシブチニン医薬組成物は、本発明の用具のリングの内腔内に保持されて、リングのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーと直接接触するようになり、そして内腔内に含入され得る。多数の物質が、本発明の用具のリング中でキャップとして役立ち得る。このような物質の特定の例としては、2〜3名前を挙げると、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーおよびポリジメチルシロキサン(PDMS)であるが、これらに限定されない。
【0017】
別の実施態様では、本発明は、尿失禁を治療するために女性の子宮頸部にオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための用具であって、以下の:
(a)一表面およびその表面からリング中に延びる内腔を有するリングであって、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有するリング;
(b)内腔内に置かれた医薬組成物であって、60重量%のオキシブチニンおよび40重量%のスズ触媒化シリコーンポリマーを含む医薬組成物;
(c)リングの表面で内腔を被覆するキャップであって、ポリジメチルシロキサンを含むキャップ
を、膣管中への挿入時に、オキシブチニンが尿失禁を治療するために治療的有効量でリングから制御可能的に放出されるよう包含する用具に及ぶ。任意に、内腔はリングの表面と2回交差し、したがって2つのキャップを要し、それがリングの表面と交差する各点で内腔を被覆するためのものである。
【0018】
本発明はさらに、尿失禁を治療するために女性の子宮頸部中に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための方法に及ぶ。本発明の方法の最初の過程は、一表面およびその表面からリング中に延びる内腔を有するリングを提供することを包含する。オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物は、内腔内におかれる。さらにリングは、オキシブチニンを制御可能的に放出するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーで構成され、そしてそれが女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有する。さらに本発明のリングは、医薬組成物が内腔内に含入されるよう、リングの表面で内腔を被覆するキャップを包含する。リングは次に、女性の膣管中に挿入される。一旦膣管中に入れば、治療的有効量のオキシブチニンはリングから制御可能的に放出され、そして女性の尿失禁を治療する。
【0019】
さらに本発明は、前記のような女性における尿失禁の治療方法であって、リングがトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分、硫酸バリウム複合物またはポリジメチルシロキサンを含む第二構成部分を包含し、そして内腔が第一構成部分の表面からリングの第一構成部分中に延びる方法に及ぶ。
【0020】
本発明はさらに、女性における尿失禁の治療方法であって、リングが、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、硫酸バリウム複合物またはポリジメチルシロキサンを含む第二構成部分、ならびにその中でオキシブチニンが不溶性である少なくとも2つのシールドを包含し、少なくとも2つのシールドが第一および第二構成部分間に置かれて、第一および第二構成部分が接触するのを防止する方法に及ぶ。内腔は、第一構成部分の表面から第一構成部分中に延びる。さらに本発明の方法は、第一構成部分の表面から第一構成部分中に延び、第一構成部分の表面と2回交差する第一内腔を包含するリングに及ぶ。さらに、第二構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含むリングでは、リングはさらに、第二構成部分の表面から第二構成部分中に延びる第二内腔を包含する。任意に第二内腔は第二構成部分の表面と2回交差する。天然には、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン等のような物質を含む十分数のキャップが本発明の方法のリング中に用いられて、医薬組成物が内腔(単数または複数)内に含入されるよう、リングの表面との交差点で内腔(単数または複数)を被覆する。
【0021】
上で説明したように、本発明の方法の医薬組成物は、オキシブチニンおよび賦形剤、例えばスズ触媒化シリコーンポリマーを含む。本発明の方法または用具を用いて局所的に送達され、そして制御可能的に放出されるオキシブチニンの治療的有効量は、患者の特定の要求によって変わり得る。特定の実施態様では、医薬組成物は、約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%の賦形剤、例えばスズ触媒化シリコーンポリマーを含む。このような組成物は、28日までの間、約0.5 mg/日〜約5.0 mg/日の範囲である治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するために用いられ得る。28連続日間のオキシブチニンの送達のデータは、図5に記述されている。
【0022】
別の実施態様では、本発明は尿失禁を治療するために女性の子宮頸部中に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための方法であって、以下の:
(a)トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、硫酸バリウム複合物またはそれらの組合せを含むリングであって、それが女性の膣管中に挿入され得るよう十分なサイズを有し、そしてリングの表面からリング中に延びるトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー中の内腔を有するリングを提供し、
(b)オキシブチニンおよび賦形剤重量スズ触媒化シリコーンポリマーを含む医薬組成物を内腔中に挿入し、
(c)リングの表面で内腔上にキャップを置き、そして
(d)リングを女性の膣管中に挿入する
過程を包含する方法に及ぶ。
【0023】
一旦膣管中に入れば、約0.5 mg/日〜約5.0 mg/日の範囲の治療的有効量のオキシブチニンは、28日までの間、リングから制御可能的に放出される。本明細書中での用途を有するリングは、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分、および硫酸バリウム複合物、ポリジメチルシロキサンまたはトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第二構成部分を包含し得るが、この場合、内腔は第一構成部分の表面から第一構成部分中に延びる。任意に、内腔は第一構成部分の表面と2回交差する。さらにトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第二構成部分を包含するリングでは、内腔はさらに第二構成部分の表面から第二構成部分中に延びる第二内腔を包含する。医薬組成物は、両内腔内に含入される。任意に、第二内腔は第二構成部分の表面と2回交差する。天然には、本発明の用具のリングは、医薬組成物が内腔(単数または複数)内に含入されるよう、表面および内腔(単数または複数)間の交差点を被覆するために十分数のキャップを包含する。
【0024】
さらに本発明の方法における用途を有するリングは、第一および第二構成部分、ならびにその中でオキシブチニンが不溶性である医薬上許容可能な不活性物質、例えば硫酸バリウム複合物またはポリテトラフルオロエチレンを含む少なくとも2つのシールドを包含し得る。少なくとも2つのシールドは第一および第二構成部分間に置かれ、そしてこれら2つの構成部分間の接触を防止する。特定の実施態様では、第一構成部分はトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、第二構成部分はトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、ポリジメチルシロキサンまたは硫酸バリウム複合物を含む。内腔は、第一構成部分中に置かれた第一内腔を包含する。任意に、第一内腔は第一構成部分の表面と2回交差する。さらに第二構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む場合、内腔はさらに第二構成部分の表面から第二構成部分中に延びる第二内腔を包含する。任意に、第二内腔は第二構成部分の表面と2回交差する。天然には、十分数のキャップは、内腔(単数または複数)内に医薬組成物を含入するために、内腔(単数または複数)とリングの表面の交差点を被覆するために用いられる。
【0025】
さらに本発明は、前記のように尿失禁を治療するために女性の子宮頸部中に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための方法であって、リングが第一および第二構成部分、ならびにその中でオキシブチニンが不溶性である少なくとも2つのシールドを包含する方法に及ぶ。少なくとも2つのシールドは、リングの第一および第二構成部分間に置かれ、そして第一および第二構成部分間の接触を防止する。このようなシールドを形成する物質の例としては、2〜3名前を挙げれば、硫酸バリウム複合物またはポリテトラフルオロエチレンである。リングの第一構成部分、第二構成部分または両構成部分は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み得る。さらにリングの第二構成部分もトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む場合、内腔は、第二構成部分の表面から第二構成部分中に延びる第二内腔をさらに包含する。任意に内腔は第一構成部分と2回交差し、そして第二内腔は第二構成部分の表面と2回交差する。天然には、内腔(単数または複数)内に医薬組成物を含入するために、内腔(単数または複数)とリングの表面との交差点を被覆するために前記のような十分数のキャップが用いられる。
【0026】
本発明はさらに、前記のように尿失禁を治療するために女性の子宮頸部中に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための方法であって、医薬組成物が約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%の賦形剤、好ましくはスズ触媒化シリコーンポリマーを含む方法に及ぶ。特定の実施態様では、医薬組成物はロッドの形状であり、これはリングの内腔中に挿入される。
【0027】
したがって、オキシブチニンが排尿筋に直接拡散し、そしてそれと相互作用するよう、女性の子宮頸部中にオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出する尿失禁を治療するための用具および方法を提供することは、本発明の主目的である。
【0028】
オキシブチニンを制御可能的に放出するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーの今まで未知の能力を利用することは、本発明の別の目的である。
【0029】
28連続日までの間、女性に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出する尿失禁を治療するための用具および方法を提供することは、本発明のさらに別の目的である。
【0030】
患者に送達される治療的有効量のオキシブチニンが患者の要求に合うように作られ得る尿失禁を治療するための用具および方法を提供することは、本発明のさらに別の目的である。
【0031】
本発明のこれらのおよびその他の局面は、以下の図面および詳細な説明の項を参照することにより、より良好に理解される。
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、オキシブチニン医薬組成物がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー内に挿入される場合、意外にもそして予期せぬことに、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーがオキシブチニンを制御可能的に放出する、という発見に基づいている。したがって、女性の膣管中に挿入されるオキシブチニン周囲にトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを包含する用具はとりわけ、28連続日までの間、女性の排尿筋に治療的有効量のオキシブチニンを制御可能的に放出し、そして局所的に送達する。その結果、身体全体を経由するオキシブチニンおよびその代謝物質N−デスエチルオキシブチニンの循環は、このような循環と伝統的に関連があった副作用とともに大いに回避される。
【0033】
特に本発明は、尿失禁を治療するために女性の子宮頸部にオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための用具であって、以下の:
(a)リングの表面から延びる内腔を有するリングであって、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そしてそれが女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有するリング;
(b)内腔内に置かれた医薬組成物であって、オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物;
(c)医薬組成物が内腔内に含入されるようリングの表面で内腔上に置かれたキャップ
を、膣管中へのリングの挿入時に、オキシブチニンが尿失禁を治療するために治療的有効量でリングから制御可能的に放出されるよう、包含する用具に及ぶ。
【0034】
さらに本発明は、尿失禁を治療するために女性の子宮頸部にオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための用具であって、以下の:
(a)リングの表面から延びる内腔を有するリングであって、オキシブチニンを制御可能的に放出する医薬上許容可能な不活性物質を含み、そしてそれが女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有するリング;
(b)オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物ロッドであって、内腔中に挿入されるロッド;
(c)医薬組成物が内腔内に含入されるよう、リングの表面で内腔上に置かれた医薬上許容可能な不活性物質を含むキャップ
を、膣管中へのリングの挿入時に、オキシブチニンが尿失禁を治療するために治療的有効量でリングから制御可能的に放出されるよう、包含する用具に及ぶ。
【0035】
さらに本発明は、尿失禁を治療するために女性の子宮頸部中に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための方法であって、尿失禁を治療するために治療的有効量のオキシブチニンがリングから制御可能的に放出されるよう、以下の:
(a)リングの表面から延びる少なくとも1つの内腔を有するリングであって、オキシブチニンを制御可能的に放出するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして女性の膣管中に挿入され得るよう十分なサイズを有するリングを提供し、
(b)オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物を内腔中に挿入し、
(c)医薬組成物が内腔内に含入されるようリングの表面で内腔上にキャップを置き、そして
(d)リングを膣管中に挿入する
過程を包含する方法に及ぶ。
【0036】
当該明細書および添付の特許請求の範囲を通していつも決まったように、多数の用語および語句が用いられる。したがって、本明細書中で用いる場合、「オキシブチニン」という用語は、塩基であるオキシブチニン、任意に溶解オキシブチニンおよびその関連化合物(例えば塩)を指す。オキシブチニンは、有機および無機酸と塩を生成し得る、例えば塩酸と塩化オキシブチニンを生成し得る塩基である。本発明の用具および方法における用途を有する特定形態のオキシブチニンは、オキシブチニン塩基である。
【0037】
本明細書中で用いる場合、「賦形剤」という用語は、それとともにオキシブチニンが投与される医薬上許容可能な希釈剤、アジュバント、担体またはビヒクルを指す。このような賦形剤は、滅菌液、例えば石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等であり得る。本明細書中に用途を有する賦形剤の特定の例は、スズ触媒化シリコーンポリマーを含む。
【0038】
本明細書中で用いる場合、単数形態は、明記しない限り、複数の指示対象を包含する。
【0039】
本明細書中で用いる場合、「少なくとも1つの」という語句は、1つまたは1つより多いことを意味する。
【0040】
本明細書中で用いる場合、「膣管」という語句は、女性の処女膜輪から子宮頸(膣とも呼ばれる)および膣を取り囲む円蓋まで延びる管を指す。
【0041】
本明細書中で用いる場合、「生適合性」という用語は、生体組織において毒性、損傷性または免疫学的応答を生じないことにより生物学的に適合性であるという特性を有する物質を指す。
【0042】
本明細書中で用いる場合、「医薬上許容可能な」という語句は、ヒトに投与した場合に、生理学的に耐容性であり、典型的にはアレルギー性のまたは同様の望ましくない反応、例えば胃の不調、めまい等を生じない分子存在物、賦形剤および組成物を指す。好ましくは本明細書中で用いる場合、「医薬上許容可能な」という用語は、動物に、特にヒトにおける使用に関して合衆国または州政府の取締機関に認可された、あるいは米国薬局方またはその他の一般的に認められた薬局方に記載されたことを意味する。
【0043】
「治療的有効量」という語句は、本明細書中で用いる場合、尿失禁を少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも90%軽減するのに、そして最も好ましくは患者の尿失禁を防止するのに十分なオキシブチニンの量を指す。
【0044】
本明細書中で用いる場合、「局所的に送達する」という語句は、それが排尿筋と相互作用し得るよう、女性の子宮頸部に直接オキシブチニンを送達することを指す。このような送達は、患者の循環系または消化系によらない。
【0045】
本明細書中で用いる場合、「制御可能的に放出される」という語句は、一般的に、本発明のリングからのオキシブチニンの放出であって、子宮頸部への医薬組成物中のすべてのオキシブチニンの即時放出を防止するために、リングの賦形剤および/またはトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーがオキシブチニンの放出を遅延する放出を指す。特定の実施態様では、オキシブチニンの放出は、28連続日までの間、約0.5 mg/日〜約5 mg/日の範囲である。
【0046】
本明細書中で用いる場合、「排尿筋」という用語は、膀胱の筋肉被膜の外部縦層を指す。排尿筋の収縮は、膀胱を空にすることおよび排尿に関与する。排尿筋の弛緩は、排尿前に膀胱に尿を充填させる。
【0047】
本明細書中で用いる場合、「尿失禁」という語句は、排尿機能の正常随意制御を欠く障害を指す。尿失禁としては、排尿筋の収縮性機能不全を包含し、大膀胱容積および尿滴下を生じる溢流尿失禁;腹圧の一時的増大の結果として患者が小容積の尿を失う腹圧性尿失禁;ならびに身体的または認識的問題、あるいは種々の薬剤、例えば利尿薬の結果として正常自制個体に認められる機能性尿失禁が挙げられる。本発明の用具または方法は、これらの特定の種類の尿失禁のいずれかを治療するために容易に用いられ得る。
【0048】
本明細書中で用いる場合、「硫酸バリウム複合物」という語句は、硫酸バリウムおよびシロキサンポリマーを含む複合物を指す。本明細書中に用途を有する硫酸バリウム複合物の特定の例は、約48重量%の硫酸バリウム(BaSO4)および約52重量%のポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【0049】
本明細書中で用いる場合、「トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー」という語句は、以下の化学式を有するエラストマーを指す:
【化1】

【0050】
上で説明したように、本発明の用具は、リングの表面に内腔を有するリングを包含する。図1Aは、内腔が、リングの表面からリング中に延び、そしてリングの表面と2回交差する2つの内腔を包含する本発明の用具のリング(1)を模式的に示す。特にリング(1)は、表面(2)を含む。第一内腔(3)は、表面(2)からリング(1)中に延びる。さらに内腔(3)は、位置aおよびbでリング(1)の表面(2)と交差する。第二内腔(4)もリング(1)の表面(2)からリング(1)中に延びる。さらに内腔(3)とまったく同様に、内腔(4)は表面(2)と2回、すなわちaおよびdで交差する。前記のように、リング(1)は、オキシブチニンを制御可能的に放出する医薬上許容可能な不活性物質、例えばトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む。本発明の用具は、オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物も包含するが、これは内腔(3)および/または(4)内におかれる。オキシブチニンは、遊離塩基形態、塩形態またはそれらの混合物である。特定の実施態様では、医薬組成物は約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%の賦形剤を含む。さらに本明細書中に用途を有する特定の賦形剤は、スズ触媒化シリコーンポリマーを含む。トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、ポリジメチルシロキサンまたはポリテトラフルオロエチレンを含むキャップ(示されていない)は、医薬組成物が内腔中に入れられた後に、そして膣管中へのリングの挿入前に、点a〜dで内腔上に置かれる。
【0051】
図1(b)は、内腔(4)を包含するリング(1)の一部の横断面を模式的に示す。前記のように、本発明の用具は、種々の雌、2〜3名前を挙げれば例えばヒト、ウシ、ネコ、イヌ、ウマまたはブタ雌(これらに限定されない)における用途を有する。したがってリングおよび内腔(単数または複数)のサイズおよび寸法は、雌の膣管中に挿入されるために十分なサイズをリングが有するよう、変化する。図1(b)は、雌がヒトである本発明の用具の特定の実施態様のリングを模式的に示す。リング(1)の横断面直径は、約8.5 mm±0.5 mmである。さらに内腔(3)は、約3.2 mmの外径および約2.2 cmの長さを有する。
【0052】
図6Aは、本発明の用具のリングであって、リング(5)がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分(6)およびポリジメチルシロキサンを含む第二構成部分(7)を包含するリングの模式図である。内腔(8)は、第一構成部分(6)の表面(9)からリングの第一構成部分(6)中に延びる。図6に模式的に示されたような特定の実施態様では、内腔(8)は第一構成部分(6)の表面(9)から第一構成部分(6)中に延び、そしてaおよびbで表面(9)と交差する。
【0053】
さらに本発明は、前記のような雌の膣管中でオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための用具であって、本発明の用具のリングが、とりわけ第一構成部分、第二構成部分、ならびにその中でオキシブチニンが実質的に不溶性である物質を含む少なくとも2つのシールドを包含する用具に及ぶ。少なくとも2つのシールドは第一および第二構成部分間に存在し、そして第一および第二構成部分間の接触を防止する。図7Aおよび7Bは、このようなリングの模式的横断面図を提供する。特に図7Bのリング(12)は、第一構成部分(13)、第二構成部分(14)、ならびに2つのシールド(15)および(16)を包含する。内腔(17)は、第一構成部分(13)の表面から第一部分(13)中に延び、そして2つの場所で構成部分(13)の表面と交差する。構成部分(13)は、オキシブチニンを制御可能的に放出する医薬上許容可能な不活性物質、例えばトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む。構成部分(14)は、種々の物質で構成され、その例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、硫酸バリウム複合物またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。構成部分(13)および(14)間に位置するシールド(15)および(16)は、構成部分(13)および(14)間の接触を防止する。オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物が内腔(17)内に置かれる場合、シールド(15)および(16)は、構成部分(13)を超えてリング(12)へのオキシブチニンの拡散を実質的に制限する。したがってリング(12)が雌の膣管中に挿入されると、リングのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー部分はオキシブチニンを制御可能的に放出して、失禁を治療する。
【0054】
図7Bは、本発明の用具のリングの別の実施態様を模式的に示す。特に図7Bのリング(18)は、第一構成部分(19)中に第一内腔(20)を有する第一構成部分およびその中に内腔(22)を有する第二構成部分(21)を包含する。リング(18)はさらに、構成部分(27)および(28)、4つのシールド(23)、(24)、(25)および(26)を包含する。シールド(23)〜(26)は、それぞれ第一および第二構成部分(19)および(21)間に置かれ、そして第一および第二構成部分(19)および(20)間の接触を防止する。前記のように、リング(18)は多数の物質で構成され、その例としては、2〜3名前を挙げれば、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、硫酸バリウム複合物またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。図7Bに模式的に示された実施態様では、構成部分(19)および(21)はトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして構成部分(27)および(28)はトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、硫酸バリウム複合物またはそれらの組合せを含む。リング(18)の横断面直径は、約8.5 mm±0.5 mmである。さらに内腔(20)および(22)は、約3.2 mmの外径および約2.2 cmの長さを有する。
【0055】
再び図7(B)を参照すると、シールド(23)〜(26)は、ポリテトラフルオロエチレンを含む。オキシブチニンおよびスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物は、リング(18)の内腔(20)および/または(22)内に置かれる。次にキャップ(示されていない)は、内腔内に医薬組成物を含入するために、リングの表面で内腔上に置かれる。リング(18)は次に、雌の膣管中に挿入される。オキシブチニンは医薬組成物から拡散し、そして次にリングのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを介して、これが次に、雌の尿失禁を軽減するためにオキシブチニンを制御可能的に放出する。
【0056】
図8AおよびBは、リングが2つの構成部分、ならびにその構成部分間に置かれる少なくとも2つのシールドを包含する本発明の用具のリングのその他の実施態様を模式的に示す。オキシブチニンは、シールド中では実質的に不溶性である。したがってシールドは構成部分間の接触を防止し、そして医薬組成物を含入する内腔を有するリングの構成部分からリングの他の構成部分へのオキシブチニンの任意の拡散を制限する。図8Aに模式的に示されたように、リング(27)は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む。したがって第一構成部分(30)および第二構成部分(31)は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む。硫酸バリウム複合物を含む第一シールド(28)および第二シールド(29)は、リング(27)の第一構成部分(30)および第二構成部分(31)間に存在し、構成部分(30)および(31)間の接触を防止する。内腔(32)は第一構成部分(31)中に位置し、第一構成部分(31)の表面と2回交差する。その結果、リング(27)はトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーおよび硫酸バリウム複合物の組合せを含む。オキシブチニンおよび賦形剤、例えばスズ触媒化シリコーンポリマーを含む医薬組成物は、内腔(32)内に置かれる。次にキャップ(示されていない)が内腔とリングの外表面の交差点上に置かれる。これらのキャップは多数の物質、例えばトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリジメチルシロキサンで構成される。特定の実施態様では、キャップはポリジメチルシロキサンを含む。オキシブチニンは硫酸バリウム複合物シールド(28)および(29)中では実質的に不溶性であるため、それは第一構成部分(30)中で封鎖され、リング(27)全体に拡散できない。リング(27)が雌の膣管中に挿入されると、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーがオキシブチニンを制御可能的に放出する。制御可能的に放出されたオキシブチニンは雌の排尿筋と相互作用して、雌の尿疾患を治療する。
【0057】
図8Bは、物質の組合せを含む本発明の用具のリングを模式的に示す。特に図8Bに模式的に示されたリング(33)は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーの第一構成部分(34)、ポリジメチルシロキサンを含む第二構成部分(35)、ならびに第一構成部分(34)および第二構成部分(35)間に位置する2角硫酸バリウム複合物シールド(36)および(37)を包含する。シールド(36)および(37)は、第一および第二構成部分(34)および(35)間の接触を防止する。第一構成部分中に位置する内腔(38)は、第一構成部分(34)の表面から第一構成部分(34)中に延び、aおよびbで第一構成部分(34)の表面と交差する。オキシブチニンおよびスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物が次に内腔(38)中に置かれる。リング(33)が雌の膣管中に挿入されると、オキシブチニンはリングから制御可能的に放出されて、雌の排尿筋と相互作用する。
【0058】
前記のように本発明の用具は、種々の雌、2〜3名前を挙げれば例えばヒト、ウシ、ブタ、ウマ、イヌおよびネコ雌(これらに限定されない)における尿失禁を治療するために用いられ得る。特定の実施態様では、雌はヒトである。したがってヒト雌において用いられる場合、本発明の用具は、約8.5 mm±0.5 mmの横断面直径および約5.5プラスマイナス0.1 cmのリング直径を有する。本発明のリングの内腔、例えば図8Aおよび8Bに模式的に示された内腔の外径および長さは、それぞれ約3.2 mmおよび約2.2 cmである。
【0059】
図9は、物質の組合せを含む本発明の用具のリングの別の例を模式的に示す。特に図9は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーの第一構成部分(40)および硫酸バリウム複合物を含む第二構成部分(41)を包含するリング(39)の横断図を模式的に示す。第一構成部分(40)中に位置する内腔(42)は第一構成部分(40)の表面と2回交差し、そして第一構成部分(40)中に延びる。約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%のスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物が次に内腔(42)中に挿入される。特定の実施態様では、医薬組成物は、下記のようにロッドに生成される。ロッドは次に、内腔(42)中に挿入される。内腔(42)中に置かれる医薬組成物の量は、送達されるオキシブチニンの所望の治療的有効量によって、変わり得る。
【0060】
図10は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む本発明のリングの一部分であって、内腔ならびに内腔中の約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%のスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物を包含する部分の模式的横断面図を提供する。オキシブチニンおよびスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物の多数の製造方法は当業者に容易に利用可能であり、そして本発明の用具における用途を有する。本発明の特定の方法は、医薬組成物のロッドを生成することを包含する。特に約3.2 mmの直径を有するポリテトラフルオロエチレン管が提供される。次に管にスリットが入れられる。このようなスリットの例は、図10Dおよび10Eに模式的に示されている。管にスリットが入れられた後、オキシブチニンおよび賦形剤としてのスズ触媒化シリコーンポリマーを含む医薬組成物で管が充填される。管内の医薬組成物は次に、ほぼ室温で約24時間硬化される。
【0061】
硬化後、ポリテトラフルオロエチレン管は除去され、オキシブチニンおよびスズ触媒化シリコーンポリマーを含む医薬組成物ロッドが残り、これが本発明の用具のリング中の内腔中に容易に挿入され得る。このようなロッドは、特定治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するために、医療プロバイダーが本発明の用具のリング中の内腔中に適量の医薬組成物を入れるのも可能にする。特に図10A〜Cは、ヒト女性において用いるためのリングのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー構成部分(44)を模式的に示すが、この場合、リングは約8.5 mm±0.5 mmの横断面直径を有し、リング直径は約5.5±0.1 cmである。内腔(44)は、構成部分(44)の表面から構成部分(44)中に延び、構成部分(44)の表面と2回交差する。内腔(44)の直径は約3.2 mmであり、内腔(44)は約2.2 cmの長さを有する。前記のようにロッドに生成された約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%のスズ触媒化シリコーンポリマーを含む医薬組成物(45)は、内腔(44)中に挿入される。図10Aでは、内腔(44)中に挿入された約0.55 cmの医薬組成物のロッドが模式的に示されている。ロッドのこの長さは、28日までの間、ヒト女性の膣管中で約0.5 mg/日のオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するのに十分なように確定された。同様に、図10(A)および10(B)はそれぞれ、内腔(44)中に挿入された約1.65 cmの医薬組成物のロッドが約1.0 mg/日のオキシブチニンを送達し、そして2.2 cmの医薬組成物ロッドが約5.0 mg/日のオキシブチニンを送達することを模式的に示す。
【0062】
本発明は、本発明の好例として提供される以下の非限定的実施例を参照することにより、さらに良好に理解され得る。以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様をさらに詳細に説明するために提示される。しかしながらそれらは、いかなる点においても本発明の広範な範囲を限定するものではない。
【0063】
実施例
尿失禁は、その犠牲者に対する望ましくない苦痛および機能障害を引き起こす消耗性障害である。尿失禁を治療するために用いられる薬剤であるオキシブチニンは、伝統的に経口摂取によりそして経皮的に送達されてきた。しかしながらこのような方法は、特にこれらの方法が、患者の消化および/または循環系によって尿失禁を治療する場合のその活性の部位である膀胱にオキシブチニンを送達するため、固有の制限を有する。本明細書中に記述されているのは、28連続日までの間、0.5〜5.0 mg/日の範囲である治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出するための新規のそして有用な用具および方法である。特に本発明の用具は、意外にもそして予期せぬことに、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーがオキシブチニンの放出を制御するという発見に基づいており、したがってオキシブチニンを制御可能的に放出するために用いられ得る。本発明の用具または方法に用途を有するリングの特定の製造方法を、以下に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】図1Aは、本発明の用具のリングの模式的横断面図である。
【図1B】図1Bは、本発明の用具のリングの一部の模式的横断面図であって、その部分は、その部分の表面からリング中に延び、その部分の表面と2回交差する内腔を包含する。
【図2】図2は、オキシブチニン挿入リングおよび挿入セグメント間の放出プロフィールの比較のグラフである。
【図3】図3は、約0.5 mg/日のオキシブチニンを送達するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセグメントからの薬剤放出プロフィールデータのグラフである。
【図4】図4は、約1.0 mg/日のオキシブチニンを送達するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセグメントからの薬剤放出プロフィールデータのグラフである。
【図5】図5は、28連続日に亘って約0.5 mg/日のオキシブチニンを送達するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーリングからの薬剤放出プロフィールデータのグラフである。
【図6A】図6Aは、一構成部分トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーおよび一構成部分ポリジメチルシロキサンを包含する本発明の用具のリングであって、内腔がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー構成部分中に置かれるリングの模式的横断面図である。
【図6B】図6Bは、一構成部分トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーおよび一構成部分ポリジメチルシロキサンを包含する本発明の用具のリングであって、内腔がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー構成部分中に置かれる第一内腔、ならびにポリジメチルシロキサン構成部分中に置かれる第二内腔を包含するリングの模式的横断面図である。
【図7A】図7Aは、その中でオキシブチニンが不溶性である2つのシールドを包含する本発明のリングの模式図である。
【図7B】図7Bは、その中でオキシブチニンが不溶性である4つのシールドを包含する本発明の用具のリングの模式図である。
【図8A】図8Aは、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーの第一構成部分、PDMSを含む第二構成部分および硫酸バリウム複合物を含むシールドを包含する本発明の用具のリングであって、シールドが第一および第二構成部分間に位置し、第一および第二構成部分間の接触を防止するリングの模式的横断面図である。
【図8B】図8Bは、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーの第一構成部分、PDMSを含む第二構成部分、ならびに第一および第二構成部分間の接触を防止する第一及び第二構成部分間の第一および第二シールドを包含する本発明の用具のリングの模式的横断面図である。
【図9】図9は、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーの第一構成部分および硫酸バリウム複合物を含む第二構成部分を包含する本発明の用具のリングであって、少なくとも1つの内腔が第一構成部分中の内腔を構成するリングの模式的横断面図である。
【図10A】図10Aは、リングの内腔中のオキシブチニンおよびシリコーン賦形剤を含む医薬組成物を模式的に示す本発明の用具のリングの一部であって、医薬組成物が約0.5 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するリングの模式的横断面図である。
【図10B】図10Bは、リングの内腔中のオキシブチニンおよびシリコーン賦形剤を含む医薬組成物を模式的に示す本発明の用具のリングの一部であって、医薬組成物が約1.0 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するリングの模式的横断面図である。
【図10C】図説なし。
【図10D】図説なし。
【図10E】図説なし。
【図11】図11:ウサギに及ぼすオキシブチニン移植片の作用および膀胱重量。各バーは3羽の個々のウサギの平均SEMである。
【図12】図12:膀胱内圧に及ぼす異なるオキシブチニン用量の影響。各点は、3羽の個々のウサギで実施した膀胱内圧測定曲線の平均である。
【図13】図13は、プラセボ挿入物を用いてウサギで実施した膀胱内圧測定。各点は、3羽のウサギで実施した膀胱内圧曲線の平均である。
【図14】図14:排尿圧に及ぼすオキシブチニン移植片の影響。各バーは3羽の個々のウサギの平均+/-SEMである。*=プラセボと有意に異なる。
【図15】図15:0.5 mg/日挿入物を用いたウサギの血漿値。各バーは3羽の個々のウサギの平均+/-SEMである。
【図16】図16は、1.0 mg/日挿入物を用いたウサギの血漿値。各バーは、1日目と有意に異なる3羽の個々のウサギの平均+/-SEMである。
【図17】図17は、5.0 mg/日挿入物を用いたウサギにおけるオキシブチニンおよびデスエチルオキシブチニンに関する血漿値。各バーは3羽の個々のウサギの平均+/-SEMである。
【図18】図18:7日後の膣挿入物を用いたウサギに関する血漿値。各バーは3羽の個々のウサギの平均+/-SEMである。*=0.5 mg/日群と有意に異なる。**=0.5および1.0 mg/日群と有意に異なる。
【0065】
実施例1
図1Aに模式的に示したような2−内腔トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーリングの調製
40 gのパートAおよび40 gのパートBトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、CF2−3521等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、Hauschildモデル501T高速ミキサー中で10秒間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終14秒高速ミキサーサイクルを供給して、配合物均一性を保証した。
【0066】
以下のような基本内腔および挿入寸法を有する挿入金型の両半分を、DARVAN WAQ(R.T. Vanderbilt Co.)のエタノール/水溶液中で薄く被覆し、風乾させた;外径=5.5±0.1 cm、横断面直径=8.5±0.5 mm、挿入内腔長=2.2±0.1 cm、挿入内腔直径=3.2±0.1 cm。12〜15グラムの1:1パートA:パートB配合物を、金型の半分を含入するピン中に金属へらを用いて手で入れた。インサートピンを金型の充填部分に置いて、適合非充填金型の半分を正しい場所に噛み合わせた。
【0067】
次に、金型から余分量のポリマー配合物を排出するために、クンツKuntz射出成形機の非加熱圧締盤間で充填金型装置を圧縮した。この圧縮過程中、インサートピンを手動で適所に保持して、適用空気圧による突出しを回避した。排出配合物質を金型装置の外側から取り出して、廃棄した。
【0068】
次に圧縮充填金型装置を、モデル3912カーバーCarverプレスの予熱圧締盤間に置いた。5,000 psiの圧力を適用して、装置の加熱を150℃で15分間実施して、エラストマー硬化に影響を及ぼした。最初の約5分のこの硬化過程中、インサートピンを物理的に適所に保持して、金型からの突出しを回避した。
【0069】
150℃で15分後、カーバーCarverプレスから金型を取り外して、金型の半分の容易な分離を可能にし、手動での取り扱いを促すのに十分な時間、クンツ機の冷却器上で冷却した。硬化リングを手で金型から分離させた。次に挿入内腔を引き裂かずに、またはそうでない場合は変形させずに、それらを静かに引き抜くことにより、インサートピンを成形品から注意深く除去した。
【0070】
実施例2
図1Bに模式的に示したような挿入セグメントの調製
鋭利な器具を用いて挿入リングの挿入内腔部分を切り離すことにより、前記の実施例1で考察したように調製した成形挿入リングから、以下の寸法の挿入セグメントを調製した:長さ=3.5±0.1 cm、横断面直径=8.5±0.5 mm。このようなセグメントは、図1Bに模式的に示されている。
【0071】
実施例3
1つのオキシブチニン充填内腔を含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入リングの調製
注射器を用いて、前記の実施例1にしたがって製造されたリングの1つの内腔を、R2602:CAT−02(ともにNuSil Technology)縮合硬化シリコーンシーラントの200:1配合物で完全に充填した。挿入リングの他の内腔は、このシーラントで部分的に(約3 mm)充填した。シーラントを5分間硬化させた。
【0072】
96グラムのPLY−7610(NuSil Technology)および4グラムのCAT−01(NuSil Technology)を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での3回の26秒回転サイクルを実行して、これらの物質を配合した。その結果生じた配合物をCAT−22と標識した(そして、以後このように呼ぶ)。
【0073】
1グラムのCAT−22、8グラムのR2602および13.5グラムのオキシブチニン塩基を、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での26秒間混合した。その結果生じた十分量のペーストを注射器で部分充填リング内腔中に注入して、1〜1.5 cm長薬剤含有セクションを得た。その付加後、ペーストを小ガラス攪拌棒を用いて圧縮したので、それは最初に注入した200:1 R2602:CAT−02シリコーンシーラント層と接触した。この挿入内腔の残りの部分を、200:1 R2602−02シーラントの層で最終的に充填した。リングに24時間周囲条件を与えて、内腔シーラントを完全に硬化させた。付加前および後の重量に基づいた算定により、約18 mgのオキシブチニンがリング中に存在した。
【0074】
実施例4
オキシブチニンを含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの調製
16グラムのR2602(NuSil Technology)および2グラムの前記のCAT−22を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実行して、これらの物質を配合した。
【0075】
18ゲージ針を取り付けた注射器を用いて、前記の実施例2からのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの内腔を8:1のR2602:CAT−22縮合硬化シリコーンシーラントで1/3容積を充填した。シーラントを24時間硬化させた。
【0076】
2グラムのR2602、0.25グラムのCAT−22および3.4グラムのオキシブチニンを40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実施して、これらの物質を配合した。約30 mgのこのペーストを注射器で挿入セグメント内腔中に注入し、その後、それが最初に注入した8:1のR2602:CAT−22縮合硬化シリコーンシーラント層と接触するよう、圧縮した。次に内腔の残り部分を8:1のR2602:CAT−22シーラントで充填した。内腔の内容物の硬化を周囲条件で一夜で成し遂げた。付加前および後の重量に基づいた算定により、約18 mgのオキシブチニンがセグメント中に存在した。
【0077】
実施例5
リングセグメントのin vitro薬剤放出試験
実施例3および4にしたがって生成したリングおよびセグメントから、7日in vitroオキシブチニン放出プロフィールを得た。図2におけるリングおよびセグメント用具の両方に関するデータ点は、3試料/種類の平均を表す。
【0078】
500 ml容量「NALGENE」ネジ蓋瓶内の300 mlの0.05 M、pH6.5ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液中に個々のリングを浸漬することにより、実施例3に従って製造されたリングのin vitro試験を実施した。プラスチック容器を37℃水浴中で約140 RPMで振盪させた。受容体媒質のアリコートを1、3、5および7日に抜き取って、逆相HPLCにより別々に分析した。HPLC分析のために、C8、5ミクロン、4.6 x 150 mmクロマシルKromasilカラムを用いた。緩衝液は、アセトニトリル:(0.01 MKH2PO4、0.05 Mジメチルオクチルアミン(DMOA)、pH=2)の32:68混合物であった。各リン酸カリウム一塩基時点で放出された薬剤の平均量を、図2〜5に示したように、時間に対してプロットした。
【0079】
500 ml容量DISTEK USP溶解浴中で37℃で、このようなリングからのセグメントのin vitro試験を実施した。バスケットホルダー中に個々のセグメントを懸濁し、500 mlの0.05 MSDS溶液pH6.5中に浸漬した。バスケットホルダーを100 rpmで回転させた。受容体媒質のアリコートを1、3、5および7日に抜き取って、逆相HPLCにより別々に分析した。HPLC条件は、前段に記載したのと同一であった。各時点で放出された薬剤の平均量を、時間に対してプロットした。図2〜5に示したように、オキシブチニンは、制御化方式でトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーから放出され得る。
【0080】
実施例6
7日間に亘って約0.5 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの調製
8グラムのR2602(NuSil Technology)および1グラムの前記のCAT−22を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T中での22秒回転サイクルを実行して、これらの物質を配合した。
【0081】
18ゲージ針を取り付けた注射器を用いて、実施例3からのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの内腔を8:1のR2602:CAT−22縮合硬化シリコーンシーラントでその長さの1/8を充填した。
【0082】
8グラムのR2602、1グラムのCAT−22および13.5グラムのオキシブチニン塩基を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実施して、これらの物質を配合した。約50 mgのその結果生じたペーストを注射器で挿入セグメント内腔中に注入した。この量の薬剤含有ペーストが、内腔の長さの約3/4を充填した。次に内腔の残りの部分を8:1のR2602:CAT−22シーラントで充填した。内腔の内容物の硬化を周囲条件で48時間で成し遂げた。付加前および後の重量に基づいた算定により、約32 mgのオキシブチニンがセグメント中に存在した。
【0083】
実施例7
7日間に亘って約0.5 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントを含むリングのセグメントのin vitro薬剤放出試験
前記の実施例6に記載したリングのセグメントから、7日in vitroオキシブチニン放出プロフィールを生成した。図3における7日間に亘ってin vitroで約0.5 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントを含むリングのセグメントに関するデータ点は、3試料の平均を表す。
【0084】
500 ml容量「DISTEK USP」溶解浴中で37℃で、リングのこれらのセグメントのin vitro試験を実施した。バスケットホルダー中に個々のセグメントを懸濁し、500 mlの0.05 MSDS溶液pH6.5中に浸漬した。バスケットホルダーを100 rpmで回転させた。受容体媒質のアリコートを1、3、5および7日に抜き取って、逆相HPLCにより別々に分析した。HPLC分析のために、C8、5ミクロン、4.6 x 150 mmクロマシルKromasilカラムを用いた。緩衝液は、アセトニトリル:(0.01 MKH2PO4、0.05 MDMOA、pH=2)の32:68混合物であった。
【0085】
これらのセグメントから放出された平均薬剤量を、時間に対してプロットして、前記のリングセグメントに関して得た放出データと比較した。この比較を、図3に示す。図3のデータは、このようなリングのセグメントが、平均で、ほぼ0.5 mgオキシブチニン/日を放出したことを示す。図3は、オキシブチニンが制御化方式でトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーから放出され得ることも実証する。
【0086】
実施例8
7日間に亘って1.0 mg/日の割合でオキシブチニンを送達するよう設計されたトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの調製
8グラムのR2602(NuSil Technology)および1グラムの前記のCAT−22を、前記と同様に混合した。
【0087】
2グラムのR2602、0.25グラムのCAT−22および3.38グラムのオキシブチニン塩基を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実施して、これらの物質を配合した。キューベット攪拌機を用いて、約125 mgのその結果生じたペーストを、実施例1トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの真ん中に圧縮した。次に内腔の上および底部分を、注射器を用いて、極少量の8:1のR2602:CAT−22シーラントで充填した。内腔の内容物の硬化を周囲条件で24時間で成し遂げた。内腔への各々の付加の前および後の重量に基づいた算定により、約75 mgのオキシブチニンがセグメント中に存在した。
【0088】
実施例9
7日間に亘って1.0〜1.5 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの調製
8グラムのR2602(NuSil Technology)および1グラムの前記のCAT−22を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実行して、これらの物質を配合した。
【0089】
8グラムのR2602、1グラムのCAT−22および4.8グラムのオキシブチニン塩基を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実施して、これらの物質を配合した。約191 mgのその結果生じたペーストを注射器で前記のトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの内腔中に注入した。次に内腔の上部を注射器を用いて極少量の8:1のR2602:CAT−22シーラントで充填した。内腔の内容物の硬化を周囲条件で48時間で成し遂げた。付加前および後の重量に基づいた算定により、約67 mgのオキシブチニンがセグメント中に存在した。
【0090】
実施例10
7日間に亘って1.5〜2.0 mg/日を送達するのに十分なオキシブチニンを含有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの調製
8グラムのR2602(NuSil Technology)および1グラムの前記のCAT−22を前記と同様に混合した。
【0091】
8グラムのR2602、1グラムのCAT−22および9グラムのオキシブチニン塩基を40グラム容量のHauschild混合カップ中に計量した。HauschildモデルAM501T高速ミキサー中での2回の16秒回転サイクルを実施して、これらの物質を配合した。約240 mgのその結果生じたペーストを注射器で実施例2からのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー挿入セグメントの内腔中に注入した。その量の薬剤および含入ペーストが、ほぼ全内腔を充填した。次に内腔の上部を注射器を用いて極少量の8:1のR2602:CAT−22シーラントで充填した。内腔の内容物の硬化を周囲条件で一夜で成し遂げた。付加前および後の重量に基づいた算定により、約120 mgのオキシブチニンがセグメント中に存在した。
【0092】
実施例11
別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成る単一内腔挿入リングの調製
30 gのパートAおよび30 gのパートBトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、CF2−3521等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、Hauschildモデル501T高速ミキサー中で16秒間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用して、配合物均一性を保証した。
【0093】
実施例2からの挿入金型の適合半分の連続セクションに、金型のピン挿入部分がこの物質を含有するよう、非硬化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーミックスを手で充填した。このようにして金型の容積の約50%を充填した。次にインサートピンを部分的充填金型中に入れた。
【0094】
30 gのパートAおよび30 gのパートBジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、MED−4210等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、Hauschildモデル501T高速ミキサー中で2回の16秒サイクルの間混合した。前記の部分充填金型の非充填適合半分に手でこの非硬化ジメチルシロキサンミックスを充填した。しかしながらインサートピンは、金型のこのセクション中に位置しなかった。
【0095】
次に、金型から余分なポリマー配合物を排出するために、全金型を集合させ、モデル3912カーバーCarverプレスの非熱圧締盤間に置いて、5,000 psiに圧縮した。余分の物質を金型装置の外側から取り出して、廃棄した。次に充填金型をモデル284−1クンツ射出成形機の予熱(150℃)圧締盤に移して、そこに15分間保持して、硬化に影響を及ぼした。金型を室温に冷却して、分解した。単一インサートピンを手で注意深く除去して、実施例6Aに図示した別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成る単一内腔挿入リングを得た。
【0096】
実施例12
別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成る2−内腔リングの調製(図6Bに対応)
すぐ上に記載した手法とほぼ同一の手法を用いて、図1に模式的に示した2−内腔挿入リングを調製したが、ただし、クンツ機上での硬化前に金型の非硬化ジメチルシロキサンミックス充填部分に付加的インサートピンを配置した点のみが異なった。
【0097】
その中でオキシブチニンが不溶性である少なくとも2つのシールドを包含するリング
【0098】
本明細書中で用途を有するリングの別の設計は、2つの構成部分およびその構成部分間に置かれる少なくとも2つのシールドを包含するが、この場合、オキシブチニンは少なくとも2つのシールド中で実質的に不溶性である。シールドは2つの構成部分間の接触を防止し、したがってリング中へのオキシブチニンの移動を防止する。セグメント放出データならびにリング対セグメントからの放出の比較に基づいて、オキシブチニンおよびスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物をリングのTFP部分中の少なくとも1つの内腔中に置いた場合に、リング中へのオキシブチニンの最小拡散が起こり得ることが確定された。このような拡散を制限するために、ポリテトラフルオロエチレンまたは硫酸バリウム複合物を含む少なくとも2つのシールドをリング中の少なくとも1つの内腔を有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分および第二構成部分間に置いた。オキシブチニンはポリテトラフルオロエチレンおよび硫酸バリウム複合物中で実質的に不溶性であるため、これらのシールドはトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーからリングの他の部分へのオキシブチニンの拡散を阻止する。その結果、少なくとも1つの内腔中に最初に置かれたオキシブチニンの実質的部分は制御可能的に放出され、そして子宮頸部に局所的に送達され、したがって女性の尿失禁を治療するために利用可能である。その中に少なくとも1つの内腔を有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー部分を1つだけ有するリングは、シールドを2つだけ用いる。同様に、少なくとも1つの内腔を有する2つのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー部分を含むリングは、4つのシールドを利用する。リングを調製するために、直径約8 mmに切断されたPTFE円板を、90°の角度で金型中に配置した。次に少なくとも1つのピンを金型中に設置し、適所に固定した。ピンを、2つのシールド間にある金型の一部分に置いた。図7Aおよび7Bは、本発明の用具のリング中のこのようなシールドの位置を模式的に示す。シールドおよびピン(単数または複数)の設置後、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを金型中に注ぎ入れた。次に金型を密封し、加熱してポリマーを硬化させた。このようなリングの特定の製造方法を以下に記述する。
【0099】
実施例13
別個の連続PDMSセクションおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーから成り、そしてこれらのセクション間に4つの薬剤不透性PTFEシールドを含有する2−内腔挿入リングの調製
30 gのパートAおよび30 gのパートBトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、CF2−3521等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で16秒間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用して、配合物均一性を保証した。
【0100】
実施例2からの挿入金型の適合半分の連続セクションに、金型のピン挿入部分の1つがこの物質を含有するよう、非硬化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーミックスを手で充填した。このようにして金型の容積の約50%を充填した。次にインサートピンを部分的充填金型中に入れた。直径8 mm、厚み2 mmの2つのPTFE円板を、インサートピンの遠位および近位端の両方から数ミリメートルの距離で、非硬化ポリマーミックス内の右上位置に手で置いた。
【0101】
30 gのパートAおよび3 gのパートBのジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、MED−4210等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、Hauschildモデル501T高速ミキサー中で2回の16秒サイクルの間混合した。前記の部分充填金型の非充填適合半分に手でこの非硬化ジメチルシロキサンミックスを充填した。次にインサートピンを金型のこのセクション中に入れた。直径8 mm、厚み2 mmの2つのPTFE円板を、インサートピンの遠位および近位端の両方から数ミリメートルの距離で、非硬化ポリマーミックス内に垂直に手で置いた。
【0102】
次に、金型から余分なポリマー配合物を排出するために、全金型を注意深く集合させ、モデル3912カーバーCarverプレスの非熱圧締盤間に置いて、5,000 psiで圧縮した。余分の物質を金型装置の外側から取り出して、廃棄した。次に充填金型をモデル284−1クンツ射出成形機の予熱(150℃)圧締盤に移して、そこに15分間保持して、硬化に影響を及ぼした。金型を室温に冷却して、分解した。インサートピンを手で注意深く除去して、別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成り、図7Bに図示したこのセクション間の4つの薬剤不透性PTFEバリアを含有する2つの内腔挿入リングを得た。
【0103】
実施例14
別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクション、ならびにこれらのセクション間に2つの薬剤不透性PTFEバリアを包含する単一内腔挿入リングの調製
30 gのパートAおよび30 gのパートBのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、CF2−3521等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で16秒間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用して、配合物均一性を保証した。
【0104】
実施例2からの挿入金型の適合半分の連続セクションに、金型のピン挿入部分の1つがこの物質を含有するよう、非硬化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーミックスを手で充填した。このようにして金型の容積の約50%を充填した。次にインサートピンを部分的充填金型中に入れた。直径8 mm、厚み2 mmの2つのPTFE円板を、インサートピンの遠位および近位端の両方から数ミリメートルの距離で、非硬化ポリマーミックス内の右上位置に手で置いた。
【0105】
30 gのパートAおよび3 gのパートBのジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、MED−4210等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、Hauschildモデル501T高速ミキサー中で2回の16秒サイクルの間混合した。前記の部分充填金型の非充填適合半分に手でこの非硬化ジメチルシロキサンミックスを充填した。しかしながらインサートピンは、金型のこのセクション中に入れなかった。
【0106】
次に、金型から余分なポリマー配合物を排出するために、全金型を注意深く集合させ、モデル3912カーバーCarverプレスの非熱圧締盤間に置いて、5,000 psiで圧縮した。余分の物質を金型装置の外側から取り出して、廃棄した。次に充填金型をモデル284−1クンツ射出成形機の予熱(150℃)圧締盤に移して、そこに15分間保持して、硬化に影響を及ぼした。金型を室温に冷却して、分解した。インサートピンを手で注意深く除去して、別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成り、図7に模式的に示したようなこれらのセクション間の2つの薬剤不透性PTFEバリアを含有する単一内腔挿入リングを得た。
【0107】
少なくとも2つの硫酸バリウム複合物シールドを有するリング
本明細書中で用途を有する別のリングは、2つの構成部分および2つの構成部分間に置かれる少なくとも2つのオキシブチニン不透性硫酸バリウム(BaSO4)複合物シールドを包含する。これらのシールドは、2つの構成部分間の接触を、ならびにリングの他の構成部分へのオキシブチニンの拡散を防止する。硫酸バリウム複合物は、シリコーンを介して種々の薬剤の放出を制御するために多数の場合に用いられてきた。
【0108】
BaSO4複合物シールドは、少なくとも1つの内腔を包含する構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含むリングにおいて容易な用途を有する。このようなシールドは、物質の組合せを含むリング、例えばTFPおよびPDMSを含むリングにも容易に用いられ得る。このようなリングの例を、図7および8に模式的に示す。図7〜8に模式的に示したこのようなリングの特定の製造方法を、以下に記述する。
【0109】
実施例15
2つの薬剤不透性硫酸バリウム複合物領域により分離される別個の連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成る単一内腔挿入リングの調製
30 gのパートAおよび30 gのパートBのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、CF2−3521等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で16秒間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用して、配合物均一性を保証した。
【0110】
実施例2からの挿入金型の適合半分の連続セクションに、金型のピン挿入部分の1つがこの物質を含有するよう、非硬化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーミックスを手で充填した。このようにして金型の容積の約40%を充填した。次にインサートピンを部分的充填金型中に入れた。
【0111】
10 gのパートA、1 gのパートBのジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、MED−4210等級)および10.2 gのBaSO4を、40 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で1回の16秒サイクルの間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用した。各BaSO4バリアおよび非行化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクション間に約1.5 mmの非充填ギャップを生じるよう、非行化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションの両端に隣接して、十分量のこのバリアミックスを金型中に手で入れた。これらのギャップは、その後の圧縮および硬化時の別個のしかし連続したセクションの形成に備えた。両BaSO4バリア域の長さは約1 cmであった。
【0112】
50 gのパートAおよび5 gのパートBのジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、MED−4210等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で2回の16秒サイクルの間混合した。前記の部分充填金型の残りの非充填適合半分に手でこの非硬化ジメチルシロキサンミックスを充填した。金型中で、この構成成分域と2つのBaSO4バリア域との間にギャップが存在しないよう、この配合物を2つのBaSOバリア域と接触させた。インサートピンは、金型のこのセクション中に入れなかった。
【0113】
次に、全金型を注意深く集合させ、モデル284−1クンツ射出成形機の予熱(150℃)圧締盤に移して、そこに18分間保持して、硬化に影響を及ぼした。金型を室温に冷却して、分解した。インサートピンを手で注意深く除去して、図8Bに模式的に示したような2つのBaSO4複合物セクションにより分離された連続PDMSおよびトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーセクションから成る単一内腔挿入リングを得た。
【0114】
実施例16
TFP−半分、硫酸バリウム−半分複合物リング
30 gのパートAおよび30 gのパートBのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、CF2−3521等級)を、100 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で16秒間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用して、配合物均一性を保証した。
【0115】
実施例2からの挿入金型の適合半分の連続セクションに、金型のピン挿入部分の1つがこの物質を含有するよう、非硬化トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーミックスを手で充填した。このようにして金型の容積の約40%を充填した。次にインサートピンを部分的充填金型中に入れた。
【0116】
10 gのパートA、1 gのパートBのジメチルシロキサンエラストマー処方物(NuSil Technology、MED−4210等級)および10.2 gのBaSO4を、40 g容量Hauschild混合カップ中に計量し、その後、HauschildモデルAM501T高速ミキサー中で1回の16秒サイクルの間混合した。次に金属へらを用いて混合カップの側面を擦り落とし、そしてさらに2つの出発構成成分を配合した。最終16秒高速ミキサーサイクルを適用した。前記の部分充填金型の非充填適合半分にこの非硬化ジメチルシロキサン/硫酸バリウム複合物を手で充填した。しかしながらインサートピンは金型のこのセクション中に入れなかった。
【0117】
次に、全金型を注意深く集合させ、モデル284−1クンツ射出成形機の予熱(150℃)圧締盤に移して、そこに18分間保持して、硬化に影響を及ぼした。金型を室温に冷却して、分解した。インサートピンを手で注意深く除去して、図9に示したような別個の連続トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーおよびPDMS/硫酸バリウム複合物セクションから成る単一内腔挿入リングを得た。
【0118】
実施例17
リングの内腔中への挿入のための医薬組成物の生成
前記のように、本発明の用具は、28日までの間、または必要に応じて、約0.5 mg/日〜約5 mg/日のオキシブチニンを局所的に送達し、そして制御可能的に放出し得る。好ましい投与量は、28日までの間、約0.5 mg/日、約1.0 mg/日および約5 mg/日である。3つの投与量はすべて、約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%のシリコーン賦形剤を含む医薬組成物を使用する。特定期間中の投与量を確定するために、リングの内腔中に置かれる医薬組成物の量を変える。例えば0.5 mg/日リングまたはセグメントを作製するためには、約55〜57 mgの医薬組成物を挿入物に付加する。この55〜57 mgの医薬組成物は、局所送達のために利用可能な約32〜35 mgのオキシブチニンを生じる。
【0119】
同様に、1.0 mg/日リングまたはそのセグメントを調製するためには、約120〜125 mgの医薬組成物を要して、局所送達に利用可能な約72〜75 mgオキシブチニンを作製する。この量の医薬組成物はリング中の内腔の容積の約3/4を充填するが、この場合、内腔は約3.2 mmの直径および約1.65 cmの長さを有する。リングまたはそのセグメントが約5.0 mg/日のオキシブチニンを局所送達し、制御可能的に放出するためには、約200〜205 mgの医薬組成物を要する。この量の医薬組成物は、送達に利用可能な120〜123 mgオキシブチニンを生じ、内腔の全容積を使用する。
【0120】
前記のように、特定量のオキシブチニンを送達するための内腔中の医薬組成物の必要量は既知であり、特定量の医薬組成物のおのおのが示す内腔の容積は既知であり、そして医薬組成物中のオキシブチニンの濃度は既知である。この情報を用いて、医薬組成物のロッドを生成し、特定長のロッド中のオキシブチニンの量を容易に確定し得る。その結果、一旦ロッドが生成されれば、本発明の用具を投与する医療プロバイダーは、正確な量の医薬組成物を有するロッドの一部分を切断するだけで、園部分をリングの内腔中に挿入し得る。
【0121】
当業者に容易に利用可能な多数の方法を用いて、オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物のロッドを生成し得る。特定の方法は、3.2 mmの内径を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管を用いることを包含する。最初に、PTFE管にスリットを付ける。これらのスリットは、図10Dに模式的に示したように管に平行であるか、または図10Eに模式的に示したように管に垂直であり得る。次に約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%のスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物を管中に入れる。次に管の内容物を室温で約24時間硬化させる。
【0122】
硬化したら、PTFE管を剥ぎ取ると、医薬組成物のロッドが残る。送達される投与量に対応するサイズにロッドを切断し、リングの内腔に挿入し得る。これらのロッドは、それらの実際の使用の数日前、数週間前または数ヶ月前でも調製可能である。
【0123】
実施例18
動物試験
膀胱は、その機能が、低膀胱内圧で尿を収集し、貯蔵し、次に弛緩尿道を通して高協調性持続性収縮により定期的に尿を排出することである平滑筋器官である。効率的に空にするには、膀胱頸および尿道の弛緩と協調した膀胱体平滑筋素子の収縮を要する(A、B)。特に女性における自制は、尿道内の持続強直性緊張の維持および安定排尿筋によっている(C、D)。不安定膀胱または反射亢進において起こるような膀胱圧の増大は、失禁を生じ得る(C、D)。
【0124】
薬理学的には、膀胱は2つの部分、すなわち体部と基底部に分けられる。両方とも、自律神経性アゴニストに対して応答し、受容体分布がこの区分を特性化する(E)。ムスカリン様受容体密度およびコリン作動性刺激に対する収縮性応答は、膀胱体部で最大で、そして基底部で最も弱い。同様に、α−アドレナリン作動性受容体密度および刺激に対する弛緩応答は体部で最大で、基底部で最も弱い。一方、アドレナリン作動性受容体密度および刺激に対する収縮性応答は基底部で最大で、体部で最も弱い(E)。不安定膀胱収縮および反射亢進はともにコリン作動性メカニズムにより媒介され、したがって膀胱を弛緩し且つこれらのコリン作動性スパイクを抑制し得る作用物質の投与は、失禁の治療において治療的利益を有する(C、D)。
【0125】
失禁の治療において臨床的に有効であると立証されている一作用物質は、オキシブチニンである(6〜7)。オキシブチニンはムスカリン抑制により、そして平滑筋の直接弛緩により、膀胱を弛緩する。オキシブチニンの治療効果は、20年以上もの間、それを不安定膀胱および膀胱弛緩の抑制のための最も有用な薬剤にしている(1、2)が、しかし経口投与に伴う副作用は不快であり、患者のコンプライアンスに有意に影響し得る。オキシブチニンは、広範な一次通過代謝のために、経口投与後に短い半減期および低全身性生物利用可能性を有し、これも典型的血漿濃度−時間プロフィールの山と谷を生じる。症状軽減の持続期間は、しばしば満足のいくものではない。ピーク血漿濃度下の副作用と短い症状軽減とのこの組合せは、治療の中断を生じ得る。
【0126】
連続薬物適用のための膣系の開発は、長期のおよび連続的治療血中レベルを生成する場合に非常に有益である。それは極長期適用−無間隔を可能にし、患者の便宜性およびコンプライアンスを改善する。さらに絶え間ない放出は、経口薬物適用の山と谷をなくし、副作用のレベルおよび強度を低減するが、これは、経口薬物摂取直後に得られる高血漿レベルに直接関連し得る。
【0127】
方法
12羽のウサギを、おのおの3羽の4群に分けた。ベントバルビタール麻酔(25 mg/kg)下で、円筒形湾曲シラスティック製挿入物を各ウサギの膣内に入れた。これは、以下により成し遂げた:正中側腹切開を実施し、経膣挿入後、単一2.0絹縫合糸を外側膣壁に通して移植片を固定し、中級管の1cmセクションに結び付けて、膣壁に対する損害を回避した。群1の挿入物はビヒクルを含有し、群2〜4における挿入物はそれぞれ0.5 mg/日、1 mg/日および5 mg/日の速度でオキシブチニンを放出すると算定した。挿入物は、7日間、適所に留まった。血液の試料(2 ml)を、1、3、5および7日目の正午12:00に採取した。最終血液試料採取後、各ウサギを沈静させて、サイトメトリーを実施した。サイトメトリー直後に、ウサギを安楽死させて、膣を含めた下部尿管を取り出し、刺激に関して評価した。さらに膀胱を切除して、計量した。
【0128】
血液試料を凍結し、その後に分析した。オキシブチニンおよびデスエチルオキシブチニン濃度を定量した。
【0129】
結果
膣挿入物は、ウサギまたは膀胱重量に影響を及ぼさなかった(図11)。サイトメトリーの分析は、膀胱に及ぼすオキシブチニンの典型的作用を示した。3つのオキシブチニン群に関してサイトメトリー圧の用量依存性低減が認められた(図12)。プラセボサイトメトリーを図13に示す。同時に、オキシブチニン群に関して排尿圧の用量依存性低減が示された(図14)。0.5 mg/日群に関する排尿圧は、プラセボ群と同様であったが、一方、1および5 mg/日オキシブチニン群においては、有意の低減が認められた。
【0130】
3つの群に関するオキシブチニンの血漿レベルを、図15〜17に示す。0.5および1.0 mg/日群に関しては、デスエチルオキシブチニンの血漿レベルは検出レベルを下げた。0.5 mg/日および1.0 mg/日群に関しては、1〜3日目に血漿濃度の増大が認められ、3〜7日目には安定濃度が認められた。5.0 mg/日群に関しては、すべての時期に(1〜7日目)オキシブチニンおよびデスエチルオキシブチニンの両方に関して安定血漿値が認められた。図18は、3つの群に関する安定血漿濃度を示す。1.0 mg/日群に関する血漿濃度は、0.5 mg/日群より有意に高く(約2倍)、5.0 mg/日群に関する血漿濃度は他の2群より有意に高く、1.0 mg/日群の約4倍であった。
【0131】
挿入物接触膣壁の死後評価中、移植片周囲の領域に刺激は観察されなかった。しかしながら、上部膣へのアクセスを可能にするために鏡が置かれた膣の領域に、有意の刺激(血腫)が認められた。鏡を使用せずに移植片の挿入を実施した対照手術では、刺激は回避された。
【0132】
考察
オキシブチニンは、膀胱不安定性の治療のために最も広範に処方される経口薬の1つである。しかしながら経口オキシブチニンの主な欠点の1つは、相対的に短い半減期、ならびに抗コリン作動性服作用である。多くの場合、この調製物の投与スケジュールおよび副作用は、コンプライアンスに有意に影響する。コンプライアンスを改善するために、いくつかの代替的投与方法が試みられてきた。
【0133】
オキシブチニンの膀胱内滴注は、一次通過代謝を回避し、全身性服作用を低減し得る(4,5)が、しかし低便利性であって、長期間に亘る連続薬物適用のための方法を提供しない。近年、経口適用のための制御オキシブチニン放出系が紹介された。これらの研究は、制御薬剤放出系下での安定血中レベルは治療効果を低減せず、より低い薬剤レベルを可能にする、ということを示している。副作用出現も低減し得る(6〜9)。
【0134】
最新研究では、膣挿入物の設置は、ウサギまたは膀胱重量に影響を及ぼさず、そして挿入物の存在がウサギの行動(摂食、睡眠または飲水)に影響を及ぼすこともない。挿入物の膣適用の1週間後に実施したサイトメトリーの結果は、膀胱に及ぼすオキシブチニンの典型的作用を示す。コンプライアンスの用量関連増大および排尿圧の低減は、安定血漿オキシブチニンレベルを生じる有意の、用量依存性の、そして一貫した吸収が認められることを実証する。
【0135】
薬剤放出系の膣適用は、長期設置間隔を可能にする。この薬剤放出系のこれらの属性は、失禁のオキシブチニンベースの治療に対する患者の便宜性およびコンプライアンスを改善し得る。さらにそれは、筋性尿意促迫性失禁の中等度ストレス−および薬剤−ベースの治療の組合せペッサリーベース治療の可能性を可能にする。
【0136】
挿入物との1週間の直接接触後の膣壁の実験中、刺激は認められなかった。
【0137】
結論
本発明の試験は、安定血中レベルを生じ、より長期間の適用−無間隔を可能にするオキシブチニン放出系の新規の方法を実証する。したがって本発明の用具は、オキシブチニンの伝統的な経口および膀胱内適用に対する新規のそして有用な代替物を提供する。特に本試験は、本発明の用具が制御された且つ一貫したレベルのオキシブチニンを放出し、そして安定血漿レベルが膀胱コンプライアンスに有意の効果を有する、ということを明瞭に実証する。設置の1週間継続期間後の膣壁に及ぼす挿入物による刺激性作用は認められなかった。これらの結果は、オキシブチニンの膣移植片が、泌尿器科学的に有効な作用物質の長期用量依存性送達のための優れた方法である、ということを示す。
【0138】
本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明の多数のその他の変更および修正は、当業者には明らかである。したがって前記の実施態様は単に例示的なものであり、このような変更および修正はすべて、添付の特許請求の範囲で限定されるような本発明の範囲内に含まれるよう意図される。
【0139】
種々の出版物が本明細書中に引用されており、その開示内容は参照により本明細書中に含まれる。
【0140】
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿失禁を治療するために女性の子宮頸部にオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための用具であって、以下の:
(a)一表面および前記表面から中へと延びる内腔を有するリングであって、前記リングがトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして前記リングが前記女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有するリング;
(b)前記内腔内に置かれた医薬組成物であって、オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物;
(c)前記医薬組成物が前記内腔内に含入されるような前記リングの前記表面の前記内腔上のキャップ
を、前記膣管中への前記リングの挿入時に、オキシブチニンが尿失禁を治療するために治療的有効量でリングから制御可能的に放出されるよう包含する用具。
【請求項2】
前記内腔が前記リングの前記表面と2回交差し、そして前記キャップが2つのキャップを包含し、前記内腔内に前記医薬組成物を含入するために、各キャップが前記リングの前記表面の前記内腔上に置かれた請求項1記載の用具。
【請求項3】
前記リングがトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分、および硫酸バリウム複合物、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーまたはポリジメチルシロキサンを含む第二構成部分を包含し、前記内腔が前記第一構成部分の表面から前記第一構成部分中に延びる請求項1記載の用具。
【請求項4】
前記内腔が前記第一構成部分の前記表面と2回交差し、そして前記キャップが2つのキャップを包含し、前記内腔内に前記医薬組成物を含入するために、各キャップが前記リングの前記表面の前記内腔上に置かれた請求項3記載の用具。
【請求項5】
前記第二構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして前記内腔が前記第二構成部分の表面から前記第二構成部分中に延びる第二内腔をさらに含む請求項3記載の用具。
【請求項6】
前記第一内腔が前記第一構成部分の前記表面と2回交差し、そして前記第二内腔が前記第二構成部分の前記表面と2回交差し、そして前記キャップが第一、第二、第三および第四キャップを包含し、前記内腔内に前記医薬組成物を含入するために、前記第一および第二キャップが前記リングの前記第一構成部分の前記表面の前記第一内腔上に置かれ、そして前記第三および第四キャップが前記リングの前記第二構成部分の前記表面の前記第二内腔上に置かれた請求項5記載の用具。
【請求項7】
前記リングが、オキシブチニンが不溶性である少なくとも2つのシールドをさらに含み、前記第一および第二構成部分が接触しないよう、前記少なくとも2つのシールドが前記第一および第二構成部分間に置かれて、前記第一および第二構成部分と交差する請求項3記載の用具。
【請求項8】
前記少なくとも2つのシールドがポリテトラフルオロエチレンまたは硫酸バリウム複合物を含む請求項3記載の用具。
【請求項9】
ある構成部分が任意の他の構成部分と接触しないように各シールドが2つの構成部分間にあるよう、前記リングが第三および第四シールドならびに第三および第四構成部分をさらに含み、少なくとも1つの構成部分が前記少なくとも1つのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー構成部分の表面から前記少なくとも1つの構成部分中に延びる前記内腔を有するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む請求項7記載の用具。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマー構成部分が第一構成部分および第二構成部分を含み、そして前記内腔が前記第一構成部分の表面から前記第一構成部分中に延びる第一内腔、ならびに前記第二構成部分の表面から前記第二構成部分中に延びる第二内腔を含む請求項9記載の用具。
【請求項11】
前記第一内腔が前記第一構成部分の表面と2回交差し、前記第二内腔が前記第二構成部分の表面と2回交差し、そして前記キャップが4つのキャップを包含し、前記内腔内に前記医薬組成物を含入するために、このような前記キャップが前記構成部分の表面との前記内腔の交差点に置かれた請求項10記載の用具。
【請求項12】
前記医薬組成物が60重量%のオキシブチニンおよび40重量%の賦形剤を含み、前記賦形剤がスズ触媒化シリコーンポリマーを含む請求項1記載の用具。
【請求項13】
尿失禁を治療するために女性の子宮頸部中に治療的有効量のオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための方法であって、尿失禁を治療するために治療的有効量のオキシブチニンがリングから制御可能的に放出されるよう、以下の:
(a)リングの表面から延びる内腔を有するリングであって、オキシブチニンを制御可能的に放出するトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして女性の膣管中に挿入されるよう十分なサイズを有するリングを提供し、
(b)オキシブチニンおよび賦形剤を含む医薬組成物を内腔中に挿入し、
(c)医薬組成物が内腔内に含入されるようリングの表面で内腔上にキャップを置き、そして
(d)リングを膣管中に挿入する
過程を包含する方法。
【請求項14】
内腔がリングの表面と2回交差し、そしてキャップが前記医薬組成物が内腔内に含入されるよう、リングの表面にて内腔上に置かれた2つのキャップを包含する請求項13記載の方法。
【請求項15】
リングが、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含む第一構成部分および硫酸バリウム複合物、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーまたはポリジメチルシロキサンを含む第二構成部分を包含し、そして内腔が第一構成部分の表面からリングの第一構成部分中に延びる請求項14記載の方法。
【請求項16】
内腔が第一構成部分の表面と2回交差し、そしてキャップが2つのキャップを包含し、内腔内に医薬組成物を含入するために、各キャップがリングの表面で内腔上に置かれた請求項15記載の方法。
【請求項17】
第二構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして内腔が第二構成部分の表面からリングの第二構成部分中に延びる第二内腔をさらに含む請求項15記載の方法。
【請求項18】
内腔が第一構成部分の表面と2回交差し、第二内腔が第二構成部分の表面と2回交差し、そしてキャップが4つのキャップを包含し、内腔内に医薬組成物を含入するために、キャップがその構成部分の表面と内腔の交差点に置かれた請求項17記載の方法。
【請求項19】
リングが、オキシブチニンが不溶性である少なくとも2つのシールドをさらに含み、少なくとも2つのシールドが第一および第二構成部分間に置かれて、第一および第二構成部分間の接触を防止する請求項15記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つのシールドが硫酸バリウム複合物またはポリテトラフルオロエチレンを含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
第二構成部分がトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして内腔が、第二構成部分の表面から第二構成部分中に延びる第二内腔をさらに含み、そしてキャップが第一および第二キャップを包含し、第一キャップが第一構成部分の表面の第一内腔上に置かれ、そして第二キャップが第二構成部分の表面で第二内腔上に置かれた請求項20記載の方法。
【請求項22】
内腔が第一構成部分と2回交差し、第二内腔が第二構成部分の表面と2回交差し、キャップがさらに第三および第四キャップを包含し、第一および第三キャップがリングの第一構成部分の表面で第一内腔上に置かれ、そして第二および第四キャップがリングの第二構成部分の表面で第二内腔上に置かれた請求項21記載の方法。
【請求項23】
医薬組成物が約60重量%のオキシブチニンおよび約40重量%の賦形剤を含み、賦形剤がスズ触媒化シリコーンポリマーを含む請求項13記載の方法。
【請求項24】
尿失禁を治療するために女性の子宮頸部にオキシブチニンを局所的に送達し、制御可能的に放出するための用具であって、以下の:
(a)一表面および前記表面から前記リングに延びる内腔を有するリングであって、前記リングがトリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーを含み、そして前記リングが前記女性の膣管中に挿入され得るよう、十分なサイズを有するリング;
(b)前記内腔内に置かれた医薬組成物であって、60重量%のオキシブチニンおよび40重量%のスズ触媒化シリコーンポリマー賦形剤を含む医薬組成物;
(c)前記医薬組成物が前記内腔内に含入されるような前記リングの前記表面の前記内腔上のキャップであって、トリフルオロプロピルメチル/ジメチルシロキサンエラストマーまたはポリジメチルシロキサン(PDMS)
を、膣管中への前記リングの挿入時に、オキシブチニンが尿失禁を治療するための治療的有効量でリングから制御可能的に放出されるよう包含する用具。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図10E】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−107895(P2013−107895A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−22561(P2013−22561)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2001−568354(P2001−568354)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(504239216)テバ ウィメンズ ヘルス,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】