説明

女性の状態を評価するための基質、センサー、および方法

本明細書に記述されているのは、雌哺乳動物の状態を検出するために有用な、基質、方法、物品およびキットである。基質は、微生物または雌動物によって産生された一つまたは複数のタンパク質(例えば酵素)と相互作用する。基質は、関心対象の微生物によって産生されたタンパク質によって修飾されたときに可視信号(例えば、蛍光発光および/または目視できる色彩または色調の変化)を生成するために、ラベルされる。可視信号を用いて、雌哺乳動物の状態を評価する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年3月13日出願の米国仮出願第60/782,167号、2005年10月31日出願の米国仮出願第60/732,036号、および2005年7月13日出願の米国仮出願第60/699,133号の優先権を主張する。上記出願の全ての教示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
細菌性腟症(BV)は、膣液の異常分泌をもたらす、女性によくみられる障害である。Valore, E.V. et al., "Antimicrobial Components of Vaginal Fluid," Am J Obstet Gynecol, 187:561-568 (2002)およびJoesoef, M.R. et al., "Bacterial Vaginosis", Clin Evid.,(11): 2054-63 (2004)参照。この疾病は無症状の場合があるが、BVは、子宮内膜炎、早産および乳児出産時低体重、尿路感染症、骨盤炎症性疾患、婦人科手術後感染症、子宮頚管炎、および子宮頚部上皮内腫瘍を含む、より重大な疾患をもたらす場合がある。Alanen, A., "Does Screening Reduce Preterm Births?," Br Med J, 329(7462):374 (2004), Honest, H. et al., "The Accuracy of Verious Tests for Bacterial Vaginosis in Prediction Preterm Birth: a Systemic Review," Int J Gynaecol Obstet, 111:409 (2004), Kiss, H. et al., "Prospective Randomised Controlled Trial of an Infection Screening Programme to Reduce the Rate of Preterm Delivery," Br Med J, 329:371-375 (2004), Reid, G. et al., "Nucleic Acid-Based Diagnosis of Bacterial Vaginosis and Improved Management Using Probiotic Lactobacilli," J Med Food., 7(2):223-8 (2004), およびRodriguez, R. et al., "Genital Infection and Infertility," Enferm Infecc Microbiol Clin., 19:261-266 (2001)参照。またBVが、陰部ヘルペス(HSV-2)およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウイルス性の性感染症の危険性増大をもたらす可能性があることを示唆するいくつかの証拠がある。Landers, D.V. et al., "Predictive Value of the Clinical Diagnosis of Lower Genital Tract Infection in Women," Am J Obstet Gynecol, 190:1004-10 (2004), Pal, Z. et al., "Bacterial Vaginosis and Other Vaginal Infections," Int J Gynaecol Obstet, 89:278-279 (2005), and Myer, L. et al., "Bacterial Vaginosis and Susceptibility to HIV Infection in South African Women: a Nested Case-Control Study" J Infect Dis, 192:1372-1380 (2005)参照。
【0003】
カンジダ症(CV)は、病原性に転化して感染症を引き起こす場合がある、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)による日和見感染症である。DeLeon, E.M. et al., "Prevalence and Risk Factors for Vaginal Candida Colonization in Women With Type 1 and Type 2 Diabetes," BMC Infect Dis, 2 (2002), Nyirjesy, P. "Chronic Vulvovaginal Candidiasis," Am Fam Physician, 63:697-702 (2001), Saavedra, M. et al., "Local Production of Chemokines During Expereimental Vaginal Candidiasis," Infect Immun, 5820-5826 (1999)参照。
【0004】
トリコモナス症(TRIC) (原生生物による)は、およそ300万人の女性が毎年感染する、よくみられる形態の膣炎である。Schwebke, J.R. et al., "Trichomoniasis," Clin Microbiol Rev, 17(4): 194-803 (2004)参照。
【0005】
膣炎(BV、TRIC、およびCV)に関連した最も大きな健康上の危険の一つは、性感染症(STD)の危険の増大である。Msuya, S.E. et al., "Reproductive Tract Infections and the Risk of HIV Among Women in Moshy, Tanzania," Acta Obstet Gynecol Scand, 81:886-893 (2002), Wiesenfeld, H.C. et al., "The Infrequent Use of Office-Based Diagnostic Tests for Vaginitis," Am J Obstet Gynecol, 181:39-41 (1999), およびCosentino, L.A. et al., "Detection of Chlamydia trachomatis and Neisseria gonorrhoeae by Strand Displacement Amplification and Relevance of the Amplification Control for use With Vaginal Swab Specimens," J Clin Microbiol, 3592-3596 (2003)参照。女性がBVを有する場合は、pHの増大および乳酸桿菌(Lactobacilli)の減失のために、ウイルスがCD4リンパ球を活性化するためにより好適な環境となるので、HIVに罹患する可能性が2倍高くなる。Mastromarino, P. et al., "Characterization and Selection of Vaginal Lactobacillus Strains for the Preparation of Vaginal Tablets," J Appl Microbiol., 93(5):884-93 (2002)参照。生殖管の腟感染症はまた、ウイルスの分断を高めることによりHIVの感染増加に関与することが示唆されている。Sha, B.E. et al., "Female Genital-Tract HIV Load Correlates Inversely With Lactobacillus Species but Positively With Bacterial Vaginosis and Mycoplasma Hominis " J Infect Dis., 191(1):25-32 (2005) 参照。この関係を理解してHIV感染を減少させる方法を提供するために、研究が行なわれている。腟感染症はまた、子宮内膜症、骨盤炎症性疾患、手術後感染症、早産および出産時低体重をもたらす可能性がある。Stevens, A.O. et al., "Fetal Fibronectin and Bacterial Vaginosis are Associated With Preterm Birth in Women Who are Symptomatic for Preterm Labor," Am J Obstet Gynecol, 190:1582-1589 (2004), Wilks, M. et al., "Identification and H2O2 Production of Vaginal Lactobacilli From Pregnant Women at High Risk of Preterm Birth and Relation With Outcome," J Clin Microbiol., 42(2):713-7 (2004), およびLamont, R.F. et al., "Review of the Accuracy of various DiagnosticTests for Bacterial Vaginosis to Predict Preterm Birth," BJOG., 112(2):259-60 (2005)参照。
【0006】
単純ヘルペスウィルス(HSV-2)は、陰部ヘルペスの主要原因の一つである。陰部ヘルペスは、ティーンエイジャーおよび成人の5人に1人がその疾病を有する、重大な医療問題である。CDCは、毎年米国の4,500万人の人々がHSV性器感染症に罹患すると推測する。HSV感染症は、発症と発症の間では診断するのが難しい場合がある。
【0007】
膣炎(BV、CVおよびTRIC)および女性の他の状態および状況を評価および/または診断するために用いることができる方法および材料に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
ペプチド基質をラベルすることにより、タンパク質によって修飾されたときに可視信号(例えば、蛍光発光または冷光発光および/または色彩または色調の目に見える変化)を生成することができることが見出されている。分子(例えば、微生物により分泌された、微生物の細胞表面に発現された、または微生物またはウイルスに感染した細胞表面に発現された、タンパク質)が、哺乳動物(例えばヒト)から得られた試料(例えば組織の一部、あるいは尿または膣液)中の微生物の存在または非存在の検出のためのマーカーとして役立つことができることもまた、見出されている。したがって、本発明は、タンパク質により修飾される基質、そのような修飾を検出する方法、タンパク質を検出するための方法、および基質を組込んだ物品およびキットを特徴とする。
【0009】
いくつかの態様では、本発明には、雌哺乳動物(例えばヒト女性)の状態を評価する方法が含まれる。その方法は、基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で未修飾の基質を試料に曝す工程、および基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程を含む。未修飾の基質には、例えばペプチドおよびペプチドにカップルした比色成分が含まれ、また試料には、例えば哺乳動物の膣液または尿が含まれる。修飾は、基質から比色成分を切断して可視信号をもたらす工程を含む。修飾または修飾の非存在は、女性の病状などの状態を示す。
【0010】
他の態様では、本発明は、下記からなる群より選択されるアミノ酸配列の少なくとも一つを含むペプチドを含む:配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、配列ITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)、配列KPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)、配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、配列KPSIKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、および配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、配列NNPLPKIQKN (SEQ ID NO: 14)、配列KNPKLQDHYI (SEQ ID NO: 15)、配列QINKALKQPK (SEQ ID NO: 16)、配列QIPKSLHPIT (SEQ ID NO: 17)、配列LHNYVLLRNIL (SEQ ID NO: 18)、配列SKQQDIIKKY (SEQ ID NO: 19)、配列NKTNKTKHAY (SEQ ID NO: 20)、配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、配列

および/または、例えば一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む修飾ペプチド。いくつかの態様では、ペプチドは、本明細書に記載のペプチドの変異体または断片である。
【0011】
さらなる態様では、本発明には、タンパク質の存在または非存在を検出するためのセンサーが含まれる。センサーは、タンパク質(例えば微生物によって産生されたタンパク質)に特異的に反応するペプチドならびにペプチドにカップルした比色成分または酵素を含む。
【0012】
よりさらなる態様では、本発明には、雌哺乳動物の病状を評価するためのキットが含まれる。キットは、本発明のセンサーおよび少なくとも一つの試薬を含む。ある態様においては、本発明には、雌哺乳動物の状態を評価するための、センサーおよび少なくとも一つの試薬を含むキットが含まれる。
【0013】
さらに別の態様では、本発明には、固体支持体および基質を含む女性衛生製品が含まれる。基質には、タンパク質(例えば微生物により生成されるタンパク質)に特異的に反応するペプチドおよびペプチドにカップルされた比色成分が含まれる。ペプチドは固体支持体にカップルされる。本明細書で用いる女性衛生製品には、パッド、ナプキン、ライナー、スワブ、拭取り紙、およびタンポンが含まれる。
【0014】
さらに別の態様では、本発明には、固体支持体および基質を含む吸収性消費製品が含まれる。本明細書で用いる吸収性消費製品には、おむつ、パッド、タンポンおよびナプキンが含まれる
【0015】
本明細書に記述するように、本発明は細菌性腟症(BV)、カンジダ症(CV)およびトリコモナス症(TRIC)を含む女性の状態の評価を可能にする。膣炎(例えばBV、TRIC、CV)のすべての形態において、プロテアーゼ分泌、上皮の損傷(特徴的なクルー細胞(球桿菌(coccobacilli)で覆われた膣上皮細胞)の形成を引き起こす)と感染の間に強い相関が存在する。本発明は、医療現場における有効性を提供すること、またはポイント・オブ・ケア診断で用いられることを含む、広範な役割において有利に用いることができる。例えば、医療現場では、本発明はユーザーが病状を評価し診断することを可能にして、適切な治療法を指示することを可能にするだろう。別の有用性の例として、本発明はヒトが病状の予備的評価を行うことを可能にして、彼女が所望の行動方針(例えば、診療を受ける、自己治療を行う、行動を修正して妊娠する機会を増加させるまたは減少させる)を採ることができるようにする。
【0016】
本発明は、可視信号をもたらす基質の修飾に基づく、雌哺乳動物の状態の、迅速で廉価な評価を提供し、それにより、状態を評価するための高価な装置または追加の医療用具の必要性をなくする。本発明を実施するために必要とされる原料は安価である。さらに、本発明の方法および物品は、病状を評価するための携帯用の手段を可能にし、それにより、検査室または病院の現場で検出または検出の一部を行う必要性をなくする。
【0017】
一つの態様では、ラベルされたペプチドライブラリを用いることにより、単純、迅速、かつ非常に特異的なBVの診断を提供するために独立してまたは組合せて用いることができる、乳酸桿菌種およびガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)に対する特異的で新規な標的が同定された。別の態様では、ラベルされたペプチドライブラリを用いることにより、単純・迅速で非常に特異的なCVの診断を提供するために独立してまたは組合せて用いることができる、カンジダ(Candida)種の特異的で新規な標的が同定された。さらに別の態様では、ラベルされたペプチドライブラリを用いることにより、単純・迅速で非常に特異的なTRICの診断を提供するために独立してまたは組合せて用いることができる膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)の特異的で新規な標的が同定された。すべてのこれらのバイオマーカーは、安価であり、女性用ナプキン、拭取り紙、パッド、スワブ、および/またはタンポンを非限定的に含む夥しい量の消費製品に組み入れることができる。
【0018】
いくつかの態様では、本発明には、ペプチドに接着された少なくとも一つの比色成分を含む基質が含まれる。さらなる態様では、基質は固体支持体に接着される。いくつかの態様では、ペプチドは、あるタンパク質と相互作用する際、修飾を受けるペプチドである。例えば、タンパク質は酵素であり得るし、また修飾は、ペプチドを切断する酵素を含むことができる。いくつかの態様では、ペプチドは合成物であり、一方で他の態様では、それは自然に存在する。
【0019】
いくつかの態様では、検出可能な信号には視覚信号または可視の色彩変化が含まれる。いくつかの態様では、可視信号には、いかなる種類の検出機器または増強装置(例えば蛍光測定器)も用いないで知覚可能な色彩変化、一つの色彩または色調から別のものへの、または無色あるいはより目立たないまたはより目立つ色彩または色調への変化、および/または蛍光または冷光の発光の開始が含まれる。
【0020】
いくつかの態様では、本発明には、ペプチドに接着された少なくとも一つのレポーター酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ)を含む基質が含まれ、それは酵素ペプチドコンジュゲートとなる。修飾は、異なる酵素(例えば、微生物によってまたは関連して、産生される酵素、あるいは排卵または骨活性などの状況を作出する酵素)による切断を含むことができる。ペプチドが切断されると、レポーター酵素とその基質の間の相互作用から、検出できる信号がもたらされうる。
【0021】
いくつかの態様では、信号増幅手法、例えばレポーター酵素を特異的なペプチドにコンジュゲートさせ、加水分解が検出可能な信号(例えば目視できる色彩の変化)をもたらす触媒過程の活性化をもたらすという手法を用いることができる。
【0022】
ほとんどの態様において、ハイスループットスクリーニングを用いて、ガードネレラ、乳酸桿菌、カンジダ・アルビカンス、および膣トリコモナスなどの微生物に対する標的を同定することができる。
【0023】
一つの態様では、本発明には、次の工程を含む、雌哺乳動物の状態を評価する方法が含まれる:a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程(未修飾の基質は、ペプチドおよび第1の比色成分を含む);および b) 基質の修飾の存在または基質の修飾の非存在を検出する工程(修飾は基質からの第1の比色成分または酵素の切断を含み、可視信号をもたらし、ここで修飾または修飾の非存在は雌哺乳動物の状態を示す)。
【0024】
一つの態様では、本発明の基質はガードネレラ・バギナリスによって産生されたタンパク質に特異的である。別の態様では、基質は乳酸桿菌種によって産生されたタンパク質に特異的である。さらに別の態様では、基質はカンジダ・アルビカンスによって産生されたタンパク質に特異的である。一つの態様では、基質は膣トリコモナスによって産生されたタンパク質に特異的である。一つの態様では、基質は単純ヘルペスウイルスによって産生されたタンパク質に特異的である。一つの態様では、基質は、バクテロイド(Becteroides)種、モビルンカス(Mobilincus)種、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)種、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、ペプトストレプトコッカス種、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、ポルフィロモナス(Porphyromonas)種、およびトリコモナス(Trichomonas)種などの、BVに関係する細菌からなる群より選択される少なくとも一つの微生物によって産生されるタンパク質と、反応しない。さらに別の態様では、状態は、カンジダ症、トリコモナス症、細菌性腟症、尿路感染症、陰部ヘルペス、排卵前期、閉経期、および骨粗鬆症からなる群より選択される少なくとも一つの状態である。
【0025】
一つの態様では、本発明はさらに試料のpHを測定する工程を含む。別の態様では、本発明はさらに試料中の揮発性ポリアミンの量を測定する工程を含む。
【0026】
さらに別の態様では、ペプチドを固体支持体にカップルさせる。いくつかの態様では、単純で安価な食品用色素をペプチドにコンジュゲートさせ、例えば女性用ナプキン、パッド、拭取り紙、またはタンポンの吸収性材料に直接カップルさせる。
【0027】
さらに別の態様では、特異的な微生物の存在下でペプチドが加水分解され、色素または酵素が底面などの表面で集められる。透明な窓を、例えばパッドまたはタンポンの表面に組込むことによって、色が表面から目視できる。窓の色の変化は、膣炎の存在を示す。パッド/タンポン診断用装置設計をまた、膣液または尿からの他の分析物に用いて、細菌感染、微生物感染、尿路感染、酵母感染、陰部ヘルペス(HSV-2)、排卵前期、閉経期、または骨量減少(骨粗鬆症)などの状態の発病初期を検出することもできる。
【0028】
一つの態様では、基質の修飾によって、固体支持体の色調の可視度増加がもたらされる。別の態様では、ペプチドを共有結合で固体支持体に接着させる。さらに別の態様では、固体支持体は、ビーズ、滅菌された材料、試料を含む物品、試料を集める物品、ポリマー、メンブレン、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、発泡体、布地、紙、縫合糸、およびバッグからなる群より選択される。
【0029】
一つの態様では、固体支持体を女性用ナプキン、パッド、おむつ、拭取り紙、スワブおよびタンポンからなる群からの製品中に組込む。別の態様では、第1の比色成分は、蛍光色素、冷光色素、または発色性色素などの色素である。さらに別の態様では、第1の比色成分は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、ラッカーゼ、またはアルカリホスファターゼなどの酵素である。
【0030】
一つの態様では、未修飾基質には、第1の比色成分と異なる第2の比色成分がさらに含まれる。別の態様では、第1の比色成分を、共有結合によりペプチドに結合する。さらに別の態様では、修飾には、ペプチド結合の加水分解が含まれ、それが基質からペプチドの一部を分離することになる。
【0031】
一つの態様では、基質は、下記からなる群からの少なくとも一つまたは複数のアミノ酸配列を含むペプチドを含む:ペプチド配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、ペプチド配列ITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)、ペプチド配列KPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、ペプチド配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)、ペプチド配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、ペプチド配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、ペプチド配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、ペプチド配列KPSIKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、ペプチド配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、ペプチド配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、ペプチド配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、ペプチド配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、ペプチド配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、ペプチド配列NNPLPKIQKN (SEQ ID NO: 14)、ペプチド配列KNPKLQDHYI (SEQ ID NO: 15)、ペプチド配列QINKALKQPK (SEQ ID NO: 16)、ペプチド配列QIPKSLHPIT (SEQ ID NO: 17)、ペプチド配列LHNYVLLRNIL (SEQ ID NO: 18)、ペプチド配列SKQQDIIKKY (SEQ ID NO: 19)、およびペプチド配列 NKTNKTKHAY (SEQ ID NO: 20)、ペプチド配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、ならびにペプチド配列


【0032】
一つの態様では、可視信号には、蛍光発光または冷光発光の増加が含まれる。別の態様では、可視信号には、色調の変化が含まれる。さらに別の態様では、可視信号は退色である。
【0033】
一つの態様では、試料には、膣液または尿を含む体液の一部が含まれる。
【0034】
一つの態様では、基質の修飾には、ペプチドの一部を切断して切断片を生成することを含み、切断片は第1の比色成分を含み、修飾の結果切断片のコレクターへの移動が起こり、移動は可視信号をもたらす。別の態様では、コレクターには、メンブレン、粒子、ビーズ、樹脂、ポリマー、フィルム、ゲル、およびキレート材料からなる群より選択される少なくとも一つの材料が含まれる。
【0035】
一つの態様では、基質の修飾を用いて、溶解素、自己溶解素、リパーゼ、菌体外毒素、細胞壁酵素、マトリックス結合酵素、プロテアーゼ、加水分解酵素、病原性因子酵素、ホルモンおよび代謝酵素からなる群より選択される細菌性酵素の存在を明らかにする。
【0036】
別の態様では、本発明には、微生物によって産生されるタンパク質に特異的に反応するペプチドおよびペプチドにカップルされた第1の比色成分を含む、タンパク質の存在または非存在の検出のためのセンサーが含まれる。
【0037】
別の態様では、本発明には、固体支持体および基質を含む女性衛生製品が含まれ、基質は微生物によって産生されるタンパク質に特異的に反応するペプチド、およびペプチドにカップルされた第1の比色成分または酵素を含み、また基質は固体支持体にカップルされている。別の態様では、女性衛生製品は、女性用ナプキン、拭取り紙、スワブ、パッド、およびタンポンからなる群より選択される。さらに別の態様では、女性衛生製品は、さらに吸収性材料を含む少なくとも一つの内部層を含む。一つの態様では、基質は、ガードネレラ・バギナリス、膣トリコモナスおよびカンジダ・アルビカンスの各々に特異的なペプチドを含む。
【0038】
一つの態様では、本発明は、以下の工程を含む、哺乳動物中の刺激因子の存在または非存在を検出する方法(該刺激因子は、細菌、酵母、寄生生物、原生動物、宿主プロテアーゼ、および酵素からなる群より選択され、また該刺激因子は、女性用ナプキン、パッド、およびおむつからなる群より選択される吸収性パッド中で検出される)を含む:a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程(未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分を含み、第1の比色成分はペプチドにカップルされ、試料は哺乳動物の膣液または尿を含む);および b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程(修飾は基質から第1の比色成分または酵素を切断する工程を含み、可視信号をもたらし、修飾または修飾の非存在は哺乳動物中の刺激因子の存在または非存在を示す)。
【0039】
別の態様では、本発明は、以下の工程を含む、哺乳動物の状態の存在または非存在を検出する方法(該状態は、尿路感染症、酵母感染症、細菌性腟症、カンジダ症、トリコモナス症、皮膚発疹、おむつかぶれ、および褥瘡からなる群からより選択される)を含む:a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程(未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分を含み、第1の比色成分または酵素はペプチドにカップルされ、また試料は哺乳動物の膣液または尿を含む);および b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程(修飾は基質から第1比色成分を切断する工程を含み、その結果可視信号が生じ、修飾または修飾の非存在は哺乳動物中の刺激因子の存在または非存在を示す)。
【0040】
さらに別の態様では、本発明は、以下の工程を含む、哺乳動物中の状態を評価する方法を含む:a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程(未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分を含み、第1の比色成分または酵素はペプチドにカップルされている);および b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程(修飾は基質から第1比色成分を切断する工程を含み、その結果可視信号が生じ、修飾または修飾の非存在は哺乳動物の状態を示す)。
【0041】
一つの態様では、本発明には、固体支持体および基質を含む吸収性消費製品が含まれ、固体支持体は、体液を吸収する材料の少なくとも一つの吸収性層、および体液の漏出を防止するための少なくとも一つの非吸収性層を有する。一つの態様では、体液は膣液である。別の態様では、体液は尿液である。
【0042】
一つの態様では、第1の比色成分は、本明細書に記述する任意の一つを含む食品用色素またはレポーター酵素である。
【0043】
別の態様では、本発明には、雌哺乳動物中の状態を評価するための側方流動装置が含まれ、該側方流動装置は、側方流動ストリップ、コンジュゲート・メンブレン、基質線および吸上パッドを含む。
【0044】
発明の詳細な説明
本発明の好適な態様を以下に述べる。
【0045】
本発明を、その好ましい態様を参照して、詳細に示し、記述してきたが、添付した特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から外れることなく、その形式と詳細の様々な変更をその中で行なうことができることを、当業者は理解するであろう。
【0046】
本発明は、雌哺乳動物の状態の評価に役立つ組成物および方法を包含する。本発明には、典型的にはタンパク質またはペプチドである基質が含まれ、基質は、基質が修飾されたことを示す検出可能な信号を生成する比色成分を含む。修飾は、基質が酵素(例えば、微生物が関係するか産生する酵素)などのタンパク質と接触して、例えば酵素的切断により基質が修飾された結果である可能性がある。検出可能な信号を、雌哺乳動物の状態を評価するために用いる。
【0047】
いくつかの態様、例えばおむつかぶれの検出では、哺乳動物は雄でも雌でもよい。
【0048】
酵素検出
正常な増殖過程の一部として、多くの微生物がその生育環境中へ、酵素などの多数のタンパク質を分泌するか、または分泌されるようにする。これらのタンパク質は多数の機能を有し、それには栄養物質の放出、宿主防御に対する保護、細胞表層合成(細菌において)および/または維持、およびまだ決定されていない他の機能が非限定的に含まれる。多くの微生物はまた、細胞外の環境に曝されている(および相互作用する)細胞表面上にタンパク質を生成する。これらのタンパク質の多くは、それらを分泌する微生物に特異的であり、そのため、それらの微生物の存在についての特異的マーカーとして役立ち、それは次に病状の評価を与える。本発明には、これらの産生されたおよび/または分泌されたタンパク質の存在を検出することができる、および同様に産生/分泌する微生物の存在を示すのに役立つことができる方法および/またはシステムが含まれる。または、本発明は、産生/分泌する微生物の非存在を示すために、産生されおよび/または分泌されたタンパク質の非存在を検出することができる方法および/またはシステムを提供する。そのような検出方法および/またはシステムは、微生物および/または感染(例えば膣液または尿液の感染または組織感染)の存在を検出または診断するために役立つ。
【0049】
いくつかの態様では、微生物は、基質を修飾するタンパク質を産生する。本発明には、雌哺乳動物の病状を評価するために試料中の微生物の存在または非存在を検出する方法が含まれる。例えばその方法は、a) 微生物による基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で試料を基質に接触させる工程、b) 修飾または修飾の非存在を検出する工程を含むことができる。微生物によって生成、分泌、または発現されたタンパク質は、基質を修飾する。いくつかの態様では、修飾は基質の少なくとも一部を切断することを含み、その部分は、比色成分の一つを含み、切断は目視できる色彩変化をもたらし、したがってそれは試料中の微生物の存在を示し、また修飾の非存在は、微生物の非存在を示す。
【0050】
他の態様では、本発明には、試料中の酵素の存在または非存在を検出するための方法が含まれる。一つの例では、方法は、a) 酵素による基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で試料を基質と接触させる工程および b) 修飾または修飾の非存在を検出する工程を含む。いくつかの態様では、修飾はペプチド中の少なくとも一つのペプチド結合を加水分解して、ペプチドの少なくとも一部を基質から切断することになる工程を含み、基質から切断されたペプチドの部分には比色成分の一つが含まれ、切断は目視できる色彩変化をもたらし、それにより試料中の酵素の存在を示し、修飾の非存在は、試料中の酵素の非存在を示す。
【0051】
本明細書に記述するように、検出する微生物に特異的な分泌酵素などのタンパク質を同定することにより、一つの特異的な微生物を検出するようにセンサーを作り上げることができる。またはシステムを、膣炎に関連した微生物などの複数の微生物種(例えば、少なくとも2、少なくとも5、または少なくとも10の異なる微生物種)を同時に同定するように設計することができる。好ましくは、この目標を、あるクラスの病原性微生物には共通であるが非病原性微生物には共通ではないタンパク質を同定することにより達成する。そのようなタンパク質を、例えば微生物ゲノムデータベースのコンピューターに基づくバイオインフォマティクス・スクリーニングによって、同定することができる。
【0052】
細胞表面に存在するか、または微生物の生育環境へ分泌されるタンパク質に特異的に反応する合成基質を設計することにより、微生物の存在を検出することができる。これらの合成基質を検出可能なラベルでラベルすることができ、微生物のそれぞれのタンパク質が基質に特異的に反応する条件下で基質が修飾を受けると、それが検出可能なラベル(例えば比色成分)によって明らかになる。検出可能なラベルは、目視できる色彩変化を生成することができる。
【0053】
本発明の様々な態様によって検出することができる微生物の例には、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、原生動物および他の病原体が含まれ、それによって、雌哺乳動物の病状の評価が可能になる。いくつかの態様では、微生物は細菌である。
【0054】
いくつかの態様では、本発明を一つまたは複数の型の真菌を検出するために用いることができ、それによって、雌哺乳動物の病状の評価が可能になる。好ましくは、真菌は、雌哺乳動物に疾病を引き起こすものであるか、または雌哺乳動物の病状のインジケーターとして有用なものである。
【0055】
いくつかの態様では、基質と相互作用して修飾を生成するタンパク質は酵素である。少量の酵素が大量の基質の代謝回転を触媒することができるで、検出システムが酵素に基づくことによって、高感度のテストが提供される。他の態様では、タンパク質は病原体特異的酵素である。ここで用いる「病原体特異的酵素」とは、病原性微生物によって生成および/または分泌されるが、非病原性微生物によっては生成および/または分泌されない酵素である。
【0056】
酵素を産生しそしてそれを細胞表面に提示するか、または生育環境へ分泌する微生物または女性の状態を検出するための薬剤を開発するための標的となる酵素を、クラスに分類することができる。本明細書に述べる酵素は次の9クラスに分類される:溶解素(即ち宿主細胞を溶解するために機能する酵素)、自己溶解素、菌体外毒素、マトリックス結合酵素、リパーゼ;細胞壁酵素(即ちペプチドグリカンを含む細菌の細胞壁成分の合成および代謝回転に関与する酵素)、プロテアーゼ(即ちペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を特異的にまたは非特異的に切断する酵素)、加水分解酵素(即ちポリマー分子をそのサブユニットに分割する酵素)、代謝酵素(即ち栄養物質を細胞にとって有用な成分に分解するなどの、細胞の様々なハウスキーピング機能を行なうように設計された酵素)、病原性因子酵素(即ち感染を引き起こすために細菌細胞に必要な酵素)。酵素はまた、月経ホルモンまたは生殖系ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、および黄体形成ホルモンなど)などのホルモンを検出するための試薬を開発するための標的となることができる。そのような酵素は、例えば排卵の検出のために有用であると考えられる。
【0057】
状態
本発明の様々な態様を、雌哺乳動物(例えばヒトの女性)の病状または疾病を含む状態を評価するために用いることができる。例えば、本発明の方法、基質、センサーおよび他の局面を用いて一つまたは複数の特異的な型の微生物の存在を検出することができ、それによって、雌哺乳動物が、膣炎または雌の下部生殖路感染などの病状を有するかどうかを評価することができる。
【0058】
一つの態様は、哺乳動物の状態の存在または非存在を検出する方法であり、該状態は、尿路感染症、酵母感染症、細菌性腟症、カンジダ症、トリコモナス症、皮膚発疹、おむつかぶれ、および褥瘡からなる群より選択される。
【0059】
BVの診断に関連した主な細菌は、グラム陽性桿状細菌のガードネレラ・バギナリスである。Catlin, B.W., "Gardnerella Vaginalis: Characteristics, Clinical Considerations, and Controversies," Clin Microbiol Rev, 213-237 (1992))参照。しかし、バクテロイド種、モビルンカス種、ペプトストレプトコッカス種、マイコプラズマ・ホミニス、プレボテラ・ビビアおよびポルフィロモナス種を含む他の細菌が、BVの発症に続くコロニー形成に関係することが最近示唆されている。Hogan, D.A. et al., "Pseudomonas-Candida Interactions; An Ecological Role for Virulence Factors," Science, 296:2229-2231 (2002)およびMarrazzo, J.M., "Evolving Issues in Understanding and Treating Bacterial Vaginosis," Expert Rev Anti Infect Ther., 2(6):913-22 (2004)参照。
【0060】
主なBVのインジケーターには、アムゼル(Amsel)診断基準およびニュージェント(Nugent)テストが含まれる。

参照。BVを診断するための他のインジケーターには、正常細菌叢(乳酸桿菌種など)の減少、乳酸の減少、pHの4.5以上への増大、および揮発性ポリアミンの産生が含まれる。例えば、米国特許出願公開第US 2003/0044996号、米国特許第6,113,856号、米国特許第5,124,254参照(それらの教示はすべて参照により本明細書に組み入れられる)。Donders, G.G. et al., "Pathogenesis of Abnormal Vaginal Bacterial Flora," Am J Obstet Gynecol, 182:872-878 (2000), Antonio, M. et al., "DNA Fingerprinting of Lactobacillus Crispatus Strain CTV-05 by Repetitive Element Sequence-Based PCR Analysis in a Pilot Study of Vaginal Colonization," J Clin Microbiol, 1881-1887 (2003)、および Geshnizgani, A.M. et al., "Defined Medium Simutaling Genital Tract Secretions for Growth of Vaginal Microflora," J Clin Microbiol, 30:1323-1326 (1992)もまた参照。しかし、個々のインジケーターは、トリコモナス症(TRIC)、B群ストレプトコッカス、月経中の正常なpH変化、女性が閉経後年齢に近づくと起こる乳酸桿菌の減少、および子宮頚癌によるポリアミンの変化などが起こることによる偽陽性を与える場合がある。Bradshaw, C. S. et al., "Evaluation of a Point-of-Care Test, BVBlue, and Clinical and Laboratory Criteria for Diagnosis of Bacterial Vaginosis," J Clin Microbiol 1304-1308 (2005、Myziuk, L. et al., "BVBlue Test for Diagnosis of Bacterial Vaginosis," J Clin Microbiol, 41(5):1925-1928 (2003)および Tokyol, C. et al., "Bacterial Vaginosis: Comparison of Pap Smear and Microbiological Test Results," Mod Pathol, 17(7): 857-60 (2004)参照。
【0061】
BVに対する追加のテストには、ガードネレラ・バギナリスの存在を検出するシアリダーゼ、プロリダーゼ、およびクロムアズロールS分析が含まれる。例えば米国特許出願公開第U.S. 2004/0219617号および米国特許第6,255,066号参照。Brown, H.L. et al., "Evaluation of the Affirm Ambient Temperature Transport System for the Detection and Identification of Trichomonas Vaginalis, Gardnerella Vaginalis, and Candida Species from Vaginal Fluid Specimens," J Clin Microbiol, 3197-3199 (2001)および Madico, G. et al., "Diagnosis of Trichomonas Vaginalis Infection by PCR Using Vaginal Swab Samples," J Clin Microbiol, 36:3205-3210 (1998)も参照。しかし、これらのテストはガードネレラ・バギナリスに特異的ではなく、他の微生物、酵母、膣トリコモナス、および/または非定型膣細胞との干渉により偽陽性の存在をもたらす場合がある。Sheiness, D. et al., "High Levels of Gardnerella Vaginalis Detected With an Oligonucleotide Probe Combined With Elevated pH as a Diagnostic Indicator or Bacterial Vaginosis," J Clin Microbiol, 30:642-648 (1992)および Wu, S.R. et al., "Genomic DNA Fingerprint Analysis of Biotype 1 Gardnerella Vaginalis From Patients With and Without Bacterial Vaginosis," J Clin Microbiol, 192-195 (1996)参照。さらに、クリンダマイシンおよびメトロニダゾールなどの局所療法に対する耐性が増大している。
【0062】
カンジダ・アルビカンスは、酵母感染に関連する主要な病原体であるが、他のカンジダ種が出現しているように見える。特にC.グラブラタ(C. glabrata)は酵母感染の25%にも相当し、糖尿病患者に、より一般的に見出される。McDonald, H. et al., "Antibiotics for Treating Bacterial Vaginosis in Pregnancy," Cochrane Database Syst Rev., (1) (2005)参照。BVおよびCVの両方が、乳酸桿菌の減少に関係しており;BVはpHの増大に関係し、CVは正常なpHに関係している。
【0063】
最近の研究は、乳酸桿菌によって産生される毒素およびH2O2が、カンジダ種の増殖を阻害することができることを示す。Reid, G. et al., "Nucleic Acid-Based Diagnosis of Bacterial Vaginosis and Improved Management Using Probiotic Lactobacilli," J Med Food.,7(2):223-8 (2004)参照。CVは、上皮細胞、菌糸および仮性菌糸を含む分泌物中に、臨床的に発症する。Fidel, P.L. et al., "Effects of Reproductive Hormones on Experimental Vaginal Candidiasis," Infect Immun, 651-657 (2000)参照。もし治療しないと、やがて二次感染が尿道で発症する可能性がある。酵母感染は、MONOSTAT(商標)などの処方箋なしの市販(OTC)製品で治療することができるが、酵母感染用のOTC自己検査用診断テストはない。Nelson, D.B. et al., "Self-Collected Versus Provider-Collected Vaginal Swabs for the Diagnosis of Bacterial Vaginosis: an Assessment of Validity and Reliability," J Clin Epidemiol, 56:862-866 (2003)参照。全女性の75パーセントが、一生の間に少なくとも一回のCVおよびBVの発症を経験することが予測される。ガードネレラ・バギナリスを、ペプチド配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、ペプチド配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、および/または修飾ペプチド(例えば一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含むペプチド)を有する基質を用いて、検出することができる。
【0064】
TRICは、運動性の洋梨形原生動物である膣トリコモナスによって引き起される。膣トリコモナスは、細菌および血球を摂取することができ、その表面に上皮細胞傷害をもたらすプロテアーゼおよび毒素を有する。感染用量はおおよそ約105個の原生動物であり、症状には、帯下、陰門腟の痛みまたは刺激、排尿障害(痛みまたは排尿困難)および性交疼痛(性交中の痛み)が含まれる。Lehker, M.W. et al., "Trichomonad Invasion of the Mucous Layer Requires Adhesins, Mucinases, and Motility", Sex Transm Dis, 75:231-238 (1999)およびMin, D.Y. et al., "Degradation of Human Immunoglobulins and Cytotoxicity on HeLa Cells be Live Trichomonas Vaginalis," Korean J Parasitology, 35:39-46 (1997)参照。合併症には、気腫膣炎、不妊症および妊娠合併症(自然流産、早産、および出産時低体重)が含まれる。Ness, R.B. et al., "Bacterial Vaginosis and Risk of Pelvic Inflammatory Disease," Obstet Gynecol Surv., 60(2): 99-100 (2005)およびNess, R.B. et al, "Bacterial Vaginosis and Risk of Pelvic Inflammatory Disease," Obstet Gynecol.,104(4):76l-9 (2004)参照。TRICは、信頼できるテストがないために、多くの場合、BVと誤診される。Zariffard, M.R. et al., "Detection of Bacterial Vaginosis-Related Organisms by Real-Time PCR for Lactobacilli, Gardnerella Vaginalis and Mycoplasma Hominis " FEMS Immunol Med Microbiol., 34(4):277-81 (2002)参照。BVおよびTRICの両方とも、帯下およびpH増大をもたらす場合がある。TRICは、最も多くの場合、顕微鏡検査を用いて同定される。メトロニダゾールが膣トリコモナスを死滅させるために用いられるが、しかしこの薬物の副作用には、吐気および膣液中の良好な細菌のレベルの減少が含まれる。長期間のメトロニダゾールの投与は動物に肺腫瘍を引き起こすことが示され、また膣トリコモナスの多くの株が、この薬物に耐性になっている。膣トリコモナスは、ペプチド配列 NNPLPKIQKN (38H9/T7) (SEQ ID NO: 14)、ペプチド配列KNPKLQDHYI (44B5/T7) (SEQ ID NO: 15)、ペプチド配列QINKALKQPK (41E11/T7) (SEQ ID NO: 16)、ペプチド配列QIPKSLHPIT (42D3/T7) (SEQ ID NO: 17)、ペプチド配列LHNYVLLRNIL (38H8/T7) (SEQ ID NO: 18)、ペプチド配列SKQQDIIKKY (44E6/T7) (SEQ ID NO: 19)、ペプチド配列NKTNKTKHAY (42H8/T7) (SEQ ID NO: 20)、および/または修飾ペプチド、例えば一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含むペプチドを有する基質を用いて、検出することができる。
【0065】
例えば、本発明の方法、基質、センサー、および他の物品を用いて、女性が膣および/または尿路中に、危険な感染レベルのガードネレラ・バギナリス(例えば約105 〜約106 CFU/mL)、感染性の糸状カンジダ・アルビカンス (例えば約106 CFU/mL)、および/または膣トリコモナス (例えば≧1000の原生動物/mL)を有するかどうか判断することができる。例えば、本発明は、女性が細菌性腟症の病状を有するかどうかを評価するために、そのような微生物が存在するかどうかを実施者に示す可視信号を生成する。または、もしくはさらに、本発明を用いて、異常に低い数または量の正常な細菌(例えば乳酸桿菌種)が女性の膣または尿路に存在するかどうかなどの、細菌性腟症の他のインジケーターを評価することができる。
【0066】
評価することができる他の状態または状況には、例えば以下が含まれる:女性が酵母感染症の早期発症であるかどうか(例えばその女性の膣または尿路中のカンジダ・アルビカンスの存在および/または量を例えば検出することにより)、女性が陰部ヘルペスに罹患しているかどうか(例えば、その女性の膣または尿路中のHSV-2の存在および/または量を検出することにより);女性が月経周期の排卵前期であるかどうか;女性が閉経期を経過中であるかどうか;あるいは女性が骨量減少に罹患しているかどうか(例えば、骨粗鬆症を検出するか分析する)。
【0067】
酵母感染を、分泌アスパラギン酸プロテアーゼ(Saps)、リパーゼまたは他の病原性因子のうちの一つなどの、酵母によって尿または膣液中へ分泌された因子から確認することができる。例えば、ペプチドKPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、KPKAFLKXXX (SEQ ID NO: 24)、またはKPKAFXXXXX (SEQ ID NO: 23)(配列中、「X」は任意のアミノ酸残基である)に作られたペプチドマーカーは、カンジダ・アルビカンスからのSapsによって認識されるが、膣液中の宿主プロテアーゼまたは細菌によっては認識されないことが予想される。CVは、カンジダ種による日和見感染であって、多くの場合、この種は病原性となり、感染症を引き起こす。カンジダ種は二形性である。それらは酵母形と糸状形を有する。後者が感染性である。感染開始の主要な決定因子は、菌糸成長およびアスパラギン酸プロテアーゼ(Saps)ファミリーの産生であるように見える。Sap5は、周囲の組織に壊死と損傷をもたらすことにより環境を、菌糸の成長および感染がより起こりやすくして、感染を加速する可能性が高い。カンジダ種は、ペプチド配列 KPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、ペプチド配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、ペプチド配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、ペプチド配列KPSIKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、ペプチド配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、ペプチド配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、ペプチド配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、ペプチド配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、およびペプチド配列 NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、およびペプチド配列 QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、ペプチド配列KPKAFLKXXX (SEQ ID NO: 24)、ペプチド配列KPKAFXXXXX (SEQ ID NO: 23)、および/または修飾ペプチド、例えば一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含むペプチドを有する基質を用いて、検出することができる。
【0068】
尿路感染症(UTI)に特異的な標的を、例えば、大腸菌(E. coli)、肺炎桿菌(K. pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(P. mirabilis)、緑膿菌(P. aeruginosa)、およびエンテロバクター(Enterobacter)種を含む、主な尿路病原体を検出するハイスループットスクリーニングから広域スペクトルのペプチドを同定することにより、最適に設計することができる。UTI中のそれぞれの出現率は、大腸菌(約37%)、肺炎桿菌(約13%)、プロテウス・ミラビリス(約12%)、緑膿菌(約9%)、およびエンテロバクター種(約7%)である。
【0069】
排卵前期を、卵胞破壊時に活性化されるかまたは過剰発現される酵素、例えばディスインテグリン(ADAM-TS1)、MMP (例えば1、2、9および13)、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、カテプシン、プロカテプシン-L、プラスミン、もしくはシクロオキシゲナーゼ(COX-2)などによって、約1時間以内に正確に測定することができる。ADAM-TS1を歯肉の繊維芽細胞からクローニングし、発現させ、精製することができ、配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)または関連するブレビカン/バーシカン標的配列で検出することができる。ポリペプチドのC末端のシステインを用いて、色素または酵素をカップリングすることができる。
【0070】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の基質には、コラーゲン、ゼラチン、アグリカンおよびパールカンが非限定的に含まれる。ディスインテグリンの基質には、バーシカンおよびブレビカンが非限定的に含まれる。カテプシンの基質には、フィブロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、インシュリンB鎖、およびプロカテプシン/GAGが非限定的に含まれる。COX-2の基質にはアンプレクスレッドが非限定的に含まれる。オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)の基質には、オルニチンが非限定的に含まれる。プラスミンの基質には、フィブリンが非限定的に含まれる。
【0071】
一つの態様では、発蛍光性および発色性基質を有力な排卵前期マーカーとして設計して、上に同定された酵素活性を特異的に測定することができる。インシュリンB鎖、バーシカン、およびフィブリンへの蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)ペプチドを用いてプロカテプシンL、ADAM-TS1、およびプラスミンをそれぞれ検出することができる。MMPおよびCOX2の基質を、R&D Systems (Minneapolis, MN)およびMolecular Probes (Eugene, OR)から得ることができる。ODCの基質をオルニチン存在下でpH指示薬プローブから構成して、デカルボキシラーゼ活性を間接的に測定することができる。
【0072】
pHレベルを検出するためのpH指示薬の例には、ラクモイド、クロロフェノールレッド、プロピルレッドおよびブロムクレゾールグリーンが非限定的に含まれる。追加のpH指示薬のリストを、図15A〜15Bに提供する。
【0073】
精製されたMMP酵素を、例えばR&D Systemsから入手することができる。ODCおよびCOX2を、例えばSigma Aldrichから購入することができる。プロカテプシンLを、Calbiochemから入手することができる。ADAMTS-1を、例えばヒト心臓組織からのRT-PCRによってクローニングすることができる。タンパク質はCOS-7細胞中で発現させ、培地から精製する。酵素活性を蛍光または比色プレートリーダーで測定して、ヒト体液試料が有る場合と無い場合の感度および交差反応性を定量化することができる。最も高い感度および信号雑音比を有する排卵前期の標的をさらに発展させて、拭取り紙またはパッドの中に化学成分を組み入れることができる。
【0074】
閉経期開始は、唾液からのアクチビンBの欠失と関連させられてきた。骨量減少の生物マーカーの例には、カルシウム、プロコラーゲンI型C-末端テロペプチド(ICTP)、および血清のI型コラーゲンのC-テロペプチドが含まれる。しかし、それらのどれも、骨構築と骨芽細胞のバランス、および骨の減少と破骨細胞のバランスを直接反映していない。より信頼できるマーカー(例えばアルカリホスファターゼ、オステオカルシンなど)は、骨量減少または骨量増加を測定することができる。あるマーカーは、骨量減少および骨量増加の間の平衡を測定することができる。本発明の一つの態様では、例えば青色レポーターまたは色素を有する骨量減少マーカーおよび黄色のレポーターまたは色素を有する骨量増加マーカーが、骨の純増も純減もない場合は緑の識別色を、骨の純減(それは骨粗鬆症の最初の直接の生化学の測定になる)がある場合は青色を、または骨が形成されている場合は黄色を生成する。
【0075】
別の態様では、雄および雌の哺乳動物のおむつかぶれなどの感染によって媒介される皮膚発疹を検出するために、本明細書で用いられる基質、センサー、および方法を用いることができる。おむつかぶれには、皮膚の炎症が含まれる。それは刺激物質によって引き起こされる一種の皮膚炎で、通常はおむつ領域へ限局される。それは例えば、細菌、真菌、および酵母を含む微生物による感染によって引き起こされ得る。
【0076】
一つの態様では、おむつ刺激または発疹の初期段階を、それらが目視によって検出できる前にさえ、検出することができる。おむつかぶれには多くの微生物が関係しており、それにはMMP、加水分解酵素、リパーゼ、糖分解酵素(sugarases)、エラスターゼおよびプロテアーゼを含む、宿主または微生物からのMMPまたは他の加水分解酵素などの、皮膚の炎症または発疹に存在するであろう溶解酵素が含まれる。
【0077】
本発明の一つの態様では、微生物は、それぞれの培地(微生物上清としても知られている)中で終夜増殖させ、次に、細胞を除くために遠心分離することができる。各上清の5μlを、ペプチドライブラリと共に室温で20分間インキュベートすることができる。ペプチド活性を、ニッケルニトリロ三酢酸樹脂(ニッケル-NTA樹脂)処理されたプレートからの緑色蛍光タンパク質(GFP)の遊離によって測定することができる。微生物に対する特異的なレポーターとして有望な、ペプチド・コンジュゲート標的のクローンを、DNA塩基配列決定により配列決定することができる。陽性クローンの同定された一次配列を用いて、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)および発色性ペプチドを生成し、それをメンブレン形式に組み入れることができる。アミノ酸配列を用いて、確認されたペプチドを酵素-ペプチド・コンジュゲートまたは色素-ペプチド・コンジュゲートに変換し、それを装置に組み入れることができる。
【0078】
ペプチド
ペプチドの例には、本明細書に記述した基質、ならびに、タンパク質との相互作用により修飾を受ける当技術分野で公知のペプチドが含まれる。例えば、2005年1月14日に Mitchell C. Sandersによって出願された米国特許出願番号第11/036,761号、標題「A Device for Detecting Bacterial Contamination and Method of Use」;米国特許出願番号第10/502,882号(これは2003年1月31日出願の国際特許出願番号第PCT/US03/03172号の米国の国内段階である);および2004年11月3日出願の国際特許出願番号第PCT/US2004/036469号は、そのようなペプチドについて記述しており、それらの教示は参照によりその全体が本明細書に組み入られる。
【0079】
適切なペプチドの例は、下記を含むまたは下記からなるペプチドを含む:配列PFINETYAKFC (本明細書中ではSEQ ID NO: 1と呼ぶ)、配列ITTTSSKHEHC (本明細書中ではSEQ ID NO: 2と呼ぶ)、配列KPKAFXXX (本明細書中ではSEQ ID NO: 3と呼ぶ)、配列VPGDPEAAEARRGQC (本明細書中ではSEQ ID NO: 4と呼ぶ)、配列KPKAFLKGRR (本明細書中ではSEQ ID NO: 5と呼ぶ)、配列KPKAFLKVGN (本明細書中ではSEQ ID NO: 6と呼ぶ)、配列LYPILKKNQK (本明細書中ではSEQ ID NO: 7と呼ぶ)、配列KPSIKPTPPY (本明細書中ではSEQ ID NO: 8と呼ぶ)、配列QKTTIKKLKH (本明細書中ではSEQ ID NO: 9と呼ぶ)、配列TPIQIHTILH (本明細書中ではSEQ ID NO: 10と呼ぶ)、配列INLSKKQIYP (本明細書中ではSEQ ID NO: 11と呼ぶ)、配列LYPSQNPVIK (本明細書中ではSEQ ID NO: 12と呼ぶ)、および配列NITKKSTKII (本明細書中ではSEQ ID NO: 13と呼ぶ)、および配列NNPLPKIQKN (本明細書中ではSEQ ID NO: 14と呼ぶ)、および配列KNPKLQDHYI (本明細書中ではSEQ ID NO: 15と呼ぶ)、および配列QINKALKQPK (本明細書中ではSEQ ID NO: 16と呼ぶ)、および配列QIPKSLHPIT (本明細書中ではSEQ ID NO: 17と呼ぶ)、および配列LHNYVLLRNIL (本明細書中ではSEQ ID NO: 18と呼ぶ)、および配列SKQQDIIKKY (本明細書中ではSEQ ID NO: 19と呼ぶ)、および配列NKTNKTKHAY (本明細書中ではSEQ ID NO: 20と呼ぶ)、配列QRTTIRRLRH (本明細書中ではSEQ ID NO: 21と呼ぶ)、配列

(本明細書中ではSEQ ID NO: 22と呼ぶ)および/または、例えば一つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む修飾ペプチド、ならびに下記を組み入れるまたは下記を含むペプチド:SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 5、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 7、SEQ ED NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 18、SEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 20、SEQ ID NO: 21および/またはSEQ ID NO: 22あるいは本明細書に記載の修飾ペプチド。これらの配列について、配列にシステインなどのアミノ酸基を加えて、レポーターとして用いられる色素または酵素を接着することができる。
【0080】
本明細書に記述されるそのような基質は、Sigma-Aldrich Corp. (St. Louis, MO)、Molecular Probes (Eugene, OR)、New England Peptide (Gardner, MA)などの市販元から得ることができるか、あるいは当業者に既知の方法を用いて生成する(例えば、単離するか、精製するか、または合成する)ことができる
【0081】
いくつかの態様では、ペプチドは、当技術分野で公知のように、例えば、高特異性条件下で、本明細書に記述したアミノ酸配列の相補体に、ハイブリダイズする。(例えば、Ausubel, F.M. et al. "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley & Sons, vol.1 (1998)参照)。
【0082】
いくつかの態様では、ペプチド鎖のアミノ酸の一つに追加の側鎖基が接着される。例えば、本発明の基質は、ペプチド鎖上のセリン酸の一つまたは複数に結合されたベンジルエーテル保護基を含むことができる。保護基は、アミノ酸を、比色成分との反応から保護するために用いられる化学基である。保護基の使用は、一つのペプチド中の同じ型のアミノ酸を二つの比色成分でラベルすることを可能にする。例えば、ペプチド中の一つのセリン基をベンジルエーテル基で保護することができ、別の保護されていないセリンを一つの比色成分と反応させることができる。保護基を除去することができて、第2のセリンを異なる色彩成分と反応させることができ、それによって、二つの異なる色彩成分を有する基質を作製する。
【0083】
本発明のペプチドはまた、本明細書に記述するペプチドの断片および配列変異体を包含する。変異体には、生物体中の同じ遺伝子座によってコードされる実質的に相同のペプチド、即ち対立遺伝子変異体、ならびに他の変異体が含まれる。変異体はまた、生物体中の他の遺伝座に由来するペプチドを包含する。変異体にはまた、これらのペプチドに実質的に相同かまたは同一であるが別の生物体に由来するペプチド、および/または化学合成によって生成されるか、または組換え法によって生成されるdおよびl異性体(即ちオーソログ)が含まれる。
【0084】
いくつかの態様では、タンパク質との相互作用によって修飾を受けるペプチドは、本明細書に列挙した配列の一つ、あるいは本明細書に記述した配列比較プログラムおよびパラメーターを用いて決定して、本明細書に列挙した配列の一つと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有する配列などのアミノ酸配列を含む。
【0085】
最適の比較目的のために配列をアラインメントすることにより(例えば、第1の配列にギャップを導入することができる)、二つのアミノ酸配列の同一性のパーセントを決定することができる。次に、対応する位置にあるアミノ酸を比較する。二つの配列間の同一性のパーセントは、配列間で共有される同一位置の数の関数である(即ち、同一性%=同一である位置の数/位置の総数×100)。ある態様では、比較目的のためにアラインメントされるアミノ酸配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、そしてさらに好ましくは少なくとも70%、80%、90%、または100%である。二つの配列の実際の比較を周知の方法によって、例えば数学的アルゴリズムを用いて、遂行することができる。そのような数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例が、Karlin et al., 90 PROC. NAT'L ACAD. SCI. USA 5873-77 (1993)に述べられており、それは参照により本明細書に組み入れられる。そのようなアルゴリズムを、Schaffer et al., 29 NUCLEIC ACIDS RES.2994-3005 (2001) (それは参照により本明細書に組み入れられる)によって記述されているように、BLASTプログラム(バージョン2.2)に組み入れる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合は、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを用いることができる。一つの態様では、検索したデータベースは非冗長データベースであり、また配列比較用パラメーターを次のように設定することができる:フィルターなし;期待値10;ワードサイズ3;マトリックスはBLOSUM62;およびギャップコストは存在(Existence)11および延長(Extension)1である。
【0086】
別の態様では、二つのアミノ酸配列間の同一性のパーセントを、GCGソフトウェア・パッケージ(2001年8月31日の時点で、Accelrys, Inc. San Diego, CA、http://www.accelrys.comから購入可能)中のGAPプログラムを用い、Blossum 63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかを用いて、12、10、8、6、または4のギャップ重み、および2、3、または4の長さ重みを付けて、決定することができる。さらに別の態様では、二つの核酸配列間の同一性のパーセントを、50のギャップ重みおよび3の長さ重みを用いて、決定することができる。他の好ましい配列比較法について本明細書に記述する。
【0087】
本発明はまた、より低い程度の同一性を有するが、しかし本発明の核酸分子がコードするペプチドによって行なわれるのと同じ機能の一つまたは複数を遂行する(例えば、微生物または哺乳動物によって生成されるタンパク質などのタンパク質の基質として働く能力)のに十分な類似性を有するペプチドを包含する。類似性は、保存的アミノ酸置換によって決定される。そのような置換は、ペプチド中の所与のアミノ酸を、類似の特徴を持つ別のアミノ酸によって置換するものである。保存的置換は表現型としてサイレントである可能性が高い。典型的に保存的置換と見なされるのは、脂肪族アミノ酸:Ala、Val、Leu、およびIleの間の相互置換;水酸基残基SerとThrの相互交換;酸性残基AspとGluの交換;アミド残基AsnとGln間の置換;塩基性残基LysとArgの交換;および芳香族残基PheとTyrの間の置換である。どのアミノ酸変更が表現型でサイレントである可能性が高いかに関する指針は、Bowie et al., SCIENCE 247:1306-10 (1990)に見出され、それは参照により本明細書に組込まれる。
【0088】
機能的変異体はまた、機能が不変または些細な変化となる類似のアミノ酸置換を含むことができる。または、そのような置換は、ある程度、正または負の影響を機能に与える可能性がある。非機能的変異体は、典型的に、一つまたは複数の非保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、逆位、または短縮、あるいは重大な残基もしくは重大な領域の置換、挿入、逆位、または欠失を含む。
【0089】
本発明のペプチド中の、基質の修飾にとって不可欠なアミノ酸を、部位特異的変異誘発またはアラニン走査突然変異生成(Cunningham et al., 244 SCIENCE 1081-85 (1989)、それは参照により本明細書に組込まれる)などの、当技術分野で公知の方法によって同定することができる。後者の手法は、分子中の各残基に単一のアラニン突然変異を導入する(一つの分子当たり一つの突然変異)。
【0090】
本発明はまた、様々な前述のペプチド、またはその機能的な変異体のアミノ酸配列のペプチド断片を含む。例えば、断片を、配列QKTTIKKLKH (H2) (SEQ ID NO: 9)を含むポリペプチドから導出することができる。有用な断片には、タンパク質(例えば、微生物によって生成されたタンパク質)用の基質として働く能力を保持している断片が含まれる。
【0091】
断片は孤立している(他のアミノ酸またはペプチドと融合されていない)場合も、またはより大きなペプチドの中に有る場合もある。さらに、いくつかの断片が、単一のより大きなペプチド内に含まれてもよい。一つの態様では、宿主中で発現させるために設計された断片が、ペプチド断片のアミノ末端に融合された非相同のプレペプチドおよびプロペプチド領域、および断片のカルボキシル末端に融合された追加領域を有する場合がある。
【0092】
基質のペプチドを、標準の組換えタンパク質技術を用いて作製することができる(例えば Ausubel, F.M. et al. "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley & Sons, (1998)参照)。その全ての教示は参照により本明細書に組み入れられる)。さらに、本発明のタンパク質をまた、組換え技術を用いて生成することができる。所望の場合は、検出するべきタンパク質および基質を充分供給してテストすることにより、修飾の正確な部位を決定することができ、またそのタンパク質に対してより特異的な基質を定めることができる。雌哺乳動物中の病状を評価するために、この基質を用いて関心対象の微生物の存在を分析することができる。
【0093】
ペプチドを合成し、特定の微生物に対するペプチドの感度および特異性の両方の測定を可能にする酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)またはフェニルオキシダーゼ(PO)など)または単純な色素分子(例えば青色1号)とコンジュゲートさせることができる。レポーター色素の選択によって、診断分析の速度が規定される。例えば、HRPへのコンジュゲーションに、次の3工程のプロセスを用いることができる:1) リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)中でHRPをスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(SMCC)でラベルして、マレイミド型を生成する工程;2) 5mM EDTAを含むリン酸緩衝液中で、HRPマレイミドをペプチドへコンジュゲートさせる工程;および3) HRPペプチドをマイクロビーズにカップルさせる工程。HRPペプチドのマイクロビーズへのカップリングを、MES緩衝液中で、架橋剤EDC (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)を用いて行なうことができる。EDCは、ビーズ上のカルボキシル基をペプチドのアミノ末端へコンジュゲートさせる。遅く反応する食品用色素の場合には、マレイミドを有する青色1号を合成して、ペプチドのC末端のシステインに直接コンジュゲートすることができる。
【0094】
いくつかの態様では、基質の修飾は少なくとも基質の一部を切断することを含み、その一部は、比色成分の一つを含み、切断は可視の色彩変化をもたらす。例えば、基質が青色および黄色の比色成分の両方を含む場合、切断されていない基質は緑に見える可能性がある。タンパク質が黄色比色成分を含む基質部分を切断した後は、切断された部分は、切断されない部分のすぐ近辺から取り除かれて、切断されていない部分は青色に見えるようになる。可視の色彩変化は、試料中の微生物の存在を示し、一方で色彩変化の非存在は、微生物の非存在を示す。
【0095】
図5は、本発明の一つの態様の模式図を示す。修飾されていない基質は、ペプチド、黄色比色成分および青色比色成分を含む。修飾されていない基質は緑の色調を有する。プロテアーゼによる修飾の後、黄色比色成分を含むペプチドの一部が切断され、基質に青色比色成分のみを残す。したがって、基質の修飾は、緑から青への色彩変化の形の信号を生成する。
【0096】
いくつかの態様では、基質の修飾は、ペプチドの一つのペプチド結合を切断することを含む。他の態様では、基質の修飾は、可視の色彩変化をもたらす、ペプチドからの少なくとも一つの比色化合物の切断を含む。さらなる態様では、基質の修飾は、ペプチド中の少なくとも一つのペプチド結合を加水分解することを含み、少なくとも基質から切断されたペプチドの一部をもたらす。切断された部分は比色成分の少なくとも一つを含み、可視の色彩変化をもたらす。
【0097】
基質の切断部分を切断されていない部分のすぐ近辺から除去するために採用される正確な機構は、変更することができる。例えば、切断された部分は、拡散、吸収、吸着し、および/または周辺環境(例えばパッド)へ移動することができ、あるいは液体によって洗い去られることができる。
【0098】
これらのペプチドに基づいたセンサー用装置の態様には、ポイントオブケア装置および自己診断装置が含まれる。
【0099】
比色成分
基質を少なくとも一つの比色成分でラベルすることができる。本明細書に用いられる用語「比色成分」には、可視色素、例えば発色性、蛍光性または冷光性色素、あるいは酵素が含まれ、それは、例えば、基質、タンパク質、またはペプチドに接着することができる。
【0100】
いくつかの態様では、基質を、少なくとも二つの比色成分(例えば少なくとも2、3、4、5、7、10、15、またはそれより多くの比色成分)でラベルする。基質が修飾されると(例えば、基質からのペプチドおよび/または一つまたは複数の比色成分の切断)、比色成分は信号(例えば色彩の目視できる変化)を生成する。このようにして、比色成分は、修飾の存在または非存在を示すためのラベルまたはタグとして働く。いくつかの態様では、信号は色彩の目視できる変化である。他の態様では、信号は、光スペクルの可視帯(例えば、約700nm〜約400nm)で検出できる色彩変化である。基質に多数の比色成分を接着させることによって、よりよく目視できる色または色彩変化を生成することができる。さらなる態様では、基質を少なくとも二つの異なる比色成分でラベルする。そのような態様では、二つまたはそれ以上の異なる色彩または色調の変化が生成され得る。
【0101】
色素
多くの型の色素、例えば反応性色素および繊維反応性色素(本明細書では単に「反応性色素」と呼ぶ)が、市販されており(例えばDyStar Textilfarben GmbH & Co. Deutschland KG, Frankfurt, Germanyなどの染料メーカー、およびSigma Aldrich, Acros, Molecular ProbesおよびICNなどの化学会社から)、比色成分としての使用に適する。反応性色素は、例えば比色用または蛍光性であり得る。検出方法、用途、または製品のために選ばれる色素の型または具体的な種は、色素の特性(例えばモル吸光係数)およびそれを用いることになる環境に依存する。比色成分は、低毒性を有する色素(例えば食品用色素)であり得る。
【0102】
反応性色素は、例えば色素と、タンパク質、ペプチド、基質、比色成分、固体支持体またはコレクターとの間に共有結合を形成することができる一つまたは二つの反応性基を含む、着色化合物である。すべての反応性色素のおよそ80%はアゾ発色団に基づく。しかし、細菌は長時間かけて(例えば24時間)アゾ染料を脱色することができることがあり、したがって、非アゾ染料が好ましい。繊維反応性色素は、繊維と共有結合を形成することができる反応基を有する着色化合物である。これらの色素は、歴史上繊維工業で用いられてきた。他の適当な色素の例には、米国食品薬品局(U.S. Food and Drug Administration)によって食品、薬物、化粧品、または医療装置(例えばコンタクトレンズまたは縫合糸)に使用するために承認されている色素(例えば青色1号(エリオグラウシン(Erioglaucine))、リアクティブブラック5、リアクティブブルー21、リアクティブオレンジ78、リアクティブイエロー15、リアクティブブルー19、リアクティブブルー4、リアクティブレッド11、リアクティブイエロー86、リアクティブブルー163およびリアクティブレッド180);モノ-およびジ-ハロゲントリアジン色素(例えばモノ-およびジ-フルオロトリアジン色素;モノ-およびジ-クロロトリアジン色素;モノ-(m'-カルボキシピリジニウム)トリアジン;リアクティブブルー4;リアクティブイエロー86;PROCION (登録商標)系統の色素、BASFから購入できる染料および色素;およびCiba-Geigyから購入できるCIBACRON (商標)系統コールタール色素);2,4,5トリハロゲノピリミニジン;2,3 ジハロキノキサリン; N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ-NHS)エステル官能性色素;N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)官能性色素;ビニルスルホン色素(例えば、DyStar Textilfarben GmbH & Co. Deutschland KGによって製造されるREMAZOL(登録商標)ブルーなどのREMAZOL (登録商標)系統のコールタール色素;およびリアクティブブラック 5);および塩化スルホニル色素(例えばリサミンローダミン、および塩化ダブシル);テトラフルオロフェニルエステル官能性色素;イソチオシアネート官能性色素;およびヨードアセチル官能性色素)が含まれる。本発明はまた、本明細書に列挙した色素と構造上等価な色素を包含する。
【0103】
エリオグラウシン(Erioglaucine)(FD&Cブルー1、アシッドブルー 9 (Acid Blue 9)、ブリリアントブルーFCF、即ちN-エチルN-[4-[[4-[エチル[(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル] (2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホ-、分子内塩、ジナトリウム塩、CAS番号[3844-45-9]、としても知られる)の構造は次のとおりである:

この色素の塩化スルホニル型を、当業者に公知の方法によって調製できる。エリオグラウシンの塩化スルホニルの二つの可能な異性体の化学構造は次のとおりである:

これらの色素の名称は、N-エチル-N-[4-[[4-[エチル[(3-(クロロスルホニル)フェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホ、分子内塩、ナトリウム塩、およびN-エチル-N-[4-[[4-[エチル[(3-(スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-クロロスルホニル)フェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホ-、分子内塩、ナトリウム塩である
【0104】
塩化スルホニルは、リジン基またはペプチドおよびタンパク質のN末端などに見られる第一級アミン基と優先的に反応することが公知である。したがって、上に示された色素を使ってペプチドを直接ラベルしてもよい。または、当業者に公知の方法によって、エリオグラウシンの塩化スルホニル型をさらに化学的に修飾して、NHSエステル、ヨードスクシンイミド、イソチオシアネート、マレイミド、または他の反応基などの官能基を与えてもよい。他の色素のそのような化学的修飾の例が、米国特許第5,393,514号、米国特許第5,846,737号および米国特許第5,798,276号に挙げられており、それらの教示全体はすべて参照により本明細書に組み入れられる。
【0105】
繊維反応性色素は、塩素またはフッ素の脱離基化学に基づいており、クロロ-またはフルオロ-トリアジン色素として知られる。反応性色素は、様々な温度領域下で、非常に低い反応性のものから高い反応性のもの(CIBRACRON (商標) F、およびPROCION (登録商標) MXなど)までの範囲に及ぶ。反応性基はトリアジン環(三個の窒素を有し六辺を有する環)である。その反応は求核性の二分子置換機構であると考えられる。それは、基質の求核性官能基の、色素の反応基の求電子中心への特異的な塩基触媒付加である。リアクティブブルー4およびリアクティブイエロー86は次の構造を有する:

トリアジン色素リアクティブブルー4の水中のUV/可視スペクトルを図1に示し、トリアジン色素リアクティブイエロー86のスペクトルを図2に示す。
【0106】
ビニルスルホン色素は求核付加機構によって反応し、その際、付加過程の前に脱離過程が頻繁に起こり、ビニル中間体の形成をもたらす。典型的には、核脱離基の塩基触媒脱離があり、その後に基質の求核性官能基の塩基触媒付加が続く。REMAZOL (登録商標)色素は反応基:-SO2-CH2-CH2-OSO3Naを利用するビニルスルホン色素の例である。リアクティブブルー19およびリアクティブブラック5は次の構造を有する:

REMAZOL(登録商標)ブリリアントブルーRの水中のUV/可視スペクトルを図3に示し、REMAZOL(登録商標)ブラックBビニルスルホンのスペクトルを図4に示す。
【0107】
塩化スルホニルは反応性スルホン酸誘導体である。塩化スルホニル化合物の第一級アミン含有分子との反応は、塩素の喪失およびスルホンアミド結合の形成を伴って進行する。塩化スルホニル色素、リサミンローダミンB塩化スルホニル(即ちキサンチリウム、9-[4-(クロロスルホニル)-2-スルホフェニル]-3,6-ビス(ジエチルアミノ)-、分子内塩、Molecular Probes, Inc., Eugene, Oregonから購入可能、CAS番号/名称:62796-29-6)の構造は以下の通りである:

【0108】
N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ-NHS)エステル官能性色素は、水溶性であり、第一級アミン含有分子と反応して、スルホ-NHS基の喪失と共にアミド結合を形成する。N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)官能性色素もまた、アミン基に反応性である。NHSエステルで官能化された色素、BODIPY (登録商標) FL、SSE (即ち4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ホウ素-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸、スルホスクシンイミジルエステル、ナトリウム塩;Molecular Probes, Eugene, Oregonより購入可能)の構造は以下の通りである:

【0109】
比色成分を、Academic Press, San Diego, CA から購入できるBIOCONJUGATE TECHNIQUES (1996) (それらの教示は参照により全体として本明細書に組み入れられる)中にGreg Hermansonによって述べられている方法などの当技術分野で公知の方法により、基質に接着させる。いくつかの態様では、比色成分を、共有結合でペプチドに接着させる。例えば、第1の比色成分を接着させる間は(例えばセリン基に接着させるトリアジン色素またはシステイン基に接着させるビニルスルホン色素)、保護基を用いて、ペプチド鎖上の接着部位の一つをブロックすることができる。第1の比色成分が接着された後、第2の比色成分を接着させるために保護基を除去する。TRITON (登録商標)-X100などの界面活性剤を用いて、比色成分のペプチド鎖への接着を促進し、および/または溶解度を改善することができる
【0110】
比色成分により基質がラベルされる程度は変化すると考えられ、例えば基質が用いられる用途の要求、製造要件および本発明の実施者の要望などの、多くの因子に依存し得る。基質をラベルするレベルまたは量を記述する一つの方法は、「色素対基質比」で表すことを含む。本明細書で用いる用語「色素対基質比」とは、色素のモル濃度の基質のモル濃度に対するモル比であり、基質をラベルするレベル、ならびにラベル反応の効率を特徴付ける手段である。例えば、1.0の色素対基質比は、平均で、各基質を一つの比色成分でラベルすることを示すことになろう。低い色素対基質比率は、基質の不完全なラベル(即ち多くのペプチドが色素を接着していない)を示すことができる。いくつかの態様では、色素対基質比の範囲は、ペプチド上の、比色成分でラベルされるべきアミノ酸の数に依存する。例えば、二つの部位をラベルする場合は、完全なラベル反応は約2の色素対基質比を与えることになろう。適当な色素対基質比は、正確な用途に依存する。例えば、色素対基質比は、信号の鮮明度、固体支持体への基質の接着、および、例えば生物センサーに対する他の局面(それは本発明の実施者の必要に応じて変更することができる)に影響を与える可能性がある。
【0111】
適当な色素対基質比を、実験作業を通じて決定することができる。例えば、基質のペプチドを合成して、比色成分を接着させる標的に適する余分のアミノ酸基を加えるかまたは除くことができる。このようにして、色素対基質比率を変更することができ、また、その結果生ずる基質をテストして、如何なる比率が所与の用途で許容できる結果を生むかを決めることができる。例えば、基質のペプチドが一端に、ビニルスルホン色素の良い標的である二つのシステイン基を含む場合は、これにより各ペプチド上に二つの比色成分を接着することが可能になる。第2の比色成分を加えることによって、基質によって生成される結果の信号は、基質に一つの比色成分のみを接着した場合よりも鮮明になる(即ちより大きな色彩強度および/またはよりシャープなコントラストを有する)。このより鮮明な色彩は、所与の用途により好都合であろう。例えば、紺色の色素は、固体支持体上で容易に見ることができるが、黄色の色素は、色彩の望ましいレベルを生成するためには、一つのペプチド当たりより多くの色素が必要であるかもしれない。しかし、ペプチドの一つの端にあまりにも多くの色素があると、固体支持体にペプチドを接着させる場合に、または時点で、立体障害が形成される可能性がある。各基質および/または用途に対して、最適の色素対基質の比率または比率の範囲が存在する可能性がある。許容される結果には、基質の迅速な加水分解および/または高められた溶解度が含まる。
【0112】
一つの態様では、強固な色彩を有するセンサー診断器具を作製するために、P4紙上でPAPAペプチドを合成し、ローダミン色素にコンジュゲートさせることができる。
【0113】
酵素
いくつかの態様では、酵素が比色成分である。本明細書で用いるレポーター酵素は、加水分解されると検出可能な信号(例えば可視の色彩変化)を与える触媒過程の活性化をもたらす、ペプチドとコンジュゲートされた任意の酵素である。そのような酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、フェノールオキシダーゼ(例えばラッカーゼ、CotA)、アルカリホスファターゼ(AP)、およびガラクトシダーゼなどの本明細書に記述された酵素が含まれるが、しかしそれらに限られない(例えば、国際出願公報第PCT/US2004/028675号 (WO2005/021780);標題「Signal Amplification Using A Synthetic Zymogen」(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)も参照)。
【0114】
固体支持体
いくつかの態様では、基質は固体支持体に接着されるかまたはカップルされる(例えば、貼り付けられ、結合され、取り込まれ、密接して置かれる)。固体支持体は、体液を吸収する材料の少なくとも一つの吸収性層、および体液の漏出を防止する少なくとも一つの非吸収性層を有することができる。一つの態様では、体液は尿液であり得る。別の態様では、その上で/中でタンパク質の存在または非存在を検出することができる有力な(身体の)試料には、体液(例えば膣液、尿;一本の毛;一片の組織(例えば医学的組織試料))が含まれる。適当な固体支持体の例には、ビーズ、女性用ナプキン、無菌であるかまたは微生物汚染があってはならない任意の材料、試料を含むまたは集める物品(例えば集尿袋、血液収集バッグ、血漿収集バッグ、試験管、体液収集チューブ、試験管、カテーテル、スワブ、スワブ担体、ディップスティック、またはマイクロプレートのウエル)、ポリマー、メンブレン、樹脂、ガラス、スポンジ、固いプローブまたはキャピラリー、ポイントオブケアルーラー、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、拭取り紙、縫合糸、スペキュラ、およびバッグが含まれる。適当な固体支持体の他の例には、おむつ、パッド、女性用ナプキンおよび/またはタンポンを含む女性衛生製品および消費製品が含まれる。
【0115】
本発明のいくつかの態様では、固体支持体を滅菌に適する材料から作製する。固体支持体を滅菌する適当な方法の例には、γ線照射処理、エチレンオキシド処理およびオートクレーブ滅菌が含まれる。いくつかの態様では、固体支持体は比色成分を含み、および/または、固体支持体は着色された材料で作られる。
【0116】
好ましい態様では、固体支持体は、患者、あるいは医療患者からの体組織または液体試料と接触する医用製品である。いくつかの態様では例えば、固体支持体は、液体試料(例えば尿または膣液などの体液)への接近が可能な試料ポートを有する医療装置または製品(例えばスペキュラ)、装置または製品へ液体を引き入れる吸上剤、検出が行なわれる分析チャンバ、および実施者が微生物の存在を示す信号を観察する目視ポートである。そのような固体支持体は、医療従事者が、液体内の任意の感染性または病原性微生物の存在を定量し認定するために用いることができる、診断用またはポイントオブケア(POC)装置を提供する。例えば、そのような態様を用いて、液体が、例えば病原体1ml当たり105 CFUの病原体(またはそれより多い)の、危険な感染レベルを有するかどうかを判断することができるであろう。
【0117】
例えば、検査室の試料採集容器内での、センサーの青色は、検査室の試料容器中に一つまたは複数の特異的な型の微生物が存在することを示すことができる。同様に、スワブ試料容器内にセンサーを置いて、容器に入れられた試料中の微生物の存在を示すことができる。
【0118】
いくつかの態様では、病原体に対する特異的なマーカーを含むセンサーを、スワブ(例えば綿、ポリウレタンまたはポリエステルのスワブ)、医療装置(例えばスペキュラ)または採取装置の後側に置かれるつばへ結び付ける。本明細書で用いられる採取装置は、ヒト(例えば患者)から試料(液体または組織試料など)を得るために用いられる任意の装置である。そのような装置の一つの例は、キャピラリー管である。スワブは、軸の外側に沿って試料の液体を引き上げる。次に、液体はスワブの上端からつばのセンサーへと通過し、関心対象の微生物タンパク質が液体中に存在する場合は、センサーは信号(例えば色彩変化)を生成し、それによって実施者が雌哺乳動物中の病状を評価することが可能になる。単純な色素でラベルされたペプチドの場合には、自由に拡散する色を、強い親和性で色素脱離基を優先的に結合するメンブレンへ集める。酵素前駆体-ペプチド・コンジュゲートの場合には、ペプチドの加水分解が、酵素前駆体の活性化、または明確に目視できる領域へ酵素前駆体の移動のいずれかをもたらし、それによって、色彩信号の増幅が行われる。
【0119】
一つの例では、対照の接触スワブは液体試料に曝さず、被験接触スワブは曝した。被験スワブに付けたセンサーは、色彩を変化させて試料中の関心対象の微生物の存在を明らかにし、女性の病状の評価を提供した。
【0120】
別の態様では、センサーが、例えば、雌哺乳動物の陰部領域を清潔にするかまたはそこに適用するために用いることができる、洗浄拭取り紙、スポンジ、タンポン、ナプキン、ライナー、またはパッドに含まれ、微生物の存在を検出し、女性の病状の評価を提供する。洗浄拭取り紙、スポンジ、ナプキン、タンポン、またはパッドは、布地、紙、綿、スポンジ、または不織繊維材料などの吸収性材料を含むことができる。一つの態様では、感染した組織または液体からのタンパク質を検出するために、センサーを、拭取り紙またはスポンジに、一様な被覆を与えるようなパターンで接着させるかあるいは組込む。いくつかの態様では、波形、メッシュ、格子、または点などのパターンで、センサーを材料に印刷する。好ましくは、基質によって生成される信号は、試料液(例えば、膣または尿の)の典型的な色彩から容易に識別することができる。さらなる態様では、洗浄拭取り紙、スポンジ、タンポン、ナプキン、ライナー、またはパッドは、可視信号を生成するために、比色成分を集めるためのコレクターを含む。いくつかの態様では、拭取り紙、スポンジ、タンポン、ナプキン、ライナーまたはパッドを用いて、さらに治療用物質または抗生物質を塗り広げる。
【0121】
さらに別の態様では、センサーを、膣または尿の液体を採取するために用いる円筒状の固いプローブまたはキャピラリーの先端に設置する。プローブは十分に強固であり、膣に挿入し、センサーを含む中空チャンバへ液体を引き上げることができる。いくつかの態様では、プローブは多種のセンサー、一連の特殊センサー、または両方を含む。いくつかの態様では、柔らかいまたは硬い透明な材料(ガラス、シリコン、または他の類似した特性を有する材料など)で中空チャンバを作る。プローブの内部チャンバは毛管作用によって液体を引き上げ、また関心対象の各微生物または病原体に特異的な比色センサーを含むメンブレンフィルターをさらに含む。任意で、プローブまたは毛細管はメンブレンセンサー領域中に試料液体を吸上げるために用いるポリウレタンまたは他の適当な材料を含む吸収性の芯を含む。固い毛細管プローブは、種々の色彩変化を表示する複数のセンサーを含むことができる。
【0122】
別の態様では、センサーを、液体を集めるために女性生殖器にまたはその近くに置かれる、細いストリップ、薄いフィルム、メッシュ、テープ、スペキュラまたは縫合材料に組込む。いくつかの態様では、センサーは、数分以内に関心対象の微生物の存在を検出する信号を生成する。いくつかの態様では、ストリップ、フィルム、メッシュ、スペキュラまたは縫合糸を、非吸収性材料(例えばナイロンまたはポリエチレン繊維)で作製する。他の態様では、吸収性材料(例えばポリウレタン)でそれを作製する。使用する際には、薄いフィルム、メッシュ、縫合糸または他の材料を、検査室へスワブ試料を輸送するために一般に用いられるプラスチックまたはガラスの試験管担体中に置くことができ、それにより治療奉仕者にセンサーシステムを提供し、また病院検査室内の確認用読出しに容器を提供する。
【0123】
いくつかの態様では、ポイントオブケア(POC)センサー装置を、検査室に試料(例えば、スワブまたは液体試料)を移送するために用いることができる採取装置、試料バッグ、ジャーまたは収集チューブに組込むことができる。さらなる態様では、ペプチドを薄いフィルムに埋め込みおよび/または試料ジャーまたはバッグ上に直接染み込ませる。任意で、非イオン性界面活性剤(例えば、HECAMEG(登録商標)、TRITON(登録商標)-X100、またはTWEEN(登録商標))および/または他の試薬(例えばPIPES (pKa=6.76)などの緩衝液、DNAse I、および/または非多孔性ガラスまたは金属ビーズ)を、センサーの最適活性を制御するために、組織試料からのDNAを加水分解して粘着性になり過ぎるのを防ぐために、また穏やかにかき回して組織を柔らかくするために、組織試料を透過性にして関心対象の任意の微生物の検出を促進するために、および/または生検/組織試料の均質性を改善するために、POCセンサーおよび/または試料バッグもしくはジャー中に含む。
【0124】
いくつかの態様では、POC装置は、一度使用したら次にバイオハザード廃棄物に入れる使い捨て物品である。加圧減菌により、装置を破壊し、患者の情報を機密にする。
【0125】
いくつかの態様では、基質を固体支持体に付着し、接着し、カップルしまたは結合する。それらを行う方法は、当技術分野において公知である。例えば、基質は、非共有相互作用によって(例えば疎水的相互作用、親水性相互作用、静電的相互作用、または吸着プロセスを通じて)、または共有結合によって固体支持体に接着することができる。さらなる態様では、基質は疎水性脱離基を含み、非共有結合により固体支持体の疎水性表面へ結合される。他の態様では、親水性または疎水性基質は、表面に、ジスルフィドまたは第一級アミン、チオール基、カルボキシル基、水酸基によって、または架橋剤(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, Illinoisから入手可能なスルホEMCS (N-マレイミドカプロイルオキシスルホスクシンイミドエステル))を用いて、カップルされる。さらに別の態様では、基質は固体支持体に、基質と微生物によって産生されるタンパク質との相互作用に影響しない遊離アミン、カルボン酸、またはチオール基などの非本質的な反応性末端を用いて、カップルされる。遊離アミンを基質上のカルボキシル基に、10倍モル過剰のN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩またはN-シクロヘキシル-N'-2-(4'-メチル-モルホリニウム)エチルカルボジイミド-p-トルエンスルホン酸のいずれかを用いて、例えば約2時間、約4℃で、ペプチド結合を形成する縮合反応を刺激するためにpH約4.5に調節された蒸留水中で、カップルさせることができる。チオール基を、ジチオスレイトールまたはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンによって還元し、次に、N-e-マレイミドカプロン酸により表面上の遊離アミノ基にカップルさせることができる(D.G. Griffith et al., "N-Polymethylenecarboxymaleimides: A new class of probes for membrane sulfhydryl groups," 134 FEBS LETT. 261-63 (1981)参照、それは参照により本明細書に組み入れられる)。別の態様では、ペプチドのアミノ酸と固体支持体間の引力相互作用により、基質が固体支持体に接着される。例えば、連続するヒスチジン残基を有するペプチドを、ニッケル-NTAを含む樹脂(例えばSEPHAROSE (登録商標))へ結合させることができる(例えば、ニッケル-NTA樹脂にそれらを接着させることができる)。さらに別の例では、固体支持体が極性電荷を有し(例えば負に帯電したメンブレン)、また少なくとも基質のある部分が(例えば基質のペプチド鎖の一つまたは複数のペプチドが)その固体支持体上の電荷と反対の極性電荷を有する。これらの反対の電荷は、基質を固体支持体へ接着させる。
【0126】
いくつかの態様では、所望の場合は、固体支持体は、基質にカップルするために複数の誘導体化された結合部位、例えば誘導体化されたプレート(XENOBIND (商標)結合プレート、Xenopore Corp., Hawthorne, New Jerseyから入手可能)上のスクシンイミジルエステルでラベルされた第一級アミン部位を、提供することができる。任意で、例えばウシ血清アルブミンのそれへのカップリングは、固体支持体上の占有されていない反応部位を塞ぐ。
【0127】
いくつかの態様では、ペプチドを支持体に、ペプチド上の任意の点で、接着またはカップルすることができる。一つの態様では、ペプチドを、共有結合によりN末端を介して、ポリスチレン、アクリレート、またはアガロースビーズに繋ぎ止める。レポーター酵素または可視色素を、ペプチドのC末端の終端に特異的にカップルさせることができる。
【0128】
コレクター
いくつかの態様では、コレクターを用いて切断された部分を除去して、信号を検出できるようにする。本明細書に用いる「コレクター」は、基質の切断された部分を誘引する特性を備える固体または表面である。これらの態様では、切断された部分の一つまたは複数は、基質の別の部分および/または固体支持体に対するよりもコレクターに対して高い誘引性または親和性を有し、その結果、切断された部分は、基質から、コレクターの方にまたは基質の切断されてない部分または修飾された基質から遠いある点の方へ、移動、吸収、吸着、および/または拡散する。いくつかの態様では、切断された部分が移動する距離は検出できる信号が生じるために十分である。いくつかの態様では、切断された部分の移動は検出できる信号をもたらす。
【0129】
いくつかの態様では、色素のためのコレクターは、バイオダインB (Pall Life Sciences)、SB6407 (Pall Life Sciences)および正に荷電したPVDF (Millipore)を含む、第四級アミンまたはDEAEを充填したメンブレン、支持体、または樹脂を含むことができる。いくつかの態様では、それらのメンブレンは食品用色素の青色1号を集める。PVDFは濡れた場合は透明であるので、底面上の色彩の収集を見ることが可能である。いくつかの色素は陽イオンのメンブレンを好み、またいくつかの色素は陰イオンのメンブレンを好む。例えば、青色1号などのいくつかの色素は、DEAEまたは第四級アミンなどの正の荷電メンブレンに結合する。対照的に、REMAZOLブリリアントブルーなどのいくつかの色素は、ICE (Pall Life Sciences)などの負の荷電メンブレンに結合する。
【0130】
いくつかの態様では、イオンメンブレン樹脂または支持体を用いて、色彩を優先的に集めることができる。
【0131】
いくつかの態様では、基質の切断部分をコレクター上に捕獲することができる。さらなる態様では、切断部分を着色されたコレクター上に捕獲する。よりさらなる態様では、基質の修飾は、着色されたコレクターの表面上に捕獲された切断部分をもたらし、それによって固体支持体の色彩変化を生成するかまたは表示する。すなわち、いったん基質の切断部分が放出されれば、それを、一つまたは複数の力(例えば静電荷または磁荷、疎水的相互作用、あるいは化学結合によって引き起こされた力)がコレクターに誘引する。別の態様では、コレクターは、切断された部分に基質から十分な距離を移動させて、固体支持体の色を検出可能にする。
【0132】
非限定的な例として、基質は第1の比色成分(例えば、ペプチドに接着した黄色の比色成分)を含むことができる。修飾には、第1の切断されたペプチド部分が第1の比色成分を含み、第2の切断されたペプチド部分は比色成分を含まないように、基質を切断することが含まれ得る。第1の切断されたペプチド部分をコレクターの方へ誘引することができ、その結果、コレクターの可視の色彩変化をもたらす(例えば、コレクターはより黄色に見えることが可能である)。基質を最初は固体支持体に接着させた場合には、固体支持体と基質の非切断部分との組合せが色彩変化を示す場合がある(例えば、それほど黄色でないように見えるかまたは無色になる)。
【0133】
別の非限定的な例では、第1および第2の切断部分は、液体中に存在することができ、比色成分(例えば黄色)を含む第1の部分のコレクターへの移動が、色彩変化(例えば、それほど黄色でないように見えるかまたは無色になる)を示す液体をもたらすことが可能である。
【0134】
さらに別の非限定的な例では、未修飾の基質は、少なくとも二つの比色成分(例えば黄色および青色の比色成分)を含むことができ、修飾は、黄色比色成分を含む第1の切断部分、および青色比色成分を含む第2の部分をもたらすことができる。第1の比色成分の大幅な移動に先立って、第1と第2の比色成分がごく近接していることは、緑の外観を与えることができる。第1の部分がコレクターの方へ移動するとともに、個々の色彩がより明らかになる。例えば、第2の部分が固体支持体に接着している場合は、固体支持体と第2の部分との組合せは、第1の部分がコレクターの方へ、固体支持体および第2の部分から遠ざかって移動するにつれて、色彩を変化させることができる(例えばより青い色調になる)。例えば、もし元の基質が液体に含まれていれば、液体は修飾直後は緑に見え続けるであろう。しかし、第1の切断部分がコレクターの方へ移動するとともに、液体と第2の切断部分との残りの組合せは色彩を変化させることができる(例えば、より青い色調になる)。任意でまたは追加して、基質の修飾は、色彩変化を生み出すコレクターをもたらす(例えば、黄色の第1の切断部分がコレクターの表面上に集まるにつれて、コレクターはより黄色の色彩を示す)ことができる。
【0135】
いくつかの態様では、修飾は所定のパターンの可視の色彩変化をもたらす。例えば修飾は、形状(例えば、記号、文字、数、バーコード、コードまたは単語)の出現、消失、および/または色彩変化をもたらすことができる。例えば基質をあるパターン(例えば、星、十字形、またはプラス記号)で固体支持体上に接着させることにより、これを遂行することができる。例えば、固体支持体材料は青色であり、また黄色の比色成分を有する基質を、固体支持体上に星の形に配列することができる。修飾の前には、固体支持体は、緑の星(基質の黄色の色調と固体支持体の青い色調の混合によって生ずる星の緑の色調を備える)を有する青い背景を持つように見える。修飾は、基質からの黄色の比色成分の切断をもたらし、それは緑の星の退色によって表示され、固体支持体を青く見えるようにする。別の態様では、切断部分がコレクターの所定の部域へ誘引されるような方式で収集されるコレクターを用いる。例えば、基質は黄色の比色成分を含み、またコレクターは青色の材料を含むことができる。基質の修飾により、黄色の比色成分がコレクター上に十字形などの所定の形状に集まる。このようにして、基質の修飾は、緑の外観(コレクターの青色の色調および比色成分の黄色の組合せによる)を有する十字形の出現によって明らかにされる。さらに別の態様では、基質の修飾は、固体支持体上およびコレクター上の両方の、一つまたは複数の所定の形状の色彩の出現、消失、および/または目視できる変化をもたらす。任意で、多くの異なる型の基質、コレクター表面、および固体支持体表面を用いて、複数の修飾および/または微生物を検出することができる。当業者には明かであるように、本発明は、一つまたは複数のコレクターおよび/または固体支持体上の一つを超える形状、形状の組合せ、および色の変化の使用を包含する。
【0136】
本明細書に記述した例は、いかなる制限も意味せず、固体支持体、比色成分の型、数、色または色調、ならびに移動を引き起こす誘引性のおよび/または反発性のコレクターの間の他の組合せもまた、本発明に包含される。
【0137】
一つの態様では、本発明には、以下の工程を含む、未修飾の基質が少なくとも一つの比色成分を有するペプチドを含む、基質の修飾を検出する方法が含まれる:a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、試料に基質を曝す工程(基質の修飾は少なくともペプチドの少なくとも一つの比色成分を含む一部を切断する工程を含み、切断された部分はコレクターへ移動し、その移動は目視できる色彩変化をもたらす);および、b) 目視できる色彩変化の存在または非存在を検出する工程(目視できる色彩変化は基質の修飾を示し、目視できる色彩変化の非存在は基質の修飾の非存在を示す)。
【0138】
図6は、本発明の金属キレート化の態様の模式図を示す。比色成分(この場合は色素)は、ニッケル-NTA樹脂の固体支持体に接着されたペプチドに含まれる。プロテアーゼがペプチドの一部を切断し、切断された部分は元の表面よりもメンブレンコレクターに対して大きな親和性を有する。色素がコレクターの方へ移動するとともに、残りのペプチドおよび固体支持体は目視できる色彩変化を生成する。任意で、色素がコレクターの方へまたはその上に移動するとともに、コレクターは信号を生成する。例えば、米国特許仮出願第60/771,107号、"Ultra-Sensitive Biosensors and Methods of Use Thereof,", Sanders, M. et al.参照。
【0139】
図7は、比色成分を含む基質に荷電メンブレンをカップルさせる、本発明の態様を示す。プロテアーゼがペプチドの一部を切断し、切断された部分は、元の表面よりもメンブレンコレクターに対して大きな親和性を有する。色素がコレクターの方へ移動するとともに、残りの基質および固体支持体は目視できる色彩変化を生成する。任意で、コレクターは、色素がその方へ移動するとともに、信号を生成する。
【0140】
コレクターを、基質の切断部分の移動を促進する任意の適当な材料で作製することができる。例えば、コレクターは、メンブレン、樹脂、ポリマー、フィルム、ガラス、またはキレート材料を含むことができる。いくつかの態様では、コレクターは、タンポン、女性用パッド、女性用ナプキン、おむつ、スペキュラ、拭取り紙、無菌でなければならないまたは微生物汚染のない任意の材料、試料を含むまたは収集する物品(例えば雌哺乳動物の身体に挿入される物品、集尿袋、血液収集バッグ、血漿収集バッグ、試験管、体液収集管、ディスク、スコープ、スペキュラ、フィルター、採取装置、試験管、カテーテル、スワブ、スワブ担体、ポリメトリック物品、ディップスティックまたはマイクロプレートのウエル)、滅菌に適する材料から作られるマイクロプレートのウエル、ポリマー、メンブレン、樹脂、ガラス、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、レンズ、発泡体、布、紙、縫合糸、ビーズ、フィルム、キレート材料、吸収性パッドの層、タンポン、またはおむつの層、などの固体表面に接着される。コレクターを滅菌する適当な方法の例にはγ線照射処理が含まれる。いくつかの態様では、コレクターは、比色成分を含むか、または着色された材料で作られている。
【0141】
センサー
他の態様では、本発明には、タンパク質、酵素または微生物の存在または非存在の検出のためのセンサー(例えばバイオセンサー)が含まれ、それによって雌哺乳動物中の病状の評価が可能になる。これらのセンサーは、本明細書に述べる本発明の方法を取り入れることができる。一つの例では、センサーは固体支持体、および固体支持体に結合した少なくとも一つの検出可能にラベルされた基質を含む。一つの態様では、基質は共有結合によって固体支持体へ結合される。別の態様では、基質は、固体支持体と基質の間の、疎水性、親水性、および/または静電的相互作用によって、固体支持体に付着または接着される。さらに別の態様では、基質は、吸着または吸収によって固体支持体に付着または接着される。他の態様では、基質は、ペプチドおよびペプチドに接着された少なくとも二つの比色成分を含む。ペプチドは、関心対象のタンパク質と特異的に相互作用するかまたは反応する。いくつかの態様では、比色成分は共有結合でペプチドに接着される。いくつかの態様では、センサーはEXPRESSDETECT (登録商標)センサーであってよい。
【0142】
いくつかの態様では、センサーは、タンパク質、酵素または微生物と特異的に相互作用するか反応する少なくとも一つの基質、およびペプチドに共有結合で接着された少なくとも二つの比色成分を含む。相互作用または反応により、基質がタンパク質の存在を示す検出可能な信号を生成する。さらなる態様では、センサーは、一つまたは複数(例えば、少なくとも約2、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約50、少なくとも約75、または少なくとも約100)の本明細書に記述したタンパク質を検出し、タンパク質の存在を示す信号(例えば目視できる色彩変化)を生成する。
【0143】
いくつかの態様では、本発明は、第1のタンパク質および第2のタンパク質を含む少なくとも二つのタンパク質の存在の検出のためのセンサーを含む。例えば、本発明のセンサーは、一つまたは複数の生成されたおよび/または分泌されたタンパク質と相互作用することができる一つまたは複数の基質(例えば、少なくとも約2、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約50、少なくとも約75、または少なくとも約100の基質)を含むことができる。一つの例では、センサーは固体支持体、少なくとも一つの検出可能にラベルされた第1の基質および少なくとも一つの検出可能にラベルされた第2の基質を含む。検出可能にラベルされた基質は固体支持体に接着される。第1の基質は、第1のペプチドおよび第1のペプチドに接着された少なくとも二つの比色成分を含む。第1の基質は、特異的に第1のタンパク質と反応する。同様に、第2の基質は第2のペプチドおよび少なくとも二つの比色成分を含み、第2の基質は特異的に第2のタンパク質と反応する。
【0144】
いくつかの態様では、第1および第2の基質に接着された四つの比色成分の、少なくとも三つは類似しない。これらの多色の態様では、センサーは、一つまたは複数の別個のタンパク質および/または微生物の存在を明らかにするために二つまたはそれ以上の別個の可視の色彩変化を受けることができる。例えば、一つの型の基質が、一つの型のタンパク質に反応するように設計され、一方で別の型の基質が異なるタンパク質に反応するように設計されていて、両方の型の基質が固体支持体上に含まれる場合は、複数の色彩変化が複数の異なるタンパク質および/または微生物種の存在を示すように設計することができる。
【0145】
本発明のセンサーを作製する一つの方法は、検出するべき微生物に特有の特異的なタンパク質と相互作用することができる特異的基質を、最初に決定することである。決定した特異的基質を一つまたは複数の比色成分でラベルし、固体支持体に接着させる。もし基質が関心対象の微生物が分泌したか発現した特異的タンパク質と接触すれば、タンパク質は基質を修飾し、そのような修飾が検出される結果となる。例えば、本明細書に記述する修飾は目視できる色彩変化を生成することができる。
【0146】
好ましくは、試料と接触するセンサーの部分は、試料に過度に付着することはなく、センサーを試料から容易に除去できる。例えば、センサーがスペキュラまたはパッドなどの女性用ナプキンを含む場合は、試料は、タンパク質が基質と反応するのに十分な時間、スペキュラ、女性用ナプキンまたはパッドと接触する。
【0147】
本発明を用いて、本明細書に記述した任意の酵素(例えば病原体に特異的な酵素)の存在または非存在を検出することができる。例えば、方法および/またはセンサーを使用して、病原細菌によって分泌されたリパーゼ酵素の存在または非存在を検出することができる。あるバクテリアが、その生存および/または病原性機構の一部として、リパーゼを環境中へ分泌することが発見されている。リパーゼは、栄養素を遊離するために生育環境中の脂質を分解する役割をする。リパーゼは、さらに感染中に哺乳動物の宿主防御機構を解除する役割を果たす可能性がある。これらの分泌された酵素用の合成基質を使用して、それらを分泌する病原細菌の存在を検出することができる。少なくとも一つの合成脂質および二つまたはそれ以上の比色成分を含む基質を用いることによって、分泌されたリパーゼによりそれらが加水分解されるときに色彩を変化させる基質を作製することが可能である。この色彩変化反応は、本明細書に記述した消費製品のような品目(例えば女性用ナプキン)中に組込むことができる微生物センサーの基礎となる。
【0148】
別の実施例では、本発明を用いて、微生物に関連したまたは産生された自己溶解素の存在または非存在を検出することにより、微生物の存在または非存在を検出することができる。自己溶解素は、細菌細胞表層の一成分であるペプチドグリカンを分解する酵素である。自己溶解酵素は、それが親の生物体のものである場合は細胞分裂および代謝回転機能の一部として、または競合する細菌の細胞壁を破損する手段として、ペプチドグリカンを分解する役割をする。二つまたはそれ以上の比色成分でラベルされたときは、合成ペプチドグリカンのサブユニット(非限定的にN-アセチル-β-d-グルコサミニドなど)を含む基質が、センサーの基礎となることができるインジケーターとして働く。
【0149】
別の実施例では、本発明の方法および/またはセンサーを使用して、微生物(例えば細菌)の細胞表面上のβガラクトシダーゼの存在または非存在を検出することができる。大部分の細菌種は、エネルギー源としてのラクトースの代謝に含まれる細胞質酵素として、βガラクトシダーゼを発現する。しかし、連鎖球菌(Streptococcus)のある種は細胞表面上に酵素をディスプレイする。βガラクトシダーゼの基質として働く分子および少なくとも二つの比色成分を含む基質(オルトニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシドを非限定的に含む)は、したがって環境中の微生物(例えば連鎖球菌)を検出する手段として用いることができる。
【0150】
一つの態様では、センサーは医療現場でまたは家庭用に用いられ、微生物およびタンパク質を検出して、雌哺乳動物中の病状を評価するのに適する。
【0151】
いくつかの態様では、本発明はタンパク質、酵素、および/または微生物を検出するためのキットを特徴とする。これらのキットは、本発明の方法およびセンサーを組込んでいる。一つの例では、キットには、試料中のタンパク質の存在または非存在を検出するためのセンサー、および物質を検出するための少なくとも一つの試薬が含まれる。いくつかの態様では、キットはコレクターを含む。
【0152】
分泌されるか微生物の表面上に提示される、少なくとも一つのタンパク質を産生する微生物を検出するための分析を発展させるための方法の一例、およびタンパク質を産生する病原微生物を検出するためにその分析を使用するための方法を、ここで以下に述べる。この方法は決して制限を目的とするものではなく、他の方法が当技術分野において公知である。
【0153】
工程1)
関心対象の微生物を一意的に同定するアミノ酸配列を定義する。または、病原体の特定のグループ(例えば体液特異的な病原体)に特有の(一つまたは複数の)アミノ酸配列を決定することができる。
【0154】
アミノ酸配列、例えば、関心対象の微生物または微生物のグループ(例えば膣炎病原体)の存在を一意的に特徴づける、または示すタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド(マーカー配列)を選択する。例えば、下に詳述するように、バイオインフォマティクスの手法を利用して、選択を行なうことができる。特定の微生物に特有の、一つまたは複数のアミノ酸配列を決定することができる。
【0155】
工程2)
十分なタンパク質を得て、酵素による基質の最適な修飾を促進する条件を決定する。
【0156】
例えばAusubel (前記)中に記述されている標準タンパク質精製技術を用いて、タンパク質を単離する(例えば分析するべき微生物が増殖している細胞外培地から、または微生物の細胞膜から)。
【0157】
または、タンパク質をコードする遺伝子配列、もしくはタンパク質をコードする遺伝子配列の位置が未知である場合は、工程1のマーカーアミノ酸をコードする遺伝子配列を単離し、クローニングするか、またはまず遺伝子配列を決定し、次に上述のように進む。
【0158】
工程3)
微生物の増殖のための条件、および細胞の表面上に提示されるかまたは細胞によって分泌されるタンパク質の産生のための条件を決定する。
【0159】
関心対象の特定の微生物の増殖に必要な、およびそれ独自の活性を有するタンパク質の培地中への発現に必要な培地を決定する。さらに、特異的なタンパク質を不活性前駆体型から活性型に変換するために別の分子、例えば酵素が必要であるかどうか判断する。
【0160】
任意で、増殖培地中の微生物によって産生されたタンパク質を臨床試料から得られた試料と比較し、微生物が、そのタンパク質が検出されるべき環境で、それを産生することを確かめる。例えば、病院の患者から採取した試料中に見出されたタンパク質を分析し、培地中で増殖された微生物によって産生されたタンパク質と比較することができる。このようにして、微生物が実際の検査試料中のまたは環境中でタンパク質を産生すること、およびそのタンパク質が検出方法の基礎となることができることを確認することができる。
【0161】
工程4)
活性タンパク質の、任意の特異的基質を同定する。有力な基質の例には、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、脂質、およびペプチドグリカンサブユニットが挙げられる。検出できるラベル、例えば本明細書に記述した比色成分、または当技術分野で公知の任意の他の検出できるラベルで、各基質をラベルする。
【0162】
工程5)
タンパク質の活性部位または結合部位を決定する(例えば、上述の比色成分を用いて)ことにより、(任意で)タンパク質-基質間相互作用の特異性を増大させ、次に活性部位または結合部位を生成するのに役立つ遺伝子配列を決定し、決定した遺伝子配列をクローニングして、より特異的な基質を生成する。
【0163】
工程6)
関心対象の微生物のタンパク質(例えばプロテアーゼ)の検出のために、本明細書で同定された、検出可能にラベルされた基質の一つまたは複数を含むセンサーを提供する。
【0164】
上述したように、基質を、固体支持体(例えば女性用ナプキンまたはパッド)あるいはタンパク質および基質を保持する物品(例えば体液収集チューブまたはバッグ、マイクロプレートのウエル、試験管、あるいは本明細書に記述した任意の他の固体支持体)に接着することができる。
【0165】
本明細書に記述するように、タンパク質が基質と接触するようにして、基質を修飾する反応をモニターする。基質が修飾されることは、微生物によって産生され、および/または分泌されるタンパク質が反応中に存在することを示す。さらに、基質の修飾の非存在は、タンパク質が試料中に存在しないことを示す。微生物またはタンパク質が尿または膣液の試料からのものである場合は、基質の修飾は、微生物が試料中に存在することを示し、一方で基質の修飾の非存在は特定の細菌が試料の中に存在しないことを示す。
【0166】
一つの態様では、センサーが、側方流動装置またはメンブレン濾過装置に組込まれ、例えばビーズがメンブレンの一面上に止めてあり、例えば基質との反応により色素または酵素が加水分解によって遊離されると、メンブレンを通過して可視の色彩変化が可能になる。
【0167】
側方流動
液相分析に加えて、側方流動方式は、腟感染に対する単純で迅速なポイントオブケア診断法を提供する。一つの態様では、図21に示すように、装置は側方流動ストリップ(1)、コンジュゲート・メンブレン(2)、基質線(3)、および吸上パッド(4)の四つの要素を持つことができる。コンジュゲート・メンブレンは、ガラス繊維(例えば微小繊維)メンブレンである可能性が高く、例えばHRP-ペプチドビーズを印刷することができる。ガラス微小繊維は、液体の流れを遅くし、それによって、酵素(例えば微生物プロテアーゼ)がHRP-ペプチドビーズと反応する時間をとることが可能になる。側方流動メンブレンは、放出されたHRPを印刷されたHRP基質(例えばナフトール)に移送し、また装置の背面の吸上パッドは、液体の流れを装置を通して駆動するための吸込みとして働く。HRPがナフトール基質に達すると、基質は青色になり、側方流動メンブレン上で線を形成する。ナフトール基質はゆっくりと拡散して、非常に明確な線の形成を妨げる可能性がある。ナフトールを、糊状の物質、またはコロイドン(Colloidon) (酢酸アミル中の2%ニトロセルロース)などの積層(例えば、ラミネート)に用いられる物質中に溶解することにより、十分に線をその位置に維持することができる。複数のセンサーを一つの装置の中に組込むことができる。
【0168】
一つの態様では、BV、CV、およびTRICに関連した主要な膣炎病原体用の一つの装置に、三つの診断用センサーを組込むことができる。材料を同じストリップの上に印刷し、チャネルの形成により化学物質を分離することが可能である。または、各化学物質を別個の側方流動メンブレン上に印刷して、次に最終の装置の中で三枚のストリップを重ね合わせることができる。
【0169】
ナフトールを、コンジュゲート・パッドに直接塗布するか、またはパッドに塗布する透明な材料に加えることができる。一つの態様では、ナフトール(エタノールに溶解)を、側方流動メンブレンの上(北)端部近くに直接塗布する。側方流動テストストリップを、Matrix 2210ラミネーターを用いて構築する。Porex Kメンブレンを、裏に粘着剤の付きのカード上に置く。次に、他の二つのパッド、吸収性材料およびガラス繊維コンジュゲートを新しいメンブレンカードの上部と底部にそれぞれ付着させる。吸収性パッドをナフトール端部の近くに貼り付ける。TRISACRYL (登録商標)-HRP-ペプチド・コンジュゲート・ビーズを、ガラス繊維コンジュゲート・パッドの上部に線状に並べる。細菌をガラス繊維パッドに導入すると、それは結合したビーズと反応し、HRPが遊離し、メンブレンを側方に流れてナフトールと相互作用し、その結果色彩変化を生じる。
【0170】
別の態様では、ナフトールをポリマーストリップ(例えばアセテートまたはラミネート)などの透明な材料(側方流動メンブレン表面上に表を下にして貼り付けられる)に塗布する。側方流動テストストリップを、Mtrix 2210ラミネーターを用いて構築することができる。裏に粘着剤付きのカード上にPorex Kメンブレンを置く。他の二つのパッド、吸収性パッドおよびガラス繊維コンジュゲートを次に新しいメンブレンカードの上部と底部に、それぞれ付着させる。TRISACRYL (登録商標)-HRP-ペプチド・コンジュゲート・ビーズを、ガラス繊維コンジュゲート・パッドの上部に線状に並べる。ナフトール(エタノールに溶解)を、ラミネートストリップの粘着性の側の上部端近くに、線状に塗布する。乾燥したら、このラミネートを、ナフトール端が吸収性パッドの近くにくるように、側方流動ストリップ上に直接置く。ラミネートの先端を、ガラス繊維コンジュゲート・パッドのビーズの線を含む部分の上に置くことが重要である。ガラス繊維パッドに細菌を導入すると、それは結合ビーズと反応し、HRPが遊離し、それはメンブレンに沿って側方に流れてナフトールと相互作用し、その結果色彩変化を引き起こす。
【0171】
いくつかの態様では、コンジュゲート・パッドに0.1%のキサンタンゴムを加えることができる。ゴムはビーズを懸濁液として保持する。医療用の接着剤、ペースト、ボンド、または糊を、コンジュゲート・パッドの下流の上部の、ガラス繊維コンジュゲート・パッドがビーズの線を含む部分の上に置くことができる。これは移行速度を遅くし、ペプチド基質が加水分解されるのに十分な時間を与える。
【0172】
実施例
ここで本発明を以下の実施例により説明しよう。それらはいかなる形であれ制限を意図するものではない。
【0173】
実施例1:ライブラリーの構築
ペプチドのライブラリーを構築した。ライブラリーの各メンバーは、ランダムなアミノ酸配列、エピトープ(親和性)タグ、およびレポーター酵素または色素との化学的結合のための反応性側鎖基(例えば一つまたは複数の第一級アミンまたはシステイン基)を含む。適当なエピトープタグの例には、ポリヒスチジン(His)およびジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR、FolA)が含まれる。DHFRはfolA遺伝子によってコードされる。
【0174】
図8は、エピトープタグ(ポリヒスチジンおよびFolA)、色素(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびリサミンローダミン塩化スルホニル(LRSC))および十個のランダムなアミノ酸配列(即ち「揺らぎ配列」)を用いる、三つのペプチドライブラリの構築を図示する。
【0175】
いくつかの場合には、レポーター酵素をコンストラクト中へクローンニングして、ペプチドにレポーター酵素を化学的に接着する必要性を回避することができる。この特別のスクリーニングでBV標的に対して用いられた酵素は、ポリヒスチジンタグを有するランダムペプチドに接着された緑色蛍光タンパク質であった(GFP-ランダムアミノ酸配列-ポリヒスチジン)。第2の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ-ジヒドロ葉還元酵素ペプチド・キメラ蛋白質(HRP-DHFR-ランダムアミノ酸配列)が含まれ、これはFolA部分を用いて、親和性樹脂(例えばメトトレキセートアガロース)およびHRP (1mM過酸化水素およびABTS基質の存在下で色彩変化を生成する)を結合する。第三の例では、FolAランダムペプチド配列が、リサミンローダミン塩化スルホニルにコンジュゲートされた(FolA-ランダムアミノ酸配列-LRSC)。
【0176】
簡潔に述べれば、レポーター酵素(GFP) N末端部分の上流の30のランダムヌクレオチド(10個のランダムなアミノ酸に対応する)に隣接してNdeI部位を有するフォワ-ドオリゴプライマー、ならびにXho I制限部位およびタンパク質のC末端部を有するリバースプライマーを合成した。遺伝子配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した後、DNAをアルカリ溶解法によって精製し、T4 DNAリガーゼによって、pET28 N末端(hisタグ)またはpET24(タグなし)などの大腸菌発現ベクトル中へライゲートした。大腸菌(BL21 DE3)中へのDNAのエレクトロポレーション後すぐに、細胞をSOC培地中でインキュベートして回復させ、次にカナマイシン30μg/mlを有するLBプレートにプレートした。ある期間(例えば終夜)の後に、GFPを発現している映像中のコロニーは、紫外光(365nm)の下で光った。
【0177】
光っているコロニーを、マスタープレート上にパッチプレートして、マイクロタイタープレート方式(例えば96ウエルを有するプレート)中のLB 1ml中で37℃終夜増殖させた。小分けの細胞をグリセロールで最終10%に希釈し、液体窒素中で瞬間凍結し、次に使用するまで-80℃の冷凍装置に保存した(ライブラリーコロニー冷凍ストックとしても知られる)。次に、細胞の余りは、IPTG (最終1mM)で誘導し、次にタンパク質発現を誘導するために37℃で2時間インキュベートした。
【0178】
ランダム配列内に早期終結(例えば、10個のアミノ酸ランダム配列内のTAA、TAG、またはTGAなどのインフレーム停止コドン配列)を有しない陽性クローンを選ぶために、カナマイシン/ネオマイシンファミリーの遺伝子(Tn5、Tn903、およびpJH1)の一つまたは複数のメンバーを、コンストラクト中に(例えばランダムアミノ酸配列の下流に)置くことができる。
【0179】
図14は、ポリヒスチジンタグおよびランダムポリペプチド配列(10個のアミノ酸の長さ)を伴うカナマイシン遺伝子(Tn5、Tn903、およびpJH1)からなる、三つの異なるポリペプチドライブラリーのSDS PAGEゲルである。クローンの各々から発現された主なバンドは、カナマイシン融合タンパク質である。Tn903カナマイシンライブラリーは、三つのコンストラクトの中で最も高い発現レベルを有する。カナマイシンプレート上でコロニーを増殖させることによって、10個のアミノ酸ランダム配列内に適切な読枠を有するクローンを選択することができる。
【0180】
実施例2:細胞抽出液の調製
IPTGによる誘導に続いて、細胞を遠心分離して沈殿とし、次に室温で30分間0.2mg/mlのリゾチーム(100mMホウ酸ナトリウム、pH8.0、NaCl 500mM)とインキュベートした。細菌を液体窒素中で冷凍し次に直ちに37℃で融解することを三回行って、細菌を効率的に溶解させた。融解した細胞を、次に溶液を粘性でなくするために2mg/mlのDNAse I (10 Pipes、NaCl 150mM、MgCl2 10mM)で処理して、DNAを4℃で60分間溶解した
【0181】
次に、試料をエピトープタグを結合するビーズ(例えばポリヒスチジンタグを結合する10μlのNTA樹脂、またはFolAタグを結合する10μlメトトレキセート・アガロース)とインキュベートした。次に、試料をマイクロタイター濾過プレートに入れ、三回洗浄して結合していないタンパク質を除去した。3回目の洗浄液の蛍光シグナルを、蛍光マイクロプレート読取機で355nmの励起および510nmの発光(GFPに対する)で測定した。または、HRP活性を、H2O2およびABTS基質によって、マイクロプレート比色計で405nmで測定することができる。三回目の濯ぎ液からのこのバックグラウンドの読みを、細胞外細菌プロテアーゼによって遊離されたGFP (あるいはHRP)ペプチドの信号から、後で差し引くことができる。
【0182】
プロテアーゼ活性は、2M硫酸アンモニウム(NH2)4SO4存在下でタンパク質を急速に精製することにより、保持された。2M (NH2)4SO4を全精製にわたって用い、各フラクションの小分けを、HRPペプチドビーズ製品とインキュベートすることにより、スピンフィルター分析で活性があるフラクションを識別した。硫酸アンモニウムは、タンパク質を「塩析する」または沈殿させるために用いられるものであるが、この場合は、硫酸アンモニウムの濃度(2M)を、精製中のプロテアーゼの自己溶解を防止するために用いた。タンパク質を、Biologic DuoFlow Medium Pressure Liquid Chromatography Workstationを用い、ゲル濾過(Superdex 75)および2〜0Mの(NH2)4SO4勾配で溶出する疎水的相互作用クロマトグラフ(HIC)により精製した。
【0183】
実施例3:LRSCによるペプチドのラベル
FolA-ランダムアミノ酸配列ペプチドライブラリについては、まずラベルされていないペプチドをビーズに搭載し、3回目の洗浄後、結合緩衝液(100mM炭酸緩衝液、pH9)中、室温で1時間、ペプチドをリサミンローダミン塩化スルホニル(LRSC)でラベルすることができる。ビーズをもう3回濯いで結合していないLRSCを除去し、次に、下に述べるように微生物抽出物で処理することができる。
【0184】
実施例4:タンパク質活性の測定
タンパク質が活性型で分泌されたかどうかを判断するために、微生物培養物試料に、選ばれた有力な基質を与え、これらの基質の切断を測定することができる。これを、例えば、適切な培地中で、タンパク質を産生する微生物と基質とを組み合わせて穏やかに振盪しながら約37℃でインキュベートすることにより、行うことができる。予め設定した時間(例えば約0.1、約0.3、約1.0、約3.0、約5.0、約24、約48時間)に、試料を遠心分離して微生物を回転沈降させ、SDS-PAGEゲルの試料用に小量の小分け試料を取り出す。時間経過の完了後、試料を約10〜15%勾配のSDS-PAGEミニゲルにかける。次に、Bio-Radのセミ-ドライトランスブロッティング装置を用いて、タンパク質をImmobilon Pseqに転送する(転送緩衝液、約10% CAPS、約10%メタノール、pH約11.0、約15V、約30分間)。タンパク質の転送に続いて、クマシーブルーR-250 (約0.25%クマシーブリリアントブルーR-250、約50%メタノール、約10%酢酸)でブロットを染色し、また脱染色し(高度の脱染色:約5分間、約50%メタノール、約10%酢酸;完了までの低度の脱染色:約10%メタノール、約10%酢酸)、その後でN末端から配列決定する。または、切断部位をマッピングするために試料を質量分析計にかけることができる。
【0185】
実施例5:スクリーニング:ハイスループットスクリーニング
一般的戦略
本明細書に記述した女性の状態の原因物質診断器具を開発するために、ハイスループットスクリーニングを行なって、病原体により産生される特異的なプロテアーゼ用のペプチド基質を同定することができる。一次スクリーニングから同定される標的は、他の微生物および模擬膣液に対して逆スクリーニングを行って、それらが病原体に対して確かに特異的かつ選択的であることを確認することができる。微生物および模擬膣液の一団と交差反応しないクローンのみを配列決定する。アミノ酸組成を同定するためのクローンのDNA塩基配列決定にしたがって、次に、ペプチドを設計し合成することができる。一旦、ペプチドを合成したならば、それを比色成分にコンジュゲートさせることができる。
【0186】
緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ付きコンジュゲートのクローンを、ハイスループットスクリーニングで標的を同定するために用いた。各クローンは、ポリヒスチジンタグ(6個のhis)、30個のランダムヌクレオチド(10個のランダムなアミノ酸に対応する)および緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む遺伝子を保持するプラスミドを含んでいた。スクリーニングの前日に、864個の光るクローンを、深いウエルのマイクロタイタープレート(1ml/ウエル)中で、37℃で、終夜増殖させる。朝に、培養液を1mMのIPTGで1時間誘導し、細胞を5分間遠心分離し、次に培地をデカントして除くことができる。リゾチーム(2mg/ml)を加えて、細胞を3回瞬間凍結することができる。100μl/ウエルのDNAse Iで、試料を30分間37℃で処理し、DNAの消化により粘度を低下させることができる。次に試料の小分けを、10μlのニッケル-NTA樹脂を含むマイクロタイターフィルタープレートに移すことができる。試薬(IPTG、リゾチーム、DNAse Iおよびビーズ)のピペッティングをGemini version 4.0ソフトウェアを備えたTecan Genesis RSP 100 Robotで行なうことができる。
【0187】
プレートを遠心分離によりPBSを用いて3回濾過し、結合しなかった材料を除去し、次に、GFPペプチド結合ビーズを微生物抽出物と37℃20分間インキュベートすることができる。試料を濾過して、流出する蛍光を先の洗浄液からのバックッグラウンドと比較することができる。微生物が理想的標的を認識するプロテアーゼを有する場合は、ビーズからのGFP蛍光の放出はバックッグラウンドより100倍以上大きくなりうる。
【0188】
380nmに中心を持つ励起フィルターおよび538nmに中心を持つエミッションフィルターを備えたFluoroskan II機器で、蛍光を測定することができる。各クローンに対して、ウエル中の最終洗浄液、プロテアーゼで遊離されたGFPおよびEDTAで遊離されたGFPを、ならびに希釈された疑似クローンおよびNTA樹脂に曝された微生物上清を含む複数のウエルからのバックッグラウンド対照蛍光を、測定することができる。
【0189】
データ解析を、病原性微生物上清に付随する自発蛍光信号を差し引いた後に行なうことができる。GFPの発現はプレートの各ウエルで変化し、多くの因子に依存する可能性があるので、プロテアーゼによるGFPの遊離を、ウエル中の全GFP量に相対的に重みを加え、ヒットは、遊離された全GFPのパーセンテージとして割り当てられる。スクリーニングのばらつきの因子には、特異的なクローン配列、増殖条件、および処理のばらつきが含まれる。敏感なクローンは、全GFPの10〜20%より多くを遊離することができる。異常に高い最終洗浄値を持つウエル、またはウエル中に非常に低い全GFPを持つウエルは捨てる。ヒットは、「入念に選択し」、確証を得るために新しいスクリーニングで再テストし、また共生細菌株または特異的なプロテアーゼに対して逆スクリーニングを行って、特異性を分析することができる。次に、確認されたヒットは、冷凍ストックから再増殖させ、プラスミドDNAをアルカリ溶解法によって精製することになろう。次に、DNAを配列決定することができる。
【0190】
実施例6:逆スクリーニング:ペプチドの特異性および感度
インビトロ実験
一旦、HTSから一次標的を同定すると、陽性コロニーを新しい深いウエルのマイクロタイタープレートに入れて増殖させ、次に抽出物を細菌でスクリーニングして、それらが一次標的と交差反応しないことを確認することができる。本明細書に記述したペプチド標的の感度および特異性を、人工膣液中で臨床的に適切なレベルの病原体(106 CFU/mlのガードネレラ・バギナリス、105原生動物/mlの腟トリコモナスおよび106 CFU/mlの糸状感染性カンジダ・アルビカンス)について決定することができる。これらの研究に用いる最良の培地は、Geshnizgani, A.M. et at, "Defined Medium Simulating Genital Tract Secretions for Growth of Vaginal Microflora," J Clin Microbiol, 30:1323-1326 (1992)によって記述された既知組成培地(CDM)である。CDMは、膣液に見出される複雑な一連の微生物の増殖を支えることができるという点で、並外れている。CDM中の最適な増殖が、およそ13時間で得られる。本明細書に記述したガードネレラ・バギナリス用のセンサーは、5分で108 cfu/mlを検出する。
【0191】
感度を、各病原体の系列希釈を行なって、再現可能な色彩変化を与える最小のコロニー形成単位/mlを決定することにより、測定することができる。本明細書に記述したセンサーは、感染レベル(1010 cfu/ml)の細菌の存在を検出する感度を有しているが、正常な液体で見出される僅かな量(105 cfu/ml)のガードネレラ・バギナリスを検出しない。
【0192】
センサーを、BVに関連した他の細菌、例えばバクテロイド種、モビルンカス種、マイコプラズマ・ホミニス、大腸菌、ペプトストレプトコッカス種、プレボテラ・ビビアおよびポルフィロモナス種に追加して、膣の微生物、例えばガードネレラ・バギナリス、アシドフィルス菌、膣トリコモナスおよびカンジダ・アルビカンスに曝すことにより、特異性を決定することができる。ガードネレラ・バギナリス、アシドフィルス菌およびカンジダ・アルビカンスに対するセンサーは特異的であるべきであり、互いに交差反応をしてはならない。センサーから遊離された色を、Softmax Pro Kineticソフトウェアを持つMolecular Devicesマイクロプレートリーダーで読むことができる。
【0193】
HRPまたは色素でラベルされたセンサーの特異性および感度は、培養された臨床株を用いて、インビトロでテストすることができる。カンジダ・アルビカンス、膣トリコモナス、アシドフィルス菌、およびガードネレラ・バギナリスの臨床株を得て、上に記述した適当な培地中で終夜増殖させることができる。各培養物の濃度は、培地で希釈し、続いて600nmの吸光度測定することによって評価することができる。細菌濃度を適切な較正曲線を用いて計算することができ、四つの株すべての系列希釈を調製することができる。センサーの感度を、系列希釈物のそれぞれと5分間室温でインキュベーションした後にセンサーから放出された色素を計ることにより、評価することができる。
【0194】
バクテロイド種、モビルンカス種、マイコプラズマ・ホミニス、ペプトストレプトコッカス種、プレボテラ・ビビア、ポルフィロモナス種、カンジダ・アルビカンス、大腸菌、膣トリコモナス、ガードネレラ・バギナリス、および乳酸桿菌を、各臨床分離株に推奨された方法を用いて培養することができる。簡潔に述べれば、カンジダ・アルビカンスは、酵母麦芽培養液(YMB Sigma 3752)中室温で撹拌しないで増殖させることができる。膣トリコモナスは、LY1 Entamoeba培地中35℃で増殖させることができる。ガードネレラ・バギナリスは、NYC III 培地(ATCC 1685)中で、5% CO2、37℃で終夜増殖させることになろう。アシドフィルス菌は、トマトジュース、酵母抽出物、ミルク(Carolina HT-82-1439)培地中で、5% CO2、37℃で、1〜2日間増殖させることができる。大腸菌は、M9最小培地中、37℃で終夜増殖させることができる。上に述べた菌株を除き、すべての菌株は、ガスパックとインキュベートして酸素を取り除いた嫌気的なガラス鐘型ジャー容器内での増殖が必要である。バクテロイド種、およびプレボテラ・ビビアは、ビタミンKおよびヘミン(BD 297848)を補ったブルセラ血液寒天上で増殖させることができ、強化クロストリジウム培地(BD 218081)中で、2日間35℃で培養することができる。モビルンカス種は、コロンビア寒天(BD 211126)上で増殖させることができ、シェドラー培養液(BD 212191)中で1〜2日間37℃で培養することができる。ペプトストレプトコッカス種は、5%の羊血液を含むトリプチケースソイ寒天(BD 221239)上で増殖させることができ、ビタミンKおよびヘミンで富化した、炭酸カルシウムを有するチオグリコール酸培地(BD 297264)中で2日間35℃で培養することができる。マイコプラズマ・ホミニスは、マイコプラズマサプリメント(BD 283610)を補ったマイコプラズマ寒天(BD 241210)上で増殖させることができ、やはり補われたマイコプラズマ培地中で、37℃で1〜2日間培養することができる。最後に、ポルフィロモナスは、酵母抽出物、ヘミン、ビタミンKを有するチョコレート寒天(Remel 01318)上で増殖させることができ、ヘミン10μg/mlおよびビタミンK 1ug/mlを補ったTodd-Hewitt培地(Difco 249240)中で37℃で2日間培養することができる。
【0195】
様々な細菌を、NYC III培地中で、5% CO2、37℃で終夜培養した。PBS中でアフィゲル-GV2-HRPの10%スラリーを調製し、20μlを、96ウエルフィルタープレート(Millipore Multi-screen HTS)の6個のウエルに加えた。ガードネレラ・バギナリス、緑膿菌、大腸菌、化膿連鎖球菌 (Streptococcus pyogenes)、大便連鎖球菌 (Enterococcus faecalis)、および黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus)を含む細菌の小分けをビーズに加え(100μl)、プレートを周囲温度に5分間置いた。上清を遠心分離して低結合分析プレート(Corning 3641)へ入れ、次にHRPの分析を行なった。2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸) (ABTS、US Biological)は、HRPおよび過酸化水素の存在下で水溶性の青緑色を与える、HRPに一般に用いられる基質である。青緑色の形成を405nmで追跡することができ、より急な傾斜はより大量のHRPの存在を示す。GV2ペプチドは、ガードネレラ・バギナリスに極めて特異的で、大腸菌からは少量の信号しか出ないことが判明した。
【0196】
エクスビボ試験:臨床試験
診断用センサーは、インビトロで機能するだけでなく、BV、CV、またはTRICの症状を示している女性患者などの、下部生殖路感染を有すると診断されている患者からの膣スワブからエクスビボで、生理学的に妥当なレベルの細菌を特異的に検出することもできることを、実証する必要がある。膣スワブを、膣炎の症状を示している女性および女児患者から集めることができる。スワブを1mlのPBSで抽出することができる。膣液は極めてタンパク質性、粘着性で、成分の複雑な混合物を含む可能性がある。さらに、生理的寄生微生物相も等しく複雑であり、膣液は、所与のスワブ中に15の異なる微生物を有する可能性がある。膣液の複雑さにより、感染中に産生される病原性因子およびプロテアーゼは、細菌培養培地で見出されたレベルと同じには発現しないかもしれないことを認識することは重要である。ポリエステルスワブは、タンパク質または細菌を結合しないので、膣液を採取するために用いることができる。対照的に、綿のスワブは、タンパク質および細菌の50%もを保持することができる。
【0197】
臨床試験については、本明細書に記述したセンサーの検証を行ない、BV、CVおよびTRICに対するゴールドスタンダードに基づいて、それらが特異的であるかまた感染とよく相関しているかどうかを判断することができる。各試料に対して、ウェットマウント顕微鏡検査法(グラム染色法およびニュージェントテスト)、タンパク質分析、培養、およびHRP-ペプチド-ビーズ分析および単純な色素-ペプチド-ビーズ分析、ならびに定量的PCR(qPCR)を行なうことができる。
【0198】
臨床用スワブの分析
病原体を調べるためのスワブの試験の前に、試料を集めて氷の上に保存することができる。スワブを1mlのPBSで、氷上で穏やかに撹拌して5分間抽出することができる。系列希釈をPBSで行い、次にスワブ試料を血液寒天培地およびMacConkeyプレート上にプレートすることができる。微生物を、室温または37℃のいずれかで増殖させることができる(上述のように)。以下に述べるNugent et al.の方法を用いることにより、BVの存在を確認することができる。CVを、Sobel et al.によって以下に記述されるようにして、決定することができる。膣トリコモナス原生動物の総数を、ウエットマウント顕微鏡検査法によって確認することができる。これは、診断用センサーが病原体に特異的であり、膣液と交差反応しないことの確認となるであろう。膣炎センサーを、膣スワブから抽出される液体の小分でテストすることができる。簡潔に述べれば、HRP-ペプチド-ビーズをフィルタープレート上で予め濯ぎ、次に25μlの抽出物ならびに対照を、96ウエルプレートの、20μlのHRP-ペプチド-TRISACRYL (登録商標)ビーズ・スラリー(TRISACRYL (登録商標)の1:10希釈液)を含むウエル中に入れ、4分間穏やかに撹拌してインキュベートすることができる。試料を0.2μmフィルタープレートに移すことができる。ちょうど5分で、マイクロプレート遠心機中のプレート中で試料を回転沈降させてビーズを除去することができる。新しい96ウエルプレートに、TMB基質(100μl)、25μlのビーズ切断試料、および75μlのPBSを加えることができる。TMB応答を、直ちにMolecular Devicesのプレートリーダーにより650nmで、20秒間隔で300秒間読むことができる。
【0199】
ペプチドが感度基準に合致しない場合は、HRP対ビーズ比を変更するか、または一つの分析当たりのビーズ数を増加して、信号対雑音比を増大させることができる。ペプチドが90%選択率の目標に達しない場合は、ペプチド配列をランダムなアミノ酸配列にして、より特異的なコンストラクトを見出すことができる。いくつかの微生物については、スクリーニングから同定された数個の候補から最適なペプチドを選ぶことが必要であるかもしれない。
【0200】
スワブを、アシドフィルス菌、ガードネレラ・バギナリス、膣トリコモナス、カンジダ・アルビカンスのセンサーとの反応性についても、テストすることができる。コロニー計数を用いて、酵母および種々の形態を同定することができる。臨床診断を、センサーとの相関を評価するために用いることができる。BVを診断するニュージェントテストの使用などの、従来のテストを、結果を評価するために用いることができる。
【0201】
例えば、10株のカンジダ・アルビカンスの臨床分離株が、Dr. Andrew Onderdonk (Brigham and Women's Hospital)によって快く提供され、カンジダ・アルビカンス ATCCから得られた株と一緒にテストされた。酵母細胞を、YCB-BSA (1リットル当たり23.4gの酵母炭素ベース、2gの酵母抽出物、10gのブドウ糖、および5gのBSA。pH5.0に調整)中で増殖させた。無細胞の増殖培地の小分けをHRP-ペプチド-アフィゲルコンジュゲートと10分間混合して、遊離されたHRPの量を測定した。図24に示すように、H2 (QKTTIKKLKH) (SEQ ID NO: 9)およびR8 (KPKAFLKVGN)(SEQ ID NO: 6)ペプチドの両方が、10株の臨床分離株すべてと強く反応し、100%の感度を与えた。R8配列

は、オリジナルのペプチド配列の一部ではなく、単にペプチドの固定化に用いられるヒスチジンタグ(HHHHHH)を含む。これらのペプチド・コンジュゲートの特異性に関する最初の研究は、他の膣細菌であるガードネレラ・バギナリス、アシドフィルス菌、および大腸菌によりそれらが有意に切断されなかったことを示した。
【0202】
例えば、一つの態様では、H2ペプチドは、レポーターとしての青色1号にC末端の終端でコンジュゲートされた。N末端の終端部はアフィゲル10ビーズ(BioRad)にコンジュゲートされた。ビーズを、終夜増殖させたカンジダ・アルビカンスの小分けに、37℃で24時間曝した。ビーズの対照一組も、培地に曝した。カンジダ・アルビカンスの作用によってビーズから遊離された青色色素をメンブレンに集めて、明確な信号を生成させた。24時間溶液に入れられていたSB6407 (Pall Life Sciences, Ann Arbor, MI)収集メンブレンは、カンジダ・アルビカンス溶液から集められた非常に目立つ青色を示し、また対照培地からは信号は示されなかった。
【0203】
実施例7:新規なBV標的の同定
GFP、HRPまたはLRSCでコーティングしたビーズを洗浄するとすぐに、各ウエルを37℃30分間、乳酸桿菌、ガードネレラ・バギナリス (またはバクテロイド種、モビルンカス種、ペプトストレプトコッカス種、マイコプラズマ・ホミニス、プレボテラ・ビビア、およびポルフィロモナス種などの他のBV症候性細菌)または原生動物(例えば、膣トリコモナス)の微生物上清とインキュベーションした後、遠心分離して新鮮なマイクロタイタープレート中へ入れ、遊離されたペプチド-GFPまたはペプチド色素コンジュゲートを集めることができる。典型的には、ペプチドライブラリから強い陽性信号を同定するために、約100枚のプレート(約10,000クローン)をスクリーニングする。
【0204】
プロテアーゼ活性の測定
強い蛍光または色彩信号を有するウエルは、それぞれの細菌からのプロテアーゼの、推定上のペプチド標的となる。GFP-ランダムアミノ酸配列-ポリヒスチジンライブラリーを用いて、乳酸桿菌種の新規な標的の同定に成功した。図9は、プレート番号69の様々なウエル中で測定された信号強度を示す。乳酸桿菌に曝された時、プレート番号69のウエルB8には強い信号(62.8)があった。プレート中のウエルの多くはビーズから遊離された非常に少量のGFPペプチドを有した。これは乳酸桿菌種が特異的なプロテアーゼを作ることを示唆する。
【0205】
GFP-ランダムアミノ酸配列-ポリヒスチジンライブラリーを用いて、ガードネレラ・バギナリスの新規な標的を同定することにも成功した。図10は、プレート番号76の様々なウエル中の信号強度測定を示す。プレート76がガルドネレラ抽出物へ曝された後に、ウエルC3、C5およびC7には強い蛍光があった。しかし、以前にウエルC5とC7は、黄色ブドウ球菌および緑膿菌などの、他の普通の病原体と非特異的に交差反応することが決定されていた。したがって、二次スクリーニングからは落とした。
【0206】
合成およびコンジュゲーション
アシドフィルス菌 (プレート69、ウエルB8)およびガードネレラ・バギナリス (プレート76、ウエルC3)に対する陽性クローンを、ABI 377 Prism DNAシークエンサーを用いてDNA配列決定して遺伝子組成を同定した。二つのペプチドの翻訳されたアミノ酸配列を下に示す。

二つの推定上のペプチドを合成し、アフィゲルビーズ(Bio-Rad, Hercules CA)にカップルし、次に以下の方法で西洋ワサビペルオキシダーゼでラベルした。
【0207】
ペプチドを、メーカーによって記述されたようにして、アフィゲルビーズにカップルした。カルボン酸基を有する小さなラテックスビーズを用いて、同様の結果を得た。簡潔に述べれば、ペプチド1mgをアフィゲル1mlで、結合緩衝液(リン酸緩衝食塩水)中で、室温で1〜2時間インキュベートした。カルボン酸で官能化された小ラテックスビーズについては、ペプチド/タンパク質を、EDC (1-エチル-3-[3ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)とカップルする。ビーズを直ちに用いるか、またはHRPマレイミドとさらにコンジュゲートさせるか、あるいは2%トレハロースもしくは2%ショ糖を保護剤にして4℃で保存するかのいずれかである。
【0208】
HRPは、反応性第一級アミン基によってスルホSMCCにコンジュゲートさせる。その反応を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)存在下で、1時間行なう。官能化HRPを、結合していないスルホSMCCから、P6 Biogel Pポリアクリルアミドビーズ、Biorad (Hercules, CA) またはSephadex G50ビーズ(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を用いるゲル濾過によって取り除く。HRPマレイミドは空隙容量に溶出し、一方フリーのスルホSMCCはカラムから非常にゆっくり溶出する。HRPはヘミンに結合し、したがって茶色を有し、それを用いてHRPマレイミドを含む空隙容量を素早く同定することができる。HRPマレイミドは、凍結乾燥するか、または直ちにペプチドとのコンジュゲーションに使用するのいずれかである。
【0209】
溶液中のまたはアフィゲルビーズに接着されたペプチドを、HRPマレイミドと反応させる前に、1mMジチオスレイトール(DTT)で処理する。DTTを、透析、ゲル濾過により、または、ビーズにカップルしたペプチドの場合は1000〜5000rpm 5分間の遠心分離により除去する。
【0210】
ガードネレラ・バギナリスを、HRPにコンジュゲートしたペプチドPFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)によって検出した。ペプチドを、ビーズから加水分解し、ビーズを遠心濾過し、濾液の小分けをH2O2およびABTS基質とインキュベートすることによって目視できるようにした。色彩変化が、ガードネレラ・バギナリスを含む試験管中で迅速に観察された。しかし対照試験管中では観察されなかった。または、色彩変化をプレートリーダーにより405nmで測定することができる。
【0211】
図11は、ガードネレラ・バギナリス、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌、および大便連鎖球菌とインキュベートしたときの、GV2 (PFINETYAKFC)(SEQ ID NO: 1)ペプチドのガードネレラ・バギナリスに対する特異性を、5分間に亘り示す。抽出物を、マイクロタイタープレートフィルターを通して濾過し、過酸化水素(H2O2)の存在下、ABTS基質により405nmでHRPの遊離を測定した。ペプチドはガルドネレラの存在下では青くなるが、しかし他の普通の病原体の存在下ではならず、ガードネレラ・バギナリスに対するそれの特異性を示している。
【0212】
図12は、ペプチドITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)が乳酸桿菌からの未知のプロテアーゼを検出することを示すグラフである。
【0213】
同様に、カンジダ・アルビカンスに対する多くのペプチド標的を同定した:KPSIKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、配列QKTTIKKLKH (H2) (SEQ ID NO: 9)、配列KPKAFLKVGN (R8) (SEQ ID NO: 6)、配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、および配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)。
【0214】
H2として公知の配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)を修飾(リジン(K)の置換)し、その結果、配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)を得た。システインなどのアミノ酸基を配列に加えることにより、レポーターとして用いられる色素または酵素の接着を可能にすることができる。
【0215】
例えば、特異的なペプチド(G11、それはTPIQIHTILHである)(SEQ ID NO: 10)は、人工膣液中で、終夜37℃で増殖させたカンジダ・アルビカンスを検出することができる。人工膣液は、あるバックグラウンド信号を有し、そのため、界面活性剤(0.1%TRITON(登録商標)-X100)でビーズをよく洗浄することにより、それを除去して、ペプチド色素コンジュゲートの非特異的付着を防止する必要があることが判明した。膣の病原体である膣トリコモナスによって産生されるプロテアーゼに対するペプチド基質も同定した。この微生物を、LYIエントアメーバ培地中で終夜増殖させ、無細胞増殖培地をGFP-ランダムペプチド融合ライブラリーからの4.900クローンのハイスループットスクリーニングに用いた。
【0216】
膣トリコモナスを検出する七つのペプチドを同定した:

ペプチド39H9および42D3をペプチド合成に先立って変更し、リジン残基を除去した。ペプチドをHRPおよびアフィゲル10ビーズにコンジュゲートさせ、そのプロテアーゼ処理生成物の小分けをテトラメチルベンジジンとインキュベートすると、5分間で650mmの可視色彩信号が生成された。
【0217】
実施例8:単純青色色素ビーズの安定性の研究
単純青色色素ビーズの安定性を研究するために、単純青色色素-ペプチドビーズを、女性用パッドからの1cm×1cmの不織材料断片上に印刷する。50μlのビーズのサンプル(2.5mg/mlストック)を、AIRJET QUANTI DISPENSER(登録商標)を備えたBiodot XYZディスペンサープラットホームを用いて、各不織材料のサンプル上に、線状に印刷することができる。サンプルを対流オーブン中で、2時間40℃で乾燥させる。対照を含んで、活性を、各時点で3つ組でテストすることができる。各時点に対して、6枚のメンブレンを作製することができる。下記のプロトコルを用いて、時刻ゼロ(乾燥後で、加速安定性試験前)にメンブレンの一組をテストすることができる。メンブレンの他の組を、対流オーブンに40℃で3ヶ月間置くことができる。週に一度、次のプロトコルを用いて、6枚のメンブレンの一組をテストすることができる:2mlのシリコン処理エッペンドルフチューブに6枚のメンブレンの各々を入れる。3本のチューブは対照として用い、200μlのPBSを加えることができる。他の3本のチューブは、100μlのPBSに100μlの終夜増殖させた細菌(関心対象のペプチドに対応する)を加えて、60分間反応させた。反応時間の後に、すべてのサンプルを、0.22μm遠心フィルタープレート(Millipore Multiscreen HTS)を通して遠心分離し、ビーズを除去することができる。次に、上清の一部をPBS中に入れ、吸光度を約408nm (第1ピーク)または630nm (第2ピーク)で読取ることにより、上清を、色素遊離について解析することができる。可視スペクトル全体に亘って吸光度を走査することにより、青色1号マレイミドのピーク吸光度を確認することができる。最初に、50μlの上清を450μlのPBSに加えることができる。上清の量を、応答の強さに依存して、上下に調整する必要があろう。時間ゼロでこれを決定し、研究全体に用いることができる。試料を、3つ組で行った細菌の吸光度を平均して比較することができる。細菌の平均吸光度を、平均のPBS対照吸光度を差し引くことにより、バックグラウンドについて修正することができる。次に、有意性のためのスチューデントT検定を用いて、3ヶ月の期間の細菌の平均吸光度を、時間ゼロの試料と比較することができる。
【0218】
実施例9:センサーについての定量的基準
膣トリコモナス、カンジダ・アルビカンス、ガードネレラ・バギナリスおよびアシドフィルス菌に対する特異的なペプチド標的の同定において、一つの目標は、本明細書に述べた各ペプチド標的に、人工膣液中の臨床的に有意義な濃度の対応する病原体(1010 cfu/mlのガードネレラ・バギナリス、1010 cfu/mlのアシドフィルス菌、105原生生物/mlの膣トリコモナス、および105 cfu/mlのカンジダ・アルビカンス)を、テストした各種の20株の臨床的分離株の90%またはそれ以上で検出させる(10またはそれ以上の信号雑音比を生成して)ことである。さらに、特異的なペプチド標的は、好ましくは、臨床的に妥当なレベルの、膣液中に一般に見出される他の微生物および関心対象の三つの他の病原体と、90%またはそれより高い交差反応性を示してはならない。これは、例えばHRP-ペプチド-ビーズのコンストラクトおよび青色1号-ペプチド-ビーズのコンストラクトの両方において真実である。定量的PCR (qPCR)は未知の試料を定量するために用いられる非常に高感度な方法である。使用した蛍光色素はSYBRグリーンであり、この色素は、各サイクル後に蓄積するPCR生成物として、リアルタイムで測定される。qPCRは、数の標準曲線を用いて増幅量を特定し、未知の試料をそれに対して計る。40サイクルの完了に続いて定量的な数が与えられ、もしそれが標準曲線の範囲以内にあるなら、それは各未知の試料について増幅されたコピー量を表す。qPCR方式は、それが生成されたコピー量を特異的に決定するために、従来のPCR方法の極めて好ましい代替法である。
【0219】
側方流動POC装置の中へ酵素センサー技術を取込む場合は、好ましくはHRP-ペプチドビーズ方式の標的で見出される感度および選択度に対して、個々の病原体について感度はその92%以上であるべきであり、また選択度はその90%以上であるべきである。ガラスコンジュゲート・パッド上のHRP-ペプチドビーズは、3ヶ月間に亘って、それらの活性の≧90%を保持するべきである。長い間に活性の少しの減少があっても、POC装置中の過剰のビーズを用いて、強固な直線の顕色(1ng以上のHRP)を長時間に亘って保証することができる。膣炎患者からのスワブ試料のエクスビボの臨床研究は、臨床微生物学およびPCRの結果に対して、その85%以上の感度および選択度を示すべきである。
【0220】
実施例10:消費製品に対する食品用センサー
食品用センサーを消費製品中で用いることができる。例えば、マレイミド基で誘導体化された食品用青色1号を、修飾されたH2ペプチド(QRTTIRRLRH) (SEQ ID NO: 21)に接着し、次にアフィゲル10アガロースビーズ(BioRad (Hercules, CA))にコンジュゲートさせた。得られたビーズを、増殖培地(1:2 BHI/PBS)中で、単独で(対照)およびカンジダ・アルビカンスの終夜増殖物と、37℃で24時間インキュベートした。カンジダ・アルビカンスを含む試料では、ペプチドが加水分解され、青色は移動して、遊離メンブレンにすぐ隣接しているメンブレンへ集められた。遊離の色素を集める好ましいイオン交換メンブレンは、SB6407およびバイオダインB (Pall Life Sciences, Ann Arbor, MI)、ならびに正に荷電したPVDF (Millipore)である。これらのメンブレンは、強い正に荷電した第四級アンモニウム基を有する。対照的に、ナイロン、ICE、p4、3M C8、3M C18およびバイオダインCなどの、無荷電の、疎水性の、および負に荷電したメンブレンは、遊離の青色色素に対して無視できる程度の結合能力を有する。およそ3時間で可視の青色色素遊離を見ることができ、女性用パッド中に色の捕集をもたらす。
【0221】
一つの例では、色素を結合したアフィゲル10ビーズ(20μlの1:10希釈のビーズ)を、カンジダ・アルビカンス上清にまたは対照としての培地(1:2 BHI/PBS)に、24時間曝した。ビーズ反応による色を、正に荷電したメンブレン(SB6407)で集めた。結果は、1:2 BHI培地のみで処理された対照メンブレンは、アフィゲル10ビーズから色を遊離しないことを実証した。対称的に、活性を有するプロテアーゼは、修飾されたH2ペプチド(QRTTIRRLRH) (SEQ ID NO: 21)を加水分解し、それによって、収集メンブレンへ色を遊離した。同様の結果を、TRISACRYL (登録商標)ビーズについて得た。
【0222】
実施例11:センサーの合成および特性決定
ペプチドの比色化合物へのコンジュゲーション
診断分析に必要な速度が、ペプチドにコンジュゲートさせる比色成分の選択を規定する。HRPなどの酵素レポーターは、5分で迅速な色彩変化を与えるが、しかし単純な色素は拡散によって制限されて、色を集めるのに時間がかかる(約30分〜1時間)。典型的に用いられる酵素は、時間が重要である場合は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、また安全性と単純性が主な関心事である場合は、コンジュゲートさせた食品用青色1号である。HRPのコンジュゲーションには、次の3工程のプロセスを用いることができる:1) HRPをリン酸緩衝食塩水(PBS)中でスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(SMCC)でラベルして、HRP上にマレイミド基を生成する工程;2) HRPマレイミドを、5mM EDTAを含むpH7.5のリン酸緩衝液中で、ペプチドのC末端のシステインへコンジュゲートさせる工程;3) HRPペプチドを、MES緩衝液中で1mMの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)により、小ラテックスビーズへカップルさせる工程。HRPペプチドの微小ビーズへのカップリングを、MES緩衝液中で、ビーズ上のカルボキシル基をペプチドのアミノ末端へ結合させる架橋剤EDCにより、行なうことができる。より遅く反応する食品用色素の場合には、マレイミド基を有する青色1号を合成して、ペプチドC末端のシステインに直接コンジュゲートさせることができる。
【0223】
ペプチドを、Fmoc化学を用いて合成することができる。典型的には、HRP (Roche)を、架橋剤の2倍のモル過剰のHRPを用いて、SMCCにコンジュゲートさせることができる。HRPのマレイミドへのカップリングに続いて、遊離のSMCCを10mlの脱塩カラム(PD10、Amersham)により除去することができる。次に、リン酸緩衝液pH7.5中で、精製されたHRPマレイミドをペプチドと8時間反応させることができる。HRPペプチド・コンジュゲートをもう一度ゲル濾過カラムで精製して、未反応のペプチドを除去することができる。次に、従来のEDC化学を用いて、HRPペプチド・コンジュゲートを微小ビーズ粒子に架橋することができる。30〜80μmの寸法範囲のカルボキシメチルTRISACRYL (登録商標)ビーズ(Pall)をコンジュゲーションに用いることができる。簡潔に述べれば、ペプチドに1mMのEDCを加え、次に100mg/mlの最終濃度でTRISACRYL(登録商標)ビーズを加える。PBS中でHRP-ペプチド-ビーズ・コンジュゲートを3回洗浄して、非特異的に結合した材料を除去することができる。HRPの界面活性剤との長期貯蔵が酵素活性に不利益になりうることを注意した上で、TRITON(登録商標)-X100およびTWEEN(登録商標) 20などの界面活性剤で濯ぐことは有利であるかもしれない。いくつかのペプチドをコンジュゲートさせて、インビトロで普通の膣微生物でテストすることができるが、2日間で6〜8個のペプチドを同時にラベルし、精製し、濯ぐことが極めて扱いやすい。いくつかの例では、ペプチドはいくぶん不溶性である可能性があり、その場合にはHRPへのコンジュゲーションに先立ってジメチルスルホキシド(DMSO)中にペプチドを懸濁することができる。
【0224】
ペプチドがコンジュゲートされれば、それらを、最初に腟感染を示すレベルの標的微生物(ガードネレラ・バギナリス1010 cfu/ml、膣トリコモナス105 cfu/ml、カンジダ・アルビカンス105 cfu/ml)によってテストすることができる。標的微生物ならびにバクテロイド種、モビルンカス種、マイコプラズマ・ホミニス、ペプトストレプトコッカス種、プレボテラ・ビビア、およびポルフィロモナス種を含むそれほど一般的でない膣液のBV関連微生物の少なくとも2種の各々について、20の臨床分離株をテストすることができる。典型的な分析条件は、90μlのPBS中に入れた細菌を含む100μlの試料を含む。その混合物を10〜20μlのHRP-ペプチド-ビーズスラリーと5分間インキュベートした後、1.5mlの微小遠心管で濾過することができる。次に、濾液の小分け(例えば20μl)を、H2O2を含むABTSと反応させ、次にマイクロプレートリーダーにより405nmで読むことができる。
【0225】
または、細菌の小分けを1%のH2O2を含むPBSで希釈して、次にHRP-ペプチド-ビーズ・コンジュゲートを印刷され、空気乾燥された側方流動メンブレンの終端に載せることができる。本明細書に記述したように、側方流動メンブレンの終端の吸上パッドを用いて、HRPの流れを比色用基質の方向に導くことができる。遅い側方流動メンブレンを用いることによって、細菌抽出物には、ビーズからHRPを遊離するのに十分な5分間以上の時間があることになる。特異的な細菌プロテアーゼによってビーズから遊離されたHRPは、メンブレンの緊密な細孔を通って移動し、下流でナフトールなどのそれの基質と反応することができる。ナフトール基質の耐久性の線を設置する好ましい方法は、それをメタノール中の2%ニトロセルロースと混合することである。ビーズは大きすぎて、メンブレンの下方に移動することができない。BVセンサーは三つの成分を含むことができるが、しかしCVおよびTRICセンサーは、特異的なプロテアーゼの存在のための単一のインジケーターを含むことができる。BVセンサーは、1010の乳酸桿菌の存在に対してマイナス信号を示すが、pH>4.5での増加およびガードネレラ・バギナリスの存在下での増加の存在下で、プラス信号を示す可能性がある。各ペプチド基質を認識する病原体特異的なプロテアーゼを、同定することができる。
【0226】
ペプチド基質を認識する特異的なプロテアーゼを特性決定することができる。プロテアーゼは自己分解のために、精製するのが非常に難しくなることがあり得る。しかし、自己分解の問題を、下記により軽減することができる:1) すべて材料を氷上に保持すること、2) 2M硫酸アンモニウムを用いること、および 3) 自動化クロマトグラフィーシステムを用いてプロテアーゼを8時間未満で精製すること。本明細書に述べるこの方法を用いて、例えばガードネレラ・バギナリス、膣トリコモナスおよびカンジダ・アルビカンスからのプロテアーゼを、4時間未満で精製し同定することができる。ゲル濾過(Superdex 75)と疎水性相互作用クロマトグラフィーの組合せを用いて、細菌から未知のプロテアーゼを精製することができる。アミノ末端から7〜10残基の配列決定を行うことにより、NCBIのタンパク質-タンパク質BLASTを用いてプロテアーゼを十分に同定する。プロテアーゼを精製、分析し、N末端配列を得たことからの知見は、HICカラムと組合せたSuperdex 75カラムによって、SDS PAGEゲル上の単一バンドを単離することが十分可能であることを示している。タンパク質を、N末端タンパク質配列決定のためイモビロンpSEQメンブレンにブロティングすることができる。
【0227】
ガードネレラ・バギナリス、アシドフィルス菌、膣トリコモナス、およびカンジダ・アルビカンスからのプロテアーゼを、ゲル濾過と疎水性相互作用クロマトグラフィーの組合せを用いて精製して、ペプチド基質と反応するプロテアーゼを精製することができる。簡潔に述べれば、25mlの細菌の終夜群を遠心分離し、上清0.2μMを濾過して、上清から微生物を除くことができる。
【0228】
次に、上清を2工程で硫酸アンモニウムとインキュベートし、50%および75%の(NH2)4SO4で不溶性のタンパク質を沈殿させることができる。硫酸アンモニウム結晶を、ゆっくりと氷浴中のバクテリア上清に加えることができる。30分後、上清を遠心分離し、氷の上に沈殿を保存し、一方で上清をさらに75%最終濃度硫酸アンモニウムで沈殿させることになろう。上清を75% (NH2)4SO4とインキュベートした後に、氷上に試料を保存し、上清を新しい15mlの円錐形遠心管に入れることができる。沈殿を、500μlの150mM (NH2)4SO4を含む10mMトリスpH8.0 (再懸濁緩衝液)に再懸濁することができる。上清および二つの再懸濁した沈殿の小分けを、プロテアーゼ活性について、上述の方法を用いてテストすることができる。プロテアーゼ活性のピークを有する試料を、3カラム容積の再懸濁緩衝液と平衡に保たれたsephacryl s100の24mlカラムでのゲル濾過によって、さらに精製することができる。1ml/分でカラムを流し、分画を0.5mlの容積で集めることができる。
【0229】
ゲル濾過カラムの分画をプロテアーゼ活性についてテストすることができ、ピーク分画を2M (NH2)4SO4に調整し、次に1mlのHICカラム上で2M〜50mMの(NH2)4SO4の直線濃度勾配で流す。HICカラム上で高塩濃度から低塩濃度への勾配を流すことによって、タンパク質のフェニル樹脂との疎水的相互作用の強度が低下し、それによりカラムからタンパク質が溶出する。一組のウシ血清アルブミン基準によるタンパク質分析(Bio-Rad)を、各膣スワブから抽出されたタンパク質量に対する内部対照として行なうことができる。
【0230】
リアルタイムqPCRを、Bio-RadのiCycler MyiQ単色検出システムで行なうことができる。DNA標準を水で適切な濃度に希釈し、5μlの各希釈液を25μlの反応容積中で用いることができる。標準曲線は、5×101〜5×105または1×102〜1×106の範囲であり、すべての標準を3つ組で実行する。未知の試料を、滅菌水で1:10および1:100に希釈し、3つ組で行う。2工程プラス溶解曲線を40サイクルで実行することができる。IQ SYBR green supermixのマスターミックスは以下の通りである:
1反応当たりの成分容積
IQ SYBR green supermix 12.5μl
プライマー1 2.5μl
プライマー2 2.5μl
鋳型 5μl
滅菌水 2.5μl
全容積 25μl。
【0231】
膣トリコモナスは、LYIエントアメーバ培地ではプロテアーゼを発現しない可能性がある。代替の戦略は、膣液の成分を模倣したCDM培地中で微生物、例えば原生動物を増殖させ、その結果プロテアーゼを発現する可能性が高くなることである。プロテアーゼ活性の総量を決定するために、ザイモグラムゲルに膣トリコモナス抽出物をかけることが必要かもしれない。タンパク質がHICカラムによく結合しない場合は、イオン交換カラムに換えることができ、そして緩衝液は、イオン交換クロマトグラフィーの標準規則に合致するものを用いる、即ち、緩衝液は、結合するタンパク質の等電点の少なくとも1pH単位上である必要がある。未知物の場合には、ゲル濾過カラムからのプロテアーゼのピークを負荷するために、1mlの第四級アミン(QAE陰イオン交換カラム)を1mlのスルホプロピル(S陽イオン交換カラム)と連結することが、多くの場合望ましい。一旦、UV吸光度がベースラインに接近するまでカラムを濯ぎ、次にカラムを分離して、QAEまたはSカラムからタンパク質を個々に溶出させることができる。
【0232】
安定性:HRP-ペプチド-ビーズコンストラクト
ガラスコンジュゲート・パッド(1cm×1cm、Millipore)を、アセトン中の2% 3-アミノプロピルトリエトキシシランとの2時間の反応によってシラン処理することができる。濯ぎは、アセトンによる2回、メタノールおよび次に蒸留水である。次にメンブレンを、使用前に40℃で乾燥させることができる。HRP-ペプチド-ビーズを、メンブレン上に置く前に、濯ぐことができる。ビーズのストック(25mg/ml)の20μlの小分けを、各メンブレン上に、広い口径のピペットチップでピペッティングし、空気乾燥させる。活性について、対照を含んで、時間点を3つ組でテストすることができる。各時間点について、6枚のメンブレンを作製する。下記のプロトコルを用いて、時間ゼロ(空気乾燥の後で、および加速安定性試験の前)でメンブレンの一組をテストすることができる。メンブレンの他の組を、3ヶ月間40℃の対流オーブン中に置くことができる。週に一度、次のプロトコルを用いて、6枚のメンブレンの一組をテストすることができる:6枚のメンブレンの各々を、2mlのシリコン処理したエッペンドルフチューブに入れる。100μlのPBSを各チューブに加える。3本のチューブが対照の役割をし、さらに別の100μlのPBSを5分間加える。他の3本のチューブには、終夜増殖させた100μlの細菌(関心対象のペプチドに対応する)を加え、5分間反応させた。5分間の反応後、すべての試料を0.22μmの遠心フィルタープレート(Millipore Multiscreen HTS)で遠心分離し、ビーズを除去することができる。次に、10μl上清+15μlのPBS+175μlのTMB基質をプレートリーダー中に入れて、5分間応答を測定することにより、上清をHRP放出について分析することができる。TMB応答の勾配を測定し、細菌ならびに対照の3つ組を平均することにより、試料を比較することができる。平均のTMB応答勾配は、平均PBS対照勾配を引くことにより、バックグラウンドについて修正することができる。次に、有意性についてのスチューデントT検定を用いて、細菌のTMB応答の平均勾配を、時間ゼロ試料と3ヶ月の期間に亘り比較することができる。
【0233】
実施例12:センサーを含む女性衛生製品の設計
女性用ナプキン、パッド、拭取り紙またはタンポンなどの本明細書で議論した製品に組込むことができる診断用具を作製するために、塩化スルホニルまたはイソチオシアネートなどの反応性基を有するエリオグルアシン(eriogluacine) (青色1号)などの食品用色素を合成することができる。そのような製品中の現代の不織材料は、保持力および吸収性を与えるために、多層を有している。吸収性パッドをエリオグアシン-ペプチド・コンジュゲートと結合させて、例えばBV-産生細菌の存在下でそれが遊離されることになるようにすることが可能である。遊離された色素は、例えば女性用ナプキンの底部の透明な収集窓に結合して、可視の色彩変化を生成することができるであろう。この設計を、膣炎、酵母感染、排卵前期、陰部ヘルペス、閉経期、および骨粗鬆症を非限定的に含む、状態または状況を感知するための女性用防御センサーまたは診断器具に用いることができよう。
【0234】
図13は、そのような女性用ナプキンの設計の一例を示す。例えば、女性用ナプキン、おむつ、またはパッドは、基質の酵素および/または比色成分を捕獲するために用いることができる、上部ライナー、吸収性材料、および底部ライナーの、三つの材料層を含んでいてもよい。膣液は不織材料へ吸上げられる。例えば、ガードネレラ・バギナリスの存在下で色素-ペプチド・コンジュゲートが遊離され、ナプキンの底の透明窓に結合することが可能になる。イオンで覆われたプラスチックとの強いイオン相互作用、または親和性コートされたプラスチック材料との特異的結合によって、色素の収集を行うことができるようになる。色彩変化は、膣液または尿中の特異的物質の存在を示す。これらの物質は、BV、酵母感染(イースト)、陰部ヘルペス(HSV-2)、排卵前期、閉経期、または骨量減少(骨粗鬆症)に対する指標となるであろう。
【0235】
本明細書に記述したセンサー技術を、女性用ナプキン、パッド、またはおむつの中で用いて、尿路感染(UTI)における微生物(例えば大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、緑膿菌およびエンテロバクター種)、酵母感染症の微生物(例えばカンジダ種)、細菌性腟症、トリコモナス症の微生物、宿主プロテアーゼならびに皮膚発疹、おむつかぶれまたは褥瘡を引き起こすかもしれない他の酵素を非限定的に含む刺激因子などの、任意の因子の存在を検出することができる。
【0236】
例えば、多くの吸収性パッド、ナプキン、およびおむつは、色彩を生成する酵素から基質を分離するために用いることができる、少なくとも2〜3層の不織材料または他の吸収性材料、および非吸収性材料を有する。例えばナプキンは、上部ライナー、吸収性材料、および底部ライナーを有することができる。特異的なペプチド・コンジュゲートに接着された酵素を、ポリスチレンビーズまたはアガロースビーズにカップルし、そして次に吸収性材料を含む内部層へインクジェット印刷することができる。酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、フェノールオキシダーゼ(例えばラッカーゼ、CotA)、ガラクトシダーゼ、および本明細書に記述した他の酵素が非限定的に含まれる。または、ペプチドは、蛍光性または発色性の色素または本明細書に記述した他の色素などの色素と、コンジュゲートすることができる。底部表面から、底部防水層を小面積で除去し、次に、吸収性材料の底部側に、ナフトール(例えば100%メタノール中の5mg/mlのナフトールストック)、TMB (テトラメチルベンジジン)(例えば、US BiologiesからのTMB安定化ストック)、グアヤク樹脂またはABTS などの、酵素に特異的な基質(それらは西洋ワサビペルオキシダーゼの普通の基質である)を印刷することができる。または、イオン電荷で表面を処理して、単純顔料または蛍光色素コンジュゲートを収集する表面を与えることができる。
【0237】
宿主または微生物溶解酵素の存在下で、液体を内部吸収性材料層に引き入れる。ペプチド-酵素-ビーズ・コンジュゲートを含むこの層との相互作用が、酵素(HRPなど)を遊離させ、それは基質を含む底部表面に自由に移動することになろう。自由に拡散できる酵素が発色性基質に到着するとすぐに、数秒で色彩が生成された。
【0238】
ビーズ表面の酵素ペプチド・コンジュゲートの濃度を、所望の閾値(細菌性腟症用の106 CFUのガードネレラ・バギナリス、尿路感染症用の105 CFUの大腸菌、酵母感染症センサー用の106 CFUの糸状感染性カンジダ・アルビカンス、または皮膚発疹またはおむつかぶれセンサー用の、50〜100ngのヒトエラスターゼまたは1〜10ngのマトリックスメタロプロテアーゼ(1、2、9、および13)用などの)に依存して変更することにより、センサーを、上方または下方に用量設定することができる。または、内部吸収性材料の表面に塗布したペプチド-酵素-ビーズ・コンジュゲートの量により、濃度を所望の刺激閾値に調整することができる。いくつかの態様では、ナプキン、パッド、またはおむつの漏れを防止するために、色彩が変化することになる領域に透明なシートまたは窓を置くことが理想的であろう。
【0239】
一つの実施例では、おむつの底表面層をカットして円形領域を提供し、次にそこにTMB基質を印刷した。HRPを含むビーズ、および特異的な刺激物質に対して設計されたペプチドを、内部吸収性材料に注入する。そのような刺激物質を含む液体が存在する場合は、ペプチドが特異的に加水分解され、HRPがパッドの底面へと流れ、TMB基質を酸化して、数分でブリリアントブルーの色彩変化をもたらす。ナフトールのような他のHRP基質も用いることができる。
【0240】
追加の態様では、方法は、比色成分として単純色素(例えば食品用色素)を用い、それを例えばイオン交換メンブレンによって表面に集めることができる。
【0241】
実施例13:側方流動POC装置へのセンサーの組込み
本明細書に記述した液相診断法を、低部生殖路感染用のスリーインワンのポイントオブケア診断器具として、側方流動方式に転換することができる。一つの態様では、例えば診療室用の側方流動ポイントオブケア(POC)装置のための設計要件には1) 膣スワブと共に使えなければならない;2) 使い易くなければならない;3) 迅速でなければならない(例えば5分またはそれ未満);および 4) 信頼性がなければならない(高い選択度、低い偽陽性および偽陰性)が含まれる。
【0242】
構成要素
装置は本質的に、コンジュゲート・メンブレン、側方流動ストリップ、および吸上パッドの、3枚のメンブレンを有する。コンジュゲート・パッドはガラス微小繊維であってよく、HRP-ペプチド-ビーズを印刷することができる。ガラス微小繊維は、液体の流れを遅くし、それによって、微生物プロテアーゼがHRP-ペプチド-ビーズと反応するための時間を確保することが可能になる。側方流動パッドは、遊離したHRPを印刷された基質(例えばナフトール)に移送し、また装置の裏側の吸上メンブレンは、液体の流れを装置を通して導くための吸込み部として働く。
【0243】
印刷
ナフトール基質およびHRP-ペプチド-ビーズ製品の両方の印刷を自動化するために、PC制御のBioDotプリンター(二つのBioJet Quantiバルブを備えたAD3050調合プラットホーム)を用いることができる。ビーズを、ガラス微小繊維コンジュゲート・パッド上に、増粘剤として0.1%のキサンタンガムを使って、印刷することができる。AIRJET QUANTI DISPENSER (登録商標)スプレーノズルで、ポレックス K側方流動メンブレン上にコロイドン(Colloidon)中の2%ナフトールの線を印刷することができる。
【0244】
基質を、例えばインクジェットプリンタ類似の技術で一様に印刷するか、または増粘剤(例えばグリセロール)の存在下でパターンの型押しをすることができる。HRPを表面に押し付けた後に、酵素が多孔性の不織材料を通って流れて基質を酸化させ、それによって、明確に目視できる色彩変化を生成することができる。
【0245】
組立て、および積層
コンジュゲート・パッド、側方流動および吸上メンブレンを、裏打メンブレンに載せ、次に、迅速診断テスト用のKinematic積層装置を用いて、積層することができる。個々のストリップを切断して、プラスチック容器(例えば、Vaupell Rapid Solutionsなどのプラスチックメーカーが試作品を作ることができる)中に置くことができる。
【0246】
実施例14:消費者OTC製品へのセンサーの組込み
市販(OTC)製品の3層の女性用パッドに組込むことができる、単純で安全な診断用センサーを製造することができる。色彩変化は、十分に強固で、未訓練の観察者にとってさえも明確であると考えられる。FDAが承認した食品成分である青色1号を、膣液との直接的接触に用いることができる。本明細書に記述したセンサー(例えばBV、CVおよびTRICに対する、個々の色素-ペプチド-ビーズ化学製品)および収集メンブレン(ICE)を、最初に個々にテストして、それらが消費者診断器具として十分に特異的でかつ高感度であることを確かめることができる。センサーを確証するプロセスを、女性用ナプキンまたはパッドに材料を組み入れた後で、繰り返すことができる。
【0247】
センサー
一つの態様では、センサーは、BV、CVおよびTRICに特異的な三つのペプチドにコンジュゲートした青色1号を含む。色素-ペプチド・コンジュゲートを、小さなラテックスビーズ(1μm)に繋留することができる。センサーを女性用パッドの中間層に注入することができる。0.5gの青色1号(エリオグルアシン)を合成し、マレイミドで官能化することができる。
【0248】
この食品用色素の化学構造、N-エチル-N-[4-[[4-[エチル[(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホ-、分子内塩、ジナトリウム塩(CAS番号[3844-45-9])を、ここに提示する。青色1号のマレイミド体を、5:1の色素対ペプチドモル比を用いて、リン酸緩衝液pH7.5中室温で1時間ペプチドにコンジュゲートさせることができる。PD10カラムを用いて、ラベルされたペプチドを、組込まれなかった色素から除くことができ、次に色素ペプチド・コンジュゲートを、EDC化学を用いて、ポリスチレンビーズにコンジュゲートさせることができる。十分な色彩をパッドの底面に集めるために女性用パッドに注入する必要のある、ビーズの量を決めることができる。色素対ペプチド比および/またはペプチド対ビーズ比を変更して、ビーズからのタンパク質分解を最適化することができる。パッド中の膣液の量は、大幅に変化する(100μl〜2mlの液体)可能性がある。したがって、センサーはこの範囲の条件下で作動しなければならない。
【0249】
パッド
女性用パッドは三つの層、即ち別の型の材料を有する。遅い吸上上部層、無定形不織材料の中間層、および漏出防止障壁の底部層を有する。パッドを半分に切ってみると、内側の不織材料はポケット(2層)を形成することが分かる。この材料は、側方流動装置に非常によく似たように働く。それは膣液が、身体に接触している表面から遠ざかって一方向に、底部の非吸収性層に流れるからである。ペプチドを、pH4.5〜7.5の緩衝液(100mM MES [2-(Nモルホリノ)エタンスルホン酸]またはリン酸緩衝液)中で、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)カップリング試薬(Pierce)を用いて、ペプチドN末端アミノ基と表面にカルボキシル基を有するビーズとの反応により、安定したアミド結合を形成して、ビーズに結合することができる。十分な色彩をパッドの底面に集めるために女性用パッドに注入する必要のあるビーズの量を決定することができる。色素対ペプチド比および/またはペプチド対ビーズ比を変更することにより、ビーズからのタンパク質分解を最適化することができる。パッド中の膣液の量は、大幅に変化する(100μl〜2mlの液体)可能性がある。したがって、センサーは、この範囲の条件下で作動しなければならない。最適の信号を決定するために、ある範囲のペプチド色素コンジュゲートおよびビーズ濃度を用いることができる。次に、任意の過剰のペプチド色素コンジュゲートをビーズから洗い流し、洗浄緩衝液が許容されるバックグラウンドを有するようになるまで、ビーズを濯ぐことができる。
【0250】
センサー/パッド組合せ製品:パッド中へのビーズ液滴の印刷
BioDotプリンターを用いて、単純色素-ペプチド-ビーズを、パッドの不織材料層に注入することができる。パラメーターは、POC装置に印刷されたビーズとはわずかに異ってよく;注入速度は、開始速度100μl/秒、最高速度400μl/秒、および加速度10,000μl/秒2であり得る。一滴の中に調合されるビーズの量は25μlであり得る。メンブレンストリップを個々に切断することができ、液滴は十分な距離だけ離れている必要があるので、X軸繰返しがあり得る。これらの繰返しは、各パスの後毎に20mmである。
【0251】
BioDotから購入したAIRJET QUANTI DISPENSER (登録商標)を、TRISACRYL (登録商標)ビーズ・コンジュゲートおよびナフトールを含むコロイド溶液の両方の印刷のために、用いることができる。液滴プログラムを用いてTRISACRYL (登録商標)ビーズ(単純色素ペプチドビーズ、またはHRPペプチドビーズ)を印刷することができ、一方、線プログラムを用いてナフトール/酢酸アミルを印刷することができる。十分な溶液が機械の管内に存在するようにするために、最小3mlを各物質用に用いることができる。ナフトール/酢酸アミル溶液で線を印刷する際に、分注パラメーターの注入速度は、開始速度と最高速度の両方が10μl/秒および加速度が250μl/秒2となるであろう。線分注関数には、XY運動の遅れはありえない。同じ関数の下での直線座標はx軸が25.0mm、およびy相対値が0.0である。分注速度は2.5μl/cm、線の長さは25.0mm、および液滴間隔は0.304mmになるであろう。一本の実線を生成することができるように、いかなるX軸繰返しも存在しない。
【0252】
ナプキンの底部層に孔を切り開いた後に、ICEメンブレン(Pall)を挿入し、色彩変化を見るための漏れのない窓を提供するために、孔の上に透明な包帯または透明プラスチックシートを置くことができる。ICEメンブレン(Pall, Ann Arbor, MI)を用いて、パッドの中央層から底面に遊離した色素を集めることができる。ICEメンブレンは効率的にフリーの色素を集めて、強固な色彩信号を与える。女性用パッドの中央層からの青色色素の遊離を模倣する青色色素(Remazolブリリアントブルー)を、メンブレンから効率的に集めることができる。P4などの他の収集メンブレンは、フリーの色素をそれほど集めることができない可能性がある。TRIC、BV、およびCVの病原体からの抽出物を加えた人工膣液でこの試作品をテストすることができる。室温で1時間以内のインキュベーションで、色彩変化をパッドの底面で目視できるであろうことが期待される。
【0253】
実施例15:感染センサー:単純ヘルペスウイルスの検出
成熟ウイルス粒子の構築に必要なタンパク質分解プロセシングに基づく、HSVウイルスの感染センサー診断法が開発された。信号を増幅するために、一つの終端がアガロースまたはガラスビーズに接着され、もう一つの終端にはCotAまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などの増幅レポーター酵素を有する特異的ペプチドを含む、新規な酵素前駆体手法が開発された。
【0254】
HSVタンパク質UL26は、自動触媒的プロセッシングされる635個のアミノ酸のプロテアーゼである。自己切断を受けることに加えて、それはさらに、すぐ下流に位置する読み取り枠(ORF)の遺伝子産物を加水分解する(ICP35と呼ばれる) DiIanni, et al., J. Biol. Chem. 268:25449-25454 (1993))。UL26は、配列

に対して強い特異性を有する。そのペプチドは、12番目のアミノ酸(アラニン)と13番目のアミノ酸(セリン)の間で切断される。この特異的なタンパク質分解事象は生殖器水疱の早期警報信号となる可能性が高いが(Roizman et al.、米国特許出願公開第20020015944号)、このプロテアーゼの濃度は低すぎて、酵素前駆体によってさらに信号を増幅しなければ検出することができないことが予想される。この酵素前駆体手法は、信号増幅をもたらし、水疱および生殖器潰瘍をもたらすウイルスの溶解相の早期検出を可能にする。
【0255】
より具体的には、CotAを有するペプチドまたはHRPペプチド・コンジュゲートの加水分解が、メンブレンに結合した基質(ABTS、ナフトール)と相互作用する脱離基を提供した。フリーの酵素は側方流動によって移動し、それが基質を酸化させた部位で線を形成した。この酵素前駆体手法は、信号の20〜2000倍増幅を提供し、それにより以前の抗体に基づいた方法によっては確実には検出されなかったウイルスの溶菌サイクルを、検出することが可能になる。
【0256】
等価物
本発明を、その好ましい態様を参照して詳細に示し、また記述したが、当業者は、添付した特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その中で形式と詳細の様々な変更を行なうことができることを理解するであろう。
【0257】
本明細書に引用された各参照文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0258】
前述のおよび他の本発明の対象、特徴および長所が、添付の図面中に示される本発明の好適な態様の、以下のより詳細な記述から明白になる。図面は、必ずしも一定の縮尺で形成、強調をしようとするものではなく、本発明の原理を説明するためにある。
【図1】トリアジン色素リアクティブブルー4の水中でのUV/可視スペクトルを示すグラフである。
【図2】トリアジン色素リアクティブイエロー86のUV/可視スペクトルを示すグラフである。
【図3】REMAZOL(登録商標)ブリリアントブルーRの水中でのUV/可視スペクトルを示すグラフである。
【図4】REMAZOL(登録商標)、ブラックBビニルスルホンのUV/可視スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明の一つの態様の図面である。未修飾の基質は、ペプチド、黄色比色成分、および青色比色成分を含む。未修飾の基質は緑の色調を有する。プロテアーゼによる修飾の後には、黄色比色成分を含むペプチドの一部が切断されて、青色比色成分のみを基質に残す。
【図6】本発明の金属キレート化態様の図面である。この場合は色素である比色成分が、ニッケル-NTA樹脂固体支持体に接着されたペプチドに含まれる。プロテアーゼが、ペプチドの一部を切断し、切断された部分は元の表面よりもメンブレンコレクターの方に対して大きな親和性を有する。色素がコレクターの方へ移動するとともに、残りのペプチドおよび固体支持体は可視の色彩変化を生成する。
【図7】荷電したメンブレンが、比色成分を含む基質にカップルされている、本発明の態様の図面である。プロテアーゼがペプチドの一部を切断し、切断された部分は元の表面よりもメンブレンコレクターに対して大きな親和性を有する。色素がコレクターの方へ移動するとともに、残りの基質および固体支持体は可視の色彩変化を生成する。
【図8】エピトープタグ(ポリヒスチジン、FolA)、比色成分(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、およびリサミンローダミン塩化スルホニル(LRSC))、ならびに10個のランダムなアミノ酸配列(即ち遺伝子レベルのヌクレオチド配列の各塩基をランダム化した「揺らぎ」配列)を用いる、三つのペプチドライブラリのコンストラクションの図面である。
【図9】プレート番号69の様々なウエル中で測定された信号強度の図表である。
【図10】プレート番号76の様々なウエル中で測定された信号強度の図表である。
【図11】ガードネレラ・バギナリス (「Gardnerella」)、黄色ブドウ球菌 (「Staph A」)、化膿連鎖球菌 (「Strep P.」)、大腸菌 (E. coli)、および大便連鎖球菌 (「Entero」)とインキュベートしたときの、5分間に亘るGV2 (PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1))ペプチドのガードネレラ・バギナリスに対する特異性を示すグラフである。
【図12】ペプチドITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)が、アシドフィルス菌(「Lacto」)からの未同定のプロテアーゼを検出することを示すグラフである。
【図13】女性用ナプキンの設計の一例の図面である。
【図14】カナマイシンペプチドライブラリクローンのゲル電気泳動の走査図である。
【図15】pH指示薬のリストである。
【図16】酵素センサーの図面である。固定されたポリスチレンラテックスビーズ(原寸に比例せず)を、ペプチド-HRPコンジュゲートで官能化する。特異的な微生物プロテアーゼ存在下で、ペプチド配列が切られ、HRPがビーズ表面から離される。過酸化水素の存在下で、HRPの比色基質は色彩変化をして、病原体の検出可能な信号を与える。
【図17】色素に基づくセンサーの図面である。センサーの断面の側面図を示す。色素-ペプチド・コンジュゲートが共有結合でメンブレン(A)に接着している。最初は、青い色はユーザーに見えない、それは、ICE (Pall) (B)などの色素に対して高い親和性を有する第2の白いメンブレンによって覆われているからである。特異的な微生物プロテアーゼの存在が、ペプチド配列のタンパク質分解切断によって、色素分子を遊離する。次に、これらの色素分子は、自由に色素捕獲メンブレン(C)の上面へ移動し、可視の青色信号を生成して、高レベルの微生物病原体の存在を明らかにする。
【図18】診断用センサーを確証し、また臨床膣スワブ試料からの各病原体のレベルを確認するための定量的PCR (qPCR)で用いられる、PCRプライマーを図示する。互いに交差反応をしないで関心対象の生物体を認識するであろうrDNAの可変領域を用いて、カンジダ・アルビカンス、大腸菌およびアシドフィルス菌用のプライマーを決定した。各生物体からのrDNAの可変領域をアラインメントし、これをプライマー設計の指針として用いた。可変領域(V1)についてのアラインメントが強調表示されている。先頭行は連続するアミノ酸配列を示す。
【図19】各リボソームPCR生成物に対する陽性対照であるPCR生成物を含むゲルの、走査図である。大腸菌 (E)、カンジダ・アルビカンス (C)、ガードネレラ・バギナリスおよびアシドフィルス菌 (L)のrDNAプライマーは特異的である。各ゲルについて、ゲルのレーンは、次の試料を含む:レーン1:カンジダ・アルビカンス、レーン2:ガードネレラ・バギナリス、レーン3:アシドフィルス菌、レーン4:大腸菌、レーン5:鋳型なし。
【図20】細菌を含まない対照(左)および細菌を含むテストストリップ(右)による側方流動診断器具である。細菌を有するストリップ上のナフトール線は紫色に変わり、それは細菌の存在に対する陽性の表示を与えた。
【図21】ポイントオブケア側方流動装置の内部材料の画像である。装置は四つの要素を有する:側方流動ストリップ(1)、コンジュゲート・メンブレン(2)、基質線(3)および吸上パッド(4)である。
【図22】ペプチド(GV2) PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)が、ガードネレラ・バギナリスからの未同定のプロテアーゼを検出することを示すグラフである。
【図23】カンジダ・アルビカンスを検出することができる特異的ペプチド(G11、それはTPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)である)をプロットしたグラフである。
【図24】カンジダ・アルビカンスの臨床的膣分離株の、標的ペプチド(H2 (QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9))およびR8 (KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)))に対する表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含む雌哺乳動物の状態を評価する方法:
a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程であって、未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分を含む、工程;および
b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程であって、修飾は、基質から第1の比色成分または酵素を切断する工程を含み、可視信号をもたらし、ここで、修飾または修飾の非存在は雌哺乳動物の状態を示す、工程。
【請求項2】
基質がガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)によって産生されるタンパク質に対して特異的である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
基質が乳酸桿菌(Lactobacillus)種によって産生されるタンパク質に対して特異的である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
基質がカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)によって産生されるタンパク質に対して特異的である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
基質が、バクテロイド(Bacteroides)種、モビルンカス種、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)種、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、ペプトストレプトコッカス種、プレボテラ・ビビア(Prevotella bivia)、ポルフィロモナス(Porphyromonas)種、およびトリコモナス(Trichomonas)種からなる群より選択される少なくとも一つの微生物によって産生されるタンパク質と反応しない、請求項1記載の方法。
【請求項6】
状態が細菌性腟症である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
状態が、カンジダ症、トリコモナス症、細菌性腟症、尿路感染症、陰部ヘルペス、排卵前期、閉経期、および骨粗鬆症からなる群より選択される少なくとも一つの状態である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
試料のpHを測定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
試料中の揮発性ポリアミンの量を測定する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ペプチドが固体支持体にカップルされている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
基質の修飾が、固体支持体の色調の可視度の増大をもたらす、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ペプチドが、共有結合により固体支持体に接着されている、請求項10記載の方法。
【請求項13】
固体支持体が、ビーズ、滅菌された材料、試料を含む物品、試料を集める物品、ポリマー、メンブレン、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、発泡体、布、紙、縫合糸、およびバッグからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
固体支持体が、女性用ナプキン、パッド、おむつ、拭取り紙、スワブ、およびタンポンからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項15】
第1の比色成分が、蛍光色素、冷光色素、または発色性色素である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
第1の比色成分が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、ラッカーゼ、またはアルカリホスファターゼである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
未修飾基質が、第1の比色成分と異なる第2の比色成分をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
第1の比色成分が共有結合によりペプチドに結合している、請求項1記載の方法。
【請求項19】
修飾がペプチド結合の加水分解を含み、ペプチドの一部が基質から分離する結果になる、請求項1記載の方法。
【請求項20】
基質が下記からなる群の少なくとも一つのメンバーを含む、請求項1記載の方法:ペプチド配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、ペプチド配列ITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)、ペプチド配列KPKAFXXX (SEQ ED NO: 3)、ペプチド配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)、ペプチド配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、ペプチド配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、ペプチド配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、ペプチド配列KPSIKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、ペプチド配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、ペプチド配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、ペプチド配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、ペプチド配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、ペプチド配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、ペプチド配列NNPLPKIQKN (SEQ ID NO: 14)、ペプチド配列KNPKLQDHYI (SEQ ID NO: 15)、ペプチド配列QINKALKQPK (SEQ ID NO: 16)、ペプチド配列QIPKSLHPIT (SEQ ID NO: 17)、ペプチド配列LHNYVLLRNIL (SEQ ID NO: 18)、ペプチド配列SKQQDIIKKY (SEQ ID NO: 19)、およびペプチド配列NKTNKTKHAY (SEQ ID NO: 20)、ペプチド配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、ならびにペプチド配列


【請求項21】
可視信号が、蛍光発光または冷光発光の増大を含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
可視信号が色調の変化を含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
可視信号が退色である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
試料が、膣液または尿の一部を含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
基質の修飾が、ペプチドの一部を切断して切断片を生成する工程であって、切断片は第1の比色成分を含み、修飾は切断片のコレクターへの移動をもたらし、そして移動は可視信号をもたらす、工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
コレクターが、メンブレン、樹脂、ポリマー、フィルム、およびキレート材料からなる群より選択される少なくとも一つの材料を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
基質の修飾が、溶解素、自己溶解素、リパーゼ、菌体外毒素、細胞壁酵素、マトリックス結合酵素、プロテアーゼ、加水分解酵素、病原性因子酵素、ホルモンおよび代謝酵素からなる群より選択される細菌性酵素の存在を示すために用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項28】
下記からなる群より選択される少なくとも一つのアミノ酸配列を含むペプチド:ペプチド配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、ペプチド配列ITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)、ペプチド配列KPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、ペプチド配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)、ペプチド配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、ペプチド配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、ペプチド配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、ペプチド配列KPSIKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、ペプチド配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、ペプチド配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、ペプチド配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、ペプチド配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、ペプチド配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、ペプチド配列NNPLPKIQKN (SEQ ID NO: 14)、ペプチド配列KNPKLQDHYI (SEQ ID NO: 15)、ペプチド配列QINKALKQPK (SEQ ID NO: 16)、ペプチド配列QIPKSLHPIT (SEQ ID NO: 17)、ペプチド配列LHNYVLLRNIL (SEQ ID NO: 18)、ペプチド配列SKQQDIIKKY (SEQ ID NO: 19)、およびペプチド配列NKTNKTKHAY (SEQ ID NO : 20)、ペプチド配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、ならびにペプチド配列


【請求項29】
微生物によって産生されるタンパク質に特異的に反応するペプチドと該ペプチドにカップルされている第1の比色成分とを含む、タンパク質の存在または非存在を検出するためのセンサー。
【請求項30】
第1の比色成分が共有結合によりペプチドに結合している、請求項29記載のセンサー。
【請求項31】
ペプチドが下記からなる群より選択される少なくとも一つメンバーを含む、請求項29記載のセンサー:ペプチド配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、ペプチド配列ITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)、ペプチド配列KPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、ペプチド配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)、ペプチド配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、ペプチド配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、ペプチド配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、ペプチド配列KPSIKPTPPY (SEQ ED NO: 8)、ペプチド配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、ペプチド配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、ペプチド配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、ペプチド配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、ペプチド配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、ペプチド配列NNPLPKIQKN (SEQ ID NO: 14)、ペプチド配列KNPKLQDHYI (SEQ ID NO: 15)、ペプチド配列QINKALKQPK (SEQ ID NO: 16)、ペプチド配列QIPKSLHPIT (SEQ ID NO: 17)、ペプチド配列LHNYVLLRNIL (SEQ ID NO: 18)、ペプチド配列SKQQDIIKKY (SEQ ID NO: 19)、およびペプチド配列NKTNKTKHAY (SEQ ID NO: 20)、ペプチド配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、ならびにペプチド配列


【請求項32】
第1の比色成分が、蛍光色素、比色色素、冷光色素、西洋ワサビペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、ラッカーゼ、またはアルカリホスファターゼからなる群より選択される、請求項29記載のセンサー。
【請求項33】
ペプチドにカップルされている第2の比色成分をさらに含み、第1の比色成分は第1の比色成分と異なる、請求項29記載のセンサー。
【請求項34】
ペプチドがカップルされている固体支持体をさらに含む、請求項29記載のセンサー。
【請求項35】
ペプチドが共有結合により固体支持体に接着されている、請求項34記載のセンサー。
【請求項36】
固体支持体が、ビーズ、滅菌された材料、試料を含む物品、試料を集める物品、ポリマー、メンブレン、スポンジ、ディスク、スコープ、フィルター、発泡体、布地、紙、縫合糸、スペキュラおよびバッグからなる群より選択される、請求項34記載のセンサー。
【請求項37】
固体支持体が、女性用ナプキン、パッド、おむつ、拭取り紙、スワブ、およびタンポンからからなる群より選択される、請求項34記載のセンサー。
【請求項38】
メンブレン、樹脂、ポリマー、フィルム、ビーズ、ガラス、またはキレート材料からなる群より選択される少なくとも一つの材料を含むコレクターをさらに含む、請求項29記載のセンサー。
【請求項39】
ペプチドが、溶解素、自己溶解素、リパーゼ、菌体外毒素、細胞壁酵素、マトリックス結合酵素、プロテアーゼ、加水分解酵素、病原性因子酵素、および代謝酵素からなる群より選択される酵素に特異的に反応する配列を含む、請求項29記載のセンサー。
【請求項40】
請求項29記載のセンサーと少なくとも一つの試薬とを含む、雌哺乳動物の状態を評価するためのキット。
【請求項41】
固体支持体ならびに微生物により産生されるタンパク質に特異的に反応するペプチドおよびペプチドにカップルされた第1の比色成分または酵素を含み、固体支持体にカップルされている基質を含む、女性衛生製品。
【請求項42】
第1の比色成分が共有結合によりペプチドに結合している、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項43】
基質が、下記からなる群より選択されるペプチド配列を含む、請求項41記載の女性衛生製品:ペプチド配列PFINETYAKFC (SEQ ID NO: 1)、ペプチド配列ITTTSSKHEHC (SEQ ID NO: 2)、ペプチド配列KPKAFXXX (SEQ ID NO: 3)、ペプチド配列VPGDPEAAEARRGQC (SEQ ID NO: 4)、ペプチド配列KPKAFLKGRR (SEQ ID NO: 5)、ペプチド配列KPKAFLKVGN (SEQ ID NO: 6)、ペプチド配列LYPILKKNQK (SEQ ID NO: 7)、ペプチド配列KPSKPTPPY (SEQ ID NO: 8)、ペプチド配列QKTTIKKLKH (SEQ ID NO: 9)、ペプチド配列TPIQIHTILH (SEQ ID NO: 10)、ペプチド配列INLSKKQIYP (SEQ ID NO: 11)、ペプチド配列LYPSQNPVIK (SEQ ID NO: 12)、ペプチド配列NITKKSTKII (SEQ ID NO: 13)、ペプチド配列NNPLPKIQKN (SEQ ID NO: 14)、ペプチド配列KNPKLQDHYI (SEQ ID NO: 15)、ペプチド配列QINKALKQPK (SEQ ID NO: 16)、ペプチド配列QIPKSLHPIT (SEQ ID NO: 17)、ペプチド配列LHNYVLLRNIL (SEQ ID NO: 18)、ペプチド配列SKQQDIIKKY (SEQ ID NO: 19)、およびペプチド配列 NKTNKTKHAY (SEQ ID NO: 20)、ペプチド配列QRTTIRRLRH (SEQ ID NO: 21)、ならびにペプチド配列


【請求項44】
第1の比色成分が、蛍光色素、発色性色素、冷光色素、食品用色素、西洋ワサビペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ガラクトシダーゼ、ラッカーゼ、またはアルカリホスファターゼからなる群より選択される、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項45】
ペプチドにカップルされている第2の比色成分をさらに含み、第1の比色成分は第1の比色成分と異なる、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項46】
ペプチドが共有結合により固体支持体に接着されている、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項47】
女性用ナプキン、拭取り紙、スワブ、パッド、およびタンポンからなる群より選択される、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項48】
メンブレン、樹脂、ポリマー、フィルム、ビーズ、吸収性パッドの層、ガラス、またはキレート材料からなる群より選択される少なくとも一つの材料を含むコレクターをさらに含む、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項49】
ペプチドが、溶解素、自己溶解素、リパーゼ、菌体外毒素、細胞壁酵素、マトリックス結合酵素、プロテアーゼ、加水分解酵素、病原性因子酵素、および代謝酵素からなる群より選択される酵素に特異的に反応する配列を含む、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項50】
吸収性材料を含む少なくとも一つの内部層をさらに含む、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項51】
酵素に特異的な基質をさらに含み、ここで、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ラッカーゼまたはガラクトシダーゼである、請求項49記載の女性衛生製品。
【請求項52】
基質が、ガードネレラ・バギナリス、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)およびカンジダ・アルビカンスの各々に対して特異的なペプチドを含む、請求項41記載の女性衛生製品。
【請求項53】
哺乳動物中の刺激因子の存在または非存在を検出する方法であって、該刺激因子は、細菌、酵母、寄生生物、原生動物、宿主プロテアーゼ、および酵素からなる群より選択され、かつ、女性用ナプキン、パッドおよびおむつからなる群より選択される吸収性パッド中で検出される、下記の工程を含む方法:
a) 基質の修飾をもたらす条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程であって、未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分を含み、第1の比色成分はペプチドにカップルされ、試料は哺乳動物の膣液または尿を含む、工程;ならびに
b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程であって、修飾は基質から第1の比色成分または酵素を切断する工程を含み、可視信号をもたらし、ここで、修飾または修飾の非存在は哺乳動物中の刺激因子の存在または非存在を示す、工程。
【請求項54】
哺乳動物の状態の存在または非存在を検出する方法であって、該状態は、尿路感染症、酵母感染症、細菌性腟症、カンジダ症、トリコモナス症、皮膚発疹、おむつかぶれおよび褥瘡からなる群より選択される、下記の工程を含む方法:
a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程であって、未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分または酵素を含み、第1の比色成分または酵素はペプチドにカップルされ、試料は哺乳動物の膣液または尿を含む、工程;ならびに
b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程であって、修飾は基質から第1の比色成分または酵素を切断する工程を含み、可視信号をもたらし、ここで、修飾または修飾の非存在は哺乳動物中の刺激因子の存在または非存在を示す、工程。
【請求項55】
哺乳動物の状態を評価する方法であって、下記の工程を含む方法:
a) 基質の修飾をもたらすと考えられる条件下で、未修飾の基質を試料に曝す工程であって、未修飾の基質はペプチドおよび第1の比色成分または酵素を含み、第1の比色成分または酵素はペプチドにカップルされている、工程;ならびに
b) 基質の修飾または基質の修飾の非存在を検出する工程であって、修飾は基質から第1の比色成分または酵素を切断する工程を含み、ここで、可視信号をもたらし、修飾または修飾の非存在は哺乳動物の状態を示す、工程。
【請求項56】
基質が膣トリコモナスによって産生されるタンパク質に特異的である、請求項1記載の方法。
【請求項57】
状態がトリコモナス症である、請求項1記載の方法。
【請求項58】
固体支持体および基質を含む吸収性消費製品であって、ここで、固体支持体は、体液を吸収する材料の少なくとも一つの吸収性層および体液の漏出を防止するための少なくとも一つの非吸収性層を有する、吸収性消費製品。
【請求項59】
体液が膣液である、請求項58記載の製品。
【請求項60】
体液が尿液である、請求項58記載の製品。
【請求項61】
第1の比色成分が食品用色素である、請求項29記載の第1のセンサー。
【請求項62】
側方流動ストリップ、コンジュゲート・メンブレン、基質線および吸上パッドを含む、雌哺乳動物の状態を評価するための側方流動装置。
【請求項63】
第1の比色成分が食品用色素である、請求項1記載の方法。
【請求項64】
製品が女性用ナプキンである、請求項58記載の方法。
【請求項65】
製品がおむつである、請求項58記載の方法。
【請求項66】
基質が単純ヘルペスウイルスによって産生されるタンパク質に対して特異的である、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2009−501715(P2009−501715A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521614(P2008−521614)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/027240
【国際公開番号】WO2007/009047
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508011496)イーシーアイ バイオテック インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】