説明

女性用後膣壁プロテーゼ

性交中に摩擦接触から後膣壁(610)を遮蔽するような寸法および形状にされたパンケーキ型本体(100)、頸部(110)および張り出し扁平持ち手(120)を含むプロテーゼ。この自己留置するプロテーゼは、パンケーキ型本体(100)を膣内に留置する手段およびプロテーゼの挿入中または性交中に張り出し扁平持ち手(120)が膣に進入することを阻止する手段を含む。このプロテーゼは、膣の容積を縮小させて、膣開口の領域を減少させ、女性の膣を緊縮するための手術以外の費用効率の高い解決策を提供する。後膣壁プロテーゼは、膣が大きな女性にタンポンの使用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は一般的に医療機器に関し、特に後膣壁を複製するために構成されたプロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
会陰切開術、膣美容整形手術または膣裂傷の後、後膣壁上に残る治癒された傷跡が痛くなったり、後膣壁上の領域が過敏になったりし得る。この領域における過敏に対して役立つために、この領域上の摩擦を減らすように、性交中に後膣壁に装着できる敏感領域被覆器具が必要である。会陰切開術を行う場合の標準的な医療行為は、膣入り口から会陰に向けて、およびその中への切開である。これらの領域は、裂傷、閉塞、縫合、傷跡、傷、陰部疣贅および性器ヘルペス症を含む様々な手術および非手術の外傷箇所であり、それらのすべてが後膣壁、膣入り口および会陰の領域を過敏にさせる可能性がある。
【0003】
さらに、女性の膣および膣入り口は、人によって生まれつきサイズが異なる。老化、出産による過剰拡大、または性行為のような要因は、膣および膣入り口にさらに弾力を失わせる可能性がある。膣の緊縮を助けるために、女性は、選択することができる少数の選択肢を持っている。これらの選択肢は、成功および危険のさまざまな程度がある。
【0004】
昔から、膣を緊縮すると言われているクリームを使用する女性もいる。証拠は、これらの軟膏に顕著な緊縮効果がないと考えられることを示す。膣内壁へのクリームの適用は、困難で厄介であり、性交に一致するように適切に時間を合わせるようにしなければならない。クリームのうちのいくつかは、ベンゾカイン、ミョウバンまたはワセリンを含んでおり、いずれも膣に挿入されることが推薦されるものではない。
【0005】
もう一つの先行技術の選択肢は、ミョウバン膣洗浄を行うことである。ミョウバン膣洗浄は、医者によっては推奨されず、刺激を感じることがあり、骨盤および膣の感染症の危険の増加と関係している。ミョウバンは、膣壁を収縮するように作用する収れん剤であるが、収縮がどれくらいの時間続くかを判断する方法も、収縮する範囲をコントロールする方法もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カリフォルニア大学のアーノルド・ケーゲル(Arnold Kegel)博士によって開発されたエクササイズのような、恥骨尾骨筋を強くするように考案されたエクササイズを行うことは、膣を緊縮するように膣筋を働かせる医師推奨の方法である。これらの筋肉を同一視することは難しいと分かる人々のためには、生体自己制御システムが有用となりえる。これらの筋肉も、様々な膣訓練装置(少し例を挙げると、マーサー(Mercer)らの米国特許第4,241,912号(1980)、ザッセ(Sasse)の米国特許第4,048,985号(1977)、プレブニック(Plevnik)らの米国特許第4,895,363号(1990)、レインボルト(Reinbolt)の米国特許第5,256,123号(1993))を使用して訓練することができる。これらの訓練方法の1つの欠点は、結果を見るのに長い時間(平均6〜12週間)がかかるということである。従って、人は、それが有効となるまで筋肉開発プログラムを十分に長く続けることに専心しなければならない。さらに、他の筋肉と同様に、筋肉を絶えず働かせなければ、恥骨尾骨筋はそれらの強さを失うだろう。他の欠点は、性交中に有効であるために女性が内部筋肉を意識的に収縮しなければならないということであり、それにより性交自体の行為をリラックスして楽しむための彼女の能力を損なうことである。
【0007】
デ・ランジス(De Langis)の米国特許第3,640,284号(1972)に述べられていたような膣の電気療法は、正常な筋肉運動と関係する物理・化学的な現象を再生する。小さな電子プローブが膣内に置かれ、無痛の低周波電流が膣筋の収縮を引き起こす。また、膣筋は、ロス(Ross)らの米国特許第6,672,996号(2004)に述べられていたような、吸引磁石で訓練することができる。残念ながら、これらの方法のいずれも、高価であり、在宅環境で使用することは難しい。
【0008】
膣美容整形手術は、膣壁の支持組織と一緒に膣筋も緊縮することを支援する外科的処置である。どのような過剰な膣粘膜組織もレーザーで切除または除去する。結果は、膣筋のサイズの即時の縮小である。これは、高価な処置であり、次の危険がある:麻酔、出血、血腫、腫れ、痛みおよび圧痛を伴う感染症、ならびに術後瘢痕の問題。膣壁領域および筋肉内の合併症により感度を失う危険もある。
【0009】
マーク(Mark)によって2008年6月26日に出願されたカナダ特許出願第2,673,567号は、性交中に、女性に増加した充満感を、人間男性の陰茎に増加した緊縮感および摩擦感を与えるために、人間女性の膣内に挿入される性行為補助装置について記述する。
【0010】
マークの性行為補助装置および方法の欠点は、以下のとおりである:
【0011】
(a)マークの装置は、使用(ここで、使用は、着席、歩行、正常な日常活動および性交を含む)している間、後膣壁、膣入り口または会陰を遮蔽するように計画または設計されていない。マークの装置は、後膣壁、膣入り口および会陰を含む広い領域を被覆することを怠り、それにより、過敏を経験する女性をこれらの領域の摩擦接触にさらす。後膣壁、膣入り口および会陰は、これらに限定されないが、裂傷、閉塞、縫合、傷跡、傷、いぼおよび疱疹を含み、しばしば過敏な場所である。さらに、マークの装置は、装置が輪またはコンドームを介して陰茎に付けられているとき、後膣壁、膣入り口および会陰の十分な範囲に沿って摩擦接触を保証する。この摩擦接触は、さらに過敏な領域を刺激する。
【0012】
(b)マークの装置は、性交以外で使用されるように計画または設計されていない。彼の装置は、もっぱら膣によっていつでも保持されるように設計されていない。膣内では、マークの装置は、球根性端部がたった1つの保持機構として設計されている。女性がマークの装置を使用して立ち姿勢でいると、装置は、球根性端部が膣入り口に向けて落下するように、重力による移動の影響を受けやすい。肛門挿入体があるマークの実施例は、第2の留置手段として役立つが、この留置形態は、日常のトイレ活動を複雑にし、さもなければ一日中着用するためには適切ではないかもしれない。マークの装置は、一日中および一晩中、快適に着用されるようには設計されていない。
【0013】
(c)マークの装置は、膣に挿入されたときに装置をそれ自体で着座させ、使用中に肛門に挿入させることなしに着座させ続ける輪郭形状を持たない。マークの装置を1つの穴に配置する場合、彼の装置は、自己位置決めせず、自己留置することはなく、ユーザ定義の位置に留まらず、回転に抵抗しない。マークの装置は、それが膣入り口筋を通ったときに装置を膣に引き込む役目をする拡張機構を持たないばかりか、彼の装置は、挿入中および使用中に装置が膣に全部入ってしまうことを阻止するための輪郭形状を持たない。マークの装置は、膣の内部および外部のユーザ定義の所定位置に装置を留置する特徴を持たない。
【0014】
(d)マークの装置は、女性がタンポンのような血液収集器具を使用することを可能にするために、膣によって排他的に留置されるように計画または設計されていない。さらに、彼の装置は、経皮薬物送達の方法を支援するために機能しない。
【0015】
(e)マークの装置は、挿脱可能な電子装置を適応するように設計されていない。彼の装置は、製造原価を増加させ、エンドユーザの選択肢を制限し、彼の装置を容易に再利用できなくする内蔵電子装置を有する。
【0016】
(f)単一の材料から製造されるマークの実施例は、装置が挿入されるときに膣入り口筋を引き伸ばす。膣入り口筋の引き伸ばしを最小化するために、マークは、膣内への挿入のための円筒状に折り畳める実施例を持っていない。しかしながら、この実施例は、少なくとも2つの異なるタイプの材料、および器具の再利用を複雑化するより複雑な製造工程を必要とする。マークの装置は、製造が容易で、膣入り口筋を引き伸ばさずに膣に容易に挿入するための細い円筒体に手で丸めることができる工学的形状を利用していない。
【0017】
それ故、女性のために、後膣壁、膣入り口および会陰の領域上の敏感な領域をいつでも遮蔽し、緊縮された膣入り口の感覚を回復し、より大きな膣を持った女性にタンポンの使用を可能にするための、手術以外で費用効率の高い解決策が必要である。この点において、後膣壁プロテーゼは、実質的にこの必要を満たす。本発明に係る後膣壁プロテーゼは、任意の先行技術の従来の概念および設計から大きく離れている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
<目的および利点>
従って、後膣壁プロテーゼのいくつかの目的および利点は、次のとおりである:
【0019】
(a)自己留置し、ハンズフリーで、人間工学的であり、後膣壁、膣入り口および会陰の領域上に対する摩擦接触を遮蔽するプロテーゼを提供する;
【0020】
(b)膣の容積を有効に縮小させ、膣開口の領域を減少させるプロテーゼを提供し、よって女性に緊縮された膣の感覚を与えるための手術以外の費用効率の高い解決策を提供する;
【0021】
(c)カップルに性交中に所望の交合および所望の感覚を達成させるプロテーゼを提供し、所望の交合および感覚のためにその関係以外を求める必要を減少させ、よってAIDSの感染および他の性感染疾病または感染症を減少させる;
【0022】
(d)陰茎のまわりにより多くの圧力を加えることにより、男性パートナーのための感覚を増加させるプロテーゼを提供する;
【0023】
(e)より大きな膣からタンポンが落下するのを阻止するプロテーゼを提供し、よってタンポンの使用を可能にする;
【0024】
(f)膣が異物によって挿入されている間にもプロテーゼが所定位置に残ることを保証するための設計特性を持つプロテーゼを提供する;
【0025】
(g)女性の膣内への容易な挿入を考慮して円筒管状形に丸められるプロテーゼを提供し、プロテーゼの挿入に対応するために膣入り口筋を拡張する必要がない;
【0026】
(h)自己留置し、自己位置決めし、膣内の所定位置に残留するために、その展開状態で必要な張力を供給するように、挿入の後に自然に展開するプロテーゼを提供する;
【0027】
(i)会陰領域を保護するこの領域の自然な輪郭に追随する膣入り口の外部に存在する張り出し扁平持ち手があるプロテーゼを提供する;
【0028】
(j)器具全体が膣に進入するのを阻止する役目をする張り出し扁平持ち手を有するプロテーゼを提供する;
【0029】
(k)膣の内部および外部の両方で同時に留置されるプロテーゼを提供する;
【0030】
(l)膣に挿入された後に回転に抵抗するプロテーゼを提供する。
【0031】
さらなる目的および利点は、続く説明および図面の考察から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、1つの実施例に従って留置球状部を備えた後膣壁プロテーゼの上からの等角図である。
【図2】図2は、図1の後膣壁プロテーゼの下からの等角図である。
【図3】図3は、図1の後膣壁プロテーゼの平面図である。
【図4】図4は、図3の後膣壁プロテーゼの4−4線に沿って得られた断面図である。
【図5】図5は、図3の後膣壁プロテーゼの5−5線に沿って得られた断面図である。
【図6】図6は、人間女性の膣道の位置での図1の後膣壁プロテーゼを示す矢状面図である。
【図7】図7は、実施例2に従った後膣壁プロテーゼの上からの等角図である。
【図8】図8は、図7の後膣壁プロテーゼの下からの等角図である。
【図9】図9は、図7の後膣壁プロテーゼの平面図である。
【図10】図10は、図9の後膣壁プロテーゼの10−10線に沿って得られた断面図である。
【図11】図11は、図9の後膣壁プロテーゼの11−11線に沿って得られた断面図である。
【図12】図12は、実施例3に従った後膣壁プロテーゼの上からの等角図である。
【図13】図13は、図12の後膣壁プロテーゼの下から等角図である。
【図14】図14は、図12の後膣壁プロテーゼの平面図である。
【図15】図15は、図14の後膣壁プロテーゼの15−15線に沿って得られた断面図である。
【図16】図16は、図14の後膣壁プロテーゼの16−16線に沿って得られた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0033】
<実施例1の構成(図1−6)>
曲がった持ち手を備えたへらに似ている後膣壁プロテーゼの1つの実施例は、図1−5に図示される。この実施例は、パンケーキ型本体100、狭窄頸部110、張り出し扁平持ち手120および中央球状部130を含んで構成されている。パンケーキ型本体100は、2つの突出側翼140,140を含んでいる。狭窄頸部110は、図1に示されるように、パンケーキ型本体100を張り出し扁平持ち手120に接続する。この実施例は、柔軟で弾力がある単一の構造でなり、パンケーキ型本体100と張り出し扁平持ち手120とは中間で狭角を以って分岐する関係に配置される。この狭角内に、涙滴状の中央球状部130が、図2に示されるように、狭窄頸部110の近くのパンケーキ型本体100の根元に、狭窄頸部110に最も接近して球状部の大部分が備わるように配置されている。後膣壁プロテーゼは、図6中に示されるような人間女性の膣に置かれるような寸法で形成されている。その結果、パンケーキ型本体100の端部は膣の後円蓋620に向けて配置され、中央球状部130は後膣壁610に接触するように配置され、狭窄頸部110は膣入り口640に位置し、張り出し扁平持ち手120は会陰630の方を向く。プロテーゼが膣内でこのように位置するときに、狭窄頸部110が性交を許容する三日月形であることに留意しなければいけない。狭窄頸部110の横断面図は、図5に図示される。
【0034】
この実施例の製造に好適な材料は、デュロメーターを用いて測定したときにショアOスケール硬さが15−25の間にある医療グレードシリコーンまたはエラストマーゲルである。使用されて好適なエラストマーゲルは、シュービン(Shubin)の米国特許第5,807,360号(1998)に記載されている。後膣壁プロテーゼのこの実施例は、次の特性を含む他の材料で作ることができる。材料は、柔らかく、柔軟で、人間の指によって変形可能でなければならない。材料は、永久歪を防ぐ弾性記憶を持ち、かつプロテーゼが膣内に挿入された後に自然に展開することを許容しなければならない。材料は、さらに安定していて、劣化せずに多数回の洗濯が可能であるべきである。材料は、さらに人間肉体の密度および手触りを持っているべきであり、材料を通して振動および熱を容易に伝達できなければならない。
【0035】
後膣壁プロテーゼは、従来の液状射出成形技術および手法を使用して成形される。
【0036】
<実施例1の動作(図1−6)>
突出側翼140のうちの1つから開始し、反対の突出側翼140で終了するように、パンケーキ型本体100は、中央球状部130と一緒に外側に巻き上げられる。それから、巻き上げられたパンケーキ型本体100は、狭窄頸部110が膣入り口640に位置し、張り出し扁平持ち手120が膣の外部で、会陰630に隣接するように位置するまで膣に挿入される(図6の人間女性の膣道での配置を参照)。一旦、膣腔に入ると、プロテーゼ材料のその原形に戻るという自然な傾向により、プロテーゼは展開する。しかしながら、プロテーゼが目的通りに機能するには、完全な展開は必要はない。快適さのためにほんの少しの置き換えは、張り出し扁平持ち手120の調節により行うことができる。この位置では、プロテーゼは、内部空洞の容積を縮小させ、膣入り口の領域を減少する。さらに、様々な狭窄頸部の幾何学的形状は、より大きな男性性器を模倣することができる。中央球状部130およびパンケーキ型本体100の形状は、膣内にプロテーゼを留置するための留置手段として働く。張り出し扁平持ち手120の形状は、張り出し扁平持ち手120が膣に進入するのを阻止する阻止手段として働く。
【0037】
プロテーゼを取り除くために、張り出し扁平持ち手120が手で握られ、プロテーゼが膣から優しく引き抜かれる。パンケーキ型本体100の形状および変形能により、プロテーゼは、プロテーゼが取り除けるように突出側翼140が自然に折り重ねられるだろう。その後、プロテーゼは、洗浄され再使用することができる。
【0038】
タンポンとともに後膣壁プロテーゼを使用するために、プロテーゼは、上述のような位置に配置され、次にタンポンがタンポン挿入指示に従う場所に挿入される。その後、タンポンは、必要に応じて取り除かれ、交換される。プロテーゼは、必要に応じて取り除かれ、洗浄され、再挿入することができる。
【実施例2】
【0039】
<実施例2の構成(図7−11)>
後膣壁プロテーゼの別の実施例は、図7−11に示される。図7−11に示される実施例2は、非球側の凹凸加工(texture)280、パンケーキ型本体100に埋め込まれた変形可能な本体保持具240、張り出し扁平持ち手120に埋め込まれた変形可能な持ち手保持具250、指穴260および270、ならびに中央球状部130の凹部290を含む。凹凸加工280は、非球側のパンケーキ型本体100上に設けられ、より高い摩擦表面を作ることにより一層の留置手段として働く役目をする。この表面の凹凸加工280は、男性性器への刺激を増強し、後膣壁610の手触りを効率的に倍増する。局地化された凹凸加工280またはプロテーゼの全面の凹凸加工280がタンポンを所定位置に留めることを助けることに留意せよ。変形可能な本体保持具240は、挿入の後に膣内でパンケーキ型本体100を平らにしようとする連続的な圧力を加える。パンケーキ型本体100、中央球状部130、本体保持具240、および凹凸加工280の形状は、膣内で後膣壁プロテーゼを保持する役目をする。張り出し扁平持ち手120および持ち手保持具250の形状は、性交中にプロテーゼが膣に進入する傾向を減少させる。潤滑剤を使用する、または使用しない場合、プロテーゼは、滑りやすいかもしれない;本体指穴260および持ち手指穴270は、プロテーゼを位置させ、より容易に把持する手段としての役目をする。
【0040】
凹部290は、「弾丸」バイブレータ(図示せず)として一般的に知られている、振動および/または脈動する装置を収納することができる。これは、丸みを帯びた先端を備えた一般に円筒状の筐体内に密封され、偏心的に取り付けられた錘を備える電動モータを含む。そのような「弾丸」は、遠隔的に動力が供給されてコントロールされてもよいし、電気的な配線があってもよいし、なくてもよいし、電池内蔵式であってもよい。ある型は単に振動するだけであり;他の型はさまざまな選択可能な脈動モードを持つ。材料の的確な選択により、振動および/または脈動はプロテーゼを通して伝達されるだろう。代わりに、凹部290は、電動加温装置を収容することができ、脈動または振動する機構と同じように適用される。
【0041】
図7−11に図示された後膣壁プロテーゼの実施例のために好適な材料は、本体保持具240および持ち手保持具250に必要になる異なる材料と共に、実施例1の好適な材料と同じである。
【0042】
本体保持具240および持ち手保持具250は、より剛性があるとはいえ、実施例1に使用された同様の材料からむしろ構成される。保持具の製造に好適な材料は、デュロメーターの測定でショアAスケールの硬さが25−75の間の医療グレードシリコーンである。保持具も、手の圧力で容易に変形可能なゴム状弾性を持つ任意の材料から製造することができる。膣内への挿入に先立ってプロテーゼを人間の指でチューブのような形状に丸めることができるように、材料は柔軟でなければならないが、その原形に復元する、または屈曲するのに十分な弾力がなければならない。保持具のために使用することができる他の一般的な形状記憶材料は、次のものを含む:プラスチック、ゴム、ナイロン、およびポリウレタン。円い保持具240および250が図7−11の実施例の中で図示されているが、長方形、三角形、または他の形状も、同様の屈曲機能を促進するためにプロテーゼにオーバー成形することができる。
【0043】
保持具それ自体は、業界標準の液状射出成形技術および手法を使用して製造することができる。しかしながら、保持具は、図7−11の実施例の中で示されるような一般的、標準、民生、既製のシリコーンOリング保持具でありえる。
【0044】
図7−11の保持具を備えるプロテーゼは、従来の液状射出オーバー成形技術および手法を使用して製造される。
【0045】
<実施例2の動作(図7−11)>
図7−11の実施例の動作において、もしそのように望めば、ユーザは、最初に「弾丸」または加温装置をプロテーゼの凹部290に挿入し、「弾丸」または加温装置を凹部290に圧入して固定する。それから、図7−11の実施例は、図1−6の実施例1と同じ方法で動作される。加えて、ユーザは、膣からプロテーゼを引き出すために、図7−11の実施例の後膣壁プロテーゼの持ち手指穴250を把持することができる。本体保持具240は、取り除けるように、その弾性の性質により変形するだろう。プロテーゼの除去を補助するために、持ち手指穴270に紐を添付することもできる。
【0046】
プロテーゼが膣へ完全に滑り込んでいるときには、持ち手指穴270および本体指穴260は、プロテーゼを探索し、把持し、そして取り除く手段として役立つ。追加の潤滑剤が使用される場合、これは特に有用である。
【実施例3】
【0047】
<実施例3の構成(図12−16)>
図12−16の実施例は、複合保持具310を備えるプロテーゼの実施例を図示する。複合保持具310は、本体保持具240および持ち手保持具250を組み合わせた単一の保持具であり、狭窄頸部110を通過する。複合保持具は、個別の保持具と同じ目的を持っており、巻き上げられて膣に挿入された後にプロテーゼを展開させる役目をする。複合保持具310も、膣内の所定位置にパンケーキ型本体100を留置し、性交の前、最中および後に膣に張り出し扁平持ち手120が進入することを阻止する。
【0048】
この実施例の製造に好適な材料は、図1−5に示される実施例1のために記述したのと同じ材料である。複合保持具310は、追加された屈曲機能を促進するために、同等またはより剛性の高い材料で作られる。複合保持具310の製造に好適な材料は、図7−11の実施例のために記述された本体保持具240のそれである。
【0049】
複合保持具310は、従来の液状射出成形技術および手法を使用して製造される。複合保持具を備えるプロテーゼは、従来の液状射出オーバー成形技術および手法を使用して製造される。
【0050】
<実施例3の動作(図12−16)>
図12−16の実施例は、既述した図1−5に示した実施例と同じように動作される。
【0051】
<結論、変形および範囲>
従って、読者は、後膣壁、膣入り口および会陰の領域を遮蔽するために後膣壁プロテーゼを使用することができることを理解するだろう。さらに、プロテーゼは、膣の容積を縮小し、かつ膣入り口の領域を減少させるための、新しく非常に有効で経済的な手術以外の手段を女性に提供する。プロテーゼは、使用するのが簡単で、快適さのために容易に調節され、女性および男性のパートナーの両者に楽しみを提供する。
【0052】
上記の図および説明は多くの特異性を含んでいるが、読者は、発明の範囲に対する制限としてではなく、単にそのいくつかの好適な実施例の図示としてこれらを解釈すべきである。様々な他の実施例が可能である。例えば、異なる柔軟で弾力のある材料を、プロテーゼおよび保持具に使用することができる。パンケーキ型本体および張り出し扁平持ち手は、ダイヤモンド形、長方形、三角形、丸型または他の様々な形になり得る。パンケーキ型本体の厚さおよび中央球状部は、変更することができる。張り出し扁平持ち手は、指穴を持ったり、持たなかったりすることができる。選択的に、張り出し扁平持ち手は、さらに追加留置手段のための肛門挿入手段を含んでもよい。狭窄頸部は、異なる厚さを持つことができ、膣の緊縮感の程度を変えることに帰着する膣入り口の表面領域を多かれ少なかれ被覆するように形作ることができる。中央球状部は、異なる形状をとり、パンケーキ型本体上により高くまたはより低く配置することができる。中央球状部は、取り除くことができる。本体保持具および持ち手保持具は、さらに異なる形状を持ち、横断面図において異なることができ、異なる材料で作ることができる。凹凸加工は、くぼみ、小さな指のような突肉部または波状の輪郭を含む他の形式をとることができる。凹凸加工は、局地化、またはプロテーゼの全表面にすることができる。色素、匂い、抗菌剤または抗菌薬を、プロテーゼを構成する材料に加えることができる。プロテーゼは、他の性的に受容力のある穴で使用するために形作られ、かつ採寸することができる。従って、読者は、与えられた例によってではなく、添付された請求項およびそれらの法的な均等物によって発明の十分な範囲を決定することを要求される。
【符号の説明】
【0053】
100 パンケーキ型本体
110 狭窄頸部
120 張り出し扁平持ち手
130 中央球状部
140 突出側翼
240 本体保持具
250 持ち手保持具
260 本体指穴
270 持ち手指穴
280 凹凸加工
290 凹部
310 複合保持具
610 後膣壁
620 後円蓋
630 会陰
640 膣入り口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿脱可能なプロテーゼ物品は、次のものを含む:
a.パンケーキ型本体、
前記パンケーキ型本体は後膣壁に沿った人間女性の膣内部に配置され、前記パンケーキ型本体は膣内部の所定位置で後膣壁を実質的に遮蔽するような寸法および形状にされ、前記パンケーキ型本体は複数の突出側翼を持ち、前記複数の突出側翼は膣への挿入ために円筒体に丸められるような寸法および形状にされ、前記複数の突出側翼は膣に挿入されたときに展開するような寸法および形状にされ、前記パンケーキ型本体は膣内に留置されるような寸法および形状にされ、
b.張り出し扁平持ち手、
前記張り出し扁平持ち手は膣の外部に存在するように配置され、前記張り出し扁平持ち手は幅を持ち、前記張り出し扁平持ち手は膣入り口から形状において実質的に外側に拡大し、前記張り出し扁平持ち手の幅は当初は膣入り口からの距離が増加するにつれて増加し、前記張り出し扁平持ち手は女性の会陰を実質的に遮蔽するような寸法および形状にされ、前記張り出し扁平持ち手は前記張り出し扁平持ち手が膣に進入することを阻止するような寸法および形状にされ、前記張り出し扁平持ち手は前記パンケーキ型本体が膣内部の所定位置にあるときに異物による膣への挿入を許容するような寸法および形状にされ、
c.狭窄頸部、
前記狭窄頸部は前記パンケーキ型本体を前記張り出し扁平持ち手に接続し、前記狭窄頸部は前記パンケーキ型本体が膣内の所定位置に配置されたときに膣入り口に位置し、前記狭窄頸部は前記パンケーキ型本体が膣内部の所定位置にあるときに異物による膣への挿入を許容するような寸法および形状にされ、前記狭窄頸部は膣入り口に位置する狭窄があるような寸法および形状にされ、そして、それによって、女性は、後膣壁、膣入り口および会陰を摩擦接触から常に遮蔽することができ、緊縮された膣の感覚を経験することができ、そしてタンポンを留置することを可能にすることができる。
【請求項2】
請求項1のプロテーゼ物品において、前記パンケーキ型本体は中央球状部をさらに含み、
前記中央球状部は涙滴形状を持ち、前記中央球状部は前記パンケーキ型本体に付設され、
前記中央球状部は前記後膣壁に接触するように配置され、前記中央球状部は前記狭窄頸部に最も接近して涙滴形状の最大端部を持ち、膣入り口から遠ざかるに従って先細りになるように前記パンケーキ型本体に配置され、前記中央球状部は前記パンケーキ型本体を膣内部に留置するような寸法および形状にされる。
【請求項3】
請求項1のプロテーゼ物品は、弾性変形可能なエラストマー材料を含む。
【請求項4】
請求項3のプロテーゼ物品は、経皮的材料をさらに含む。
【請求項5】
請求項2のプロテーゼ物品は、少なくとも1つの外部到達可能な凹部手段をさらに含む。
【請求項6】
請求項5のプロテーゼ物品において、振動装置、脈動装置、振動・脈動装置、および加温装置から成るグループから選択された少なくとも1つの挿入可能装置を含む付加刺激手段を受けるために、少なくとも1つの外部到達可能な凹部手段が提供され、それによって、前記付加刺激手段は前記プロテーゼ物品から手によって分離可能で、電動である。
【請求項7】
請求項1のプロテーゼ物品は、留置手段をさらに含む。
【請求項8】
請求項7のプロテーゼ物品において、前記留置手段が次のものを含む:本体保持具、持ち手保持具、結合保持具および肛門挿入体から成るグループから選択された少なくとも1つの器具であり、それによって前記留置手段は弾性内部骨格である。
【請求項9】
請求項1のプロテーゼ物品は、凹凸加工面をさらに含む。
【請求項10】
人間女性の後膣壁、膣入り口および会陰を保護する方法は、次を含む:
a.次を含む形式の後膣壁遮蔽体を提供し、
パンケーキ型本体、
前記パンケーキ型本体は膣内部の所定位置にあるときに後膣壁を実質的に遮蔽するような寸法および形状にされ、前記パンケーキ型本体は複数の突出側翼を持ち、前記複数の突出側翼は膣への挿入ために円筒体に丸められるような寸法および形状にされ、前記複数の突出側翼は膣に挿入されたときに展開するような寸法および形状にされ、前記パンケーキ型本体は膣内に留置されるような寸法および形状にされ、
張り出し扁平持ち手、
前記張り出し扁平持ち手は幅を持ち、前記張り出し扁平持ち手は膣入り口から形状において実質的に外側に拡大し、前記張り出し扁平持ち手の幅は当初は膣入り口からの距離が増加するにつれて増加し、前記張り出し扁平持ち手は会陰を実質的に遮蔽するような寸法および形状にされ、前記張り出し扁平持ち手は前記張り出し扁平持ち手が膣に進入することを阻止するような寸法および形状にされ、前記張り出し扁平持ち手は前記パンケーキ型本体が膣内部の所定位置にあるときに異物による膣への挿入を許容するような寸法および形状にされ、
狭窄頸部、前記狭窄頸部は前記パンケーキ型本体を前記張り出し扁平持ち手に接続し、前記狭窄頸部は前記パンケーキ型本体が前記膣内部で所定位置にあるときに異物による膣への挿入を許容するような寸法および形状にされ、前記狭窄頸部は膣入り口に位置する狭窄を持つような寸法および形状にされ、
b.前記後膣壁遮蔽体の前記パンケーキ型本体を、前記パンケーキ型本体、前記狭窄頸部および前記張り出し扁平持ち手が軸方向に整列する円筒体に丸め、
c.前記狭窄頸部が膣入り口にあり、前記張り出し扁平持ち手が膣の外部に残るまで前記後膣壁遮蔽体を膣に挿入し、
d.一旦、膣入り口を通過した後に前記パンケーキ型本体が膣入り口によって留置されるように前記パンケーキ型本体を自然に展開させ、
e.前記後膣壁遮蔽体の配置を前記張り出し扁平持ち手によって調節し、そして
それによって、女性は、後膣壁、膣入り口および会陰を常に摩擦接触から遮蔽することができ、緊縮された膣の感覚を経験することができ、タンポンを留置することを可能にすることができる。
【請求項11】
請求項10の方法において、前記後膣壁遮蔽体は中央球状部をさらに含み、
前記中央球状部は涙滴形状を持ち、前記中央球状部は前記パンケーキ型本体に付設され、前記中央球状部は前記後膣壁に接触するように配置され、前記中央球状部は前記狭窄頸部に最も接近して涙滴形状の最大端部を持ち、膣入り口から遠ざかるに従って先細りになるように前記パンケーキ型本体に配置され、そして前記中央球状部は膣内部の前記パンケーキ型本体を留置するような寸法および形状にされる。
【請求項12】
請求項10の方法において、前記後膣壁遮蔽体は留置手段をさらに含む。
【請求項13】
請求項12の方法において、前記留置手段は、本体保持具、持ち手保持具、結合保持具および肛門挿入体から成るグループから選択された少なくとも1つの器具を含み、それによって前記留置手段は弾性内部骨格である。
【請求項14】
請求項10の方法において、前記後膣壁遮蔽体は少なくとも1つの外部到達可能な凹部手段をさらに含む。
【請求項15】
請求項14の方法において、振動装置、脈動装置、振動・脈動装置および加温装置から成るグループから選択された少なくとも1つの電動挿入可能装置は少なくとも外部到達可能な凹部手段に挿入され、前記電動挿入可能装置は前記後膣壁遮蔽体から手によって分離可能である。
【請求項16】
請求項10の方法において、前記後膣壁遮蔽体の材料は弾性変形可能なエラストマー材料をさらに含む。
【請求項17】
請求項16の方法において、前記後膣壁遮蔽体の材料は経皮的材料を含む。
【請求項18】
請求項10の方法において、前記後膣壁遮蔽体は凹凸加工面をさらに含む。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−518608(P2013−518608A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550281(P2012−550281)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【国際出願番号】PCT/CA2011/050051
【国際公開番号】WO2011/094862
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512199966)
【Fターム(参考)】