説明

女性用被服

【課題】肩紐のないタイプのロングブラジャー等の被服において、フロント布からボーンを無くした場合でもカップ部のずれ落ちを防止する。
【解決手段】腰部まで達するフロント布10と、腰部まで達するバック布11と、フロント布10の上端部に設けられた左右のカップ部12a,12bと、これらカップ部12a,12bの下端部とフロント布10の上端部との間に設けられたU字形状の左右のカップボーン13a,13bと、フロント布10とバック布11との左右の縫着部分に縦方向に沿って脇ボーン14と、各カップ部12a,12bの内側に張設された伸縮性を有するテープ部材16a,16bとからなり、左側のテープ部材16aの一端部16a1は、左側のカップボーン13aの下端部13a1に固定されており、他端部16a2は両カップボーン16a,16bの中央側上端部の接合部分17に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロント布と、バック布と、前記フロント布の上端部に設けられた左右のカップ部と、前記各カップ部の下端部と前記フロント布の上端部との間に設けられた左右のカップボーンとからなるブラジャー、ロングブラジャー、ボディースーツ等の女性用被服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、腰部まで達するフロント布と、腰部まで達するバック布と、前記フロント布部の上端部に設けられた左右のカップ部とからなるいわゆるロングブラジャーやボディースーツ等が提案されている。
【0003】
ロングブラジャーとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0004】
このロングブラジャーは、図5に示すように、ウェストニッパーの機能も兼備させたロングブラジャーであり、フロント布110及びバック布105が共に長くウェスト下部まで延在している。また、左右のカップ部100の下半部の湾曲縁周縁104には、ほぼ円弧状のカップワイヤー103を具備している。この態様のロングブラジャーは、乳房の下側からウェスト部までの形を整えウェストを細く見せるようにするため、ほぼ直線状の金属やプラスチックスの細幅の帯状物からなるボーン109をさらに具備している。また、この図では肩紐106を備えているが、アウターとして肩紐の無いドレスを着用する場合には、この肩紐106を除去した状態のロングブラジャーも提供されている。
【特許文献1】特開2002−161404号公報([0004],図11参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、従来のロングブラジャーは、乳房の下側からウェスト部までの形を整えてウェストを細く見せるために、多数のボーン109を具備している。そのため、肩紐が無い場合でも、カップ部100がこのボーン109によって支えられるため、カップ部100が下にずれ落ちるといったことはない。
【0006】
しかし、このようなボーン109が身体の腹部に多数入っていると、身体を前後に動かしづらいといった問題がある。そのため、腹部のボーンは無い方がよいが、その一方で、腹部のボーンを抜いてしまうと、肩紐の無いタイプでは、カップ部100が下にずれ易くなってしまうといった問題が発生する。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、肩紐のないタイプの被服において、フロント布からボーンを無くした場合でもカップ部のずれ落ちを防止した女性用被服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の女性用被服は、フロント布と、バック布と、前記フロント布の上端部に設けられた左右のカップ部と、前記各カップ部の下端部と前記フロント布の上端部との間に設けられた左右のカップボーンとからなる女性用被服であって、前記カップ部の内側に伸縮性を有するテープ部材が張設されているとともに、このテープ部材の一端部は、前記カップボーンの下端部に固定されており、他端部は前記両カップボーンの中央側上端部の接合部分に固定されていることを特徴とする。すなわち、両テープ部材は、左右のカップ部の内側において、カップ部を斜めに横切るようにハの字状に配置されている。このように配置することにより、この女性用被服を身体に装着したとき、このテープ部材が乳房自体をも受け止めるように作用するとともに、カップボーンの変形を防止する役目を果たすことになる。これにより、カップ部のずれ落ちが防止される。
【0009】
また、本発明の女性用被服は、フロント布と、バック布と、前記フロント布の上端部に設けられた左右のカップ部と、前記各カップ部の下端部と前記フロント布の上端部との間に設けられた左右のカップボーンとからなる女性用被服であって、前記カップ部の内側に伸縮性を有するテープ部材が張設されているとともに、このテープ部材の一端部は、一方のカップボーンの下端部に固定されており、他端部は他方のカップボーンの中央側上端部に固定されていることを特徴とする。すなわち、両テープ部材は、左右のカップ部の内側において、カップ部を斜めに横切るようにハの字状に配置されている。また、本発明では、両テープ部の他端部は上部で交叉し、他方のカップボーンに固定されているため、この女性用被服を身体に装着したとき、このテープ部材が乳房自体をも受け止めるように作用するとともに、カップボーンの変形を防止する役目をさらに効果的に発揮することになる。これにより、カップ部のずれ落ちがより防止される。
【0010】
また、本発明の女性用被服はさらに、前記フロント布及びバック布が腰部まで延設されており、これらフロント布とバック布の左右の縫着部分に縦方向に沿ってボーンが設けられていることを特徴とする。すなわち、本発明の女性用被服を左右両側にボーンの入ったロングブラジャーに適用することで、上記テープ部材の作用をより発揮することができ、カップ部のずれ落ちをより確実に防止し得るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記のように構成したので、肩紐が無い場合でも、カップ部がずれ落ちないブラジャー、ロングブラジャー、ボディースーツ等の女性用被服を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
<実施形態1>
図1は、本発明の女性用被服をロングブラジャーに適用した実施形態を示しており、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【0014】
このロングブラジャー1Aは、腰部まで達するフロント布10と、腰部まで達するバック布11と、フロント布10の上端部に設けられた左右のカップ部12a,12bと、これらカップ部12a,12bの下端部とフロント布10の上端部との間に設けられたU字形状の左右のカップボーン13a,13bとからなる。また、フロント布10とバック布11との左右の縫着部分に縦方向に沿って脇ボーン14がそれぞれ設けられており、フロント布10とバック布11とは、身体にフィットするように筒形状に形成されている。なお、ここで言う左右は、図1(b)の背面側から見たときの左右方向を基準としている。
【0015】
本実施形態1のロングブラジャー1Aは、図4に示すように、脇ボーン14があることによって、装着したときにフロント布10及びバック布11を身体にフィットした状態で支える形となるため、上下にずれにくい構造となっている。
【0016】
上記構成において、本実施形態1のロングブラジャー1Aは、図2に示すように、各カップ部12a,12bの内側に、伸縮性を有するテープ部材16a,16bがそれぞれ張設されている。左側のテープ部材16aの一端部16a1は、左側のカップボーン13aの下端部(U字形状の底部)13a1に固定されており、他端部16a2は両カップボーン16a,16bの中央側上端部の接合部分17に固定されている。ただし、この例では、他端部16a2は、左側のカップボーン13aの上端部13a2に固定されている。また、右側のテープ部材16bの一端部16b1は、右側のカップボーン13bの下端部(U字形状の底部)13b1に固定されており、他端部16b2は両カップボーン16a,16bの中央側上端部の接合部分17に固定されている。ただし、この例では、他端部16b2は、右側のカップボーン13bの上端部13b2に固定されている。なお、ここで言う張設とは、テープ部材16a,16bにテンションを与えず、まっすぐ伸ばした状態で設けることを意味している。なお、テープ部材16a,16bとしては、例えばシリコンテープの使用が可能である。
【0017】
すなわち、両テープ部材16a,16bは、左右のカップ部12a,12bのそれぞれの内側において、カップ部を斜めに横切るようにハの字状に配置されている。
【0018】
このように配置することにより、このロングブラジャー1Aを身体に装着したとき、テープ部材16a,16bが乳房自体をも受け止めるように作用するとともに、カップボーン13a,13bの変形を防止する役目を果たすことになる。これにより、カップ部12a,12bのずれ落ちが防止される。
【0019】
本発明者は、実際にテープ部材16a,16bを取り付けたロングブラジャーを用いて装着実験を行った結果、従来の肩紐無しのロングブラジャーではカップ部がずれ落ち易かったが、本実施形態1のロングブラジャー1Aでは、カップ部12a,12bがずれ落ちることなく乳房に安定的に保持されることを確認した。
【0020】
<実施形態2>
本実施形態2のロングブラジャー1Bの基本構成は、図1に示した上記実施形態1のロングブラジャー1Aと同じであり、テープ部材16a,16bの取り付け構造のみが異なっている。
【0021】
すなわち、本実施形態2のロングブラジャー1Bは、図3に示すように、各カップ部12a,12bの内側に、伸縮性を有するテープ部材16a,16bがそれぞれ張設されている。左側のテープ部材16aの一端部16a1は、左側のカップボーン13aの下端部(U字形状の底部)13a1に固定されており、他端部16a2は右側のカップボーン13bの中央側上端部13b2に固定されている。また、右側のテープ部材16bの一端部16b1は、右側のカップボーン13bの下端部(U字形状の底部)13b1に固定されており、他端部16b2は左側のカップボーン13aの中央側上端部13a2に固定されている。
【0022】
すなわち、両テープ部材16a,16bは、左右のカップ部12a,12bのそれぞれの内側において、カップ部を斜めに横切るようにハの字状に配置されており、さらに、両テープ部16a,16bの他端部16a2,16b2は交叉して、他方のカップボーンの上端部に固定されている。なお、ここで言う張設とは、テープ部材16a,16bにテンションを与えず、まっすぐ伸ばした状態で設けることを意味している。
【0023】
このように配置することにより、このロングブラジャー1Bを身体に装着したとき、このテープ部材16a,16bが乳房自体をも受け止めるように作用するとともに、カップボーン13a,13bの変形を防止する役目をさらに効果的に発揮することになる。これにより、カップ部12a,12bのずれ落ちがより防止される。
【0024】
本発明者は、実際にテープ部材16a,16bを取り付けたロングブラジャーを用いて装着実験を行った結果、従来の肩紐無しのブラジャーではカップ部がずれ落ち易かったが、本実施形態2のロングブラジャー1Bでは、カップ部12a,12bがずれ落ちることなく乳房に安定的に保持されることを確認した。さらに、上記実施形態1のロングブラジャー1Aと本実施形態2のロングブラジャー1Bとを比較した結果、本実施形態2のロングブラジャー1Bの方がずれ落ち防止効果はより良好であった。これは、両テープ部16a,16bの他端部16a2,16b2を交叉して、他方のカップボーンに固定したことにより、両カップボーンが相互に作用した結果によると考えられる。
【0025】
なお、上記各実施形態1,2では、フロント布10とバック布11との左右の縫着部分に脇ボーン14が設けられたロングブラジャー1A,1Bに本発明を適用しているが、ボディースーツや通常の長さのブラジャーに本発明を適用しても同様の効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係るロングブラジャーを示しており、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図2】実施形態1のロングブラジャーのカップ部の内側を拡大して示す説明図である。
【図3】実施形態2のロングブラジャーのカップ部の内側を拡大して示す説明図である。
【図4】本発明のロングブラジャーの装着状態を示す側面図である。
【図5】従来のロングブラジャーの一構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1A,1B ロングブラジャー
10 フロント布
11 バック布
12a,12b カップ部
13a,13b カップボーン
13a1,13b1 下端部
13a2,13b2 上端部
14 脇ボーン
16a,16b テープ部材
16a1,16b1 一端部
16a2,16b2 他端部
17 接合部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント布と、バック布と、前記フロント布の上端部に設けられた左右のカップ部と、前記各カップ部の下端部と前記フロント布の上端部との間に設けられた左右のカップボーンとからなる女性用被服であって、
前記カップ部の内側に伸縮性を有するテープ部材が張設されているとともに、このテープ部材の一端部は、前記カップボーンの下端部に固定されており、他端部は前記両カップボーンの中央側上端部の接合部分に固定されていることを特徴とする女性用被服。
【請求項2】
フロント布と、バック布と、前記フロント布の上端部に設けられた左右のカップ部と、前記各カップ部の下端部と前記フロント布の上端部との間に設けられた左右のカップボーンとからなる女性用被服であって、
前記カップ部の内側に伸縮性を有するテープ部材が張設されているとともに、このテープ部材の一端部は、一方のカップボーンの下端部に固定されており、他端部は他方のカップボーンの中央側上端部に固定されていることを特徴とする女性用被服。
【請求項3】
前記フロント布及びバック布が腰部まで延設されており、これらフロント布とバック布の左右の縫着部分に縦方向に沿って脇ボーンが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の女性用被服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−231455(P2007−231455A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54986(P2006−54986)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(594208318)ウイズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】