説明

好中球増多抑制剤

急性感染症、膠原病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、抹消気道病変、痛風、Cushing症候群、骨髄繊維症、腫瘍性好中球増加症、真性赤血球増加症、ステロイド剤投与時などの病態の発症、進展の治療に有効な好中球増多抑制剤の提供。
式(I)で表される3(2H)−ピリダジノン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む好中球増多抑制剤。〔式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を、Xはハロゲン原子、シアノまたは水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフルオロメチルまたは水素原子を、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレンを示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリダジノン化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む好中球増多抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
好中球増多を特異的に減少させる安全性の高い薬剤は、現在医療上有用な薬剤が極めて乏しいいくつかの疾患の予防、又は治療薬として期待が持たれている。即ち、好中球増多症の適用が期待される疾患としては、好中球数が異常に増多する疾患群である。その具体例としては,急性感染症(細菌感染症、真菌感染症、スピロヘータ、寄生虫、リケチア、ウイルス)、膠原病(慢性関節リウマチ、Wegener肉芽腫症、Behcet病)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺気腫、抹消気道病変、痛風、Cushing症候群、骨髄繊維症、腫瘍性好中球増加症、真性赤血球増加症、ステロイド剤投与時などの病態の発症、進展に好中球が関与する疾患群が掲げられる。
【0003】
ピリダジノン化合物又はその塩は、優れた血小板凝集阻害作用、強心作用、血管拡張作用、抗SRS−A(Slow Reacting Substances of Anaphylaxis)作用、トロンボキサンA2合成酵素阻害作用、脊柱管狭窄症治療作用、勃起不全治療作用、血管新生促進作用及び血管新生作用増強作用等を有することが知られており、抗血小板剤等として期待される薬物である(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0004】
しかしながら、上記ピリダジノン化合物が好中球増多症に対してどのような効果を持つかについては知られていない。一方、好中球増多に対する治療法は様々であり、薬物療法も確立した治療法の一つではあるが、更に優れた薬物療法が待ち望まれている。
【0005】
【特許文献1】特公平7−107055
【特許文献2】特開平7−252237
【特許文献3】特開平7−285869
【特許文献4】WO99/11268
【特許文献5】WO00/12091
【特許文献6】WO00/33845
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は優れた好中球増多抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々研究を重ねた結果、下記式(I)で表わされるピリダジノン化合物又はその薬理学的に許容される塩が好中球増多に対して優れた抑制効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の要旨を有することを特徴とする。
(1) 式(I)で表される3(2H)−ピリダジノン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む好中球増多抑制剤。
【0009】
【化1】

〔式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を、Xはハロゲン原子、シアノまたは水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフルオロメチルまたは水素原子を、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレンを示す。〕
(2) 式(I)において、RおよびRは水素原子、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子、Yはハロゲン原子または水素原子、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレンである上記(1)に記載の好中球増多抑制剤。
(3) 式(I)で表される化合物が、4−ブロモ−6−[3−(4−クロロフェニル)プロポキシ]−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、又は4−ブロモ−6−[3−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロポキシ]−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノンである上記(1)に記載の好中球増多抑制剤。
(4) 薬理学的に許容される塩が、有機酸塩又は無機酸塩である上記(1)に記載の好中球増多抑制剤。
(5) 慢性閉塞性肺疾患の予防または治療剤である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の好中球増多抑制剤。
【0010】
本発明の好中球増多抑制剤は、式(I)において、好ましくは、RおよびRは水素原子、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子、Yはハロゲン原子または水素原子、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレンであるピリダジノン化合物またはその薬理学的に許容される塩であるのが好適である。
【0011】
本発明の式(I)で表されるピリダジノン化合物の好中球増多抑制剤において、特に好ましい例は、4−ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)プロポキシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、又は4−ブロモ−6−[3−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロポキシ]−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノンである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によりピリダジノン化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩を含む新規な好中球増多抑制剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、試験例1の結果を示す。化合物Aを、それぞれ、1mg/kg、3mg/kg及び10mg/kg経口投与したときの気道肺胞洗浄液中の好中球細胞数を表す。*は、溶媒群を対照としてDunnett検定を行った結果、p<0.05で有意差があったことを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の好中球増多抑制剤に係る上記式(I)で表されるピリダジノン化合物又はその薬理学的に許容される塩について説明する。
【0015】
上記式(I)において、R、R、Rにおける炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0016】
好ましいRおよびRとしては、それぞれ、水素原子が挙げられ、好ましいRとしては、水素原子および炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
における炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。さらに好ましいRとしては、水素原子が挙げられる。
【0017】
X、Yにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。好ましいXとしては、ハロゲン原子が挙げられ、好ましいYとしては、ハロゲン原子および水素原子が挙げられる。
【0018】
Aにおける水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレンとは、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、2,2−ジメチルエチレン、2,2−ジエチルエチレン、2,2−ジ−n−プロピルエチレン、ヒドロキシメチレン、1−ヒドロキシエチレン、2−ヒドロキシエチレン、3−ヒドロキシプロピレン等が挙げられる。
好ましいAとして、水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレンが挙げられる。
【0019】
式(I)において、メチレン基とピリジン環の結合位置は特に限定されないが、ピリジン環の窒素原子に対して3位であるのが好ましい。
また、Yはベンゼン環上のいずれの位置で置換されていてもよいが、好ましくは4位である。
【0020】
特に、式(I)において、RおよびRが水素原子、Rが水素原子または炭素数1〜4のアルキル、Xがハロゲン原子、Yがハロゲン原子または水素原子、Aが水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレンであるピリダジノン化合物が好ましい。
【0021】
好ましい化合物として、4−ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)プロポキシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、4−ブロモ−6−[3−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロポキシ]−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノンおよびその薬理学的に許容される塩が挙げられる。
【0022】
本発明において、ピリダジノン化合物(I)の薬理学的に許容される塩としては、例えば無機酸との塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等)、有機酸との塩(酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩等)等が挙げられる。これらの塩は、ピリダジノン化合物(I)から、既知の手段により製造することができる。
【0023】
本発明におけるピリダジノン化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩には、立体および光学異性体も包含される。これらのピリダジノン化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は既知の化合物であり、低毒性であることが知られている。当該化合物は、例えば、特公平7−107055号公報、米国特許5314883号公報、欧州特許482208号公開公報、特開平7−252237号公報、米国特許5750523号公報、欧州特許742211号公開公報に開示の方法等により製造することができる。
【0024】
本発明のピリダジノン化合物(I)及びその薬理学的に許容される塩は、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ウサギ、マウス、ラット等の哺乳動物に対して、優れた好中球増多抑制効果を有する。
【0025】
本発明に係るピリダジノン化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、体重、症状の程度によって適宜選択すればよい。通常、ヒト成人に対しては0.001mg〜5g/日、好ましくは0.005〜1000mg/日であり、これを1日1回または数回に分けて投与する。
【0026】
本発明に係るピリダジノン化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の投与形態としては、注射剤(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内注射)、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤、点眼剤、点鼻剤等による非経口投与、又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、トローチ剤、チュウアブル剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与を挙げることができる。経口投与が好ましい。
【0027】
本発明に係るピリダジノン化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩は、製薬の慣用手段によって投与用に製剤化される。
例えば、経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、トローチ剤、チュウアブル剤は、賦形剤(例えば白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニット等)、結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(例えばでんぷん、カルボキシメチルセルロース又はそのカルシウム塩、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール等)、滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカ等)、潤滑剤(例えばラウリル酸ナトリウム、グリセロール等)等を使用して既知の手段により調製される。
【0028】
また、経口投与用製剤の場合には、有機酸を添加することで、溶出性、吸収性を改善することができる。有機酸としては、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。
【0029】
また、注射剤、エアゾール剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁液剤、点眼剤、点鼻剤等は、活性成分の溶剤(例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等)、界面活性剤(例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、水素添加ヒマシ油のポリオキシエチレンエーテル、レシチン等)、懸濁剤(例えばカルボキシメチルナトリウム塩、メチルセルロース等のセルロース誘導体、トラガント、アラビアゴム等の天然ゴム類等)、保存剤(例えばパラオキシ安息香酸のエステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩等)等を使用して常套手段により調製される。坐剤は、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、ラノリン、脂肪酸トリグリセライド、ココナット油等を使用して既知の手段により調製される。
【0030】
経皮吸収型製剤である軟膏の場合には、例えば白色ワセリン、流動パラフィン、高級アルコール、マクロゴール軟膏、親水軟膏、水性ゲル基剤等が用いられる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を詳細に説明するため試験例および実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定的に解釈されるものではない。
下記の試験例及び実施例では、常法に従って製造された化合物A(4−ブロモ−6−〔3−(4−クロロフェニル)プロポキシ〕−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン塩酸塩)を使用した。また、他の試薬は市販品を用いた。
【0032】
〔試験例1〕
ラット気道への好中球増多に対する化合物Aの効果
体重100〜200gのウイスター系雄性ラットを小動物吸入用透明プラスチック箱(W30×H30×D30cm)に入れ、超音波ネブライザー(TUR−3200、日本光電社製)により、リポポリサッカライド溶液(LPS E.coli 0.3mg/mL生理食塩水溶解)の30mLを平均粒子2.0−6.0μmにて霧化し、30分間吸入した。
【0033】
化合物Aは0.5%メチルセルロース(MC)に懸濁し、それぞれ、1mg/4mL/kg、3mg/4mL/kgおよび10mg/4mL/kgを、溶媒群では0.5%MC 2mL/kgをリポポリサッカライド吸入の30分前に経口投与した。無処置群は、0.5%MC 2mL/kgを生理食塩水吸入の30分前に経口投与した。一群6例で実施した。
【0034】
リポポリサッカライド吸入の約5時間後に気管支肺胞洗浄液を採取した。即ち、ラットにウレタンを腹腔内注射後、気管を切開して装着した気管カニューレを介して生理食塩水5mLを用いて気道内に注入吸引を2回繰り返して洗浄した。この洗浄を2回行って気管支肺胞洗浄液10mLを採取した。採取した気管支肺胞洗浄液は直ちに4℃で1471m/s2、10分間遠心分離し、沈渣した細胞を0.5mLの0.2%生理食塩水に浮遊1分後1.6%生理食塩水を加えた。浮遊液の総白血球数を多項目自動血球計装置を用いて測定し、これを総白血球数とした。
【0035】
さらに、総白血球数を1x10cells/mLに調製後、100μLを集細胞遠心装置(サーモ・シャンドン社製)を用いて室温にて400rpm、4分間遠心処理し、塗沫標本を作製した。この標本をディフクイック(国際試薬(株))染色し、単球、好酸球および好中球を倒立顕微鏡(×400)下に約500個カウントした。各白血球数は総白血球数に対する割合から、次式により算出した。
【0036】
各白血球数=総白血球数×各白血球の割合(各白血球のカウント数/カウント総細胞数)
統計解析ソフトにはSAS前臨床パッケージV5を用いた。陰性対象群とリポポリサッカライド溶媒群間の有意差検定には一因子実験データの解析「2群の解析t検定」を用い、コントロール群と薬物処理群における群間の有意差検定には一因子実験データの解析「パラメトリックDunnett型多重比較検定」を用い、p<0.05(両側)の場合に有意であると判断した。
【0037】
〔結果〕
結果を図1に示す。エンドトキシンの吸入により、ウイスターラットの気道への好中球の集積が認められた。化合物Aは、それぞれ、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgの経口投与により、ラット気道好中球増加抑制作用を示した。
【0038】
〔試験例2〕
モルモットのタバコ煙暴露による気道好中球増加性の呼吸機能悪化モデルに対する化合物Aの効果
〔方法〕
体重350〜450gのハートレー系モルモットに紙巻きタバコの煙を、喫煙暴露装置と暴露用チャンバー(Flow-pasttype nose-only inhalation chamber,Muenster社製)を用いて、1日1時間、週5日、3週間にわたって暴露させた。化合物は、0.5%メチルセルロース(MC)に縣濁して10mg/2mL/kgを、溶媒群では、0.5%MC 2mL/kgをタバコ煙暴露の15〜45分前に経口投与した。無処理群は、0.5%MC 2mL/kgを空気暴露の15〜45分前に経口投与した。1群4〜6列で評価を実施した。タバコ煙の暴露3週目終了の翌日に、気道抵抗測定及び好中球数測定を行った。気道抵抗はダブルチャンバープレシスモグラフ法により、呼吸機能測定装置(Puloms-1,M.I.P.S.社製)を用いて覚醒下で測定した。好中球数測定は試験例1と同様な方法で測定した。化合物Aの効果は、以下の式により抑制率(%)を算出し、評価した。

抑制率=((コントロール群の測定値−正常値の測定値)−(化合物A群の測定値−正常群の測定値))×100/(コントロール群の測定値−正常値の測定値)

〔結果〕
化合物Aは、好中球の増加を73%阻害し、気道抵抗の増加を100%抑制した。
化合物Aが、モルモットにおけるタバコ煙暴露による好中球性炎症を伴う呼吸機能悪化に効果があるのは明らかである。
【0039】
実施例1(錠剤)
化合物A 10g、乳糖 20g、澱粉 5g、ステアリン酸マグネシウム 0.1g及びカルボキシメチルセルロースカルシウム 7gの合計 42.1gを常法により混合した後、1錠中に50mgの化合物Aを含有する糖衣錠とした。
【0040】
実施例2(錠剤)
主薬として化合物A10.0mg、有機酸としてクエン酸を5.0mg、賦形剤として乳糖を123.0mg、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースを4.0mg、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウムを7.0mg、及び滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを1.0mg含有する錠剤を調製した。
【0041】
実施例3(カプセル剤)
化合物A 10g、乳糖 20g、微結晶セルロース、10g及びステアリン酸マグネシウム 1gの合計 41gを常法により混合した後、ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に50mgの化合物Aを含有するカプセル剤とした。
【0042】
実施例4(エアゾール懸濁液)
下記成分(A)を混合し、得られた混合液をバルブを備えた容器に仕込み、これに対して下記噴射剤(B)を20℃で約2.46〜2.81mg/cmゲージ圧までバルブノズルから圧入し、エアゾール懸濁液とした。
(A):化合物A 0.25質量%、ミリスチン酸イソプロピル0.10質量%、エタノール 26.40質量%
(B):1,2−ジクロロテトラフルオロエタンと1−クロロペンタフルオロエタンの60−40質量%の混合物:73.25質量%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される3(2H)−ピリダジノン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む好中球増多抑制剤。
【化1】

〔式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を、Xはハロゲン原子、シアノまたは水素原子を、Yはハロゲン原子、トリフルオロメチルまたは水素原子を、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキレンを示す。〕
【請求項2】
式(I)において、RおよびRは水素原子、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子、Yはハロゲン原子または水素原子、Aは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレンである請求項1に記載の好中球増多抑制剤。
【請求項3】
式(I)で表される化合物が、4−ブロモ−6−[3−(4−クロロフェニル)プロポキシ]−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノン、又は4−ブロモ−6−[3−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロポキシ]−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−3(2H)−ピリダジノンである請求項1に記載の好中球増多抑制剤。
【請求項4】
薬理学的に許容される塩が、有機酸塩又は無機酸塩である請求項1に記載の好中球増多抑制剤。
【請求項5】
慢性閉塞性肺疾患の予防または治療剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の好中球増多抑制剤。


【図1】
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【国際公開番号】WO2005/063250
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516599(P2005−516599)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019199
【国際出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】