説明

好適なモバイルアクセスネットワークのリストの決定

電気通信システムは、ネットワークセレクションマネージャおよび移動ノードを具備する。前記ネットワークセレクションマネージャは移動ノードが非アクティブ状態中に接続しうる好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定可能であると共に前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを前記移動ノードに送信可能である。選択のための前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、オペレータが定めた条件に従って決定される(例えば、負荷,前記アクセスネットワークの混み具合,サブスクリプション情報,移動端末の位置,最後にモバイルステーションに送信してからの前記リストのなど)。前記移動ノードは、非アクティブ状態中にネットワークセレクションマネージャから移動ノードに送信されたな前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストに従って接続するために使用可能な複数のモバイルアクセスネットワークから1つを選択可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモバイルアクセスネットワークを経由して通信する移動ノードのための設備を提供するための電気通信システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルアクセスネットワークは、データ通信をする移動ノードのための設備を提供し、モバイルユーザにいろいろなサービスが提供可能である。移動ノードは、各地をローミングするため、前記移動ノードは、異なるモバイルアクセスネットワーク経由で接続されるとともにデータ通信を行なう。例えば、もし移動ノードが、移動ノードのホームモバイルアクセスネットワークのサービスエリア外に移動したならば、前記移動ノードは、1つ以上の訪問済みのアクセスネットワークに接続する選択肢がある。慣習的に移動ノードは、UMTS/GPRSまたはWiFiといった単一無線アクセスインターフェース規格を介してデータ通信を行なうように構成されるが、移動ノードは、複数の異なるインターフェース規格または有線アクセスネットワークを介して通信するように構成してもよい。したがって、移動ノードは、異なるモバイルアクセスネットワークへ接続する選択権があり、同一の無線アクセスインターフェース規格または異なるインターフェース規格に従って機能する。
【0003】
移動ノードが所属するモバイルアクセスネットワークのオペレータは、移動ノードが接続するモバイルアクセスネットワークをコントロールすることを望む。前記オペレータは、アクセスネットワークが経済的に、および/またはネットワークパフォーマンスを理由として、使用されるようにコントロールする動機を与えられる。例えば、特許文献1では、オペレータネットワークのモビリティマネージャは、モビリティマネージャにより検査された移動ノードからの所属要求(affiliation requests)の変更とともに提供される。前記モビリティマネージャは、その後移動ノードの所属が他のアクセスネットワークに変更したかしないかについてモビリティディシジョンをする。もしそうであるならば、前記モビリティマネージャは、所属の変更をそのモビリティディシジョンにしたがってコントロールする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO/2003/047296号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特長によると、移動ノードが複数のモバイルアクセスネットワークを介して通信するための設備を提供する電気通信システムが提供される。前記電気通信システムは、ネットワークセレクションマネージャおよび移動ノードを具備する。前記ネットワークセレクションマネージャは、前記移動ノードが非アクティブ状態中に接続しうる好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定可能であるとともに、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを移動ノードに送信可能である。移動ノードの前記非アクティブ状態は、移動ノードが、移動ノードが接続すべきモバイルアクセスネットワークを選択することの責任を有するという状態である。選択のための前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、オペレータが定めた条件に従って決定される。前記移動ノードは、非アクティブ状態において、好適なモバイルアクセスネットワークのリストに基づいて接続するために使用可能である複数のモバイルアクセスネットワークのうち1つを選択可能である。前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、前記ネットワークセレクションマネージャから前記移動ノードに送信される。
【0006】
従って、前記移動ノードは、いつでも実際に接続するアクセスネットワークを選択することの責任を有するが、前記ネットワークセレクションマネージャを使用している前記ネットワークオペレータは、移動ノードが好適なアクセスネットワークのリストを使用することによりその選択に影響を及ぼすことが可能である。この構成は、信号をあまり増加させることなくネットワークがアクセスネットワークの選択により指定されることを許可する。従って、もし前記移動ノードが非アクティブモードである場合、例えば、移動ノードに提供される通信セッションがない場合には、モビリティマネジメントスキームによりコントロールされるネットワークに通常関係する大量の信号のオーバヘッドは、発生しない。
【0007】
本発明は、移動ノードが接続されうる無線アクセスネットワークのアプリケーションを提供するが、本発明の実施例は、有線アクセスネットワークのアプリケーションも提供する。本発明の実施例は、移動ノードが非アクティブ状態であり、それゆえ移動ノードが接続されるべきアクセスネットワークをそれ自身で決定する場合に、接続のための好適なアクセスネットワークのリストが移動ノードに提供されるという構成を提供可能である。"非アクティブ状態"という用語は、現在移動ノードがモバイルアクセスネットワークを介して通信していないという状態を説明するのに使用される。例えば、非アクティブ状態中の移動ノードは、通信サービスをユーザに提供せず、それゆえユーザにサービスを提供するためにアクセスネットワークを介して送信されるデータを要求するアプリケーションプログラムが走っていない。さらに従来の意味において非アクティブ状態は、移動ノードのスイッチは入っているが、現在通信していないという状態にみなされうる。したがって、前記移動ノードは、一般的にはパイロットまたはブロードキャストチャネルにより受信される受信信号強度指標といった、移動ノードにより実行される測定に基づいて、接続するためのアクセスネットワークを選択することまたは再選択することにより所属を変更する。ひとたびアクセスネットワークに接続したならば、移動ノードは、呼び出しを受け、メッセージをページングし、または選択されたモバイルアクセスネットワーク通信セッションを開始するための招待をし、または実際に電話をかけ、または移動ノードが接続されているアクセスネットワークからの通信セッションを開始する。本明細書における"接続"という用語は、そのアクセスネットワークを介して移動ノードとともにインカミング通信セッションが開始されることにより、移動ノードが、アクセスネットワークにどうにかして所属したという動作を定義するのに使用される。前記移動ノードのアクセスネットワークへの接続は、例えば前記移動ノードが所属されるアクセスネットワークが選択されることによる決定処理と、そして、オプション的にアクセスネットワーク接続プロシージャと、コアネットワーク接続プロシージャと、アクセスネットワーク相互間の位置の更新を含みうる。前記アクセスネットワーク接続プロシージャはもちろん基礎をなすアクセスネットワークに依存する。そして、それは異なる技術のために異なる。前記アクセスネットワーク,前記アクセスネットワーク接続プロシージャ,オプション的にアクセスネットワーク接続プロシージャ,コアネットワーク接続プロシージャおよびアクセスネットワーク相互間の位置の更新によっては、特定の接続決定を適用できる場合と、できない場合がある。
【0008】
移動ノードにただ1つのアクセスネットワークのみが利用可能であるという場合には、その後、前記移動ノードは、このアクセスネットワークを接続するために選択する。しかし、もし前記移動ノードに使用可能な1つ以上のアクセスネットワークがある場合、例えばセルラー移動無線ネットワークおよび無線ローカルエリアネットワークが利用可能である場合などには、その後前記移動ノードは、移動ノードが接続すべきアクセスネットワーク選択する。通常、移動ノードが接続すべきアクセスネットワークの選択は、異なるアクセスネットワーク間の相対信号強度を基にしていることは一般的に知られている。いくつかの例では、アクセスネットワークの選択は移動ノードのSIMカードに提供される所定の好適なアクセスネットワークのリストに基づいてもよい。本発明の実施例は、それゆえ非アクティブ移動ノードが接続すべきアクセスネットワークの選択が、好適なアクセスネットワークのリストを前記移動ノードに提供することにより影響が与えられるような構成を提供可能である。前記移動ノードは、その後移動ノードに利用可能なアクセスネットワークとともに好適なアクセスネットワークのリストに基づき、接続するためのアクセスネットワークを選択できる。前記移動ノードは、したがってリストに従って使用可能な最も好適なアクセスネットワークを選択可能である。
【0009】
1つまたは複数のリソースマネージャは、複数のモバイルアクセスネットワーク現在の負荷条件を決定してもよい。前記現在の負荷条件はアクセスネットワークに利用可能な通信リソースの量を表すが、それはアクセスネットワークを介して通信している移動ノードにより現在使用されている。それぞれのリソースマネージャは、決定された負荷条件をネットワークセレクションマネージャに通信可能である。この場合、好適なアクセスネットワークのリストを生成するために前記オペレータにより決定された条件は、複数のモバイルアクセスネットワーク間の相対負荷バランシングを提供するための条件を含む。特に、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、リソースマネージャにより決定された複数のそれぞれのモバイルアクセスネットワークの現在の負荷条件に応じた相対負荷バランシング提供するように決定される。
【0010】
オペレータが決定した他の条件は、モバイルアクセスネットワークのタイプと、移動ノードのユーザに関連するユーザプロファイルを含んでいるサブスクリプション情報と、を含んでもよい。
【0011】
本発明の種々のさらなる特徴及び機能は、添付の特許請求の範囲に定められており、ネットワークセレクションマネージャと、移動ノードと、アクセスネットワークの選択指示方法と、コンピュータプログラムと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施例が添付の図面を参照しながら単なる例示としてこれから説明される。図面において、類似部分は同一の参照符号が提供されている。
【0013】
【図1】図1は、本発明における電気通信システムの一実施形態を示している。
【図2】図2は、本発明における第1および第2アクセスネットワーク並びにネットワークセレクションマネージャを具備する電気通信システムの一実施形態を示している。
【図3】図3は、本発明におけるネットワークセレクションマネージャが位置レジスタから位置情報を受信する一実施形態を示している。
【図4】図4は、本発明におけるアクセスネットワークのセレクション指示の方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
異なる無線アクセスネットワークを介して通信する移動ノードに関し、本発明における実施形態の例が今から説明される。前記無線アクセスネットワークは、異なった無線アクセスネットワークインターフェース規格に従い機能する。例えば、ネットワークの1つはWiFiまたはWiMAXといった無線ローカルエリアネットワーク(LAN)として、および他のネットワークは汎用パケット無線システム/ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(GPRS/UMTS)ネットワークとなりうる。本発明の一実施形態における例が、本明細書の図1に示されている。図1における移動ノード(MN)1は現在、第1無線アクセスネットワーク(WLAN)2,第2WLAN4,またはGPRSネットワーク6を介しデータ通信可能な位置にある。図1に示すように、前記第1WLAN2は、前記移動ノード1が通信可能な3つの無線アクセスポイント10,11,12と接続されているアクセスゲートウェイ8を具備している。一例を挙げると、前記WLAN2は、WiFi規格に従って機能する。同様に、第2WLAN4は、3つの無線アクセスポイント16,18,20と接続されているアクセスゲートウェイ14を具備している。図示されているように、前記第1および第2WLAN2,4により提供されるサービスエリアにより、前記移動ノードは第1WLAN2または第2WLAN4を介して通信可能である。図1に示されている例では、第2WLAN4もまたWiFi規格にしたがって機能していると考えられる。
【0015】
第3無線アクセスネットワーク6は、UMTS/GPRS規格に従い機能する。この規格によれば、無線アクセスネットワークは、2つのノードB 22,24を具備している。前記ノードBは、無線ネットワークコントローラ(RNC)26並びに無線アクセスネットワーク6のコアネットワークを形成するサービングGPRSサポートノード(SGSN)28およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)30に接続されている。
【0016】
本技術によれば、前記移動ノードMN 1には、非アクティブ状態時に、接続すべき好適なアクセスネットワークのリストが提供される。上述したように、非アクティブ状態とは、前記移動ノードにおいて、移動ノードのユーザに通信サービスを提供する特定のアプリケーションがなにも走っていない状態をいうのに使用されるが、かわりにスイッチが入るとともに、すぐに呼び出しならびに応答、または通信セッションの接続へ招待の開始ならびに受信可能な状態でもある。したがって、移動無線ネットワークの従来の機能と同様に、ネットワークにわたって移動ノードがローミングする場合には、それぞれのアクセスポイント,ノードB,または基地局から受信した信号の相対的な信号品質に従い、特定のアクセスネットワーク内の基地局,ノードBまたはアクセスポイントに接続および基地局,ノードBまたはアクセスポイントからの切り離しを行なう。
【0017】
GSMの例では、前記基地局は移動ノードにより検出された報知チャネル(BCCH)で通信する。前記移動ノードは、その後受信したBCCHブロードキャスト信号の信号強度インジケータからどの信号の品質が最善か決定するとともに、関連基地局の識別が可能である。前記移動ノードは、その後どの基地局にするか決定し、したがってどの無線アクセスネットワークかが決定され、前記移動ノードは、それに登録する(register)。使用可能なアクセスネットワークがただ1つだけならば、前記移動ノードには、移動ノードが接続されるべき無線アクセスネットワークに関し選択肢はないことは明らかである。そのうえ、もし前記移動ノードが、そのホームパブリックランド(home public land)移動無線ネットワークのサービスエリア内ならば、移動ノードは、他のどのネットワークよりも優先してこのホームネットワークに接続する。しかし、もし移動ノードが、異なる国に移動するなど、そのホームネットワークのサービスエリア外に移動した場合には、前記移動ノードは、ブロードキャスト通信に関してそれぞれ異なるネットワークの基地局から受信した相対的な信号強度に従って接続されるべきモバイルアクセスネットワークを選択可能である。
【0018】
現在、利用可能な複数の異なる無線アクセスネットワークが配置されている。上で指摘したように、これは、WiFiネットワーク,WiMAXネットワーク,3Gネットワーク,またはさらにGPRS/UMTSネットワークを含む。したがって前記移動ノードは、これらの異なる無線アクセスネットワークに従うインターフェース規格で通信可能な送受信装置を具備するように構成されうる。
【0019】
前述のとおり、非アクティブ状態においては、移動ノードに、どのアクセスネットワークに接続すべきかを決定する責任がある。しかし、本発明の実施形態では、移動ノードが接続されるべき可能なアクセスネットワークに影響を与える設備を提供する。さらに、本技術によれば、移動ノードが接続されるべきアクセスネットワークへの影響は、アクセスネットワークの好適なリストを提供するために多くの信号通信量を必要としないという効果がある。本発明における実施形態の1例を図2に示す。
【0020】
図2では、簡素化のために第1および第2WLAN2,4のみ示している。しかし、図2において、それぞれのリソースマネージャ30,32は、無線アクセスネットワーク2,4のそれぞれとつながっており、ネットワークセレクションマネージャ34は、前記リソースマネージャ30,32と接続されている。前記ネットワークセレクションマネージャ34は、データベース36ともつながっている。
【0021】
本技術によると、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、接続されるべきアクセスネットワークを決定するために前記移動ノードにより使用されるアクセスネットワークの好適なリストを送信するように構成されている。したがって、前記移動ノードがアクティブとなり、呼び出しまたは応答を始めた場合には、前記移動ノードは、この呼び出しを好適なアクセスネットワークを介して受信する。その後、当然ながらモビリティマネジメントといった前記ネットワーク内での他の操作および機能が、引き継がれるとともに、例えば開始されているサービスに従って前記移動ノードを異なるアクセスネットワークに誘導する。しかし、非アクティブ状態の間は、移動ノードが接続するべきアクセスネットワークを決定できる。ネットワークセレクションマネージャから移動ノードにアクセスネットワークの好適なリストを提供することは、移動ノードに接続すべきアクセスネットワークを決定することを許可することになる。例えば、ブロードキャスト信号またはアクセスネットワークアラート信号と好適なアクセスネットワークのリストの組み合わせといった受信した無線信号の品質の組み合わせに従って、移動ノードは通信に使用可能であり、かつ好適なネットワークのリスト上で最高のアクセスネットワークを選択可能である。このように、例えば、前記移動ノードはリストの最高位置にあるアクセスネットワークを選択可能であり、またそれがさらに好適ではあるだけでなく、移動ノードにより測定されたように受信された無線信号の許容内の品質をも供給する。
【0022】
上述したように、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、このサービスのためにネットワークセレクションマネージャに登録されている移動ノードのそれぞれに提供するために、好適なアクセスネットワークのリストを集める。前記ネットワークセレクションマネージャは、これらのアクセスネットワークのそれぞれの使用可能なリソースにしたがって好適なアクセスネットワークのリストを集めてもよい。図2で示す例では、リソースマネージャ30,32は、アクセスポイント10,11,12,16,18,20を経由したインターネットプロトコル通信などといった現在の通信トラフィックの量の指標をアクセスゲートウェイ8,14から受信する。前記リソースマネージャ30,32はその後アクセスネットワーク評価メッセージ(ANErm)を生成する。前記アクセスネットワーク評価メッセージは、これらアクセスネットワークのそれぞれの相対的な混み具合の指標および使用可能な通信リソースの量を提供する。前記アクセスネットワーク評価メッセージは、その後リソースマネージャ30,32からネットワークセレクションマネージャ34に送信される。
【0023】
一実施形態において、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、これらのアクセスネットワークそれぞれの混み具合を制御するためにアクセスネットワーク評価メッセージを使用する。ネットワークセレクションマネージャ34は、混み具合のより高いアクセスネットワークよりも、より好適なアクセスネットワークである混み具合のより低いアクセスネットワークを識別する働きをする。このように、ネットワークセレクションマネージャ34は異なる複数のアクセスネットワーク間の負荷バランシングを効果的に実行する。図1で示す例では、もしリソースマネージャ30,32において、第2アクセスネットワーク4が第1アクセスネットワーク2よりも高い混み具合であると示したならば、その後ネットワークセレクションマネージャ34は第1アクセスネットワークが、第2アクセスネットワークより好適であると決定する。したがって好適なアクセスネットワークのリストにおいて第1アクセスネットワークは第2アクセスネットワークよりも上位に配置される。それゆえ、ネットワークセレクションマネージャ34は、ネットワークオペレータの選択に従って好適なアクセスネットワークのリストを特定する。この例では、前記ネットワークオペレータの選択は、第2アクセスネットワークの混み具合を減少させるものである。
【0024】
いくつかの実施形態では、データベース36は、オペレータにより定められた、好適なアクセスネットワークのリストを特定するためのルールの提供が可能である。前記オペレータにより定められたルール(すなわち確定した条件)は、例えば、セルラーネットワークのほうがローミングへの高い適応性が提供可能のため、移動ノードMNが、WiFiネットワークといった無線IPネットワークよりもセルラー携帯電話ネットワークへ接続することを選びうる。ネットワークセレクションマネージャ34は、オペレータにより定められたルールに従い前記好適なアクセスネットワークのリストを決定しうる。
【0025】
前記ネットワークセレクションマネージャは、一定間隔で、または前記移動ノードからの要求に応えて、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを移動ノードに送信してもよい。あるいは、好適なモバイルアクセスネットワークのリストの変更に応じて前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを、前記移動ノードに送信してもよい。それによって、要求される信号量を削減する。本発明における電気通信システムのこの実施形態においては、好適なモバイルアクセスネットワークのリストが変化するのに伴い、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは動的に更新される。
【0026】
他の例において、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、移動ノードMNの相対位置に依存する好適なアクセスネットワークリストを指定するように構成してもよい。したがって、ネットワークセレクションマネージャ34は、図3に示すロケーションレジスタからデータを受信しうる。図3においてロケーションレジスタ40は、GSMネットワークのホームロケーションレジスタ(HLR)または、インターネットプロトコル(IP)マルチメディアサービス(IMS)ネットワークのホームサブスクライバサーバ(HSS)のようにモバイルアクセスネットワークの一部を構成する。モバイルアクセスネットワークの従来のオペレーションと同様に、前記ロケーションレジスタは移動ノードの現在の位置を識別するデータを受信するとともに保持する。しかし、移動ノードは、複数の異なるアクセスネットワークタイプに接続されうることから、前記ロケーションレジスタ40は、移動ノードの位置および接続されている現在のアクセスネットワークを保持するというさらにグローバルな機能を実行可能である。この情報は、ロケーションレジスタ40に信号メッセージの形でアクセスネットワークから、または移動ノードから送信してもよい。そしてそれは、レジストレーションプロシージャの一部として移動ノードがアクセスネットワークに接続する場合に発生する。他の例においては、前記ロケーションレジスタ40は、移動ノードの現在の位置を識別する情報を保持するインターアクセスシステムアンカを構成してもよい。同様に、モバイルインターネット通信セッションとGSMとの間のモビリティを提供するIPサービスのために、音声電話継続(continuity)サーバは、その場所の識別を提供することに関し移動ノードをアンカーするため提供されうる。
【0027】
図3を参照すると、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、移動ノード位置の指標をロケーションレジスタから受信するとともに、その場所の範囲内で移動ノードに使用可能なモバイルアクセスネットワークに従って好適なアクセスネットワークのリストを調整する。ロケーションレジスタ40に保持された移動ノードの位置は、例えばノードBといった、移動ノードが所属しているネットワークエンティティの識別子であってもよい。この場合には、ネットワークセレクションマネージャ34は、インバウンドローミングする移動ノードをめぐり識別されたノードBと競合する他のアクセスネットワークを認識している。したがって、前記他のアクセスネットワークは、識別されたノードBと同様に同一場所において無線サービスエリアを提供する。それゆえ、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、競合するアクセスネットワークに従って好適なアクセスネットワークのリストを調整することが可能である。移動ノードの位置は、ノードBの関連する無線サービスエリアの地理的エリアの知識を基にした特定の地理的情報により識別してもよい。この場合には、ネットワークトポロジインフォメーションを提供するさらなるネットワークエンティティが提供されうる。したがって、もし、特定のアクセスネットワークが特定位置において使用可能である場合か、またはもし特定位置において、あるアクセスネットワークが他のアクセスネットワークから選択される場合には、これを、移動ノードに送信するための好適なアクセスネットワークのリストを集めるために使用してもよい。さらに、ネットワークセレクションコンフィギュレーションメッセージを送信するために、前記ネットワークセレクションマネージャ34は、移動ノードの位置を識別するためにロケーションレジスタに応答要求(interrogate)してもよい。そしてネットワークリセレクションメッセージを前記移動ノードに送信する。
【0028】
オペレーションの要約
【0029】
図4は、移動ノードが好適なアクセスネットワークに接続するようにアレンジするための、移動ノードMNと組み合わせたネットワークセレクションマネージャ34におけるオペレーションを要約したフローチャートを示している。図4は、以下のように要約される。
【0030】
S1: 前記ネットワークセレクションマネージャは、1つまたは複数のリソースマネージャから、移動ノードが通信時に経路する複数のアクセスネットワークと関連するアクセスネットワーク評価メッセージを受信する。したがって、リソースマネージャは、1つ以上のアクセスネットワークに割り当てられる。ネットワークセレクションマネージャは、現在使用可能なアクセスネットワークのリソースに基づかない決定基準に従い好適なアクセスネットワークを選択しうるため、このステップはもちろんオプションである。
【0031】
S2: 前記アクセスネットワーク評価メッセージは、ネットワークセレクションマネージャに受信されるとともにそれぞれのアクセスネットワークの現在の負荷を決定するために分析される。前記ネットワークセレクションマネージャは、評価された現在の負荷に従って、あるアクセスネットワークが、他のアクセスネットワークよりも利用可能な通信リソースがあるかどうか識別するために、相対的な通信リソースの分配を決定するように構成される。同様に、あるアクセスネットワークが、現在非常に混雑しているため、結果として好適なアクセスネットワークであるとは見なしてはならないとして、移動ノードに非アクティブ状態に"キャンプ(camp)"すべきであることを指示してもよい。
【0032】
S4: その後、前記ネットワークセレクションマネージャは、好適な非アクティブノードのアクセスネットワークのリストを規定するために、所定のオペレータのポリシールールに従ってそれぞれのアクセスネットワークの現在の負荷を適用する。それゆえ、前記ネットワークセレクションマネージャは、前記ポリシールールをデータストアから受信するとともに、異なるアクセスネットワーク間で使用可能な識別されたリソースと組み合わせて、好適なアクセスネットワークのリストを形成する。前記アクセスネットワークは、移動ノードに提示されるべき順番でリストしてもよい。
【0033】
S6: 前記ネットワークセレクションマネージャは、その後、リストが最後に移動ノードに送信されてから、好適なアクセスネットワークのリストが変更されたかどうかを確認する。従って、もし好適なリストが最後に移動ノードに送信されてから、リストが変更されていなければ、フローチャートの開始であるステップS1に進む処理をする。もしリストが変更されていたならば、ステップS8に進む処理をする。
【0034】
S8: 前記移動ノードの非アクティブ状態のための好適なアクセスネットワークのリストを提供するため、好適なアクセスネットワークのリストは、ネットワークセレクションコンフィギュレーション(NRC)メッセージを使用して前記移動ノードに送信される。例えば、もし、移動ノードがパーマネントアドレスを有し、かつ他のネットワークエンティティがパーマネントアドレスにアドレス指定されているメッセージのルーティング処理を行なう場合には、前記NRCメッセージを前記移動ノードに送信するという方法は、ネットワークセレクションマネージャにトランスペアレントである。または前記ネットワークセレクションマネージャは、移動ノードの現在位置をロケーションレジスタから確認することにより、ルーティングを自身で処理してもよい。
【0035】
S10: ひとたび移動ノードが好適なアクセスネットワークのリストを受信したならば、前記移動ノードは、接続すべきアクセスネットワークを識別するために前記リストを適用する。特に前記移動ノードは、例えば最低限の品質のサービスを提供可能という意味において、どのアクセスネットワークが使用可能かどうかを確認するために、それぞれのアクセスネットワークによりブロードキャストされた受信した信号の信号強度を測定してもよい。最低限の品質のサービスを提供可能なアクセスネットワークは、その後好適なアクセスネットワークのリストと比較される。リストの最上位にあり、それゆえ最も好適である、少なくとも最低限の品質のサービスを提供する前記アクセスネットワークは、前記移動ノードが受信または呼び出しのためにキャンプ(camp)すべき、または登録すべきネットワークとして選択される。
【0036】
非アクティブ状態中において、アクセスネットワークの選択/再選択に関しオペレータが移動ノードを補助できるようにすることは、移動ノードのユーザとオペレータの双方の観点からから適切であるアクセスネットワーク上で、移動ノードがアクティブ状態に入ることを可能にする。これは、アクセスネットワーク間の負荷のバランシングのための有益な因果関係(consequence)を有しており、混雑しているアクセスネットワークの選択を避けること、およびそのサブスクリプションによる種々のクラスでのユーザの優先順位付けを許可することにより、移動ノードのユーザのサービス品質(QoS)コントロールを改善させた。そのうえ、移動ノードがこれらのポリシーを気にする必要なく、また移動ノードのベンダーというよりもネットワークオペレータがアクセスネットワークの選択ポリシーをコントロールする必要もなく、詳細で高度なオペレータポリシーの実施が可能である。これらの利点は、移動ノードとネットワーク間の信号メッセージの交換を必要とせずに生じる。
【0037】
本発明の種々のさらなる特徴及び機能は、添付の特許請求の範囲に定められている。本明細書で説明された実施形態に対する種々の修正は、添付の特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から逸脱することなく作成しうる。例えば、例示した実施形態においては、移動ノードMNは、無線アクセスネットワークを介して通信しているが、本発明は、アクセスネットワークの1つが例えばケーブルモデムを介すなど有線ネットワークを経由しても使用可能である場合においても等しく適用可能である。さらに、本発明は、移動ノードが選択する、非アクティブ状態において接続すべき利用可能なアクセスネットワークが、いかなるタイプの無線または有線のアクセスネットワークであってもアプリケーションを提供する。付加的には、本発明は、非アクティブ状態の移動ノードに特に適用可能であるが、モビリティマネジメントスキームとして、ローミングしている状態のアクティブ端末にも適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 移動ノード(MN)
2 第1無線アクセスネットワーク(WLAN)
4 第2WLAN
6 GPRSネットワーク
8 アクセスゲートウェイ
10,11,12,16,18,20 無線アクセスポイント
22,24 ノードB
26 無線ネットワークコントローラ(RNC)
28 サービングGPRSサポートノード(SGSN)
32 リソースマネージャ
34 ネットワークセレクションマネージャ
36 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモバイルアクセスネットワークを介して移動ノードが通信するための設備を提供可能な電気通信システムであって、前記電気通信システムは、
非アクティブ状態中に接続しうる好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定可能であるとともに、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを前記移動ノードに送信可能なネットワークセレクションマネージャを具備し、
移動ノードの前記非アクティブ状態は、移動ノードが、移動ノードが接続すべきモバイルアクセスネットワークを選択することの責任を有するという状態であり、
選択のための前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、オペレータが定めた条件に従って決定され、
前記移動ノードは、非アクティブ状態において、好適なモバイルアクセスネットワークのリストに基づいて接続するために使用可能である複数のモバイルアクセスネットワークの1つを選択可能であることを特徴とする電気通信システム。
【請求項2】
複数のモバイルアクセスネットワークの現在の負荷状態を決定できる1つまたは複数のリソースマネージャを具備し、
前記1つまたは複数のリソースマネージャは、前記決定した現在の負荷状態を前記ネットワークセレクションマネージャに送信可能であり、
前記オペレータが定めた条件は、モバイルアクセスネットワーク間の相対負荷バランシングを提供するための条件を含み、
前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、複数のそれぞれのモバイルアクセスネットワークの現在の負荷状態に基づいて相対負荷バランシングを提供するためにネットワークセレクションマネージャにより決定される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気通信システム。
【請求項3】
前記オペレータが定めた条件は、少なくとも1つのモバイルアクセスネットワークのタイプを含み、
サブスクリプション情報は移動ノードのユーザに関するユーザプロファイルを有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気通信システム。
【請求項4】
前記移動ノードの位置を監視可能であるとともに、前記移動ノードの位置をネットワークセレクションマネージャに送信可能な位置モニタを具備し、
前記ネットワークセレクションマネージャは、前記移動ノードの位置に従って、前記移動ノードのための好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気通信システム。
【請求項5】
前記ネットワークセレクションマネージャは、前記好適なリストが最後に移動ノードに送信された後に、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストの変更に応じて前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを前記移動ノードに送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気通信システム。
【請求項6】
移動ノードを複数のモバイルアクセスネットワークを介して通信可能にする電気通信システムの一部として提供される、複数のモバイルアクセスネットワークの好適なモバイルアクセスネットワークを決定するためのネットワークセレクションマネージャであって、前記ネットワークセレクションマネージャは、
移動ノードが非アクティブ状態中に接続しうる好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定可能であるとともに、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを前記移動ノードに送信可能であり、
移動ノードの前記非アクティブ状態は、移動ノードが、移動ノードが接続すべきモバイルアクセスネットワークを選択することの責任を有するという状態であり、
選択のための前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、オペレータの定めた条件に従って決定され、
前記移動ノードは、前記非アクティブ状態中に、好適なモバイルアクセスネットワークのリストに従って接続するための、複数のモバイルアクセスネットワークのうちの1つを選択可能であることを特徴とするネットワークセレクションマネージャ。
【請求項7】
移動ノードは、電気通信システムの範囲内で複数のモバイルアクセスネットワークを介して通信可能であり、前記電気通信システムは、
移動ノードが非アクティブ状態中に接続しうる好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定可能であるとともに、前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを前記移動ノードに送信可能なネットワークセレクションマネージャを具備し、
前記移動ノードの前記非アクティブ状態は、移動ノードが、移動ノードが接続すべきモバイルアクセスネットワークを選択することの責任を有するという状態であり、
選択のための前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、オペレータが定めた条件に従って決定され、
前記移動ノードは、非アクティブ状態において、好適なモバイルアクセスネットワークのリストに基づいて接続するために使用可能である複数のモバイルアクセスネットワークの1つを選択可能であることを特徴とする電気通信システム。
【請求項8】
複数のモバイルアクセスネットワークを介して移動ノードが通信するための設備を提供可能な電気通信方法であって、前記電気通信方法は、
ネットワークセレクションマネージャにおいて、移動ノードが非アクティブ状態中に接続しうる好適なモバイルアクセスネットワークのリストを決定するステップと、
前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストを前記ネットワークセレクションマネージャから前記移動ノードへ送信するステップと、
を具備し、
移動ノードの前記非アクティブ状態は、移動ノードが、移動ノードが接続すべきモバイルアクセスネットワークを選択することの責任を有するという状態であり、
選択のための前記好適なモバイルアクセスネットワークのリストは、オペレータが定めた条件に従って決定され、
前記移動ノードは、非アクティブ状態において、好適なモバイルアクセスネットワークのリストに基づいて接続するために使用可能である複数のモバイルアクセスネットワークの1つを選択可能であることを特徴とする電気通信方法。
【請求項9】
コンピュータ上に読み込まれた場合に、請求項8に記載の方法をコンピュータに実行させる、コンピュータ実行可能な命令を提供することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
記録メディアを有し、前記記録メディアはその上に請求項9に記載のコンピュータプログラムを有することを特徴とするデータキャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−502144(P2010−502144A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526015(P2009−526015)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057629
【国際公開番号】WO2008/025618
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】