説明

好酸球活性化抑制剤

【課題】
本発明の目的はアレルギーを増悪化させる好酸球の活性化を抑制しアレルギー症状を緩和する製剤を得ることにある。
【解決手段】
花粉荷を有効成分とする好酸球活性化抑制剤は上記の課題を解決する方法として非常に有効であり、花粉症をはじめ種々のアレルギーの疾患に好酸球活性化抑制剤をして用いることができる。

なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花粉を主成分とする花粉荷を配合したる好酸球活性化抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、杉や檜等の花粉アレルギーによる、アレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)のいわゆる花粉症の症状を訴える患者が急増する傾向にある。花粉アレルギーは外来性因子、即ち花粉の侵入によってマスト細胞や好塩基球からヒスタミンやロイコトリエン等の化学伝達物質や種々の酵素が遊離し、特に鼻や目にその症状が現れる。
花粉症の治療対策としては、眼鏡やマスクなどの着用により物理的にスギ花粉等との接触を防止に拠る予防や、抗アレルギー薬による予防的治療、抗ヒスタミン剤やステロイド製剤による対症療法、減感作療法などが行われている。
【0003】
しかしながら、杉や檜等の花粉を回避するために、外出時に花粉症対応のマスクや眼鏡などを着用する方法は、ある種の苦痛と不便さが伴う。更に、花粉の飛散・浮遊は屋外だけではなく、屋内にも侵入している。換気や、毛髪や衣服あるいは洗濯物などへの付着により、屋内への杉や檜等の花粉の持ち込みが起こっているからである。従って、杉や檜等の花粉が飛散する時期には屋内外において花粉に接触する可能性が高く、物理的に花粉との接触を阻止するためには、厳密には外出時だけではなく、屋内外を問わず一日中マスクと眼鏡の着用が必要となるが日常生活を営む上においては、現実的には杉や檜等の花粉との接触を完全に防ぐことはできない。
アレルギーの発生の作用機序が長年研究されてきて、その中で、白血球の一種である好酸球がアレルギー反応に関与していることがわかってきた。
この好酸球は血液中に存在し、その細胞内に塩基性の強い細胞障害性蛋白質を含む顆粒を有する。そして、この好酸球はアレルギー反応又は炎症反応が生ずるとその部位へ血液中から遊走、浸潤した後、刺激によって前記顆粒を放出し、アレルギー反応等を進行、悪化させると考えられている。これら好酸球の活性化がアレルギーを増悪化していることがわかっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はアレルギーを増悪化させる好酸球の活性化を抑制しアレルギー症状を緩和する製剤を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、花粉荷に好酸球の活性化を抑制する作用を見出し、アレルギー症状を緩和する製剤を得られることを究明した。
花粉荷は蜜蜂が集めた花粉であり、花粉のほかにも花蜜、唾液等を含み、成分は多種多様である。好酸球活性化抑制に有効な成分がなにかは同定されておらず、また、有効な成分が単独の成分か複合の成分かも同定されていない。
これをそのまま、或いは他の原料と混合し、製剤も顆粒、錠剤、カプセル、ペースト等任意の形を選択できる。
また、これらを食品に中に配合してもよい。
【0006】
今回発明者らは、スペインのエストレマドゥーラ州地方産の花粉荷を用いて実験した。集めた花粉の多くはシスタスすなわち、ハンニチバナ科ゴジアオイ属の植物である。
この花粉荷の分析結果を表1〜表4に記載する。これらの試験は食品分析の一般的な方法で行った。
【0007】
【表1】

【0008】
【表2】

【0009】
【表3】

【0010】
【表4】

【0011】
上述した花粉荷をはじめ各種原料を表5の配合量でカプセル(プルラン製1号)に充填して有効性評価試験を行った。なお、プラセボは表5の花粉荷に替えてデキストリンを用いた。
【0012】
【表5】

【0013】
花粉症の人12名をランダムに2群に分け一群には花粉荷を充填したカプセル、もう一群にはプラセボのカプセルを1日4カプセルづつ服用してもらった。
試験品の摂取前に採血を行い、血中の好酸球数を測定した。
試験品の摂取中、摂取後も同様に採血を行い、好酸球数を測定した。花粉飛散量については、三重大学医学部耳鼻咽喉科主催のホームページ、三重花粉情報(URL: http://www.medic.mie-u.ac.jp/kafun/)を用いて伊勢市近郊の花粉飛散量を引用した。また、試験終了時にアンケートによる調査を行い、昨年と比較して症状の改善の有無を確認した。
(なお、試験は平成21年1月より5月まで行った。)
結果を表6と表7に示す。
【0014】
【表6】

【0015】
【表7】

【0016】
なお、平成21年は昨年より伊勢市近郊では花粉飛散量は多く、プラセボ群では、昨年より症状がひどい人が4名いたが、花粉荷群では逆に昨年より症状が楽だったという人が4名で花粉症に対する有効性が高いことがわかった。このことは表5に示すように花粉荷が好酸球活性化を抑制することがわかる。
花粉荷が好酸球活性化抑制剤あるいは好酸球活性化抑制用食品として利用できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
花粉荷を有効成分とする好酸球活性化抑制剤
【請求項2】
花粉荷がハンニチバナ科ゴジアオイ属の植物の花粉を主成分とする花粉荷である請求項1の好酸球活性化抑制剤
【請求項3】
花粉荷を有効成分とする好酸球活性化抑制用食品

【公開番号】特開2011−98889(P2011−98889A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252584(P2009−252584)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000166959)御木本製薬株式会社 (66)
【Fターム(参考)】