説明

妊娠に関連する化合物の投与による多能性幹細胞の増殖の刺激

【課題】哺乳動物において多能性幹細胞の増殖を刺激するための方法を提供すること。
【解決手段】この方法は、妊娠に関連した化合物であるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)またはプロラクチンの投与を包含する。さらに、上記妊娠に関連した化合物は、傷害または疾患に起因して細胞の損傷を受ける心臓、肝臓もしくは腎臓の組織または器官の処置において使用される。本出願はまた、器官または組織中の損傷もしくは疾患を有する細胞に関連する疾患または状態を有するヒトを処置する方法を提供する。この方法は、そのヒトへの、1日あたり100μg〜300μgのHCGの投与を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第60/616,204号(2004年10月7日出願)および同第60/661,255号(2005年3月10日出願)(これらの出願は、その全体が参考として本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、哺乳動物において幹細胞の産生を刺激する方法に関し、特に哺乳動物の組織(特に、心臓、肝臓および腎臓)中の細胞の増殖を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
哺乳動物において、幹細胞は、自らを複製し得、特定の機能を行ない得る細胞(例えば、肝細胞、神経、白血球など)へとさらに分化する能力を有する、細胞のカテゴリーを代表する。幹細胞と称される細胞の重要な特徴は、多くの最後まで分化した細胞のうちの1種へと分化し得る多能性幹細胞に関して、自己再生(self−renew)する能力または自らをさらに複製する能力である。幹細胞の役割は、さもなければ死亡、疾患または傷害を生じる細胞を置換することであると考えられる。すなわち、傷害または疾患の際に、他に存在するか、または傷害の部位もしくは疾患の部位の近傍に存在する多能性幹細胞は、疾患を有する細胞または傷害を受けた細胞を置換し得る細胞へと分化し得ることが、企図される。
【0004】
現在、当該分野は、幹細胞研究の多くの局面に関し、その研究の1つは、分化の工程を理解し、そしてそれ制御することである。幹細胞は、身体のほぼ全ての組織および器官に、種々の量で存在することが、観察される。同様に、幹細胞は、通常、哺乳動物の血液系およびリンパ系において低い量で存在し、それによって、哺乳動物における幹細胞の全身的な利用を与える
現在、哺乳動物における幹細胞の本来の役割の1つが傷害を受けた細胞または疾患を有する細胞を置換することである場合、疾患または傷害を患っている組織または器官に対する幹細胞の導入が、修復を可能にし得、そして/またはそうでなければ疾患状態の緩和を果たし得ることが、当該分野において予期される。さらに、幹細胞の単離、およびその後の、処置を必要とする患者への幹細胞の導入は、複雑かつ高価な工程であり得、その導入された幹細胞が変化させられる可能性および単離手順によって影響を受ける可能性を伴い得る。したがって、単離手順および導入手順を行なわずに、処置を必要とする組織または器官における幹細胞の存在を増加させることに対する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、妊娠に関連した化合物(具体的に、プロラクチン、LHまたはHCG)の投与による、哺乳動物の組織もしくは器官における多能性幹細胞の増殖の刺激に関する。より具体的には、本発明は、組織または器官における多能性幹細胞の増殖の刺激のための、LHの使用、HCGの使用またはプロラクチンの使用を提供し、これらの使用は、独立か、組み合わせか、またはさらなる因子との組み合わせもしくは結合(association)で提供される。
【0006】
したがって、本発明の1つの局面は、哺乳動物において多能性幹細胞の増殖を刺激する、新規の方法を提供する。さらなる局面において、本発明は、心臓、肝臓および腎臓を含む哺乳動物の特定の組織において多能性幹細胞の増殖を刺激する、新規の方法を提供する。
【0007】
別の局面において、本発明は、哺乳動物において、組織中の損傷を受けた細胞もしくは疾患を有する細胞または器官中の損傷を受けた細胞もしくは疾患を有する細胞を、組織または器官における多能性幹細胞の増殖の刺激によって置換する、新規の方法を提供し、この刺激は、幹細胞のより大きい集団を、置換を必要とする細胞へと分化させる。さらなる局面において、本発明は、心臓、肝臓および腎臓を含む組織もしくは器官中の損傷またはは疾患を有する細胞を、心臓、腎臓もしくは肝臓を含む組織または器官における多能性幹細胞の増殖の刺激によって置換する、新規の方法を提供し、この刺激は、幹細胞のより大きい集団を、置換を必要とする細胞へと分化させる。
【0008】
別の局面において、本発明は、哺乳動物において器官の疾患または器官の損傷を処置する、方法を提供し、この方法は、LHの有効量、HCGの有効量またはプロラクチンの有効量の毎日の投与を包含し、これらの有効量は、独立か、組み合わせか、またはさらなる因子との組み合わせもしくは結合で投与される。さらなる局面において、上記器官の疾患または器官の損傷は、ヒトに存在し、そして心臓、肝臓または腎臓を含む器官に存在する。さらなる局面において、上記HCGの投与または上記プロラクチンの投与は、1日あたり75μ〜300μg、より好ましくは1日あたり100μg〜200μg、よりさらに好ましくは1日あたり140μgの、毎日の投与を包含する。さらなる局面において、上記HCGまたは上記プロラクチンは、7日間、毎日投与される。
【0009】
別の局面において、本発明は、哺乳動物において器官の疾患または器官の損傷を処置する、方法を提供し、この方法は、LHの有効量、HCGの有効量またはプロラクチンの有効量の単回投与を包含し、これらの有効量は、独立か、組み合わせか、またはさらなる因子との組み合わせもしくは結合で投与される。さらなる局面において、上記器官の疾患または器官の損傷は、ヒトに存在し、そして心臓、肝臓または腎臓を含む器官に存在する。さらなる局面において、上記HCGの投与または上記プロラクチンの投与は、2,000IU〜10,000IU、より好ましくは2000IU〜4000IU、よりさらに好ましくは3000IUの、単回投与を包含する。
【0010】
別の局面において、本発明は、哺乳動物において全身的に多能性幹細胞の増殖を刺激する方法を提供し、この方法は、多能性幹細胞の増殖を誘導するのに十分な量の妊娠に関連した化合物の、哺乳動物への投与を包含する。本発明のさらなる局面は、哺乳動物において全身的に細胞の増殖を刺激する方法を提供し、この方法は、多能性幹細胞の増殖を誘導するのに十分な量の妊娠に関連した化合物の哺乳動物への投与を包含し、ここでこの妊娠に関連した化合物は、独立して、プロラクチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCGまたはhCG)、および黄体形成ホルモン(Leutinizing Hormone)(LH)を含む群から選択される。
【0011】
上記プロラクチン、上記LHまたは上記HCGが、インビボで使用されるか、またはインビトロで使用されるかにかかわらず、他の因子(例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、プロラクチン放出ペプチド(PRP)、エリスロポエチン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、セロトニン、骨形成タンパク質(BMP)、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、エストロゲン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、白血病抑制因子、毛様体神経栄養因子(CNTF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、および/または血小板由来増殖因子(PDGF))が、組み合わせで適用され得る。上記プロラクチン、上記LHまたは上記HCGは、ネイティブなプロラクチンの活性、ネイティブなLHの活性またはネイティブなHCGの活性を有する、あらゆるプロラクチンアナログ、あらゆるLHアナログ、もしくはあらゆるHCGアナログ、またはあらゆるプロラクチン改変体、あらゆるLH改変体、もしくはあらゆるHCG改変体であり得る。
【0012】
本発明の局面は、多能性幹細胞の増殖に関する遺伝子を同定する方法であって、以下:
a)哺乳動物からの多能性幹細胞の単離;
b)多能性幹細胞の増殖を誘導するのに十分な時間の期間における、単離された多能性幹細胞への、妊娠に関連した化合物の投与;
c)工程「b」の単離された多能性幹細胞からのcDNAの調製;
d)工程「a」の単離された多能性幹細胞からのcDNAの調製;
e)工程「c」のcDNAと工程「d」のcDNAとの間に共通するcDNAの、サブトラクティブハイブリダイゼーションによる除去;ならびに
f)残ったcDNAの特徴付け;
を包含する方法を提供する。
【0013】
本発明のさらなる局面は、多能性幹細胞の増殖に関する遺伝子を同定する方法であって、以下:
a) 哺乳動物からの多能性幹細胞の単離;
b) 多能性幹細胞の増殖を誘導するのに十分な時間の期間における、単離された多能性幹細胞への、プロラクチン、HCG、またはLHの投与;
c)工程「b」の単離された多能性幹細胞からのcDNAの調製;
d)工程「a」の単離された多能性幹細胞からのcDNAの調製;
e)工程「c」のcDNAと工程「d」のcDNAとの間に共通するcDNAの、サブトラクティブハイブリダイゼーションによる除去;ならびに
f)残ったcDNAの特徴付け;
を包含する方法を提供する。
【0014】
本発明の局面は、多能性幹細胞の増殖に関する妊娠に関連した化合物において、調節性因子を同定する方法であって、以下:
a)哺乳動物からの多能性幹細胞の単離;
b)公知の妊娠に関連した化合物の実質的に純粋な調製物の投与;および
c)多能性幹細胞の増加した増殖の存在の決定、または多能性幹細胞の増殖能の決定;を包含する方法を提供する。
【0015】
本発明のさらなる局面は、多能性幹細胞の増殖に関する妊娠に関連した化合物において、調節性因子を同定する方法であって、以下:
a)哺乳動物からの多能性幹細胞の単離;
b)プロラクチンの実質的に純粋な調製物;HCGの実質的に純粋な調製物、またはLHの実質的に純粋な調製物の投与;および
c)多能性幹細胞の増加した増殖の存在の決定、または多能性幹細胞の増殖能の決定;を包含する方法を提供する。
【0016】
本発明のさらなる局面は、器官の疾患または器官の損傷を処置する方法であって、以下:
a)疾患または損傷によって影響を受ける器官への幹細胞の投与、および上記幹細胞の投与後または上記幹細胞の投与前の、上記器官または組織の細胞の増殖を刺激する有効量での、器官または組織への妊娠に関連した化合物の投与;
を包含する方法を提供する。
【0017】
本発明のさらなる局面は、器官の疾患または器官の損傷を処置する方法であって、以下:
a) 疾患または損傷によって影響を受ける器官への幹細胞の投与、および上記幹細胞の投与後または上記幹細胞の投与前の、上記器官または組織の細胞の増殖を刺激する有効量での、器官または組織へのプロラクチン、HCG、またはLHの投与;
を包含する方法を提供する。
添付の説明は、本発明の好ましい実施形態を示し、そして本発明の原理を説明するために機能する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
組織由来の多能性幹細胞の増殖を増加させるための方法であって、該方法は、プロラクチン、HCGおよびLHを含む群から選択される妊娠に関連した化合物の投与を包含する、方法。
(項目2)
前記組織は、心臓、肝臓および腎臓を含む群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記組織は、心臓である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記妊娠に関連した化合物は、プロラクチンである、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記組織は、肝臓である、項目2に記載の方法。
(項目6)
妊娠に関連した化合物は、HCGである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記組織は、腎臓である、項目2に記載の方法。
(項目8)
前記妊娠に関連した化合物は、HCGである、項目7に記載の方法。
(項目9)
器官または組織中の損傷もしくは疾患を有する細胞によって特徴付けられる疾患または状態を有するヒトを処置する方法であって、該方法は、該ヒトへの、2,000IU〜10,000IUのHCGの単回投与を包含する、方法。
(項目10)
前記器官または組織は、心臓である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記単回投与は、3,000IUのHCGの単回投与である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記器官または組織は、肝臓である、項目9に記載の方法。
(項目13)
前記単回投与は、10,000IUのHCGの単回投与である、項目12に記載の方法。
(項目14)
損傷もしくは疾患を有する心臓細胞によって特徴付けられる疾患または状態を有するヒトを処置する方法であって、該方法は、該ヒトへの、1日あたり100μg〜300μgのプロラクチンの投与を包含する、方法。
(項目15)
前記プロラクチンが、7日間投与される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記プロラクチンが、1日あたり140μgにて投与される、項目15に記載の方法。
(項目17)
器官または組織中の損傷もしくは疾患を有する細胞に関連する疾患または状態を有するヒトを処置する方法であって、該方法は、該ヒトへの、1日あたり100μg〜300μgのHCGの投与を包含する、方法。
(項目18)
前記器官または組織は、心臓、肝臓および腎臓を含む群から選択される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記HCGが、7日間投与される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記HCGが、1日あたり140μgにて投与される、項目19に記載の方法。
(項目21)
器官または組織中の損傷もしくは疾患を有する細胞に関連する疾患または状態を有するヒトを処置する方法であって、該方法は、該疾患または損傷によって影響を受ける該器官への幹細胞の投与、ならびに該幹細胞の投与後または該幹細胞の投与前の、HCG、LHおよびプロラクチンを含む群から選択される化合物の投与を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、雄ラットの肝臓組織切片および雌ラットの肝臓組織切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【図2】図2は、雄マウスの心臓細胞切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【図3】図3は、雌マウスの心臓細胞切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【図4】図4は、雄マウスの肝細胞切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【図5】図5は、雌マウスの肝細胞切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【図6】図6は、雄マウスの腎臓組織切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【図7】図7は、雌マウスの腎臓組織切片において観察された、1スライドあたりの平均BrdU取り込みの増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、以下の定義を有する:
本明細書中で使用される場合、「投与」は、全身的であるか、または器官もしくは組織へと局在するかのいずれかである、哺乳動物への化合物の、当該分野において周知である手段による導入を意味し、その結果、投与された化合物は、一般的な組織または器官、または目的の細胞と相互作用し得る。当該分野において周知であるこのような手段の例としては、経口用処方物、静脈注射、カテーテル法、坐剤、および注射による組織への直接導入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「妊娠に関連した化合物」は、哺乳動物の妊娠の間に、恒常的か、または一過性(transitively)のいずれかで、特異的に生成される化合物を意味する。化合物としては、通常、哺乳動物に存在するが、妊娠している哺乳動物において増加した濃度が見出される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「疾患」は、哺乳動物に対して不利益な、細胞の状態、組織の状態、器官の状態または全身の状態を、直接的かまたは間接的にもたらし得る、哺乳動物おける状態を意味する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「多能性幹細胞」は、それ自体で再生し得、そして関連する哺乳動物の系、組織または器官において通常見出される細胞型へと最後まで分化し得る細胞を意味する。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「細胞の増殖」は、細胞における再生の増加(有糸分裂が挙げられるが、これに限定されない)を意味する。細胞の増殖の増加は、増殖速度の増加または再生の増加であるが、これらに限定されないが、通常は再生することができない細胞の変化もまた挙げられ、その変化の結果、細胞は、再生および/または有糸分裂の事象が可能であり、そして再生および/または有糸分裂の事象を活発に行なう。
【0024】
「実質的な配列類似性」をネイティブな因子と共有するポリペプチドは、アミノ酸レベルで、そのネイティブな因子と少なくとも約30%同一である。そのポリペプチドは、アミノ酸レベルで、そのネイティブな因子と、好ましくは少なくとも約40%同一であり、より好ましくは少なくとも約60%同一であり、よりなお好ましくは少なくとも約70%同一であり、および最も好ましくは少なくとも約80%同一である。
【0025】
アナログもしくは改変体と、ネイティブな因子との、語句「同一性のパーセント」または「同一性の%」とは、それら2つの配列を整列した場合に、アナログまたは改変体においても見出される、ネイティブな因子中のアミノ酸配列の百分率をいう。同一性のパーセントは、当該分野において確立された任意の方法またはアルゴリズム(例えば、LALIGNまたはBLAST)によって決定され得る。
【0026】
ポリペプチドは、そのポリペプチドが、ネイティブな因子に対するレセプターと結合し得るか、またはネイティブな因子に対して産生されるポリクローナル抗体によって認識され得る場合に、ネイティブな因子の「生物学的活性」を有する。好ましくは、そのポリペプチドは、レセプター結合アッセイにおいてネイティブな因子に対するレセプターと特異的に結合し得る。
【0027】
ネイティブな因子の「機能的アゴニスト」は、そのネイティブな因子のレセプターに結合し、そしてそのレセプターを活性化する化合物であるが、その化合物は、実質的な配列類似性をそのネイティブな因子と必ずしも共有しない。
【0028】
「LH」は、以下のタンパク質である:
(1)実質的な配列類似性を哺乳動物のネイティブなLH(好ましくは、ヒトのネイティブなLH)と共有するポリペプチドを含み;そして
(2)哺乳動物のネイティブなLHの生物学的活性を有する。
【0029】
上記哺乳動物のネイティブなLHは、下垂体の前葉によって分泌されるゴナドトロピンである。LHは、非共有結合したαサブユニットとβサブユニットとからなるヘテロダイマーである。上記αサブユニットは、LH、FSHおよびhCGの間で共通であり、そして上記βサブユニットは、それぞれのホルモンに特異的である。本発明において有用なLHは、実質的な配列類似性を哺乳動物のネイティブなLHと共有するそのβサブユニットを伴う、ネイティブなそのαサブユニットを有し得る。あるいは、上記LHは、実質的な配列類似性を哺乳動物のネイティブなLHと共有するそのαサブユニットを伴う、そのネイティブなβサブユニットを有し得る。上記LHはまた、実質的な配列類似性を対応するネイティブなサブユニットと共有する、αサブユニットおよびβサブユニットの両方を有し得る。したがって、用語「LH」は、ネイティブなLHサブユニットの、欠失変異体、挿入変異体または置換変異体を含む、LHアナログを包含する。さらに、用語「LH」は、他の種に由来するLHおよびそれらの天然に存在する改変体を包含する。さらに、「LH」または、哺乳動物のネイティブなLHレセプターの機能的アゴニストであり得る。
【0030】
「HCG」は、(1)実質的な配列類似性をネイティブなHCGと共有するポリペプチドを含み;そして(2)そのネイティブなHCGの生物学的活性を有する、タンパク質である。上記ネイティブなHCGは、非共有結合したαサブユニットとβサブユニットとからなるヘテロダイマーである。上記αサブユニットは、LH、FSHおよびHCGの間で共通であり、そして上記βサブユニットは、それぞれのホルモンに特異的である。しかし、HCGのβサブユニットおよびLHのβサブユニットは、85%の配列類似性を共有する。本発明において有用なHCGは、実質的な配列類似性をネイティブなHCGと共有するそのβサブユニットを伴う、そのネイティブなαサブユニットを有し得る。あるいは、上記HCGは、実質的な配列類似性をネイティブなHCGと共有するそのαサブユニットを伴う、ネイティブなβサブユニットを有し得る。上記HCGまたは、実質的な配列類似性を対応するネイティブなサブユニットと共有する、αサブユニットおよびβサブユニットの両方を有し得る。したがって、用語「HCG」は、ネイティブなHCGサブユニットの、欠失変異体、挿入変異体または置換変異体を含む、HCGアナログを包含する。さらに、用語「HCG」は、他の種に由来するHCG対応物およびそれらの天然に存在する改変体を包含する。さらに、「HCG」はまた、哺乳動物のネイティブなHCG/LHレセプターの機能的アゴニストであり得る。
【0031】
「プロラクチン」は、(1)実質的な配列類似性を哺乳動物のネイティブなプロラクチン(好ましくは、ヒトのネイティブなプロラクチン)と共有し;そして(2)哺乳動物のネイティブなプロラクチンの生物学的活性を有する、ポリペプチドである。上記ヒトのネイティブなプロラクチンは、下垂体において主に合成される199アミノ酸のポリペプチドである。したがって、用語「プロラクチン」は、ネイティブなプロラクチンの、欠失変異体、挿入変異体または置換変異体である、プロラクチンアナログを包含する。さらに、用語「プロラクチン」は、他の種に由来するプロラクチンおよびそれらの天然に存在する改変体を包含する。
【0032】
さらに、「プロラクチン」はまた、哺乳動物のネイティブなプロラクチンレセプターの機能的アゴニストであり得る。例えば、上記機能的アゴニストは、米国特許第6,333,031号においてプロラクチンレセプターについて開示される、活性化アミノ酸配列であり得る;プロラクチンレセプター対してアゴニスト活性を有する金属錯体化したレセプターリガンド(米国特許第6,413,952号);ヒト成長ホルモンのアナログであるが、プロラクチンアゴニストとして作用するG120RhGH(Mode,A.ら、Endocrinology 137:447(1996));または米国特許第5,506,107号および同第5,837,460号に記載されるような、プロラクチンレセプターに対するリガンド(それらの全ては、本明細書中に参考として援用される)であり得る。
【0033】
「EGF」は、ネイティブなEGF、または実質的なアミノ酸配列類似性をネイティブなEGFと共有し、そして少なくとも1つ生物学的活性(例えば、EGFレセプターに対する結合)をネイティブなEGFと共有する、あらゆるEGFアナログもしくはあらゆるEGF改変体を意味する。特に、EGFとしては、あらゆる種のネイティブなEGF、TGF−α、または組換え改変型EGFが挙げられる。特定の例としては、2個のC末端アミノ酸の欠失を有し、かつ51位において中性アミノ酸への置換を有する組換え改変型EGF(特に、EGF51 gln51;本明細書中に参考として援用される米国特許出願公開第20020098178A1号)、16位のHis残基が中性アミノ酸または酸性アミノ酸によって置換されるEGFムテイン(EGF−X.sub.6)(米国特許第6,191,106号)、ネイティブなEGFのアミノ末端残基を欠く、EGFの52アミノ酸欠失変異体(EGF−D)、N末端残基および2個のC末端残基(Arg−Leu)が欠失しているEGF欠失変異体(EGF−B)、21位のMet残基が酸化されているEGF−D(EGF−C)、21位のMet残基が酸化されているEGF−B(EGF−A)、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB−EGF)、ベータセルリン、アンフィレギュリン、ニューレグリン、または上のいずれかを含む融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用なEGFアナログまたは他の有用なEGF改変体は、米国特許出願公開番号20020098178A1、ならびに米国特許第6,191,106号および同第5,547,935号(それらの全ては、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0034】
さらに、「EGF」はまた、哺乳動物のネイティブなEGFレセプターの機能的アゴニストであり得る。例えば、上記機能的アゴニストは、米国特許第6,333,031号においてEGFレセプターについて開示される活性化アミノ酸配列、またはEGFレセプターに対してアゴニスト活性を有する抗体(本明細書中に参考として援用される、Fernandez−Pol、J Biol Chem 260:5003(1985)および米国特許第5,723,115)であり得る。
【0035】
「PACAP」は、ネイティブなPACAP、または実質的なアミノ酸配列類似性をネイティブなPACAPと共有し、そして少なくとも1つの生物学的活性(例えば、PACAPレセプターに対する結合)をネイティブなPACAPと共有する、あらゆるPACAPアナログもしくはあらゆるPACAP改変体を意味する。有用なPACAPアナログおよび有用なPACAP改変体としては、PACAPの38アミノ酸改変体およびPACAPの27アミノ酸改変体(それぞれ、PACAP38およびPACAP27)、ならびに、例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,128,242号;同第5,198,542号;同第5,208,320号;同第5,326,860号;同第5,623,050号;同第5,801,147号および同第6,242,563号において開示されるアナログおよび改変体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
さらに、「PACAP」はまた、哺乳動物のネイティブなPACAPレセプターの機能的アゴニストであり得る。例えば、上記機能的アゴニストは、マキサジラン(maxadilan)(PACAP 1型レセプターの特異的アゴニストとして作用するポリペプチド(Moroら、J Biol Chem 272:966(1997)))であり得る。
【0037】
「エリスロポエチン(EPO)」は、ネイティブなEPO、または実質的なアミノ酸配列類似性をネイティブなEPOと共有し、そして少なくとも1つの生物学的活性(例えば、EPOレセプターに対する結合)をネイティブなEPOと共有する、あらゆるEPOアナログもしくはあらゆるEPO改変体を意味する。エリスロポエチンアナログおよびエリスロポエチン改変体は、例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,048,971号および同第5,614,184号において開示される。
【0038】
さらに、「EPO」はまた、哺乳動物のネイティブなEPOレセプターの機能的アゴニストであり得る。例えば、上記機能的アゴニストは、EMP1(EPO模倣物(mimic)ペプチド1、Johnson,D.L.ら、Nephrol Dial Transplant 15:1274(2000));Wrighton,N.C.ら、Science 273:458(1996)および米国特許第5,773,569に記載されるような、EPOのペプチド模倣物の1つ;Kaushansky,K.、Ann NY Acad Sci 938:131(2001)において開示されるような、任意の低分子EPO模倣物;米国特許第5,885,574号、WO 96/40231、WO 97/48729、Fernandez−Pol、J Biol Chem 260:5003(1985)または米国特許第5,723,115号に記載されるような、EPOレセプターを活性化する抗体;米国特許第6,333,031号においてEPOレセプターついて開示されるような、活性化アミノ酸配列;EPOレセプターに対するアゴニスト活性を有する、金属錯体化したレセプターリガンド(本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,413,952号)、または米国特許第5,506,107および同第5,837,460号(それらの全ては、本明細書中に参考として援用される)に記載されるような、EPOレセプターに対するリガンドであり得る。
【0039】
「有効量」は、意図された目的を達成するのに十分な、治療剤の量である。例えば、神経幹細胞の数を増加させるための、LHの有効量またはHCGの有効量は、場合によってインビボまたはインビトロで、神経幹細胞数の増加をもたらすのに十分な量である。神経変性性の疾患もしくは状態を、処置するか、または改善するための、LHの有効量あるいはHCGの有効量は、神経変性性の疾患もしくは状態の症状を、減少させるか、または除去するのに十分なLH/HCGの量である。所与の治療剤の有効量は、その治療剤の性質、投与の経路、その治療剤を受容する動物の大きさおよび種、ならびに投与の目的などの因子によって変動する。個々の場合の各々における有効量は、当該分野において確立された方法に従って、当業者によって経験的に決定され得る。
【0040】
本発明は、脳以外の組織において多能性幹細胞の増殖を刺激するための、妊娠に関連したホルモンの使用を提供し、この妊娠に関連したホルモンとしては、実質的に純粋な調製物における、妊娠に関連した化合物であるプロラクチン、HCG、LHおよびエストロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、本発明は、哺乳動物における妊娠に関連した化合物の使用を提供し、この妊娠に関連した化合物としては、他の妊娠に関連した化合物と組み合わせた、卵巣ホルモン、プロラクチン、HCG、LHおよびエストロゲン、あるいは多能性幹細胞を刺激するか、またはそうでなければ、多能性(pluirpotential)幹細胞の分化を促すか、もしくは引き起こす、当該分野において公知である化合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0041】
上記哺乳動物は、必要に応じて、少なくとも1つのさらなる因子(例えば、エリスロポエチン、サイクリックAMP、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、セロトニン、骨形成タンパク質(BMP)、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGF.α.)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、エストロゲン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン1、および/または毛様体神経栄養因子(CNTF))を受容し得る。
【0042】
プロラクチン、HCG、LHおよび/またはさらなる因子は、当該分野において確立された任意の方法によって提供され得る。例えば、それらは、血管内投与、髄腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、局所投与、経口投与、直腸投与、膣投与、鼻投与、吸入による投与または脳への投与が行われる。それらの投与は、好ましくは、全身的(特に、皮下投与)によって行われる。プロラクチン、HCG、LHまたはさらなる因子はまた、哺乳動物において内因性のプロラクチンの量、HCGの量、LHの量またはさらなる因子の量を増加させ得る有効量の因子を哺乳動物に投与することによって提供され得る。例えば、動物中のLHレベルは、GnRHを使用することによって増加され得る。
【0043】
したがって、本発明は、神経幹細胞数を、プロラクチン、HCG、もしくはLHを使用してインビボまたはインビトロのいずれかで増加させる方法を提供する。HCGは、HCGがLHのアナログであり、そして同じレセプターをLHと共有するような、LHと同じ効果を有すると予想される。器官または組織インビボにおいて幹細胞数を増加させる場合、この方法は、器官または組織において、幹細胞のより大きいプールをもたらす。次いで幹細胞のこのより大きいプールは、プロラクチン、HCG、またはLHを伴わない幹細胞の集団より、その器官または組織に適した分化した細胞を生じ得る。次に、その細胞は、器官もしくは組織の疾患または損傷と関連する損なわれた細胞あるいは変性した細胞を補い得る。
【0044】
これらの化合物によって増加されるプロラクチン、HCG、もしくはLH、または他の因子はまた、インビトロで幹細胞数を増加させるために使用され得る。この結果生じた幹細胞は、より器官に特異的な細胞インビトロで産生するために使用され得るか、器官の疾患もしくは器官の損傷に関連した疾患または状態を罹患するヒトあるいは動物における移植産物として使用され得る。器官特異的細胞よりもむしろ、本発明によって産生される幹細胞が移植されることが好ましい。一旦、幹細胞が移植されると、増殖因子および/または分化因子は、幹細胞の数をさらに増加させるためか、もしくは器官特異的な細胞形成を選択的に向上させるために、インビボで投与され得る。同様に、上記さらなる因子は、プロラクチン、HCG、もしくはLHと一緒にインビトロで使用され得るか、またはプロラクチン、HCG、もしくはLHと組み合わせてインビボで投与され得る。
【0045】
例示的な分化因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
1.エリスロポエチン(Epo):Epoが細胞系統への幹細胞の系統付け(commitment)を増強させることが示されている;
2.トランスフォーミング増殖因子βおよび骨形成タンパク質(BMPs):BMPは、分化因子として公知である;
3.甲状腺ホルモン(TH(T3形態およびT4形態の両方を含む)):THは、分化因子として公知である。例えば、Rodriguez−Pena A.J Neurobiol 40(4):497(1999)を参照のこと;
4.甲状腺刺激ホルモン(TSH)および甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH):TSH/TRHは、循環するTHのレベルの増加を生じる、下垂体前葉からのTHの放出を促進する。
【0046】
幹細胞数を増加させる因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
1.卵胞刺激ホルモン(FSH)は、多くの場合、LHと協働して作用する;LHレセプター発現を誘導し、それによってLHシグナル伝達の効果を増強し得ることが公知である;
2.成長ホルモン(GH)は、幹細胞の増殖を刺激し得る;
3.インスリン様成長因子(IGF)は、GHに対する応答において多くの組織から放出されるソマトメジンであり、そしてGHの増殖促進効果の多くを媒介する;
4.成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)は、視床下部から分泌され、そして下垂体前葉からのGHの放出を誘導し、循環するGHのレベルの増加をもたらす;
5.線維芽細胞増殖因子は、幹細胞についてのマイトジェン因子(mitogenic
agent)として公知である;
6.上皮増殖因子は、幹細胞についてのマイトジェン因子として公知である;
7.トランスフォーミング増殖因子α(TGF−α)は、幹細胞についてのマイトジェン因子として公知である;
8.ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、LHの放出を誘発し、そしてプロラクチン、HCG、またはLHと組み合わせてか、あるいはそれらの代わりに使用されて、LHの循環レベルを増加させ、そして幹細胞増殖を増強させ得る。
【0047】
幹細胞または器官特異的細胞の増加は、好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約20%、よりさらに好ましくは少なくとも約30%、よりなお好ましくは少なくとも約40%、なおより好ましくは少なくとも約50%、およびさらにより好ましくは少なくとも約60%である。最も好ましくは、その増加は、少なくとも約80%である。下の実施例2においてより完全にされるように、特定の臓器(例えば、腎臓)において300%を超える増加が、企図される。
【0048】
本発明はまた、動物(特に、哺乳動物)において、器官の損傷もしくは組織の損傷によって特徴付けられる疾患または状態を処置するか、あるいは緩和する方法を提供する。これは、例えば、哺乳動物に、有効量のプロラクチン、有効量のHCG、もしくは有効量のLHを投与することによってか、または哺乳動物の幹細胞、器官特異的幹細胞に由来する前駆細胞、もしくは本発明に従って産生される器官特異的細胞を移植することによって達成され得る。好ましくは、幹細胞は、移植され得る。移植に加えて、プロラクチン、HCG、もしくはL、および/またはさらなる因子は、特に、移植と同時か、または移植後に、移植レシピエントに対して提供され得る。
【0049】
本発明において経験的に企図されるものは、哺乳動物(特に、哺乳動物)において、器官もしくは組織の損傷によって特徴付けられる疾患または状態を、処置するか、あるいは緩和するための方法を提供し、ここでこの器官または組織は、心臓、肝臓、脾臓、骨、腎臓および網膜を含む群から選択される。あるいは、本発明は、I型糖尿病、脊柱損傷、神経障害、肺疾患、生殖障害、または任意の他の疾患もしくは障害において有用であり得、ここで、組織の細胞または器官の細胞の置換は、疾患または状態を処置するか、または緩和するのに有益である。
【0050】
本発明において有用なプロラクチン、HCG、またはLHとしては、神経幹細胞数を増加させ得る、あらゆるプロラクチン、HCG、またはLHのアナログもしくは改変体が挙げられる。プロラクチン、HCG、またはLHのアナログもしくは改変体は、ヒトのネイティブなプロラクチン、HCG、またはLHの少なくとも1つのサブユニットのアミノ酸配列の少なくとも約30%を含み;そしてネイティブなプロラクチン、HCG、またはLHの生物学的活性を有する。好ましくは、プロラクチン、HCG、またはLHの生物学的活性は、プロラクチンレセプター、HCGレセプター、またはLHレセプターに結合する能力である。特に、プロラクチン、HCG、またはLHとしては、天然に存在するプロラクチン、HCG、またはLHの改変体;種々の哺乳動物の種(ヒト、他の霊長類、ラット、マウス、ヒツジ、ブタおよびウシが挙げられるが、これらに限定されない)に由来する、プロラクチン、HCG、またはLHの対応物;および下の表1に列挙される一般的に使用されるアナログが挙げられる。GnRH、またはそのアナログは、プロラクチン、HCG、またはLHの代わりか、またはそれらに加えて使用され得る。
【0051】
(表1.GnRH、LHおよびhCGの、一般的なアナログ)
【0052】
【表1】

同様に、本発明において有用である任意のさらなる化合物または因子としては、実質的な類似性および少なくとも1つの生物学的活性を、ネイティブな化合物またはネイティブな因子と共有する、それらのアナログおよび改変体が挙げられる。これらのさらなる因子は、組織中の多能性幹細胞または器官特異的細胞の増加を向上させるか、または所望の細胞型への幹細胞の分化を促すか、もしくは引き起こす、プロラクチン、LHまたはHCG(または、それらの機能的アゴニストもしくは生物学的等価物)と組み合わせて使用されることが、企図される。
【0053】
例えば、EGFは、本発明において、プロラクチン、HCG、またはLHと組み合わせて使用され得る。ネイティブなEGFに加えて、EGFのアナログまたは改変体はまた、実質的なアミノ酸配列類似性をネイティブなEGFと共有し、少なくとも1つの生物学的活性(例えば、EGFレセプターに対する結合)をネイティブなEGFと共有し得る。特に、EGFとしては、任意の種のネイティブなEGF、TGF−α、または組換え改変型EGFが挙げられる。特定の例としては、2個のC末端アミノ酸および51位における中性アミノ酸への置換を有する組換え改変型EGF(特に、EGF51gln51;本明細書中に参考として援用される米国特許出願公開番号20020098178A1)、16位のHis残基が中性アミノ酸または酸性アミノ酸によって置換されるEGFムテイン(EGF−X16)(本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,191,106号)、ネイティブなEGFのアミノ末端残基を欠くEGFの52アミノ酸欠失変異体(EGF−D)、N末端残基および2個のC末端残基(Arg−Leu)が欠失するEGF欠失変異体(EGF−B)、21位のMet残基が酸化されるEGF−D(EGF−C)、21位のMet残基が酸化されるEGF−B(EGF−A)、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB−EGF)、ベータセルリン、アンフィレギュリン、ニューレグリン、または上のいずれかを含む融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。他の有用なEGFのアナログまたは改変体は、米国特許出願公開番号20020098178A1、ならびに米国特許第6,191,106号および米国特許第5,547,935号(これらの全ては、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0054】
別の例として、PACAPはまた、LH/hCGと組み合わせて使用され得る。有用なPACAPのアナログおよび改変体としては、PACAPの38アミノ酸改変体および27アミノ酸改変体(それぞれ、PACAP38およびPACAP27)、ならびに例えば、米国特許第5,128,242号;同第5,198,542号;同第5,208,320号;同第5,326,860号;同第5,623,050号;同第5,801,147号および同第6,242,563号(これらの全ては、本明細書中に参考として援用される)に記載されるアナログならびに改変体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
エリスロポエチンのアナログおよび改変体は、例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,048,971号および同第5,614、184号に開示される。
【0056】
プロラクチン、HCG、またはLHの機能的アゴニスト、あるいは本発明において有用なさらなる因子が、本発明においてさらに企図される。これらの機能的アゴニストは、ネイティブな因子のレセプターに結合し、そしてそれを活性化するが、その機能的アゴニストは、実質的な配列類似性をネイティブな因子と必ずしも共有しない。例えば、マキサジランは、PACAP1型レセプターの特異的アゴニスト(Moroら、J Biol Chem 272:966(1997))として作用するポリペプチドである。
【0057】
EPOの機能的アゴニストは、広く研究されている。EMP1(EPO模倣物ペプチド1)は、Johnson,D.L.ら、Nephrol Dial Transplant 15:1274(2000)に記載されるEPO模倣物の1つである。EPOの短いペプチド模倣物は、本明細書中に参考として援用される、例えば、Wrighton,N.C.ら、Science 273:464(1996)および米国特許第5,773,569号に記載される。低分子EPO模倣物は、例えば、Kaushansky,K.、Ann NY Acad Sci 938:131(2001)において開示される。EPOレセプターを活性化する抗体は、例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,885,574;WO 96/40231およびWO 97/48729に記載される。
【0058】
EGFレセプターに対するアゴニスト活性を有する抗体は、例えば、本明細書中に参考として援用される、Fernandez−Pol、J Biol Chem 260:5003(1985)および米国特許第5,723,115号において開示される。さらに、活性化アミノ酸配列はまた、本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,333,031号においてEPOレセプター、EGFレセプター、プロラクチンレセプター、および多くの他の細胞表面レセプター;プロラクチンに対するアゴニスト活性およびEPOレセプターに対するアゴニスト活性を有する金属錯体化したレセプターリガンドは、本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,413,952号において見出され得る。レセプター(例えば、EPOレセプターおよびプロラクチンレセプター)に対するリガンドを同定する他の方法、およびレセプターに対するリガンドを調製する他の方法は、例えば、米国特許第5,506,107号および同第5,837,460号(両方とも、本明細書中に参考として援用される)において記載される。特定のさらなる因子の一般的に使用されるアナログはまた、下の表2に見出され得る:
(表2.さらなる因子の一般的なアナログ)
【0059】
【表2−1】

【0060】
【表2−2】

各アナログ、改変体または機能的アゴニストの有効量は、ネイティブな因子またはネイティブな化合物についての有効量と異なり得、そしてそれぞれの場合における有効量は、本明細書中の開示に従って当業者によって決定され得る。好ましくは、上記ネイティブな因子、または実質的な配列類似性をそのネイティブな因子と共有するアナログおよび改変体が、本発明において使用される。
【0061】
プロラクチン、HCG、もしくはLH、上に記載されるようなさらなる因子、ならびに薬学的に受容可能な賦形剤および/またはキャリアを含有する薬学的組成物がまた、提供される。
【0062】
薬学的組成物は、当該分野において公知である任意の経路(例えば、非経口投与、髄腔内投与、血管内投与、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、皮内投与、皮下投与、鼻腔内投与、局所投与、経口投与、直腸投与、膣投与、鼻投与、または腹腔内投与)を介して送達され得る。好ましくは、組成物は、注射または注入によって、器官または組織に送達される。あるいは、上記組成物は、好ましくは、全身的経路(例えば、皮下投与)によって送達される。例えば、プロラクチン、成長ホルモン、IGF−I、PACAPおよびEPOは、皮下投与によって効果的に送達されて、脳の脳室下領域中の神経幹細胞の数を調節し得、全身投与によって器官に影響を与える能力を確立することが見出されている。
【0063】
固形組成物(例えば、錠剤)を調製するために、上記治療剤は、本発明の化合物の均質な混合物を含む固形処方前組成物を形成するために薬学的賦形剤と混合される。これらの処方前組成物を均質と称する場合、治療剤が、組成物全体に、その組成物が等しく有効な単位投薬形態(例えば、錠剤、丸剤およびカプセル)へと容易に細分され得るように、等しく分散されることを意味する。
【0064】
本発明の錠剤または丸剤は、長期作用の利点を与える投薬形態を提供するために、コーティングされ得るか、そうでなければ調合され得る。例えば、上記錠剤または丸剤は、内部投薬成分および外部投薬成分を含み得、後者は、構成物上に包まれる形態である。上記2つの成分は、胃における崩壊に対抗するように機能する腸溶層によって分離され得、そして内部成分を、インタクトなまま十二指腸へと通過させるか、またはその放出を遅延させる。種々の材料が、このような腸溶層または腸溶コーティングのために使用され得る、その材料としては、多くのポリマー性の酸、ならびにポリマー性の酸と、シェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
【0065】
本発明の新規組成物が経口投与のために組み込まれ得るか、または注射のために組み込まれ得る液体形態としては、水溶液、適切に香り付けされたシロップ、水性懸濁液または油性懸濁液、ならびに食用油(例えば、トウモロコシ油、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油)、エリキシルおよび類似の薬学的ビヒクルによって香り付けされたエマルションが挙げられる。
【0066】
吸入(inhalation)または吸入(insufflation)のための組成物としては、薬学的に受容可能な溶液および懸濁液、水性溶媒もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物、ならびに粉末が挙げられる。液体組成物または固体組成物は、本明細書中に記載されるような適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。上記組成物は、口呼吸の経路または鼻呼吸の経路によって局所作用または全身作用のために投与される。好ましい薬学的に受容可能な溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧される溶液は、噴霧用デバイスから直接吸入され得るか、その噴霧用デバイスは、顔マスクのテント、または間欠的陽圧呼吸機に取り付けられ得る。溶液組成物、懸濁液組成物、または粉末組成物は、適切な様式で処方物を送達するデバイスから、好ましくは経口的または経鼻的に投与され得る。
【0067】
本発明の方法において利用される別の処方物は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を利用する。このような経皮パッチは、本発明の治療剤の制御された量における持続注入または断続注入をを提供するために使用され得る。薬学的因子の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当該分野において周知である。例えば、本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,023,252を参照のこと。このようなパッチは、薬学的因子の持続送達、パルス送達、または頓用(on demand)送達のために構築され得る。
【0068】
本発明において使用するための他の適切な処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて見出され得る。
【0069】
以下の実施例は、本発明の範囲を示すことを意図するが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0070】
(実施例1:ラットにおける黄体形成ホルモン(LH)/ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)の単一用量決定)
この研究を、ラットの脳卒中モデルの治療的神経発生のために使用されるHCGの至適用量を実証するために行なった。HCGの単一用量=[0I.U.、3I.U.、10I.U.、30I.U.、100I.U.、300I.U.、1000I.U.、3000I.U.](Sigma C6322、1mgあたり10,000IU)を、0.5mlの食塩水に溶解した。試験溶液のサンプル(0.2ml)を、処置前のホルモンの活性の濃度を確認する目的で保存し、そして生体分析試験(bioanalytical testing)のときまで氷上に保存した。
【0071】
注射前に、0.5mlの血液サンプルを、ホルモンのベースライン血漿濃度を確立するために、ヘパリン−Na回収チューブに回収し、遠心分離し、そして凍結させた(−20℃)。HCGのAU用量を、200gのラット(n=2)において筋肉内(IM)に1回注射した。全てのラットにおいて、単一の0.5mlの血液サンプルを、注射の60分後に、ナトリウム−ヘパリン回収チューブ中に回収した。その血液を、サンプリングの30分以内に、3000r.p.m.で、4℃にて10分間遠心分離した。
【0072】
上記ホルモン注射の24時間後、ブロモデオキシウリジン(BrdU)標識を、始める。全ての処置したラット(Charles−River、Laval、QC)に、2時間ごとに10時間、BrdU(Sigma)(120mg/kg、i.p.、リン酸緩衝液中に溶解した0.007% NaOH)を注射した。動物を、第1のBrdU注射の24時間後に屠殺する。脳、心臓、腎臓、および肝臓ならびに皮膚(1cm)を、保存する。心臓および肝臓を、下に記載するように、免疫組織化学のために処理する。血漿サンプルおよび溶液サンプルを、試験のときまで−20℃に凍結保存する。
【0073】
動物を、麻酔薬の過用量によって屠殺し、そしてPBS(pH7.2)中の4%パラホルムアルデヒドによって心臓灌流する。脳、心臓、肝臓、腎臓、皮膚および平滑筋を、灌流溶液中に4℃にて一晩、灌流後固定(postfix)し、次いでPBS中の20%ショ糖において少なくとも24時間、細胞を保護した(cryoprotect)。脳、心臓、肝臓、腎臓、皮膚および平滑筋組織を、それらを14μmの細胞切片にする(cryosection)前にTissue Tek O.C.T.化合物(Sakura Finetek、Torrance、CA)中に包埋する。免疫組織化学の前に、室温にて30秒間アセトンによって灌流後固定し、PBSによって洗浄する。BrdU染色のために、組織を、60℃にて30分間、1MのHClによって処理して、細胞のDNAを変性させる。ラットモノクローナル抗BrdU(1:50、Harlan Seralab、Loughborough、UK)およびウサギ抗Ki67(1:500、Novocastra、Newcastle upon Tyne、UK)を、増殖する細胞の検出のために使用する。切片を、NGSを含む0.3% Triton X−100/PBSに希釈した一次抗体において、4℃にて24時間インキュベートし、PBSによって洗浄し、次いでロバビオチン化二次抗体(全て1:200にて使用する、Jackson ImmunoResearch)と一緒に室温にて1時間インキュベートし、Hoechst
33258(0.001mg/mlに希釈した0.015mg/mlストック溶液、Sigma)と共に、ストレプトアビジン−Cy3(1:2000、Jackson ImmunoResearch)と一緒に室温にて1時間インキュベートする。水によってリンスした後、切片を、Fluorosaveまたは低い自発蛍光を有する他の封入剤によって封入し、そして適切な(例えば、Zeiss Axiophot)蛍光顕微鏡によって観察するか、または写真撮影する。
【0074】
図1に示す通り、漸増量の投与されたHCGは、in肝細胞においてBrdUの取り込みの増加をもたらした、この取り込みは、組織中の幹細胞の増加した増殖と相関する。心臓組織に固有の細胞におけるBrdUの取り込みは、300IUの投与されたHCGにて最大であり、1000IUの投与されたHCGによって、心臓細胞における減少した取り込みが観察された。マウスからヒトへの異種間ものさし変化(allometric scaling)形態は、10の因子によって適切によって適切に測定(scale)されるので、心臓組織中の幹細胞の増加した増殖のために、3000IUのHCGの好ましい投与が、企図され、肝臓組織中の幹細胞の増加した増殖のために、3000IU〜10,000IUの好ましい投与が、企図される。
【0075】
(実施例2:マウスにおいてプロラクチンおよび絨毛性ゴナドトロピン(HCG)によって幹細胞増殖を刺激する)
合計で9頭の雄マウスおよび9頭の雌マウスを、表3に示す通りに、処置群に割り当てた。
【0076】
(表3.動物処置群)
【0077】
【表3】

18のBaIb−Cマウス(8頭の雄、8頭の雌、18〜22gおよび8〜12週齢)に、alzet浸透圧ポンプを使用して14μg/日で7日間、プロラクチンまたはヒト絨毛性成長ホルモン(growth)を皮下に注入した。この実験の間、動物は、水および食物を自由に摂取した。コントロール群に、食塩水を注入した。alzetマイクロ浸透圧ポンプ(Model 1007D)を、試験化合物の導入、ヒト−プロラクチン(Sigma L 4021、>97% SDS Page組換え体、Escherichia coli凍結乾燥粉末において発現される、細胞培養)またはヒト絨毛性ゴナドトロピン(ヒトの妊婦の尿(pregnancy urine)由来、Sigma C0434)のいずれかの導入に使用した。両方の試験化合物を、食塩水に溶解し(300μgの試験化合物を、255μLの食塩水に溶解した(1.17μg/μL))、そしてその85μLを、この研究の過程にわたって動物に投与するために、上記ポンプに導入した。上記試験化合物を、Alzetマイクロ浸透圧ポンプを介して、皮下注入によって投与した。その動物に、BrdU(Sigma−B5002、リン酸緩衝液中の0.007% NaOHに溶解した)を、腹腔内に120mg/kgで、2時間毎に10時間、7日間投薬し、そしてその動物を、最後の注射の0.5時間後(またはそれ以上)に屠殺した。この研究の終わりにおいて、動物を屠殺し、そして一般的な剖検を行なう。心臓、腎臓および肝臓を、組織分析のために回収する。
【0078】
(表4:マウス組織の1切片あたりの平均BrdUポジティブな細胞)
【0079】
【表4】

表4および図2および図3において見られ得る通り、プロラクチンは、心臓組織中の細胞におけるBrdUの取り込みの増加をもたらし、このことは、心臓組織における幹細胞の増殖の増加または数の増加と一致する。この効果は、雌において最も顕著であり、その効果は、心臓組織について特異的であり、かつ他の組織において観察されない。雄マウスまたは雌マウスのいずれかに対するプロラクチンの添加は、BrdU取り込みのより大きい増加をもたらし、このことが、心臓組織に存在する幹細胞の、増殖の増加または数の増加に相関することが、企図される。マウスの心臓組織中の幹細胞の増殖の刺激または存在の増加が、一般的に、哺乳動物の心臓組織、および特に、ヒト心臓組織中の幹細胞の増殖の刺激または存在の増加と相関することは、本発明の一部として企図される。
【0080】
表4、および図4〜図7において見られ得る通り、雄マウスまたは雌マウスのいずれかにおいて、HCGは、肝臓組織または腎臓組織の細胞におけるBrdUの取り込みの増加をもたらし、このことは、肝臓組織または腎臓組織における、幹細胞増殖の増加または幹細胞数の増加と一致する。雄マウスまたは雌マウスのいずれかに対するHCGの添加が、におけるBrdU取り込みのより大きい増加をもたらし、このことが、腎臓組織または肝臓組織に存在する幹細胞の、増殖の増加または数の増加に相関することが、企図される。マウスの肝臓組織中の幹細胞の増殖の刺激または存在の増加が、一般的に、哺乳動物の肝臓組織、および特に、ヒト肝臓組織中の幹細胞の増殖の刺激または存在の増加と相関することは、本発明の一部として企図される。
【0081】
(実施例3:プロラクチン、HCGまたはLHを用いた、幹細胞マーカーの存在によって検出されるマウスにおける多能性幹細胞の増殖の刺激)
プロラクチン、HCGまたはLHを、3〜14日間にわたって正常で健康なマウスに投与し、コントロールマウスに、そのプロラクチン、HCGまたはLHと等しい容量の通常の食塩水を投与する。そのマウスを屠殺し、そして心臓、脾臓、肝臓、網膜、腎臓および骨の組織断面を、採取し、そして抗CD44抗体によって標識した。抗CD44抗体標識の増加は、多能性幹細胞の存在を示す。コントロールと比較して、プロラクチン、HCGまたはLHを投与されたマウスにおける、抗CD44抗体標識の増加は、多能性幹細胞の増殖の刺激を示す。
【0082】
上記の開示は、本発明の種々の実施形態を記載し、そしてそれを示すが、本発明がこれらの特定の実施形態に限定されないことが、理解される。ここで、多くのバリエーションおよび多くの改変は、当業者によって想起される。本発明の範囲の完全な定義については、添付の特許請求の範囲を参照することによってなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−62325(P2012−62325A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280287(P2011−280287)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2007−534984(P2007−534984)の分割
【原出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(506274785)ステム セル セラピューティクス コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】