説明

始動機/発電機を備えるアクセサリギアボックス

【課題】ガスタービンエンジンの始動機・発電機が破損する場合を想定して、該エンジン出力軸と始動機・発電機の駆動軸との接続を切り離す安全切り離し装置を提供する。
【解決手段】駆動ギア150とピニオンギア140とを有するアクセサリギアボックス100、ならびに、アクセサリギアボックス100に機械的に取り付けられる始動機/発電機101を有する、ガスタービンエンジンのための組立体102において、始動機/発電機101が、ハウジング160と、安全切り離し装置192を備える回転可能なシャフト170の一部分とを有し、ここでは、安全切り離し装置192が始動機/発電機101のハウジング160内に位置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、始動機/発電機を備えるアクセサリギアボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼タービンエンジンとしても知られるガスタービンエンジンは、エンジンを通過して多数のタービン羽根上に達する燃焼ガスの流れからエネルギーを抽出するロータリエンジンである。ガスタービンエンジンは、陸上および航海用の交通手段および発電のために使用されているが、最も一般的には、航空機およびヘリコプターなどの航空の用途で使用され、ここではガスタービンエンジンは主に推進力のために使用される。
【0003】
ガスタービンエンジンは、普通、発電機、始動機/発電機、永久磁石オルタネータ(permanent magnet alternator(PMA))、燃料ポンプおよび油圧ポンプなどの、異なる複数のアクセサリに動力を供給する。これらのすべてのアクセサリは、航空機を推進させること以外の航空機で必要とされる機能を実行する。例えば、ガスタービンエンジンが作動しているとき、始動機・発電機(S/G)が電力を発生させ、また、ガスタービンエンジンを始動させる必要がある場合、S/Gが、別のエネルギー源からエネルギーを供給されるとスターティングモータとして機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7656054号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態は、アクセサリギアボックス(AGB)および始動機・発電機(S/G)を有する、ガスタービンエンジンのための組立体に関する。AGBは、内部を画定するAGBハウジングと、AGBハウジング内部の中で回転するように設置される第1のシャフト部分と、共に回転するために第1のシャフト部分に取り付けられるピニオンギアと、AGBハウジング内に位置されてピニオンギアに捕捉(enmeshed)される駆動ギアとを有する。S/Gは、内部を画定するS/Gハウジングと、S/Gハウジングの内部の中で回転するように設置される第2のシャフト部分と、第2のシャフト部分が設けられる安全切り離し装置(safety disconnect)とを有し、ここでは、第1および第2のシャフト部分が共に回転するように動作可能に連結され、安全切り離し装置が完全にS/Gハウジング内に位置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】アクセサリギアボックスを備えるガスタービンエンジンを示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による、アクセサリギアボックスに取り付けられる始動機/発電機を示す断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態による、始動機/発電機の周りに保護シュラウドを備えるアクセサリギアボックスに取り付けられる始動機/発電機を示す断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態による、アクセサリギアボックスの耐力壁に取り付けられる始動機/発電機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、トランスミッションハウジングとしても知られるアクセサリギアボックス(AGB)上に2つ以上の構成要素を含む始動機/発電機(S/G)を連結することに関する。AGBに取り付けられるS/Gは、AGBが機械的に連結されているガスタービンエンジンを始動させること、および、ガスタービンエンジンが作動しているときに電力を発生させること、を含めた種々の用途を有する。
【0008】
図1を参照すると、AGB100およびS/G101を有する組立体102がガスタービンエンジン1に取り付けられて概略的に示されている。この組立体は、一般に、一体型始動機/発電機ギアボックス(Integrated Starter/Generator Gearbox(ISGB))と称される。ガスタービンエンジン1は、高圧圧縮領域60に空気を供給する、ファン50を備える空気取入口を有する。ファン50を備える空気取入口および高圧圧縮領域は、まとめて、燃焼の上流側の、ガスタービンエンジンの「コールドセクション」として知られる。高圧圧縮領域60は燃焼室10に高圧空気を供給する。燃焼室では、高圧空気が燃料に混合されて燃焼される。高温の加圧燃焼ガス(pressurized combusted gas)は高圧タービン領域20および低圧タービン領域30を通過し、その後ガスタービンエンジンから排気される。加圧ガスが高圧タービン領域20の高圧タービン(図示せず)および低圧タービン領域30の低圧タービン(図示せず)を通過するとき、タービンがガスタービンエンジン1を通過するガスの流れから回転エネルギーを抽出する。高圧タービン領域20の高圧タービンは、シャフトにより高圧圧縮領域60の圧縮機構(図示せず)に連結されてよく、それにより圧縮機構に動力を供給する。低圧タービンは、シャフトにより空気取入口のファン50に連結されてよく、それによりファン50に動力が供給される。
【0009】
このガスタービンエンジンは、最新の民間航空および軍用航空で一般に使用される、General Electric GEnxまたはCF6シリーズのエンジンなどの、ターボファンエンジンであってよく、または、このガスタービンエンジンは、ターボプロップまたはターボシャフトなどの様々な別の既知のガスタービンエンジンであってよい。このガスタービンエンジンはまた、排気ガスの速度を増大させてそれにより推力を増大させるために、低圧タービン領域30の下流で追加の量の燃料を燃焼させるアフターバーナを有していてよい。
【0010】
アクセサリギアボックス(AGB)100がガスタービンエンジン1のタービンシャフトに連結され、機械動力テークオフ90により低圧タービンまたは高圧タービンのいずれかに連結される。機械動力テークオフは、複数のギアと、AGB100をガスタービンエンジンに機械的に連結するための手段とを含む。組立体102がファン50を含む空気取入口領域の外側または高圧圧縮領域60の近傍のコアーに設置されてよい。
【0011】
次に図2を参照すると、S/G101とAGB100との間の関係がより詳細に示されている。AGBは、その間にAGB内部120が囲まれている前方AGB壁110と後方AGB壁114とを備えるハウジング106を有する。AGBハウジング106の後方壁114は、その中にピニオンギア組立体124を収容するために、側壁118を備える差込キャビティ122をさらに有していてよい。ピニオンギア組立体124はピニオンギア組立体ハウジング126を有し、第1のシャフト部分132がピニオンギア組立体ハウジング126に回転可能に取り付けられて第1の離間した軸受134および第2の離間した軸受136によって支持される。ピニオンギア140が共に回転するように第1のシャフト部分132によって担持され、第1の離間した軸受134と第2の離間した軸受136との間に位置される。差込側壁118内にはアパーチャ144があり、このアパーチャ144を通してピニオンギア140が延在して駆動ギア150(分かりやすいように点線の長方形として概略的に示される)に噛合され、ガスタービンエンジン1の動力テークオフ90に連結されるギアトレーン(図示せず)によって駆動される。ピニオンギア140は、前方AGB壁110よりも後方AGB壁114に接近していてよい。
【0012】
AGB内部120はまた、ピニオンギア140、駆動ギア150、ならびに、第1の離間した軸受134および第2の離間した軸受136などの、その中に収容される機械的部品を潤滑し冷却するためのオイルを含んでいてよい。
【0013】
AGBハウジングの前方壁110は、その周囲部のところにAGBクランプインターフェース112を備える開口部をさらに有し、それにより、クランプ168を用いて一体に締め付けられ得るS/Gハウジング160上のS/Gクランプインターフェース166に位置合わせされるようになり、S/G101がAGB100に取り付けられるようになる。S/G内部161を画定するS/Gハウジング160を備えるS/G101がAGB100に取り付けられているとき、第1のS/Gハウジング部分162がAGB内部120内に配置され、第2のS/Gハウジング部分164がAGB内部120の外側に配置される。
【0014】
S/G101は、S/G内部161から延在し、第3の離間した軸受184、第4の離間した軸受188および第5の離間した軸受190によって支持される第2のシャフト部分170を有する。第2のシャフト部分170および第1のシャフト部分はシャフトインターフェース部分172により一体に連結され、単一の回転可能なシャフト130を形成する。シャフトインターフェース部分172は、限定しないが、ギア、スプライン、クラッチ機構、またはそれらの組み合わせを含む、任意の既知の連結方法によるものであってよい。シャフトインターフェース部分172の例が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、General Electricの米国特許第4,281,942号明細書に開示されている。
【0015】
第2のシャフト部分170は、主機械220、エキサイタ210およびPMG200などの複数の機械をS/G内部161内に担持し、対応する回転構成要素には、主機械ロータ222、エキサイタロータ212、およびPMGロータ202がそれぞれ含まれ、対応する固定要素には、主機械ステータ224、エキサイタステータ214およびPMGステータ204が含まれる。エキサイタ210は、主機械220の界磁巻線に直流を送る。主機械220およびPMG200は、回転可能シャフト130が回転するときにAC電力を供給する。機械200、210および220は、第4の離間した軸受188と第5の離間した軸受190との間で第2のシャフト部分170上で担持される。固定構成要素204、214および224は、第1のS/Gハウジング部分162および第2のS/Gハウジング部分164のいずれかまたは両方の任意適当な部分に取り付けられてよい。
【0016】
示されるように、S/G101はオイル冷却式であり、S/G101へのオイルの供給またはS/G101からのオイルの供給を調整するために、オイル入口ポート230およびオイル出口ポート232が設けられる。冷却オイルが、オイル導管236および238を通してオイルを流すことによりS/G101の電気的機能および機械的機構によって発生される熱を消散させるのに使用されてよく、したがって、機械200、210および220がオイルで被覆されることがなく、特に、固定構成要素204、214および224ならびに回転構成要素202、212および222の間の空間がオイルで満たされることはない。したがって、S/G内部161内の機械を冷却するのに使用されるオイルは指定された導管236および238の外側を自由に流れることはない。
【0017】
S/G101は、第2のシャフト部分170を囲み第1のハウジング部分162によって囲まれるオイルシール180をさらに有する。このオイルシールは、冷却・潤滑オイルがAGB内部120からS/G内部161に入るのを防止、また、S/G内部161からの粒子および異物がAGB内部120内のオイルを汚染するのを一切防止する。オイルシール180は、安全切り離し装置192よりピニオンギア140により接近していてよい。
【0018】
AGBハウジング106およびS/Gハウジング160は、限定しないが、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄またはチタンなどの高強度かつ軽量の金属のダイカストを含む、任意の既知の材料および方法によって形成されてよい。ハウジング106および160は、組立体100に、したがって航空機に余分な重量を加えることなく、十分な機械的剛性を提供するのに十分な厚さを有するように形成されてよい。
【0019】
第1のシャフト部分132および第2のシャフト部分170を有する回転可能なシャフト130は、限定しないが、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、バナジウムまたはモリブデンを含有する金属合金などの高強度の金属合金を押し出すまたは機械加工することを含む、任意の既知の材料および方法によって構築されてよい。第2のシャフト部分170の直径は回転可能なシャフト170の長手方向に沿って一定であっても変化していてもよい。この直径は、異なるサイズに対応できるように、さらには、種々の機械200、210および220のロータからステータまでのスペースに対応できるように、多様であってよい。
【0020】
機械200、210および220はすべてピニオンギア140の同じ側に位置され、エキサイタ210およびPMG200は、主機械220よりピニオンギア140により接近するように位置される。機械200、210および220は既知のモータおよび発電機の任意の組み合わせであってよい。例えば、主機械220は同期発電機または非同期発電機のいずれかであってよい。この実施形態で示される機械に加えて、特定の用途で作動される必要がある可能性がある別の構成要素が存在してもよい。例えば、示される電気機械的な機械200、210、220に加えて、オイルポンプ、流体圧縮機または油圧ポンプなどの、同一の回転可能なシャフト130により駆動される別の機械が存在してよい。
【0021】
示されるように、PMGロータ202およびPMGステータ240を備えるPMG200はピニオンギア140に最も接近していてよく、エキサイタロータ212およびエキサイタステータ214を備えるエキサイタ210はPMG200と主機械220との間にある。別法として、エキサイタロータ212およびエキサイタステータ214を備えるエキサイタ210がピニオンギア140に最も接近していてよく、この場合、PMGロータ202およびPMGステータ204とを備えるPMG200はエキサイタ210と主機械220との間にある。
【0022】
安全切り離し装置192が、第3の離間した軸受184と第4の軸受188との間で第2のシャフト部分170の上に配置され、機械200、210、220のいずれかが機械的に破損または熱的に破損した場合に、機械200、210および220をピニオンギア140からしたがって駆動ギア150およびAGB100から機械的に切り離すように設置されることになる。安全切り離し装置192は機械200、210および220のいずれよりもピニオンギア140により接近していてよい。
【0023】
安全切り離し装置192は、限定しないが、再設定可能な機械的切り離し装置、剪断されたシャフトの切り離し装置(sheared shaft disconnect)、熱的切り離し装置(thermal disconnect)、またはそれらの組み合わせを含む、任意の既知の安全用切り離し機構であってよい。安全切り離し装置192は第2のシャフト部分170上の脆弱箇所として機能し、作動中にS/Gの内部にある機械200、210および220または軸受184、188、190のいずれかが機械的にまたは熱的に破損した場合に第2のシャフト部分170の破損の領域を制御する。
【0024】
一実施例として、安全切り離し装置192は熱的切り離し装置であってよく、ここでは、第2のシャフト部分170の安全切り離し装置192の部分を構成するのに低融点材料(low melting temperature material)が使用されてよい。低融点材料は、錫、鉛、インジウム、銅、銀、またはそれらの組み合わせを含有するはんだ状材料(solder−like material)であってよい。作動中に、機械200、210および220のうちの1つまたは複数がシャフト130への伝達熱エネルギーを過熱する場合、ある時点において、シャフト130上の安全切り離し装置192の低融点材料が融解または部分的に融解し、それにより、機械200、210および220を、第1のシャフト部分132、ピニオンギア140および駆動ギア150から機械的に切り離す。したがって、安全切り離し装置192は、破損の際に機械200、210および220を機械的に分離するための機構として機能し、破損のダメージがS/G101に限定され、AGB100すなわちガスタービンエンジン1には及ばない。安全切り離し装置192のための正確な機構は本明細書に開示される実施形態を損なうことはない。Hamilton Sunstrand Corporationの米国特許第6,364,772号明細書およびGeneral Electric Companyの米国特許第3,675,444号明細書が安全切り離し装置を開示しており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
一般に、機械的破損または熱的破損が起こりそれにより安全切り離し装置192のところでシャフト130が切り離されている間、安全切り離し装置192が破壊されることにより粒子および異物が発生する。これらの粒子および異物がAGB内部120内の冷却・潤滑オイルを汚染するのを防止することが所望される。
【0026】
組立体102の利点は、組立体102がシャフト130に加えるモーメントが小さく、また、組立体102は同時に、安全切り離し装置192のところでシャフト130が切り離されることにより発生する異物をすべて閉じ込めることである。一般にオーバーハングモーメントと称されるこのモーメントは、ピニオンギア140から組立体102の質量中心までの距離に組立体の重量を乗じたものにほぼ等しい。主機械220よりピニオンギア150により接近するエキサイタ200およびPMG210の位置は、組立体の質量中心をピニオンギア140により接近させるように移動させる効果を有し、それにより、シャフト130によって担持されてピニオンギア140に作用しておりしたがって駆動ギア150に噛みあっている種々のアクセサリからのモーメントが軽減される。機械200、210および220の相対位置は、AGB100内のS/G101が部分的に重なるのを可能に、それによりピニオンギア140から組立体102の質量中心までの距離が縮小される。また、機械200、210および220の相対位置は組立体120の全重量を低下させることができ、それによりモーメントも軽減される。
【0027】
これらの利点の価値は、ガスタービンエンジン1の環境内においてS/G101の空間が制限されるのを理解して評価することにより、より鮮明となる。ここでは、物理的な空間は得難く貴重であり、物理的なサイズが縮小されると、最終的には、推力が打ち勝たなければならない空気抵抗が軽減され、航空機が担持しなければならない重量が減少する。空間的制約および所望動力は主機械の設計を磁極数を減少させる方向に移行させる傾向があり、すなわち、それによりS/G101および組立体102全体の全重量およびサイズが減少する。しかし、磁極数が減少することにより、所望の出力を得るためにはシャフト130の回転速度より速くすることが必要となる。さらに、一般にこの機械にはシリコン−鉄の合金などの軟質材料が使用されることから、磁極数が減少することは、磁場が高周波数で切り替えられることにより生じる過度の磁損を軽減することが促進される。また、磁場が高周波で切り替えられることにより、組立体102から除去することが困難である高レベルの熱を発生させてしまう場合がある。一実施形態では、主機械の磁極数は2個程度の少なさであってもよい。磁極数が少ないモータおよび発電機を使用し、出力を最大にするには、組立体102のオーバーハングモーメントを最小にして回転可能なシャフト130の回転速度を最大にする組立体構成102が所望される。PMG210、エキサイタ200および主機械220の相対位置は、回転可能なシャフト170の最大臨界回転速度およびAGB100上に設置されるS/G101の組立体102のオーバーハングモーメントに影響を与える。
【0028】
回転可能なシャフト130の回転速度を最大にするためには、第1の離間した軸受134および第5の離間した軸受190の間の長さスパンを最小にするべきである。PGM210およびエキサイタ200の両方が主機械220よりピニオンギア140により接近しているような、機械200、210および220の示されているような相対位置により、また、アクセサリをピニオンギア140の両側の2つの部分に分けるのではなく、これらのすべての機械をピニオンギア140の同じ側に配置することにより、第1の離間した軸受134と第5の離間した軸受190との間の距離が縮小され得、それによりシャフト130の回転速度が増大され得る。シャフト130の回転速度が増大されることにより、磁極数が少ない発電機からより大きい出力が得られる。磁極数が少ない発電機を使用することにより、組立体100の全重量が減少する。
【0029】
また、機械200、210および220のすべてをピニオンギア140の同じ側に配置することにより、必要となる安全切り離し装置192は1つのみとなり、これは、S/Gハウジング160の外側ではなくS/G161の内部に配置され得る。したがって、回転可能なシャフト130が安全切り離し装置のところで切り離されても、発生する粒子および異物をS/Gハウジング160内に閉じ込めることができ、これらの粒子および異物がAGB内部120内の冷却および潤滑オイルを汚染することはない。したがって、開示される組立体100の構成を用いることにより、オーバーハングモーメントが減少してより高速のシャフト130の回転速度が得られ、また、組立体100の重量が減少し、同時に、機械200、210、220のいずれかが破損してそれにより安全切り離し装置192のところでシャフト130が切り離されても粒子および異物が発生することが防止される。
【0030】
図3を参照すると、上の組立体102の別の実施形態が示されており、これは、シュラウドがS/G101とAGB100との間のインターフェースを囲んでいることを除いて、図2に示される組立体と実質的に等しい。詳細には、S/Gハウジング160と差込側壁118との間の領域がシュラウド260によって囲まれる。このシュラウドは耐荷重性(weight bearing)ではなく、したがって、AGBのマウントに取り付けられるS/G101に機械的剛性を提供することができず、また、回転可能なシャフト130を支持することもできない。シュラウド260の目的は、S/G内部161から外に出るすべての粒子および異物を捕捉し、AGB100の内部のオイルが汚染されるのを防止することである。シュラウド260は、シャフト130が安全切り離し装置192のところで切り離されてそれにより大量の粒子および異物が発生してさらにそれにより可能性としてオイルシール180を通ってS/G内部161から粒子が出てくるような場合に、特に有用である可能性がある。
【0031】
AGB・S/G組立体302の別の実施形態が図4に示されており、これは、AGB300が変更されていることを除いて図2に示される組立体と実質的に等しい。したがって、第1の実施形態とは異なるAGB300の部品を300番台の参照符号を用いて説明する。AGB300と100との大きな違いは、S/G101とAGB300との間のインターフェースを囲むAGB300の耐荷重性差込壁328である。この差込壁328はAGBハウジング306のAGB前方壁310から内側に突出し、また、第1のシャフト部分132を回転可能に支持するための第2の離間した軸受136が中に保持されるアパーチャ側壁330によって画定されるアパーチャを有する。図2に示される、AGB後方壁314からAGB内部120の中へと内側に突出する差込側壁118の代わりに、この組立体302では、ピニオンギア組立体124が中で保持されるAGB後方アパーチャ側壁332によって画定されるAGB後方アパーチャが存在する。したがって、ピニオンギア組立体124はピニオンギア組立体124を囲む差込側壁を有さず、代わりに、ピニオンギア140の一方の側において第1のシャフト部分132を回転可能に支持し、差込壁328がピニオンギア140のもう一方の側を支持する。この組立体302の配置構成は、S/G内部161からの異物および粒子がABG内部120やその中の冷却および潤滑オイルを汚染することを図2の組立体102よりもより強固に防止することができる。言い換えると、この差込壁は、耐荷重性でもありまたピニオンギア140および第1のシャフト部分132を支持する機械的機能を実行するシュラウドとして機能する。
【0032】
ここで記載される説明は、本発明を開示するために、また、任意の装置またはシステムを作ることおよび使用することならびに組み込まれる任意の方法を実施することを含めて、任意の当業者が本発明を実施することを可能にするために、最良の形態を含めた実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く別の実施例を含むことができる。このような別の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言(literal language)と違わない構造的要素を有する場合またはそれらが特許請求の範囲の文言と異なる点をほとんど有さない同等の構造的構成要素を含む場合、特許請求の範囲内に含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0033】
1 ガスタービンエンジン
10 燃焼室
20 高圧タービン領域
30 低圧タービン領域
50 ファン
60 高圧圧縮領域
90 機械動力テークオフ
100 アクセサリギアボックス
101 始動機/発電機
102 始動機/発電機がアクサせりボックス上に取り付けられる組立体
106 AGBハウジング
110 前方AGB壁
112 AGBクランプインターフェース
114 後方AGB壁
118 差込側壁
120 AGB内部
122 差込キャビティ
124 ピニオンギア組立体
126 ピニオンギア組立体ハウジング
130 回転可能なシャフト
132 第1のシャフト部分
134 第1の離間した軸受
136 第2の離間した軸受
140 ピニオンギア
144 差込壁内のアパーチャ
150 駆動ギア
160 S/Gハウジング
161 S/G内部
162 第1のS/Gハウジング部分
164 第2のS/Gハウジング部分
166 S/Gクランプインターフェース
168 クランプ
170 第2のシャフト部分
172 第1のシャフト部分と第2のシャフト部分との間にあるシャフトインターフェース部分
180 オイルシール
184 第3の離間した軸受
188 第4の離間した軸受
190 第5の離間した軸受
192 安全切り離し装置
200 PMG
202 PMGロータ
204 PMGスタータ
210 エキサイタ
212 エキサイタロータ
214 エキサイタステータ
220 主機械
222 主機械ロータ
224 主機械ステータ
230 オイル入口ポート
232 オイル出口ポート
236 オイル導管
238 オイル導管
260 シュラウド
300 AGB
302 組立体
306 AGBハウジング
310 AGB前方壁
314 AGB後方壁
328 AGB差込壁
330 AGB差込アパーチャ側壁
332 AGB後方アパーチャ側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部(120)を画定するAGBハウジング(106)、
前記AGBハウジング(106)の前記内部(120)の中で回転するように設置される第1のシャフト部分(132)、
共に回転するために前記第1のシャフト部分に取り付けられるピニオンギア(140)、および、
前記AGBハウジング(106)内に位置されて前記ピニオンギア(140)に捕捉される駆動ギア(150)
を有するアクセサリギアボックス(AGB)(100)と、
内部(161)を画定する始動機・発電機(S/G)ハウジング(160)、
前記S/Gハウジング(160)の前記内部(161)の中で回転するように設置される第2のシャフト部分(170)、および、
前記第2の部分(170)が設けられる安全切り離し装置(192)
を有するS/G(101)と
を有する、ガスタービンエンジン(1)ための組立体(102)であって、
前記第1のシャフト部分(132)および前記第2のシャフト部分(170)が共に回転するように動作可能に連結され、前記安全切り離し装置(192)が完全に前記S/Gハウジング(160)内に位置される、組立体(102)。
【請求項2】
前記第2のシャフト部分(170)によって担持される、主機械(220)、永久磁石発電機(PMG)(200)およびエキサイタ(210)をさらに有する、請求項1記載の組立体(102)。
【請求項3】
前記PMG(200)および前記エキサイタ(210)のうちの1つが、前記主機械(220)より前記ピニオンギア(140)により接近して前記第2のシャフト部分(170)上に位置される、請求項2記載の組立体(102)。
【請求項4】
前記安全切り離し装置(192)が、前記PMG(200)、前記エキサイタ(210)および前記主機械(220)より前記ピニオンギア(140)により接近する、請求項2記載の組立体(102)。
【請求項5】
前記S/Gハウジング(160)が第1のS/Gハウジング部分(162)および第2のS/Gハウジング部分(164)を有し、前記S/G(101)が前記AGB(100)に取り付けられている場合、前記第1のS/Gハウジング部分(162)が前記AGB内部(120)内に配置され、前記第2のS/Gハウジング部分(164)が前記AGBハウジング内部(120)の外側に配置される、請求項1記載の組立体(102)。
【請求項6】
前記S/G(101)が、前記第2のシャフト部分(170)によって担持される、主機械(220)、永久磁石発電機(PMG)(200)およびエキサイタ(210)をさらに有し、前記エキサイタ(210)および前記PMG(200)のうちの少なくとも1つが前記第1のS/Gハウジング部分(162)によって囲まれる、請求項5記載の組立体(102)。
【請求項7】
前記AGB(100)が、前記S/G(101)が前記AGB(100)に取り付けられている場合に前記第1のS/Gハウジング部分(162)を囲むシュラウド(260)をさらに有する、請求項5記載の組立体(102)。
【請求項8】
前記シュラウド(260)が、前記第1のS/Gハウジング部分(162)を囲み前記第1のシャフト部分(132)を回転可能に支持する耐力壁(328)を有する、請求項7記載の組立体(102)。
【請求項9】
前記AGBハウジング(106)が前方壁(110)および後方壁(114)を有し、前記S/G(101)が前記AGBハウジング(106)の前記前方壁(110)に取り付けられ、前記ピニオンギア(140)が前記AGBハウジング(106)の前記前方壁(110)より前記AGBハウジング(106)の前記後方壁(114)により接近する、請求項1記載の組立体。
【請求項10】
前記安全切り離し装置(192)が、再設定可能な機械的切り離し装置、剪断されたシャフトの切り離し装置、および、熱的切り離し装置のうちの1つである、請求項1記載の組立体(102)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−140942(P2012−140942A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280739(P2011−280739)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)