説明

委任情報生成装置および委任情報生成方法

【課題】ゾーン操作の時間を短縮することを課題とする。
【解決手段】委任情報生成装置は、ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について、条件(ゾーン名や雛形の種別情報など)の入力を受け付け、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を委任情報雛形管理DBから取得する。次に、委任情報生成装置は、受け付けた条件を用いて雛形を実体化することで、ゾーン操作に適合する委任情報を生成する。そして、委任情報生成装置は、生成した委任情報をドメインツリーの設定情報に反映する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、委任情報生成装置および委任情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータの名前とIP(Internet Protocol)アドレスとの対応付けは、DNS(Domain Name System)によって管理されている。DNSにおいて、コンピュータの名前は、ドメインと呼ばれる単位で、また、ドメインツリーと呼ばれる階層構造で、管理される。
【0003】
ここで、コンピュータの名前解決は、DNSサーバが行う。具体的には、個々のDNSサーバが、ゾーンと呼ばれる範囲でドメインの管理を担い、複数のDNSサーバが連携することで、名前解決を行う。このため、ゾーンに対してドメインを追加もしくは削除する等のドメイン操作を行う場合や、ドメインツリーに対してゾーンを新設する等のゾーン操作を行う場合には、該当するDNSサーバに設定されているドメインツリーの設定情報に、これらの操作内容を反映しなければならない。
【0004】
この点、ドメイン操作の場合であれば、ひとつのDNSサーバに対して設定情報を反映すればよく、その処置のほとんどがDDNS(Dynamic DNS)と呼ばれる技術によって実現される。このため、通常、特別なDNSの知識を有しないオペレータのみでドメイン操作を担当する。一方、ゾーン操作の場合には、図20に示すように、複数のDNSサーバに対して設定情報を反映しなければならず、処置は容易でない。このため、図21に示すように、業務上の知識を有するオペレータと、DNSの知識を有するDNS管理者との双方がゾーン操作を担当し、互いに介入することで、設定情報の反映を実現している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“サブドメインの委任とは”、[online]、[平成21年2月6日検索]、インターネット<http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/dnstips/007.html>
【非特許文献2】“ゾーンとは”、[online]、[平成21年2月6日検索]、インターネット<http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/dnstips/008.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の技術では、ゾーン操作に時間を要するという課題があった。すなわち、一般に、オペレータは、契約ユーザからのオーダに対して多人数で並列的に処置するので、迅速な対応が可能である。一方、DNS管理者は少人数であり、このような対応が難しい。すると、従来の技術では、オペレータのみでゾーン操作を担当することができず、DNS管理者の介入が必要になるので、結果として、ゾーン操作に時間を要することになり、迅速な対応ができない。例えば、契約ユーザからのオーダを投入する契機で契約ユーザにゾーンを払い出すようなサービスモデルに対応することが難しい。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、ゾーン操作の時間を短縮することが可能な委任情報生成装置および委任情報生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する委任情報生成装置は、一つの態様において、ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について条件の入力を受け付ける条件受付手段と、前記ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得する雛形取得手段と、前記条件受付手段によって受け付けられた条件を用いて前記雛形取得手段によって取得された雛形を実体化することで、前記ゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する委任情報生成装置の一つの態様によれば、ゾーン操作の時間を短縮することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係る委任情報生成装置の概要を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係る委任情報生成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、委任情報雛形管理DBを説明するための図である。
【図4】図4は、オペレータによって投入される情報を説明するための図である。
【図5】図5は、新設ゾーンのゾーンファイルを説明するための図である。
【図6】図6は、親ゾーンのゾーンファイルを説明するための図である。
【図7】図7は、委任情報生成の主処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、親ゾーン情報取得処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、新設ゾーン作成処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、親ゾーンへの委任設定処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例1の効果を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例2におけるゾーン削除の主処理を示すフローチャートである。
【図13】図13は、実施例2における親ゾーン情報取得処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施例2における委任解除処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、実施例2におけるゾーン削除処理を示すフローチャートである。
【図16】図16は、実施例3におけるゾーン変更の主処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は、実施例3における親ゾーン情報取得処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は、実施例3におけるゾーン変更処理(主処理)を示すフローチャートである。
【図19】図19は、実施例3におけるゾーン変更処理(委任情報の変更・反映処理)を示すフローチャートである。
【図20】図20は、従来技術を説明するための図である。
【図21】図21は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する委任情報生成装置および委任情報生成方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
[実施例1に係る委任情報生成装置の概要]
まず、図1を用いて、実施例1に係る委任情報生成装置の概要を説明する。図1は、実施例1に係る委任情報生成装置の概要を説明するための図である。
【0013】
なお、実施例1においては、一例として、ドメインツリーに対してゾーン「abc.xyz.example.jp」を新設するゾーン操作を説明する。図1に示すように、ゾーン「abc.xyz.example.jp」の親ゾーンはゾーン「xyz.example.jp」であり、ゾーン「xyz.example.jp」とゾーン「abc.xyz.example.jp」とは、上位ゾーンと下位ゾーンとの関係にある。
【0014】
ここで、図1に示すように、実施例1に係る委任情報生成装置は、委任情報雛形管理DBを備える。委任情報雛形管理DBは、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を記憶するデータベースである。図1に示すように、実施例1において、委任情報雛形管理DBは、委任情報の雛形をDNS管理者によって予め登録されているものとする。
【0015】
このような構成のもと、まず、委任情報生成装置は、ゾーン操作の対象ゾーンについて、条件の入力を受け付ける。例えば、図1に示すように、オペレータが、契約ユーザからゾーンを新設するオーダを受け、新設ゾーンのゾーン名「abc.xyz.example.jp」を委任情報生成装置に入力する。すると、委任情報生成装置は、ゾーン名「abc.xyz.example.jp」の入力を受け付ける。
【0016】
次に、委任情報生成装置は、委任情報の雛形を取得する。例えば、図1に示すように、委任情報生成装置は、委任情報雛形管理DBを検索し、ゾーン操作(ゾーン「abc.xyz.example.jp」を新設するゾーン操作)に適用すべき委任情報の雛形を取得する。例えば、業務上の知識を有するオペレータが、契約ユーザからオーダを受け付けた際に雛形の種別を判断し、ゾーン名とともに種別情報を委任情報生成装置に入力したとする。すると、委任情報生成装置は、ゾーン名とともに入力された種別情報を用いて委任情報雛形管理DBを検索し、適用すべき委任情報の雛形を取得する。
【0017】
なお、雛形の取得は、委任情報雛形管理DBから取得する手法に限られず、親ゾーンから取得した情報を雛形として利用する手法でもよい。例えば、業務上の知識を有するオペレータが、契約ユーザからオーダを受け付けた際に、親ゾーンを継承する場合であると判断し、ゾーン名のみを委任情報生成装置に入力したとする。すると、委任情報生成装置は、親ゾーンから取得した情報を雛形とすることで、適用すべき委任情報の雛形を取得する。
【0018】
さて、続いて、委任情報生成装置は、受け付けた条件を用いて雛形を実体化することで、委任情報を生成する。ここで、「雛形を実体化する」とは、雛形を補完することでゾーン操作に適用すべき委任情報を生成することをいう。例えば、委任情報生成装置は、ゾーン名「abc.xyz.example.jp」を用いて雛形を補完することで、ゾーン操作(ゾーン「abc.xyz.example.jp」を新設するゾーン操作)に適用すべき委任情報を生成する。
【0019】
そして、委任情報生成装置は、生成した委任情報を、ドメインツリーの設定情報に反映する。例えば、図1に示すように、委任情報生成装置は、ゾーン「abc.xyz.example.jp」を作成するとともに、該当する上位ゾーン「xyz.example.jp」のDNSサーバおよび下位ゾーン「abc.xyz.example.jp」のDNSサーバに対して、生成した委任情報を用いて委任の設定を行う。
【0020】
このように、実施例1に係る委任情報生成装置は、ゾーン操作のオーダを受け付けると、当該ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形にゾーン名を補完することで委任情報を自動的に生成する。このため、ゾーン操作の処置は容易なものとなり、特別なDNSの知識を有しないオペレータのみであってもドメイン操作を担当することが可能になる結果、ゾーン操作の時間を短縮することが可能になる。
【0021】
[実施例1に係る委任情報生成装置の構成]
次に、図2〜図6を用いて、実施例1に係る委任情報生成装置の構成を説明する。図2は、実施例1に係る委任情報生成装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
なお、以下では、ゾーンに関する設定情報であるゾーン情報がファイルという実装形態であることを想定し、ゾーン情報として「ゾーンファイル」を例示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、他の実装形態の場合にも任意に対応されるものである。すなわち、ゾーン情報は、ファイルという実装形態のみならず、例えば、データベースソフトに格納されている実装形態や、テキスト情報として格納されている実装形態などであってもよい。
【0023】
図2に示すように、実施例1に係る委任情報生成装置10は、特に、通信部11と、記憶部20と、制御部30とを備える。また、記憶部20は、図2に示すように、委任情報雛形管理DB21を備える。また、制御部30は、図2に示すように、ゾーン名受付部31と、委任情報雛形取得部32と、委任情報生成部33と、ドメインツリー反映部34とを備える。以下、各部を順に説明する。
【0024】
通信部11は、ネットワークに接続する他の装置との間で通信を行う。例えば、通信部11は、DNS管理者が操作する他の装置との間で通信を行い、DNS管理者によって登録される委任情報の雛形を受信すると、受信した雛形を委任情報雛形管理DB21に格納する。また、例えば、通信部11は、オペレータが操作する他の装置との間で通信を行い、オペレータによって入力されるゾーン名や種別情報などを受信すると、受信したこれらの情報をゾーン名受付部31に出力する。
【0025】
委任情報雛形管理DB21は、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を記憶する。具体的には、委任情報雛形管理DB21は、委任情報雛形取得部32と接続され、委任情報雛形管理DB21が記憶する雛形は、委任情報雛形取得部32によって取得され、委任情報生成部33による処理に利用される。
【0026】
例えば、委任情報雛形管理DB21は、図3に示すような雛形を記憶する。図3は、委任情報雛形管理DBを説明するための図である。
【0027】
図3に示すように、実施例1における委任情報雛形管理DB21は、委任情報の雛形を動的な雛形と静的な雛形とに区分けして記憶する。ここで、動的な雛形とは、親ゾーンの委任情報を雛形として取得する場合の雛形であり、静的な雛形とは、委任情報雛形管理DBから取得する場合の雛形である。例えば、業務上の知識を有するオペレータは、契約ユーザからオーダを受け付けた際に、対象ゾーンのゾーン操作を行うにあたり、親ゾーンを継承する手法がよいのか、あるいは委任情報雛形管理DBに予め記憶されている雛形を用いる手法がよいのかを判断することができる。なお、親ゾーンを継承する手法と委任情報雛形管理DBに予め記憶されている雛形を用いる手法とは排他的な関係にあり、例えば、親ゾーンを継承する手法が選択されない場合に、委任情報雛形管理DBに予め記憶されている雛形を用いる手法が選択されることになる。
【0028】
親ゾーンを継承する手法がよいと判断する場合について一例を挙げると、例えば、オペレータが、契約ユーザと電話で話をするなどして、当該契約ユーザが過去にゾーンを生成したことのある契約ユーザであることが判明したとする。すると、オペレータは、今回新設する対象ゾーンについて、過去に生成したゾーンの親ゾーンと同じ親ゾーンを継承する手法がよいと判断することができる。
【0029】
なお、このように、動的な雛形はゾーン操作の都度取得されるものであるので、図3に示すように、委任情報雛形管理DB21は、親ゾーン継承に対応づけて何も記憶していない。もっとも、実装の形態に応じて任意に対応されるものであり、例えば、委任情報雛形管理DB21は、委任情報雛形取得部32によって親ゾーンのゾーンファイルが取得された際に、委任情報雛形取得部32によって雛形として格納されることで、格納された雛形を一定期間記憶するなどしてもよい。
【0030】
また、図3に示すように、実施例1における委任情報雛形管理DB21は、静的な雛形を、例えばサービス種別や用途などに区分けして記憶する。ここで、サービスとは、契約ユーザに対して提供される何らかのサービスのことである。例えば、サービスとして、契約ユーザの方針がDNSサーバを契約ユーザ自身で準備するものであるのか、若しくは代行を依頼するものであるのかといった違いに応じて提供されるものを想定することができる。また、例えば、サービスとして、100ヶのDNSドメインを登録したいのか、若しくは10,000ヶのDNSドメインを登録したいのか、といった規模の違いなどに応じて提供されるものを想定することができる。その他、例えば、登録するデータ量の違いに応じて提供されるものや、信頼性(サービス停止・復旧などの条件)の違いに応じて提供されるもの、SLA(Service Level Agreement)の違いに応じて提供されるものなど、あらゆるサービスを想定することができる。
【0031】
例えば、オペレータは、契約ユーザからオーダを受け付けた際に、対象ゾーンのゾーン操作を行うにあたり、委任情報雛形管理DBに予め記憶されている雛形を用いるべきであると判断するとともに、選択すべき雛形のサービス種別を判断する。
【0032】
また、図3に示すように、実施例1における委任情報雛形管理DB21は、委任情報の雛形を、ゾーンの種と委任の種とに区分けして記憶する。ゾーンの種とは、SOA(Start Of Authority)リソースレコードの雛形であり、プライマリの権威サーバ名などである。また、委任の種とは、NS(Name Server)リソースレコードの雛形であり、権威サーバ名のリストである。例えば、委任情報雛形管理DB21は、ゾーンの種として、「MNAME」の種や「RNAME」の種を記憶し、委任の種として、「NS」のリストを記憶する。
【0033】
図2に戻り、ゾーン名受付部31は、ゾーン操作の対象ゾーンについて、条件の入力を受け付ける。具体的には、ゾーン名受付部31は、通信部11と委任情報雛形取得部32と接続され、通信部11によって受信されたゾーン名や雛形の種別情報の入力を受け付け、受け付けたゾーン名や種別情報を委任情報雛形取得部32に出力する。例えば、ゾーン名受付部31は、図4に示すように、新設するゾーンのゾーン名「abc.xyz.example.jp」及び種別情報「サービスα」の入力を受け付け、委任情報雛形取得部32に出力する。なお、図4は、オペレータによって投入される情報を説明するための図である。
【0034】
委任情報雛形取得部32は、委任情報の雛形を取得する。具体的には、委任情報雛形取得部32は、ゾーン名受付部31によって受け付けられたゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得し、取得した雛形と、ゾーン名受付部31から出力されたゾーン名とを、委任情報生成部33に出力する。
【0035】
例えば、委任情報雛形取得部32は、ゾーン名受付部31から出力された種別情報「サービスα」を用いて委任情報雛形管理DB21を検索し、種別情報「サービスα」に対応付けて記憶されているゾーンの種及び委任の種を取得する。例えば、図3に示すように、委任情報雛形取得部32は、種別情報「サービスα」に対応付けて記憶されているゾーンの種として、「MNAME種=dns1.example.jp」及び「RNAME種=admin@example.jp」を取得し、委任の種として「NS種=ns1.example.jp」及び「NS種=ns2.example.jp」を取得する。
【0036】
委任情報生成部33は、雛形を実体化することで委任情報を生成する。具体的には、委任情報生成部33は、委任情報雛形取得部32とドメインツリー反映部34とに接続され、委任情報雛形取得部32から出力されたゾーン名を用いて、委任情報雛形取得部32から出力された雛形を補完することで、ゾーン操作に適合する委任情報を生成し、生成した委任情報をドメインツリー反映部34に出力する。
【0037】
例えば、委任情報生成部33は、委任情報雛形取得部32から出力されたゾーンの種「MNAME種=dns1.example.jp」及び「RNAME種=admin@example.jp」、委任の種「NS種=ns1.example.jp」及び「NS種=ns2.example.jp」に、ゾーン名「abc.xyz.example.jp」を補完して、図5に示すような新設ゾーン(子ゾーン)のゾーンファイルを生成する。図5は、新設ゾーンのゾーンファイルを説明するための図である。なお、図5には、「abc.xyz.example.jp」が追加されたゾーン一覧を示しているが、これは、後述するドメインツリー反映部34によるゾーン情報の反映が行われた際のゾーン一覧を例示するものである。
【0038】
また、例えば、委任情報生成部33は、委任の種「NS種=ns1.example.jp」及び「NS種=ns2.example.jp」に、ゾーン名「abc.xyz.example.jp」を補完して、図6に示すようなRR(Resource Record)を作成する。なお、図6においては、親ゾーンのゾーンファイル、すなわち既存のゾーンファイル全体を示しているが、点線で囲む部分のみが、委任情報生成部33が作成するRRである。図6は、親ゾーンのゾーンファイルを説明するための図である。
【0039】
ドメインツリー反映部34は、委任情報をドメインツリーの設定情報に反映する。具体的には、ドメインツリー反映部34は、委任情報生成部33と接続され、委任情報生成部33から出力された委任情報を、該当するDNSサーバにおけるドメインツリーの設定情報に反映する。
【0040】
なお、反映の手法は、実装の形態により任意に対応されるものである。例えば、新設ゾーンのDNSサーバに対しては、ゾーンファイルを生成した旨をMNAME(プライマリのDNSサーバ)に通知したり、MNAMEをのぞくNSリスト(セカンダリのDNSサーバ群)宛に、セカンダリゾーンを作成し、ゾーン転送で反映するなどする。また、例えば、親ゾーンのDNSサーバに対しては、ゾーンファイルを生成した旨をMNAME(プライマリのDNSサーバ)に通知したり、MNAMEをのぞくNSリスト(セカンダリのDNSサーバ群)宛に、ゾーン転送で反映するなどする。
【0041】
[実施例1に係る委任情報生成装置による処理手順]
続いて、図7〜図10を用いて、実施例1に係る委任情報生成装置による処理手順を説明する。図7は、委任情報生成の主処理を示すフローチャートである。図8は、親ゾーン情報取得処理を示すフローチャートである。図9は、新設ゾーン作成処理を示すフローチャートである。図10は、親ゾーンへの委任設定処理を示すフローチャートである。なお、後述するように、図8は、図7のステップS102において呼び出される処理のフローチャートであり、図9は、図7のステップS105において呼び出される処理のフローチャートであり、図10は、図7のステップS106において呼び出される処理のフローチャートである。
【0042】
[DNSゾーン生成の主処理]
図7に示すように、まず、委任情報生成装置10において、ゾーン名受付部31は、オペレータによる入力として、新設ゾーンのゾーン名や、親ゾーンを継承するか否かの選択情報を受け付け、親ゾーンを継承しない場合には、雛形の種別情報をさらに受け付ける(ステップS101)。
【0043】
例えば、オペレータが操作する装置の出力部にブラウザ画面が表示され、オペレータが、直接入力型のフォームにゾーン名などを入力したり、プルダウンメニューやラジオボタンを選択したりすると、ゾーン名受付部31は、ゾーン名や選択情報、雛形の種別情報などを受け付ける。
【0044】
ここで、親ゾーンを継承するか否かの選択について説明すると、例えば、オペレータは、契約ユーザと電話で話をするなどして、ゾーン操作の対象となる新設ゾーンについて、親ゾーンを継承すべきか否かを判断することができる。例えば、当該契約ユーザが過去にゾーンを生成したことのある契約ユーザである場合などに、オペレータは、今回の新設ゾーンについて、過去に生成したゾーンの親ゾーンと同じ親ゾーンを継承すべきであると判断することができる。
【0045】
また、雛形の種別について説明すると、例えば、契約ユーザの方針が、DNSサーバを契約ユーザ自身で準備するものであるのか、代行の場合は100ヶのDNSドメインを登録したいのか、若しくは10,000ヶのDNSドメインを登録したいのか、といった規模の違いなどに応じて、代行業者において異なるサービスが用意されていたとする。すると、オペレータは、契約ユーザと電話で話をするなどして、新設ゾーンに用いるべき雛形の種別を判断することができる。
【0046】
こうして、オペレータによる入力を受け付けると、委任情報雛形取得部32は、親ゾーンに関する情報を取得する処理を行う(ステップS102)。なお、ステップS102における処理の詳細については後述する。
【0047】
次に、委任情報雛形取得部32は、新設ゾーンについて、親ゾーンを継承するか否かを判定する(ステップS103)。すなわち、親ゾーンを継承するか否かの選択情報は、ステップS101においてオペレータによる入力を受け付けているので、委任情報雛形取得部32は、受け付けた選択情報から、親ゾーンを継承するか否かを判定する。
【0048】
ここで、親ゾーンを継承しないと判定すると(ステップS103否定)、まず、委任情報雛形取得部32が、ステップS101において受け付けた雛形の種別情報を取得し(ステップS104)、その後、委任情報雛形取得部32や委任情報生成部33が、雛形を取得する処理や新設ゾーンを作成する処理を行う(ステップS105)。一方、親ゾーンを継承すると判定すると(ステップS103肯定)、続いて、委任情報生成部33が、ステップS102において取得済みの親ゾーンに関する情報を雛形として用い、新設ゾーンを作成する処理を行う(ステップS105)。なお、ステップS105における処理の詳細については後述する。
【0049】
そして、ドメインツリー反映部34は、親ゾーンに委任を設定する処理を行い(ステップS106)、一連の委任情報生成処理を終了する。
【0050】
[親ゾーン情報取得処理]
次に、図8を用いて、図7のステップS102における処理の詳細を説明する。図8に示すように、まず、委任情報雛形取得部32は、新設ゾーンの権威サーバ(SOA:Start Of Authority)について名前解決を行い取得する(ステップS201)。例えば、委任情報雛形取得部32は、スタブリゾルバとして機能し、予め設定されたフルサービスリゾルバに対して、新設ゾーンの権威サーバを問い合わせる。
【0051】
ここで、実施例1においては、権威サーバのサーバ名(FQDN:Fully Qualified Domain Name)は、事前登録済みであり、名前解決が可能な状態であることを想定している。もっとも、この段階において、新設ゾーンの権威サーバは、未だDNSシステムに登録されていないはずである。このため、委任情報雛形取得部32は、応答確認として、「NXDOMAIN」が応答されたか否かを判定する(ステップS202)。すなわち、「NXDOMAIN」とは、「問い合わされた名前はみつからない」といった意味の応答であり、ゾーンを新設するにおいて、期待する応答である。そこで、委任情報雛形取得部32は、「NXDOMAIN」以外の応答があった場合には(ステップS202否定)、異常復帰の処理を行う。
【0052】
一方、「NXDOMAIN」の応答があった場合(ステップS202肯定)、委任情報雛形取得部32は、親ゾーンのSOAレコードを受信するので、受信したこの情報から、親ゾーンのゾーン名及びMNAMEを取得する(ステップS203)。なお、MNAMEは、SOAレコードに記述されている。
【0053】
続いて、委任情報雛形取得部32は、親ゾーンのNSリストについて名前解決を行い取得する(ステップS204)。例えば、委任情報雛形取得部32は、スタブリゾルバとして機能し、予め設定されたフルサービスリゾルバに対して、ステップS203において取得した親ゾーンのゾーン名を用いて親ゾーンのNSリストを取得する。
【0054】
そして、委任情報雛形取得部32は、主処理に復帰する。
【0055】
[新設ゾーン作成処理]
次に、図9を用いて、図7のステップS105における処理の詳細を説明する。図9に示すように、まず、委任情報生成部33は、MNAME宛にSOAやNSリストを実体化させたゾーンファイルを生成する(ステップS301)。
【0056】
例えば、図7のステップS103において親ゾーンの継承が選択された場合、親ゾーンのMNAMEは、図8のステップS203において取得されている。また、親ゾーンのNSリストは、図8のステップS204において取得されている。そこで、委任情報生成部33は、ステップS203において取得したMNAME宛に、ゾーンファイルを生成する。
【0057】
例えば、委任情報生成部33は、図8のステップS203において取得したSOAレコード、及びステップS204において取得したNSレコードを雛形として引用し、図7のステップS101において受け付けたゾーン名を用いて補完することで、ゾーンファイルを生成する。
【0058】
一方、例えば、図7のステップS103において親ゾーンの継承が選択されず雛形が選択された場合、MNAMEは、委任情報の雛形に記述されている。また、NSリストも、委任情報の雛形に記述されている。そこで、委任情報生成部33は、雛形に記述されているMNAME宛に、ゾーンファイルを生成する。
【0059】
例えば、委任情報雛形取得部32は、図7のステップS104において取得した雛形の種別情報を用いて委任情報雛形管理DB21を検索し、該当する雛形を取得する。そして、委任情報生成部33は、該当する雛形に記述されたSOAレコードの種、NSレコードの種を引用し、図7のステップS101において受け付けたゾーン名を用いて補完することで、ゾーンファイルを生成する。
【0060】
そして、実施例1におけるドメインツリー反映部34は、ゾーンファイルを生成した旨をMNAME宛に通知することで、生成したゾーンファイルをドメインツリーに反映する(ステップS302)。
【0061】
続いて、ドメインツリー反映部34は、NSリスト(MNAMEを除く)宛にセカンダリゾーンを生成し(ステップS303)、その後、NSリスト(MNAMEを除く)宛にゾーン転送を実施させることで、生成したゾーンファイルをドメインツリーに反映させる(ステップS304)。
【0062】
例えば、ドメインツリー反映部34は、セカンダリのDNSサーバ群にゾーン転送を受信するためにセカンダリゾーンを生成する。具体的には、ドメインツリー反映部34は、セカンダリのDNSサーバ群にゾーン転送を受信するための設定を行う。その後、プライマリのDNSサーバからセカンダリのDNSサーバ群へのゾーン転送が実施される。なお、上記した反映の手法は一例に過ぎず、実装の形態により任意に対応されるものである。
【0063】
[親ゾーンへの委任設定処理]
次に、図10を用いて、図7のステップS106における処理の詳細を説明する。図10に示すように、まず、委任情報生成部33は、NSリストを実体化させたRRを生成する(ステップS401)。
【0064】
ここで、親ゾーンのMNAMEは、図8のステップS203において取得されている。また、親ゾーンのNSリストは、図8のステップS204において取得されている。そこで、委任情報生成部33は、ステップS203において取得したMNAME宛、およびステップS204において取得したNSリスト宛(MNAMEを除く)に、NSリストを実体化させたRRを生成する。
【0065】
例えば、図7のステップS103において親ゾーンの継承が選択された場合、委任情報生成部33は、図8のステップS204において取得したNSレコードを雛形として引用し、図7のステップS101において受け付けたゾーン名を用いて補完することで、RRを生成する。
【0066】
また、例えば、図7のステップS103において親ゾーンの継承が選択されていない場合、委任情報雛形取得部32は、図7のステップS104において取得した雛形の種別情報を用いて委任情報雛形管理DB21を検索し、該当する雛形を取得する。そして、委任情報生成部33は、該当する雛形に記述されたNSレコードの種を引用し、図7のステップS101において受け付けたゾーン名を用いて補完することで、RRを生成する。
【0067】
次に、実施例1におけるドメインツリー反映部34は、RRを生成した旨を親ゾーンのMNAME宛に通知することで、生成したRRをドメインツリーに反映する(ステップS402)。
【0068】
続いて、親ゾーンのNSリスト(MNAMEを除く)宛にゾーン転送が行われることで、ドメインツリー反映部34は、生成したゾーンファイルをドメインツリーに反映する(ステップS403)。
【0069】
[実施例1の効果]
上記してきたように、実施例1に係る委任情報生成装置10においては、ゾーン名受付部31が、ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について、条件(ゾーン名や雛形の種別情報など)の入力を受け付ける。また、委任情報雛形取得部32が、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得する。そして、委任情報生成部33が、ゾーン名受付部31によって受け付けられたゾーン名を用いて委任情報雛形取得部32によって取得された雛形を補完することで、ゾーン操作に適合する委任情報を生成する。続いて、ドメインツリー反映部34が、委任情報生成部33によって生成された委任情報をドメインツリーの設定情報に反映する。
【0070】
このように、委任情報生成装置10は、ゾーン操作のオーダを受け付けると、当該ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形にゾーン名を補完することで委任情報を自動的に生成する。このため、ゾーン操作の処置は容易なものとなり、特別なDNSの知識を有しないオペレータのみであってもドメイン操作を担当することが可能になる結果、ゾーン操作の時間を短縮することが可能になる。
【0071】
また、実施例1に係る委任情報生成装置10は、委任情報雛形管理DB21をさらに備え、委任情報雛形取得部32は、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を、委任情報雛形管理DB21から取得する。あるいは、実施例1に係る委任情報生成装置10は、ゾーン操作の対象となるゾーンの親ゾーンから取得した情報を、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形とする。
【0072】
このように、委任情報生成装置10は、静的な雛形あるいは動的な雛形の双方を選択することができ、ゾーン操作に柔軟に対応することができる。
【0073】
ここで、図11を用いて、実施例1の効果を説明する。図11は、実施例1の効果を説明するための図である。図11の(A)は、従来のゾーン操作に対応するものであり、(B)は、実施例1を適用した場合のゾーン操作に対応するものである。
【0074】
図11の(A)に示すように、従来のゾーン操作は、業務上の知識を有するオペレータと、DNSの知識を有するDNS管理者との双方がゾーン操作を担当し、互いに介入することで、設定情報の反映を実現していた。これに対し、(B)に示すように、実施例1を適用した場合のゾーン操作においては、「操作者」と「操作対象情報」との区別化(役割分担)がなされている。すなわち、DNS管理者は、ゾーン操作の前提処置として、委任情報の雛形を管理する役割(委任情報の雛形を登録する役割)を担う。一方、オペレータは、所定の簡素な操作(ゾーン名や雛形の種別情報を投入する操作のみ)で、ゾーン操作の処置を実施する役割を担う。このようなことから、DNS管理者が、ゾーン操作にその都度介入する必要がなくなるのである。
【0075】
また、ゾーン操作の処置が容易なものとなることで、特別なDNSの知識を有しないオペレータのみであってもドメイン操作に加えゾーン操作を担当することが可能になる結果、例えば、契約ユーザからのオーダを投入する契機で契約ユーザにゾーンを払い出すようなサービスモデルに対応することも可能になり、ゾーンの特徴を活かしたホスティングなどのサービス創造にも活路が開ける。さらに、委任情報生成装置によって委任情報が自動生成される結果、生成された委任情報の精度は高いものとなり、委任情報生成システム全体の正確性が向上するとともに、不正な「委任」を防止するなど、安全なゾーン管理を遂行することも可能になる。
【実施例2】
【0076】
さて、上記の実施例1では、ゾーン操作の一例としてゾーン新設の例を説明してきた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、本発明に係る委任情報生成装置は、ゾーン操作として、ゾーン削除やゾーン変更(ゾーン新設時の雛形選択をやり直す意味での変更、ゾーン名の変更ではない)に対応する機能をさらに備えていてもよい。以下、実施例2として、委任情報生成装置がゾーン削除の機能をさらに備える例を説明し、実施例3として、委任情報生成装置がゾーン変更の機能をさらに備える例を説明する。なお、実施例1と同様に構成され、処理が実行される点については、説明を割愛する。
【0077】
実施例2に係る委任情報生成装置は、図2に示した実施例1に係る委任情報生成装置10の制御部30に、ゾーン削除部35をさらに備える。ゾーン削除部35は、ゾーン名受付部31とドメインツリー反映部34とに接続され、ゾーン名受付部31から出力されたゾーン名を用いてゾーン削除に関する各種処理を行い、ドメインツリー反映部34に出力する。
【0078】
以下、図12〜図15を用いて、実施例2に係る委任情報生成装置による処理手順を説明する。図12は、実施例2におけるゾーン削除の主処理を示すフローチャートである。図13は、実施例2における親ゾーン情報取得処理を示すフローチャートである。図14は、実施例2における委任解除処理を示すフローチャートである。図15は、実施例2におけるゾーン削除処理を示すフローチャートである。なお、後述するように、図13は、図12のステップS505において呼び出される処理のフローチャートであり、図14は、図12のステップS506において呼び出される処理のフローチャートであり、図15は、図12のステップS507において呼び出される処理のフローチャートである。
【0079】
[DNSゾーン削除の主処理]
図12に示すように、まず、委任情報生成装置10において、ゾーン名受付部31は、オペレータによる入力として、削除ゾーンのゾーン名を受け付ける(ステップS501)。
【0080】
オペレータによる入力を受け付けると、ゾーン削除部35は、削除ゾーンの権威サーバ(SOA)について名前解決を行い取得する(ステップS502)。
【0081】
続いて、ゾーン削除部35は、応答確認として、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が応答されたか否かを判定する(ステップS503)。「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が、ゾーンを削除するにおいて、期待する応答である。そこで、ゾーン削除部35は、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」以外の応答があった場合には(ステップS503否定)、削除対象のゾーンが存在しないとして、異常終了する。
【0082】
一方、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」の応答があった場合(ステップS503肯定)、ゾーン削除部35は、削除ゾーンのSOAレコードを受信するので、受信したこの情報から、削除ゾーンのMNAMEを取得する(ステップS504)。
【0083】
続いて、ゾーン削除部35は、親ゾーンに関する情報を取得する処理を行う(ステップS505)。なお、ステップS505における処理の詳細については後述する。
【0084】
次に、ゾーン削除部35やドメインツリー反映部34は、親ゾーンからの委任解除を設定する処理を行う(ステップS506)。なお、ステップS506における処理の詳細については後述する。
【0085】
そして、ドメインツリー反映部34は、当該ゾーンを削除する処理を行い(ステップS507)、一連の委任情報生成処理を終了する。なお、ステップS507における処理の詳細については後述する。
【0086】
[親ゾーン情報取得処理]
次に、図13を用いて、図12のステップS505における処理の詳細を説明する。図13に示すように、まず、ゾーン削除部35は、削除ゾーンから1ラベル短縮したドメイン名を用いて、SOAについて名前解決を行い取得する(ステップS601)。
【0087】
次に、ゾーン削除部35は、応答確認として、「NXDOMAIN」あるいは「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が応答されたか否かを判定する(ステップS602)。「NXDOMAIN」あるいは「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が期待する応答であるので、ゾーン削除部35は、これら以外の応答があった場合には、異常復帰の処理を行う。
【0088】
一方、「NXDOMAIN」あるいは「NOERROR かつ ANS COUNT=1」の応答があった場合には、ゾーン削除部35は、受信した情報から、親ゾーンのゾーン名及びMNAMEを取得する(ステップS603)。
【0089】
例えば「NOERROR かつ ANS COUNT=1」の応答があった場合、削除ゾーンから1ラベル短縮したドメインが親ゾーンであり、ゾーン削除部35は、応答内容のSOAから親ゾーンに関する情報を取得する。例えば、親ゾーンが「abc.example.jp」であり、子ゾーンが「xyz.abc.example.jp」である場合を想定する。削除対象の子ゾーンを1ラベル短縮した「abc.example.jp」のSOAを名前解決すると、親ゾーン「abc.example.jp」と一致するため、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が応答される。すると、ゾーン削除部35は、ANS(回答)SECTIONに返却されたSOAから、親ゾーン名及びMNAMEを取得する。
【0090】
一方、例えば「NXDOMAIN」の応答があった場合、親ゾーンは、削除ゾーンから2ラベル以上の短縮が必要であったことになるが、応答内容に親ゾーンのSOAが含まれているため、ゾーン削除部35は、親ゾーンに関する情報を取得する。例えば、親ゾーンが「abc.example.jp」であり、子ゾーンが「zzz.yyy.xyz.abc.example.jp」である場合を想定する。削除対象の子ゾーンを1ラベル短縮した「yyy.xyz.abc.example.jp」のSOAを名前解決すると、「NXDOMAIN」が応答される。すると、ゾーン削除部35は、AUTH(権威)SECTIONに返却されたSOAから、親ゾーン名及びMNAMEを取得する。
【0091】
[委任解除処理]
次に、図14を用いて、図12のステップS506における処理の詳細を説明する。図14に示すように、まず、ゾーン削除部35は、削除ゾーンのNSリストについて名前解決を行い取得する(ステップS701)。
【0092】
次に、ドメインツリー反映部34が、ステップS701において取得したNSリストを用いて、親ゾーンからの委任を取り消すための準備(電文生成)を行う(ステップS702)。
【0093】
そして、ドメインツリー反映部34は、親ゾーン(MNAME宛)に委任解除(NSリスト RRの削除)を通知して反映する(ステップS703)。
【0094】
続いて、ドメインツリー反映部34は、親ゾーン(NSリスト(MNAMEを除く)宛)にゾーン転送を実施させることで反映する(ステップS704)。
【0095】
[ゾーン削除]
次に、図15を用いて、図12のステップS507における処理の詳細を説明する。図15に示すように、まず、ドメインツリー反映部34は、削除ゾーンのNSリスト(MNAMEを除く)宛にて、当該セカンダリゾーンの削除を反映する(ステップS801)。
【0096】
次に、ドメインツリー反映部34は、削除ゾーンのNSリスト(MNAMEを除く)宛にて、生成されているゾーンファイルを除去する(ステップS802)。
【0097】
そして、ドメインツリー反映部34は、削除ゾーンのMNAME宛にて、当該ゾーンの削除を反映する(ステップS803)。
【0098】
続いて、ドメインツリー反映部34は、削除ゾーンのMNAME宛にて、生成されているゾーンファイルを除去する(ステップS804)。
【実施例3】
【0099】
さて、上記の実施例2では、委任情報生成装置がゾーン削除の機能をさらに備える例を説明してきた。以下、実施例3として、委任情報生成装置がゾーン変更の機能をさらに備える例を説明する。なお、実施例1と同様に構成され、処理が実行される点については、説明を割愛する。
【0100】
実施例3に係る委任情報生成装置は、図2に示した実施例1に係る委任情報生成装置10の制御部30に、ゾーン変更部36をさらに備える。ゾーン変更部36は、ゾーン名受付部31とドメインツリー反映部34とに接続され、ゾーン名受付部31から出力されたゾーン名を用いてゾーン変更に関する各種処理を行い、ドメインツリー反映部34に出力する。
【0101】
図16〜図19を用いて、実施例3に係る委任情報生成装置による処理手順を説明する。図16は、実施例3におけるゾーン変更の主処理を示すフローチャートである。図17は、実施例3における親ゾーン情報取得処理を示すフローチャートである。図18は、実施例3におけるゾーン変更処理(主処理)を示すフローチャートである。図19は、実施例3におけるゾーン変更処理(委任情報の変更・反映処理)を示すフローチャートである。なお、後述するように、図17は、図16のステップS905において呼び出される処理のフローチャートであり、図18は、図16のステップS908において呼び出される処理のフローチャートであり、図19は、図18のステップS1104において呼び出される処理のフローチャートである。
【0102】
[DNSゾーン変更の主処理]
図16に示すように、まず、委任情報生成装置10において、ゾーン名受付部31は、オペレータによる入力として、変更ゾーンのゾーン名、親ゾーンを継承するか否かの選択情報を受け付け、親ゾーンを継承しない場合には、雛形の種別情報をさらに受け付ける(ステップS901)。
【0103】
こうして、オペレータによる入力を受け付けると、ゾーン名変更部36は、変更ゾーンの権威サーバ(SOA)について名前解決を行い取得する(ステップS902)。
【0104】
続いて、ゾーン名変更部36は、応答確認として、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が応答されたか否かを判定する(ステップS903)。「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が、ゾーンを変更するにおいて、期待する応答である。そこで、ゾーン名変更部36は、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」以外の応答があった場合には(ステップS903否定)、変更対象のゾーンが存在しないとして、異常終了する。
【0105】
一方、「NOERROR かつ ANS COUNT=1」の応答があった場合(ステップS903肯定)、ゾーン名変更部36は、変更ゾーンのSOAレコードを受信するので、受信したこの情報から、変更ゾーンのMNAME(変更前)を取得する(ステップS904)。
【0106】
続いて、ゾーン名変更部36は、親ゾーンに関する情報を取得する処理を行う(ステップS905)。なお、ステップS905における処理の詳細については後述する。
【0107】
次に、ゾーン名変更部36は、変更ゾーンについて、親ゾーンを継承するか否かを判定する(ステップS906)。すなわち、親ゾーンを継承するか否かの選択情報は、ステップS901においてオペレータによる入力を受け付けているので、ゾーン名変更部36は、受け付けた選択情報から、親ゾーンを継承するか否かを判定する。
【0108】
ここで、親ゾーンを継承しないと判定すると(ステップS906否定)、まず、ゾーン名変更部36は、ステップS901において受け付けた雛形の種別情報を取得し(ステップS907)、その後、当該ゾーンを変更する処理を行う(ステップS908)。一方、親ゾーンを継承すると判定すると(ステップS906肯定)、続いて、ゾーン名変更部36は、ステップS905において取得済みの親ゾーンに関する情報を雛形として用い、当該ゾーンを変更する処理を行う(ステップS908)。なお、ステップS908における処理の詳細については後述する。
【0109】
[親ゾーン情報取得処理]
次に、図17を用いて、図16のステップS905における処理の詳細を説明する。図17に示すように、まず、ゾーン名変更部36は、変更ゾーンから1ラベル短縮したドメイン名を用いて、SOAについて名前解決を行い取得する(ステップS1001)。
【0110】
次に、ゾーン名変更部36は、応答確認として、「NXDOMAIN」あるいは「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が応答されたか否かを判定する(ステップS1002)。「NXDOMAIN」あるいは「NOERROR かつ ANS COUNT=1」が期待する応答であるので、ゾーン名変更部36は、これら以外の応答があった場合には、異常復帰の処理を行う。
【0111】
一方、「NXDOMAIN」あるいは「NOERROR かつ ANS COUNT=1」の応答があった場合には、ゾーン名変更部36は、受信した情報から、親ゾーンのゾーン名及びMNAMEを取得する(ステップS1003)。なお、ステップS1003の処理は、図13のステップS603と同様に行われる。
【0112】
そして、ゾーン名変更部36は、親ゾーンのNSリストについて名前解決を行い取得する(ステップS1004)。
【0113】
[ゾーン変更処理]
次に、図18を用いて、図16のステップS908における処理の詳細を説明する。図18に示すように、まず、ゾーン名変更部36は、ゾーンの種(MNAME種)に変更があるか否かを判定する(ステップS1101)。
【0114】
変更がある場合、ゾーン名変更部36は、SOAやNSリストを実体化し、および、旧ゾーンファイル(旧MNAMEより取得)から新ゾーンファイルを新MNAME宛に生成する(ステップS1102)。
【0115】
そして、ゾーン名変更部36は、新ゾーンファイルを生成した旨を新MNAME宛に通知することで、生成した新ゾーンファイルをドメインツリーに反映する(ステップS1103)。
【0116】
ステップS1103に続いて、ゾーン名変更部36は、ゾーンの変更処理(委任情報の変更・反映)を行う(ステップS1104)。また、ステップS1101においてゾーンの種に変更がなかった場合にも、ゾーン名変更部36は、ゾーンの変更処理(委任情報の変更・反映)を行う(ステップS1104)。なお、ステップS1104における処理の詳細については後述する。
【0117】
また、ゾーン名変更部36は、再び、ゾーンの種(MNAME種)に変更があるか否かを判定する(ステップS1105)。
【0118】
変更がある場合、ゾーン名変更部36は、旧MNAME宛にて、当該ゾーンの削除を反映する(ステップS1106)。
【0119】
そして、ゾーン名変更部36は、旧MNAME宛にて、ゾーンファイルを除去する(ステップS1107)。
【0120】
ステップS1105において変更がない場合、あるいは、ステップS1107においてゾーンファイルを除去した後、ゾーン名変更部36は、復帰する。
【0121】
[委任情報の変更・反映処理]
次に、図19を用いて、図18のステップS1104における処理の詳細を説明する。図19に示すように、まず、ゾーン名変更部36は、変更ゾーンのNSリストについて名前解決を行い取得する(ステップS1201)。
【0122】
次に、ドメインツリー反映部34は、変更対象ゾーン(新MNAME宛)に、委任変更(NSリスト RRの追加・削除)を通知して反映し、さらに、新NSリスト(MNAMEを除く)宛にセカンダリゾーンを生成し(ステップS1202)、その後、新NSリスト(MNAMEを除く)宛にゾーン転送を実施させることで、生成した新ゾーンファイルをドメインツリーに反映させる(ステップS1203)。
【0123】
また、ドメインツリー反映部34は、親ゾーン(MNAME宛)に、委任変更(NSリスト RRの追加・削除)を通知して反映し(ステップS1204)、親ゾーン(NSリスト(MNAMEを除く)宛)にゾーン転送で反映する(ステップS1205)。
【0124】
また、ドメインツリー反映部34は、削除NSリスト(MNAMEを除く)宛にて、当該セカンダリゾーンの削除を反映し(ステップS1206)、削除NSリスト(MNAMEを除く)宛にて、生成されているゾーンファイルを除去する(ステップS1207)。
【実施例4】
【0125】
これまで本発明の実施例1〜3について説明してきたが、本発明は上記の実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0126】
上記の実施例1〜3では、委任情報生成装置は、ゾーン新設やゾーン変更などの処理を行う際に、親ゾーンを継承する手法か委任情報雛形管理DBに予め記憶されている雛形を用いる手法かを改めて判断し、選択していたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、委任情報生成装置は、過去に行われたゾーン操作に関する情報を履歴情報としてデータベース(リレーショナル表)に管理し、当該履歴情報に基づいて処理を行ってもよい。すなわち、委任情報生成装置は、例えば、ゾーン新設時やゾーン変更時に、親ゾーンを継承する手法が選択されたか、あるいは委任情報雛形管理DBに予め記憶されている雛形を用いる手法が選択されたかといった情報や、その具体的な内容を記憶する。そして、委任情報生成装置は、次回のゾーン新設時やゾーン変更時に、データベース(リレーショナル表)に記憶された履歴情報を用いてゾーン操作を行う。
【0127】
この場合には、委任情報生成装置は、例えば、雛形自体の変更があった場合に、当該変更された雛形を用いて実体化されたゾーン全てをデータベース(リレーショナル表)から抽出し、抽出したゾーン全てを追従させて一度にゾーン変更させることができるようになる。もっとも、委任情報生成装置は、DNSとデータベース(リレーショナル表)との整合性をとって重複管理していることを想定するものである。
【0128】
[構成]
上記の実施例1〜3においては、委任情報生成装置が、生成した委任情報をドメインツリーの設定情報に反映する例を説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、委任情報生成装置は、委任情報を生成したところで処理を終了し、ドメインツリーの設定情報への反映は、他の装置が行ってもよい。この場合には、例えば、委任情報生成装置が、生成した委任情報をネットワーク経由で他の装置に送信したり、あるいはオペレータが、媒体経由で他の装置に入力したりすればよい。
【0129】
また、委任情報生成方法として、ネットワークに接続する各コンピュータが、ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について条件の入力を受け付ける条件受付工程と、ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得する雛形取得工程と、受け付けられた条件を用いて雛形を実体化することで、ゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成工程と、生成された委任情報をドメインツリーの設定情報に反映する反映工程とを適宜分散して実行する構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上のように、本願の開示する委任情報生成装置および委任情報生成方法は、ゾーン操作に有用であり、特に、ゾーン操作の時間を短縮することに適している。
【符号の説明】
【0131】
10 委任情報生成装置
11 通信部
20 記憶部
21 委任情報雛形管理DB
30 制御部
31 ゾーン名受付部
32 委任情報雛形取得部
33 委任情報生成部
34 ドメインツリー反映部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について条件の入力を受け付ける条件受付手段と、
前記ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得する雛形取得手段と、
前記条件受付手段によって受け付けられた条件を用いて前記雛形取得手段によって取得された雛形を実体化することで、前記ゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成手段と
を備えたことを特徴とする委任情報生成装置。
【請求項2】
前記委任情報生成手段によって生成された委任情報を前記ドメインツリーの設定情報に反映する反映手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の委任情報生成装置。
【請求項3】
前記雛形を予め記憶する雛形記憶手段をさらに備え、
前記雛形取得手段は、前記ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を、前記雛形記憶手段から取得することを特徴とする請求項1または2に記載の委任情報生成装置。
【請求項4】
前記雛形取得手段は、前記ゾーン操作の対象となるゾーンの親ゾーンから、ゾーン操作を適用すべき委任情報の雛形を取得する特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の委任情報生成装置。
【請求項5】
委任情報生成装置が、ドメインツリーに対して行われるゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成方法であって、
前記委任情報生成装置は、
ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について条件の入力を受け付ける条件受付工程と、
前記ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得する雛形取得工程と、
前記条件受付工程によって受け付けられた条件を用いて前記雛形取得工程によって取得された雛形を実体化することで、前記ゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成工程と
を含んだことを特徴とする委任情報生成方法。
【請求項6】
ドメインツリーに対して行われるゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成方法を委任情報生成装置に実行させる委任情報生成プログラムであって、
ドメインツリーに対して行われるゾーン操作について条件の入力を受け付ける条件受付手順と、
前記ゾーン操作に適用すべき委任情報の雛形を取得する雛形取得手順と、
前記条件受付手順によって受け付けられた条件を用いて前記雛形取得手手順よって取得された雛形を実体化することで、前記ゾーン操作に適合する委任情報を生成する委任情報生成手順と
を前記委任情報生成装置に実行させることを特徴とする委任情報生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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