説明

姿勢支持具およびその製造方法

【課題】表皮にシワが寄り難く、使用者への負担を軽減する。
【解決手段】姿勢支持具10は、上方に開放した凹部が形成されて、荷重を弾力的に支持するベース16,18と、このベース16,18と別体に構成され、該ベース16,18の上側を被覆するマット40,42とからなるサポート部12,14を備え、伏臥位にある使用者Mを前記マット40,42で覆われたサポート部12,14の上面で支持する。前記マット40,42は、前記ベース16,18より柔軟なクッション体と、このクッション体の上面全体に接合されて該クッション体を覆うように設けられたマット表皮とを備え、該マット40,42を前記凹部に合わせて変形した状態において、前記マット表皮における該凹部に対応する部位は、収縮する方向へ力が掛かるようにクッション体の上面に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伏臥位にある使用者を支持する姿勢支持具およびこの姿勢支持具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者を伏臥位で手術等の治療を行う場合、適当な姿勢で患者の体を支持するために各種の支持具が使用されている。支持具は、特定部位に掛かる体重を分散するため、軟質ウレタンフォームのような弾力性を備えた合成樹脂製のフォームが好適に採用されている(例えば、特許文献1参照)。また、支持具は、汗、血液等の体液や、薬液等がフォームに吸収されるのを防ぐため、フォームを塩化ビニルのような防水性を有する表皮で被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−148327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持具は、患者の体重が掛かってフォームが変形した際に、フォームと表皮とがずれて表皮にシワが寄ることがある。また、表皮を袋状に縫製する場合、縫合部に微細な凹凸が生じる。このため、支持具の上で長時間同じ姿勢でいると、表皮のシワや縫合部によって皮膚が圧迫されて縟瘡やみみず腫れ等の皮膚障害を起こす虞がある。特に、全身麻酔によって全く動くことができない患者は、自律的な姿勢の変更が不可能であるため、表皮のシワや縫合部のような微細な凹凸であっても皮膚障害を生じ易い。
【0005】
フォームと表皮とのズレに起因する表皮のシワは、フォームとそのフォームの変形に追従して変形できる表皮とを全面で貼り付けることで抑制できる。しかし、支持具のフォームは、伏臥位の患者を適当な姿勢で支持するために立体的な三次元形状となっているため、表皮を貼り付け難い。また、患者の荷重を支持するために支持力が要求されるフォームは、自在に曲げることができる程の柔軟性を有していないので、表皮の端縁同士を縫合して袋状にする場合に、表皮をフォームの全面に貼り付けてしまうと縫合することが難しくなる。そして、支持する患者の体表面に接触しない位置に表皮の縫合部を設定する場合には、表皮をフォームの全面に亘って接合すると表皮の縫合は更に難しくなる。
【0006】
ここで、フォームと表皮とを接合する方法としては、成形型に表皮をインサートして原料を発泡させる方法が知られている。また、成形型に接する表面に高密度層(いわゆるスキン層)を形成させてフォームと表皮とを一体的に形成する方法もある。しかし、モールド成形では、表皮付近のフォームが内側に較べて高密度となって硬くなるため、体に掛かる圧力を十分に分散できなかったり、変形した際にシワが生じたりして、皮膚障害を十分抑制することができない。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、使用者に負荷がかかり難い姿勢支持具およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に係る姿勢支持具は、
上方に開放した凹部が形成されて、荷重を弾力的に支持するベースと、このベースと別体に構成され、該ベースの上側を被覆するマットとからなるサポート部を備え、伏臥位にある使用者を前記マットで覆われた前記サポート部の上面で支持する姿勢支持具であって、
前記マットは、前記ベースより柔軟なクッション体と、このクッション体の上面全体に接合されて該クッション体の少なくとも上面を覆うように設けられた表皮とを備え、
前記マットを前記凹部に合わせて変形した状態において、前記表皮における該凹部に対応する部位は、収縮する方向へ力が掛かるように前記クッション体の上面に設けられたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、マットの上面においてクッション体と表皮とが全面で接合されているため、クッション体の変形によってクッション体と表皮とがずれないから、表皮とクッション体とがずれることに起因して表皮にシワが寄ることがない。更に、マットをベースの凹部に合わせて変形した状態において、表皮におけるベースの凹部に対応する部位が、収縮する方向へ力が掛かるようにクッション体の上面に設けられているため、マットの凹部に対応する部位に使用者の体重が掛かっても、収縮しようとしている表皮が更に伸ばされて表皮に大きなテンションが掛かった状態となるので、表皮にシワができ難い。従って、表皮のシワに由来する使用者への負荷を軽減することができるので、皮膚が圧迫されて生ずる縟瘡やみみず腫れ等の皮膚障害を抑制できる。
【0009】
請求項2に係る発明は、第1のベースおよびこの第1のベースの上側を覆う第1のマットを有し、使用者の胸部を支持する第1のサポート部と、第2のベースおよび前記第1のマットと別体に構成されて該第2のベースの上側を覆う第2のマットを有し、前記第1のサポート部から離間して配設されて使用者の腰部を支持する第2のサポート部とを備えたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、第1のマットと第2のマットとが別体に形成されるため、各マットが他方のマットの影響を受けないので、表皮にシワが生じ難い。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第1のサポート部および第2のサポート部は、位置調節可能に構成されたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、使用者の体格に合わせて第1のベースと第2のベースとの位置関係を調節できるので、使用者を適切に支持することができる。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記マットは、前記ベースの下に敷かれる基板に一端縁が折り曲げ可能に接続されたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、マットの一端部がベースの下に敷かれる基板に接続されているため、マットとベースとの位置決めが容易となる。
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項5に係る発明の姿勢支持具の製造方法は、
上方に開放した凹部が形成されたベースと、このベースと別体に構成され、該ベースの上側を被覆するマットとを備え、伏臥位にある使用者を前記マットで被覆された上面で支持する姿勢支持具の製造方法であって、
クッション体を、前記ベースの凹部に合わせて変形させ、
前記クッション体の凹面側となる一面全体に接着剤を付与し、
表皮を、前記クッション体の湾曲部位の頂部に前記接着剤で接合して、該湾曲部位の開放端を塞ぐように該表皮を頂部間に架け渡し、
前記頂部間に架け渡した前記表皮を伸ばしながら前記クッション体の湾曲部位に前記接着剤で接合して、前記マットを形成したことを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、ベースの凹部に合わせて変形させたクッション体における湾曲部位の頂部間に架け渡した表皮を、伸ばしながらクッション体の湾曲部位に接合することで、変形させたクッション体の凹部に対応する部位に表皮を伸ばして接合したマットを簡単に製造することができる。そして、得られた姿勢支持具によれば、クッション体を凹部に合わせて変形させた状態を基準としてクッション体に表皮が接合されているため、マットがベースの凹部に沿い易く、表皮にシワが生じ難い。また、マットの上面においてクッション体と表皮とが全面で接合されているため、クッション体の変形によってクッション体と表皮とがずれないから、表皮とクッション体とがずれることに起因して表皮にシワが寄ることがない。更に、マットにおける凹部に対応する部位の表皮がもともと伸ばした状態でクッション体に接合されているため、マットの凹部に対応する部位に使用者の体重が掛かっても、伸ばされた状態の表皮が更に伸ばされて大きなテンションが掛かった状態となるので、シワがよりでき難い。従って、表皮のシワに由来する使用者への負荷を軽減することができるので、皮膚が圧迫されて生ずる縟瘡やみみず腫れ等の皮膚障害を抑制できる。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記クッション体の一面に前記表皮を接合した後に、可撓性を有するクッション体を任意に変形させて、表皮の端縁を接合することを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、クッション体は、任意に変形させることができるので、一面に表皮を接合しても表皮の端縁を容易に接合することができる。すなわち、マットは、表皮の端縁処理の自由度が高いので、表皮の接合部を使用者に接触しない場所に設定する等、使用者に負荷をかけないように配慮した姿勢支持具のマットが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る姿勢支持具およびその製造方法によれば、表皮にシワが寄り難いので、使用者への負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例に係る姿勢支持具の斜視図である。
【図2】実施例の姿勢支持具の使用状態を示す側面図である。
【図3】マットを対応のベースから外した非被覆状態で示す実施例の姿勢支持具の斜視図であって、基板、ベースおよびマットを一部破断している。
【図4】図1におけるサポート部のX−X線断面図である。
【図5】ベースの製造工程を示す説明図である。
【図6】マットの製造過程を示す説明図である。
【図7】変更例に係る姿勢支持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る姿勢支持具およびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、図2に示すように、姿勢支持具10は、使用者Mを基準として方向を指称する。すなわち、伏臥位の使用者Mの前面が向く方向が「下」、使用者Mの背面が向く方向が「上」となり、使用者Mの頭が位置する方向を「前」、使用者Mの足が位置する方向を「後」、使用者Mの左手が位置する方向を「左」、使用者Mの右手が位置する方向を「右」と指称する。
【実施例】
【0017】
図2に示すように、姿勢支持具10は、手術台Tや治療台やベッド等に載置されて、伏臥位で横たわる使用者Mを主に上面で支持して適当な姿勢となるようサポートするものである。そして、姿勢支持具10は、使用者Mの胸部を支持する胸部サポート部(第1のサポート部)12と、使用者Mの腰部を支持する腰部サポート部(第2のサポート部)14とを備えている。ここで、実施例の姿勢支持具10では、胸部サポート部12で胸部における鎖骨から肋骨付近に対応する部分を支持し、腰部サポート部14で腰部における腸骨から大腿骨付近に対応する部分を支持するようになっている。両サポート部12,14は、基本的に同じ構成であって、上方に開放した凹部20,22が形成されて該サポート部12,14にかかる荷重を弾力的に支持するベース16,18と、このベース16,18と別体に構成されて、凹部20,22に合わせて変形させた状態でベース16,18の上側を被覆するマット40,42とを夫々備えている。
【0018】
図2に示すように、姿勢支持具10は、手術台Tに載置される基板60を備えており、この基板60の上に胸部サポート部12の第1のベース16および腰部サポート部14の第2のベース18が夫々載置されるようになっている。基板60は、矩形平板状に形成され、ウレタンフォーム等の発泡体やゴム等のエラストマからなる基材60aと、この基材60aを被覆するように設けられ、防水性を有する基板表皮60bとから構成されている(図3参照)。実施例の基板60では、基材60aとしての高硬度ウレタンフォーム(品番:EMO、イノアックコーポレーション製)が採用されている。基板表皮60bとしては、ポリ塩化ビニル等の防水性樹脂や、表面処理により防水性を備えた合成樹脂あるいはその他素材を用いることができ、柔軟であるとよい。実施例の基板60では、基板表皮60bとしてウレタンラミネートされたポリエステル(商品名:GalaxMC、小松精練株式会社製)が採用されている。このように、姿勢支持具10は、2つのベース16,18を載置する共通基盤となる基板60を備えているので、2つのベース16,18の位置を合わせ易い。
【0019】
図1および図3に示すように、胸部サポート部12は、基板60と別体に構成されて、左右方向に長尺なブロック状に形成された第1のベース16と、この第1のベース16の上側を覆う第1のマット40とを有している。また、腰部サポート部14は、第1のベース16と別体に構成された第2のベース18と、第1のマット40と別体に構成されて、第2のベース18の上側を覆う第2のマット42とを有している。胸部サポート部12および腰部サポート部14は、支持対象部位の違いにより高さや凹部20,22の形状等の違いがあるものの、ベース16,18およびマット40,42の基本的な構成は同じであるので、以下においてまとめて説明する。なお、特に区別をする場合は、胸部サポート部12の構成要素には「第1」を付し、腰部サポート部14の構成要素には「第2」を付す。
【0020】
前記ベース16,18は、上方に開放するように上部に形成された凹部20,22と、この凹部20,22の左右両側に設けられた周辺部24,24,26,26とを備えている。より具体的には、凹部20,22は、ベース16,18の左右方向中央に位置して該ベース16,18における前端縁から後端縁に亘って体幹方向に連通する溝状に形成されている。また、凹部20,22は、周辺部24,26から左右方向中央に向かうにつれて下方に湾曲するよう形成されている(図4参照)。第1のベース16は、第1の凹部20が両腕を頭側に伸ばした状態で両脇部分から前方に突き出る胸部前部に合わせて、前後方向および左右方向共に凹曲面となるよう形成されている。また、第1のベース16は、前面16bが下方から上方へ向かうにつれて後側へ湾曲するよう形成されると共に、後面16cが上下方向に略垂直に延在するよう形成されている。一方、第2のベース18は、第2の凹部22が腰部前部に合わせて形成されると共に、前面18bおよび後面18cが上下方向に略垂直に延在するよう形成されている。
【0021】
図3および図4に示すように、ベース16,18は、各ベース16,18での支持対象部位の形状に合わせた三次元形状に形成されて、弾力性を有するコア30と、このコア30を被覆するベース表皮36とから形成されている。コア30は、使用者Mの荷重を支持し得る剛性およびある程度の弾力性を併有し、コア30の下層を構成する下層コア34と、下層コア34より柔軟かつ低反発弾性に設定され、下層コア34の上面を被覆する上層コア32とからなる2層構造になっている。なお、コア30は、下層コア34と上層コア32とが接合されて一体化されている。下層コア34としては、ウレタンフォーム等の発泡体やゴム等のエラストマを用いることができ、実施例の下層コア34としては、基板60の基材60aと同一の高硬度ウレタンフォーム(品番:EMO、イノアックコーポレーション製)が採用されている。上層コア32としては、ウレタンフォーム等の発泡体が好適であって、実施例の上層コア32としては、スキン層のない低反発ウレタンフォーム(品番:ESN−2、イノアックコーポレーション製)が採用されている。
【0022】
前記ベース表皮36は、ベース16,18の上面16a,18a等の各面にパーツの端部を互いに縫合することで袋状に形成され、コア30全体を被覆するようになっている。ここで、ベース表皮36は、コア30に対して部分的または全体的に接合しても全く接合しなくてもよく、実施例のベース表皮36は、ベース16,18の上面16a,18aを構成するパーツが部分的にコア30の上面に接合されている。また、ベース表皮36においてパーツ同士の縫合部は、ベース16,18の稜縁部に位置するように基本的に設定されているが、ベース16,18の上側がマット40,42で覆われて該縫合部が使用者Mに直接接触することはないので、縫合部の位置については自由に設定することができる。ベース表皮36としては、ポリ塩化ビニル等の防水性樹脂や、表面処理により防水性を備えた合成樹脂あるいはその他素材を用いることができ、柔軟であるとよい。実施例のベース表皮36としては、基板表皮60bと同一のウレタンラミネートされたポリエステル(商品名:GalaxMC、小松精練株式会社製)が採用されている。
【0023】
図1および図3に示すように、マット40,42は、矩形平板状に形成されている。マット40,42は、ベース16,18の下に敷かれる基板60の端縁にファスナー64を介して着脱可能に接続され、ファスナー64または自身の途中から前後方向に折り曲げ可能になっている。ここで、胸部サポート部12は、第1のマット40が基板60の前端縁に接続されて、第1のマット40を伸ばして第1のベース16から外すことで、第1のベース16から退避した非被覆状態(図1の2点鎖線参照)とすることができ、この非被覆状態から第1のマット40を後方に折り曲げることで、第1のベース16の前面16bおよび上面16aが第1のマット40で被覆された被覆状態(図1の実線参照)とすることができる。このように、第1のマット40は、第1のベース16における使用者Mの頭側となる前側で接続されて、被覆状態において第1のベース16の前側から後側(腹側)に向けて折り返すように構成されている。腰部サポート部14は、第2のマット42が基板60の後端縁に接続されて、第2のマット42を伸ばして第2のベース18から外すことで、第2のベース18から退避した非被覆状態(図1の2点鎖線参照)とすることができ、この非被覆状態から第2のマット42を前方に折り曲げることで、第2のベース18の後面18cおよび上面18aが第2のマット42で被覆された被覆状態(図1の実線参照)とすることができる。このように、第2のマット42は、第2のベース18における使用者Mの足側となる後側で接続されて、被覆状態において第2のベース18の後側から前側(腹側)に向けて折り返すように構成されている。
【0024】
マット40,42は、ベース16,18の上面16a,18aの形状に合わせて変形可能な可撓性を有している。被覆状態において、マット40,42は、ベース16,18の上面16a,18aにおける凹部20,22と周辺部24,26とがなす凹凸形状や、第1のマット40であれば、第1のベース16の前面16bの湾曲形状、第2のマット42であれば、第2のベース18の後面18cの形状に合わせて変形している。また、マット40,42は、基板60に接続される接続端縁と反対側の自由端縁40c,42cが、被覆状態でベース16,18よりも延出するように(第1のマット40であれば、第1のベース16の後側に延出し、第2のマット42であれば、第2のベース18の前側に延出する)、前後寸法が余裕を持たせて設定されている。すなわち、サポート部12,14は、被覆状態においてベース16,18から延出するマット40,42の長さを、マット40,42の折り返し位置に応じて調節できるようになっている。マット40,42は、左右方向の寸法が、ベース16,18の左右方向の寸法より大きく設定されて、被覆状態においてマット40,42の左右の端縁がベース16,18の左右の端縁から夫々延出するようになっており、ベース16,18が使用者Mに当接しないようになっている。
【0025】
図4に示すように、マット40,42は、ベース16,18を構成する下層コア34より柔軟なクッション体44と、このクッション体44を被覆するよう設けられたマット表皮46(表皮)とから構成され、マット40,42全体としてベース16,18よりも柔軟になっている。ここで、マット40,42がベース16,18より柔軟とは、ベース16,18全体の剛性よりもクッション体44の剛性が低いことをいい、特にベース16,18における使用者Mの荷重を受けて姿勢を支持する部分に比べてクッション体44の剛性が低いことをいう。剛性とは、外部からの荷重に対して変形し難さの度合いをいい、圧縮試験の硬さ(JIS K6400−2:2004 D法)や、引張強さ(JIS K6400−5:2004 ダンベル2号)の大小で表される。クッション体44は、圧縮したのちに外力を取り除いた際にゆっくりと元に戻る低反発弾性を有しているのが望ましい。クッション体44は、ウレタンフォーム等の発泡体が好適であって、実施例のクッション体44としは、上層コア32と同一のスキン層のない低反発ウレタンフォーム(品番:ESN−2、イノアックコーポレーション製)が採用されている。マット表皮46は、クッション体44の厚み方向(上下方向)への変形に追従して変形可能な伸び率、防水性および伸縮性を備えた素材を用いるのがよく、ポリ塩化ビニル等の防水性樹脂や、表面処理により防水性を備えた合成樹脂あるいはその他素材を用いることができる。実施例のマット表皮46としては、基板表皮60bおよびベース表皮36と同一のウレタンラミネートされたポリエステル(商品名:GalaxMC、小松精練株式会社製)を採用している。
【0026】
前記マット40,42は、サポート部12,14で支持する使用者Mに接触する接触面40a,42a(被覆状態におけるベース16,18に当接する面の反対面)が、マット表皮46で少なくとも覆われるように構成され、実施例の姿勢支持具10ではクッション体44の全体がマット表皮46で覆われている。また、マット40,42は、該マット40,42における接触面40a,42a側となるクッション体44の上面全体に対してマット表皮46が接合されている。マット表皮46は、複数のパーツを縫合して袋状に形成され、マット40,42の接触面40a,42aは縫合部の無い1枚のパーツで構成されている。マット表皮46のクッション体44を覆うパーツは、接触面40a,42a側からベース16,18側となる下面40b,42bに折り返されて下面40b,42b側で他のパーツと縫合されている。なお、マット40,42は、接触面40a,42aにおいてクッション体44とマット表皮46とを接合することが必須であるが、他の面ではクッション体44とマット表皮46とが接合されていても、接合されていなくてもよく、実施例のマット40,42では縫合作業の容易化のために、マット40,42の下面40b,42bはクッション体44とマット表皮46とが接合されていない。
【0027】
図1に示すように、前記被覆状態において、マット表皮46は、マット40,42の接触面40a,42aを構成するマット表皮46の凹部20,22に対応する部位(左右方向の中央部位、以下の説明において接触中央部位46aという)が、凹部20,22に合わせて湾曲した形状となると共に、周辺部24,26に対応する左右方向の側部部位(以下の説明において接触側部部位46bという)が周辺部24,26に合わせて変形するようになっている。接触中央部位46aは、被覆状態において収縮する方向に力が掛かるようにクッション体44の上面に設けられている。ここで、マット表皮46に収縮する方向へ力が掛かる状態とは、マット表皮46の面方向(前後左右方向)に収縮する内部応力が残存する状態をいう。実施例のマット40,42は、クッション体44を変形させた状態を基準として、接触中央部位46aを伸ばしてクッション体44の上面に接合されている。ここで、マット40,42は、マット表皮46がマット表皮46に比べて厚くて重いクッション体44に接合されているので、接触中央部位46aによって収縮する方向に力が加わっても、クッション体44によって接触中央部位46aが伸びた状態が保たれ、凹部20,22に合わせてマット40,42を変形させた状態または平板状に伸ばした状態の何れにあっても、接触中央部位46aにテンションが掛かるようになっている。接触中央部位46aは、左右方向および前後方向にテンションが掛かっている。これに対して、接触側部部位46bは、積極的な力を加えない状態でクッション体44の上面に設けられている。すなわち、接触中央部位46aは、接触側部部位46bに較べて、伸ばされた状態でクッション体44に接合されている。実施例の第1のマット40は、第1のベース16の前面16bに対応する部位における接触面40aを構成するマット表皮46が、接触側部部位46bと同様に、積極的な力を加えない状態でクッション体44の上面に接合されている。実施例の第2のマット42は、第2のベース18の後面18cに対応する部位における左右方向の中央部位においても、接触面42aを構成するマット表皮46が伸ばしてクッション体44に接合されている。すなわち、第2のマット42では、第2のベース18を前方に移動させた場合も考慮して、接触面42aにおける前端縁から後端縁に亘って凹部22に対応する部位が形成されている。なお、実施例のマット40,42では、使用者Mに接触しないマット40,42の下面40b,42bを構成するマット表皮46は、クッション体44に対して接合されておらず、伸ばされた状態でもない。
【0028】
前記姿勢支持具10では、胸部サポート部12と腰部サポート部14とが離間して配設され、胸部サポート部12および腰部サポート部14を、互いに接離する方向(前後方向)にずらして位置調節可能に構成されている。なお、姿勢支持具10では、第1のベース16と第2のベース18との間に、使用者Mの上腹部が位置するようになっている。また、被覆状態におけるマット40,42の自由端縁40c,42c(基板60に接続される接続端縁と反対側の端縁)は、ベース16,18から延出して第1のベース16と第2のベース18の間に位置するようになっている(図2参照)。すなわち、第1のマット40の自由端縁40cは、第1のベース16の後端縁より後側かつ第2のベース18の前端縁より前側まで延出し、第2のマット42の自由端縁42cは、第2のベース18の前端縁より前側かつ第1のベース16の後端縁より後側まで延出するようになっている。
【0029】
(製造方法)
次に、前述のように構成された実施例に係る姿勢支持具10の製造方法について、図5および図6を参照して説明する。
【0030】
姿勢支持具10は、基板60、第1のベース16、第2のベース18、第1のマット40および第2のマット42の夫々が別々に製造される。なお、基板60は、矩形平板状に形成された基材60aを、基板表皮60bで被覆して形成される。
【0031】
次に、ベース16,18の製造工程について説明する。なお、第1のベース16および第2のベース18は同様の製造方法で製造される。先ず、コア30およびベース表皮36を準備する。コア30は、得るべきベース16,18の凹部20,22等の三次元形状に合わせて形成された下層コア34の上面全体に接着剤を塗布し、平板状の上層コア32を下層コア34の上面形状に沿わせて変形させつつ接着する。次に、コア30の各面に合わせて予めカットされたベース表皮36のパーツを表面側が裏面側となるよう反転させた状態で各パーツの端縁同士をミシンで縫合し、開口部を残して袋状に成形する。袋状に成形したベース表皮36を再度反転させて開口部にファスナーを縫着する。そして、開口部からコア30を挿入してファスナーを閉じることでコア30をベース表皮36に収容したベース16,18が得られる。ここで、袋状に成形されたベース表皮36は、コア30と接合させていないため引き伸ばすことができ、コア30が可撓性を有していなくても容易に収容することができる。
【0032】
次に、マット40,42の製造工程について説明する。なお、第1のマット40および第2のマット42は同様の製造方法で製造される。マット40,42は、矩形平板状のクッション体44およびパーツに分かれたマット表皮46を準備する準備工程、クッション体44とマット表皮46とを接合する接合工程、マット表皮46の端縁を処理する処理工程を経て形成される。
【0033】
前記接合工程では、準備工程で準備されたクッション体44とマット表皮46とを接合する。接合工程では、ベース16,18における凹部20,22および周辺部24,26が設けられた上面16a,18a形状に合わせた成形面72を備えると共に、成形面72に設けられた貫通孔74から気体を吸引し得る型70を用いる。成形面72は、凹部20,22に対応した型凹部76と周辺部24,26に対応した型周辺部78とを備えている。先ず、クッション体44を型70の成形面72にセットして、貫通孔74からクッション体44と成形面72との間の気体を吸引することで、クッション体44を成形面72の形状に合わせて変形させる(図6(a)参照)。クッション体44を成形面72の形状に合わせて変形させることで、クッション体44には、凹部20,22に合わせて湾曲した湾曲部位50が形成されると共に、周辺部24,26に合わせた頂部54が形成される。実施例の第1のマット40の接合工程では、第1のベース16の前面16bに対応する部位のクッション体44は、周辺部26をそのまま延在させて頂部54となるよう変形されている。実施例の第2のマット42の接合工程では、クッション体44の前端縁から後端縁に亘って第2の凹部22を延在させた形状に合わせて湾曲部位50となるよう変形され、湾曲部位50の左右両側が頂部54となるよう変形されている。
【0034】
次に、変形させたクッション体44の上面(凹面側となる一面)全面に接着剤を付与する。次に、接着剤が付与されたクッション体44の上面に、湾曲部位50の上方(開放端)を塞ぐように湾曲部位50の頂部54間にマット表皮46を略平面となるように架け渡して、クッション体44における湾曲部位50の頂部54にマット表皮46を当接させて接合する(図6(b)参照)。すなわち、変形させたクッション体44における下方に凹んだ部位を除いて、クッション体44とマット表皮46とが接合される。
【0035】
次に、成形面72の貫通孔74から気体を吸引すると、クッション体44の湾曲部位50に、湾曲部位50の上方に位置する頂部54間に架け渡されたマット表皮46が伸ばされながら接合される(図6(c)参照)。この際、湾曲部位50においてより下方に凹んだ部分程、マット表皮46が大きく伸ばされた状態で接合される。
【0036】
前記処理工程では、クッション体44の上面全面で接合されたマット表皮46の端縁を処理する。先ず、上面全面にマット表皮46が接合されたクッション体44を型70から取り出して、クッション体44を、変形させる前の平板状に復元させる。次に、クッション体44に接合されたマット表皮46の余った端縁と、クッション体44の下面に合わせて形成されたマット表皮46の端縁とをクッション体44の下面において縫合する。この際、可撓性を有するクッション体44を任意に変形させることができるから、マット表皮46の端縁同士をミシンで縫合できる。実施例では、クッション体44における上面以外の面では、マット表皮46とクッション体44とは接合されていない。処理工程によって、クッション体44の全体がマット表皮46で被覆される。
【0037】
次に、基板60と、第1のベース16と第2のベース18と第1のマット40と第2のマット42とを組み合わせる。基板60の前端縁に前記第1のファスナー(図示せず)を介して第1のマット40の前端縁を取付け、基板60の後端縁に前記第2のファスナー64を介して第2のマット42の後端縁を取付ける。そして、接着剤を用いて、前端縁を揃えて基板60の上面に第1のベース16を固定する。第2のベース18を基板60の上面に載置して、姿勢支持具10が完成する。
【0038】
このように、実施例の姿勢支持具10によれば、マット40,42において、ベース16,18の凹部20,22に合わせてクッション体44を変形させた状態を基準として、クッション体44にマット表皮46が接合されているため、マット40,42が凹部20,22の形状に沿い易いから、マット表皮46にシワが生じ難い。また、マット40,42の上面40a,42aにおいて、クッション体44とマット表皮46とが全面で接合されているため、クッション体44の変形によってクッション体44とマット表皮46とがずれないから、マット表皮46とクッション体44とがずれることに起因してマット表皮46にシワが寄ることがない。また、マット40,42が、接触中央部位46aをもともと伸ばした状態でクッション体44の上面に接合することで、接触中央部位46aが収縮する方向へ力が掛かるよう構成されているため、荷重が掛かってクッション体44が変形しても、伸ばされた状態のマット表皮46が更に伸ばされることになる。すなわち、接触中央部位46aに大きなテンションが掛かった状態となるため、接触中央部位46aにシワができ難い。従って、マット表皮46のシワによって皮膚が圧迫されて生ずる皮膚障害を抑制できる。
【0039】
実施例の姿勢支持具10によれば、第1のマット40および第2のマット42が別体に形成されているため、一方のマットが他方のマットの変形による影響を受けず余計な力が掛からないからマット表皮46にシワが生じ難い。また、姿勢支持具10は、胸部サポート部12と腰部サポート部14とが、第1のベース16の後面16cと第2のベース18の前面18bとの間に、使用者Mの上腹部に対応する部位を空けて配置されているため、使用者Mの上腹部が圧迫されない。また、姿勢支持具10は、第1のベース16と第2のベース18の間から上腹部を触診して腹圧を確認することができる。
【0040】
実施例の姿勢支持具10によれば、第2のベース18が基板60に対して固定されていないため、第2のベース18の位置を前後にずらすことで、使用者Mの体格に合わせて第1のベース16と第2のベース18との位置関係を調節できる。また、実施例の姿勢支持具10によれば、第2のマット42における接触面42aの前後方向の全域に亘って凹部に対応する部位が形成されているため、第2のベース18の位置を前後にずらした際にも、第2のベース18における第2の凹部22の形状に第2のマット42が沿い易い。実施例の姿勢支持具10によれば、マット40,42が基板60に折り曲げ可能に接続されているから、ベース16,18に対して、マット40,42を容易に位置決めできる。更に、姿勢支持具10は、マット40,42が、基板60の端縁に、ファスナー64を介して夫々取付けられているため、マット40,42を取り外して洗浄や取り換えができるから衛生的である。
【0041】
実施例の姿勢支持具10によれば、マット40,42の自由端縁40c,42cが第1のベース16および第2のベース18の間の使用者Mの上腹部に対面する部位に位置するため、マット40,42の自由端縁40c,42cが使用者Mに圧着して皮膚が圧迫されるのを抑制できる。また、姿勢支持具10は、基板60を備えているから、運搬が容易であると共に使用時の設置がし易い。姿勢支持具10は、第1のマット40および第2のマット42が基板60の前端縁および後端縁に夫々接続されているため、接続する部分が使用者Mに当接し難く、皮膚障害が起きにくい。
【0042】
実施例の姿勢支持具10の製造方法によれば、凹部20,22に合わせて変形させたクッション体44における湾曲部位50の頂部54間に架け渡したマット表皮46を、伸ばしながらクッション体44の湾曲部位50に接合することで、変形させたクッション体44の凹部20,22に対応する部位にマット表皮46を伸ばして接合したマット40,42を形成できる。実施例の姿勢支持具10の製造方法によれば、変形させたクッション体44の上面全面に接着剤を付与するから、マット40,42の接触面40a,42a全面でクッション体44とマット表皮46とが接合されるから、マット表皮46とクッション体44とがずれることに起因してマット表皮46にシワが寄ることがないマット40,42を形成できる。
【0043】
実施例の姿勢支持具10の製造方法によれば、クッション体44を型70から取り外して、クッション体44を任意に変形させ得る状態でマット表皮46の端縁を縫合するから、クッション体44を変形させてマット表皮46の端縁をミシンで容易に縫合できる。また、凹部20,22がベース16,18における上面16a,18aの前端縁から後端縁に亘って形成される構成であるため、湾曲部位50が変形させたクッション体44の一端縁まで延在するから、マット表皮46を湾曲部位50に接合し易い。
【0044】
(変更例)
前述した実施例に限定されず、以下のように変更することもできる。
(1)実施例では、サポート部として胸部サポート部と腰部サポート部とを備える構成を採用するが、サポート部が1つまたは3つ以上の構成であってもよい。
(2)実施例では、第1のベースと第2のベースとが別体として形成された構成を採用するが、一体に形成されていてもよく、3つ以上であってもよい。
(3)実施例では、第1のマットと第2のマットとが別体として形成された構成を採用するが、一体に形成されていてもよく、3つ以上であってもよい。また、1つのマットで、2以上のベースの上側を被覆する構成であってもよい。
(4)実施例では、使用者の胸部を収容する第1の凹部と使用者の腰部を収容する第2の凹部を採用するが、凹部の形状は上方に開放されて伏臥位にある人体の対象部位を収容するものであればよい。
(5)実施例では、第1のベースの前面および上面を被覆する第1のマットを採用すると共に、第2のベースの後面および上面を被覆する第2のマットを採用するが、マットはベースの上側を被覆する構成であればよく、例えば、ベースの上面のみを被覆する構成であってもよい。
(6)実施例では、基板を備える姿勢支持具を採用するが、基板のない構成であってもよい。この場合、第1のマットおよび第2のマットが第1のベースおよび第2のベースに折り曲げ可能に接続された構成であってもよい。
(7)実施例では、第1のマットおよび第2のマットが基板に第1のファスナーおよび第2のファスナーを介して折り曲げ可能に接続される構成を採用するが、釦等の留め具を介して接続されていてもよく、折り曲げ可能に接続されていれば縫合されていてもよい。また、マットと基板が接続されていない構成であってもよい。
(8)実施例では、第1のベースを基板に固定して第2のベースを基板に移動可能に載置する構成を作用するが、第1のベースを基板に移動可能に載置して第2のベースを基板に固定してもよく、両ベースを共に基板に固定しても両ベースを共に基板に移動可能に載置してもよい。この際、移動可能に設定したベースを被覆するマットの接触面に、移動させたベースの凹部を考慮して前端縁から後端縁に亘って凹部に対応する部位を設けると、ベースを移動させた場合も凹部にマットが沿い易い。
(9)厚みや前後方向の寸法の異なるベース複数用意して、使用者の体格に合わせてベースを交換してもよい。この場合、マットの接触面における前端縁から後端縁に亘ってマット表皮が収縮する方向へ力が掛かった状態でクッション体に接合される凹部に対応する部位を設けることで、厚みや前後方向の寸法の異なるベースであっても、マットがベースの凹部に沿い易く、マット表皮にシワが寄り難い。
(10)図7に示すように、変更例の姿勢支持具80のように、第1のベース16と第2のベース18との間に、第1のベース16の後面16cおよび第2のベース18の前面18bに当接する位置調節部材90を設けてもよい。位置調節部材90は、使用者の上腹部に対面する部位を空けるように配置される。位置調節部材90を設けることで、第1のベース16と第2のベース18との位置決めが容易となる。また、サイズの異なる位置調節部材90を用意することで、体格の異なる使用者に適合させることができる。また、使用状態において、位置調節部材90を取り外し可能に構成することで、位置調節部材90を取り外して第1のベース16と第2のべース18との間から使用者Mの上腹部を触診することができる。なお、変更例の姿勢支持具80に関して、実施例の姿勢支持具10の構成要素と同一の要素については、同一の符号を付した。
(11)実施例では、成形面の貫通孔から吸引する型を用いてクッション体を変形させたが、上方から圧力をかけてクッション体を変形させる型を用いてもよい。また、成形面に粘着力の低いテープを設置して、変形させたクッション体を接着させて仮固定したり、成形面に面ファスナーのフック面側を設置して、引っ掛けるようにして変形させたクッション体を仮固定してもよい。また、自重により変形し得る程度の柔軟なクッション体を用いてもよい。また、クッション体をベースの上面に載置してクッション体を変形させてもよい。
(12)実施例では、マット表皮を伸ばしてクッション体に接合することで、マット表皮が収縮する方向へ力が掛かかるようにしたが、クッション体にマット表皮を接合した後でマット表皮を熱収縮させて、マット表皮が収縮する方向へ力を掛けるようクッション体の上面に設けてもよい。この場合、マットの凹部に対応する部位に使用者の体重が掛かってもマット表皮が伸ばされることで、マット表皮に大きなテンションが掛かった状態となるため、マット表皮にシワができ難い。
【符号の説明】
【0045】
10 姿勢支持具,12 胸部サポート部(第1のサポート部)
14 腰部サポート部(第2のサポート部),16 第1のベース
18 第2のベース,20 第1の凹部,22 第2の凹部
40 第1のマット,42 第2のマット,44 クッション体
46 マット表皮(表皮),50 湾曲部位,54 頂部,60 基板,M 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開放した凹部が形成されて、荷重を弾力的に支持するベースと、このベースと別体に構成され、該ベースの上側を被覆するマットとからなるサポート部を備え、伏臥位にある使用者を前記マットで覆われた前記サポート部の上面で支持する姿勢支持具であって、
前記マットは、前記ベースより柔軟なクッション体と、このクッション体の上面全体に接合されて該クッション体の少なくとも上面を覆うように設けられた表皮とを備え、
前記マットを前記凹部に合わせて変形した状態において、前記表皮における該凹部に対応する部位は、収縮する方向へ力が掛かるように前記クッション体の上面に設けられた
ことを特徴とする姿勢支持具。
【請求項2】
第1のベースおよびこの第1のベースの上側を覆う第1のマットを有し、使用者の胸部を支持する第1のサポート部と、第2のベースおよび前記第1のマットと別体に構成されて該第2のベースの上側を覆う第2のマットを有し、前記第1のサポート部から離間して配設されて使用者の腰部を支持する第2のサポート部とを備えた請求項1記載の姿勢支持具。
【請求項3】
前記第1のサポート部および第2のサポート部は、位置調節可能に構成された請求項2記載の姿勢支持具。
【請求項4】
前記マットは、前記ベースの下に敷かれる基板に一端縁が折り曲げ可能に接続された請求1〜3の何れか一項に記載の姿勢支持具。
【請求項5】
上方に開放した凹部が形成されたベースと、このベースと別体に構成され、該ベースの上側を被覆するマットとを備え、伏臥位にある使用者を前記マットで被覆された上面で支持する姿勢支持具の製造方法であって、
クッション体を、前記ベースの凹部に合わせて変形させ、
前記クッション体の凹面側となる一面全体に接着剤を付与し、
表皮を、前記クッション体の湾曲部位の頂部に前記接着剤で接合して、該湾曲部位の開放端を塞ぐように該表皮を頂部間に架け渡し、
前記頂部間に架け渡した前記表皮を伸ばしながら前記クッション体の湾曲部位に前記接着剤で接合して、前記マットを形成した
ことを特徴とする姿勢支持具の製造方法。
【請求項6】
前記クッション体の一面に前記表皮を接合した後に、可撓性を有するクッション体を任意に変形させて、表皮の端縁を接合する請求項5記載の姿勢支持具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−56042(P2013−56042A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196330(P2011−196330)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(592019213)学校法人昭和大学 (23)
【Fターム(参考)】