説明

姿勢調整装置及び昇降装置

【課題】作業対象物の位置や姿勢を容易に調整できるようにする。
【解決手段】対向する一対のフレーム部材11,11に掛架したベルト15と、載置面23aに作業対象物を載置可能な載置台23と、載置台23の下方において、互いに並行に延設した一対の突設部21をそなえる突設対21,21とをそなえた作業台20とをそなえ、突設対21,21をベルト15の掛架方向と直交させた状態で、作業台20をベルト15上に載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、作業対象物を所定位置に移動させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重量物を持ち上げて所定位置に配置するための省力機器としてのハンドリフターが知られている(例えば、下記特許文献1)。
ハンドリフターは、例えば、台車上に昇降可能な荷台をそなえて構成され、荷台に搬送対象物を載置した状態で台車により搬送し、昇降機能により搬送対象物を所望の高さまで持ち上げることにより、搬送対象物を所望位置まで移動させる。
【0003】
例えば、ラックマウントシステムのサーバシステムの組み立てに際して、ラックマウントサーバをラック内の所定位置に挿入して取り付ける際に、上述したハンドリフターが用いられる。すなわち、ハンドリフターの荷台上にラックマウントサーバを載置し、荷台を昇降させてラックの挿入スペースの開口の高さまで持ち上げて位置決めした後、荷台上をラックマウントサーバを滑らせて、ラック内に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−194132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、一般に、ラックマウントシステムにおいては、ラックの挿入スペースの開口において、上下左右のいずれの方向においても数mm程度のクリアランスしかない。従って、ラック内にラックマウントサーバをスムーズに挿入する際には、ラックマウントサーバの位置や姿勢をラックの開口に合わせて調整する必要がある。
しかしながら、従来のハンドリフターにおいては、荷台に載置した搬送対象物の姿勢を随意に変えることが困難である。例えば、ラック前の床面に凹凸があり、その床面の凹凸によりハンドリフターに傾きが生じた場合に、荷台上のラックマウントサーバの姿勢(角度)を、ラックの開口に合わせて変えることができない。これにより、ラックマウントサーバをラック内に挿入することが困難となるという課題がある。
【0006】
本件の目的の一つは、作業対象物の位置や姿勢を容易に調整できるようにすることである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、この姿勢調整装置は、対向する一対のフレーム部材に掛架したベルトと、載置面に作業対象物を載置可能な載置台と、該載置台の下方において、互いに並行に延設した一対の突設部をそなえる突設対とをそなえた作業台とをそなえ、該突設対を該ベルトの掛架方向と直交させた状態で、該作業台を該ベルト上に載置する。
また、この昇降装置は、対向する一対のフレーム部材と該フレーム部材に掛架したベルトとをそなえるベース装置と、載置面に作業対象物を載置可能な載置台と、該載置台の下方において、互いに並行に延設した一対の突設部をそなえる突設対とをそなえた作業台と、該ベース装置を昇降可能な昇降機構とをそなえ、該突設対を該ベルトの掛架方向と直交させた状態で、該作業台を該ベルト上に載置する。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、ベルト上において、作業対象物の姿勢を少ない力で容易に変更することができ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態の一例としての姿勢調整装置の斜視図である。
【図2】実施形態の一例としての姿勢調整装置の正面図である。
【図3】実施形態の一例としての姿勢調整装置の側面図である。
【図4】実施形態の一例としての姿勢調整装置にワークを載置した状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態の一例としての姿勢調整装置を移動装置に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態の一例としての姿勢調整装置におけるワークの姿勢調整手法を説明するための図である。
【図7】実施形態の一例としての姿勢調整装置におけるワークの姿勢調整手法を説明するための図である。
【図8】実施形態の一例としての姿勢調整装置におけるワークの姿勢調整手法を説明するための図である。
【図9】実施形態の一例としての姿勢調整装置の変形例を示す図である。
【図10】実施形態の一例としての姿勢調整装置の変形例を示す図である。
【図11】実施形態の一例としての姿勢調整装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本姿勢調整装置に係る実施の形態を説明する。
図1は実施形態の一例としての姿勢調整装置の斜視図、図2はその正面図、図3はその側面図である。又、図4は実施形態の一例としての姿勢調整装置1にワーク2を載置した状態を示す斜視図、図5はその姿勢調整装置1を移動装置30に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0011】
本実施形態の一例としての姿勢調整装置1は、図1に示すように、ベース10と作業台20とをそなえている。
ベース10は、ベース板13,ベースシャフト(フレーム部材)11,支柱12及びベルト15をそなえている。そして、ベース板13の一方の面(以下、表面という)13aに、ベースシャフト11,支柱12及びベルト15が配設されている。
【0012】
矩形もしくはほぼ矩形のベース板13における対向する一対の辺に沿って、それぞれベースシャフト11が配置されている。すなわち、ベース板13の表面13a上において、一対のベースシャフト11,11が互いに平行に配置されている。これらのベースシャフト11,11は、ベース板13の表面13aの各隅から突出する一対の支柱12,12によって各端部付近を固定されている。これにより、各ベースシャフト11,11は、ベース板13の表面13aに対して、所定の距離を隔てて平行に配置されている。
【0013】
対向するベースシャフト11,11上には、図2に示すように、それぞれ1以上(図1に示す例では2つ)のベルト15,15が所定の間隔をおいて架渡されている。これらのベルト15,15は、ベースシャフト11,11の軸方向において均等に配置されることが望ましい。
各ベルト15は、同じ長さに形成され、図2に示すように、それぞれ対向するベースシャフト11,11の両方の上部に、若干のたるみをもたせて配置されている。又、各ベルト15の各両端部は、それぞれベースシャフト11上から垂下され、例えば、ベース板13におけるベースシャフト11の下方位置付近に固定されている。なお、ベルト15は、例えば、ポリエステル等の非伸縮性材で形成されることが望ましい。
【0014】
また、各ベルト15は、ベースシャフト11,11間においてベース板13の表面13aに接触することのない長さとする。すなわち、各ベルト15の長さは、後述する作業台20をこのベルト15上に載置した際に、作業台20がベース板13の表面13aに接触することがない程度のたるみを持つ長さとする。
本実施形態においては、2つのベルト15がそなえられているが、これに限定されるものではなく、3以上のベルト15をそなえてもよく、細い紐状のベルト15を複数そなえてもよい。又、複数のベルト15の代わりに1つの幅広のベルト15をそなえてもよい。
【0015】
作業台20は、天板23,作業台シャフト21,ホルダ22及びスライドレール25をそなえている。
天板23は、作業対象物であるワーク2が載置される載置台であり、矩形もしくはほぼ矩形の板状部材である。この天板23における、少なくともその対向する一対の辺の長さは、ベース10のベースシャフト11,11間の距離よりも短い。なお、以下、天板23における、このベース10のベースシャフト11,11間の距離よりも短い長さを有する一対の辺を摺動方向辺といい、又、この摺動方向辺に沿った方向を摺動方向(図1参照)という。更に、以下、天板23における摺動方向辺と直交する辺を案内方向辺といい、この案内方向辺に沿った方向を案内方向(図1参照)という場合がある。
【0016】
天板23の一方の面(載置面:以下、上面という)23aには、スライド機構25が取り付けられている。
スライド機構25は、天板23の上面23aと載置されるワーク2との間の摩擦係数を低減し、上面23a上をワーク2が、少なくとも案内方向にスムーズに移動(摺動)できるようにするものである。すなわち、図4に示すように、このスライド機構25上にワーク2が載置される。
【0017】
本実施形態においては、スライド機構25として、図1に示すように、1以上(図1に示す例では3つ)のスパホイールが案内方向に沿って配置されている。以下、スライド機構25をスパホイール25と表す場合がある。
スパホイール25は、複数の同径ホイールを、それぞれの回転軸が平行となるように、各回転軸と直交する方向に連続して配置したものである。このスパホイール25においては、各ホイールを回転自在に構成することにより、これらのホイール上において、ワーク2をホイールの並び方向に沿って、少ない力で移動させることを可能とする。
【0018】
本実施形態においては、天板23の上面23aにおいて、その摺動方向辺に沿って、等間隔に3つのスパホイール25が配置されている。
なお、本実施形態においては、スライド機構25として3本のスパホイールをそなえた例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、2本以下もしくは4本以上のスパホイール25をそなえてもよい。又、スパホイールに代えて、スライドレールや表面に低摩擦処理を施した部材を用いる等、適宜変更して用いることができる。
【0019】
また、天板23における各案内方向辺には、矩形の板状部材であるガイド壁24が上面23aに対して垂直にそれぞれ立設している。このガイド壁24は、スライドレール25より高く形成されており、これにより、スライドレール25上に載置されたワーク2が案内方向辺から落下することを阻止する。
天板23の下面23bには、各案内方向辺付近の端部付近において、案内方向辺に沿ってそれぞれ作業台シャフト(突設部)21が延設されている(図2,図3参照)。これにより、下面23bにおいて、案内方向辺に沿って、一対の作業台シャフト(突設対)21,21が互いに平行に配置されている。これらの作業台シャフト21,21は、天板23の下面23bの各隅から突出するホルダ22,22によって各端部付近を固定されている。これにより、各作業台シャフト21,21は、ベース板13の表面13aに対して、所定の距離を隔てて平行に配置されている。
【0020】
作業台シャフト21は円柱状の部材であり、その表面には、表面粗さを低くする等の低摩擦処理を施されている。この作業台シャフト21に施す低摩擦処理としては、具体的には、例えば、アルマイト処理が行なわれている。これにより、作業台シャフト21と前述したベース10のベルト15との摩擦抵抗が小さくなり、ベルト15上において、作業台20を小さな力で摺動方向に自由に移動させることができる。
【0021】
なお、作業台シャフト21に施す低摩擦処理としては、上述したアルマイト処理に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。例えば、摩擦係数の低い素材を用いた樹脂コーティングを行なってもよい。又、作業台シャフト21を支持するホルダ22,22にベアリング等の軸受けをそなえ、作業台シャフト21をこの軸受けにより回転自在に支持してもよい。これにより、ベース10のベルト15に応じて作業台シャフト21を従回転させ、ベルト15上において作業台20を小さな力で摺動方向に自由に移動させることができる。
【0022】
姿勢調整装置1は、図5に示すように、移動装置30上に取り付けられることにより昇降装置3を形成する。移動装置30は、姿勢調整装置1を搬送し、この姿勢調整装置1を所定の位置に配置するものである。移動装置30は、図5に示すように、姿勢調整装置1を水平方向において移動させる水平移動機構31と、姿勢調整装置1を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構(昇降機構)32とをそなえる。
【0023】
図5に示す例においては、水平移動機構31として、フレーム301の底面に複数のタイヤ31をそなえており、このタイヤにより、姿勢調整装置1を任意の水平位置に移動させることができる。又、複数のタイヤ31のうち、少なくとも1のタイヤ31にはタイヤ31の回転を抑止するロック機構302がそなえられており、これにより、移動装置30(姿勢調整装置1)を水平方向における任意の位置に固定することができる。
【0024】
鉛直移動機構32は、姿勢調整装置1を昇降させて、任意の高さ位置に移動させるものである。図5に示す例においては、鉛直移動機構32は、X字状に交差するリンク部材303,303を一対そなえたパンタグラフ状のフレーム304と、このフレーム304を伸縮させる図示しない伸縮装置とをそなえたパンタグラフジャッキが用いられている。伸縮装置は、例えば、ネジ式のジャッキである。そして、この伸縮装置がフレーム304を伸縮させ、任意の位置で固定することにより、姿勢調整装置1を任意の高さに配置することができる。
【0025】
なお、移動装置30の構成は、これらに限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。例えば、垂直移動機構32としては、油圧や空気圧を用いたジャッキを用いてもよく、実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図6〜図8は、本姿勢調整装置1におけるワーク2の姿勢調整手法を説明するための図であり、姿勢調整装置1上にワーク2を載置した状態を摺動方向辺側から示す側面図である。
【0026】
上述の如く構成された姿勢調整装置1においては、図1,図2に示すように、ベース10のベルト15上に、作業台20を、各作業台シャフト21がベルト15の掛架方向に直交するように載置する。すなわち、ベース10のベルト15上に、作業台20を、各作業台シャフト21がベースシャフト11と平行になるように載置する。
そして、図4,図6に示すように、作業台20のスライドレール25上に、ワーク2を、載置する。
【0027】
作業台20上に載置されたワーク2は、案内方向に対してはスライドレール25によりスムーズに自在に移動することができる。
また、摺動方向に対しても、作業台20が摩擦係数の低い作業台シャフト21を介してベース10のベルト15上を滑動することにより、ワーク2(作業台20)はスムーズにベルト15上を自在に移動することができる。
【0028】
また、ベルト15上においてワーク2(作業台20)が傾いている場合には、図7に示すように、作業者が、ワーク2の高くなっている箇所を、その上方から押下するように荷重を印加する(矢印P1参照)。これにより、ベルト15上を作業台シャフト21が滑動し、作業台20における押下された側が下がり、ベルト15上におけるワーク2の姿勢が変わる。すなわち、ワーク2の傾きを容易に変更することができる。
【0029】
例えば、ワーク2がラックマウントサーバであって、このワーク2をラック内に挿入する際には、移動装置30によりワーク2を水平方向及び垂直方向に移動させ、ワーク2をラックの開口前に配置する。
ここで、ラックマウントサーバ前の床面に凹凸があり、本姿勢調整装置1が斜めになった場合であっても、作業者は、ワーク2において高くなっている部位を押下することにより、ワーク2を回動させてその姿勢を容易に修正し、ラックの開口に合う位置に位置決め(配置)することができる。
【0030】
また、ワーク2の位置が、ラックの開口に対して摺動方向においてずれている場合等、単に、ワーク2の傾きを調整しただけではラックの開口にワーク2を合わせることができない場合がある。このような場合には、図8に示すように、作業者は、ワーク2(作業台20)に対して摺動方向への荷重印加を行なう(矢印P2参照)。これにより、ベルト15上を作業台20が作業台シャフト21を介して滑動し、ワーク2の回転支点を容易に移動させることができる。このように、ワーク2の回転支点を移動させた状態で、再度、図7に示したように、ワーク2を回動させてその姿勢を容易に修正する。これにより、ラックの開口に合う位置に位置決めすることが可能となる。
【0031】
そして、ワーク2をラックの開口に合わせて配置した後に、ワーク2を案内方向に押すことにより、スライドレール25上をワーク2が滑動し、ワーク2をラック内に容易に挿入することができる。
このように、実施形態の一例としての姿勢調整装置1によれば、ベース10のベルト15上において、ワーク2(作業台20)の姿勢を少ない力で容易に変更することができ、作業効率を向上させることができる。
【0032】
特に、ベース10のベルト15上において、ワーク2における高くなっている部位を押下するだけで、ベルト15上を作業台シャフト21が滑動し、容易にワーク2の姿勢を変えることができる。
また、ワーク2(作業台20)に対して摺動方向への荷重印加を行なうことにより、ベルト15上を作業台20が作業台シャフト21を介して滑動させることができ、これによりワーク2の回転支点を容易に移動させることができる。
【0033】
さらに、スライド機構25上にワーク2を載置することにより、案内方向にワーク2を容易に移動させることができ、これによっても作業効率が向上する。
そして、開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図9〜図11は実施形態の一例としての姿勢調整装置1の変形例を示す図であり、図9はその斜視断面図である。又、図10は図9のA矢視図であり、図11は実施形態の一例としての姿勢調整装置1のベース10と作業台20とを分離した状態を示す斜視断面図である。
【0034】
本変形例においては、スライド機構25上でワーク2を案内方向に移動させた際に、重心の偏りによって作業台20が摺動方向を軸に回転してしまうことを抑止する、回転抑止機構40をそなえる。
回転抑止機構40は、図9〜図11に示すように、ベース板13の表面13aから突設するブロック16と、天板23の下面23bから突出する一対の挟持板26a,26bとをそなえている。
【0035】
図9及び図11に示す例においては、ブロック16は、ベース板13の案内方向におけるほぼ中央位置において、突設する直方体形状をそなえている。このブロック16は、図11に示すように、ベース板13の摺動方向辺に平行な、互いに対向する垂直面16a,16bをそなえるとともに、天板23の下面23bに対向する平面16cをそなえている。
【0036】
そして、前述の如く作業台20をベース10のベルト15上に載置した際に、上述した挟持板26aと挟持板26bとの間の空間にブロック16が嵌合される。又、挟持板26a,26bの間にブロック16が嵌合された際においては、ブロック16の垂直面16aが挟持板26aにおける面261aに当接し、ブロック16の垂直面16bが挟持板26bにおける面261bに当接する。これにより、作業台20はその案内方向への移動は抑止される一方で、摺動方向への移動は妨げられることがない。
【0037】
また、上述した垂直面16a,16b及び平面16cは、それぞれ低摩擦処理が施されている。更に、挟持板26aにおける挟持板26bに対向する側の面261aと、挟持板26bにおける挟持板26aに対向する側の面261bと、天板23の下面23bにおける挟持板26a,26bに挟まれた空間に面する領域とも、それぞれ低摩擦処理が施されている。更に、挟持板26a,26bは、天板23の下面23bにおいて、ブロック16における垂直面16a,16b間距離よりも若干広い間隔で配置されている。なお、挟持板26aの面261aと垂直面16aとの間隔、及び、挟持板26bの面261bと垂直面16bとの間隔は、作業台20の摺動方向への移動を妨げない範囲において小さいことが望ましい。
【0038】
このような構成により、挟持板26a,26bの間にブロック16が嵌合された状態において、作業台20がベルト15上を摺動方向に沿って移動する際に、作業台20はブロック16に案内されながら滑動する。又、この際、作業台20は、ブロック16及び挟持板26a,26bにより、案内方向への移動を抑止されている。
また、図10に示すように、作業台20上に載置されたワーク2を、スライド機構25により案内方向に移動させる場合に(矢印B参照)、ワーク2の移動により作業台20の重心が案内方向のいずれかに偏った場合においても、挟持板26a(26b)の面261a(261b)がブロック16の垂直面16a(16b)により支えられる。これにより、ワーク2の移動による重心の偏りによって作業台20が摺動方向を軸に回転してしまうことを抑止することができる。
【0039】
このように、実施形態の一例としての姿勢調整装置1の変形例においては、ワーク2の移動による重心の偏りによって作業台20が摺動方向を軸に回転してしまうことを防止することができ、ワーク2を安定して移動することができる。
なお、上述した変形例においては、ベース10に一つのブロック16をそなえるとともに、作業台20に一対の挟持板26a,26bをそなえているが、これに限定されるものではない。例えば、ブロック16を複数そなえるとともに、このブロック16の数に応じて3以上の挟持板をそなえてもよい。又、作業台20の下面23bにブロック16をそなえるとともに、ベース10に挟持板をそなえてもよく、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 姿勢調整装置
2 ワーク(作業対象物)
3 昇降装置
10 ベース
11 ベースシャフト
12 支柱
13 ベース板
15 ベルト
16 ブロック
16a,16b 垂直面
20 作業台
21 作業台シャフト(突設部,突設対)
22 ホルダ
23 天板(載置台)
23a 上面(載置面)
23b 下面
24 ガイド壁
25 スライド機構,スライドレール
26a,26b 挟持板
30 移動装置
31 水平移動機構
32 鉛直移動機構(昇降機構)
40 回転抑止機構
261a,261b 面
301,304 フレーム
302 ロック機構
303 リンク部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のフレーム部材に掛架したベルトと、
載置面に作業対象物を載置可能な載置台と、該載置台の下方において、互いに並行に延設した一対の突設部をそなえる突設対とをそなえた作業台とをそなえ、
該突設対を該ベルトの掛架方向と直交させた状態で、該作業台を該ベルト上に載置したことを特徴とする、姿勢調整装置
【請求項2】
該突設部における少なくとも該ベルトが当接する面に低摩擦処理が施されていることを特徴とする、請求項1記載の姿勢調整装置。
【請求項3】
該載置台の該ベルトの掛架方向を軸とする回転を抑止する回転抑止機構をそなえることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の姿勢調整装置。
【請求項4】
対向する一対のフレーム部材と該フレーム部材に掛架したベルトとをそなえるベース装置と、
載置面に作業対象物を載置可能な載置台と、該載置台の下方において、互いに並行に延設した一対の突設部をそなえる突設対とをそなえた作業台と、
該ベース装置を昇降可能な昇降機構とをそなえ、
該突設対を該ベルトの掛架方向と直交させた状態で、該作業台を該ベルト上に載置したことを特徴とする、昇降装置。
【請求項5】
該突設部における少なくとも該ベルトが当接する面に低摩擦処理が施されていることを特徴とする、請求項4記載の昇降装置。
【請求項6】
該載置台の該ベルトの掛架方向を軸とする回転を抑止する回転抑止機構をそなえることを特徴とする、請求項4又は請求項5記載の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−153527(P2012−153527A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16786(P2011−16786)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】