説明

媒体の急速混合のための装置および方法

本発明は、植物性バイオマス、たとえば、穀物、スイートコーンおよびコーンといった第1世代作物あるいはリグノセルロースバイオマスといった第2世代作物から得られる燃料、たとえばバイオエタノールなどの製造のためのプラントにおける事前処理システムの一部であってもよい装置に関する。本発明は、第1の媒体が、第2の媒体の局所的放出によってもたらされるエネルギーおよび/または質量を効果的に受け取りやすくするために、たとえばバイオマスなどの固形物と、たとえば蒸気などの流体といった少なくとも2種類の媒体を処理、たとえば綿毛化しかつ混合するための装置に関する。本発明の説明はバイオマスに焦点を合わせているが、本発明は、概して、それらの少なくとも一つを分散させながらその流れを交差させることによって少なくとも2種類の媒体の混合を制御するのに応用可能であることは明らかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の媒体が、第2の媒体の局所的放出によって提供されるエネルギーおよび/または質量を効果的に受け取りやすくするために、たとえばバイオマスなどの固形物と、たとえば蒸気などの流体といった少なくとも2種類の媒体を処理、たとえば綿毛化しかつ混合するための方法および装置に関する。
本発明の説明はバイオマスに焦点を当てているが、本発明は、概して、それらの少なくとも一つを分散させている間にその流れを交差させることによって少なくとも2種類の媒体の混合を制御するのに応用可能であることは明らかである。
【背景技術】
【0002】
植物性バイオマスから得られる燃料のなかでも、エタノールは原油由来製品の潜在的な代替あるいはそれに対する補足として特別な関心が持たれている。
バイオマスからのエタノールの生産は、通常は、糖分あるいは澱粉が豊富な生の生物学的原料、たとえば穀物、スイートコーンあるいはコーンの発酵処理によって行われており、第1世代バイオエタノールとも呼ばれる。
【0003】
バイオマスから製造されるバイオエタノールの生産コストを最小限に抑えかつその潜在性を増大させるために、園芸、農業、農林業、木材産業などからの低コスト副産物の形態のリグノセルロースバイオマスを、したがって、たとえば麦わら、とうもろこしの茎、森林廃棄物、おがくず、木屑などの原料を利用することが重要である。この種のバイオマスから製造されたエタノールはまた、第2世代バイオエタノールと呼ばれる。
【0004】
リグノセルロースバイオマスは、ヘミセルロースおよびセルロースの形態の糖分重合体を含む。これらの糖分がエタノールへと発酵可能となる前に、糖分重合体は、その糖分単量体へと分解される必要がある。重合体を分解する一般的な方法は、酵素加水分解を利用することである。酵素に対するバイマスの有用性を高めるために、リグノセルロースバイオマスは、たいてい、熱的/化学的事前処理を受ける。熱化学的アプローチに続いて、そうしたプロセスは、たいてい、生物学的物質の温度が、この生物学的物質が含まれる液体の沸点を上回る温度まで高められることを必要とする。したがって、たいていは、流体を液状の状態で維持しながら液体の沸点を上回る温度まで温度を高めることができるように、生物学的物質を含むスラリーあるいはパルプを加圧する問題に直面する。発酵のためのバイオマスの前処理において、この問題を考えるとき、前処理を実施するために、生物学的物質を含むスラリーあるいはパルプの温度は約140〜200℃である必要があり、これは、原料中に十分な活性エネルギーを生み出すことについての問題である。
【0005】
特にバイオマスに関連する他の問題は、生物学的物質を含むスラリーあるいはパルプの温度の変化率である。温度の変化率は、望ましくない化学副反応の程度を低減するべく上昇した温度での時間を低減するために可能な限り高いことが望ましいことが分かっている。最も好ましくは、上昇した温度での時間は、所望の温度で所望の反応が起きるのにかかる時間まで低減されるべきである。
【0006】
解決すべき特に関係のある問題は、生物学的物質を含むスラリーあるいはパルプの過熱を回避することである。そうした過熱は、スラリーあるいはパルプが目標とする所望の温度を上回る温度まで加熱されることを意味する。そうした過熱は、結果として、用意されたスラリーあるいはパルプの質を低下させる望ましくない副反応を生じる。たいてい、この過熱は、たとえば、温度勾配に基づくスラリーあるいはパルプによる熱伝導を生み出すために、所望の反応温度を上回る温度で加熱された加熱表面によって、スラリーあるいはパルプに対して局所的に熱を加えた結果である。過熱問題を制限する傾向がある別の状況では、蒸気が、たいてい、スラリーあるいはパルプを加熱するために使用され、そして反応器内に蒸気として導入され、蒸気の凝結が熱伝達および過熱を制限するのに役立つ。
【0007】
だが、そうした蒸気の導入は長い加熱時間を要する。なぜなら、たいてい、加熱されるべき粒子は塊りになる傾向があり、したがって、そうした塊状化が起こった場合、塊状化粒子の全体積は塊状化粒子の全表面積を下回って増大し、すなわち体積対表面積率は塊状化によって低下するからである。
【0008】
さらに、粒子内への熱の移送は粒子の表面における温度勾配によって制御され、したがって、この勾配を可能な限り急なものとすることが目的である。
【0009】
質量拡散は、原則として、同じ手法によって制御されるので、上記考察はまた粒子内への質量拡散にも関連する。
【0010】
他の問題、特に関連するのは、公知のプロセスの多くにおいて、生の原料の粒子に対する破砕/還元は、消費されるエネルギーが生の原料から周囲へと消散するプロセスによってなされることである。これは、概して、生の原料の粒子に対する破砕/還元が、処理エネルギーの関連するロスを引き起こす加熱プロセスの上流側で実施されるという事実による。
特許文献1は、第2の流体の素早い温度上昇を実現し、第2の流体の機能的特性が損なわれるのを回避するために、第2の流体内へ第1の流体を注入する方法を開示している。
特許文献2は、木材パルプと化学物質を混合させるためのプロセスおよび装置を開示している。ある例では、化学物質は酸素であり、これはパイプを経てミキサーのローターへと運ばれる。同様に、半径方向通路が酸素を外側マニホールドへと運び、そしてパルプへはローター本体の中央通路を経て運ばれる。当該装置の利用は、化学物質と木材の混合に限定される。なぜなら、裁断、粉砕、および磨砕要素は存在しないからである。
解決すべき全般的な問題は、エネルギーおよび/または質量を効果的に変換するために粒子と媒体との間の同時でかつ密接な接触を生み出しながら、生の原料の凝集構造を分離した粒子へと変化させることであると言われている。
【0011】
たいてい、目標温度は大気圧における導入される媒体の沸点を上回り、したがって、圧力は大気圧を超えて上昇させられる必要がある。したがって、解決すべき全体的問題は、圧力下の装置内で不均質な物質から均一な粒子サイズを生み出し、その一方で、同時に、化学反応、温度上昇あるいはその組み合わせを可能とするために製造される粒子と媒体との間の密接な接触を実現することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,590,961号明細書
【特許文献2】米国特許第4,303,470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、現在に至るまで、効果的にエネルギーおよび/または質量を交換するために粒子と第2の媒体との間の密接な接触を同時に実現しながら、第1の媒体の合着構造を分離した粒子へと変化させる二つの媒体を効果的に混合する問題は効果的に解決されておらず、本発明は、それに関連する問題のいくつかを少なくとも軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、好ましくは、上記不具合の一つ以上を、単独であるいは組み合わせて、軽減し、緩和し、あるいは排除することを目的とする。特に、i)第1の媒体がエネルギーおよび/または質量を効果的に受け取りやすくし、そしてii)第1の媒体内への第2の媒体の局所的放出によってそうしたエネルギーあるいは質量を提供する機能を同時に有する少なくとも2種類の媒体を処理、たとえば綿毛化および混合するための装置を提供することが、本発明の目的であることは明らかである。
その中で大気圧よりも高い圧力で綿毛化および混合が実施される処理装置を提供することによって従来技術に対する有利な代替策を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0015】
上記装置は、バイオエタノールの生産のためのプラントの前処理システムの一部であってもよい。本装置は、バイオマスを粉砕・浸漬させるための、すなわちパルプを製造するための手段を含む前処理システムによってパルプあるいはスラリーへと予め変化させられたバイオマスを受け取ってもよい。粉砕は、本明細書中では、小さな破片あるいは粒子へと変化させるプロセスを示すのに用いている。装置に供給される前に、上記バイオマスは、その水分含有率を低減するために脱水されてもよく、この結果、より効率のよい処理が実現される。この脱水処理は、プラグ流れ状況を形成するために、そしてバックフラッシュ問題、すなわちバイオエタノールプラントの上流側の装置からの、非常に高温のガス、アンモニア、あるいは概して化学物質およびその他のガス状混合物などの圧入される物質を回避するために、装置内の圧力よりも高いかあるいはそれと等しい圧力で実施されてもよい。
本装置は、それゆえ、装置内部の圧力よりも高いかあるいはそれと等しい圧力で、バイオマスの連続供給を受けてもよい。
【0016】
本発明の説明はバイオマスに焦点を当てているが、本発明が、概して、その少なくとも一つを分散させながら、その流れを交差させることによって、少なくとも2種類の媒体の処理を制御するのに適用可能であることは明らかである。
【0017】
上記目的およびいくつかのその他の目的は、本発明の第1の態様に関して、少なくとも2種類の媒体を処理するための装置を提供することによって達成されるが、この処理は綿毛化および混合を含み、当該装置は、i)第1の媒体のための少なくとも一つの導入口を有するケーシングと、ii)このケーシング内部の回転手段であって、突起を備え、かつ、回転させられている間、混合ゾーンを形成するようになっている回転手段と、iii)混合ゾーンに対して第2の媒体を供給するための少なくとも一つの導入口と、iv)第2の媒体と混合された後の第1の媒体用の少なくとも一つの排出口とを備え、上記第1の媒体用の導入口は、回転手段の半径と平行であるか実質的に平行である方向に回転手段に向かって第1の媒体を前進させるよう構成されている。
混合ゾーンは、本明細書では、回転手段とケーシングの内壁との間の領域として規定される。
その半径と平行あるいは実質的に平行である方向に回転手段に向かって第1の媒体を前進させることによって、破砕効果がもたらされるが、これは有利である。なぜなら、それは、より良好な、そしてより効果的な媒体の破砕、綿毛化および分散につながれるからである。
回転手段に向かう第1の媒体の前進は液密状態で実施され、反応器の下流でかつより効率のよい熱隔離を実現するという、さらなる利点ももたらす。
回転手段の例は、回転ブレードのような突起を備えたローター、回転ディスク、回転シリンダーである。
上述したように、2種類以上の媒体が導入されてもよい。たとえば、バイオマス、蒸気などの高温ガスおよび酸素ガスあるいはオゾンなどの酸化剤のような三つの媒体が装置内に導入されてもよい。この場合、媒体は、組み合わされて単独で、同時に、あるいは次々に導入されてもよい。
ある実施形態では、酸素の導入は蒸気の導入とは分離される。たとえば、酸化は分離されたチャンバー内で下流側にて実施されるが、これは、蒸気が導入されるチャンバーから蓋によって隔離される。この実施形態は、蒸気とバイオマスとの間の熱伝達を可能とし、その後の酸化プロセスによる影響を回避するという利点を有し得る。この蓋は、チャンバー間での供給を可能とし、熱伝達および酸化の二つのプロセス間の干渉を回避するという機能を有する。ある実施形態では、本発明の第1実施形態に基づく装置は、第1の媒体として0ないし100パーセントの乾燥固形物含有率を備えた物質と共に機能するよう構成される。
本装置が受け取ったバイオマスは、パルプ、スラッジ、スラリーあるいは脱水バイオマスなどの脱水固形物のコンシステンシーを有していてもよい。
パルプは、液体媒体(たいていは水)中のバイオマスの混合物を示すのに用いている。スラリーは、たいていは水中の不溶性バイオマス粒子の懸濁液を示すのに用いている。乾燥固形物含有率は、先行脱水プロセスの効率に、そして導入されるバイオマスの特性、破砕、量、粒子サイズおよび分布に依存する。
【0018】
さらなる実施形態では、本発明に基づく装置は、さらに、上記第1の媒体が、この第1の媒体のための上記導入口内にあるときに加圧されるように、当該第1の媒体を加圧するための加圧手段を備える。本装置は、それゆえ、装置の液密シーリングを提供する加圧バイオマスの供給を受けてもよい。
【0019】
本発明に基づく装置における他の実施形態では、加圧手段は、ケーシング内部の圧力よりも高いかあるいは少なくともそれと等しい上記第1の媒体のための導入口内の圧力を提供する。
装置内の圧力よりも高いかあるいはそれと等しい圧力での加圧バイオマスの装置内への供給は、いくつかの利点をもたらす。特に、それは、バックフラッシュ問題、すなわち、装置およびシステムの上流からの、非常に高温の蒸気、アンモニア、あるいは概して化学薬品およびその他の気体状混合物といった圧入される物質によって生じるシステムへのダメージに対する安全性をもたらす。
【0020】
本発明に基づく装置における他の実施形態では、加圧手段はスクリュー式圧搾機であるか、あるいはスクリュー式圧搾機を備える。この場合、バイオマスの輸送、脱水、および圧縮は、たとえば、スクリュー式圧搾機によって装置内に導入される前に、同時に実施される。スクリュー式供給機は、装置の液密シールを実現するよう意図されたプラグを生み出す目的で、第1の媒体の導入口に向かうその輸送の間にパルプの形態のバイオマスが脱水され、圧縮されるように構成される。したがって、第1の媒体は圧縮されたパルプの形態で装置内に入る。物質の圧縮および脱水はまた、物質の熱交換効率がその水分含有率に著しく依存するので有益である。
好ましい実施形態では、本発明に基づく装置は、さらに、大気圧を上回るケーシング内の圧力を実現するための加圧手段を備える。
ケーシング内の圧力は一つ以上のポンプによって実現できる。たとえば、圧力は、バイオマスの処理を実施するために所望の値(この値は、通常は大気圧を上回る)でケーシング内の圧力を維持するエアコンプレッサーなどのポンプによって実現可能である。
【0021】
さらなる実施形態において、本発明に基づく装置は、第2の媒体としての蒸気などの過熱ガスと共に機能するよう構成される。
蒸気は、水の気相としての水蒸気を示すのに用いられている。
蒸気の即時凝結は、粉砕され、綿毛化され、そして分散されたバイオマスとの接触時に、蒸気とバイオマスとの間の有効かつ急速な熱交換を促進する。
【0022】
急速な加熱は、特に、望ましくない化学副次的反応の量を低減するために有利である。周囲温度と生物学的物質を含むスラリーあるいはパルプの所望の温度との間の温度の変化のレートは、上昇した温度での時間を低減するために可能な限り高いものである必要がある。任意選択で、上昇した温度での時間は、所望の温度で所望の反応が生じるのにかかる時間だけにまで低減されるべきである。
上昇した温度は、生物学的物質が活性でない、すなわちバイオエタノール生産プラントにおける分解処理と考えられる処理などの化学的/物理的処理を受けない、あるベースライン温度を上回る温度を示すのに用いる。
蒸気の使用は、物質と媒体との間の効果的な熱交換に関する問題を解決する。熱輸送は物質の水分含有率に著しく依存し、高い水分含有率は物質中で内部的に熱の素早い伝導を助ける傾向があり、一方、低い水分含有率は物質中で内部的に熱の伝導を制限する傾向があることを意味する。一方、高い水分含有率は効率の悪い熱伝達を生じる。というのは、熱のほとんどは、物質中に含まれる水の温度を上昇させるのに使用されるからである。低い水分含有率と共に粒子状物質に対して蒸気を使用することで、効率のよい熱移送を実現できる。
【0023】
ある実施形態では、本発明の第1の態様に基づく装置は第2の媒体として化学剤と共に機能するよう構成される。
化学剤は、たとえば、液体あるいは蒸気状態のアンモニアあるいは酸であってもよく、これは、第1の媒体、たとえばバイオマス物質の新たに活性化された表面上での反応を引き起こすために導入可能である。
本装置は、それゆえ、第1の媒体の新たに活性化された表面が、すなわち、綿毛化し、破砕し、そして分散させることによって生成され、そして第2の媒体、たとえば化学薬剤が導入され、媒体処理を非常に効率のよい反応プロセスへと変化させる化学反応器として機能し得る。
【0024】
他の実施形態では、本発明の第1の態様に基づく装置は、第2の媒体として酸化剤と共に機能するよう構成される。
酸化剤は酸素ガスであってもよく、これは、装置内に導入されて、バイオマス物質などの第1の媒体の酸化を生じさせる。
上記第2の媒体はまた、第1の媒体と混合されるために、組み合わせて単独で、同時にあるいは次々に導入されてもよい。
【0025】
他の実施形態では、本発明の第1の態様に基づく装置は、さらに、上記混合ゾーン内に上記第2の媒体を投与するための投与手段を備える。
第2の媒体の放出は、第2の媒体の放出の量およびその正確な時刻を最適化するために、ポンプなどの投与手段によって制御できる。
【0026】
ある実施形態では、本発明の第1の態様に基づく装置は、さらに、上記混合ゾーンに上記第2の媒体を投与/注入するための上記回転手段内へと配置されたチャネルを備える。
本装置は、綿毛化、破砕および分散によって、第1の媒体の新たに活性化された面を生み出すという利点を持ち、したがって、表面の活性化の時点およびポイントでの回転手段内に配置された、これらのチャネルを経た第2の媒体の導入は、処理効率改善の利点を持つ。これらのチャネルは異なる形状およびサイズを有していてもよく、かつ、実質的に相互に等距離のポジションにある多数の筒状チャネルであっても、あるいはそれを備えていてもよい。
蒸気などの加熱ガスが第2の媒体として使用される場合、第1の媒体と密接接触状態での混合ゾーン内への注入は、第1の媒体の過熱の問題を解決するのに有益であろう。たいてい、過熱は、第1の媒体に沿って発生する温度勾配を補償するための、所望の温度を上回る温度での第1の媒体の表面の局所的加熱の結果である。蒸気の局所的凝結による、粒子状の第1の媒体(これは大きな表面積および小さな体積を備えた粒子を含む)の加熱は媒体の均質な加熱をもたらし、表面の過熱が回避される。
【0027】
ある実施形態では、回転手段は、たとえばフラッシュ蒸気状況を実現するといった、混合ゾーン内に導入された第2の媒体の圧力降下を実現するよう構成された要素を備える。
「フラッシュ蒸気」は、裁断、粉砕、および磨砕要素などの処理要素の周囲の凝結に続いて、圧力降下が生じる時に放出される。
【0028】
他の実施形態では、ある実施形態に基づく装置のチャネルが、上記回転手段の中心付近の上記突起の端部において上記第2の媒体を投与/注入するよう構成される。
【0029】
回転手段はディスク形要素であっても、あるいはそれを備えていてもよい。
ディスク形要素は、回転手段としての回転シリンダーを提供するために積層されてもよい。
本発明の第1の態様に基づく装置の他の実施形態では、上記回転手段は回転シリンダーであるか、あるいはそれを備える。
回転手段の回転速度およびその突起の数および回転手段に向かう第1の媒体の前進速度の制御によって、第1の媒体の裁断の深さを決定することができ、したがって、第1の媒体のチップおよび粒子サイズを所望の値へと調整できる。
【0030】
本発明の第1の態様に基づく装置のある実施形態においては、上記回転手段は一連の積層されたディスクおよびスペーサであるか、あるいはそれを備える。
この先行実施形態に基づくある他の実施形態においては、上記ディスクおよびスペーサはさらに、組み込み型半径方向チャネルを備える。
【0031】
本発明の第1の態様に基づく装置のさらなる実施形態においては、上記回転手段は、媒体の渦優越な流れなどの非定常変動速度分布を発生させる複数の突起を備える。
適切に設計されたディスク突起を回転させることによって生成される乱流は、パルプなどの第1の媒体と液剤などの第2の媒体との間の混合を増強することによって、媒体の処理の効率を改善できる。
渦は、本明細書中では、ガス/流体の旋回乱流を示すのに用いられている。概して、流体の動きは中心の周りで急速に渦を巻く。流体の回転の速度およびレートは、中心において最大であり、そして中心からの距離と共に漸進的に減少する。
【0032】
他の実施形態では、回転要素の突起は、裁断、粉砕、および磨砕要素などの処理要素を備える。
【0033】
ある実施形態では、本発明に基づく装置は、回転手段の1回転当たり10nmないし30mmの上記導入口内での上記第1の媒体の前進を実現するよう構成される。
第1の媒体の前進(供給に関する半径方向運動とも呼ばれる)は、処理の全体速度を最適化するために、所定のレートにて実施されてもよい。
【0034】
本発明の第1の態様に基づく装置の他の実施形態では、上記回転手段は輸送手段であるか、あるいはそれを備える。
回転手段はまた、第1の媒体の導入口から処理された物質の排出口まで装置を経て、第1の媒体の、あるいは第1および第2の媒体の混合物の輸送を実現してもよい。
【0035】
本発明の目的およびいくつかのその他の目的は、バイオマスからバイオ製品を生産するためのシステムを提供することによって、本発明の第2の態様において達成されることを意図されており、当該システムは、i)物質を収集し、移送し、パルプに変え、破砕し、そして処理装置へと供給するための事前処理サブシステムと、ii)本発明の第1の態様に基づく処理装置と、iii)物質の化学的および/または物理的組成を変化させるための反応チャンバーとを具備してなる。
ある実施形態では、本発明の目的およびいくつかのその他の目的は、本発明の第2の態様に基づくバイオエタノールを生産するためのシステムを提供することによって達成されることを意図されている。
本発明は、第3の態様において、本発明の第1および第2の態様に基づく処理装置を利用した、少なくとも2種類の媒体の処理を可能とするようになされた方法に関する。
本発明はさらに、本発明の第1および第2の態様に基づく処理装置を利用した、少なくとも2種類の媒体の処理するための方法に関し、当該装置の作用は、第1の媒体が破砕されている状態での上記混合ゾーン内への上記第2の媒体の注入/供与を含む。
【0036】
本発明はさらに、本発明の第1の態様に基づく処理装置を利用する方法に関するものであり、ここで、処理のための上記装置が第2の媒体としての蒸気などの加熱ガスと共に機能するよう構成される場合、上記装置の作動は、上記加熱ガスと上記第1の媒体との間の熱伝達を生み出す。
蒸気と、第1の媒体、たとえばバイオマスパルプとの間の熱拡散は、第1の媒体の急速な温度上昇をもたらす。
【0037】
本発明はまた、上記第2の媒体が、媒体間の密接な接触を実現するために処理されている間に、第2の媒体内に少なくとも一つの媒体を局所的に注入することによって、少なくとも2種類の媒体を混合するための方法に関する。
この方法の利点はエネルギーロス回避の可能性である。というのは、第2の媒体、たとえば蒸気の注入が、第1の媒体、たとえばバイオマスの機械的処理が行われている間になされるからである。このようにして、付加された機械的エネルギーは保存され、かつ、加熱ロスを伴わずに処理中に取り込まれ、そして可能性のある第2の加熱を低減できる。ある実施形態では、そうした第2の加熱は不要であり、バイオマスの冷却ステップが導入されてもよい。
【0038】
本発明はまた、リグノセルロースベース物質などの、有機物質の開繊(opening)構造のための方法に関する。
【0039】
本発明の第1および第2の態様はそれぞれ他の態様のいずれかと組み合わせることができる。本発明のこれらのおよびそれ以外の態様については、以下で説明する実施形態から明らかであり、かつ、それを参照して説明する。
【0040】
本明細書においては、当業者にとっては普通の様式で多数の用語が使用されている。だが、いくつかの用語に含まれる特徴を特定するために、これらの用語に関する一般的な定義については以下に示す。
【0041】
本発明に基づく装置について、以下、図面を参照して、さらに詳しく説明する。各図は本発明を具現化する一つの様式を示しており、特許請求の範囲の記載に包含される、その他の可能な実施形態に対する制限として解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】装置の外部に配置されたモーター、ギアおよびベアリングを含む、本発明に基づく装置を備えたデバイスの概略軸方向断面図である。
【図2】本発明に基づく装置の好ましい実施形態の一部拡大断面図であり、ここでは、通常流優越ゾーン、乱流優越ゾーン、渦優越ゾーンおよび重力優越ゾーンを含む四つのゾーンが、優越輸送プロセスに基づいて特定されている。
【図3】図2のラインI‐Iに沿った、本発明の好ましい実施形態の軸方向断面図である。
【図4】図2のラインI‐Iに沿った、好ましい実施形態の一部拡大断面図である。
【図5】本発明の特定の実施形態における、ディスクおよびスペーサ要素の概略正面図(図5a)、ならびに回転ディスクおよびスペーサ要素のスタックの概略斜視図(図5b)である。
【図6】本発明の実施形態の一つに基づくディスクの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明について特定の実施形態に関連付けて説明するが、それは、提示した例に限定されるものと解釈すべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲において言及されている。特許請求の範囲の記載において、「具備する」あるいは「具備してなる」との用語は、その他の可能性のある要素あるいはステップを除外しない。また、「ある」あるいは「一つの」といった語句を複数の除外として解釈すべきではない。図中に示す要素に関する特許請求の範囲の記載における参照数字の使用もまた、本発明の範囲の限定として解釈すべきではない。さらに、各請求項において言及された個々の特徴は、有利な形で組み合わせることが可能であり、かつ、各請求項でのこれらの特徴の言及は、特徴の組み合わせが可能ではなくかつ有利ではないことを排除しない。
【0044】
図1は、二つの媒体、たとえばパルプなどの固体および水などの液体あるいは蒸気などの気体を処理するためのデバイス100の概略軸方向断面図である。当該デバイスは、ハウジング101、たとえば本発明に基づく装置を備える円筒形ベッセルを具備してなり、ここでは、これを第1の反応チャンバー102および第2の反応チャンバー103と呼ぶ。二つのチャンバーは蓋104を介して連結されている。
デバイス100の向きは、重力作用と直交するように図1では示されている。他の実施形態では、当該デバイスは重力作用と平行であるように配置できる。後者の場合、媒体の動きに対する重力の作用の影響はさらに高められる。
【0045】
本デバイスは、蒸気の使用を可能とするという利点を伴って圧力下にあってもよい。だが、他の気体あるいは液体が圧力下で本デバイスにおいて使用されてもよい。本デバイスはまた、有利なことには、過熱蒸気を用いて稼働できる。過熱蒸気は、ここでは、その飽和温度、すなわち沸点よりも高い温度にある蒸気として規定される。飽和温度は、液体が沸騰してその気相となる対応する飽和圧力に関する温度である。大気圧でのその飽和温度よりも高く蒸気の温度を増大させるために、本デバイス内の圧力は、大気圧よりも高い値まで上昇させられる。蒸気は、ここでは、それが飽和温度を超えて加熱された温度だけ過熱されたものとして説明される。
ギア106およびベアリング107および回転手段111を含む外部可変速度モーター108がまた、図1に示されている。
【0046】
第1の反応チャンバー102は、ケーシング108、処理されることになる物質のための導入口109、一連の回転要素110および蓋104を備える。第1の反応チャンバーケーシング108は円錐形状を有するが、その頂点はモーター側を向き、そして底部は第2のチャンバー103側を向いている。この円錐形状は、重力によって、第2の反応チャンバー103に向かう処理された物質、たとえばパルプの流動を促進する。円錐ケーシングのベースは第1の反応チャンバー102の蓋104であり、これは、第1および第2の反応チャンバー103間での物質の流動を可能とする。この蓋は、第2の反応チャンバー103への連続供給を可能とし、かつ、第2の反応チャンバー103内への、存在している反応物の逆流に対するバリアを提供する。蓋104は、したがって、第1の反応チャンバー102の範囲を画定し、そして第1の反応チャンバー環境と、第2の反応チャンバー103内で生じ得る以後の反応処理からの放出物との混合を回避する。
【0047】
可変速度モーター105に対して回転手段111を介して接続された回転要素110は、i)導入口109を経て導入される物質の粉砕、分散および綿毛化を実現し、そしてii)物質と媒体との間の、混合/反応などの急速な相互作用を可能とするために上記物質を媒体にさらす機能を有する。そうした暴露は、破砕、分散および綿毛化の際に、あるいは導入された物質と回転要素との間の機械的相互作用に続いて実施できる。物質は、回転要素との機械的相互作用の間あるいはその後に、一つ以上の媒体に、同時にあるいは次々にさらされてもよい。
【0048】
第2の反応チャンバー103は、たとえばパルプなどの物質のさらなる化学的あるいは物理的処理、たとえば、酸化環境によって、たとえば酸素ガスの存在によって引き起こされる酸化処理を可能とする。
【0049】
図2の断面は、本発明に基づく装置を、すなわち図1の第1の反応チャンバー102に対応する反応チャンバー102を示しているが、これは、ケーシング108と、回転手段111の半径と平行あるいは実質的に平行な、処理されることになる物質用の導入口(図示せず)と、一連の回転要素110と、蓋104とを具備してなる。反応チャンバーケーシング108は円錐形状を有し、頂点がモーター(図示せず)側に向けられ、かつ、ベースが蓋104によって形成されている。この円錐形状は、重力によって、蓋104に向かう物質(これは、この実施形態ではパルプと呼ぶ)の流れを促進する。蓋104は、機械式開口201によって反応チャンバーからのパルプの流動を可能とする。
図示する実施形態では、回転要素110は、駆動シャフトなどの回転手段に対して固定されかつケーシング108の外側に配置されたモーター(図示せず)と接続された回転ディスクである。
【0050】
上記回転ディスクは、導入されるパルプの粉砕、分散および綿毛化を、そして急速な相互作用を生み出すための、媒体、すなわち気体あるいは液体に対する当該物質の暴露を実現するよう設計されている。回転ディスクは、破砕、分散および綿毛化の瞬間に、媒体リリースを最適化するよう設計されている。
【0051】
媒体は、導入口202を経て反応チャンバー102に入り、そして管路203を経て、反応チャンバー内へと排出口204を通って注入される。
【0052】
回転要素111の端部207に、さらなる機能性を付与する機能要素を付加することができる。図示する実施形態では、要素205および206は、パルプの混合ならびに蓋104に向かうその輸送を引き起こす渦を発生させる。これに代えて、スクリュー式コンベアが使用され、そして回転手段の端部207に配置されてもよい。
【0053】
反応チャンバー102のベースに近接して、排出口209におけるパルプの温度の制御を可能とする温度送信器208が配置される。任意選択で、反応チャンバーの側壁に沿ってガス排出口が配置されてもよい。
【0054】
反応チャンバー102内において、導入される物質の異なる優越輸送処理に基づいて四つのゾーンを、すなわち通常流優越ゾーン1、乱流優越ゾーン2、渦優越ゾーン3および重力優越ゾーン4を認識できる。
ゾーン1において、パルプは、回転ディスク110によってもたらされる、粉砕、分散および綿毛化などの機械的処理にさらされる。
このゾーン1において、パルプの輸送は、パルプがさらされる機械的処理によって引き起こされる。
回転ディスク110内に配置された管路204を経た媒体の注入は、このゾーンにおいて有利である。というのは、新たに破砕され、分散され、そして綿毛化されたパルプと媒体との間の密接な接触が生み出されるゾーンにおいて注入が行われるからである。
【0055】
ゾーン2において、少なくとも部分的に破砕され、分散させられ、そして綿毛化されたパルプはさらに、回転ディスク110を経て放出される媒体との接触状態に置かれ、媒体とパルプとのさらなる相互作用を生じ、そして媒体と混合されたパルプの輸送は乱流状況によって支配される。
ゾーン2において、ゾーン1に既に導入されたものとは異なる媒体がさらに注入されてもよい。これによって、パルプの順次処理が可能となり、たとえば、パルプはゾーン1においては蒸気によって、そしてゾーン2においては、最適酸化を生じる化学物質、たとえばオキシ過酸化物によって処理されてもよい。
この特定の実施形態において、ケーシングの壁に沿って配置された余分な管路(図示せず)が、媒体の局所的放出を可能とするために存在する。
パルプの順次処理はまた、回転ディスク110の初めの部分と回転ディスク110の末端の部分との間での異なる媒体の放出によって実現できる。回転ディスク110の初めの部分は、処理されるべき物質のための導入口に近い部分として定義され、一方、末端の部分は、処理された物質の排出口209に近い部分として定義される。
【0056】
渦優越ゾーン3において、導入されたパルプは、回転ディスクの軸方向を中心として急速に回転する旋回乱流運動にさらされる。回転の速度およびレートは中心において最大であり、蓋104に向かって物質を輸送する中心からの距離と共に漸進的に減少する。このゾーンにおいては、パルプと媒体との比率は、1:9のオーダーである。
【0057】
重力優越ゾーン4において、パルプの動きへの渦の作用はゆっくりと減少し、そしてパルプは蓋14および反応チャンバー開口209に向かって重力によって移動する。ここで、温度プローブ208のヘッドはパルプの表面と接触状態であるが、これは、渦運動の作用が減少するとき、その上に落下する。温度プローブ208は、反応チャンバーを経たパルプの温度上昇に関する情報を提供する。
【0058】
図3は、図2のラインI‐Iに沿った本発明の好ましい実施形態の軸方向断面図である。図3においては、回転構造体301、ベアリング302および静止サポート構造体303を含む、回転ディスク110と駆動シャフト111との間の接続部が示されている。回転ディスク110は、ボルト孔304内に配置されたボルトを介して一つに結合されている。
【0059】
回転ディスクの回転速度は、パルプのコンシステンシー、乾燥物質含有率、種類、破砕、量、粒子サイズおよび配分に、そして注入される媒体に依存して変更可能である。
【0060】
パルプは管路109を経て導入され、一方、媒体は、軸方向導入口305を経て回転ディスク内に導入され、そして、ディスク110の回転によって押しやられ、ディスク構造体内へと存在する筒状管路306を経て反応チャンバー内へと注入される。
【0061】
ロータージオメトリーの結果、回転ディスクは、回転しながら、したがって細い繊維状のパルプの破砕、分散および綿毛化を実現しながら、パルプ内への媒体の注入を可能とする。
【0062】
回転ディスクの半径方向変位作用、破砕および分散作用によって、パルプ内の注入された媒体の瞬間的な混入が実現される。
【0063】
好ましい実施形態では、媒体は蒸気であり、したがって、回転ディスク110内の筒状管路306を経た注入およびパルプとの接触は、蒸気凝結によって引き起こされる、ほとんど瞬間的かつ効果的な熱伝達につながる。これによって、瞬間的なパルプの温度上昇が可能となり、変性あるいは燃焼が回避される。この急速な温度上昇は、主として、回転ディスクによる分散効果およびディスク内に存在する筒状管路を経た局所的かつ即座の蒸気放出の組み合わせによって実現される。別な実施形態においては、媒体は化学試薬であって、これは、パルプが回転ディスクによって破砕され、分散させられ、そして綿毛化される間に筒状管路306を経て注入される。これによって、新たに分散させられ、そして破砕されたパルプと化学試薬との間の局所的かつ即座の接触が可能となり、この二つの間の素早くかつ効果的な反応が生じる。したがって反応時間が低減される。なぜなら、化学試薬はパルプと密接な接触状態に置かれ、パルプを通過する拡散時間が最小化されるからである。
【0064】
図4は、軸方向気体導入口305、筒状気体管路306および回転ディスクのディスク突起401を含む、回転ディスクの構造を詳しく示している。
【0065】
媒体とパルプとの間の効率のよい混合がまた、乱流によって実現される。ディスク突起401は、パルプと媒体との間の反応性を高めるための乱流をもたらすように設計されてもよい。ここでは乱流ゾーンと呼ぶスペースが、ディスクの周縁と突起401との間に形成される。これは、最も激しい乱流活動が生じる場所である。だが、乱流は、このスペース以外の領域において、たとえばディスク周縁と反応器の側壁との間の領域402において、その強さの低下を伴って生じてもよいことを理解されたい。したがって、乱流ゾーンは、ここでは、最も激しい乱流が生じる領域を示すのに用いているが、乱流が反応器のその他の領域においては、あるレベルで生じ得ないと解釈すべきではない。
【0066】
図5は、本発明の特定の実施形態における回転ディスクおよびスペーサ要素のスタックの、ディスクおよびスペーサ要素の概略正面図(図5a)およびその斜視図(図5b)である。
【0067】
図5aは、多数の半径方向に延在する切欠き502を備えたスペーサ501を示している。スペーサ501の切欠き502は、インナーリム503からアウターリム504に向かって延びている(ただしそこに達してはいない)。同様に、ディスク505は、同数の半径方向に延在する切欠き506を備えるが、これは、インナーリム508から離れるように半径方向ポジション507からディスク505のアウターリム509へと延びている。
【0068】
図5bにおいて、501などのスペーサおよび505などのディスクは、スペーサとディスクが交互に重なるように積層される。さらに、スペーサ501およびディスク505は、スペーサ501の切欠き502の端部が、ディスク505の切欠き506の始まりの下方に位置するように積層される。これによって、スペーサ501のインナーリム503からディスク505のアウターリム509へと延在するチャネルが形成される。このチャネルは、上述したような方向に一つ以上の媒体を導くのに使用される。
図5bにおいて、心出し要素510もまた示されている。
ある実施形態では、積層されたスペーサおよびディスクを連結するボルトの数は素数であってもよい。
【0069】
図6は本発明の実施形態の一つに基づくディスクの一部拡大断面図である。ディスク601は、インナーリム604から離れるように半径方向ポジション603からディスク601のアウターリム605へと延びる多数の半径方向延在切欠き602を備える。使用のために組み立てられたとき、601などのディスクと図5aにおける501などのスペーサとは積層されて、図5bと同様にスペーサとディスクが交互に位置するようになる。
矢印606の方向に、積層されたスペーサ/ディスクアセンブリが回転するとき、上記の一つ以上の媒体が導入され、そして図4に示すチャネルを経てポジション603に達する。603から、媒体は矢印607の方向に装置内に注入され、一方、パルプは、回転ディスク601によって粉砕され、分散され、そして綿毛化される。これによって、新たに粉砕されたパルプと媒体との間の局所的かつ即時の接触が可能となり、パルプと媒体との間の急速かつ有効な反応が生じる。この実施形態では、ディスク601は、半径方向ポジション603からアウターリム605へのマイクロジェクト(microject)効果を実現するよう設計される。
【0070】
さらに、裁断エッジ608の存在によって、パルプのさらに効果的な破砕が可能となり、この結果、媒体に対するパルプの暴露が新たに裁断された表面において生じ、媒体とパルプとの間の急速かつ有効な密接な接触が実現される。それゆえ、反応時間は削減される。なぜなら、媒体はパルプと密接な接触状態に置かれ、パルプを通過する拡散時間が最小化されるからである。
【符号の説明】
【0071】
100 デバイス
101 ハウジング
102 第1の反応チャンバー
103 第2の反応チャンバー
104 蓋
105 可変速度モーター
106 ギア
107 ベアリング
108 ケーシング
109 導入口
110 回転要素
111 駆動シャフト
201 機械式開口
202 導入口
203 管路
204 排出口
207 端部
208 温度送信器
209 排出口
301 回転構造体
302 ベアリング
303 静止サポート構造体
304 ボルト孔
305 軸方向導入口
306 筒状管路
401 ディスク突起
501 スペーサ
502 切欠き
503 インナーリム
504 アウターリム
505 ディスク
506 切欠き
507 半径方向ポジション
508 インナーリム
509 アウターリム
510 心出し要素
601 ディスク
602 半径方向延在切欠き
603 半径方向ポジション
604 インナーリム
605 アウターリム
608 裁断エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の媒体を処理するための装置であって、この処理は綿毛化および混合を含み、前記装置は、
第1の媒体のための少なくとも一つの導入口を有するケーシングと、
前記ケーシング内部の回転手段であって、前記回転手段は突起を備え、前記突起は、裁断、粉砕、および磨砕要素などの処理要素を備え、かつ、前記回転手段は、回転させられている間、混合ゾーンを形成するようになっている回転手段と、
前記混合ゾーンに対して第2の媒体を供給するための少なくとも一つの導入口と、
前記第2の媒体と混合された後の前記第1の媒体用の少なくとも一つの排出口と、を備え、
前記第1の媒体用の前記導入口は、前記回転手段の半径と平行であるか、あるいは実質的に平行である方向に前記回転手段に向かって前記第1の媒体を前進させるよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
第1の媒体として0ないし100パーセントの乾燥固形物含有率を備えた物質と共に機能するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の媒体が前記第1の媒体のための前記導入口内にあるときに加圧されるように、前記第1の媒体を加圧するための加圧手段をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記加圧手段は、前記ケーシング内の圧力よりも高いかあるいは少なくともそれと等しい、前記第1の媒体のための前記導入口内の圧力を提供するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記加圧手段は、スクリュー式圧搾機であるか、あるいはスクリュー式圧搾機を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の装置。
【請求項6】
大気圧を上回る前記ケーシング内の圧力を提供するための加圧手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
第2の媒体としての蒸気などの加熱気体と共に機能するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
第2の媒体としての化学剤と共に機能するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
第2の媒体としての酸化剤と共に機能するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記混合ゾーンへと前記第2の媒体を投与するための投与手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記混合ゾーン内へ前記第2の媒体を供与/注入するための、前記回転手段内に配置されたチャネルをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記チャネルは、実質的に相互に等距離ポジションにある複数の筒状チャネルであるか、あるいはそれを備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記チャネルは、前記回転手段の中心付近の前記突起の端部において、前記第2の媒体を供与/注入するよう構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記回転手段はディスク形要素であるか、あるいはそれを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記回転手段は回転シリンダーであるか、あるいはそれを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記回転手段は、一連の積層されたディスクおよびスペーサであるか、あるいはそれを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記ディスクおよびスペーサは、さらに、組み込み型半径方向チャネルを備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記回転手段は、前記媒体の渦優越流れなどの非定常変動速度分布を発生させる複数の突起を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記回転手段の1回転当たり10nmないし300mmの、前記導入口内の前記第1の物質の前進を実現するよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記回転手段は、移送手段であるか、あるいはそれを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
バイオマスからバイオ製品を製造するためのシステムであって、当該システムは、
i)物質を収集し、移送し、パルプに変え、破砕し、そして処理装置へと供給するための事前処理サブシステムと、
ii)請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の処理装置と、
iii)前記物質の化学的および/または物理的組成を変化させるための反応チャンバーと、を具備してなることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のバイオエタノールを製造するためのシステム。
【請求項23】
請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の処理装置を用いて少なくとも2種類の媒体を処理するための方法。
【請求項24】
請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の処理装置を用いて少なくとも2種類の媒体を処理するための方法であって、前記装置の作用は、前記第1の媒体が破砕されている状態での前記混合ゾーン内への前記第2の媒体の注入/供与を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記処理のための装置が、第2の媒体としての蒸気などの加熱気体と共に機能するよう構成される場合、前記装置の作用は、前記加熱気体と前記第1の媒体との間の熱伝達を生み出すことを特徴とする請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の処理装置を用いた方法。
【請求項26】
媒体間の密接な接触を実現するために、前記第2の媒体が処理されている間に、第2の媒体内への少なくとも一つの媒体の局所的注入によって少なくとも2種類の媒体を混合するための方法。
【請求項27】
リグノセルロースベース物質などの有機物質の開繊構造のための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−515069(P2012−515069A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544789(P2011−544789)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050004
【国際公開番号】WO2010/081477
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511169829)
【Fターム(参考)】