説明

媒体供給装置および画像形成装置

【課題】媒体サイズの検出機能を有し、小型化が可能な媒体供給装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙カセット30には、ダイヤル31と、ダイヤル31を所定の回転角度で保持する角度保持部材32とが設けられている。ダイヤル31に対向するように、複数のアーム部221を有する補助アーム22が設けられている。これらアーム部221に押圧される複数のスイッチ部211を有する検出スイッチ21が設けられている。ダイヤル31は、媒体サイズの複数の表示を周方向に配列した表示部311と、角度保持部材32により係止される回転係止部312と、複数のアーム部221を押圧可能な複数の突起部313aを周方向に配列した突起形成部313とを有する。突起形成部313の突起部313aは、ダイヤル31の回転角度に応じて、補助アーム22のアーム部221に選択的に当接して変位させ、検出スイッチ21のスイッチ部211を選択的に押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体サイズの検出機能を有する媒体供給装置(例えば給紙装置)および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置では、給紙カセットに収容された用紙のサイズを装置本体側で認識できるようにするため、用紙サイズ検出機構が用いられている。
【0003】
従来の用紙サイズ検出機構は、給紙カセットに設けられた信号出力ドラムを有しており、信号出力ドラムは、その軸方向に複数の突起を有している。また、給紙カセットが装着される装置本体には、信号出力ドラムの複数の突起に対向するように、複数の検出レバーが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−34525号公報(段落0013、段落0014、図6および図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、信号出力ドラムの軸方向に複数の突起および複数の検出レバーがそれぞれ配列されているため、用紙サイズの設定数が増加すると、信号出力ドラムの軸方向の寸法を大きくする必要が生じ、装置本体の小型化の妨げとなる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、媒体サイズの検出機能を有し、小型化が可能な媒体供給装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る媒体供給装置は、媒体を収容し、所定の装着部に装着される媒体カセットと、媒体カセットに設けられ、所定の回転軸を中心として回転可能なダイヤルと、ダイヤルを所定の回転角度で保持する角度保持手段と、装着部に装着された媒体カセットのダイヤルに対向するように設けられ、互いに独立して変位可能な複数のアーム部を有する補助アームと、補助アームの複数のアーム部によって押圧される複数のスイッチ部を有する検出スイッチとを備える。ダイヤルは、媒体サイズを示す複数の表示を、回転軸を中心とする周方向に配列した表示部と、角度保持手段により係止される回転係止部と、補助アームの複数のアーム部を押圧可能な複数の突起部を、回転軸を中心とする周方向に配列した突起形成部とを備える。突起形成部の突起部は、ダイヤルの回転角度に応じて、補助アームのアーム部に選択的に当接して変位させ、検出スイッチのスイッチ部を選択的に押圧する。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、媒体を収容する媒体カセットと、媒体カセットが装着される装置本体とを備える。カセットは、所定の回転軸を中心として回転可能なダイヤルと、ダイヤルを所定の回転角度で保持する角度保持手段とを備える。装置本体は、当該装置本体に装着された媒体カセットのダイヤルに対向するように設けられ、互いに独立して変位可能な複数のアーム部を有する補助アームと、補助アームの複数のアーム部によって押圧される複数のスイッチ部を有する検出スイッチと、検出スイッチの検出結果に基づき、媒体カセットに収容された媒体のサイズを判断する判断部とを備える。ダイヤルは、媒体サイズを示す複数の表示を、回転軸を中心とする周方向に配列した表示部と、角度保持手段により係止される回転係止部と、補助アームの複数のアーム部を押圧可能な複数の突起部を、回転軸を中心とする周方向に配列した突起形成部とを備える。突起形成部の突起部は、ダイヤルの回転角度に応じて、補助アームのアーム部に選択的に当接して変位させ、検出スイッチのスイッチ部を選択的に押圧する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体サイズの検出機能を有し、且つ小型化が可能な媒体供給装置および画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における媒体サイズ検出部を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態における媒体サイズ検出部を示す上面図である。
【図4】第1の実施の形態における検出スイッチおよび補助アームを示す斜視図である。
【図5】第1の実施の形態における給紙カセットのダイヤル取り付け部を示す図である。
【図6】第1の実施の形態におけるダイヤルの構成を示す斜視図である。
【図7】第1の実施の形態における回転係止部の形状を示す図である。
【図8】第1の実施の形態におけるダイヤル突起部の形状を示す図である。
【図9】第1の実施の形態におけるダイヤルと角度保持部材とを示す側面図である。
【図10】第1の実施の形態における給紙カセットの正面図である。
【図11】第1の実施の形態における画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図12】第1の実施の形態における媒体サイズの設定例を示す。
【図13】給紙カセットが装置本体に装着される前の、ダイヤルと検出スイッチと補助アームとの関係を示す図である。
【図14】給紙カセットが装置本体に装着された後の、ダイヤルと検出スイッチと補助アームとの関係を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態におけるダイヤルの構成を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態におけるダイヤルと検出スイッチとを示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態におけるダイヤル、検出スイッチおよび補助アームの構成および作用を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態におけるダイヤル、検出スイッチおよび補助アームの構成および作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の実施の形態.
本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態における画像形成装置10の全体構成を示す図である。画像形成装置10の下部には、記録用紙などの媒体を収容する媒体カセットとしての給紙カセット30が着脱可能に装着されている。
【0012】
画像形成装置10のうち、着脱可能な給紙カセット30を除く部分を、装置本体20と称する。装置本体20には、給紙カセット30に収容された媒体のサイズを検出するための検出スイッチ21および補助アーム22が設けられている。これら検出スイッチ21および補助アーム22については、後述する。
【0013】
給紙カセット30の上側には、給紙カセット30に収容された媒体を一枚ずつ搬送路に送り出すためのフィードローラ104および分離片103(媒体供給手段)が設けられている。フィードローラ104および分離片103により送り出された媒体の搬送路に沿って下流側(以下、単に下流側と称する)には、媒体が供給されたことを検知するための給紙センサ105が設けられている。また、給紙センサ105の下流側には、媒体のスキュー(斜行)を矯正して搬送するレジストローラ106およびプレッシャローラ107(媒体搬送手段)が配置されている。
【0014】
レジストローラ106およびプレッシャローラ107の下流側には、トナー像(現像剤像)を形成する画像形成部108が配置されている。画像形成部108の上方には、画像形成部108の感光体ドラム112(後述)に静電潜像を形成する印刷ヘッド(露光装置)110が配置されている。画像形成部108の下方には、画像形成部108で形成されたトナー像を媒体に転写する転写ローラ(転写部)109が配置されている。また、画像形成部108の上流側には、トナー像の形成を開始するタイミングを決定するための通過センサ111が設けられている。
【0015】
画像形成部108は、静電潜像担持体としての感光体ドラム112と、この感光体ドラム112を所定の電位(例えば負電位)に一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ113と、上記の印刷ヘッド110により感光体ドラム112上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ114とを備えている。
【0016】
画像形成部108の下流側には、媒体上に転写されたトナー像を媒体に定着する定着装置が配置されている。定着装置は、媒体を挟み込んで加熱および加圧するヒートローラ115とバックアップローラ116とを有している。
【0017】
定着装置の下流側には、トナー像が定着された媒体を搬送する排出ローラ(フェイスアップ排出ローラ)117および従動ローラ118が配置されている。排出ローラ117および従動ローラ118のさらに下流側には、媒体を、装置本体20の上部に設けられた排出スタッカ119に排出する排出ローラ120および従動ローラ121が設けられている。
【0018】
次に、給紙カセット30に収容された媒体のサイズを、装置本体20側で検出するための構成について説明する。上記の通り、媒体を収容した給紙カセット30は、画像形成装置10の装置本体20の下部(装着部)に装着されている。
【0019】
ここでは、水平面をXY面とし、上下方向をZ方向とする。XY面において、給紙カセット30の挿入方向をX方向とする。特に、給紙カセット30を装置本体20に挿入する方向を+X方向とし、給紙カセット30を装置本体20から取り出す方向を−X方向とする。また、XY面において、X方向に対して直交する方向をY方向とする。このY方向は、画像形成部108の感光体ドラム112や現像ローラ114等の軸方向と平行である。
【0020】
図2および図3は、第1の実施の形態における媒体サイズ検出部を示す斜視図および上面図である。媒体サイズ検出部は、媒体サイズの検出のために給紙カセット30に設けられたダイヤル31と、装置本体20に設けられた検出スイッチ21および補助アーム22とを有している。
【0021】
給紙カセット30は、その挿入方向(+X方向)の手前側に、使用者が給紙カセット30を着脱する際に把持する把持部301を有している。この把持部301は、給紙カセット30の幅方向(Y方向)両側に張り出した形状を有している。把持部301の張り出した部分には、ダイヤル31が取り付けられている。ダイヤル31の一部(図3に符号Aで示す)は、把持部301から+X方向に突出し、外部に露出している。
【0022】
装置本体20には、給紙カセット30のダイヤル31にX方向に対向するように、検出スイッチ21および補助アーム22が設けられている。
【0023】
図4は、検出スイッチ21および補助アーム22を示す斜視図である。検出スイッチ21は、Z方向に一列に配列されたn個(ここでは4個)のスイッチ部としてのスイッチレバー211を有している。これらスイッチレバー211は、Z方向に長いスイッチ支持体210に取り付けられている。
【0024】
各スイッチレバー211は、それぞれX方向(給紙カセット30の挿入方向)に押し込み可能に構成されている。どのスイッチレバー211が押し込まれているか(すなわち、どのスイッチがONされているか)は、スイッチ支持体210に取り付けられた端子部212からの出力信号により検知される。
【0025】
n個のスイッチレバー211の押し込みの組み合わせにより、2通り(ここでは16通り)の検出が可能である。n個のスイッチレバー211の何れも押し込まれていない状態は、給紙カセット30が装着されていない状態を表すため、最大で2−1通り(ここでは15通り)の媒体サイズの検出が可能である。
【0026】
補助アーム22は、検出スイッチ21のn個のスイッチレバー211の押し込みを補助するものである。具体的には、補助アーム22は、検出スイッチ21の各スイッチレバー211のそれぞれに対応するn個のアーム部221と、これらを一体に保持するアーム支持体220とを有している。
【0027】
各アーム部221は、アーム支持体220から+X方向に延在し、さらに湾曲してY方向に延在し、その先端部がスイッチレバー211に達している。各アーム部221は、弾性変形(撓み変形)が可能な材料で構成されており、スイッチレバー211を押し込む方向に変位することができる。
【0028】
各アーム部221の先端部には、後述するダイヤル31に当接する当接部222が形成されている。当接部222は、検出スイッチ21とは反対の側に凸となる形状を有していることが好ましい。n個(ここでは4個)のアーム部221のうち、一または複数のアーム部221がダイヤル31によって押圧されると、押圧されたアーム部221が撓んで、対応するスイッチレバー211を押し込む。
【0029】
図5は、給紙カセット30におけるダイヤル31の取り付け部を示す図であり、図2に示す矢印V方向から見た図に相当する。図6は、ダイヤル31を示す斜視図である。ダイヤル31は、略円筒状の部材であり、その回転軸をなす中心軸310が、給紙カセット30の壁部305,306(図5)により回転可能に支持されている。
【0030】
ダイヤル31は、円筒状の表示部311と、略円板状の回転係止部312と、略円板状のダイヤル突起部(突起形成部)313とを互いに同軸に組み合わせたものである。これらは、上述した中心軸310を中心として一体的に回転する。
【0031】
図6に示すように、ダイヤル31の表示部は、円筒状の部材であり、その外周面に、媒体のサイズを示す複数の表示が等間隔に配列されている。ここでは、表示部311の外周面を周方向に2−1等分(n=4の場合には15等分)した各部分に、A4、A5、B5等のサイズの表示が付されている。
【0032】
図7は、ダイヤル31の回転係止部312を示す図である。回転係止部312は、ダイヤル31を所定の回転角度(回転位置)で係止するためのものであり、上述した表示部311の外周面にほぼ沿った外周面に、被係合部としての2−1個(ここでは15個)の凹部312aを周方向に等間隔に配列したものである。
【0033】
回転係止部312は、給紙カセット30内に配置された角度保持部材32によって、2−1通りの回転角度のいずれかで係止される。角度保持部材32の構成については、後述する。
【0034】
図8は、ダイヤル突起部313の構成を示す図である。ダイヤル突起部313は、補助アーム22のn個(ここでは4個)の各アーム部221(図4)に選択的に当接し、各アーム部221を介して、検出スイッチ21のn個のスイッチレバー211を選択的に押し込むものである。
【0035】
特に、ダイヤル31は、その回転角度に応じて、補助アーム22のn個(ここでは4個)の各アーム部221を、2−1通り(15通り)の組み合わせで押圧することができる形状を有している。
【0036】
例えば、ダイヤル突起部313は、突起部313a(凸部)と窪み部313b(凹部)とを、周方向に24度(360度/(2−1))の間隔で、以下の表1に示すように配列したものである。なお、表1に示す角度は、図8において最も上方に位置する突起部313aを基準(角度0)としている。
【0037】
【表1】

【0038】
このように構成することで、ダイヤル突起部313は、補助アーム22の4個(n個)の各アーム部221を、15通り(2−1通り)の全ての組み合わせで押すことができる。具体的な組み合わせについては、後述する。
【0039】
図9は、ダイヤル31の回転係止部312と、ダイヤル31の下側に配置された角度保持部材(角度保持手段)32とを示す側面図である。角度保持部材32は、ダイヤル31の回転係止部312の被係合部312aに係合可能な係合部321(凸部)を有している。係合部321は、X方向に延在する支持体322の端部に取り付けられている。支持体322の末端は、取り付け部材323に取り付けられており、取り付け部材323は、給紙カセット30の底板に固定されている。
【0040】
角度保持部材32の支持体322は、弾性変形(撓み)可能であり、係合部321をダイヤル31の被係合部312aに係合する方向に付勢している。角度保持部材32の係合部321が、ダイヤル31に等間隔に形成された2−1個(15個)の被係合部321aのいずれかに係合することにより、ダイヤル31は2−1通り(15通り)の回転角度で保持される。
【0041】
図10は、給紙カセット30の正面図である。給紙カセット30の把持部301の前面部分302には、ダイヤル31の表示部311に対向する位置に、開口部(確認孔)303が形成されている。これにより、ダイヤル31の表示部311に表示された2−1通りの媒体のいずれが選択されているかが、開口部303を介して給紙カセット30の外部から視認することができる。
【0042】
このように構成された給紙カセット30(ダイヤル31および角度保持部材32を含む)と、検出センサ21および補助アーム22とにより、媒体供給装置(給紙装置)が構成される。
【0043】
図11は、画像形成装置10の制御系を示すブロック図である。画像形成装置10の制御を司る制御部100(判断部)は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等を備えて構成されており、パーソナルコンピュータ等のホスト装置101から印刷データと制御コマンドを受信して画像形成装置のシーケンス制御を行う。
【0044】
I/F制御部130は、ホスト装置101に画像形成装置10の情報(プリンタ情報等)を送信すると共に、ホスト装置101から送信されたコマンドを解析し、また、ホスト装置101から送信されたデータを処理する。
【0045】
帯電電圧制御部131は、制御部100の指示により、画像形成部108の感光体ドラム112の表面をそれぞれ一様に帯電させるため、画像形成部108の帯電ローラ113に帯電電圧を印加する。
【0046】
ヘッド制御部132は、制御部100の指示により、感光体ドラム112の表面を露光して静電潜像を形成するため、印刷データに従って、印刷ヘッド110を駆動する。
【0047】
現像電圧制御部133は、制御部100の指示により、感光体ドラム112上の静電潜像を現像するため、画像形成部108の現像ローラ114に現像電圧を印加する。
【0048】
転写電圧制御部134は、制御部100の指示により、感光体ドラム112の表面に形成されたトナー像を媒体に転写するため、転写ローラ109に転写電圧を印加する。
【0049】
定着制御部135は、定着装置(115,116)の温度を検出するサーミスタ140からの検出温度に基づき、ヒートローラ115に内蔵されたヒータ139への通電をオン・オフ制御する。
【0050】
給紙搬送制御部136は、制御部100の指示により、フィードモータ141および搬送モータ142を駆動する制御を行う。フィードモータ141は、フィードローラ104を回転駆動し、搬送モータ142は、搬送ローラ106および排出ローラ117,120を回転駆動する。
【0051】
画像形成駆動制御部137は、制御部100の指示により、感光体ドラム112および現像ローラ114を回転させるIDモータ143を駆動する。なお、帯電ローラ113は、感光体ドラム112に従動して回転する。
【0052】
定着駆動制御部138は、制御部100の指示により、ヒートローラ115を回転させる定着駆動モータ144を駆動する。なお、バックアップローラ116は、ヒートローラ115に従動して回転する。
【0053】
制御部100は、さらに、検出センサ21からの検出信号、すなわちn個のスイッチレバー211のON/OFF信号が入力される。制御部100は、検出センサ21からの検出信号に基づいて、給紙カセット30内の媒体サイズを判断する判断部に相当する。
【0054】
次に、画像形成装置10の動作について、図1および図2を参照して説明する。
画像形成装置10の制御部100は、ホスト装置101から印刷指示と印刷データを受信すると、画像形成動作を開始する。まず、給紙搬送制御部136がフィードモータ141を駆動し、フィードローラ104が回転して給紙カセット30内の媒体を搬送路に送り出す。
【0055】
フィードローラ104によって搬送路に送り出された媒体は、給紙センサ105を通過して、レジストローラ106およびプレッシャローラ107のニップ部に到達する。給紙搬送制御部136は、給紙センサ105の検知信号から所定のタイミングで搬送モータ142を駆動し、レジストローラ106およびプレッシャローラ107が回転を開始する。媒体は、レジストローラ106およびプレッシャローラ107によってスキューが矯正されたのち、画像形成部108に向けて搬送される。媒体は、通過センサ111を通過して、画像形成部108に到達する。
【0056】
制御部100は、通過センサ111の検知信号に基づき、以下のように画像形成部108におけるトナー像の形成を行う。
【0057】
すなわち、画像形成駆動制御部137によりIDモータ143が駆動され、感光体ドラム112および現像ローラ114が回転する。帯電ローラ113は、帯電電圧制御部131により帯電電圧が印加されると共に、感光体ドラム112に従動して回転し、感光体ドラム112の表面を一様に帯電する。さらに、ヘッド制御部132により印刷ヘッド110が駆動され、感光体ドラム112の表面を露光して静電潜像を形成する。また、現像ローラ114は、現像電圧制御部133により現像電圧が印加され、感光体ドラム112の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。
【0058】
転写ローラ109には、転写電圧制御部134によって転写電圧が印加されており、媒体が感光体ドラム112と転写ローラ109とのニップ部を通過する際に、感光体ドラム112の表面のトナー像が媒体に転写される。
【0059】
トナー像が転写された媒体は、定着装置(115,116)に搬送される。媒体上に転写されたトナー像は、ヒートローラ115とバックアップローラ116によって加熱・加圧されて、媒体に定着する。トナー像が定着した媒体は、排出ローラ117および従動ローラ118、並びに排出ローラ120および従動ローラ121によって搬送され、排出スタッカ119に排出される。
【0060】
次に、媒体サイズの設定および検出について説明する。上記の通り、検出スイッチ21は、押し込み型のn個(ここでは4個)のスイッチレバー211を有しており、スイッチレバー211の押し込みの組合せにより、2−1通りの媒体サイズの設定が可能である。
【0061】
図12に、n=4の場合の媒体サイズの設定例を示す。図12において、「OTHER」は不定型用紙、「TABLOID」は279.0mm×432.0mmの用紙、「LEGAL」は215.9mm×355.6mmの用紙を意味する。また、「LETTER」は215.9mm×279.4mmの用紙、「EXEC」は184.15mm×266.7mmの用紙を意味する。A3,A4,A5,A6,B4およびB5は、JIS P 0202で定められたA列、B列の用紙サイズを意味する。
【0062】
また、送り方向が選択可能な媒体については、媒体サイズと送り方向とが組み合わせられて設定されている。「縦送り」は、媒体が、その長手方向に搬送されるようにセットされていることを意味する。「横送り」は、媒体が、その幅(短手)方向に搬送されるようにセットされていることを意味する。
【0063】
これらの2−1通りの媒体サイズ(送り方向も含む)は、全て、ダイヤル31の表示部311に表示されている。使用者は、給紙カセット30を装置本体20に装着する前の状態で、ダイヤル突起部313の露出部分(図3に符号Aで示した部分)に触れてダイヤル31を回転させ、媒体のサイズを選択する。
【0064】
ここで、ダイヤル31において「OTHER」が選択された場合について説明する。この場合には、使用者は、給紙カセット30の開口部303(図10)から「OTHER」の表示が見えるような回転角度に、ダイヤル31を回転させる。ダイヤル31は、この回転角度で、角度保持部材32によって保持される。
【0065】
図13は、ダイヤル31において「OTHER」が選択された場合において、給紙カセット30が装置本体20に装着される前の、ダイヤル31と検出スイッチ21と補助アーム22との関係を示す図である。
【0066】
図13では、検出スイッチ21の4個(n個)のスイッチレバー211を、上から順に、スイッチS1,S2,S3,S4とする。また、ダイヤル31のダイヤル突起部313は、その複数の凸部313aのうち、図8で最も上部に位置していた凸部313aが、検出スイッチ21の下端のスイッチレバー211(スイッチS4)に対向しているものとする。
【0067】
給紙カセット30が装置本体20に装着されていない状態では、ダイヤル31のダイヤル突起部313が補助アーム22(当接部222)に到達していないため、検出スイッチ21のスイッチレバー211は、いずれも押し込まれない。すなわち、スイッチS1,S2,S3,S4は、いずれもOFFである。
【0068】
画像形成装置10の制御部100は、スイッチS1,S2,S3,S4がいずれもOFFの場合には、給紙カセット30が装着されていないと判断する。
【0069】
図14は、図13の状態から給紙カセット30が装置本体20に装着されたときの、ダイヤル31と検出スイッチ21と補助アーム22との関係を示す図である。
【0070】
図14に示すように、給紙カセット30が装置本体20に装着されると、ダイヤル31のダイヤル突起部313が、補助アーム22の当接部222に選択的に当接し、検出スイッチ21の各スイッチレバー211を選択的に押し込む。
【0071】
ダイヤル31が図14に示す回転角度にあるとき、検出スイッチ21の各スイッチレバー211(スイッチS1,S2,S3,S4)には、補助アーム22の当接部222を介して、ダイヤル突起部313の凸部、凸部、凹部、凸部がそれぞれ対向している。従って、検出スイッチ21のスイッチS1,S2,S4(上から1番目、2番目、4番目)に対応する検出レバー211が押し込まれる。すなわち、スイッチS1,S2,S4はONされ、スイッチS3はOFFのままである。
【0072】
画像形成装置10の制御部100は、スイッチS1,S2,S3,S4がON,ON,OFF,ONの場合には、給紙カセット30に不定型サイズの媒体が収容されていると判断する。
【0073】
ここでは、給紙カセット30に不定型サイズの媒体が収容された場合について説明したが、他の媒体サイズが収容された場合でも、同様にして媒体サイズの検出が行われる。
【0074】
このように、検出スイッチ21の4つのスイッチレバー211に対応するスイッチS1,S2,S3,S4のON/OFFの組み合わせにより、2−1通り(ここでは15通り)の媒体サイズの検出と、給紙カセット30が装着されているか否かの判断を行うことができる。
【0075】
なお、図12の設定例は、図13に示したダイヤル31の回転角度を0度(回転基準)として、ダイヤル31を図13における時計回り方向に24(360/(2−1))度ずつ回転させた場合の設定例である。
【0076】
また、図13に示されているように、補助アーム22の上下端の2つのアーム部221の当接部222の突出量(ダイヤル31側への突出量)は、中央の2つのアーム部221の当接部222の突出量よりも大きい。これは、ダイヤル突起部313が補助アーム22に対して回転半径方向に当接するため、上下端よりも中央でダイヤル突起部313が検出センサ21側に大きく張り出すためである。
【0077】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態では、給紙カセット30に設けたダイヤル31のダイヤル突起部313が、その周方向に複数の突起部(凸部)313aを有しており、回転角度に応じた一または複数の突起部313aにより、補助アーム22を介して検出スイッチ21のスイッチレバー211を押し込むように構成されているため、コンパクトな装置構成で、多くの媒体サイズを検出することができる。
【0078】
特に、従来技術のように、ドラム状の部材の軸方向に多数の突起を設けた場合と比較して、ダイヤル31の軸方向寸法が小さくて済むため、画像形成装置10の小型化に資することができる。
【0079】
また、ダイヤル突起部313が補助アーム22を介して検出スイッチ21を押し込むよう構成されているため、ダイヤル突起部313による検出スイッチ21の押し損ないを防止することができる。すなわち、例えば、検出スイッチ21の各スイッチレバー211が細いピン状の部材であっても、当該スイッチレバー211を確実に押し込むことができ、媒体サイズを確実に検出することができる。
【0080】
第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図15は、第2の実施の形態におけるダイヤル51を示す斜視図である。図15に示すように、第2の実施の形態のダイヤル51は、ダイヤル突起部513が回転係止部512と一体に形成されている点で、第1の実施の形態のダイヤル31と異なっている。
【0081】
ダイヤル突起部513は、回転係止部512の端面から、ダイヤル51の回転軸の方向(Y方向)に突出する突起部として形成されている。ダイヤル突起部513のY方向における先端面(XZ面と平行な端面)が、補助アーム42に当接して検出スイッチ41を押し込む当接面となる。
【0082】
ダイヤル突起部513において、Y方向に突出する突起部(凸部)513aおよび窪み部分(凹部)513bは、例えば第1の実施の形態の表1に示したようなパターンで配列されている。ダイヤル51の表示部511の構成は、第1の実施の形態の表示部311と同様である。
【0083】
図16に示すように、検出スイッチ41は、ダイヤル51のダイヤル突起部513に対してY方向に対向するように配置されている。検出スイッチ41は、n個のスイッチレバー411を有しているが、その押し込み方向はY方向である。すなわち、検出スイッチ41の各スイッチレバー411は、ダイヤル51の回転軸の方向に押し込まれるようになっている。
【0084】
図17および図18は、ダイヤル51、検出スイッチ41および補助アーム42の構成および作用を示す図である。
【0085】
補助アーム42は、各スイッチレバー411に対応するn個のアーム部421と、これらアーム部421の+X側に位置するアーム支持体420とを有している。アーム部421は、略X方向に延在しており、弾性変形(撓み変形)が可能に構成されている。
【0086】
アーム部421には、スイッチレバー411の端面に当接する当接部421aが形成されている。また、アーム部421の延在方向は、X方向に対して所定角度傾斜している。ダイヤル51が+X方向に移動すると、ダイヤル突起部513がアーム部421に当接し、アーム部421を弾性変形させながら当接部421aに達し、対応するスイッチレバー411を押し込む。
【0087】
次に、第2の実施の形態における媒体検出動作について説明する。
給紙カセット30が装置本体20に装着されていない状態では、図17に示すように、ダイヤル突起部513は補助アーム42に到達しておらず、検出スイッチ41のスイッチレバー411はいずれも押し込まれていない(OFF状態にある)。これにより、画像形成装置10の制御部100は、給紙カセット30が装着されていないと判断することができる。
【0088】
一方、図18に示すように、給紙カセット30が装置本体20に装着されると、ダイヤル51のダイヤル突起部513が、補助アーム42のアーム部421に当接し、このアーム部421を撓ませながら当接部421aに達し、対応するスイッチレバー411を押し込む。
【0089】
画像形成装置10の制御部100は、n個(ここでは4個)のスイッチレバー411のON/OFFの組み合わせに基づき、第1の実施の形態で説明したように(図11参照)、給紙カセット30に収容された媒体サイズを検出する。
【0090】
以上説明したように、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、コンパクトな装置構成で、多くの媒体サイズを検出することができる。
【0091】
加えて、検出スイッチ41および補助アーム42を、ダイヤル51に対して回転軸の方向(Y方向)に配置することができるため、装置本体20内における検出スイッチ41および補助アーム42の配置の自由度が向上する。
【0092】
上述した第1および第2の実施の形態では、プリンタについて説明したが、本発明は、例えばファクシミリ装置、複写機、複合機など、媒体に何らかの処理を行う装置に適用することも可能である。また、媒体は用紙に限定されるものではなく、他の媒体(例えばOHPシート)であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 画像形成装置、 20 装置本体、 21 検出スイッチ、 210 スイッチ支持体、 211 スイッチレバー(スイッチ部)、 22 補助アーム、 220 アーム支持体、 221 アーム部、 222 当接部、 30 給紙カセット(媒体カセット)、 31 ダイヤル、 311 表示部、 312 回転係止部、 313 ダイヤル突起部(突起形成部)、 32 角度保持部材(角度保持手段)、 41 検出スイッチ、 411 スイッチレバー(スイッチ部)、 42 補助アーム、 420 アーム支持体、 421 アーム部、 51 ダイヤル、 512 回転係止部、 513 ダイヤル突起部(突起形成部)、 100 制御部(判断部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収容し、所定の装着部に装着される媒体カセットと、
前記媒体カセットに設けられ、所定の回転軸を中心として回転可能なダイヤルと、
前記ダイヤルを所定の回転角度で保持する角度保持手段と、
前記装着部に装着された前記媒体カセットの前記ダイヤルに対向するように設けられ、互いに独立して変位可能な複数のアーム部を有する補助アームと、
前記補助アームの前記複数のアーム部によって押圧される複数のスイッチ部を有する検出スイッチと
を備え、
前記ダイヤルが、
媒体サイズを示す複数の表示を、前記回転軸を中心とする周方向に配列した表示部と、
前記角度保持手段により係止される回転係止部と、
前記補助アームの前記複数のアーム部を押圧可能な複数の突起部を、前記回転軸を中心とする周方向に配列した突起形成部と
を備え、
前記突起形成部の前記突起部は、前記ダイヤルの回転角度に応じて、前記補助アームの前記アーム部に選択的に当接して変位させ、前記検出スイッチの前記スイッチ部を選択的に押圧する
ことを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
前記ダイヤルの前記回転軸は、水平方向の回転軸であることを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項3】
前記ダイヤルの回転角度によって、前記突起形成部の前記突起部が前記アーム部に当接する角度が異なることを特徴とする請求項1または2に記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記表示部と前記回転係止部と前記突起形成部とが、前記回転軸の方向に一体的に組み合わされていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の媒体供給装置。
【請求項5】
前記回転係止部は、前記角度保持手段の係合部に係合可能な複数の被係合部を、前記回転軸を中心とする周方向に等間隔に形成したものであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記検出スイッチの前記複数のスイッチ部が、前記媒体カセットが前記装着部に挿入される方向と略平行な方向に押圧されるように配置されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の媒体供給装置。
【請求項7】
前記ダイヤルの前記複数の突起部が、前記ダイヤルの半径方向に突出していることを特徴とする請求項6に記載の媒体供給装置。
【請求項8】
前記検出スイッチの前記複数のスイッチ部が、前記ダイヤルの前記回転軸と略平行な方向に押圧されるように配置されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の媒体供給装置。
【請求項9】
前記ダイヤルの前記複数の突起部が、前記ダイヤルの回転軸の方向に突出していることを特徴とする請求項8に記載の媒体供給装置。
【請求項10】
前記媒体カセットに、前記表示部を外部から視認するための開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の媒体供給装置。
【請求項11】
媒体を収容する媒体カセットと、前記媒体カセットが装着される装置本体とを備えた画像形成装置であって、
前記媒体カセットが、
所定の回転軸を中心として回転可能なダイヤルと、
前記ダイヤルを所定の回転角度で保持する角度保持手段と
を備え、
前記装置本体が、
当該装置本体に装着された前記媒体カセットの前記ダイヤルに対向するように設けられ、互いに独立して変位可能な複数のアーム部を有する補助アームと、
前記補助アームの前記複数のアーム部によって押圧される複数のスイッチ部を有する検出スイッチと、
前記検出スイッチの検出結果に基づき、前記媒体カセットに収容された媒体のサイズを判断する判断部と
を備え、
前記ダイヤルが、
媒体サイズを示す複数の表示を、前記回転軸を中心とする周方向に配列した表示部と、
前記角度保持手段により係止される回転係止部と、
前記補助アームの前記複数のアーム部を押圧可能な複数の突起部を、前記回転軸を中心とする周方向に配列した突起形成部と
を備え、
前記突起形成部の前記突起部は、前記ダイヤルの回転角度に応じて、前記補助アームの前記アーム部に選択的に当接して変位させ、前記検出スイッチの前記スイッチ部を選択的に押圧する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記検出スイッチの前記複数のスイッチ部の個数をn個とすると、
前記判断部は、前記複数のスイッチ部の押圧状態に基づき、2−1通りの媒体のサイズを検出可能であり、前記複数のスイッチ部の全てが押圧されていないときには、前記媒体カセットが未装着であると判断することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−112449(P2013−112449A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258926(P2011−258926)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】