説明

媒体処理装置、及び媒体処理方法

【課題】この発明は、利用者が投入した投入物からより確実にクリップ40を検出するとともに、検出したクリップ40の除去を容易にすることができる貨幣処理装置10、及び貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】投入された投入物を搬送する搬送路16と、搬送された投入物に向けて照明光Laを発光する発光部22と、照明光Laが投入物で反射した反射光Lbを受光して投入物を撮影する撮影部23と、撮影部23で撮影した投入物の撮影画像を記憶する記憶部18と、撮影画像から抽出した投入物の輪郭に基づいて投入物が処理可能な媒体であるか否かを判定し、投入物が処理可能な硬貨30でなければ、投入物を異物として識別するとともに、クリップ40の形状を示す異物画像55を出力する制御部20と、異物画像55を表示する第2操作・表示部25とを備えた貨幣処理装置10であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばATMや精算機のように、投入された貨幣などの媒体を内部に搬送するとともに、媒体の真偽等を識別するような媒体処理装置、及び媒体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
投入された貨幣などの媒体を内部に搬送するとともに、媒体の真偽等を識別するような媒体処理装置において、ときに処理可能な媒体とともに誤って投入される異物、あるいは悪戯や犯罪目的で故意に投入される異物が問題となることがあった。
【0003】
具体的には、媒体処理装置に異物が混入すると、媒体処理装置の内部における搬送路や収容部等で詰まりが生じて異常停止する、あるいはセンサや駆動部を損傷して故障の原因となるおそれがある。さらに、媒体処理装置の内部に媒体ととともに異物が貯留されると、利用者に対して媒体とともに異物が排出されて利用者が怪我をするおそれもあった。
【0004】
このような問題に対して、混入した異物を検出する、あるいは異物を処理可能な媒体と分離して排出する技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の硬貨残留検知装置では、硬貨出金口に接続した硬貨通路に設けた静電容量式非接触センサにより、硬貨通路上に残留する硬貨、あるいは硬貨出金口から挿入される指や棒などの異物を検知するとされている。
【0005】
また、特許文献2に記載の自動取引装置では、紙幣とともに投入された異物を分離するとともに、異物を撮影して画面上に表示して、利用者に対して返却の要否を確認することにより、利用者にとって必要な異物を安全に返却して、不要な異物は内部に貯留するとされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の硬貨残留検知装置における静電容量式非接触センサを硬貨の投入口側に設けたとしても、静電容量式非接触センサに反応しない異物を検出できないという問題がある。
また、特許文献2に記載の自動取引装置は、異物を分離する必要があるため、分離できなかった異物が搬送路に混入するという問題がある。
【0007】
そして、異物が搬送路等で詰まると、媒体処理装置が異常停止し、係員がその都度、詰まりの原因となった異物を探して除去する必要がある。しかし、どのような異物がどこに詰まっているかが不明なため、係員が異物を除去するのに手間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−193090号公報
【特許文献2】特開2007−34936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上述の問題に鑑み、利用者が投入した投入物からより確実に異物を検出するとともに、検出した異物の除去を容易にすることができる媒体処理装置、及び媒体処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、投入された投入物を搬送する搬送手段と、搬送された前記投入物に向けて照明光を発光する発光手段と、該発光手段の前記照明光が前記投入物で反射した反射光を受光して前記投入物を撮影する撮影手段と、該撮影手段で撮影した前記投入物の撮影画像を記憶する記憶手段と、前記撮影画像から抽出した投入物の輪郭に基づいて前記投入物が処理可能な媒体であるか否かを判定し、前記投入物が前記処理可能な媒体でなければ、前記投入物を異物として識別するとともに、前記異物の形状を示す異物画像を出力する異物識別手段と、前記異物画像を表示する表示手段とを備えた媒体処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明により、利用者が投入した投入物からより確実に異物を検出するとともに、検出した異物の除去を容易にできる媒体処理装置、及び媒体処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】貨幣処理装置の構成を示す構成図。
【図2】貨幣処理装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】貨幣識別部における光学検知部の平面視を示す平面図。
【図4】貨幣識別部における発光部と撮影部の側面視を示す側面図。
【図5】硬貨処理の動作を示すフローチャート。
【図6】投入物識別処理の動作を示すフローチャート。
【図7】第1の撮影画像について説明する説明図。
【図8】第2の撮影画像について説明する説明図。
【図9】第3の撮影画像について説明する説明図。
【図10】異物画像を第2操作・表示部に表示した画面を示す異物案内画面。
【図11】紙幣処理の動作を示すフローチャート。
【図12】投入物識別処理の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0014】
なお、図1は貨幣処理装置10(媒体処理装置)の構成図を示し、図2は貨幣処理装置10の内部構成のブロック図を示し、図3は貨幣識別部12における光学検知部21の平面図を示し、図4は貨幣識別部12における発光部22(発光手段)と撮影部23(撮影手段)の側面図を示している。
【0015】
貨幣処理装置10は、図1に示すように、入出金機構部11、貨幣識別部12、金種別収容部13、貨幣一括収容部14、及び脱着式貨幣収容部15、及び各部の間を接続して貨幣(処理可能な媒体)を搬送する搬送路16(搬送手段)で構成している。なお、搬送路16は、図1において、矢印で示す搬送方向Cに貨幣を搬送している。
【0016】
より具体的には、貨幣処理装置10は、図2に示すように、入出金機構部11、貨幣識別部12、金種別収容部13、貨幣一括収容部14、脱着式貨幣収容部15、搬送機構部17、記憶部18(記憶手段)、第1操作・表示部19、第2操作・表示部25(表示部)、及び制御部20(異物識別手段)で構成している。
【0017】
入出金機構部11は、貨幣の投入を受付けて搬送路16へ送る機能、及び搬送路16から搬送された貨幣を排出する機能を有している。
貨幣識別部12は、光学検知部21、発光部22、撮影部23、及び磁気検知部24で構成し、投入された貨幣の真偽、及び金種を識別するための情報を取得して制御部20に出力する機能を有している。
【0018】
光学検知部21は、透過型光学センサで構成し、図3に示すように、搬送路16の搬送方向Cに対して略直角方向に、発光ユニット21aと受光ユニット21bとを搬送路16を挟んで対向して配置するとともに、発光ユニット21aから受光ユニット21bに向けてセンサ光Sを発光している。そして、光学検知部21は、貨幣の通過を検知して制御部20に検知信号を出力する機能を有している。
【0019】
発光部22は、図4に示すように、二つ一組で構成し、搬送路16の上方において搬送路16上の略同じ位置に向けて照明光La(照明光)を照射可能に配置するとともに、制御部20の指示により、搬送路16上の貨幣に向けて照明光Laを発光する機能を有している。
【0020】
撮影部23は、CCDカメラで構成し、図4に示すように、発光部22の間で、かつ発光部22より上方に配置するとともに、照明光Laが搬送路16上の貨幣で反射した反射光Lb(反射光)を受光して、搬送路16上の貨幣を撮影する機能を有している。
【0021】
磁気検知部24は、磁気センサなどで構成し、搬送路16上の貨幣の磁気を検知する機能を有している。
なお、発光部22、撮影部23、及び磁気検知部24は、光学検知部21に対して搬送方向Cへ離間した位置に配置している。
【0022】
金種別収容部13は、制御部20の指示により、金種毎に分別して貨幣を収容する機能、及び金種毎に貨幣を搬送路16へ送り出す機能を有している。
貨幣一括収容部14は、金種別収容部13で収容しきれない貨幣を金種毎に分別することなく一括して収容する機能、及び制御部20の指示により、貨幣を搬送路16へ送り出す機能を有している。
【0023】
脱着式貨幣収容部15は、貨幣処理装置10から脱着可能であって、補充用の貨幣、及び回収する貨幣を収容するとともに、制御部20の指示により、貨幣を搬送路16へ送り出す機能を有している。
【0024】
搬送機構部17は、複数の搬送ベルト、搬送ローラ、及び駆動モータ等で構成した搬送路16を、制御部20の指示により、搬送先に応じて駆動モータ等を適切に制御して搬送路16を切換える機能を有している。
【0025】
記憶部18は、各部の制御プログラムや貨幣識別プログラムなどの各種プログラム、金種データ、後述する金種ごとの基準テンプレート画像、及び真円指標に対する閾値などの各種データを記憶している。
【0026】
第1操作・表示部19は、タッチパネルなどで構成するとともに、貨幣処理装置10の利用者に対して操作案内やメニューを表示する機能、及び利用者の操作を受付ける機能を有している。
【0027】
第2操作・表示部25は、タッチパネルなどで構成して、貨幣処理装置10のメンテナンス扉内などに配置するとともに、稼働状況を示す情報や各種エラー情報などを表示する機能、及び係員の操作を受付ける機構を有している。
【0028】
制御部20は、CPUやメモリなどで構成し、記憶部18から読み込んだ各種プログラムを実行する機能、及び所定のバスを介して接続した各部を制御する機能を有している。
【0029】
以上のような構成の貨幣処理装置10によって、利用者が投入した投入物からより確実に異物を検出するとともに、検出した異物の除去を容易することができる。
具体的には、貨幣処理装置10における処理可能な貨幣が硬貨30(処理可能な媒体)である場合について、図5から図10を用いて詳しく説明する。
【0030】
なお、図5は硬貨処理の動作のフローチャートを示し、図6は投入物識別処理の動作のフローチャートを示し、図7は第1の撮影画像51(撮影画像)について説明する説明図を示し、図8は第2の撮影画像52について説明する説明図を示し、図9は第3の撮影画像53について説明する説明図を示し、図10は異物画像55(異物画像)を第2操作・表示部25に表示した異物案内画面54を示している。
【0031】
また、図7、図8、及び図9において、(a)は撮影部23で撮影した投入物の撮影画像を示し、(b)は輪郭抽出処理で抽出した投入物の輪郭画像を示している。
【0032】
まず、利用者が投入した投入物を入出金機構部11が受付けると、制御部20は、図5に示すような硬貨処理を開始して、搬送機構部17を制御して投入物を貨幣識別部12に搬送するとともに、光学検知部21で検知した投入物を撮影部23で撮影する撮影処理を実行する(ステップS101)。
【0033】
具体的には、図3に示すように、搬送路16上の投入物(ここでは仮に、硬貨30を図示する)が光学検知部21に差し掛かると、発光ユニット21aから受光ユニット21bに向けて照射しているセンサ光Sが遮断される。これにより、光学検知部21は、投入物の到着を検知する。
【0034】
そして、光学検知部21が投入物を検知すると、制御部20の指示により、発光部22は照明光Laを投入物に向けて発光する。さらに、制御部20の指示により、撮影部23は、反射光Lbを受光して投入物を撮影する。そして、制御部20の指示により、記憶部18は、投入物を撮影した撮影画像を記憶する。
【0035】
ここで、利用者が投入した投入物を撮影した撮影画像として、図7から図9に示すような3種類の撮影画像が得られたとする。
第1の撮影画像51は、図7の(a)に示すように、貨幣処理装置10が処理可能な硬貨30ではなく、書類等を止めるクリップ40(異物)が搬送方向Cに対して斜めに傾いた状態を撮影している。
【0036】
第2の撮影画像52は、図8の(a)に示すように、クリップ40の一部が硬貨30からはみ出すように重なり合った状態を撮影している。
第3の撮影画像53は、図9の(a)に示すように、クリップ40が硬貨30からはみ出すことなく重なり合った状態を撮影している。
【0037】
次に、制御部20は、撮影画像から抽出した投入物の輪郭に基づいて投入物が処理可能な硬貨30か否かを判定して、異物の有無を識別する投入物識別処理を実行する(ステップS102)。
【0038】
まず、制御部20は、図6に示すように、撮影画像から投入物の輪郭を抽出する輪郭抽出処理を実行する(ステップS201)。
具体的には、制御部20は、撮影画像を二値化画像に変換して、二値化画像の投入物と背景である搬送路16との境界をトレースして投入物の輪郭線を抽出した輪郭画像を作成する。
【0039】
例えば、第1の撮影画像51から投入物の輪郭を抽出した第1の輪郭画像51aは、図7の(b)に示すように、略矩形の輪郭線41を表示している。
また、第2の撮影画像52から投入物の輪郭を抽出した第2の輪郭画像52aは、図8の(b)に示すように、略円状の輪郭線32と、輪郭線32の一部が略凸状に突出した輪郭線42を表示している。
また、第3の撮影画像53から投入物の輪郭を抽出した第3の輪郭画像53aは、図9の(b)に示すように、略円形の輪郭線33を表示している。
【0040】
その後、制御部20は、輪郭画像から抽出した輪郭線に基づいて、投入物がどの程度真円に近いかを示す真円指標を算出する(ステップS202)。
具体的には、まず、輪郭画像の横方向(搬送方向C)をX軸とし、X軸に直交する方向、つまり輪郭画像の縦方向をY軸とする仮想平面座標を輪郭画像上に形成する。
【0041】
そして、抽出した輪郭線に対して、Y座標が同じである2つの最外点を結ぶ線の中点を算出する。同様に、複数の異なるY座標における中点を算出する。その後、各中点のX座標からX座標の最頻値を算出し、X座標の最頻値における度数を、中点を算出した最外点の数で除算した値を、X座標の真円指標とする。
【0042】
なお、X座標の最頻値となった中点群を図示すると、第1の輪郭画像51aの場合、図7の(b)の破線で示すように、輪郭線41の対角を略クランク状に結ぶ線状に図示される。また、第2の輪郭画像52aの場合、図8の(b)の破線で示すように、輪郭線32の略中心を通ってY軸方向に、半径よりも若干長く延びる線状に図示される。また、第3の輪郭画像53aの場合、図9の(b)の破線で示すように、輪郭線33の直径と略同等の長さでY軸方向に延びる線状に図示される。
【0043】
さらに、X座標の真円指標と同様に、Y座標の真円指標を算出する。そして、X座標の真円指標にY座標の真円指標を加算した値を投入物の真円指標とする。なお、投入物の真円指標は、投入物の輪郭が真円である場合に最大となる。
【0044】
ここで、第1の撮影画像51における投入物の真円指標を仮に「0.1」とし、第2の撮影画像52における投入物の真円指標を仮に「0.6」、及び第3の撮影画像53における投入物の真円指標を仮に「0.9」とする。
【0045】
真円指標を算出すると、制御部20は、記憶部18から真円指標に対する第1閾値、及び第2閾値を読込んで、投入物の真円指標と比較判定する。
第1閾値は、真円指標が真円から遠いことを示す値であり、ここでは仮に「0.5」とする。一方、第2閾値は、真円指標が真円に近いことを示す値であるとともに、処理可能な硬貨30の真円指標と略同等とし、ここでは仮に「0.8」とする。
【0046】
まず、制御部20は、第1閾値と投入物の真円指標を比較判定する(ステップS203)。投入物の真円指標が第1閾値「0.5」以下であれば(ステップS203:Yes)、撮影画像の投入物が処理可能な硬貨30ではなく異物であると判定する(ステップS204)。その後、制御部20は、撮影画像を異物画像として出力し(ステップS205)、識別処理を終了する。
【0047】
すなわち、第1の撮影画像51における投入物の真円指標が「0.1」であることから、第1の撮影画像51における投入物であるクリップ40は、異物として判定される。そして、制御部20は、第1の撮影画像51を異物画像として出力する。
【0048】
一方、ステップS203において、投入物の真円指標が第1閾値「0.5」より大きければ(ステップS203:No)、制御部20は、投入物の真円指標と第2閾値とを比較判定する(ステップS206)。
【0049】
投入物の真円指標が第2閾値「0.8」以下であれば(ステップS206:Yes)、制御部20は、硬貨30からはみ出した状態で重なり合うなどした異物を含んだ投入物であると識別して異物と判定する(ステップS207)。
【0050】
すなわち、第2の撮影画像52における投入物の真円指標が「0.6」であることから、第2の撮影画像52における投入物は、硬貨30を含むが異物として識別される。
【0051】
その後、制御部20は、撮影画像から異物の形状を抽出して、異物画像として出力する異物形状抽出処理を実行する(ステップS208)。
具体的には、輪郭画像において、中点の最頻値となった最外点で構成する輪郭線と、中点の最頻値以外の最外点で構成する輪郭線との接続点は、投入物の輪郭線における変曲点であるとともに、硬貨30と異物との接続点である可能性が高い。
【0052】
そこで、制御部20は、撮影画像に対してエッジ抽出フィルタによりエッジ抽出処理を行い、接続点を始点として、エッジ成分の高い点から撮影画像の中心に向けてトレースして異物の形状を抽出する。その後、制御部20は、抽出した異物の形状を異物画像として出力して、識別処理を終了する。
【0053】
例えば、異物と判定された第2の撮影画像52の場合、図8の(b)に示すように、中点の最頻値となった最外点群を実線で示した輪郭線32aと、中点の最頻値以外の最外点群を一点鎖線で示した輪郭線32bとが接する2つの点を接続点P1、及びP2とする。
【0054】
この2つの接続点P1、及びP2をトレースの始点候補とし、輪郭線の方向の変化率の大きい側、つまり、硬貨30からクリップ40がはみ出した側の接続点P2を始点として撮影画像の中心に向けてエッジ成分をトレースして、異物であるクリップ40の形状を抽出する。
【0055】
一方、ステップS206において、投入物の真円指標が第2閾値「0.8」より大きければ(ステップS206:No)、制御部20は、投入物の輪郭からX軸方向、及びY軸方向における投入物の長さを取得して、X軸方向の長さとY軸方向の長さとを比較する(ステップS209)。
【0056】
これは、投入物の真円指標が真円に近い値であっても、処理可能な硬貨30でない場合があるためである。例えば、X軸、及びY軸方向に対象な矩形、あるいは楕円形であれば、真円指標は真円に近い値を示す。そこで、X軸、及びY軸方向の長さを比較することで、処理可能な円形状の硬貨30であるか否かを判別する。
【0057】
X軸方向の長さとY軸方向の長さの差が大きければ(ステップS209:Yes)、制御部20は、撮影画像の投入物が円形状でないと識別し、異物として判定する(ステップS204)。そして、制御部20は、撮影画像を異物画像として出力し(ステップS205)、投入物識別処理を終了する。
【0058】
一方、X軸方向の長さとY軸方向の長さの差が小さければ(ステップS209:No)、制御部20は、投入物の形状が処理可能な硬貨30と略同等の円形状であると判定する。
【0059】
すなわち、第3の撮影画像53における投入物の真円指標が「0.9」で、X軸方向の長さとY軸方向の長さの差が小さいことから、制御部20は、投入物を硬貨30と同等の円形状であると判定する。
【0060】
そして、制御部20は、記憶部18に記憶している基準テンプレート画像と撮影画像とのテンプレートマッチングによる金種識別処理を実行する(ステップS210)。
【0061】
具体的には、制御部20は、X軸方向、及びY軸方向の長さから近似する基準テンプレート画像を選択する。そして、撮影画像に対して基準テンプレートの角度を順に変えて重ね合わせるようにしてテンプレートマッチングを行う。その後、制御部20は、撮影画像の投入物に該当する金種があるか否かを判定する(ステップS211)。
【0062】
該当する金種がなければ(ステップS211:No)、制御部20は、撮影画像の投入物を該当する金種なしとして、投入物識別処理を終了する。
【0063】
一方、該当する金種があれば(ステップS211:Yes)、制御部20は、該当する金種の基準テンプレート画像、及び撮影画像における画素の差分量を算出する差分量算出処理を実行する(ステップS212)。
【0064】
具体的には、制御部20は、該当する金種の基準テンプレート画像の表裏と角度とを撮影画像に合わせたのち、各画素における差の絶対値を求め、絶対値の総和を差分量として算出する。その後、制御部20は、差分量に基づいて判定する(ステップS213)
差分量が大であれば(ステップS213:No)、制御部20は、撮影画像の投入物に異物が混入していると識別し、撮影画像の投入物を異物と判定する(ステップS214)。そして、制御部20は、撮影画像から差分量の大きい画素成分をトレースして、異物の形状を抽出する(ステップS215)。その後、制御部20は、抽出した異物の形状を異物画像として出力して、識別処理を終了する。
【0065】
すなわち、硬貨30と略同等の円形状であると判定した第3の撮影画像53の場合、クリップ40で隠れる硬貨30の領域が小さいため、金種識別処理で金種が確定する。ところが、差分量算出処理において、クリップ40の分だけ差分量が大きくなるため、制御部20は、撮影画像の投入物に異物が混入していると判定し、差分量から異物であるクリップ40の形状を抽出する。
【0066】
一方、ステップS213において、差分量が小であれば(ステップS213:Yes)、制御部20は、撮影画像の投入物が貨幣処理装置10で処理可能な硬貨30であると判定し(ステップS216)、投入物識別処理を終了する。
【0067】
図5のステップS102に戻り、投入物識別処理を終了すると、制御部20は、投入物識別処理の結果を判定する(ステップS103)。投入物識別処理で投入物を異物でないと判定した場合(ステップS103:No)、制御部20は、該当金種のある投入物であれば、処理可能な硬貨30であることから、金種ごとに分別して投入物を金種別収容部13に収容し、該当金種のない投入物であれば、処理できない硬貨として返却するなどの通常処理を行う(ステップS104)。
【0068】
一方、投入物を異物と判定した場合(ステップS103:Yes)、制御部20は、処理の停止、及び投入物の搬送を停止する制御信号を各部に出力する。制御部20の指示により、搬送機構部17は、駆動モータ等を制御して投入物の搬送を停止する。また、制御部20の指示により、第1操作・表示部19は、異常を示すメッセージとともに、利用者に対して係員を呼ぶよう指示するメッセージを表示する。
【0069】
さらに、制御部20は、投入物識別処理で出力した異物画像に基づいて、X軸方向、及びY軸方向における異物の長さを算出する(ステップS106)。そして、制御部20の指示より、第2操作・表示部25は、異物画像55を表示するとともに、異物の長さを表示した異物案内画面54を表示する(ステップS107)。その後、制御部20は、硬貨処理を終了する。
【0070】
この異物案内画面54には、異物であるクリップ40の形状を示す異物画像55と、X軸方向、及びY軸方向におけるクリップ40の長さと、「異物が装置内に混入している可能性があります。障害の原因となりますので、除去して下さい。上図の形状、及びサイズを参考にして、搬送路上や搬送路外を捜して下さい。」というメッセージを表示する。
【0071】
そして、係員が第2操作・表示部25の表示された異物案内画面54を確認して、表示された形状、大きさに該当する異物、つまりクリップ40を貨幣処理装置10内から除去する。なお、係員がリセットボタン等を押下することで、制御部20は、硬貨処理を再開する。
【0072】
以上のような動作を実現する貨幣処理装置10、及び貨幣処理方法は、利用者が投入した投入物から確実に異物であるクリップ40を検出するとともに、検出したクリップ40の除去を容易にすることができる。
【0073】
具体的には、発光部22、撮影部23、及び記憶部18により、どのような投入物が搬送されても撮影画像として記録することができる。すなわち、貨幣処理装置10が処理できないクリップ40そのもの、あるいは処理可能な硬貨30とクリップ40とが同時に搬送された場合であっても、投入物を撮影画像として記憶することができる。
【0074】
そして、制御部20が実行する投入物識別処理により、投入物の輪郭に基づいて処理可能な硬貨30であるか否かを判定するため、貨幣処理装置10は、利用者が投入した投入物から確実にクリップ40を異物として検出できる。これにより、貨幣処理装置10は、投入物の搬送を停止して搬送路16等で詰まりや機器の損傷が生じることを防止できる。
【0075】
そして、第2操作・表示部25に異物画像55を表示することで、係員に混入したクリップ40の形状を容易に伝えることができる。すなわち、係員は、貨幣処理装置10から容易にクリップ40を除去することができる。
【0076】
さらに、万一、搬送路16等からクリップ40が落下した場合でも、係員は、落下したクリップ40が搬送を停止した原因となった異物であるかどうかを容易に判別することができる。
【0077】
従って、貨幣処理装置10は、利用者が投入した投入物から確実に異物であるクリップ40を検出するとともに、検出したクリップ40の除去を容易にすることができる。
【0078】
また、第2操作・表示部25に異物画像55と、クリップ40の大きさとを表示することにより、貨幣処理装置10は、クリップ40の形状だけでなく、クリップ40の大きさも係員に伝えることができる。これにより、係員は、第2操作・表示部25に表示された形状、大きさから、クリップ40をより容易に捜すことができ、迅速に異物であるクリップ40を除去することができる。
【0079】
従って、貨幣処理装置10は、利用者が投入した投入物から確実にクリップ40を検出するとともに、クリップ40の形状と大きさを第2操作・表示部25に表示することで、検出したクリップ40の除去をより容易にすることができる。
【0080】
また、投入物の真円指標と、第1閾値、及び第2閾値の少なくとも一方とを比較して、投入物が処理可能な硬貨30であるか否かを判定し、投入物が処理可能な硬貨30でない場合、投入物を異物と判定するとともに、異物の形状を示す異物画像55を出力することにより、投入物から確実にクリップ40を検出することができる。
【0081】
具体的には、処理可能な貨幣が硬貨30である場合において、撮影画像の投入物が円形状でないほど異物である可能性が高くなる。つまり、投入物の真円指標と、第1閾値、及び第2閾値の少なくとも一方とを比較して、投入物がどの程度真円に近い円形状であるかを判定することにより、投入物が処理可能な硬貨30であるか否かを判定することができる。
【0082】
従って、貨幣処理装置10は、処理可能な貨幣が硬貨30である場合において、投入物の真円指標から処理可能な硬貨30である否かを判定することで、利用者が投入した投入物から確実にクリップ40を検出するとともに、検出したクリップ40の除去を容易にすることができる。
【0083】
より具体的には、投入物の真円指標と第1閾値とを比較して、真円指標が第1閾値以下であれば、処理可能な硬貨30でなく異物と判定するとともに、投入物の撮影画像を異物画像55として出力することにより、投入物から確実に異物を検出することができる。
【0084】
例えば、第1の撮影画像51の場合、投入物の真円指標が第1閾値以下であることから、貨幣処理装置10は、投入物が円形状でない可能性が高く、処理可能な硬貨30でないと判定することができる。これにより、貨幣処理装置10は、第1の撮影画像51における投入物であるクリップ40を異物として識別することができる。
【0085】
従って、貨幣処理装置10は、第1の撮影画像51の投入物から確実にクリップ40を検出するとともに、検出したクリップ40の除去を容易にすることができる。
【0086】
また、投入物の真円指標が第1閾値と第2閾値との間であれば、投入物を異物とするとともに、撮影画像にエッジ処理を施して異物の形状を抽出した異物画像55を出力することにより、ある程度の円形状の輪郭線を有するが、処理可能な硬貨30ではない投入物を異物して確実に検出することができる。
【0087】
例えば、第2の撮影画像52の場合、投入物の真円指標が第1閾値と第2閾値との間であることから、貨幣処理装置10は、投入物がある程度の円形状の輪郭線を有するが、硬貨30の真円指標と異なるため、処理可能な硬貨30でないと判定することができる。
【0088】
そして、撮影画像にエッジ処理を施して、輪郭線の接続点からエッジ成分の高い部分をトレースしてクリップ40の形状を抽出することにより、第2の撮影画像52のように異物であるクリップ40の一部がはみ出すように硬貨30に重なった状態であっても、クリップ40を異物として確実に検出することができる。
【0089】
これにより、貨幣処理装置10は、第2操作・表示部25にクリップ40の形状を表示することができる。そして、係員は、第2操作・表示部25に表示されたクリップ40の形状に基づいて容易にクリップ40を除去することができる。
【0090】
また、一部が変形した硬貨30においても、同様に異物として検出できるため、貨幣処理装置10内において詰まりや機器の損傷を防止できる。
従って、貨幣処理装置10は、異物であるクリップ40の一部がはみ出すように硬貨30に重なった状態の投入物から確実にクリップ40を検出するとともに、クリップ40の除去を容易にすることができる。
【0091】
また、投入物の真円指標と第2閾値とを比較して、真円指標が第2閾値以下で、かつ投入物の撮影画像と基準テンプレートとを比較した差分量が大きければ、投入物を異物と判定するとともに、基準テンプレート画像、及び撮影画像における画素の差分量から異物の形状を抽出した異物画像55を出力することにより、貨幣処理装置10は、処理可能な硬貨30と異物とが重なり合った状態で搬送された場合においても、確実に異物を検出することができる。
【0092】
例えば、第3の撮影画像53の場合、投入物の真円指標が第2閾値以下であることから、投入物は、真円に近い円形状であるとともに処理可能な硬貨30である可能性が高い。しかしながら、大きさが同じ金属板、あるいは硬貨30に異物が重なり合った投入物の可能性もある。
【0093】
そこで、貨幣処理装置10は、撮影画像と基準テンプレート画像と比較する、所謂、テンプレートマッチングにより、投入物が処理可能な硬貨30であるか否かを判定するとともに、異物が重なり合っているか否かを判定することができる。これにより、硬貨30からはみ出すことなく重なりあったクリップ40を検出することができる。
【0094】
そして、差分量の大きい画素をトレースしてクリップ40の形状を抽出することにより、貨幣処理装置10は、処理可能な硬貨30にクリップ40が重なっていても、第2操作・表示部25にクリップ40の形状を表示することができる。よって、係員は、第2操作・表示部25に表示されたクリップ40の形状に基づいて容易にクリップ40を除去することができる。
【0095】
従って、貨幣処理装置10は、処理可能な硬貨30とクリップ40とが重なり合った状態で搬送された投入物から確実にクリップ40を検出するとともに、検出したクリップ40の除去を容易にすることができる。
【0096】
なお、上述した実施例1において、投入物の真円指標として、X座標の真円指標にY座標の真円指標を加算した値としたが、これに限定せず、投入物の最大径と最小径の差である真円度とし、第1閾値を真円度大、第2閾値を真円度小となる値としてもよい。この際、第2閾値は、処理可能な硬貨30の真円度と略同等との値とすることが好ましい。
【0097】
これにより、図6のステップS203において真円指標が第1閾値以上であれば、投入物を異物と判定し、さらにステップS206において真円指標が第2閾値以上であれば、投入物を異物と判定することができる。
【0098】
また、異物と判定した投入物における磁気出力を磁気検知部24で検出し、クリップ40のように詰まりなどの障害を起こすおそれのある異物と、綿ゴミのような障害を起こすおそれのない異物とに識別して、障害を起こすおそれのない異物の場合は、貨幣処理装置10を停止しない、あるいは別の処理を行うなどしてもよい。
【0099】
また、異物は、クリップ40としたが、これに限定せず、詰まりなどの障害を起こすおそれのある一部が変形した硬貨、金属片、あるいは紙片であってもよい。
また、第1閾値を「0.5」、及び第2閾値を「0.8」としたが、これに限定せず、処理可能な媒体に応じた適宜の数値としてもよい。なお、第2閾値は、処理可能な媒体の真円指標と略同等であることが好ましい。
【実施例2】
【0100】
別の実施例として、貨幣処理装置10における処理可能な貨幣が紙幣(処理可能な媒体)である場合について、図11、及び図12を用いて詳しく説明する。
なお、図11は紙幣処理の動作のフローチャートを示し、図12は投入物識別処理の動作のフローチャートを示している。
【0101】
また、貨幣処理装置10は、図1、及び図2に示した上述の実施例1における構成と同一の構成とし、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
まず、利用者が投入した投入物を入出金機構部11が受付けると、制御部20は、図11に示すような紙幣処理を開始して、投入物の撮影処理を実行する(ステップS301)。この投入物撮影処理は、図5のステップS201の同様の処理のため、詳しい説明を省略する。
【0102】
次に、制御部20は、撮影画像から抽出した投入物の輪郭に基づいて投入物が処理可能な紙幣か否かを判定して、異物の有無を識別する投入物識別処理を実行する(ステップS302)。
【0103】
まず、制御部20は、図6に示すように、撮影画像から投入物の輪郭を抽出する輪郭抽出処理を実行する(ステップS401)。なお、輪郭抽出処理は、図6のステップS201と同様の処理のため、詳しい説明を省略する。
【0104】
その後、制御部20は、撮影画像から抽出した輪郭に基づいて、撮影画像の投入物の大きさを算出する(ステップS402)。
具体的には、まず、輪郭画像の横方向(搬送方向C)をX軸とし、X軸に直交する方向、つまり輪郭画像の縦方向をY軸とする仮想平面座標を輪郭画像上に形成する。そして、抽出した輪郭のX軸方向における長さの絶対値と、Y軸方向における長さの絶対値を算出する。すなわち、投入物に外接する矩形のサイズを算出する。
【0105】
そして、制御部20は、算出したX軸方向、及びY軸方向の長さに基づいて判定を行う(ステップS403)。X軸方向、あるいはY軸方向の長さが処理可能な紙幣よりも小さければ(ステップS403:No)、制御部20は、磁気検知部24で投入物の磁気出力を検知する(ステップS404)。
【0106】
投入物の磁気出力が処理可能な紙幣より小さければ(ステップS404:No)、制御部20は、投入物が、紙幣でなく、レシートや付箋紙等の異物であると識別する。そして、制御部20の指示により、搬送機構部17が搬送方向Cを反転させるとともに、入出金機構部11が投入物を異物として排出する(ステップS405)。その後、制御部20は、投入物識別処理を終了する。
【0107】
一方、投入物の磁気出力が処理可能な紙幣より大きければ(ステップS404:Yes)、制御部20は、クリップ40等の異物であると判定する(ステップS406)。その後、制御部20は、撮影画像を異物画像として出力して識別処理を終了する。
【0108】
ステップS403において、X軸方向、あるいはY軸方向の長さが処理可能な紙幣よりも大きければ(ステップS403:Yes)、制御部20は、通常処理として金種識別処理を実行する(ステップS407)。そして、制御部20は、金種識別処理の結果に基づいて投入物の真偽を判定する(ステップS408)。
【0109】
該当金種がなければ(ステップS408:No)、制御部20は、投入物を処理可能な紙幣でないと判定し投入物識別処理を終了する。
【0110】
一方、該当金種があれば(ステップS408:Yes)、制御部20は、投入物を処理可能な紙幣であると判定し(ステップS409)、投入物識別処理を終了する。
【0111】
図11のステップS302に戻り、投入物識別処理を終了すると、制御部20は、投入物識別処理の結果を判定する(ステップS303)。投入物識別処理で投入物を異物でないと判定した場合(ステップS303:No)、制御部20は、処理可能な紙幣であれば、金種ごとに分別して紙幣を金種別収容部13に収容し、該当金種のない処理できない紙幣であれば、返却するなど通常処理を行う(ステップS304)。
【0112】
一方、投入物を異物と判定した場合(ステップS303:Yes)、制御部20は、処理の停止、及び投入物の搬送を停止する制御信号を各部に出力する。制御部20の指示により、搬送機構部17は、駆動モータ等を制御して投入物の搬送を停止する。また、制御部20の指示により、第1操作・表示部19は、異常を示すメッセージとともに、利用者に対して係員を呼ぶよう指示するメッセージを表示する。
【0113】
さらに、制御部20の指示により、第2操作・表示部25は、異物画像を表示するとともに、異物の長さ表示した異物案内画面を表示する(ステップS306)。その後、制御部20は、紙幣処理を終了する。
【0114】
そして、係員が第2表示・操作部の表示された異物案内画面を確認して、表示された形状、大きさに該当する異物を貨幣処理装置10内から除去する。なお、係員がリセットボタン等を押下することで、制御部20は、紙幣処理を再開する。
【0115】
以上のような動作を実現する貨幣処理装置10、及び貨幣処理方法は、利用者が投入した投入物から確実に異物を検出するとともに、検出した異物の除去を容易にすることができる。
【0116】
具体的には、発光部22、撮影部23、及び記憶部18により、どのような投入物が搬送されても撮影画像として記録することができる。すなわち、貨幣処理装置10が処理できない異物そのもの、あるいは処理可能な紙幣と異物とが同時に搬送された場合であっても、投入物を撮影画像として記憶することができる。
【0117】
そして、制御部20が実行する投入物識別処理により、撮影画像から抽出した投入物のX軸方向、及びY軸方向の長さと、処理可能な紙幣の長さとを比較することで、投入物が処理可能な紙幣であるか否かを判定するため、貨幣処理装置10は、利用者が投入した投入物から確実に異物を検出できる。これにより、貨幣処理装置10は、投入物の搬送を停止して搬送路16等で詰まりや機器の損傷が生じることを防止できる。
【0118】
そして、第2操作・表示部25に異物画像を表示することで、係員に混入した異物の形状を容易に伝えることができる。すなわち、係員は、貨幣処理装置10から容易に異物を除去することができる。
【0119】
さらに、万一、搬送路16等から異物が落下した場合でも、係員は、落下した異物が搬送を停止した原因となった異物であるかどうかを容易に判別することができる。
【0120】
従って、貨幣処理装置10は、利用者が投入した投入物から確実に異物を検出するとともに、検出した異物の除去を容易にすることができる。
【0121】
また、第2操作・表示部25に異物画像と、異物の大きさとを表示することにより、貨幣処理装置10は、異物の形状だけでなく、異物の大きさも係員に伝えることができる。これにより、係員は、第2操作・表示部25に表示された形状、大きさから、異物をより容易に捜すことができ、迅速に異物を除去することができる。
【0122】
従って、貨幣処理装置10は、利用者が投入した投入物から確実に異物を検出するとともに、異物の形状と大きさを第2操作・表示部25に表示することで、検出した異物の除去をより容易にすることができる。
【0123】
なお、上述の実施例1、及び実施例2では、処理可能な媒体が貨幣である貨幣処理装置10としたが、これに限定せず、処理可能な媒体は、遊技機のメダルのような円形状の媒体や旅券等のチケットのような矩形の媒体であってもよい。
また、処理可能な硬貨30と紙幣とにわけて説明したが、これに限定せず、円形状の媒体、及び矩形の媒体の両方を処理可能な媒体とする媒体処理装置であってもよい。
【0124】
また、貨幣識別部12を搬送路16(搬送機構部17)、発光部22、撮影手段23、第2操作・表示部25、記憶部18は異なる記憶部、及びこれら各部を制御する制御部で構成し媒体処理装置として、自動取引装置等の搬送路上に組み込む構成としてもよい。
【0125】
また、撮影画像から抽出した投入物の輪郭画像における輪郭線を強調して、異物画像として第2操作・表示部25に表示してもよい。あるいは抽出した異物の形状を強調、あるいはカラーで第2操作・表示部25に表示してもよい。加えて、異物画像を撮影画像に重ね合わせて第2操作・表示部25に表示してもよい。
【0126】
また、硬貨を検知する光学検知部21を透過型光学センサとしたが、反射型光学センサ、近接センサなどであってもよい。さらに、光学検知部21を搬送路16の上方に配置して、上方から投入物を検知するようにしてもよい。
また、発光部22は、光学検知部21が投入物を検知した際に発光する構成としたが、これに限定せず、常時発光する構成としてもよい。
【0127】
また、撮影部23としてCCDカメラとしたが、これに限定せず、そのほかのイメージセンサであってもよい。また、二次元イメージセンサではなく、一次元イメージセンサを用いて、一定搬送距離毎に撮影することにより、二次元画像を得るようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
この発明は、略円形状の媒体、あるいは略矩形の媒体を受付けて処理する自動取引装置や料金精算装置のような様々な装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
10…貨幣処理装置
16…搬送路
18…記憶部
20…制御部
22…発光部
23…撮影部
25…第2操作・表示部
30…硬貨
40…クリップ
51…第1の撮影画像
52…第2の撮影画像
53…第3の撮影画像
55…異物画像
La…照明光
Lb…反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された投入物を搬送する搬送手段と、
搬送された前記投入物に向けて照明光を発光する発光手段と、
該発光手段の前記照明光が前記投入物で反射した反射光を受光して前記投入物を撮影する撮影手段と、
該撮影手段で撮影した前記投入物の撮影画像を記憶する記憶手段と、
前記撮影画像から抽出した投入物の輪郭に基づいて前記投入物が処理可能な媒体であるか否かを判定し、前記投入物が前記処理可能な媒体でなければ、前記投入物を異物として識別するとともに、前記異物の形状を示す異物画像を出力する異物識別手段と、
前記異物画像を表示する表示手段とを備えた
媒体処理装置。
【請求項2】
前記異物画像に基づいて、前記異物の大きさを算出する異物サイズ算出手段を備え、
前記表示手段を、
前記異物画像とともに、前記異物の大きさを表示する構成とした
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段に、
真円らしさを示す真円指標に対して、真円から遠いことを示す第1閾値、及び真円に近いことを示す第2閾値とを記憶し、
前記異物識別手段を、
前記撮影画像から抽出した前記投入物の輪郭に基づいて前記投入物の前記真円指標を算出する指標算出処理と、
前記第1閾値、及び前記第2閾値の少なくとも一方と、前記投入物の前記真円指標とを比較して、前記投入物が処理可能な媒体であるか否かを判定し、前記投入物が処理可能な媒体でない場合、前記投入物を異物とする判定処理と、
前記投入物が処理可能な媒体でない場合、前記異物の形状を示す異物画像を出力する異物形状出力処理を実行する構成とした
請求項1または2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記判定処理を、
前記投入物の前記真円指標と前記第1閾値とを比較して、前記真円指標が前記第1閾値よりも真円から遠いことを示す値であれば、処理可能な媒体でないと判定するとともに、前記投入物を異物とする構成とし、
前記異物形状出力処理を、
前記投入物の撮影画像を異物画像として出力する構成とした
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記判定処理を、
前記投入物の前記真円指標と、第1閾値、及び第2閾値とを比較して、前記真円指標が前記第1閾値と前記第2閾値との間であれば、処理可能な媒体でないと判定するとともに、前記投入物を異物とする構成とし、
前記異物形状出力処理を、
前記撮影画像にエッジ処理を施して、前記輪郭の変曲点からエッジ成分の高い部分をトレースして異物の形状を抽出した異物画像を出力する構成とした
請求項3または4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段に、
少なくとも1つの前記処理可能な媒体を撮影した基準テンプレート画像を記憶し、
前記判定処理を、
前記投入物の前記真円指標と前記第2閾値とを比較して、前記真円指標が前記第2閾値よりも真円に近いことを示す値であれば、
前記投入物の撮影画像と前記基準テンプレートとを画素ごとに比較して、画素の差分量が大きければ、処理可能な媒体でないと判定するとともに、投入物を異物とする構成とし、
前記異物形状出力処理を、
前記基準テンプレート画像と前記撮影画像の差分量の大きい画素をトレースして異物の形状を抽出した異物画像を出力する構成とした
請求項3から5のいずれか1つに記載の媒体処理装置。
【請求項7】
投入された投入物を搬送して、搬送された前記投入物に向けて照明光を発光し、該照明光が前記投入物で反射した反射光を受光して前記投入物を撮影した撮影画像を記憶して、
前記撮影画像から抽出した投入物の輪郭に基づいて前記投入物が処理可能な媒体であるか否かを判定し、前記投入物が前記処理可能な媒体でなければ、前記投入物を異物として識別するとともに、前記異物の形状を示す異物画像を出力して表示する
媒体処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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