説明

媒体処理装置、媒体発行装置、媒体回収装置および媒体処理装置の制御方法

【課題】媒体への印字機能に加え、所定のコードを媒体へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッドが果たしている場合であっても、コードを印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能な媒体処理装置を提供すること。
【解決手段】媒体処理装置は、媒体2を搬送する媒体搬送機構と、感熱方式で媒体2に印字を行うためのサーマルヘッドとを備えている。この媒体処理装置では、媒体2の搬送方向Xにおける幅Wが略一定で搬送方向Xに配列される複数のブロック52によって構成されるブロックコード51がサーマルヘッドによって媒体2に印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱方式で媒体に印字を行うためのサーマルヘッドを備える媒体処理装置および媒体処理装置の制御方法に関する。また、本発明は、この媒体処理装置を備える駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置、および、駐車場用または駐輪場用の媒体回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリペイドカードの磁気記録層に記録された磁気情報の再生や磁気記録層への磁気情報の記録を行うリーダライタ部と、プリペイドカードの印字部に放電破壊印字方式で利用データの一部を印字する放電破壊式プリンタとを備える印刷装置付きリーダライタ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のリーダライタ装置では、プリペイドカードを製造した後の任意の時点で、放電破壊式プリンタによって、カード管理データに対応するバーコードがプリペイドカードに印刷される。すなわち、放電破壊式プリンタは、プリペイドカードへ利用データの一部を印字する印字機能に加え、カード管理データに対応するバーコードをプリペイドカードへ印刷するコード印刷機能を果たしている。また、このリーダライタ装置は、プリペイドカードに印刷されたバーコードを読み取るためのスキャナ等のバーコード読取部を備えている。
【0004】
なお、本明細書において、「バーコード」とは、図9に示すように、細いバー(ナローバーNB)、太いバー(ワイドバーWB)、細い隙間(ナロースペースNS)および太い隙間(ワイドスペースWS)の組合せによって数字や文字等をコード化したものをいう。ナローバーNBの太さW11とワイドバーWBの太さW12との比率、および、ナロースペースNSの太さW13とワイドスペースWSの太さW14との比率は、以下のように定められている。
W11:W12=1:2〜1:3
W13:W14=1:2〜1:3
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−307653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のリーダライタ装置では、放電破壊式プリンタによって、プリペイドカードにバーコードが印刷されている。そのため、このリーダライタ装置では、コード化される文字等に応じて、ナローバーNB、ワイドバーWB、ナロースペースNSおよびワイドスペースWSの太さや組合せを変える必要があり、バーコードを印刷する放電破壊式プリンタの制御が複雑になる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、媒体への印字機能に加え、所定のコードを媒体へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッドが果たしている場合であっても、コードを印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能な媒体処理装置および媒体処理装置の制御方法を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる媒体処理装置を備える駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置、および、駐車場用または駐輪場用の媒体回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の媒体処理装置は、媒体を搬送する媒体搬送機構と、感熱方式で媒体に印字を行うためのサーマルヘッドと、媒体の搬送方向における幅が略一定で搬送方向に配列される複数のブロックによって構成されるブロックコードを媒体に印刷するようにサーマルヘッドを制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の媒体処理装置では、制御部は、媒体の搬送方向における幅が略一定で搬送方向に配列される複数のブロックによって構成されるブロックコードを媒体に印刷するようにサーマルヘッドを制御している。そのため、ブロックコードを印刷する際には、制御部は、媒体の搬送方向における幅が略一定の複数のブロックを印刷するようにサーマルヘッドを制御すれば良く、印刷される複数のブロックのそれぞれの幅に関するサーマルヘッドの複雑な制御を行う必要がない。すなわち、本発明では、バーコードを印刷するときのような複雑な制御は要求されない。したがって、本発明では、媒体への印字機能に加え、ブロックコードを媒体へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッドが果たしている場合であっても、ブロックコードを印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能になる。
【0010】
本発明において、媒体処理装置は、ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、制御部は、搬送方向におけるブロックの幅が1mm以上となるようにサーマルヘッドを制御することが好ましい。このように構成すると、媒体と読取機構とを当接させなくても、読取機構でブロックコードを読み取ることが可能になり、かつ、媒体に印刷されるブロックコードの印刷密度(記録密度)が比較的粗くなる。したがって、媒体処理装置内でブロックコードが読み取られる媒体が折れ曲がっていたり、破れていたりする場合であっても、光学式の読取機構での読み取り結果に基づいて、制御部で、ブロックの有無を適切に判定することが可能になる。その結果、ブロックコードが読み取られる媒体が折れ曲がっていたり、破れていたりする場合であっても、媒体処理装置で、ブロックコードに対応する所定の情報を適切に取得することが可能になる。
【0011】
また、この場合には、読取機構は、1個の発光素子と1個の受光素子とを有する少なくとも1個のフォトセンサによって構成されていることが好ましい。このように構成すると、ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構としてスキャナ等を用いる場合と比較して、媒体処理装置の構成を簡素化して、媒体処理装置のコストを低減することが可能になる。なお、フォトセンサによって読取機構が構成されていても、搬送方向に配列される複数のブロックの搬送方向における幅が1mm以上であるため、読取機構での読み取り結果に基づいて、ブロックの有無を適切に判定することは可能である。
【0012】
本発明において、ブロックコードは、搬送方向に配列される複数のブロックからなり媒体の厚さ方向と搬送方向とに直交する媒体の幅方向に配列される複数のトラックによって構成されていることが好ましい。このように構成すると、媒体に印刷されるブロックコードから取得される情報の量を増やすことが可能になる。
【0013】
また、この場合には、媒体処理装置は、ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、複数のトラックのうちの少なくとも1つのトラックは、搬送方向において複数のブロックが略一定の間隔で配列される基準トラックであることが好ましい。このように構成すると、基準トラックのブロックに対応する位置に、他のトラックのブロックが印刷されているか否かを判定することが可能になる。すなわち、基準トラックに印刷されているブロックを基準にして、他のトラックのブロックの有無を判定することが可能になる。したがって、ブロックコードを印刷する際、および/または、ブロックコードを読み取る際の媒体搬送機構による媒体の搬送速度が変動しても、その影響を受けずに、ブロックコードを読み取ることが可能になる。すなわち、媒体搬送機構による媒体の搬送速度が変動しても、ブロックコードに対応する所定の情報を適切に取得することが可能になる。
【0014】
また、この場合には、読取機構は、1個の発光素子と1個の受光素子とを有する複数のフォトセンサによって構成され、複数のフォトセンサのそれぞれは、複数のトラックのそれぞれに対応する位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、ブロックコードを読み取るための読取機構としてスキャナ等を用いる場合と比較して、媒体処理装置のコストを低減することが可能になる。
【0015】
本発明において、媒体処理装置は、媒体に記録された磁気情報の再生および/または媒体への磁気情報の記録を行う磁気ヘッドを備えることが好ましい。このように構成すると、媒体に記録可能な情報の量や媒体から取得可能な情報の量を増やすことが可能になる。
【0016】
本発明において、制御部は、ブロックの追加印刷が可能なブロックコードを媒体に印刷するようにサーマルヘッドを制御することが好ましい。このように構成すると、ブロックコードを媒体に一旦、印刷した後であっても、ブロックを追加印刷して、ブロックコードを変更することが可能になる。
【0017】
本発明の媒体処理装置は、媒体処理装置に向かって媒体を供給する媒体供給機構を備える駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置に用いることができる。また、本発明の媒体処理装置は、媒体処理装置から排出される媒体を回収する媒体回収機構を備える駐車場用または駐輪場用の媒体回収装置に用いることができる。この媒体発行装置および媒体回収装置では、ブロックコードを媒体へ印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能になる。
【0018】
また、駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置や媒体回収装置に媒体処理装置が用いられる場合には、媒体処理装置は、ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、制御部は、搬送方向におけるブロックの幅が1mm以上となるようにサーマルヘッドを制御することが好ましい。駐車場システムや駐輪場システムでは、使い捨ての媒体が使用されることが多い。したがって、駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置や媒体回収装置では、コスト低減のため、媒体として比較的安価な紙媒体が使用されることが多く、紙媒体は折れ曲がったり、破れたりしやすいが、このように構成すると、媒体処理装置内でブロックコードが読み取られる媒体が折れ曲がっていたり、破れていたりする場合であっても、光学式の読取機構での読み取り結果に基づいて、ブロックの有無を適切に判定することが可能になり、媒体処理装置で、ブロックコードに対応する所定の情報を適切に取得することが可能になる。
【0019】
また、上記の課題を解決するため、本発明の媒体処理装置の制御方法は、媒体を搬送する媒体搬送機構と、感熱方式で媒体に印字を行うためのサーマルヘッドとを備える媒体処理装置の制御方法であって、媒体の搬送方向における幅が略一定で搬送方向に配列される複数のブロックによって構成されるブロックコードをサーマルヘッドが媒体に印刷するコード印刷ステップを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の媒体処理装置の制御方法では、コード印刷ステップで、媒体の搬送方向における幅が略一定で搬送方向に配列される複数のブロックによって構成されるブロックコードをサーマルヘッドが媒体に印刷している。そのため、ブロックコードを印刷する際には、媒体の搬送方向における幅が略一定の複数のブロックをサーマルヘッドが印刷すれば良く、印刷される複数のブロックのそれぞれの幅に関するサーマルヘッドの複雑な制御を行う必要がない。したがって、本発明では、媒体への印字機能に加え、ブロックコードを媒体へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッドが果たしている場合であっても、ブロックコードを印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能になる。
【0021】
本発明において、媒体処理装置は、ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、コード印刷ステップでは、搬送方向におけるブロックの幅が1mm以上であるブロックコードをサーマルヘッドが媒体に印刷することが好ましい。このように構成すると、媒体処理装置内でブロックコードが読み取られる媒体が折れ曲がっていたり、破れていたりする場合であっても、光学式の読取機構での読み取り結果に基づいて、ブロックの有無を適切に判定することが可能になり、媒体処理装置で、ブロックコードに対応する所定の情報を適切に取得することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の媒体処理装置および媒体処理装置の制御方法では、媒体への印字機能に加え、ブロックコードを媒体へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッドが果たしている場合であっても、ブロックコードを媒体へ印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能になる。また、本発明の駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置、および、駐車場用または駐輪場用の媒体回収装置では、媒体への印字機能に加え、ブロックコードを媒体へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッドが果たしている場合であっても、ブロックコードを印刷する際のサーマルヘッドの制御を簡素化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置の、上ガイド部を開けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す媒体処理装置の概略構成を説明するための側面図である。
【図3】図1に示す媒体処理装置の概略構成を説明するための平面図である。
【図4】図2に示すカードの平面図である。
【図5】図1に示す媒体処理装置が搭載される発券装置の概略構成を説明するための側面図である。
【図6】図1に示す媒体処理装置の磁気情報の再生記録制御および印字印刷制御に関連する構成を示すブロックである。
【図7】図5に示す発券装置でカードを発行する際の媒体処理装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図8】図5に示す精算装置で精算を行う際の媒体処理装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図9】従来技術にかかるバーコードを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(媒体処理装置、発券装置および精算装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置1の、上ガイド部12を開けた状態を示す斜視図である。図2は、図1に示す媒体処理装置1の概略構成を説明するための側面図である。図3は、図1に示す媒体処理装置1の概略構成を説明するための平面図である。図4は、図2に示すカード2の平面図である。図5は、図1に示す媒体処理装置1が搭載される発券装置30の概略構成を説明するための側面図である。
【0026】
本形態の媒体処理装置1は、たとえば、後述のように、駐車場または駐輪場に設置される発券装置30(図5参照)や精算装置31(図5参照)に搭載されて使用されるカードリーダであり、媒体としてのカード2に感熱方式で印字を行う印字機能を備えている。この媒体処理装置1は、図1〜図3に示すように、感熱方式でカード2に印字を行うためのサーマルヘッド3を有する印字ユニット4と、サーマルヘッド3に対向配置されるプラテンローラ5と、磁気情報の再生や記録を行うための磁気ヘッド6と、媒体処理装置1内でカード2を搬送する媒体搬送機構としてのカード搬送機構7と、カード2が挿入、排出されるカード挿入排出部8とを備えている。
【0027】
本形態では、図1等のX方向にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、X方向に直交するZ方向は、媒体処理装置1内に取り込まれたときのカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交するY方向は、媒体処理装置1内に取り込まれたときのカード2の幅方向である。なお、以下の説明では、図1等のX1方向側を「前」側、X2方向側を「後(後ろ)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0028】
媒体処理装置1が搭載される発券装置30や精算装置31を用いた駐車場システムや駐輪場システムでは、使い捨てのカード2が使用されることが多い。したがって、本形態では、コストを低減するため、カード2の材質として比較的安価な紙が使用されている。すなわち、本形態のカード2は、所定の厚さの紙カードである。このカード2は、感熱紙で形成されており、カード2の表面には、図4に示すように、感熱方式によって印字が行われる印字領域2aが形成されている。また、カード2の裏面には、磁気情報が記録される磁気層または磁気ストライプ(図示省略)が形成されている。
【0029】
なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードであっても良い。また、カード2の表面には、感熱方式によって銀色の印字面に白色の印字が行われる白濁式のリライト層が形成されても良いし、感熱方式によって白色等の印字面に青色や黒色等の印字が行われるロイコ式のリライト層が形成されても良い。
【0030】
媒体処理装置1は、上述の構成に加え、印字領域2aに印刷される後述のブロックコード51(図4参照)を読み取るための光学式の読取機構9を備えている。また、媒体処理装置1は、カード2が搬送されるカード搬送路11を形成する上ガイド部12と下ガイド部13と右側板14と左側板15とを備えており、上下方向における上ガイド部12と下ガイド部13との間であって、かつ、左右方向における右側板14と左側板15との間にカード搬送路11が形成されている。
【0031】
下ガイド部13の右端には、右側板14が固定され、下ガイド部13の左端には、左側板15が固定されている。また、上ガイド部12は、図2に示すように、下ガイド部13、右側板14および左側板15に対して、後端側を支点とする回動が可能となるように構成されている。
【0032】
印字ユニット4および読取機構9は、上ガイド部12に取り付けられ、プラテンローラ5および磁気ヘッド6は、下ガイド部13に取り付けられている。また、カード挿入排出部8は、上ガイド部12、下ガイド部13、右側板14および左側板15の前端に固定されている。
【0033】
印字ユニット4は、サーマルヘッド3に加え、サーマルヘッド3を移動させるソレノイド17と、サーマルヘッド3を保持するヘッド保持部材18とを備えている。サーマルヘッド3は、カード2の表面に直接、当接してカード2に印字を行ういわゆるダイレクト方式のサーマルヘッドである。なお、サーマルヘッド3は、インクリボンを介してカード2に当接してカード2に印字を行ういわゆる熱転写式のサーマルヘッドであっても良い。すなわち、サーマルヘッド3は、インクリボンに塗布されたインクを加熱してカード2に印字を行う熱転写式のサーマルヘッドであっても良い。
【0034】
ソレノイド17は、サーマルヘッド3がカード2に当接する方向(プラテンローラ5に当接する方向)およびサーマルヘッド3がカード2から離れる方向(プラテンローラ5から離れる方向)にサーマルヘッド3を移動させる。すなわち、ソレノイド17は、図2の実線で示す位置および二点鎖線で示す位置に、ヘッド保持部材18に保持されたサーマルヘッド3を移動させる。
【0035】
プラテンローラ5は、左右方向を軸方向とする回転が可能となるように下ガイド部13に取り付けられている。また、上述のように、プラテンローラ5は、サーマルヘッド3に対向配置されている。具体的には、プラテンローラ5は、カード搬送路11を挟んでサーマルヘッド3に対向配置されており、カード搬送路11にカード2がないときには、サーマルヘッド3とプラテンローラ5とは当接可能となっている。
【0036】
カード搬送機構7は、カード2に当接してカード2を搬送する搬送ローラ20と、搬送ローラ20に対向配置されるパッドローラ21と、搬送ローラ20を駆動するためのローラ駆動機構22とを備えている。搬送ローラ20は、下ガイド部13に回転可能に取り付けられ、パッドローラ21は、上ガイド部12に回転可能に取り付けられている。また、ローラ駆動機構22は、駆動用のモータ23、搬送ローラ20の回転軸に固定されるプーリおよびプーリに架け渡されるベルト等を備えており、下ガイド部13に取り付けられている。
【0037】
読取機構9は、3個のフォトセンサ24〜26を備えている。フォトセンサ24〜26は、1個の発光素子(図示省略)と1個の受光素子(図示省略)とを備える反射型のフォトセンサである。このフォトセンサ24〜26は、上ガイド部12に取り付けられている。具体的には、前後方向では、フォトセンサ24とフォトセンサ26とがほぼ同じ位置に配置され、フォトセンサ25がフォトセンサ24、26よりも前側に配置されている。また、左右方向では、フォトセンサ24とフォトセンサ26とが隣接するように配置されるとともに、フォトセンサ24がフォトセンサ26の右側に配置され、フォトセンサ25がフォトセンサ24、26の間に配置されている。
【0038】
媒体処理装置1は、駐車場や駐輪場の入口に設置される媒体発行装置としての発券装置30、および、駐車場や駐輪場の出口に設置される媒体回収装置としての精算装置31に搭載されて使用される。
【0039】
発券装置30は、図5に示すように、媒体処理装置1に向かってカード2を供給する媒体供給機構32を備えている。また、発券装置30は、媒体処理装置1のカード挿入排出部8から排出されるカード2を排出するカード排出部33を備えている。この発券装置30には、たとえば、駐車場や駐輪場の入口を開閉するゲートバー等を有するゲート開閉装置が接続されている。なお、媒体供給機構32から供給されるカード2は、媒体処理装置1の後端から媒体処理装置1の内部に取り込まれる。
【0040】
精算装置31は、媒体処理装置1から排出されるカード2を回収する媒体回収機構34を備えるとともに、カード挿入排出部8に向かってカード2が挿入されるカード挿入部35を備えている(図5参照)。この精算装置31にも、たとえば、駐車場や駐輪場の出口を開閉するゲートバー等を有するゲート開閉装置が接続されている。なお、媒体回収機構34で回収されるカード2は、媒体処理装置1の後端から媒体回収機構34に向かって排出される。
【0041】
なお、媒体処理装置1は、媒体供給機構32と媒体回収機構34との両者を有する発券および精算装置に搭載されても良い。この場合、発券および精算装置は、駐車場や駐輪場の入口および出口に設置される。
【0042】
(媒体処理装置の制御部の概略構成)
図6は、図1に示す媒体処理装置1の磁気情報の再生記録制御および印字印刷制御に関連する構成を示すブロックである。
【0043】
図6に示すように、媒体処理装置1の制御部40には、磁気情報の再生記録制御および印字印刷制御に関連する構成として、サーマルヘッド3、磁気ヘッド6、ソレノイド17、モータ23およびフォトセンサ24〜26等が接続されている。また、制御部40は、発券装置30の制御部である上位制御部41または精算装置31の制御部である上位制御部42に接続されている。
【0044】
制御部40は、サーマルヘッド3、磁気ヘッド6、ソレノイド17およびモータ23を制御するとともに、制御部40には、磁気ヘッド6で再生される磁気情報やフォトセンサ24〜26での検出信号が入力される。また、制御部40は、上位制御部41、42と各種の信号のやりとりを行う。
【0045】
本形態の制御部40は、カード2の印字領域2aに文字情報50(図4参照)を印字するようにサーマルヘッド3を制御している。また、制御部40は、印字領域2aにブロックコード51(図4参照)を印刷するようにサーマルヘッド3を制御している。
【0046】
本形態のブロックコード51は、カード2の搬送方向となるカード2の長さ方向(X方向)に配列される複数のブロック52からなるトラックTr1〜Tr3によって構成されている。すなわち、ブロックコード51は、複数のトラックTr1〜Tr3によって構成されている。本形態では、3個のトラックTr1〜Tr3によってブロックコード51が構成されている。また、3個のトラックTr1〜Tr3は、カード2の幅方向(Y方向)に配列されている。具体的には、3個のトラックTr1〜Tr3は、印字領域2aの右端から左側に向かってこの順番に、かつ、略一定の間隔で配列されている。
【0047】
ブロック52は、カード2の幅方向に長い長方形状に形成されている。ブロック52の全体は、光を反射しにくい色、あるいは、光を反射しない色によって塗りつぶされている。具体的には、ブロック52の全体は、黒く塗りつぶされている。また、カード2の長さ方向における複数のブロック52の幅Wは略一定となっている。すなわち、ブロックコード51を構成する全てのブロック52の幅Wは略一定となっている。本形態では、ブロック52の幅Wは1mm以上となっている。すなわち、制御部40は、印刷されるブロック52の幅Wが1mm以上となるようにサーマルヘッド3を制御している。より具体的には、ブロック52の幅Wは、1mm〜2mm程度であり、たとえば、ブロック52の幅Wは、1.4mm〜1.5mm程度となっている。また、本形態では、カード2の幅方向における複数のブロック52の長さも略一定となっている。すなわち、ブロックコード51を構成する全てのブロック52のカード2の幅方向における長さは略一定となっている。
【0048】
また、トラックTr1〜Tr3のそれぞれでは、たとえば、最大で18個のブロック52を、カード2の長さ方向において、略一定の間隔Dで配列することが可能となっている。すなわち、たとえば、各トラックTr1〜Tr3のビット数は18となっている。ブロック52が配列される間隔Dは、たとえば、1.3〜1.4mm程度となっている。
【0049】
ここで、ブロック52の幅Wと間隔Dとは、以下の(1)〜(4)を考慮して決められる。
(1)カード2に印刷される各トラックTr1〜Tr3のデータ量(ビット数)
(2)サーマルヘッド3が印刷できる最小ドット寸法(最小ドット数の整数倍が幅Wとなる。)
(3)印刷されたブロック52の幅Wがごみ等のノイズと間違えられない程度の幅であること
(4)フォトセンサ24〜26の読取精度(解像度)
ただし、ブロック52の幅Wと間隔Dとを決める際に、必要に応じて、上記(1)〜(4)以外の内容が考慮されても良い。
【0050】
なお、仮に、3個のトラックTr1〜Tr3の全てに最大数のブロック52(18個のブロック52)が配列された場合には、各トラックTr1〜Tr3のそれぞれのnビット目(nは、たとえば、1〜18の整数)に配置されるブロック52は、カード2の長さ方向において、略同じ位置に配置される。すなわち、この場合には、各トラックTr1〜Tr3のそれぞれのnビット目に配置されるブロック52は、カード2の幅方向で並ぶ。
【0051】
本形態では、3個のトラックTr1〜Tr3のうちの1個のトラックTr1は、カード2の長さ方向において、複数のブロック52が間隔Dで配列される基準トラックとなっている。すなわち、トラックTr1は、最大数のブロック52(18個のブロック52)が略一定の間隔Dで配列された信号同期用の基準トラックとなっている。
【0052】
また、トラックTr2、Tr3は、所定の情報に対応するパターンでブロック52が配列されるデータトラックとなっている。本形態では、トラックTr2、Tr3には、精算装置31での精算処理に支障がでないようにするために最低限必要とされる情報に対応するパターンでブロック52が印刷される。たとえば、トラックTr2、Tr3には、駐車場または駐輪場への入車日時に対応するパターンでブロック52が印刷される。なお、印字領域2aに印字される文字情報50は、たとえば、図4に示すように、駐車場または駐輪場への入車日時である。
【0053】
また、本形態では、トラックTr2、Tr3において、ブロック52の追加印刷が可能となるように(すなわち、トラックTr2、Tr3に対応する情報の変更が可能となるように)、カード2の発行時に、トラックTr2および/またはトラックTr3に印刷されるブロック52の数は、トラックTr1に印刷されるブロック52の数よりも少なくなっている。すなわち、本形態では、カード2の発行時に、トラックTr2および/またはトラックTr3に最大数のブロック52が印刷されないようになっている。
【0054】
上述のように、左右方向において、フォトセンサ24は、フォトセンサ26の右側に配置され、フォトセンサ25は、フォトセンサ24、26の間に配置されている。具体的には、フォトセンサ24〜26のそれぞれは、トラックTr1〜Tr3のそれぞれに対応する位置に配置されており、フォトセンサ24によってトラックTr1上のブロック52の有無が検出され、フォトセンサ25によってトラックTr2上のブロック52の有無が検出され、フォトセンサ26によってトラックTr3上のブロック52の有無が検出される。また、フォトセンサ24〜26での検出結果に基づいて、制御部40は、印刷されたブロックコード51に対応する情報を取得する。
【0055】
(媒体処理装置の制御方法)
図7は、図5に示す発券装置30でカード2を発行する際の媒体処理装置1の制御フローの一例を示すフローチャートである。図8は、図5に示す精算装置31で精算を行う際の媒体処理装置1の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0056】
以上のように構成された媒体処理装置1が発券装置30に搭載されたときの媒体処理装置1の概略制御の一例、および、媒体処理装置1が精算装置31に搭載されたときの媒体処理装置1の概略制御の一例を以下に説明する。
【0057】
まず、媒体処理装置1が発券装置30に搭載されたときの媒体処理装置1の概略制御の一例を説明する。発券装置30では、ユーザが駐車場や駐輪場に入場しようとすると、上位制御部41が、媒体供給機構32を制御してカード2を媒体処理装置1に供給する。
【0058】
媒体処理装置1にカード2が供給されると、図7のフローで示すように、制御部40は、モータ23を起動してカード2を搬送させながら、磁気ヘッド6を制御して、カード2の裏面に磁気情報を記録する(ステップS1)。具体的には、駐車場または駐輪場への入車日時を含む磁気情報が磁気ヘッド6によって記録される。
【0059】
カード2への磁気情報の記録が終わると、制御部40は、モータ23を駆動してカード2を搬送させながら、カード2に記録された磁気情報を磁気ヘッド6で再生させ、カード2に正しい磁気情報が記録されたか否かを判断する(ステップS2)。ステップS2で、カード2に磁気情報が正しく記録されていないと判断されると、ステップS1に戻って、再び、カード2に磁気情報を記録する。
【0060】
一方、ステップS2で、カード2に磁気情報が正しく記録されていると判断されると、制御部40は、ソレノイド17を駆動して、カード2に当接する方向へサーマルヘッド3を移動させる(ステップS3)。その後、制御部40は、モータ23を駆動してカード2を搬送させながら、サーマルヘッド3を制御して、カード2の印字領域2aに文字情報50を印字するとともにブロックコード51を印刷する(ステップS4)。
【0061】
カード2への文字情報50の印字とブロックコード51の印刷とが終わると、制御部40は、ソレノイド17を駆動して、カード2から遠ざかる方向へサーマルヘッド3を退避させる(ステップS5)。また、制御部40は、モータ23を駆動してカード2を搬送させながら、カード2に印刷されたブロックコード51を読取機構9で読み取って、カード2に正しいブロックコード51が印刷されたか否かを判断する(ステップS6)。
【0062】
ステップS6で、カード2に正しいブロックコード51が印刷されていると判断されると、制御部40は、モータ23を駆動して、カード挿入排出部8からカード2を排出する(ステップS7)。一方、ステップS6で、カード2に正しいブロックコード51が印刷されていないと判断されると、制御部40は、上位制御部41にエラー情報を送信する(ステップS8)。ステップS8で、エラー情報を受信した上位制御部41は、所定の処理を行うための制御指令を制御部40に送信する。
【0063】
なお、文字情報50の印字とブロックコード51の印刷とをカード2に行った後に、カード2への磁気情報の記録を行っても良い。また、文字情報50の印字とブロックコード51の印刷とをカード2に行った後に、カード2に記録された磁気情報を磁気ヘッド6で再生させて、カード2に正しい磁気情報が記録されたか否かを判断しても良い。また、カード2への磁気情報の記録を行うと同時に、文字情報50の印字とブロックコード51の印刷とをカード2に行っても良い。また、カード2に正しいブロックコード51が印刷されたか否かを判断せずにそのまま、カード2を排出することも可能である。
【0064】
次に、媒体処理装置1が精算装置31に搭載されたときの媒体処理装置1の概略制御の一例を説明する。精算装置31では、ユーザが駐車場や駐輪場から退場しようとして、カード挿入部35にカード2を挿入すると、図8のフローで示すように、制御部40は、モータ23を起動してカード2を搬送させながら、カード2に記録された磁気情報を磁気ヘッド6で再生させるとともに、カード2に印刷されたブロックコード51を読取機構9で読み取る(ステップS11)。
【0065】
その後、制御部40は、再生された磁気情報が正しい磁気情報であるか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、制御部40は、磁気情報の再生エラーが発生しているか否かを判断する。ステップS12で、再生された磁気情報が正しい磁気情報であると判断されると、制御部40は、カード2を回収するため、モータ23を駆動してカード2を媒体回収機構34に向かって排出するとともに、再生された磁気情報を上位制御部42に送信する(ステップS13)。ステップS13で、磁気情報を受信した上位制御部42は、受信した磁気情報に基づいて精算装置31で所定の精算処理を行う。
【0066】
一方、カード2が折り曲げられたり、破かれたりする等の原因で、ステップS12において、正しい磁気情報が再生されていないと判断されると(すなわち、再生エラーが発生していると判断されると)、制御部40は、ステップS11で、読み取られたブロックコード51に対応する情報が正しい情報であるか否かを判断する(ステップS14)。すなわち、制御部40は、ブロックコード51に対応する情報の再生エラーが発生しているか否かを判断する。
【0067】
ステップS14で、読み取られたブロックコード51に対応する情報が正しい情報であると判断されると、制御部40は、カード2を回収するため、モータ23を駆動してカード2を媒体回収機構34に向かって排出するとともに、この情報を上位制御部42に送信する(ステップS15)。ステップS15で、ブロックコード51に対応する情報を受信した上位制御部42は、受信したこの情報に基づいて精算装置31で所定の精算処理を行う。
【0068】
一方、カード2の折り曲げの度合や破れの度合が大きい等の原因で、ステップS14において、読み取られたブロックコード51に対応する情報が正しい情報でないと判断されると(すなわち、再生エラーが発生していると判断されると)、制御部40は、上位制御部42にエラー情報を送信する(ステップS16)。ステップS16で、エラー情報を受信した上位制御部42は、所定の処理を行うための制御指令を制御部40に送信する。
【0069】
なお、ステップS12で、再生された磁気情報が正しい磁気情報であると判断された場合であっても、読み取られたブロックコード51に対応する情報が正しい情報であるか否かを判断して、読み取られたブロックコード51に対応する情報と再生された磁気情報との整合性を確認しても良い。また、まず、カード2に記録された磁気情報を再生させ、再生された磁気情報が正しい磁気情報であるか否かを判断し、正しい磁気情報が再生されていない場合(再生エラーが発生した場合)に、カード2に印刷されたブロックコード51を読取機構9で読み取って、読み取られたブロックコード51に対応する情報が正しい情報であるか否かを判断しても良い。
【0070】
ここで、本形態では、トラックTr2、Tr3において、ブロック52の追加印刷が可能となっており、発券装置30でカード2が発行された後に、トラックTr2、Tr3にブロック52が追加で印刷されることがある。たとえば、ユーザが利用する駐車場や駐輪場と提携している店舗に配置された媒体処理装置1、または、媒体処理装置1が搭載された所定の上位装置によって、その店舗でのユーザの利用金額に応じて、トラックTr2、Tr3にブロック52が追加で印刷されることがある。
【0071】
なお、本形態では、ステップS4は、サーマルヘッド3がカード2の印字領域2aにブロックコード51を印刷するコード印刷ステップとなっている。
【0072】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部40は、幅Wが略一定でカード2の長さ方向に配列される複数のブロック52によって構成されるブロックコード51をカード2に印刷するようにサーマルヘッド3を制御している。すなわち、ステップS4において、サーマルヘッド3は、幅Wが略一定でカード2の長さ方向に配列される複数のブロック52によって構成されるブロックコード51をカード2に印刷している。
【0073】
そのため、ブロックコード51を印刷する際に、制御部40は、幅Wが略一定の複数のブロック52を印刷するようにサーマルヘッド3を制御すれば良く、印刷される複数のブロック52のそれぞれの幅Wに関するサーマルヘッド3の複雑な制御を行う必要がない。すなわち、本形態では、バーコードを印刷するときのような複雑な制御は要求されない。したがって、本形態では、カード2への印字機能に加え、ブロックコード51をカード2へ印刷するコード印刷機能をサーマルヘッド3が果たしている場合であっても、ブロックコード51を印刷する際のサーマルヘッド3の制御を簡素化することができる。
【0074】
また、本形態では、読取機構9によって読み取られるブロックコード51を構成する複数のブロック52の幅Wが略一定であるため、たとえば、上述の特許文献1に記載のリーダライタ装置のように、バーコード読取部でバーコードを読み取り、読み取ったバーコードに基づいて、所定のデータ処理を行う場合と比較して、読み取られたブロックコード51に基づく制御部40でのデータ処理が容易になる。
【0075】
本形態では、制御部40は、印刷されるブロック52の幅Wが1mm以上となるようにサーマルヘッド3を制御している。そのため、カード2に記録される磁気情報の記録密度に比べて、ブロックコード51の印刷密度(記録密度)は十分に粗くなっている。また、カード2の磁気情報を再生する際には、カード2と磁気ヘッド6とを当接させてスペーシングロスをなくす必要があるが、本形態では、光学式の読取機構9によって、ブロックコード51を読み取っているため、カード2と読取機構9とを当接させなくても、読取機構9でブロックコード51を読み取ることができる。
【0076】
したがって、本形態では、精算装置31に搭載される媒体処理装置1で処理されるカード2が折れ曲がっていたり、破れていたりして、カード2に記録される磁気情報を正しく再生できない場合であっても、カード2の折れ曲がりの度合や破れの度合が大きくなければ、読取機構9での読み取り結果に基づいて、制御部40で、ブロック52の有無を適切に判定することが可能になり、媒体処理装置1で、ブロックコード51に対応する情報を適切に取得することが可能になる。
【0077】
特に本形態のカード2は紙カードであるため、カード2は折れ曲がったり、破れたりしやすいが、精算装置31に搭載される媒体処理装置1で処理されるカード2が折れ曲がっていたり、破れていたりする場合であっても、その度合が大きくなければ、媒体処理装置1で、ブロックコード51に対応する情報を適切に取得することが可能になる。
【0078】
すなわち、本形態では、精算装置31に搭載される媒体処理装置1で処理されるカード2が折れ曲がっていたり、破れていたりして、カード2に記録される磁気情報を正しく再生できない場合であっても、媒体処理装置1で、ブロックコード51に対応する情報を適切に取得して、精算装置31で精算動作を行うことが可能になる。その結果、たとえば、発券装置30および精算装置31が配置される駐車場や駐輪場が無人の駐車場や駐輪場であっても、ユーザが駐車場や駐輪場から退場する際のトラブルを低減することが可能になる。
【0079】
本形態では、読取機構9は、3個のフォトセンサ24〜26によって構成され、フォトセンサ24〜26のそれぞれは、トラックTr1〜Tr3のそれぞれに対応する位置に配置されている。そのため、ブロックコード51を読み取るための光学式の読取機構としてスキャナ等を用いる場合と比較して、媒体処理装置1の構成を簡素化して、媒体処理装置1のコストを低減することが可能になる。なお、本形態では、ブロック52の幅Wが1mm以上であるため、フォトセンサ24〜26によって読取機構9が構成されていても、フォトセンサ24〜26での読み取り結果に基づいて、ブロック52の有無を適切に判定することができる。
【0080】
本形態では、3個のトラックTr1〜Tr3のうちの1個のトラックTr1は、全てのブロック52が略一定の間隔Dで印刷された基準トラックとなっている。そのため、トラックTr1のブロック52に対応する位置に、トラックTr2、Tr3のブロック52が印刷されているか否かを判定することができる。すなわち、トラックTr1に印刷されるブロック52を基準にして、トラックTr2、Tr3のブロック52の有無を判定することができる。したがって、ブロックコード51を印刷する際、および/または、ブロックコード51を読み取る際のカード搬送機構7によるカード2の搬送速度が変動しても、その影響を受けずに、データトラックであるトラックTr2、Tr3を読み取って、トラックTr2、Tr3に対応する情報を適切に取得することが可能になる。
【0081】
本形態では、トラックTr2、Tr3の2個のトラックがデータトラックとなっている。そのため、カード2に印刷されるブロックコード51から取得される情報の量を増やすことが可能になる。また、本形態では、媒体処理装置1は磁気ヘッド6を備え、カード2には磁気情報が記録される。そのため、カード2に記録可能な情報の量やカード2から取得可能な情報の量を増やすことができる。
【0082】
本形態では、トラックTr2、Tr3において、ブロック52の追加印刷が可能となるように、カード2の発行時に、トラックTr2および/またはトラックTr3に最大数のブロック52が印刷されないようになっている。そのため、ブロックコード51がカード2に一旦、印刷された後であっても、ブロック52を追加印刷して、トラックTr2、Tr3に対応する情報を変更することができる。したがって、本形態では、たとえば、上述のように、ある店舗でのユーザの利用金額に応じて、トラックTr2、Tr3にブロック52を追加印刷することができ、種々のサービスに対応することが可能になる。
【0083】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0084】
上述した形態では、ブロックコード51は、3個のトラックTr1〜Tr3によって構成されている。この他にもたとえば、ブロックコード51は、1個または2個のトラックによって構成されても良いし、4個以上のトラックによって構成されても良い。ブロックコード51が4個以上のトラックによって構成される場合には、ブロックコード51から取得される情報の量を増やすことができる。なお、この場合には、ブロックコード51を構成するトラックの数に応じて、読取機構9を構成するフォトセンサの数を増減させれば良い。
【0085】
上述した形態では、3個のトラックTr1〜Tr3のうちの1個のトラックTr1が基準トラックとなっており、残りの2個のトラックTr2、Tr3がデータトラックとなっている。この他にもたとえば、全てのトラックTr1〜Tr3がデータトラックであっても良い。たとえば、カード搬送機構7によるカード2の搬送速度の変動がほとんど生じないのであれば、全てのトラックTr1〜Tr3がデータトラックであっても良い。
【0086】
上述した形態では、たとえば、各トラックTr1〜Tr3のビット数は18である。この他にもたとえば、ブロック52が配列される間隔Dやブロック52の幅Wを変更することで、各トラックTr1〜Tr3のビット数を増やしても良いし、減らしても良い。各トラックTr1〜Tr3のビット数を増やす場合には、ブロックコード51から取得される情報の量を増やすことができる。また、各トラックTr1〜Tr3のビット数を減らす場合には、ブロックコード51の印刷密度(記録密度)がより粗くなるため、精算装置31に搭載される媒体処理装置1で処理されるカード2の折れ曲がりの度合や破れの度合が比較的大きくても、読取機構9での読み取り結果に基づいて、制御部40で、ブロック52の有無を適切に判定することが可能になる。
【0087】
上述した形態では、ブロック52は、カード2の幅方向に長い長方形状に形成されている。この他にもたとえば、ブロック52は、正方形状に形成されても良いし、円形状や楕円形状に形成されても良い。また、ブロック52は、ひし形や台形等に形成されても良い。ただし、ブロック52が長方形状または正方形状に形成されていると、カード2が傾いた状態(スキューしている状態)でカード搬送路11を搬送される場合、カード2の幅寸法のばらつきがある場合、あるいは、センサ24〜26の取付位置のばらつきがある場合等であっても、センサ24〜26によって、略同じ幅のブロック52を検知することが可能になる。そのため、カード2の搬送時のばらつきの影響を抑制して、検出精度を高めることが可能になる。なお、ブロック52が長方形状以外の形状に形成される場合であっても、ブロック52の全体は、黒く塗りつぶされている。すなわち、長方形や正方形等の枠だけ形成されて中が塗りつぶされていないものは、本発明における「ブロック」には含まれない。また、上述した形態では、ブロック52の幅Wは1mm以上であるが、ブロック52の幅Wは1mm未満でも良い。
【0088】
上述した形態では、カード2の幅方向における複数のブロック52の長さは略一定となっている。この他にもたとえば、トラックTr1〜Tr3ごとに、カード2の幅方向におけるブロック52の長さが異なっていても良いし、それぞれのトラックTr1〜Tr3の中で、カード2の幅方向におけるブロック52の長さが異なっていても良い。
【0089】
上述した形態では、媒体処理装置1は、磁気ヘッド6を備え、カード2への磁気情報の記録およびカード2に記録された磁気情報の再生を行っている。この他にもたとえば、媒体処理装置1は、磁気ヘッド6を備えていなくても良い。すなわち、磁気情報を利用せずに、ブロックコード51から取得される情報に基づいて、発券装置30および精算装置31が配置される駐車場や駐輪場のシステムが運用されても良い。
【0090】
上述した形態では、読取機構9は、3個のフォトセンサ24〜26によって構成されているが、読取機構9は、スキャナ等であっても良い。また、上述した形態では、媒体処理装置1は、駐車場用または駐輪場用の発券装置30および精算装置31に搭載されているが、媒体処理装置1は、駐車場や駐輪場以外の場所で使用される発券装置や精算装置に搭載されても良いし、発券装置および精算装置以外の上位装置に搭載されても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 媒体処理装置
2 カード(媒体)
3 サーマルヘッド
6 磁気ヘッド
7 カード搬送機構(媒体搬送機構)
9 読取機構
24〜26 フォトセンサ
30 発券装置(媒体発行装置)
31 精算装置(媒体回収装置)
32 媒体供給機構
34 媒体回収機構
40 制御部
51 ブロックコード
52 ブロック
D 間隔
S4 コード印刷ステップ
Tr1 トラック(基準トラック)
Tr2、Tr3 トラック
W 幅
X カードの搬送方向(媒体の搬送方向)
Y カードの幅方向(媒体の幅方向)
Z カードの厚さ方向(媒体の厚さ方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する媒体搬送機構と、感熱方式で前記媒体に印字を行うためのサーマルヘッドと、前記媒体の搬送方向における幅が略一定で前記搬送方向に配列される複数のブロックによって構成されるブロックコードを前記媒体に印刷するように前記サーマルヘッドを制御する制御部とを備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、
前記制御部は、前記搬送方向における前記ブロックの幅が1mm以上となるように前記サーマルヘッドを制御することを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記読取機構は、1個の発光素子と1個の受光素子とを有する少なくとも1個のフォトセンサによって構成されていることを特徴とする請求項2記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記ブロックコードは、前記搬送方向に配列される複数の前記ブロックからなり前記媒体の厚さ方向と前記搬送方向とに直交する前記媒体の幅方向に配列される複数のトラックによって構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、
複数の前記トラックのうちの少なくとも1つの前記トラックは、前記搬送方向において複数の前記ブロックが略一定の間隔で配列される基準トラックであることを特徴とする請求項4記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記読取機構は、1個の発光素子と1個の受光素子とを有する複数のフォトセンサによって構成され、
複数の前記フォトセンサのそれぞれは、複数の前記トラックのそれぞれに対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項5記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記媒体に記録された磁気情報の再生および/または前記媒体への磁気情報の記録を行う磁気ヘッドを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ブロックの追加印刷が可能な前記ブロックコードを前記媒体に印刷するように前記サーマルヘッドを制御することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の媒体処理装置と、前記媒体処理装置に向かって前記媒体を供給する媒体供給機構とを備えることを特徴とする駐車場用または駐輪場用の媒体発行装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の媒体処理装置と、前記媒体処理装置から排出される前記媒体を回収する媒体回収機構とを備えることを特徴とする駐車場用または駐輪場用の媒体回収装置。
【請求項11】
前記媒体処理装置は、前記ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、
前記制御部は、前記搬送方向における前記ブロックの幅が1mm以上となるように前記サーマルヘッドを制御することを特徴とする請求項9記載の媒体発行装置または請求項10記載の媒体回収装置。
【請求項12】
媒体を搬送する媒体搬送機構と、感熱方式で前記媒体に印字を行うためのサーマルヘッドとを備える媒体処理装置の制御方法であって、
前記媒体の搬送方向における幅が略一定で前記搬送方向に配列される複数のブロックによって構成されるブロックコードを前記サーマルヘッドが前記媒体に印刷するコード印刷ステップを備えることを特徴とする媒体処理装置の制御方法。
【請求項13】
前記媒体処理装置は、前記ブロックコードを読み取るための光学式の読取機構を備え、
前記コード印刷ステップでは、前記搬送方向における前記ブロックの幅が1mm以上である前記ブロックコードを前記サーマルヘッドが前記媒体に印刷することを特徴とする請求項12記載の媒体処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−277334(P2010−277334A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129184(P2009−129184)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【出願人】(503253079)株式会社サニカ (20)
【Fターム(参考)】