説明

媒体処理装置および媒体処理装置の制御方法

【課題】様々な姿勢で記録媒体が取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定位置に適切な印字を行うことが可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置1の制御部は、記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが磁気ヘッド24側を向いた状態で媒体搬送路13に記録媒体が取り込まれたのかを検出する検出機構16での検出結果に基づいて、移動機構38または移動機構39を作動させて、サーマルヘッド36またはサーマルヘッド37を記録媒体に接触可能な位置に配置させるとともに、磁気ヘッド24または磁気ヘッド25での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体が一端側または他端側のいずれから媒体搬送路13に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、サーマルヘッド36またはサーマルヘッド37の温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、サーマルヘッド36またはサーマルヘッド37に記録媒体への印字を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード状の記録媒体に記録される磁気データの読取り機能と、記録媒体への印字機能とを備える媒体処理装置、および、この媒体処理装置の制御方法に関する。
【0002】
なお、本明細書における「印字」には、記録媒体に記された文字の他、記録媒体に記された図形、記号および模様等が含まれるものとする。また、本明細書における「印字を行う」には、記録媒体に文字を記すことの他、記録媒体に図形、記号あるいは模様等を記すことが含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
従来、駅の改札口に設置される自動改札機として、投入口から投入された乗車券の磁気データの読取りと乗車券への磁気データの書込みとを行う磁気処理部と、乗車券への印字を行う印刷部とを備える自動改札機が知られている。(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の自動改札機では、印刷部は、乗車券の一方の面に接触して感熱方式で印字を行うサーマルヘッドと、乗車券の他方の面に接触して感熱方式で印字を行うサーマルヘッドとの2個のサーマルヘッドを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−7807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、自動改札機においては、乗車券は様々な姿勢で自動改札機に取り込まれる。すなわち、乗車券の表(おもて)面が上を向いた状態で乗車券の一端側から乗車券が自動改札機に取り込まれる場合もあれば、乗車券の表(おもて)面が上を向いた状態で乗車券の他端側から乗車券が自動改札機に取り込まれる場合もある。また、乗車券の裏面が上を向いた状態で乗車券の一端側から乗車券が自動改札機に取り込まれる場合もあれば、乗車券の裏面が上を向いた状態で乗車券の他端側から乗車券が自動改札機に取り込まれる場合もある。一方で、このように様々な姿勢で乗車券が自動改札機に取り込まれる場合であっても、自動改札機では、乗車券の所定の位置に適切な印字を行うことが要求される。
【0006】
そこで、本発明の課題は、様々な姿勢で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能な媒体処理装置を提供することにある。また、本発明の課題は、様々な姿勢で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能となる媒体処理装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の媒体処理装置は、磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、媒体搬送路を通過する記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、第1の磁気ヘッドおよび第2の磁気ヘッドよりも記録媒体の搬送方向における上流側に配置され、記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが第1の磁気ヘッド側を向いた状態で媒体搬送路に記録媒体が取り込まれたのかを検出する検出機構と、記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1のサーマルヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2のサーマルヘッドと、記録媒体に接触可能な第1の接触位置と媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で第1のサーマルヘッドを移動させる第1の移動機構と、記録媒体に接触可能な第2の接触位置と媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で第2のサーマルヘッドを移動させる第2の移動機構と、第1のサーマルヘッド、第2のサーマルヘッド、第1の移動機構および第2の移動機構を制御する制御部と、を備え、制御部は、検出機構での検出結果に基づいて、第1の移動機構または第2の移動機構を作動させて、第1のサーマルヘッドを第1の接触位置に配置させるか、または、第2のサーマルヘッドを第2の接触位置に配置させるとともに、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体が一端側または他端側のいずれから媒体搬送路に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドの温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドに記録媒体への印字を行わせることを特徴とする。
【0008】
本発明の媒体処理装置では、制御部は、記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが第1の磁気ヘッド側を向いた状態で媒体搬送路に記録媒体が取り込まれたのかを検出する検出機構での検出結果に基づいて、第1のサーマルヘッドを第1の接触位置に配置させるか、または、第2のサーマルヘッドを第2の接触位置に配置させている。また、本発明では、制御部は、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体が一端側または他端側のいずれから媒体搬送路に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドの温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドに記録媒体への印字を行わせている。
【0009】
そのため、本発明では、たとえば、記録媒体の表(おもて)面または裏面のいずれが上を向いた状態で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、また、記録媒体の一端側または他端側のいずれから記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。すなわち、本発明では、様々な姿勢で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。
【0010】
本発明において、検出機構は、たとえば、磁気ストライプの有無を検出するプリヘッドである。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、本発明の媒体処理装置は、磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、媒体搬送路を通過する記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1のサーマルヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2のサーマルヘッドと、記録媒体に接触可能な第1の接触位置と媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で第1のサーマルヘッドを移動させる第1の移動機構と、記録媒体に接触可能な第2の接触位置と媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で第2のサーマルヘッドを移動させる第2の移動機構と、第1のサーマルヘッド、第2のサーマルヘッド、第1の移動機構および第2の移動機構を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドのいずれで磁気データが読み取られたかを判別し、この判別結果に基づいて、第1の移動機構または第2の移動機構を作動させて、第1のサーマルヘッドを第1の接触位置に配置させるか、または、第2のサーマルヘッドを第2の接触位置に配置させるとともに、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体が一端側または他端側のいずれから媒体搬送路に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドの温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドに記録媒体への印字を行わせることを特徴とする。
【0012】
本発明の媒体処理装置では、制御部は、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドのいずれで磁気データが読み取られたかを判別し、この判別結果に基づいて、第1の移動機構または第2の移動機構を作動させて、第1のサーマルヘッドを第1の接触位置に配置させるか、または、第2のサーマルヘッドを第2の接触位置に配置させている。また、本発明では、制御部は、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体が一端側または他端側のいずれから媒体搬送路に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドの温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドに記録媒体への印字を行わせている。そのため、本発明では、様々な姿勢で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。
【0013】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明の媒体処理装置の制御方法は、磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、媒体搬送路を通過する記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨むように配置され記録媒体に接触可能な第1の接触位置と媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で移動可能な第1のサーマルヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨むように配置され記録媒体に接触可能な第2の接触位置と媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で移動可能な第2のサーマルヘッドと、を備える媒体処理装置の制御方法であって、記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが第1の磁気ヘッド側を向いた状態で媒体搬送路に記録媒体が取り込まれたのかを判別する第1取込方向判別ステップと、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体の一端側または他端側のいずれから媒体搬送路に記録媒体が取り込まれたのかを判別する第2取込方向判別ステップと、第1取込方向判別ステップでの判別結果に基づいて、第1のサーマルヘッドを第1の接触位置に移動させるか、または、第2のサーマルヘッドを第2の接触位置に移動させるサーマルヘッド移動ステップと、第2取込方向判別ステップでの判別結果に基づいて、サーマルヘッド移動ステップで移動させた第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドの温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドによって記録媒体に印字を行う印字ステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の媒体処理装置の制御方法では、第1取込方向判別ステップで、記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが第1の磁気ヘッド側を向いた状態で媒体搬送路に記録媒体が取り込まれたのかを判別し、かつ、第2取込方向判別ステップで、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体の一端側または他端側のいずれから媒体搬送路に記録媒体が取り込まれたのかを判別している。また、本発明では、サーマルヘッド移動ステップで、第1取込方向判別ステップでの検出結果に基づいて、第1のサーマルヘッドを第1の接触位置に移動させるか、または、第2のサーマルヘッドを第2の接触位置に移動させ、印字ステップで、第2取込方向判別ステップでの判別結果に基づいて、サーマルヘッド移動ステップで移動させた第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドの温度制御と記録媒体の搬送制御とを行いながら、第1のサーマルヘッドまたは第2のサーマルヘッドによって記録媒体に印字を行っている。そのため、本発明の制御方法によれば、様々な姿勢で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の媒体処理装置および媒体処理装置の制御方法では、様々な姿勢で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれる場合であっても、記録媒体の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】図1の媒体処理装置で使用される記録媒体を示す図であり、(A)は記録媒体の表(おもて)面を示す図、(B)は記録媒体の裏面を示す図である。
【図3】図1の媒体処理装置の制御部および制御部に関連する構成を示すブロック図である。
【図4】(A)は、図1に示す磁気ヘッド部、第1パッドローラ移動機構および第2パッドローラ移動機構の側面図であり、(B)は、図1に示す磁気ヘッド部の平面図である。
【図5】図1に示す磁気ヘッド部の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す印字処理部の主要部の構成を示す側面図である。
【図7】図6に示すサーマルヘッドの動作を説明するための図である。
【図8】図1の媒体処理装置の概略動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる記録媒体の裏面を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる磁気ヘッド部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(媒体処理装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置1の概略構成を説明するための側面図である。図2は、図1の媒体処理装置1で使用される記録媒体2を示す図であり、(A)は記録媒体2の表(おもて)面2aを示す図、(B)は記録媒体2の裏面2bを示す図である。図3は、図1の媒体処理装置1の制御部5および制御部5に関連する構成を示すブロック図である。
【0019】
本形態の媒体処理装置1は、たとえば、駅の改札口に設置される自動改札機に搭載されて使用される装置であり、乗車券等のカード状の記録媒体2に記録される磁気データの読取りと、記録媒体2への磁気データの書込みと、記録媒体2への印字とを行う。この媒体処理装置1は、図1に示すように、磁気データの読取りおよび書込み処理を行う磁気データ処理部3と、印字処理を行う印字処理部4とを備えている。また、媒体処理装置1は、図3に示すように、媒体処理装置1を制御する制御部5を備えている。制御部5は、媒体処理装置1が搭載される自動改札機等の上位装置を制御する上位制御部6に接続されている。
【0020】
なお、以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、上下方向とZ方向とが一致している。また、Y方向を左右方向とし、X方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「前」側とし、X2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0021】
印字処理部4の下端は、磁気データ処理部3の後端に繋がっており、媒体処理装置1は、左右方向から見たときの形状が略L形状となるように形成されている。磁気データ処理部3の前端には、記録媒体2が挿入される挿入口8が形成され、印字処理部4の上端には、記録媒体2が排出される排出口9が形成されている。また、磁気データ処理部3では、後ろ方向に向かって記録媒体2が搬送され、印字処理部4では、略上方向に向かって記録媒体2が搬送される。
【0022】
記録媒体2は、たとえば、所定の厚さの紙製のカードであり、長方形状に形成されている。記録媒体2の表(おもて)面2aには、感熱方式で印字が行われる印字部が形成されている。また、記録媒体2の裏面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ2cが形成されている。磁気ストライプ2cは、裏面2bの全面に形成されている。本形態の磁気ストライプ2cには、3トラックの磁気データが記録されている。
【0023】
磁気データ処理部3は、記録媒体2を取り込む媒体取込部11と、磁気データの読取りおよび書込みを行う磁気データ読取り書込み部12とを備えている。媒体取込部11は、磁気データ読取り書込み部12の前側に配置されている。磁気データ処理部3の内部には、記録媒体2が搬送される媒体搬送路13が形成されている。
【0024】
上述のように、磁気データ処理部3では、後ろ方向に向かって記録媒体2が搬送される。具体的には、磁気データ処理部3では、記録媒体2は、その長さ方向(長手幅方向)が前後方向と平行になるように後ろ方向に向かって搬送される。すなわち、磁気データ処理部3においては、前後方向(より具体的には、後ろ方向)は、記録媒体2の搬送方向であり、上下方向は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2の厚み方向である。また、磁気データ処理部3においては、前側(X1方向側)は、記録媒体2の搬送方向の上流側であり、後ろ側(X2方向側)は、記録媒体2の搬送方向の下流側である。また、左右方向は、記録媒体2の厚み方向と記録媒体2の搬送方向とに直交する記録媒体2の幅方向(短手幅方向)である。
【0025】
媒体取込部11は、挿入口8を閉鎖するためのシャッタ部材14と、挿入口8に挿入された記録媒体2を取り込むための取込ローラ15と、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で挿入口8から媒体処理装置1に記録媒体2が挿入されたのかを検出する検出機構としてのプリヘッド16と、挿入口8に記録媒体2が挿入されたことを検出するためのセンサ17とを備えている。センサ17は、前後方向において、シャッタ部材14の前側に配置されている。また、図3に示すように、プリヘッド16およびセンサ17は、制御部5に接続されている。
【0026】
シャッタ部材14は、リンク機構等の動力伝達機構を介して、ソレノイド18に連結されている。このシャッタ部材14は、ソレノイド18の動力で上下動する。本形態では、ソレノイド18が通電状態にないときに、シャッタ部材14が上昇して、挿入口8を塞ぎ、ソレノイド18が通電状態になると、シャッタ部材14が下降して、挿入口8を開放する。ソレノイド18は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0027】
取込ローラ15は、たとえば、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。この取込ローラ15は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、後述のモータ65に連結されている。取込ローラ15には、パッドローラ19が上側から対向配置されている。パッドローラ19は、取込ローラ15に向かって付勢されている。取込ローラ15およびパッドローラ19は、前後方向において、シャッタ部材14の後ろ側に配置されている。
【0028】
プリヘッド16は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。また、左右方向におけるプリヘッド16の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線上に配置されている。プリヘッド16には、パッドローラ20が上側から対向配置されている。パッドローラ20は、プリヘッド16に向かって付勢されている。プリヘッド16およびパッドローラ20は、前後方向において、取込ローラ15およびパッドローラ19の後ろ側に配置されている。
【0029】
表面2aを上にして記録媒体2が挿入口8から挿入されると、記録媒体2の裏面2bの磁気ストライプ2cがプリヘッド16に当接するため、プリヘッド16から磁気信号が出力される。一方、裏面2bを上にして記録媒体2が挿入口8から挿入されると、記録媒体2にプリヘッド16が当接しても、プリヘッド16から磁気信号が出力されない。本形態では、プリヘッド16から出力される磁気信号に基づいて、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るか否かを検出する。また、プリヘッド16によって、磁気ストライプ2cの有無を検出することで、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されたのか(すなわち、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で記録媒体2が媒体搬送路13へ取り込まれたのか)を検出する。本形態のプリヘッド16は、3チャンネル型の磁気ヘッドであり、磁気ストライプ2cに記録される3トラックの磁気データを読み取ることが可能になっている。なお、プリヘッド16は、1チャンネル型の磁気ヘッドであっても良い。
【0030】
磁気データ読取り書込み部12は、磁気ヘッド24、25を有する磁気ヘッド部31と、磁気ヘッド26、27を有する磁気ヘッド部32と、磁気ヘッド28、29を有する磁気ヘッド部33と、記録媒体2を搬送する搬送機構34とを備えている。磁気データ読取り書込み部12の詳細な構成については後述する。
【0031】
印字処理部4は、記録媒体2の表面2aの印字部に印字を行うサーマルヘッド36、37と、サーマルヘッド36を移動させる第1サーマルヘッド移動機構38と、サーマルヘッド37を移動させる第2サーマルヘッド移動機構39とを備えている。印字処理部4の内部には、記録媒体2が搬送される媒体搬送路40が形成されている。印字処理部4の詳細な構成については後述する。
【0032】
なお、上述のように、印字処理部4では、略上方向に向かって記録媒体2が搬送されるため、印字処理部4においては、略上下方向(より具体的には、略上方向)は、印字処理部4における記録媒体2の搬送方向であり、略前後方向は、媒体搬送路40を通過する記録媒体2の厚み方向である。また、印字処理部4においては、略下側は、記録媒体2の搬送方向の上流側であり、略上側は、記録媒体2の搬送方向の下流側である。
【0033】
(磁気データ読取り書込み部の構成)
図4(A)は、図1に示す磁気ヘッド部31〜33、第1パッドローラ移動機構51および第2パッドローラ移動機構52の側面図であり、図4(B)は、図1に示す磁気ヘッド部31〜33の平面図である。図5は、図1に示す磁気ヘッド部31〜33の動作を説明するための図である。
【0034】
磁気データ読取り書込み部12は、上述のように、磁気ヘッド部31〜33と搬送機構34とを備えている。磁気ヘッド部31〜33は、磁気ヘッド24〜29のそれぞれに対向配置されるパッドローラ45〜50を備えている。また、磁気データ読取り書込み部12は、パッドローラ45、47、49を移動させる第1パッドローラ移動機構51と、パッドローラ46、48、50を移動させる第2パッドローラ移動機構52とを備えている。磁気ヘッド部31〜33は、前側から後ろ側に向かってこの順番に、かつ、所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0035】
磁気ヘッド部31は、上述のように、磁気ヘッド24、25およびパッドローラ45、46を備えている。磁気ヘッド24は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド25は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。本形態では、磁気ヘッド24、25は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。また、前後方向において、磁気ヘッド25は、磁気ヘッド24よりも後ろ側に配置されている。また、左右方向における磁気ヘッド24、25の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線CL上に配置されている(図4(B)参照)。
【0036】
磁気ヘッド24、25は、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録された磁気データを読み取る読取りヘッドである。また、磁気ヘッド24、25は、磁気ストライプ2cに記録される3トラックの磁気データに対応する3つのチャンネルを有する3チャンネル型の磁気ヘッドである。磁気ヘッド24、25は、図3に示すように、制御部5に接続されている。本形態の磁気ヘッド24は、第1の磁気ヘッドであり、磁気ヘッド25は、第2の磁気ヘッドである。
【0037】
パッドローラ45は、上側から磁気ヘッド24に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド24に向かって付勢されている。パッドローラ46は、下側から磁気ヘッド25に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド25に向かって付勢されている。
【0038】
磁気ヘッド部32は、上述のように、磁気ヘッド26、27およびパッドローラ47、48を備えている。磁気ヘッド26は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド27は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。本形態では、磁気ヘッド26、27は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。また、前後方向において、磁気ヘッド27は、磁気ヘッド26よりも後ろ側に配置されている。また、左右方向における磁気ヘッド26、27の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線CL上に配置されている。
【0039】
磁気ヘッド26、27は、記録媒体2の磁気ストライプ2cに磁気データを書き込む書込みヘッドである。また、磁気ヘッド26、27は、磁気ストライプ2cに書き込まれる3トラックの磁気データに対応する3つのチャンネルを有する3チャンネル型の磁気ヘッドである。磁気ヘッド26、27は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0040】
パッドローラ47は、上側から磁気ヘッド26に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド26に向かって付勢されている。パッドローラ48は、下側から磁気ヘッド27に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド27に向かって付勢されている。
【0041】
磁気ヘッド部33は、上述のように、磁気ヘッド28、29およびパッドローラ49、50を備えている。磁気ヘッド28は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド29は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。本形態では、磁気ヘッド28、29は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。また、前後方向において、磁気ヘッド29は、磁気ヘッド28よりも後ろ側に配置されている。また、左右方向における磁気ヘッド28、29の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線CL上に配置されている。
【0042】
磁気ヘッド28、29は、磁気ヘッド26、27によって記録媒体2の磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データを読み取って、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かを確認するためのベリファイヘッドである。また、磁気ヘッド28、29は、磁気ストライプ2cに記録される3トラックの磁気データに対応する3つのチャンネルを有する3チャンネル型の磁気ヘッドである。磁気ヘッド28、29は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0043】
パッドローラ49は、上側から磁気ヘッド28に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド28に向かって付勢されている。パッドローラ50は、下側から磁気ヘッド29に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド29に向かって付勢されている。
【0044】
図4(A)に示すように、前後方向における磁気ヘッド24のギャップと磁気ヘッド25のギャップとの距離L1、前後方向における磁気ヘッド26のギャップと磁気ヘッド27のギャップとの距離L2、および、前後方向における磁気ヘッド28のギャップと磁気ヘッド29のギャップとの距離L3は、互いに略等しくなっている。また、距離L1〜L3は、磁気ストライプ2cの磁気データの記録範囲2dの長さL4(図2(B)参照)よりも短くなっている。たとえば、距離L1〜L3は、長さL4の約1/4〜1/5程度となっている。なお、前後方向における磁気ヘッド25と磁気ヘッド26との距離、および、前後方向における磁気ヘッド27と磁気ヘッド28との距離は、記録媒体2の長さ(長手方向の幅)よりも長くなっている。
【0045】
第1パッドローラ移動機構51は、パッドローラ45、47、49のそれぞれを回転可能に支持する3個のレバー部材54と、ソレノイド55と、ソレノイド55のプランジャに連結される連結部材56とを備えている。レバー部材54は、磁気データ読取り書込み部12のフレームに回動可能に支持されている。また、レバー部材54は、連結部材56に回動可能に連結されている。ソレノイド55は、図3に示すように、制御部5に接続されている。本形態では、ソレノイド55の動作によって、パッドローラ45、47、49は、図5(A)に示すように、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に接触可能な接触位置45A、47A、49Aと、図5(B)に示すように、媒体搬送路13から離れる方向(すなわち、上方向)へ退避する退避位置45B、47B、49Bとの間を移動する。
【0046】
第2パッドローラ移動機構52は、第1パッドローラ移動機構51と同様に、パッドローラ46、48、50のそれぞれを回転可能に支持する3個のレバー部材57と、ソレノイド58と、ソレノイド58のプランジャに連結される連結部材59とを備えている。レバー部材57は、磁気データ読取り書込み部12のフレームに回動可能に支持されている。また、レバー部材57は、連結部材59に回動可能に連結されている。ソレノイド58は、図3に示すように、制御部5に接続されている。本形態では、ソレノイド58の動作によって、パッドローラ46、48、50は、図5(B)に示すように、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に接触可能な接触位置46A、48A、50Aと、図5(A)に示すように、媒体搬送路13から離れる方向(すなわち、下方向)へ退避する退避位置46B、48B、50Bとの間を移動する。
【0047】
搬送機構34は、図1に示すように、記録媒体2の上面に接触して記録媒体2を搬送するベルト61と、記録媒体2の下面に接触して記録媒体2を搬送するベルト62と、ベルト61が架け渡される複数のプーリ63と、ベルト62が架け渡される複数のプーリ64とを備えている。プーリ63、64は、図示を省略するベルトやプーリ等の動力伝達機構を介してモータ65に連結されている。モータ65は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0048】
(印字処理部の構成)
図6は、図1に示す印字処理部4の主要部の構成を示す側面図である。図7は、図6に示すサーマルヘッド36、37の動作を説明するための図である。
【0049】
印字処理部4は、上述のサーマルヘッド36、37、第1サーマルヘッド移動機構38、および、第2サーマルヘッド移動機構39に加え、サーマルヘッド36、37のそれぞれに対向配置されるプラテンローラ67、68と、排出口9から記録媒体2を排出するための排出ローラ69とを備えている。
【0050】
サーマルヘッド36、37の幅(左右方向の幅)は、記録媒体2の幅(短手幅)と略等しくなっている。サーマルヘッド36は、サーマルヘッド37よりも下側に配置されている。また、サーマルヘッド36は、媒体搬送路40の略前側から媒体搬送路40に臨むように配置され、サーマルヘッド37は、媒体搬送路40の略後ろ側から媒体搬送路40に臨むように配置されている。サーマルヘッド36、37は、図3に示すように、制御部5に接続されている。プラテンローラ67は、略後ろ側からサーマルヘッド36に対向配置され、プラテンローラ68は、略前側からサーマルヘッド37に対向配置されている。プラテンローラ67、68は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、モータ65に連結されている。また、プラテンローラ67、68は、媒体搬送路40を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。
【0051】
第1サーマルヘッド移動機構38は、サーマルヘッド36が固定されるヘッド固定部材70と、ヘッド固定部材70が連結されるソレノイド71とを備えている。ヘッド固定部材70は、印字処理部4のフレームに回動可能に支持されている。ソレノイド71は、図3に示すように、制御部5に接続されている。本形態では、ソレノイド71の動作によって、サーマルヘッド36は、図7(A)に示すように、記録媒体2に接触可能な接触位置(第1の接触位置)36Aと、図7(B)に示すように、媒体搬送路40から退避する退避位置(第1の退避位置)36Bとの間を移動する。すなわち、第1サーマルヘッド移動機構38は、接触位置36Aと退避位置36Bとの間でサーマルヘッド36を移動させる。
【0052】
第2サーマルヘッド移動機構39は、サーマルヘッド37が固定されるヘッド固定部材72と、ヘッド固定部材72が連結されるソレノイド73とを備えている。ヘッド固定部材72は、印字処理部4のフレームに回動可能に支持されている。ソレノイド73は、図3に示すように、制御部5に接続されている。本形態では、ソレノイド73の動作によって、サーマルヘッド37は、図7(B)に示すように、記録媒体2に接触可能な接触位置(第2の接触位置)37Aと、図7(A)に示すように、媒体搬送路40から退避する退避位置(第2の退避位置)37Bとの間を移動する。すなわち、第2サーマルヘッド移動機構39は、接触位置37Aと退避位置37Bとの間でサーマルヘッド37を移動させる。
【0053】
なお、本形態のサーマルヘッド36は、第1のサーマルヘッドであり、サーマルヘッド37は、第2のサーマルヘッドである。また、本形態の第1サーマルヘッド移動機構38は、第1のサーマルヘッドであるサーマルヘッド36を接触位置36Aと退避位置36Bとの間で移動させる第1の移動機構であり、第2サーマルヘッド移動機構39は、第2のサーマルヘッドであるサーマルヘッド37を接触位置37Aと退避位置37Bとの間で移動させる第2の移動機構である。
【0054】
排出ローラ69は、たとえば、媒体搬送路40の略前側から媒体搬送路40に臨むように配置されている。この排出ローラ69は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、モータ65に連結されている。排出ローラ69には、パッドローラ74が後ろ側から対向配置されている。パッドローラ74は、排出ローラ69に向かって付勢されている。
【0055】
なお、サーマルヘッド36の下側には、サーマルヘッド36、37による印字開始のタイミングを計るためのセンサ75が配置されている(図1参照)。
【0056】
(媒体処理装置の概略動作)
図8は、図1の媒体処理装置1の概略動作を説明するためのフローチャートである。
【0057】
以上のように構成された媒体処理装置1では、電源が入った状態であって、かつ、記録媒体2が挿入される前の待機時には、シャッタ部材14が下降して、挿入口8が開放されている。また、待機時には、パッドローラ45〜50はいずれも、退避位置45B〜50Bにあり、サーマルヘッド36、37も退避位置36B、37Bにある。
【0058】
この状態で、挿入口8から記録媒体2が挿入されたことがセンサ17によって検出されると(ステップS1)、制御部5は、取込ローラ15および搬送機構34等を駆動して、媒体処理装置1への記録媒体2の取込みを開始する(ステップS2)。また、制御部5は、プリヘッド16から出力される磁気信号に基づいて、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るか否かを確認する(ステップS3)。すなわち、ステップS3において、制御部5は、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されて媒体搬送路13に取り込まれたのかを判別する。なお、プリヘッド16の後ろ側には、図示を省略するセンサが配置されており、このセンサによって記録媒体2が検出されると、制御部5は、ステップS3において、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るか否かを確認する。
【0059】
表面2aが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されており、ステップS3での確認の結果、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有る場合(ステップS4で“Yes”の場合)には、制御部5は、ソレノイド55を駆動して、第1パッドローラ移動機構51を作動させる(ステップS5)。具体的には、制御部5は、ステップS5において、退避位置45B、47B、49Bにあったパッドローラ45、47、49を、図5(A)に示すように、接触位置45A、47A、49Aへ移動させる。
【0060】
パッドローラ45、47、49が接触位置45A、47A、49Aにある状態で、搬送機構34によって記録媒体2が搬送されると、まず、磁気ヘッド24で、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られ、その後、磁気ヘッド26で、磁気ストライプ2cに磁気データが書き込まれ、その後、磁気ヘッド26によって磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データが磁気ヘッド28で読み取られて、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かが確認される(ステップS6)。
【0061】
また、記録媒体2が、その一端2e(図2参照)側から媒体処理装置1に挿入された場合(媒体搬送路13に取り込まれた場合)と、その他端2f(図2参照)側から媒体処理装置1に挿入された場合(媒体搬送路13に取り込まれた場合)とでは、磁気ヘッド24での磁気データの読取り結果が異なるため、ステップS6では、制御部5は、磁気ヘッド24での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体2が、その一端2e側または他端2f側のいずれから媒体処理装置1に挿入されたのかを判別する。すなわち、ステップS6で、制御部5は、記録媒体2の挿入方向を判別する。
【0062】
なお、ステップS6では、磁気ヘッド24で読み取られた磁気データが制御部5から上位制御部6へ送られ、送られてきた磁気データに基づいて、磁気ストライプ2cに書き込まれる磁気データが上位制御部6で生成される。また、生成された磁気データは、上位制御部6から制御部5へ送られ、その後、制御部5から磁気ヘッド26に送られて、磁気ストライプ2cに書き込まれる。
【0063】
その後、制御部5は、ソレノイド71を駆動して、第1サーマルヘッド移動機構38を作動させる(ステップS7)。具体的には、制御部5は、ステップS7において、退避位置36Bにあったサーマルヘッド36を移動させて接触位置36Aに配置させる。サーマルヘッド36が接触位置36Aにある状態で、プラテンローラ67、68等によって記録媒体2が搬送されると、サーマルヘッド36によって、記録媒体2の表面2aに印字が行われる(ステップS8)。
【0064】
上述のように、ステップS6では、記録媒体2が、一端2e側または他端2f側のいずれから媒体処理装置1に挿入されたのかが判別されている。ステップS8では、記録媒体2の表面2aの適切な位置に印字が行われるように、制御部5は、ステップS6での判別結果に基づいて、記録媒体2の搬送制御や、サーマルヘッド36の温度制御等を行いながら、サーマルヘッド36による印字を行う。たとえば、図2(A)の二点鎖線で示す領域2gに印字を行う場合、記録媒体2が、一端2e側または他端2f側のいずれから媒体処理装置1に挿入されたのかによって、センサ75で記録媒体2が検出されてからの記録媒体2の搬送量、サーマルヘッド36の加熱される領域および加熱時間等が異なるため、ステップS8において、制御部5は、ステップS6での判別結果に基づいて、センサ75で記録媒体2が検出されてからの記録媒体2の搬送量、サーマルヘッド36の加熱領域および加熱時間等を制御しながら、サーマルヘッド36による印字を行う。
【0065】
ステップS8で、印字が行われると、記録媒体2は、排出ローラ69等によって、排出口9から排出される(ステップS9)。
【0066】
一方、裏面2bが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されており、ステップS3での確認の結果、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cがない場合(ステップS4で“No”の場合)には、制御部5は、ソレノイド58を駆動して、第2パッドローラ移動機構52を作動させる(ステップS10)。具体的には、制御部5は、ステップS10において、退避位置46B、48B、50Bにあったパッドローラ46、48、50を、図5(B)に示すように、接触位置46A、48A、50Aへ移動させる。
【0067】
パッドローラ46、48、50が接触位置46A、48A、50Aにある状態で、搬送機構34によって記録媒体2が搬送されると、まず、磁気ヘッド25で、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られ、その後、磁気ヘッド27で、磁気ストライプ2cに磁気データが書き込まれ、その後、磁気ヘッド27によって磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データが磁気ヘッド29で読み取られて、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かが確認される(ステップS11)。
【0068】
記録媒体2が、一端2e側から媒体処理装置1に挿入された場合と、他端2f側から媒体処理装置1に挿入された場合とでは、磁気ヘッド25での磁気データの読取り結果が異なるため、ステップS6と同様に、ステップS11では、制御部5は、磁気ヘッド25での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体2が、その一端2e側または他端2f側のいずれから媒体処理装置1に挿入されたのかを判別する。すなわち、ステップS11で、制御部5は、記録媒体2の挿入方向を判別する。
【0069】
なお、ステップS11では、ステップS6と同様に、磁気ヘッド25で読み取られた磁気データが制御部5から上位制御部6へ送られ、送られてきた磁気データに基づいて、磁気ストライプ2cに書き込まれる磁気データが上位制御部6で生成される。また、生成された磁気データは、上位制御部6から制御部5へ送られ、その後、制御部5から磁気ヘッド27に送られて、磁気ストライプ2cに書き込まれる。
【0070】
その後、制御部5は、ソレノイド73を駆動して、第2サーマルヘッド移動機構39を作動させる(ステップS12)。具体的には、制御部5は、ステップS12において、退避位置37Bにあったサーマルヘッド37を接触位置37Aへ移動させる。サーマルヘッド37が接触位置37Aにある状態で、プラテンローラ67、68等によって記録媒体2が搬送されると、サーマルヘッド37によって、記録媒体2の表面2aに印字が行われる(ステップS13)。
【0071】
上述のように、ステップS11では、記録媒体2が、一端2e側または他端2f側のいずれから媒体処理装置1に挿入されたのかが判別されている。ステップS13では、ステップS8と同様に、記録媒体2の表面2aの適切な位置に印字が行われるように、制御部5は、ステップS11での判別結果に基づいて、記録媒体2の搬送制御や、サーマルヘッド37の温度制御等を行いながら、サーマルヘッド37による印字を行う。
【0072】
ステップS13で、印字が行われると、ステップS9へ進み、記録媒体2は、排出ローラ69等によって、排出口9から排出される(ステップS9)。
【0073】
なお、記録媒体2の表面2aの印字品質として比較的高い品質が要求される場合には、ステップS7、S12では、記録媒体2の搬送を一旦停止してから、サーマルヘッド36、37を接触位置36A、37Aへ移動させる。一方、表面2aの印字品質としてそれほど高い品質が要求されない場合には、ステップS7、S12では、記録媒体2を搬送しながら、サーマルヘッド36、37を接触位置36A、37Aへ移動させる。
【0074】
また、磁気ヘッド24の前側には、図示を省略するセンサが配置されており、このセンサによって、媒体処理装置1に取り込まれた記録媒体2が検出されると、シャッタ部材14が上昇して、挿入口8が塞がれる。また、排出口9から記録媒体2が排出されると、シャッタ部材14が下降して、挿入口8が開放される。
【0075】
本形態のステップS4は、記録媒体2の表面2aまたは裏面2bのいずれが磁気ヘッド24側を向いた状態で媒体搬送路13に記録媒体2が取り込まれたのかを判別する第1取込方向判別ステップであり、ステップS6、S11は、磁気ヘッド24または磁気ヘッド25での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体2の一端2e側または他端2f側のいずれから媒体搬送路13に記録媒体2が取り込まれたのかを判別する第2取込方向判別ステップである。また、ステップS7、S12は、第1取込方向判別ステップであるステップS4での判別結果に基づいて、サーマルヘッド36を接触位置36Aに移動させるか、または、サーマルヘッド37を接触位置37Aに移動させるサーマルヘッド移動ステップであり、ステップS8、S13は、第2取込方向判別ステップであるステップS6、S11での判別結果に基づいて、サーマルヘッド移動ステップであるステップS7、S12で移動させたサーマルヘッド36またはサーマルヘッド37の温度制御と記録媒体2の搬送制御とを行いながら、サーマルヘッド36またはサーマルヘッド37によって記録媒体2に印字を行う印字ステップである。
【0076】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部5は、プリヘッド16での検出結果に基づいて、記録媒体2の表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で媒体処理装置1に記録媒体2が取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、サーマルヘッド36を接触位置36Aに配置させるか、または、サーマルヘッド37を接触位置37Aに配置させている。また、本形態では、制御部5は、磁気ヘッド24または磁気ヘッド25での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体2が一端2e側または他端2f側のいずれから媒体処理装置1に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、サーマルヘッド36またはサーマルヘッド37の温度制御と記録媒体2の搬送制御とを行いながら、サーマルヘッド36またはサーマルヘッド37に記録媒体2への印字を行わせている。
【0077】
そのため、本形態では、記録媒体2の表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で記録媒体2が媒体処理装置1に取り込まれる場合であっても、また、記録媒体2の一端2e側または他端2f側のいずれから記録媒体2が媒体処理装置1に取り込まれる場合であっても、記録媒体2の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。すなわち、本形態では、様々な姿勢で記録媒体2が媒体処理装置1に取り込まれる場合であっても、記録媒体2の所定の位置に適切な印字を行うことが可能になる。
【0078】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0079】
上述した形態では、制御部5は、プリヘッド16での検出結果に基づいて、記録媒体2の表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で媒体処理装置1に記録媒体2が取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、第1サーマルヘッド移動機構38または第2サーマルヘッド移動機構39を作動させている。この他にもたとえば、制御部5は、磁気ヘッド24または磁気ヘッド25のいずれで磁気データが読み取られたかを判別することで、記録媒体2の表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で媒体処理装置1に記録媒体2が取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、第1サーマルヘッド移動機構38または第2サーマルヘッド移動機構39を作動させても良い。
【0080】
上述した形態では、磁気ストライプ2cは、裏面2bの全面に形成されている。この他にもたとえば、図9(A)に示すように、記録媒体2の幅よりも狭い幅の磁気ストライプ2cが、記録媒体2の幅方向における記録媒体2の中心に形成されても良い。また、図9(B)に示すように、磁気ストライプ2cは、記録媒体2の幅方向における記録媒体2の中心からずれた位置に形成されても良い。この場合には、図10に示すように、左右方向における媒体搬送路13の中心線CLを挟むように、2個の磁気ヘッド部31、2個の磁気ヘッド部32および2個の磁気ヘッド部33が配置されれば良い。
【符号の説明】
【0081】
1 媒体処理装置
2 記録媒体
2c 磁気ストライプ
2e 一端
2f 他端
5 制御部
13、40 媒体搬送路
16 プリヘッド(検出機構)
24 磁気ヘッド(第1の磁気ヘッド)
25 磁気ヘッド(第2の磁気ヘッド)
36 サーマルヘッド(第1のサーマルヘッド)
36A 接触位置(第1の接触位置)
36B 退避位置(第1の退避位置)
37 サーマルヘッド(第2のサーマルヘッド)
37A 接触位置(第2の接触位置)
37B 退避位置(第2の退避位置)
38 第1サーマルヘッド移動機構(第1の移動機構)
39 第2サーマルヘッド移動機構(第2の移動機構)
S4 第1取込方向判別ステップ
S6、S11 第2取込方向判別ステップ
S7、S12 サーマルヘッド移動ステップ
S8、S13 印字ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、前記媒体搬送路を通過する前記記録媒体の厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、前記第1の磁気ヘッドおよび前記第2の磁気ヘッドよりも前記記録媒体の搬送方向における上流側に配置され、前記記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが前記第1の磁気ヘッド側を向いた状態で前記媒体搬送路に前記記録媒体が取り込まれたのかを検出する検出機構と、前記記録媒体の前記厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨む第1のサーマルヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨む第2のサーマルヘッドと、前記記録媒体に接触可能な第1の接触位置と前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で前記第1のサーマルヘッドを移動させる第1の移動機構と、前記記録媒体に接触可能な第2の接触位置と前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で前記第2のサーマルヘッドを移動させる第2の移動機構と、前記第1のサーマルヘッド、前記第2のサーマルヘッド、前記第1の移動機構および前記第2の移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出機構での検出結果に基づいて、前記第1の移動機構または前記第2の移動機構を作動させて、前記第1のサーマルヘッドを前記第1の接触位置に配置させるか、または、前記第2のサーマルヘッドを前記第2の接触位置に配置させるとともに、前記第1の磁気ヘッドまたは前記第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、前記記録媒体が一端側または他端側のいずれから前記媒体搬送路に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、前記第1のサーマルヘッドまたは前記第2のサーマルヘッドの温度制御と前記記録媒体の搬送制御とを行いながら、前記第1のサーマルヘッドまたは前記第2のサーマルヘッドに前記記録媒体への印字を行わせることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記検出機構は、前記磁気ストライプの有無を検出するプリヘッドであることを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項3】
磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、前記媒体搬送路を通過する前記記録媒体の厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨む第1のサーマルヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨む第2のサーマルヘッドと、前記記録媒体に接触可能な第1の接触位置と前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で前記第1のサーマルヘッドを移動させる第1の移動機構と、前記記録媒体に接触可能な第2の接触位置と前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で前記第2のサーマルヘッドを移動させる第2の移動機構と、前記第1のサーマルヘッド、前記第2のサーマルヘッド、前記第1の移動機構および前記第2の移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の磁気ヘッドまたは前記第2の磁気ヘッドのいずれで磁気データが読み取られたかを判別し、この判別結果に基づいて、前記第1の移動機構または前記第2の移動機構を作動させて、前記第1のサーマルヘッドを前記第1の接触位置に配置させるか、または、前記第2のサーマルヘッドを前記第2の接触位置に配置させるとともに、前記第1の磁気ヘッドまたは前記第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、前記記録媒体が一端側または他端側のいずれから前記媒体搬送路に取り込まれたのかを判別し、この判別結果に基づいて、前記第1のサーマルヘッドまたは前記第2のサーマルヘッドの温度制御と前記記録媒体の搬送制御とを行いながら、前記第1のサーマルヘッドまたは前記第2のサーマルヘッドに前記記録媒体への印字を行わせることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、前記媒体搬送路を通過する前記記録媒体の厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨むように配置され前記記録媒体に接触可能な第1の接触位置と前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で移動可能な第1のサーマルヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨むように配置され前記記録媒体に接触可能な第2の接触位置と前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で移動可能な第2のサーマルヘッドと、を備える媒体処理装置の制御方法であって、
前記記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが前記第1の磁気ヘッド側を向いた状態で前記媒体搬送路に前記記録媒体が取り込まれたのかを判別する第1取込方向判別ステップと、
前記第1の磁気ヘッドまたは前記第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取り結果に基づいて、前記記録媒体の一端側または他端側のいずれから前記媒体搬送路に前記記録媒体が取り込まれたのかを判別する第2取込方向判別ステップと、
前記第1取込方向判別ステップでの判別結果に基づいて、前記第1のサーマルヘッドを前記第1の接触位置に移動させるか、または、前記第2のサーマルヘッドを前記第2の接触位置に移動させるサーマルヘッド移動ステップと、
前記第2取込方向判別ステップでの判別結果に基づいて、前記サーマルヘッド移動ステップで移動させた前記第1のサーマルヘッドまたは前記第2のサーマルヘッドの温度制御と前記記録媒体の搬送制御とを行いながら、前記第1のサーマルヘッドまたは前記第2のサーマルヘッドによって前記記録媒体に印字を行う印字ステップと、を備えることを特徴とする媒体処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−28129(P2013−28129A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166993(P2011−166993)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】