説明

媒体処理装置

【課題】高速での記録媒体の処理が可能で、かつ、記録媒体の搬送方向において、装置を小型化することが可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置1は、下側から媒体搬送路13に臨む磁気ヘッド24、26、28と、上側から媒体搬送路13に臨む磁気ヘッド25、27、29と、磁気ヘッド24〜29のそれぞれに対向配置されるパッドローラ45〜50と、パッドローラ45、47、49を媒体搬送路13から退避させる移動機構51と、パッドローラ46、48、50を媒体搬送路13から退避させる移動機構52とを備えている。記録媒体の搬送方向において、磁気ヘッド24(26、28)と磁気ヘッド25(27、29)とは互いにずれており、この方向における磁気ヘッド24(26、28)と磁気ヘッド25(27、29)との距離は、記録媒体の磁気ストライプに記録される磁気データの記録範囲の長さよりも短くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ストライプを有するカード状の記録媒体に記録される磁気データの読取りや、この記録媒体への磁気データの書込みを行う媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅の改札口に設置される自動改札機として、投入口から投入された乗車券の表裏を反転させるための迂回搬送路および反転機構を備える自動改札機が知られている。(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の自動改札機は、投入口から取り込まれた乗車券の表裏の状態を判断し、表(おもて)面が上を向いた状態で乗車券が取り込まれた場合には、そのまま、乗車券に対して磁気データの読取りや書込み等の所定の処理を行い、裏面が上を向いた状態で乗車券が取り込まれた場合には、乗車券を迂回搬送路へ導いて反転機構によって表裏を反転させた後に、再び、正規の搬送路へ戻してから、乗車券に対して所定の処理を行っている。
【0003】
特許文献1に記載の自動改札機では、裏面が上を向いた状態で乗車券が取り込まれた場合に、乗車券の表裏を反転させてから所定の処理を行っているため、この場合の乗車券の処理に時間がかかる。
【0004】
そこで、従来、乗車券等の記録媒体の取り込み姿勢にかかわらず、記録媒体に高速で所定の処理を行うことが可能な磁気記録媒体読取り書込み装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置で取り扱われる記録媒体の磁気ストライプは、記録媒体の搬送方向に直交する記録媒体の幅方向における記録媒体の中心からずれている。そのため、この磁気記録媒体読取り書込み装置は、記録媒体の表面が上を向いた状態で記録媒体の一端側から装置に記録媒体が取り込まれたときに磁気データの読取りおよび書込みを行う第1の読取り書込みユニットと、記録媒体の表面が下を向いた状態で記録媒体の他端側から装置に記録媒体が取り込まれたときに磁気データの読取りおよび書込みを行う第2の読取り書込みユニットと、記録媒体の表面が上を向いた状態で記録媒体の他端側から装置に記録媒体が取り込まれたときに磁気データの読取りおよび書込みを行う第3の読取り書込みユニットと、記録媒体の表面が下を向いた状態で記録媒体の一端側から装置に記録媒体が取り込まれたときに磁気データの読取りおよび書込みを行う第4の読取り書込みユニットとを備えている。
【0005】
特許文献2に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置では、第1から第4の読取り書込みユニットが記録媒体の搬送路に沿って順番にかつ一列に配置されている。また、第1の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッド、および、第3の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッドは、下側から搬送路に臨むように配置され、第2の取り書込みユニットを構成する磁気ヘッド、および、第4の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッドは、上側から搬送路に臨むように配置されている。また、第1の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッド、および、第2の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッドは、記録媒体の幅方向において、搬送路の中心よりも一方側へずれた位置に配置され、第3の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッド、および、第4の読取り書込みユニットを構成する磁気ヘッドは、記録媒体の幅方向において、搬送路の中心よりも他方側へずれた位置に配置されている。また、磁気ヘッドのそれぞれには、磁気ヘッドに向かって付勢されるパッドローラが対向配置されている。
【0006】
特許文献2に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置では、記録媒体がどのような姿勢で取り込まれても、記録媒体を反転させることなく、所定の処理を行うことが可能であるため、記録媒体に高速で所定の処理を行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−325623号公報
【特許文献2】特開2006−286108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、特許文献2に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置では、高速で記録媒体を処理することが可能である。しかしながら、この磁気記録媒体読取り書込み装置では、第1から第4の読取り書込みユニットが記録媒体の搬送路に沿って順番にかつ一列に配置されているため、記録媒体の搬送方向において、装置が大型化する。
【0009】
そこで、本発明の課題は、高速での記録媒体の処理が可能で、かつ、記録媒体の搬送方向において、装置を小型化することが可能な媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の媒体処理装置は、磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、媒体搬送路を通過する記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、第1の磁気ヘッドに対向配置され第1の磁気ヘッドに向かって付勢される第1のパッドローラと、第2の磁気ヘッドに対向配置され第2の磁気ヘッドに向かって付勢される第2のパッドローラとを有する磁気ヘッド部と、第1の磁気ヘッドおよび第1のパッドローラが記録媒体に接触可能な第1の接触位置と、第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラが媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラを移動させる第1の移動機構と、第2の磁気ヘッドおよび第2のパッドローラが記録媒体に接触可能な第2の接触位置と、第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラが媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラを移動させる第2の移動機構と、を備え、磁気ヘッド部では、記録媒体の搬送方向において、第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとが互いにずれており、記録媒体の搬送方向における第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの距離は、磁気ストライプに記録される磁気データの記録範囲の長さよりも短くなっていることを特徴とする。
【0011】
本発明の媒体処理装置は、記録媒体の厚み方向の一方側から媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、記録媒体の厚み方向の他方側から媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドとを備えている。そのため、たとえば、表(おもて)面が上を向いた状態で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれた場合、および、裏面が上を向いた状態で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれた場合のいずれの場合であっても、装置内で記録媒体を反転させることなく、第1の磁気ヘッドまたは第2の磁気ヘッドによって、記録媒体に所定の処理を行うことが可能になる。したがって、本発明では、高速での記録媒体の処理が可能になる。
【0012】
また、本発明の媒体処理装置では、記録媒体の搬送方向における第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの距離が、磁気ストライプに記録される磁気データの記録範囲の長さよりも短くなっている。そのため、記録媒体の搬送方向において、第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとがずれていても、記録媒体の搬送方向における第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの距離を短くすることが可能になり、その結果、本発明では、記録媒体の搬送方向において、装置を小型化することが可能になる。
【0013】
一方、本発明では、記録媒体の搬送方向における第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの距離が、磁気ストライプに記録される磁気データの記録範囲の長さよりも短いため、たとえば、記録媒体の搬送方向において、第1の磁気ヘッドが上流側に配置され、第2の磁気ヘッドが下流側に配置されている場合を考えると、第1の磁気ヘッドで磁気データの読取りや書込みを行っているときに、第2の磁気ヘッドと第2のパッドローラとの間に記録媒体が突入すると、搬送される記録媒体の速度に変動が生じて、ジッタが悪化するおそれがある。また、第2の磁気ヘッドで磁気データの読取りや書込みを行っているときに、第1の磁気ヘッドと第1のパッドローラとの間から記録媒体が抜けると、搬送される記録媒体の速度に変動が生じて、ジッタが悪化するおそれがある。
【0014】
本発明の媒体処理装置は、第1の磁気ヘッドおよび第1のパッドローラが記録媒体に接触可能な第1の接触位置と、第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラが媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラを移動させる第1の移動機構と、第2の磁気ヘッドおよび第2のパッドローラが記録媒体に接触可能な第2の接触位置と、第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラが媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラを移動させる第2の移動機構とを備えている。そのため、第1の磁気ヘッドで磁気データの読取りや書込みを行っているときには、第2の移動機構によって、第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラを媒体搬送路から退避させ、第2の磁気ヘッドで磁気データの読取りや書込みを行っているときには、第1の移動機構によって、第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラを媒体搬送路から退避させることが可能になる。したがって、本発明では、記録媒体の搬送方向における第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの距離が短くても、第1、第2の磁気ヘッドで磁気データの読取りや書込みを行っているときの記録媒体の搬送速度の変動を抑制して、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。
【0015】
本発明において、媒体処理装置は、たとえば、磁気ヘッド部よりも記録媒体の搬送方向における上流側に配置され、記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが第1の磁気ヘッド側を向いた状態で媒体処理装置に記録媒体が挿入されたのかを検出する検出機構を備え、検出機構での検出結果に基づいて、第1の移動機構および第2の移動機構が制御される。この場合には、たとえば、表(おもて)面が上を向いた状態で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれても、また、裏面が上を向いた状態で記録媒体が媒体処理装置に取り込まれても、検出機構の検出結果に基づいて、第1の移動機構または第2の移動機構を短時間で作動させることが可能になる。
【0016】
本発明において、磁気ストライプは、たとえば、記録媒体の一方の面の全面に形成されている。この場合には、記録媒体の厚み方向と記録媒体の搬送方向とに直交する記録媒体の幅方向において、第1、第2の磁気ヘッドの中心と媒体搬送路の中心とが一致するように磁気ヘッド部を配置すれば良い。すなわち、この場合には、媒体搬送路の中心を挟むように、2個の磁気ヘッド部を配置する必要がなくなる。したがって、媒体処理装置の構成を簡素化することが可能になる。
【0017】
本発明において、第1の磁気ヘッドは、下側から媒体搬送路に臨むように配置され、第2の磁気ヘッドは、上側から媒体搬送路に臨むように配置され、記録媒体が挿入される前の待機時に、第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラは、第1の接触位置に配置され、第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラは、第2の退避位置に配置されていることが好ましい。乗車券等の記録媒体では、一般に、その裏面に磁気ストライプが形成されている。また、乗車券等の記録媒体のユーザは、一般に、その表面を上にして、媒体処理装置の中に記録媒体を挿入することが多い。そのため、このように構成すると、第1の移動機構および第2の移動機構を作動させなくても、記録媒体の処理を行うことができる確率が高くなる。したがって、第1の移動機構および第2の移動機構の作動回数を減らすことが可能になり、その結果、第1の移動機構や第2の移動機構を構成する部品の摩耗等を抑制することが可能になる。
【0018】
また、この場合には、第2の磁気ヘッドは、第1の磁気ヘッドよりも記録媒体の搬送方向における下流側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、記録媒体の一端部が第2の磁気ヘッドに到達するまでに第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラを第2の接触位置へ移動させれば、第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取りや書込みが可能になり、かつ、記録媒体の他端部が第1の磁気ヘッドと第1のパッドローラとの間から抜けるまでに第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラを第1の退避位置へ移動させれば、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。すなわち、このように構成すると、第1の移動機構による第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラの移動時間、および、第2の移動機構による第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラの移動時間が長くても(すなわち、第1の移動機構の作動速度および第2の移動機構の作動速度が遅くても)、第2の磁気ヘッドでの磁気データの読取りや書込みが可能になり、かつ、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。したがって、第1の移動機構および第2の移動機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0019】
本発明において、検出機構は、たとえば、磁気ストライプの有無を検出するプリヘッドである。この場合には、たとえば、プリヘッドは、記録媒体の厚み方向の一方側または他方側のいずれかから媒体搬送路に臨むように配置されている。
【0020】
本発明において、媒体処理装置は、磁気ヘッド部として、第1の磁気ヘッドおよび第2の磁気ヘッドが磁気ストライプに記録された磁気データを読み取る読取りヘッドである第1の磁気ヘッド部と、第1の磁気ヘッドおよび第2の磁気ヘッドが磁気ストライプに磁気データを書き込む書込みヘッドである第2の磁気ヘッド部とを備え、第2の磁気ヘッド部は、第1の磁気ヘッド部よりも記録媒体の搬送方向における下流側に配置され、プリヘッドは、磁気ストライプに記録された磁気データを読み取ることが好ましい。このように構成すると、磁気ストライプに記録された磁気データを読み取ってから磁気ストライプへ磁気データを書き込むまでの時間を長くすることが可能になる。したがって、たとえば、記録媒体の磁気ストライプに記録された磁気データの読取り結果に基づいて第2の磁気ヘッド部で記録媒体に書き込まれる磁気データが生成される場合に、書き込まれる磁気データの生成時間を確保することが可能になる。したがって、記録媒体の搬送速度が速くても、第2の磁気ヘッド部で記録媒体に磁気データを適切に書き込むことが可能になる。
【0021】
本発明において、媒体処理装置は、複数の磁気ヘッド部を備え、第1の移動機構は、複数の磁気ヘッド部の第1の磁気ヘッドおよび/または第1のパッドローラを一緒に移動させ、第2の移動機構は、複数の磁気ヘッド部の第2の磁気ヘッドおよび/または第2のパッドローラを一緒に移動させることが好ましい。このように構成すると、第1の移動機構および第2の移動機構が複数の第1、第2の磁気ヘッドや第1、第2のパッドローラを個別に移動させる場合と比較して、第1の移動機構および第2の移動機構の構成を簡素化することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の媒体処理装置では、高速での記録媒体の処理が可能で、かつ、記録媒体の搬送方向において、装置を小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】図1の媒体処理装置で使用される記録媒体を示す図であり、(A)は記録媒体の表(おもて)面を示す図、(B)は記録媒体の裏面を示す図である。
【図3】図1の媒体処理装置の制御部および制御部に関連する構成を示すブロック図である。
【図4】(A)は、図1に示す磁気ヘッド部、第1パッドローラ移動機構および第2パッドローラ移動機構の側面図であり、(B)は、図1に示す磁気ヘッド部の平面図である。
【図5】図1に示す磁気ヘッド部の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示す印字処理部の主要部の構成を示す側面図である。
【図7】図6に示すサーマルヘッドの動作を説明するための図である。
【図8】図1の媒体処理装置の概略動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる記録媒体の裏面を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる磁気ヘッド部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(媒体処理装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置1の概略構成を説明するための側面図である。図2は、図1の媒体処理装置1で使用される記録媒体2を示す図であり、(A)は記録媒体2の表(おもて)面2aを示す図、(B)は記録媒体2の裏面2bを示す図である。図3は、図1の媒体処理装置1の制御部5および制御部5に関連する構成を示すブロック図である。
【0026】
本形態の媒体処理装置1は、たとえば、駅の改札口に設置される自動改札機に搭載されて使用される装置であり、乗車券等のカード状の記録媒体2に記録される磁気データの読取りと、記録媒体2への磁気データの書込みと、記録媒体2への印字とを行う。この媒体処理装置1は、図1に示すように、磁気データの読取りおよび書込み処理を行う磁気データ処理部3と、印字処理を行う印字処理部4とを備えている。また、媒体処理装置1は、図3に示すように、媒体処理装置1を制御する制御部5を備えている。制御部5は、媒体処理装置1が搭載される自動改札機等の上位装置を制御する上位制御部6に接続されている。
【0027】
なお、以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、上下方向とZ方向とが一致している。また、Y方向を左右方向とし、X方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「前」側とし、X2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0028】
印字処理部4の下端は、磁気データ処理部3の後端に繋がっており、媒体処理装置1は、左右方向から見たときの形状が略L形状となるように形成されている。磁気データ処理部3の前端には、記録媒体2が挿入される挿入口8が形成され、印字処理部4の上端には、記録媒体2が排出される排出口9が形成されている。また、磁気データ処理部3では、後ろ方向に向かって記録媒体2が搬送され、印字処理部4では、略上方向に向かって記録媒体2が搬送される。
【0029】
記録媒体2は、たとえば、所定の厚さの紙製のカードであり、長方形状に形成されている。記録媒体2の表(おもて)面2aには、感熱方式で印字が行われる印字部が形成されている。また、記録媒体2の裏面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ2cが形成されている。磁気ストライプ2cは、裏面2bの全面に形成されている。本形態の磁気ストライプ2cには、3トラックの磁気データが記録されている。
【0030】
磁気データ処理部3は、記録媒体2を取り込む媒体取込部11と、磁気データの読取りおよび書込みを行う磁気データ読取り書込み部12とを備えている。媒体取込部11は、磁気データ読取り書込み部12の前側に配置されている。磁気データ処理部3の内部には、記録媒体2が搬送される媒体搬送路13が形成されている。
【0031】
上述のように、磁気データ処理部3では、後ろ方向に向かって記録媒体2が搬送される。具体的には、磁気データ処理部3では、記録媒体2は、その長さ方向(長手幅方向)が前後方向と平行になるように後ろ方向に向かって搬送される。すなわち、磁気データ処理部3においては、前後方向(より具体的には、後ろ方向)は、記録媒体2の搬送方向であり、上下方向は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2の厚み方向である。また、磁気データ処理部3においては、前側(X1方向側)は、記録媒体2の搬送方向の上流側であり、後ろ側(X2方向側)は、記録媒体2の搬送方向の下流側である。また、左右方向は、記録媒体2の厚み方向と記録媒体2の搬送方向とに直交する記録媒体2の幅方向(短手幅方向)である。
【0032】
媒体取込部11は、挿入口8を閉鎖するためのシャッタ部材14と、挿入口8に挿入された記録媒体2を取り込むための取込ローラ15と、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で挿入口8から媒体処理装置1に記録媒体2が挿入されたのかを検出する検出機構としてのプリヘッド16と、挿入口8に記録媒体2が挿入されたことを検出するためのセンサ17とを備えている。センサ17は、前後方向において、シャッタ部材14の前側に配置されている。また、図3に示すように、プリヘッド16およびセンサ17は、制御部5に接続されている。
【0033】
シャッタ部材14は、リンク機構等の動力伝達機構を介して、ソレノイド18に連結されている。このシャッタ部材14は、ソレノイド18の動力で上下動する。本形態では、ソレノイド18が通電状態にないときに、シャッタ部材14が上昇して、挿入口8を塞ぎ、ソレノイド18が通電状態になると、シャッタ部材14が下降して、挿入口8を開放する。ソレノイド18は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0034】
取込ローラ15は、たとえば、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。この取込ローラ15は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、後述のモータ65に連結されている。取込ローラ15には、パッドローラ19が上側から対向配置されている。パッドローラ19は、取込ローラ15に向かって付勢されている。取込ローラ15およびパッドローラ19は、前後方向において、シャッタ部材14の後ろ側に配置されている。
【0035】
プリヘッド16は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。また、左右方向におけるプリヘッド16の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線上に配置されている。プリヘッド16には、パッドローラ20が上側から対向配置されている。パッドローラ20は、プリヘッド16に向かって付勢されている。プリヘッド16およびパッドローラ20は、前後方向において、取込ローラ15およびパッドローラ19の後ろ側に配置されている。
【0036】
表面2aを上にして記録媒体2が挿入口8から挿入されると、記録媒体2の裏面2bの磁気ストライプ2cがプリヘッド16に当接するため、プリヘッド16から磁気信号が出力される。一方、裏面2bを上にして記録媒体2が挿入口8から挿入されると、記録媒体2にプリヘッド16が当接しても、プリヘッド16から磁気信号が出力されない。本形態では、プリヘッド16から出力される磁気信号に基づいて、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るか否かを検出する。また、プリヘッド16によって、磁気ストライプ2cの有無を検出することで、表面2aまたは裏面2bのいずれが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されたのかを検出する。本形態のプリヘッド16は、3チャンネル型の磁気ヘッドであり、磁気ストライプ2cに記録される3トラックの磁気データを読み取ることが可能になっている。なお、プリヘッド16は、1チャンネル型の磁気ヘッドであっても良い。
【0037】
磁気データ読取り書込み部12は、磁気ヘッド24、25を有する磁気ヘッド部31と、磁気ヘッド26、27を有する磁気ヘッド部32と、磁気ヘッド28、29を有する磁気ヘッド部33と、記録媒体2を搬送する搬送機構34とを備えている。磁気データ読取り書込み部12の詳細な構成については後述する。
【0038】
印字処理部4は、記録媒体2の表面2aの印字部に印字を行うサーマルヘッド36、37と、サーマルヘッド36を移動させる第1サーマルヘッド移動機構38と、サーマルヘッド37を移動させる第2サーマルヘッド移動機構39とを備えている。印字処理部4の内部には、記録媒体2が搬送される媒体搬送路40が形成されている。印字処理部4の詳細な構成については後述する。
【0039】
なお、上述のように、印字処理部4では、略上方向に向かって記録媒体2が搬送されるため、印字処理部4においては、略上下方向(より具体的には、略上方向)は、印字処理部4における記録媒体2の搬送方向であり、略前後方向は、媒体搬送路40を通過する記録媒体2の厚み方向である。また、印字処理部4においては、略下側は、記録媒体2の搬送方向の上流側であり、略上側は、記録媒体2の搬送方向の下流側である。
【0040】
(磁気データ読取り書込み部の構成)
図4(A)は、図1に示す磁気ヘッド部31〜33、第1パッドローラ移動機構51および第2パッドローラ移動機構52の側面図であり、図4(B)は、図1に示す磁気ヘッド部31〜33の平面図である。図5は、図1に示す磁気ヘッド部31〜33の動作を説明するための図である。
【0041】
磁気データ読取り書込み部12は、上述のように、磁気ヘッド部31〜33と搬送機構34とを備えている。磁気ヘッド部31〜33は、磁気ヘッド24〜29のそれぞれに対向配置されるパッドローラ45〜50を備えている。また、磁気データ読取り書込み部12は、パッドローラ45、47、49を移動させる第1パッドローラ移動機構51と、パッドローラ46、48、50を移動させる第2パッドローラ移動機構52とを備えている。磁気ヘッド部31〜33は、前側から後ろ側に向かってこの順番に、かつ、所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0042】
磁気ヘッド部31は、上述のように、磁気ヘッド24、25およびパッドローラ45、46を備えている。磁気ヘッド24は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド25は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。本形態では、磁気ヘッド24、25は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。また、前後方向において、磁気ヘッド25は、磁気ヘッド24よりも後ろ側に配置されている。また、左右方向における磁気ヘッド24、25の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線CL上に配置されている(図4(B)参照)。
【0043】
磁気ヘッド24、25は、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録された磁気データを読み取る読取りヘッドである。また、磁気ヘッド24、25は、磁気ストライプ2cに記録される3トラックの磁気データに対応する3つのチャンネルを有する3チャンネル型の磁気ヘッドである。磁気ヘッド24、25は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0044】
パッドローラ45は、上側から磁気ヘッド24に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド24に向かって付勢されている。パッドローラ46は、下側から磁気ヘッド25に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド25に向かって付勢されている。
【0045】
磁気ヘッド部32は、上述のように、磁気ヘッド26、27およびパッドローラ47、48を備えている。磁気ヘッド26は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド27は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。本形態では、磁気ヘッド26、27は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。また、前後方向において、磁気ヘッド27は、磁気ヘッド26よりも後ろ側に配置されている。また、左右方向における磁気ヘッド26、27の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線CL上に配置されている。
【0046】
磁気ヘッド26、27は、記録媒体2の磁気ストライプ2cに磁気データを書き込む書込みヘッドである。また、磁気ヘッド26、27は、磁気ストライプ2cに書き込まれる3トラックの磁気データに対応する3つのチャンネルを有する3チャンネル型の磁気ヘッドである。磁気ヘッド26、27は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0047】
パッドローラ47は、上側から磁気ヘッド26に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド26に向かって付勢されている。パッドローラ48は、下側から磁気ヘッド27に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド27に向かって付勢されている。
【0048】
磁気ヘッド部33は、上述のように、磁気ヘッド28、29およびパッドローラ49、50を備えている。磁気ヘッド28は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド29は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。本形態では、磁気ヘッド28、29は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に常時、接触可能な位置に配置されている。また、前後方向において、磁気ヘッド29は、磁気ヘッド28よりも後ろ側に配置されている。また、左右方向における磁気ヘッド28、29の中心は、左右方向における媒体搬送路13の中心線CL上に配置されている。
【0049】
磁気ヘッド28、29は、磁気ヘッド26、27によって記録媒体2の磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データを読み取って、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かを確認するためのベリファイヘッドである。また、磁気ヘッド28、29は、磁気ストライプ2cに記録される3トラックの磁気データに対応する3つのチャンネルを有する3チャンネル型の磁気ヘッドである。磁気ヘッド28、29は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0050】
パッドローラ49は、上側から磁気ヘッド28に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド28に向かって付勢されている。パッドローラ50は、下側から磁気ヘッド29に対向配置されており、付勢部材(図示省略)によって磁気ヘッド29に向かって付勢されている。
【0051】
図4(A)に示すように、前後方向における磁気ヘッド24と磁気ヘッド25との距離(具体的には、磁気ヘッド24のギャップと磁気ヘッド25のギャップとの距離)L1、前後方向における磁気ヘッド26と磁気ヘッド27との距離(具体的には、磁気ヘッド26のギャップと磁気ヘッド27のギャップとの距離)L2、および、前後方向における磁気ヘッド28と磁気ヘッド29との距離(具体的には、磁気ヘッド28のギャップと磁気ヘッド29のギャップとの距離)L3は、互いに略等しくなっている。
【0052】
また、距離L1〜L3は、磁気ストライプ2cの磁気データの記録範囲2dの長さL4(図2(B)参照)よりも短くなっている。たとえば、距離L1〜L3は、長さL4の約1/4〜1/5程度となっている。また、本形態では、図4(B)に示すように、上下方向から見たときに、磁気ヘッド24に対向配置されるパッドローラ45の後端と磁気ヘッド25に対向配置されるパッドローラ46の前端とが重なるように、磁気ヘッド24、25が配置され、磁気ヘッド26に対向配置されるパッドローラ47の後端と磁気ヘッド27に対向配置されるパッドローラ48の前端とが重なるように、磁気ヘッド26、27が配置され、磁気ヘッド28に対向配置されるパッドローラ49の後端と磁気ヘッド29に対向配置されるパッドローラ50の前端とが重なるように、磁気ヘッド28、29が配置されている。
【0053】
なお、前後方向における磁気ヘッド25と磁気ヘッド26との距離、および、前後方向における磁気ヘッド27と磁気ヘッド28との距離は、記録媒体2の長さ(長手方向の幅)よりも長いことが好ましい。また、前後方向における磁気ヘッド24と磁気ヘッド26との距離、磁気ヘッド26と磁気ヘッド28との距離、磁気ヘッド25と磁気ヘッド27との距離、および、磁気ヘッド27と磁気ヘッド29との距離は、記録媒体2の一端2e(図2参照)から磁気ストライプ2cの記録範囲2dの他端までの距離L5、および、記録媒体2の他端2f(図2参照)から磁気ストライプ2cの記録範囲2dの一端までの距離L6よりも長くなっている。
【0054】
第1パッドローラ移動機構51は、パッドローラ45、47、49のそれぞれを回転可能に支持する3個のレバー部材54と、ソレノイド55と、ソレノイド55のプランジャ55aに連結される連結部材56とを備えている。レバー部材54は、磁気データ読取り書込み部12のフレームに回動可能に支持されている。また、レバー部材54は、連結部材56に回動可能に連結されている。ソレノイド55は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0055】
本形態では、ソレノイド55のプランジャ55aが引っ込んでいるときには、図5(A)に示すように、パッドローラ45、47、49は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に接触可能な接触位置(第1の接触位置)45A、47A、49Aにある。一方、ソレノイド55のプランジャ55aが突出しているときには、図5(B)に示すように、パッドローラ45、47、49は、媒体搬送路13から離れる方向(すなわち、上方向)へ退避する退避位置(第1の退避位置)45B、47B、49Bにある。すなわち、第1パッドローラ移動機構51は、接触位置45A、47A、49Aと退避位置45B、47B、49Bとの間で、パッドローラ45、47、49を一緒に移動させる。
【0056】
第2パッドローラ移動機構52は、第1パッドローラ移動機構51と同様に、パッドローラ46、48、50のそれぞれを回転可能に支持する3個のレバー部材57と、ソレノイド58と、ソレノイド58のプランジャ58aに連結される連結部材59とを備えている。レバー部材57は、磁気データ読取り書込み部12のフレームに回動可能に支持されている。また、レバー部材57は、連結部材59に回動可能に連結されている。ソレノイド58は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0057】
本形態では、ソレノイド58のプランジャ58aが引っ込んでいるときには、図5(B)に示すように、パッドローラ46、48、50は、媒体搬送路13を通過する記録媒体2に接触可能な接触位置(第2の接触位置)46A、48A、50Aにある。一方、ソレノイド58のプランジャ58aが突出しているときには、図5(A)に示すように、パッドローラ46、48、50は、媒体搬送路13から離れる方向(すなわち、下方向)へ退避する退避位置(第2の退避位置)46B、48B、50Bにある。すなわち、第2パッドローラ移動機構52は、接触位置46A、48A、50Aと退避位置46B、48B、50Bとの間で、パッドローラ46、48、50を一緒に移動させる。
【0058】
なお、本形態の磁気ヘッド24、26、28は、第1の磁気ヘッドであり、磁気ヘッド25、27、29は、第2の磁気ヘッドであり、パッドローラ45、47、49は、第1のパッドローラであり、パッドローラ46、48、50は、第2のパッドローラである。また、磁気ヘッド部31は、磁気ヘッド24および磁気ヘッド25の両者が読取りヘッドである第1の磁気ヘッド部であり、磁気ヘッド部32は、磁気ヘッド26および磁気ヘッド27の両者が書込みヘッドである第2の磁気ヘッド部である。また、第1パッドローラ移動機構51は、接触位置45A、47A、49Aと退避位置45B、47B、49Bとの間で、パッドローラ45、47、49を移動させる第1の移動機構であり、第2パッドローラ移動機構52は、接触位置46A、48A、50Aと退避位置46B、48B、50Bとの間で、パッドローラ46、48、50を移動させる第2の移動機構である。
【0059】
搬送機構34は、図1に示すように、記録媒体2の上面に接触して記録媒体2を搬送するベルト61と、記録媒体2の下面に接触して記録媒体2を搬送するベルト62と、ベルト61が架け渡される複数のプーリ63と、ベルト62が架け渡される複数のプーリ64とを備えている。プーリ63、64は、図示を省略するベルトやプーリ等の動力伝達機構を介してモータ65に連結されている。モータ65は、図3に示すように、制御部5に接続されている。
【0060】
(印字処理部の構成)
図6は、図1に示す印字処理部4の主要部の構成を示す側面図である。図7は、図6に示すサーマルヘッド36、37の動作を説明するための図である。
【0061】
印字処理部4は、上述のサーマルヘッド36、37、第1サーマルヘッド移動機構38、および、第2サーマルヘッド移動機構39に加え、サーマルヘッド36、37のそれぞれに対向配置されるプラテンローラ67、68と、排出口9から記録媒体2を排出するための排出ローラ69とを備えている。
【0062】
サーマルヘッド36、37の幅(左右方向の幅)は、記録媒体2の幅(短手幅)と略等しくなっている。サーマルヘッド36は、サーマルヘッド37よりも下側に配置されている。また、サーマルヘッド36は、媒体搬送路40の略前側から媒体搬送路40に臨むように配置され、サーマルヘッド37は、媒体搬送路40の略後ろ側から媒体搬送路40に臨むように配置されている。サーマルヘッド36、37は、図3に示すように、制御部5に接続されている。プラテンローラ67は、略後ろ側からサーマルヘッド36に対向配置され、プラテンローラ68は、略前側からサーマルヘッド37に対向配置されている。プラテンローラ67、68は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、モータ65に連結されている。
【0063】
第1サーマルヘッド移動機構38は、サーマルヘッド36が固定されるヘッド固定部材70と、ヘッド固定部材70が連結されるソレノイド71とを備えている。ヘッド固定部材70は、印字処理部4のフレームに回動可能に支持されている。ソレノイド71は、図3に示すように、制御部5に接続されている。第1サーマルヘッド移動機構38は、図7(A)に示すように、サーマルヘッド36が記録媒体2に接触可能な接触位置36Aと、図7(B)に示すように、サーマルヘッド36が媒体搬送路40から退避する退避位置36Bとの間で、サーマルヘッド36を移動させる。
【0064】
第2サーマルヘッド移動機構39は、サーマルヘッド37が固定されるヘッド固定部材72と、ヘッド固定部材72が連結されるソレノイド73とを備えている。ヘッド固定部材72は、印字処理部4のフレームに回動可能に支持されている。ソレノイド73は、図3に示すように、制御部5に接続されている。第2サーマルヘッド移動機構39は、図7(B)に示すように、サーマルヘッド37が記録媒体2に接触可能な接触位置37Aと、図7(A)に示すように、サーマルヘッド37が媒体搬送路40から退避する退避位置37Bとの間で、サーマルヘッド37を移動させる。
【0065】
排出ローラ69は、たとえば、媒体搬送路40の略前側から媒体搬送路40に臨むように配置されている。この排出ローラ69は、プーリやベルト等の動力伝達機構を介して、モータ65に連結されている。排出ローラ69には、パッドローラ74が後ろ側から対向配置されている。パッドローラ74は、排出ローラ69に向かって付勢されている。
【0066】
なお、サーマルヘッド36の下側には、サーマルヘッド36、37による印字開始のタイミングを計るためのセンサ75が配置されている(図1参照)。
【0067】
(媒体処理装置の概略動作)
図8は、図1の媒体処理装置1の概略動作を説明するためのフローチャートである。
【0068】
以上のように構成された媒体処理装置1では、電源が入った状態であって、かつ、記録媒体2が挿入される前の待機時には、シャッタ部材14が下降して、挿入口8が開放されている。また、待機時には、パッドローラ45〜50はいずれも、退避位置45B〜50Bにあり、サーマルヘッド36、37も退避位置36B、37Bにある。
【0069】
この状態で、挿入口8から記録媒体2が挿入されたことがセンサ17によって検出されると(ステップS1)、制御部5は、取込ローラ15および搬送機構34等を駆動して、媒体処理装置1への記録媒体2の取込みを開始する(ステップS2)。また、制御部5は、プリヘッド16から出力される磁気信号に基づいて、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るか否かを確認する(ステップS3)。なお、プリヘッド16の後ろ側には、図示を省略するセンサが配置されており、このセンサによって記録媒体2が検出されると、制御部5は、ステップS3において、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有るか否かを確認する。
【0070】
表面2aが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されており、ステップS3での確認の結果、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cが有る場合(ステップS4で“Yes”の場合)には、制御部5は、ソレノイド55を駆動して、第1パッドローラ移動機構51を作動させる(ステップS5)。具体的には、制御部5は、ステップS5において、退避位置45B、47B、49Bにあったパッドローラ45、47、49を、図5(A)に示すように、接触位置45A、47A、49Aへ移動させる。
【0071】
パッドローラ45、47、49が接触位置45A、47A、49Aにある状態で、搬送機構34によって記録媒体2が搬送されると、まず、磁気ヘッド24で、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られ、その後、磁気ヘッド26で、磁気ストライプ2cに磁気データが書き込まれ、その後、磁気ヘッド26によって磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データが磁気ヘッド28で読み取られて、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かが確認される(ステップS6)。ステップS6では、磁気ヘッド24で読み取られた磁気データが制御部5から上位制御部6へ送られ、送られてきた磁気データに基づいて、磁気ストライプ2cに書き込まれる磁気データが上位制御部6で生成される。また、生成された磁気データは、上位制御部6から制御部5へ送られ、その後、制御部5から磁気ヘッド26に送られて、磁気ストライプ2cに書き込まれる。
【0072】
なお、制御部5は、ステップS6において、磁気ヘッド24での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体2が、その一端2e側から媒体処理装置1に挿入されたのか、または、記録媒体2が、その他端2f側から媒体処理装置1に挿入されたのかを判別する。
【0073】
その後、制御部5は、ソレノイド71を駆動して、第1サーマルヘッド移動機構38を作動させる(ステップS7)。具体的には、制御部5は、ステップS7において、退避位置36Bにあったサーマルヘッド36を接触位置36Aへ移動させる。サーマルヘッド36が接触位置36Aにある状態で、プラテンローラ67、68等によって記録媒体2が搬送されると、サーマルヘッド36によって、記録媒体2の表面2aに印字が行われる(ステップS8)。
【0074】
上述のように、ステップS6では、記録媒体2が、一端2e側から媒体処理装置1に挿入されたのか、または、他端2f側から媒体処理装置1に挿入されたのかが判別されている。ステップS8では、記録媒体2の表面2aの適切な位置に印字が行われるように、制御部5は、ステップS6での判別結果に基づいて、記録媒体2の搬送制御や、サーマルヘッド36の温度制御等を行う。たとえば、図2(A)の二点鎖線で示す領域2gに印字を行う場合、ステップS8において、制御部5は、ステップS6での判別結果に基づいて、センサ75で記録媒体2が検出されてからの記録媒体2の搬送量や、サーマルヘッド36の加熱時間等を制御する。
【0075】
ステップS8で、印字が行われると、記録媒体2は、排出ローラ69等によって、排出口9から排出される(ステップS9)。
【0076】
一方、裏面2bが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されており、ステップS3での確認の結果、挿入された記録媒体2の下面に磁気ストライプ2cがない場合(ステップS4で“No”の場合)には、制御部5は、ソレノイド58を駆動して、第2パッドローラ移動機構52を作動させる(ステップS10)。具体的には、制御部5は、ステップS10において、退避位置46B、48B、50Bにあったパッドローラ46、48、50を、図5(B)に示すように、接触位置46A、48A、50Aへ移動させる。
【0077】
パッドローラ46、48、50が接触位置46A、48A、50Aにある状態で、搬送機構34によって記録媒体2が搬送されると、まず、磁気ヘッド25で、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られ、その後、磁気ヘッド27で、磁気ストライプ2cに磁気データが書き込まれ、その後、磁気ヘッド27によって磁気ストライプ2cに書き込まれた磁気データが磁気ヘッド29で読み取られて、磁気ストライプ2cに磁気データが適切に書き込まれたか否かが確認される(ステップS11)。ステップS11では、ステップS6と同様に、磁気ヘッド25で読み取られた磁気データが制御部5から上位制御部6へ送られ、送られてきた磁気データに基づいて、磁気ストライプ2cに書き込まれる磁気データが上位制御部6で生成される。また、生成された磁気データは、上位制御部6から制御部5へ送られ、その後、制御部5から磁気ヘッド27に送られて、磁気ストライプ2cに書き込まれる。
【0078】
なお、制御部5は、ステップS11において、磁気ヘッド25での磁気データの読取り結果に基づいて、記録媒体2が、その一端2e側から媒体処理装置1に挿入されたのか、または、記録媒体2が、その他端2f側から媒体処理装置1に挿入されたのかを判別する。
【0079】
その後、制御部5は、ソレノイド73を駆動して、第2サーマルヘッド移動機構39を作動させる(ステップS12)。具体的には、制御部5は、ステップS12において、退避位置37Bにあったサーマルヘッド37を接触位置37Aへ移動させる。サーマルヘッド37が接触位置37Aにある状態で、プラテンローラ67、68等によって記録媒体2が搬送されると、サーマルヘッド37によって、記録媒体2の表面2aに印字が行われる(ステップS13)。
【0080】
上述のように、ステップS11では、記録媒体2が、一端2e側から媒体処理装置1に挿入されたのか、または、他端2f側から媒体処理装置1に挿入されたのかが判別されており、ステップS13では、記録媒体2の表面2aの適切な位置に印字が行われるように、制御部5は、ステップS11での判別結果に基づいて、記録媒体2の搬送制御や、サーマルヘッド37の温度制御等を行う。
【0081】
ステップS13で、印字が行われると、ステップS9へ進み、記録媒体2は、排出ローラ69等によって、排出口9から排出される(ステップS9)。
【0082】
なお、記録媒体2の表面2aの印字品質として比較的高い品質が要求される場合には、ステップS7、S12では、記録媒体2の搬送を一旦停止してから、サーマルヘッド36、37を接触位置36A、37Aへ移動させる。一方、表面2aの印字品質としてそれほど高い品質が要求されない場合には、ステップS7、S12では、記録媒体2を搬送しながら、サーマルヘッド36、37を接触位置36A、37Aへ移動させる。
【0083】
また、磁気ヘッド24の前側には、図示を省略するセンサが配置されており、このセンサによって、媒体処理装置1に取り込まれた記録媒体2が検出されると、シャッタ部材14が上昇して、挿入口8が塞がれる。また、排出口9から記録媒体2が排出されると、シャッタ部材14が下降して、挿入口8が開放される。
【0084】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気ヘッド24、26、28が媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置され、磁気ヘッド25、27、29が媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されている。そのため、表面2aが上を向いた状態で記録媒体2が媒体処理装置1に取り込まれた場合であっても、裏面2bが上を向いた状態で記録媒体2が媒体処理装置1に取り込まれた場合であっても、媒体処理装置1の内部で記録媒体2を反転させることなく、磁気ヘッド24、26、28または磁気ヘッド25、27、29によって、記録媒体2に対して磁気データの読取り処理と書込み処理を行うことができる。したがって、本形態では、高速での記録媒体2の処理が可能になる。
【0085】
本形態では、前後方向における磁気ヘッド24と磁気ヘッド25との距離L1、前後方向における磁気ヘッド26と磁気ヘッド27との距離L2、および、前後方向における磁気ヘッド28と磁気ヘッド29との距離L3は、磁気ストライプ2cの磁気データの記録範囲2dの長さL4よりも短くなっている。そのため、磁気ヘッド24、26、28と、磁気ヘッド25、27、29とが前後方向においてずれるように配置されていても、磁気ヘッド24、26、28と磁気ヘッド25、27、29との前後方向における距離L1〜L3を短くして、前後方向において、媒体処理装置1を小型化することが可能になる。
【0086】
一方、距離L1〜L3が磁気データの記録範囲2dの長さL4よりも短くなっているため、磁気ヘッド24、26、28で磁気データの読取りや書込みを行っているときに、磁気ヘッド25、27、29とパッドローラ46、48、50との間に記録媒体2が突入すると、あるいは、磁気ヘッド25、27、29で磁気データの読取りや書込みを行っているときに、磁気ヘッド24、26、28とパッドローラ45、47、49との間から記録媒体2が抜けると、搬送される記録媒体2の速度に変動が生じて、ジッタが悪化するおそれがある。
【0087】
しかしながら、本形態では、磁気ヘッド24、26、28で磁気データの読取りや書込みを行っているときには、パッドローラ46、48、50が退避しており、磁気ヘッド25、27、29で磁気データの読取りや書込みを行っているときには、パッドローラ45、47、49が退避している。そのため、距離L1〜L3が磁気データの記録範囲2dの長さL4よりも短くなっていても、磁気ヘッド24〜29で磁気データの読取りや書込みを行っているときの記録媒体2の搬送速度の変動を抑制して、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。
【0088】
また、本形態では、前後方向における磁気ヘッド24と磁気ヘッド26との距離、磁気ヘッド26と磁気ヘッド28との距離、磁気ヘッド25と磁気ヘッド27との距離、および、磁気ヘッド27と磁気ヘッド29との距離が、記録媒体2の一端2eから磁気ストライプ2cの記録範囲2dの他端までの距離L5、および、記録媒体2の他端2fから磁気ストライプ2cの記録範囲2dの一端までの距離L6よりも長くなっているため、磁気ヘッド24〜29で磁気データの読取りや書込みを行っているときに、磁気ヘッド24〜27とパッドローラ45〜48との間から記録媒体2が抜けたり、磁気ヘッド26〜29とパッドローラ47〜50との間に記録媒体2が突入することがない。したがって、本形態では、磁気ヘッド24〜29で磁気データの読取りや書込みを行っているときの記録媒体2の搬送速度の変動を抑制して、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。
【0089】
本形態では、第1パッドローラ移動機構51は、接触位置45A、47A、49Aと退避位置45B、47B、49Bとの間で、パッドローラ45、47、49を一緒に移動させている。そのため、本形態では、パッドローラ45、47、49を個別に移動させる場合と比較して、第1パッドローラ移動機構51の構成を簡素化することが可能になる。同様に、本形態では、第2パッドローラ移動機構52は、接触位置46A、48A、50Aと退避位置46B、48B、50Bとの間で、パッドローラ46、48、50を一緒に移動させているため、パッドローラ46、48、50を個別に移動させる場合と比較して、第2パッドローラ移動機構52の構成を簡素化することが可能になる。
【0090】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0091】
上述した形態では、磁気ストライプ2cは、裏面2bの全面に形成されている。この他にもたとえば、図9(A)に示すように、記録媒体2の幅よりも狭い幅の磁気ストライプ2cが、記録媒体2の幅方向における記録媒体2の中心に形成されても良い。また、図9(B)に示すように、磁気ストライプ2cは、記録媒体2の幅方向における記録媒体2の中心からずれた位置に形成されても良い。この場合には、図10に示すように、左右方向における媒体搬送路13の中心線CLを挟むように、2個の磁気ヘッド部31、2個の磁気ヘッド部32および2個の磁気ヘッド部33が配置されれば良い。この場合には、2個の磁気ヘッド部31、2個の磁気ヘッド部32および2個の磁気ヘッド部33は、図10に示すように、前後方向において同じ位置に配置されても良いし、前後方向において若干ずれた位置に配置されても良い。この場合であっても、上述の特許文献2に記載の磁気記録媒体読取り書込み装置と比較して、記録媒体2の搬送方向において、装置を小型化することが可能になる。
【0092】
なお、裏面2bの全面に磁気ストライプ2cが形成されている場合や、記録媒体2の幅方向における記録媒体2の中心に磁気ストライプ2cが形成されている場合には、左右方向において、磁気ヘッド24〜29の中心と媒体搬送路13の中心とが一致するように、1個の磁気ヘッド部31、1個の磁気ヘッド部32および1個の磁気ヘッド部33を配置すれば良い。そのため、この場合には、媒体処理装置1の構成を簡素化することが可能になる。
【0093】
上述した形態では、媒体処理装置1に記録媒体2が挿入される前の待機時に、パッドローラ45〜50はいずれも、退避位置45B〜50Bにある。この他にもたとえば、待機時に、パッドローラ45〜50のいずれもが接触位置45A〜50Aにあっても良い。この場合には、上述のステップS5で、第2パッドローラ移動機構52が作動して、接触位置46A、48A、50Aにあるパッドローラ46、48、50が退避位置46B、48B、50Bへ移動するとともに、上述のステップS10で、第1パッドローラ移動機構51が作動して、接触位置45A、47A、49Aにあるパッドローラ45、47、49が退避位置45B、47B、49Bへ移動する。
【0094】
また、媒体処理装置1に記録媒体2が挿入される前の待機時に、パッドローラ45、47、49が接触位置45A、47A、49Aにあり、かつ、パッドローラ46、48、50が退避位置46B、48B、50Bにあっても良い。上述のように、磁気ストライプ2cは、記録媒体2の裏面2bに形成されている。また、自動改札機を利用するユーザは、一般に、表面2aを上にして、媒体処理装置1の中に記録媒体2を挿入することが多い。そのため、この場合には、第1パッドローラ移動機構51および第2パッドローラ移動機構52を作動させなくても、記録媒体2に対する読取り処理および書込み処理を行うことができる確率が高くなる。したがって、この場合には、第1パッドローラ移動機構51および第2パッドローラ移動機構52の作動回数を減らすことが可能になり、その結果、第1パッドローラ移動機構51を構成する部品および第2パッドローラ移動機構52を構成する部品の摩耗等を抑制することが可能になる。
【0095】
また、この場合には、プリヘッド16で磁気ストライプ2cが検出されなかったときに、記録媒体2が磁気ヘッド25に到達するまでにパッドローラ46を接触位置46Aに移動させれば、磁気ヘッド25での磁気データの読取りが可能になり、かつ、記録媒体2が磁気ヘッド24とパッドローラ45との間から抜けるまでにパッドローラ45を退避位置45Bへ移動させれば、磁気ヘッド25で磁気データを読み取る際の記録媒体2の速度変動を抑制して、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。すなわち、この場合には、第1パッドローラ移動機構51によるパッドローラ45の移動時間、および、第2パッドローラ移動機構52によるパッドローラ46の移動時間が長くても(すなわち、第1パッドローラ移動機構51の作動速度および第2パッドローラ移動機構52の作動速度が遅くても)、磁気ヘッド25での磁気データの読取りが可能になり、かつ、ジッタの悪化を抑制することが可能になる。したがって、動力の小さな小型のソレノイド55、58を使用すること等が可能になり、その結果、第1パッドローラ移動機構51および第2パッドローラ移動機構52の構成を簡素化することが可能になる。
【0096】
さらに、媒体処理装置1に記録媒体2が挿入される前の待機時に、パッドローラ45、47、49が退避位置45B、47B、49Bにあり、かつ、パッドローラ46、48、50が接触位置46A、48A、50Aにあっても良い。
【0097】
上述した形態では、表面2aが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入されると、磁気ヘッド24によって、記録媒体2の磁気ストライプ2cに記録されている磁気データが読み取られている。この他にもたとえば、表面2aが上を向いた状態で記録媒体2が挿入口8から挿入された場合に、プリヘッド16によって、磁気ストライプ2cに記録された磁気データが読み取られても良い。この場合には、磁気ストライプ2cに記録された磁気データを読み取ってから磁気ストライプ2cへ磁気データを書き込むまでの時間を長くすることが可能になる。したがって、上述した形態のように、読み取られた磁気データが制御部5から上位制御部6へ送られ、送られてきた磁気データに基づいて、磁気ストライプ2cに書き込まれる磁気データが上位制御部6で生成されるとともに、この生成された磁気データが上位制御部6から制御部5へ送られている場合であっても、磁気ストライプ2cに書き込まれる磁気データの生成時間および制御部5と上位制御部6との通信時間を確保することが可能になる。その結果、記録媒体2の搬送速度が速くても、磁気ヘッド26で記録媒体2に磁気データを適切に書き込むことが可能になる。なお、この場合には、磁気ヘッド24を省略することも可能である。
【0098】
上述した形態では、パッドローラ45〜50が接触位置45A〜50Aと退避位置45B〜50Bとの間で移動可能となっている。この他にもたとえば、パッドローラ45〜50に代えて、磁気ヘッド24〜29が、記録媒体2に接触可能な接触位置と媒体搬送路13から退避する退避位置との間で移動可能となっていても良い。また、磁気ヘッド24〜29とパッドローラ45〜50との両者が、記録媒体2に接触可能な接触位置と媒体搬送路13から退避する退避位置との間で移動可能となっていても良い。
【0099】
上述した形態では、磁気ヘッド25、27、29は、前後方向において、磁気ヘッド24、26、28よりも後ろ側に配置されている。この他にもたとえば、磁気ヘッド25、27、29は、前後方向において、磁気ヘッド24、26、28よりも前側に配置されても良い。また、上述した形態では、プリヘッド16は、媒体搬送路13の下側から媒体搬送路13に臨むように配置されているが、プリヘッド16は、媒体搬送路13の上側から媒体搬送路13に臨むように配置されても良い。また、媒体搬送路13の上下両側から媒体搬送路13に臨むように2個のプリヘッド16が配置されても良い。
【0100】
上述した形態では、第1パッドローラ移動機構51は、パッドローラ45、47、49を一緒に移動させているが、パッドローラ45、47、49が個別に移動可能となるように、第1パッドローラ移動機構51が構成されても良い。同様に、上述した形態では、第2パッドローラ移動機構52は、パッドローラ46、48、50を一緒に移動させているが、パッドローラ46、48、50が個別に移動可能となるように、第2パッドローラ移動機構52が構成されても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 媒体処理装置
2 記録媒体
2b 裏面(一方の面)
2c 磁気ストライプ
2d 磁気データの記録範囲
13 媒体搬送路
16 プリヘッド(検出機構)
24 磁気ヘッド(第1の磁気ヘッド、読取りヘッド)
25 磁気ヘッド(第2の磁気ヘッド、読取りヘッド)
26 磁気ヘッド(第1の磁気ヘッド、書込みヘッド)
27 磁気ヘッド(第2の磁気ヘッド、書込みヘッド)
28 磁気ヘッド(第1の磁気ヘッド)
29 磁気ヘッド(第2の磁気ヘッド)
31 磁気ヘッド部(第1の磁気ヘッド部)
32 磁気ヘッド部(第2の磁気ヘッド部)
33 磁気ヘッド部
45、47、49 パッドローラ(第1のパッドローラ)
45A、47A、49A 接触位置(第1の接触位置)
45B、47B、49B 退避位置(第1の退避位置)
46、48、50 パッドローラ(第2のパッドローラ)
46A、48A、50A 接触位置(第2の接触位置)
46B、48B、50B 退避位置(第2の退避位置)
51 第1パッドローラ移動機構(第1の移動機構)
52 第2パッドローラ移動機構(第2の移動機構)
L1〜L3 第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとの距離
L4 磁気データの記録範囲の長さ
X 記録媒体の搬送方向
X1 記録媒体の搬送方向の上流側
X2 記録媒体の搬送方向の下流側
Z 記録媒体の厚み方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ストライプを有するカード状の記録媒体が搬送される媒体搬送路と、
前記媒体搬送路を通過する前記記録媒体の厚み方向の一方側から前記媒体搬送路に臨む第1の磁気ヘッドと、前記記録媒体の前記厚み方向の他方側から前記媒体搬送路に臨む第2の磁気ヘッドと、前記第1の磁気ヘッドに対向配置され前記第1の磁気ヘッドに向かって付勢される第1のパッドローラと、前記第2の磁気ヘッドに対向配置され前記第2の磁気ヘッドに向かって付勢される第2のパッドローラとを有する磁気ヘッド部と、
前記第1の磁気ヘッドおよび前記第1のパッドローラが前記記録媒体に接触可能な第1の接触位置と、前記第1の磁気ヘッドおよび/または前記第1のパッドローラが前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第1の退避位置との間で前記第1の磁気ヘッドおよび/または前記第1のパッドローラを移動させる第1の移動機構と、
前記第2の磁気ヘッドおよび前記第2のパッドローラが前記記録媒体に接触可能な第2の接触位置と、前記第2の磁気ヘッドおよび/または前記第2のパッドローラが前記媒体搬送路から離れる方向へ退避する第2の退避位置との間で前記第2の磁気ヘッドおよび/または前記第2のパッドローラを移動させる第2の移動機構と、を備え、
前記磁気ヘッド部では、前記記録媒体の搬送方向において、前記第1の磁気ヘッドと前記第2の磁気ヘッドとが互いにずれており、前記記録媒体の前記搬送方向における前記第1の磁気ヘッドと前記第2の磁気ヘッドとの距離は、前記磁気ストライプに記録される磁気データの記録範囲の長さよりも短くなっていることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記磁気ヘッド部よりも前記記録媒体の前記搬送方向における上流側に配置され、前記記録媒体の一方の面または他方の面のいずれが前記第1の磁気ヘッド側を向いた状態で前記媒体処理装置に前記記録媒体が挿入されたのかを検出する検出機構を備え、
前記検出機構での検出結果に基づいて、前記第1の移動機構および前記第2の移動機構が制御されることを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記磁気ストライプは、前記記録媒体の一方の面の全面に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記第1の磁気ヘッドは、下側から前記媒体搬送路に臨むように配置され、
前記第2の磁気ヘッドは、上側から前記媒体搬送路に臨むように配置され、
前記記録媒体が挿入される前の待機時に、前記第1の磁気ヘッドおよび/または前記第1のパッドローラは、前記第1の接触位置に配置され、前記第2の磁気ヘッドおよび/または前記第2のパッドローラは、前記第2の退避位置に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記第2の磁気ヘッドは、前記第1の磁気ヘッドよりも前記記録媒体の前記搬送方向における下流側に配置されていることを特徴とする請求項4記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記検出機構は、前記磁気ストライプの有無を検出するプリヘッドであることを特徴とする請求項2記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記プリヘッドは、前記記録媒体の前記厚み方向の一方側または他方側のいずれかから前記媒体搬送路に臨むように配置されていることを特徴とする請求項6記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記磁気ヘッド部として、前記第1の磁気ヘッドおよび前記第2の磁気ヘッドが前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取る読取りヘッドである第1の磁気ヘッド部と、前記第1の磁気ヘッドおよび前記第2の磁気ヘッドが前記磁気ストライプに磁気データを書き込む書込みヘッドである第2の磁気ヘッド部とを備え、
前記第2の磁気ヘッド部は、前記第1の磁気ヘッド部よりも前記記録媒体の前記搬送方向における下流側に配置され、
前記プリヘッドは、前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取ることを特徴とする請求項6または7記載の媒体処理装置。
【請求項9】
複数の前記磁気ヘッド部を備え、
前記第1の移動機構は、複数の前記磁気ヘッド部の前記第1の磁気ヘッドおよび/または前記第1のパッドローラを一緒に移動させ、
前記第2の移動機構は、複数の前記磁気ヘッド部の前記第2の磁気ヘッドおよび/または前記第2のパッドローラを一緒に移動させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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