説明

媒体厚み検出装置、および自動取引装置

【課題】センサ間隔をなくしても紙葉類の厚みを正確に検出できる厚み検出装置、および自動取引装置を提供する。
【解決手段】所定の回転軸に沿って回転する基準ローラを、回転軸方向に隙間なく並べた基準ローラ部と、それぞれの基準ローラの回転に従って従動回転し、紙葉類の厚みを検知するための検知ローラを隙間なく並べた検知ローラ部と、基準ローラ部と検知ローラ部との間に紙葉類を搬送させるための搬送部と、検知ローラ部に比べて紙葉類の搬送方向の形状が主走査方向より長い形状をなし、それぞれの検知ローラの上方に設けられた複数の検出用コイルが所定の周波数で発振することにより紙葉類の検出用交流磁界を発生させ、発生させた検出用磁界内のローラ変位量を磁界の変化により検出するセンサ部と、センサ部で検出された磁界の変化から、紙葉類の変位量を算出する算出部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類等媒体の厚みを検知する媒体厚み検出装置、および自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動取引装置に備えられている紙葉類取り扱い装置においては、テープなどで変造された紙葉類を鑑別することが重要であり、通常はその鑑別をするための紙幣判別装置が備えられている。特に近年では、その紙幣の偽造、変造技術は巧妙化しており、紙幣、有価証券、切手などを微小なテープ、紙、シール等で変造されたものや偽造券が出回っており、微小なテープや凹版などの紙葉類厚みの特徴を検出する必要があり、従来の厚み検出装置よりも検知分解能を大きく、また解像度を上げる必要がある。
【0003】
このようにテープ、紙等で変造された紙幣等を鑑別する紙幣鑑別装置として、例えば、特許文献1に記載された従来技術がある。この従来技術における紙葉類の厚さ検出装置は、回転する軸に取り付けられた基準ローラと、この基準ローラに外輪が押圧され外輪と回転軸との間を弾性部材で接続し従動回転する検知ローラと、この両ローラの間に紙葉類を搬送させて、外輪の変位量をからテープ等の盛り上がりを検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−4204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、検知範囲が広く検知解像度を小さくする場合、各センサの有無、材質、距離を検出するために、複数のローラや複数のセンサ間隔を小さくして並べる必要があるが、間隔を小さくしていった場合、センサ自体の出力が小さくなってしまい、厚み感度が小さく、干渉等ノイズも大きくなるため、分解能が悪くなる。また、ローラ部が回転しているときや媒体通過時には媒体厚み方向だけでなく、搬送方向にも検知ローラが変位してしまう。そのため、検知したセンサとしては実際の厚み成分の変位量と比べて小さく見えてしまう。そして、この搬送方向の変位量は検知ローラの押圧量が増えるほど大きくなるが、小さくすると搬送の振動特性が悪くなる問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決することを目的としており、センサ間隔をなくしても紙葉類の厚みを正確に検出できる厚み検出装置、および自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる媒体厚み検出装置は、所定の回転軸に沿って回転する基準ローラを、前記回転軸方向に隙間なく並べた基準ローラ部と、それぞれの前記基準ローラの回転に従って従動回転し、紙葉類の厚みを検知するための検知ローラを隙間なく並べた検知ローラ部と、前記基準ローラ部と前記検知ローラ部との間に前記紙葉類を搬送させるための搬送部と、前記検知ローラ部に比べて前記紙葉類の搬送方向の形状が主走査方向より長い形状をなし、それぞれの前記検知ローラの上方に設けられた複数の検出用コイルが所定の周波数で発振することにより前記紙葉類の検出用交流磁界を発生させ、発生させた前記検出用磁界内のローラ変位量を磁界の変化により検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された磁界の変化から、前記紙葉類の変位量を算出する算出部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる媒体厚み検出装置は、所定の回転軸に沿って回転する基準ローラを、前記回転軸方向に隙間なく並べた基準ローラ部と、それぞれの前記基準ローラの回転に従って従動回転し、紙葉類の厚みを検知するための検知ローラを隙間なく並べた検知ローラ部と、前記基準ローラ部と前記検知ローラ部との間に前記紙葉類を搬送させるための搬送部と、それぞれの前記検知ローラの上方に設けられた複数の検出用コイルが所定の周波数で発振することにより前記紙葉類の検出用交流磁界を発生させ、発生させた前記検出用磁界内のローラ変位量を磁界の変化により検出するための、前記検知ローラ部における前記紙葉類の搬送方向の長さを満たす範囲内に、前記紙葉類の搬送方向に複数のセンサを配置したセンサ部と、前記センサ部で検出された磁界の変化から、前記紙葉類の変位量を算出する算出部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記媒体厚み検出装置を備えた自動取引装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体の搬送状態によらず媒体の微細な凹凸模様が検出可能になり、高精度な媒体厚み検知装置、および自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態である紙葉類搬送装置の概略図である。
【図2】図1に示した識別部の内部概略図を示す図である。
【図3】紙幣識別部の厚みセンサの構成の例を示す図である。
【図4】図3に示した厚みセンサを上方から見た図である。
【図5】厚みセンサのセンサコイルを示す斜視図である。
【図6】回路部の構成の例を示す図である。
【図7】搬送方向に2つの(あるいはそれ以上の)センサを配置した場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる媒体厚み検出装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、本発明にかかる媒体厚み検出装置を、銀行などの金融機関に設置される例えばATM(Automated Teller Machine)のような自動取引装置の内部、さらには、精算機、券売機等の紙幣を取扱う各種機器に内蔵され紙幣の識別装置内に含まれる厚さ検出装置に適用した場合について説明しているが、媒体の厚みを検出する装置であれば、特にこれに限定されることはない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態である紙葉類搬送装置の概略図である。本実施例では、紙葉類として紙幣を使用する場合について説明している。図1に示すように、本実施の形態における紙葉類搬送装置1000は、一時保留部1と、識別部2と、収納部3a〜3dと、回収部4と、上部搬送路5と、下部搬送路6と、入金口搬送路7と、出金口搬送路8と、返却口搬送路9と、一時保留部収納搬送路10と、一時保留部繰出搬送路11と、収納部収納搬送路12a〜12dと、収納部繰出搬送路13a〜13dと、回収部搬送路14と、通過センサ15と、ゲート16と、入金口紙葉類検知センサ17と、出金口紙葉類検知センサ18と、返却口紙葉類検知センサ19とを含んで構成されている。
【0014】
一時保留部1は、計数した紙幣を一時的に集積するものである。識別部2は、紙幣の金種、真偽、向き、損傷の程度を判別するものである。収納部3a〜3dは、紙幣を種類別に集積するものである。回収部4は、識別部2によってリジェクトされた紙幣を収納するものである。上部搬送路5は、入金口20、識別部2、一時保留部1、シャッタ付き出金口21、返却口22をループして紙幣を搬送する搬送路である。下部搬送路6は、上部搬送路5から収納部3a〜3dおよび回収部4の上を経由して再び上部搬送路5へと紙幣を搬送する搬送路である。
【0015】
入金口搬送路7は、入金口20から上部搬送路5へと紙幣を搬送する搬送路である。出金口搬送路8は、上部搬送路5からシャッタ付き出金口21へと紙幣を搬送する搬送路である。返却口搬送路9は、上部搬送路5から返却口22へと紙幣を搬送する搬送路である。一時保留部収納搬送路10は、上部搬送路5から一時保留部1へと紙幣を搬送する搬送路である。一時保留部繰出搬送路11は、一時保留部1から上部搬送路5へと紙幣を搬送する搬送路である。収納部収納搬送路12a〜12dは、下部搬送路6から収納部3a〜3dへと紙幣を搬送する搬送路である。収納部繰出搬送路13a〜13dは、収納部3a〜3dから下部搬送路6へと紙幣を搬送する搬送路である。回収部搬送路14は、下部搬送路6から回収部4へと紙幣を搬送する搬送路である。
【0016】
通過センサ15は、紙幣が通過するのを検知するセンサである。ゲート16は、紙幣を搬送する方向を切り替えるものである。入金口紙葉類検知センサ17は、入金口20に紙幣があるか否かを検知するセンサである。出金口紙葉類検知センサ18は、シャッタ付き出金口21に紙幣があるか否かを検知するセンサである。返却口紙葉類検知センサ19は、返却口22に紙幣があるか否かを検知するセンサである。
【0017】
図2は、図1に示した識別部2の内部概略図を示す図である。搬送路幅に架設された上下に対向する搬送ローラ23aおよび23bを駆動し、ここに横長の水平状態に導かれた紙幣30を1枚づつ後端へと挟持搬送する。このとき、搬送ローラ23の駆動は搬送モータ(図示無し)からの回転力が伝達されて回転する。また紙幣識別部2の紙幣搬送機構31においては、折れた紙幣や切れた紙幣に対してもスムーズに搬送できるよう紙幣が三枚以上搬送できるような幅を有した構成になっている。
【0018】
また、紙幣の透過量やインクの透過量を見るために、一次元のカラーリニアセンサ24、紙幣に塗られている磁気インクの磁性を判別する磁気センサ25、紙幣の厚み、テープの付着物、スレッドなどの凹凸を検出する厚みセンサ26、前記紙葉類搬送機構での駆動回転距離に同期してクロックを出力するエンコーダ27、前記センサのデータから紙葉類の金種、枚数、真贋を判定する制御部28から構成されている。制御部28は、紙幣がどの金種か識別し、真券であるか偽券であるか鑑別し、また紙幣が一枚、二枚もしくは三枚以上かを判別することにより媒体の枚数を管理している。なお、紙幣鑑別機構31は往復どちらの方向から紙幣が搬送されても鑑別可能なように構成されている。
【0019】
続いて、紙幣識別部2の厚みセンサ26の構成について、図3により説明を行う。図3に示すように、厚みセンサ26は、回転駆動機構(図示無し)によって回転する基準ローラ軸37と、この基準ローラ軸37に設けられた基準ローラ36と、検知ローラ34a〜34fが基準ローラ36に押し付けられて従動回転する検知ローラ軸38と、紙幣の厚みに応じて上方向に移動する検知ローラの動きを検出する変位検出センサ33a〜33lと、その変位検出センサ33a〜33lからの入力を処理するセンサ処理部35が配置される。
【0020】
図4は、図3に示した厚みセンサ26を上方から見た図である。図4において、検知ローラは34a〜34fであり、変位検出センサは33a〜33lである。また、図4において、センサ検知面は39a〜39lであり、媒体30が搬送されたとき、検知ローラ34a〜34fが媒体厚み方向に変位するとともに、検知ローラ34が搬送方向に長さ40移動する。このとき、変位検出センサは33a〜33lの媒体方向長さ41はセンサ検知面39の長さ+搬送方向移動量40以上であるように配設する。このようにすることにより、変位検出センサ33a〜33lのコイル面積を大きくすることが出来るので、センサが発生させる磁界を大きくすることが出来るので、ローラやセンサを小さくしても感度を保つことが出来る。また、センサ面積が媒体検知面より大きいので、縦向きの磁界の変化で媒体変位を検出することが出来るため、搬送方向にローラが動いても、厚み方向の磁界のみ検出することが出来る。
【0021】
次に、センサ部35のセンサ構成について説明する。図5は、厚みセンサ26のセンサコイルを示す斜視図である。図5に示すように、第1層の渦巻状の導体パターン51は、その外側端部51aから内側端部51bに向けて同じ矢印方向で示すように右回りに略長方形の渦巻き上に4周巻かれており、外側端部51aは同じ多層基板に搭載しているコンデンサ56に接続されている。内部端部51bはビルドアップバイア51cを介して第2層の渦巻き上導体パターン52の内側端部52bに接続されている。
【0022】
また、第2層の渦巻き状導体パターン52は、その内側端部52bから外側端部52aに向けて同じ矢印方向で示すように右回りに略長方形に渦巻状に4周巻かれており、外側端部52aはビルドアップバイア52cを介して第3層の渦巻状導体パターン53の外側端部53aに接続されている。同様に、第3層の渦巻き上導体パターン53は、その外側端部53aから内側端部53bに向けて同じ方向で示すように右回りに略長方形の渦巻き状に4周巻かれており、内側端部53bはビルドアップバイア53cを介して第4層の渦巻き状パターンに54の内側部54bに接続されている。
【0023】
同様に第4層の渦巻き状導体パターン54は、その内側端部54bから外側端部54aに向けて同じ矢印で示すように右回りに略長方形の渦巻き状に4周巻かれており、外側端部54aは同じ第4層の配線55に接続されている。このようにして、全体として螺旋状のコイルが多層基板に形成される。配線55は、同じ多層基板に搭載しているコンデンサ56に接続され、前記コイルとコンデンサでLC発振回路57を形成している。また、センサ部にある複数のコイルについて、各々で巻き数を変化させて配設している。
【0024】
次に回路部の構成について、図6を参照して説明する。図6に示すように、前記LC発振回路57は、変位検出センサ61とコンデンサ62でLC発振を行い、負性抵抗としてトランジスタ63を用いる。その後、直流成分をカットするフィルタ64を通過後、検波回路65にて、発振回路57からの変位出力を包絡線検波し、変位成分を抽出する。オフセット補正回路66は、温度変動やメカ変動などのばらつきを補正する回路であり、通常取引前の媒体がないレベルを一定レベルにするような減算補正回路になっている。不揮発メモリ67は、事前に基準の媒体変位から算出されたセンサ各々の変位を記憶させる記憶手段である。センサ処理部68は、オフセット補正回路66から入力されたセンサ入力と不揮発メモリ67からの基準媒体変位とから算出した媒体変位量を算出する算出手段である。
【0025】
このとき、直流成分をカットするフィルタ63の遮断周波数をF1と、検波回路64の広域遮断周波数をF2と、隣接す前記各センサで巻き数を変化させて異なる周波数F3で発振している周波数の差をF3とすると、F3>F2>F1となるように各回路を配設している。このようにすることにより、隣接するコイルからのノイズを遮断することが出来るので、センサとしてのSN比を向上することが出来るので、媒体の細かい凹凸を検知することができる。
【0026】
このように本実施例によれば、本発明の紙葉類の厚さ検出装置を用いた紙幣鑑別装置を用いることにより、媒体の細かい凹凸を検知することができ、テープ、紙等で変造された紙幣、紙幣のセキュリティーを高精度で検出できる効果がある。
【0027】
なお、上述した実施の形態においては、図4に示したように、変位検出センサは33a〜33lの媒体方向長さ41を、センサ検知面39の長さ+搬送方向移動量40以上となるような1つのコイルであるとして説明したが、例えば、図7に示すように、搬送方向に2つの(あるいはそれ以上の)センサを配置することとしてもよい。
【0028】
この場合、隣接するセンサ同士(例えば、33a−1、33a−2)の干渉が生じうるが、その対応としては、例えば、特開2010−257292号公報に開示されているように、これらのセンサの夫々を、配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した2つの非隣接グループである2チャンネルに分け、その分けた非隣接グループへの発振電圧の出力を交互に切換える(すなわち、2種類のグループを発振制御する際、各変位検知センサが出力する場合に、隣接する変位検知センサが同時に出力しないように制御する)ことによって、変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することが可能となる。
【0029】
このように、所定の回転軸に沿って回転する基準ローラを、回転軸方向に隙間なく並べた基準ローラ部と、それぞれの基準ローラの回転に従って従動回転し、紙葉類の厚みを検知するための検知ローラを隙間なく並べた検知ローラ部と、基準ローラ部と検知ローラ部との間に紙葉類を搬送させるための搬送部と、検知ローラ部に比べて紙葉類の搬送方向の形状が主走査方向より長い形状をなし、それぞれの検知ローラの上方に設けられた複数の検出用コイルが所定の周波数で発振することにより紙葉類の検出用交流磁界を発生させ、発生させた検出用磁界内のローラ変位量を磁界の変化により検出するセンサ部と、センサ部で検出された磁界の変化から、紙葉類の変位量を算出する算出部と、を備えるので、主走査方向に対してセンサを小さくしても、センサ面積自体は保持できるので、センサが発する磁界を小さくすることがないため、ローラの変位感度を保持することができる。
【0030】
また、検出用ローラが前後に変位した場合でも、厚み方向に対しては変化しないため、微細で精度の良い厚み変位を検知することが可能となる。また媒体を搬送したとき、ローラが搬送方向に変位した場合についても、センサ部と変位した検知ローラ部の変位量は変化しない。なお、コイル形状を搬送方向に長い形状であると記載したが、搬送方向に複数のセンサを搭載して、複数のセンサ出力から変位量を算出しても良い。
【0031】
また、検出用コイルのそれぞれは、それぞれの検知ローラの上方に設けられた各々の検出用コイルの面積が同一で巻き数が異なるように構成し、算出部は、検出用コイルの発振出力から低周波数領域を遮断する第1の回路部と、第1の回路部からの出力を包絡線検波する第2の回路部と、各々の検出用コイルの基準変位量を予め記憶する記憶部と、搬送された紙葉類の変位量を基準変位量により補正する補正部とを有し、第1の回路部の遮断周波数は第2の回路部の遮断周波数より低く、第2の回路部の遮断周波数は各々の検出用コイルの異なる発振周波数の差分より低く設定されるので、センサ検出領域を保持しながら、各センサのインダクタンスが異なるようにすることができるため、センサ部の複数のセンサについて、異なる周波数で発振することが出来る。この場合、第1の回路部の遮断周波数は第2の回路部の遮断周波数より低く、第2の回路部の遮断周波数は各々センサの異なる発振周波数の差分より低くすることにより、各センサの出力について、他のセンサの発振周波数の影響を回路部により遮断されるので、他のセンサの相互干渉の影響を無くすことが出来、精度の良い媒体厚みセンサを実現できる。なお、コイルの巻き数によりインダクタンスを変化する代わりに発振部をLC発振回路にして、コンデンサのキャパシタンスを変化させてもよい。
【0032】
さらに、センサ部はビルドアップ多層基板で構成され、それぞれのセンサ部は、ビルドアップ多層基板の各層にはセンサの一部となるセンサ用パターンが形成されており、各層に形成されたセンサ用パターンの一端は、それぞれ上層と下層に形成されたセンサ用パターンにより接続されていることにより、各層のパターンとビルドアップバイアとにより構成されるコイルが備えられ、コイルから交流磁界を発生させる発生部を有しているので、コイルの形状を自由に設定することができ、かつコイルの巻き数を増加させることが出来るので、安定したコイルを数多く構築できるので、安価で高精度の媒体厚みセンサを作ることができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0034】
1000 紙葉類搬送装置
1 一時保留部
2 識別部
3a〜3d 収納部
4 回収部
5 上部搬送路
6 下部搬送路
7 入金口搬送路
8 出金口搬送路
9 返却口搬送路
10 一時保留部収納搬送路
11 一時保留部繰出搬送路
12a〜12d 収納部収納搬送路
13a〜13d 収納部繰出搬送路
14 回収部搬送路
15 通過センサ
16 ゲート
17 入金口紙葉類検知センサ
18 出金口紙葉類検知センサ
19 返却口紙葉類検知センサ
23a、23b 搬送ローラ
25 磁気センサ
26 厚みセンサ
27 エンコーダ
28 制御部
30 紙幣
31 紙幣鑑別機構
33a〜33l 変位検出センサ
34a〜34f 検知ローラ
35 センサ処理部
36 基準ローラ
37 基準ローラ軸
38 検知ローラ軸
51〜54 導体パターン
55 配線
56 コンデンサ
57 LC発振回路
61 変位検出センサ
62 コンデンサ
63 トランジスタ
64 フィルタ
65 検波回路
66 オフセット補正回路
67 不揮発メモリ
68 センサ処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸に沿って回転する基準ローラを、前記回転軸方向に隙間なく並べた基準ローラ部と、
それぞれの前記基準ローラの回転に従って従動回転し、紙葉類の厚みを検知するための検知ローラを隙間なく並べた検知ローラ部と、
前記基準ローラ部と前記検知ローラ部との間に前記紙葉類を搬送させるための搬送部と、
前記検知ローラ部に比べて前記紙葉類の搬送方向の形状が主走査方向より長い形状をなし、それぞれの前記検知ローラの上方に設けられた複数の検出用コイルが所定の周波数で発振することにより前記紙葉類の検出用交流磁界を発生させ、発生させた前記検出用磁界内のローラ変位量を磁界の変化により検出するセンサ部と、
前記センサ部で検出された磁界の変化から、前記紙葉類の変位量を算出する算出部と、
を備えることを特徴とする媒体厚み検出装置。
【請求項2】
前記検出用コイルのそれぞれは、それぞれの前記検知ローラの上方に設けられた各々の前記検出用コイルの面積が同一で巻き数が異なるように構成し、
前記算出部は、前記検出用コイルの発振出力から低周波数領域を遮断する第1の回路部と、前記第1の回路部からの出力を包絡線検波する第2の回路部と、各々の前記検出用コイルの基準変位量を予め記憶する記憶部と、搬送された前記紙葉類の変位量を前記基準変位量により補正する補正部とを有し、
前記第1の回路部の遮断周波数は前記第2の回路部の遮断周波数より低く、前記第2の回路部の遮断周波数は各々の前記検出用コイルの異なる発振周波数の差分より低く設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚み検出装置。
【請求項3】
前記センサ部はビルドアップ多層基板で構成され、それぞれの前記センサ部は、前記ビルドアップ多層基板の各層にはセンサの一部となるセンサ用パターンが形成されており、各層に形成された前記センサ用パターンの一端は、それぞれ上層と下層に形成されたセンサ用パターンにより接続されていることにより、各層のパターンとビルドアップバイアとにより構成されるコイルが備えられ、前記コイルから交流磁界を発生させる発生部を有している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の媒体厚み検出装置
【請求項4】
所定の回転軸に沿って回転する基準ローラを、前記回転軸方向に隙間なく並べた基準ローラ部と、
それぞれの前記基準ローラの回転に従って従動回転し、紙葉類の厚みを検知するための検知ローラを隙間なく並べた検知ローラ部と、
前記基準ローラ部と前記検知ローラ部との間に前記紙葉類を搬送させるための搬送部と、
それぞれの前記検知ローラの上方に設けられた複数の検出用コイルが所定の周波数で発振することにより前記紙葉類の検出用交流磁界を発生させ、発生させた前記検出用磁界内のローラ変位量を磁界の変化により検出するための、前記検知ローラ部における前記紙葉類の搬送方向の長さを満たす範囲内に、前記紙葉類の搬送方向に複数のセンサを配置したセンサ部と、
前記センサ部で検出された磁界の変化から、前記紙葉類の変位量を算出する算出部と、
を備えることを特徴とする媒体厚み検出装置。
【請求項5】
前記センサ部を構成するそれぞれのセンサは、前記センサの配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した2つの非隣接グループである第1のチャンネル部と第2のチャンネル部とに分けられ、前記算出部は、前記第1のチャンネル部と前記第2のチャンネル部とからの発振電圧の出力を交互に切換えるように制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の媒体厚み検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の媒体厚み検出装置を備えたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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