媒体厚み検知装置
【課題】複数の変位検知センサを密に配置しても各変位検知センサの磁界が干渉することなく、媒体の厚みを正確に検知することができる媒体厚み検知装置を提供することを課題とする。
【解決手段】検知ローラ34a〜34f毎に変位検知センサ33a〜33lを対設し、該対設された各変位検知センサ33a〜33lのコイルから発生させた磁界の変化により検知ローラ34a〜34fが弾性変位したローラ変位量を検知して媒体の厚みを検知する装置であって、前記検知ローラ34a〜34fの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサ33a〜33lを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した非隣接グループa,bに分け、前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループa,bを切換える構成である。
【解決手段】検知ローラ34a〜34f毎に変位検知センサ33a〜33lを対設し、該対設された各変位検知センサ33a〜33lのコイルから発生させた磁界の変化により検知ローラ34a〜34fが弾性変位したローラ変位量を検知して媒体の厚みを検知する装置であって、前記検知ローラ34a〜34fの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサ33a〜33lを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した非隣接グループa,bに分け、前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループa,bを切換える構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動取引機で取引利用される紙幣、有価証券、切手などの媒体の厚みを検知する媒体厚み検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関等の自動取引コーナに設置される自動取引機に内部構成される紙幣取扱装置では、流通紙幣の劣化状態や変造紙幣を識別することが重要であり、そのために紙幣取扱装置の内部には紙幣識別装置が備えられている。
【0003】
近年、紙幣の偽造、変造技術は巧妙化しており、紙幣、有価証券、切手などの各種媒体(以下、紙葉類と称す)を、微小なテープ、紙、シールなどで細工された変造券が出回っており、これらの変造券の厚みの特徴を正確に検知して識別する必要がある。このため、厚み検知装置の検知精度を高める必要があった。その一例として、紙葉類が偽造されているか否かを紙葉類の厚さによって識別する紙葉類の厚さ検出装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
前記紙葉類の厚さ検出装置に開示されている検知技術は、基準ローラと、紙葉類の厚みに応じて弾性変位する検知ローラとを対設し、これらのローラ間で紙葉類を1枚ずつ挟持搬送することにより、テープ等の貼着された部分の盛り上がりを検知ローラが弾性変位して検出し、その変位量を変位検知センサが検知してテープ等が貼着されていることを検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−4206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した検知技術では紙面の広い検知範囲の全てを正確に検知する必要がある。そのためには、紙葉類の未検知領域を極力なくすよう搬送幅方向に複数配置されている変位検知センサの配置間隔を狭くして該変位検知センサ間の隙間を無くすように密に並べる必要がある。
【0007】
ところが、変位検知センサの配置間隔を密にした場合は、隣接する変位検知センサ同士で磁界の干渉を誘起し、近づけるほど干渉が激しくなり正確に測定できなくなる。このようなことから変位検知センサの配置間隔を密にするには限界が生じ、現状では変位検知センサの配置間隔を一定間隔以上にあける必要があり、このために紙葉類の厚み検知精度を上げることができなかった。そのため、例えば折れた紙幣や切れた紙幣などのように損傷した流通紙幣が搬送されてきた場合、枚数を正確に計数できないという問題を有していた。
【0008】
そこでこの発明は、前記課題を解決することを目的とし、複数の変位検知センサを密に配置しても隣接する変位検知センサの磁界が干渉せず、媒体の厚みを正確に検知することができる媒体厚み検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、基準ローラと、弾性部材を内蔵して径方向に弾性変位許容するとともに、前記基準ローラに対向して同一軸方向に複数の検知ローラを配置した検知ローラ群と、前記対向する基準ローラと検知ローラ群との少なくとも一側を回転駆動して両ローラ間で媒体を挟持搬送する搬送手段と、前記検知ローラ毎に変位検知センサを対設し、該対設された各変位検知センサのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、前記検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群とを備えて構成される媒体厚み検知装置であって、前記検知ローラの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した非隣接グループに分け、前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループを切換える切換手段を備えて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、隣接する変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することが可能になり、変位検知センサ間を密に配置しても、高解像度の検知精度を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】紙幣搬送装置の内部構成図。
【図2】識別部の内部構成図。
【図3】検知ローラと変位検知センサとの配置関係を示す正面図。
【図4】検知ローラの変位状態の一例を示す要部正面図。
【図5】変位検知センサの非隣接グループ別に各チャンネルを切換えた状態を示す説明図。
【図6】基板一体型の変位検知センサを一部展開して示す斜視図。
【図7】千鳥状配置した検知ローラと変位検知センサとの配置関係を示す平面図。
【図8】厚み検知装置の制御回路ブロック図。
【図9】(A)は紙幣枚数判定時の各チャンネルにおける検知データを示すタイムチャート、(B)は各チャンネルの和により紙幣の枚数判定を行う検知データを示すタイムチャート。
【図10】変造券検知時の検知データを示すタイムチャート。
【図11】変造券検知時の具体的な判定状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面は銀行などの金融機関に設置される例えば現金自動預払装置(ATM)を示し、該ATMに内蔵される識別部の厚さ検知性能を高めた実施形態を示す。
【実施例】
【0013】
図1はこの発明の一実施例であるATMに内部構成される紙幣搬送装置を示し、この実施例では媒体の一例として紙幣を処理した場合について説明する。
この紙幣搬送装置において、1は計数した紙幣を一時的に集積する一時保留部、2は紙幣の金種、真偽、向き、損傷の程度を識別する識別部、3a〜3dは紙幣を種類別に集積する収納部、4は識別部2によってリジェクトされた紙幣を収納する回収部、5は入金口20、識別部2、一時保留部1、シャッタ付き出金口21、返却口22をループして紙幣を搬送する上部搬送路、6は上部搬送路5から収納部3a〜3d及び回収部4の上を経由して再び上部搬送路5へと紙幣を搬送する下部搬送路、7は入金口20から上部搬送路5へと紙幣を搬送する入金口搬送路、8は上部搬送路5からシャッタ付き出金口21へと紙幣を搬送する出金口搬送路、9は上部搬送路5から返却口22へと紙幣を搬送する返却口搬送路、10は上部搬送路5から一時保留部1へと紙幣を搬送する一時保留部収納搬送路、11は一時保留部1から上部搬送路5へと紙幣を搬送する一時保留部繰出搬送路、12a〜12dは下部搬送路6から収納部3a〜3dへと紙幣を搬送する収納部収納搬送路、13a〜13dは収納部3a〜3dから下部搬送路6へと紙幣を搬送する収納部繰出搬送路、14は下部搬送路6から回収部4へと紙幣を搬送する回収部搬送路、15は紙幣が通過するのを検知する通過センサ、16は紙幣を搬送する方向を切り替えるゲート、17は入金口20に紙幣があるか否かを検知する入金口紙幣検知センサ、18はシャッタ付き出金口21に紙幣があるか否かを検知する出金口紙幣検知センサ、19は返却口22に紙幣があるか否かを検知する返却口紙幣検知センサである。
【0014】
図2は識別部2の主要構成を示す概略図である。
この識別部2は、ここに導かれた紙幣30を搬送しながら識別する紙幣搬送機構31が備えられている。この紙幣搬送機構31には搬送路幅に架設されて上下に対向する上搬送ローラ23aと下搬送ローラ23bとを備えた搬送ローラ部23が設置されている。これらの上下搬送ローラ23a,23bは図示しない搬送モータからの回転力が伝達されて回転し、ここに紙幣30が横長の水平状態で導かれ、該紙幣30を上下より挟持して1枚ずつ搬送する。また、折れた紙幣や切れた紙幣などの損傷した流通紙幣に対してもスムーズに搬送できるように、重送を可能にした搬送許容性の高い構成を有している。
【0015】
また、識別部2では搬送ローラ部23に続いて、紙幣30の透過量やインクの透過量をチェックするカラーリニアセンサ24と、紙幣30に塗られている磁気インクの磁性を識別する磁気センサ25と、紙幣30の厚み、テープの有無、スレッドなどの凹凸を検知する厚みセンサ26と、前記紙幣搬送機構31での搬送駆動に基づく紙幣30の搬送距離に同期してクロック信号を出力するエンコーダ27と、前記厚みセンサ26の検知データから金種、枚数、真偽を判定する制御部28とが備えられている。
【0016】
したがって、識別部2ではここに導かれてきた紙幣30がどの金種であるかを識別し、さらに真券であるか偽券であるかを識別し、さらに一枚か二枚かもしくは三枚以上の紙幣30であるかを識別して、取引利用される紙幣30を管理している。なお、紙幣搬送機構31は往復どちらの方向から紙幣30が搬送されてきても識別できるように構成されている。
【0017】
次に、識別部2に備えられる厚みセンサ26の具体的な構成について図3を参照して説明する。
この厚みセンサ26は、紙幣搬送機構31の搬送駆動系から回転力が伝達される回転軸としての基準ローラ軸37と、この基準ローラ軸37の同一軸方向に狭幅間隔で例えば6個配置される基準ローラ36と、該6個の基準ローラ36に対向して検知ローラ軸38上に配置される6個の検知ローラ34a〜34fと、これらの6個の検知ローラ34a〜34fが基準ローラ36に押し付けられて従動回転する検知ローラ群34と、前記検知ローラ34a〜34f毎に例えば2個ずつ対向させて配置される合計12個の変位検知センサ33a〜33lと、各変位検知センサ33a〜33lのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、前記検知ローラ34a〜34fが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群33と、該変位検知センサ群33からの入力データを処理するセンサ処理部35とが配置されている。前記基準ローラ36は搬送幅方向に6個配置した例を示したが、1本の長いローラ軸で構成することもできる。
【0018】
図4は厚みセンサ26の一部を拡大して示す要部説明図である。ここでは厚みセンサ26の説明上、上下方向に2つの変位検知センサ33a,33bと検知ローラ34aと基準ローラ36とからなる左検知部と、その右側の上下方向に2つの変位検知センサ33c,33dと検知ローラ34bと基準ローラ36とからなる右検知部との2組を例にとって説明する。
【0019】
前記検知ローラ34a,34bは、金属などの円筒状の部材からなる外輪32aと、その中心軸となる検知ローラ軸38との間に、ゴムなどの柔らかい弾性部材39a,39b…を充填して構成している。一方、基準ローラ36は金属で構成され、外周面が変位しない基準面として設けられ、ここに前記検知ローラ34a,34bが対接される。
【0020】
これにより、左右両側の基準ローラ36,36と左右両側の検知ローラ34a,34bとの2組のローラ面間に紙幣30が噛み込まれると、弾性部材39a,39bが紙幣30の厚み分だけ変形して外輪32a,32bが上方向に変位する。
【0021】
この変位量を左側の2つの変位検知センサ33a,33bと右側の2つの変位検知センサ33c,33dとで検知して、紙幣30の厚みに応じた検知信号を出力する。検知信号は、センサ処理部35で信号を処理し、その変位分について、デジタル信号を制御部28に送る。制御部28では、送られてきた紙幣30の厚みデータから紙幣30が二枚以上重なって搬送されていないか、テープ等が貼られた変造券でないか、真券か偽券でないかを判定する。
【0022】
また、1つの検知ローラ34aに対して、両端に2つの変位検知センサ33a,33bを対向させて配置することにより、例えば紙面にテープTAが貼られている場合は(図4参照)、該テープTAの両端部が左右の検知ローラ34a,34bに渡って接触し、該テープTA上を両検知ローラ34a,34bが同時に片乗りして相反する方向に傾くので、検知ローラ34a,34bの変位を検知することができる。
【0023】
紙幣30の広い検知範囲を正確に検知するためには、紙幣30の未検知領域を極力なくすように複数の変位検知センサ33a〜33lの配置間隔を狭くして該センサ間の隙間を無くすように並べるのが好ましい。このため、搬送幅方向に渡って配列されている各変位検知センサ33a〜33lの配置間隔を狭くして密に配置している。
【0024】
したがって、これらの変位検知センサ33a〜33lは、隣接する変位検知センサ同士で互いに磁界が干渉してしまうくらい接近した殆んど隙間の無い間隔に配置している。このように変位検知センサ33a〜33lの間隔を密に配置しても互いに隣接する変位検知センサ33a〜33lの磁界が干渉せず、紙幣30の厚みを正確に検知することができるという厚み検知技術を次に説明する。
【0025】
この厚み検知技術は検知ローラ34a〜34fの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサ33a〜33lを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した2つの非隣接グループである2チャンネル(図5においてはチャンネルa,チャンネルb)に分け、その分けた非隣接グループへの発振電圧の出力を図5(A)に示すように、交互に切換える(ON/OFF)技術である。
【0026】
例えば、図5(B)に示すように、変位検知センサ33a〜33dにおいて、端から奇数番号グループ33a,33c…と、偶数番号グループ33b,33d…との2つのグループに区分し、これらのグループ別に発振電圧の出力を交互にON/OFFして切換える。つまり、奇数番号グループ33a,33c…が発振している間は、偶数番号グループ33b,33d…の発振が停止している。
【0027】
これらの2種類のグループを発振制御する際、各変位検知センサが出力(発振)する場合に、隣接する変位検知センサが同時に出力(干渉)しないようにするためである。つまり、グループ分けが干渉回避手段となる。
【0028】
このように、変位検知センサのコイルに所定の周波数を発振させて磁界を発生させるが、これらの変位検知センサ33a〜33dからの発振タイミングは同時に発振させず、1つ飛びの間隔で区切った2種類のグループを交互に発振させるため、該変位検知センサを密に配置しても隣接する変位検知センサからの磁界の影響を受けることはない。
【0029】
これにより、変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することが可能になり、変位検知センサ間を密に配置しても高解像度の検知精度を安定して得ることが可能になる。
【0030】
図6は基板一体型の変位検知センサの構成例を示し、基板61に変位検知センサとしての複数のコイル62を挟幅間隔にプリント配線し、このプリント配線した基板61を例えば4層重ね合わせた一体型基板63を構成する。この一体型基板63を用いることにより、コイル62間隔を狭くできる。この結果、小型で精度の良い検知コイルとなり、高検知精度を有してコンパクトに組込むことができる。
【0031】
なお、コイルによる磁界変化を変位検知センサとして説明したが、例えば永久磁石などをメカニカル的にON/OFFするようにしてもよい。また、MR素子(磁気抵抗素子)、MI素子(磁気インピーダンス素子)、ホール素子などの磁界検知センサを用いてもよい。
【0032】
ところで、前記説明では磁界の影響を回避した特有な検知技術を説明したが、さらに検知精度を高めることもできる。すなわち、前記変位検知センサ33a〜33lの配置構成の場合、複数配置される検知ローラ34a,34b…の隣接間隔は、直接紙幣30に接触しない部分となり、非検知位置の搬送隙間72(図7参照)が生じている。このため、該搬送隙間72に対しても補って検知できるように構成する一例を次に示す。
【0033】
図7は平面視千鳥状に配置した検知ローラ34a…と変位検知センサ33a…との配置関係を示している。例えば、前記6個の基準ローラ36…(図3参照)と、6個の検知ローラ34a〜34fと、一体型基板63にプリント配線されている12個の変位検知センサ33a〜33lとを備えて構成される検知ユニット71を紙幣搬送方向の前段側と後段側に2列に配設する。このうち、前段側の検知ローラ間の非検知位置としての搬送隙間72に後段側の検知ローラ34aを対応させて配置した平面視千鳥状に配置して構成している。
【0034】
これにより、複数の検知ローラ34a,34b間には搬送隙間72が必ず生じるが、この搬送隙間72に対しても後段側の検知ローラ34aで検知するように補って紙幣30の全面をもれなく検知することができるため、紙面の検知範囲が広くても紙幣の凹凸変位を正確に検知することができる。
【0035】
次に、厚みセンサ26の制御構成を、図8を参照して説明する。ここでは一方のチャンネルaと他方のチャンネルbに対応して切換えられる2個の変位検知センサ33a,33bを制御する場合について説明する。
発振回路40a,40bは交流磁界発生手段として設けられ、変位検知センサ33a,33bとコンデンサ41a,41bとでLC発振を行い、負性抵抗としてトランジスタ42a,42bを用いる。その後、検波回路43a,43bにて、発振回路40a,40bからの変位出力を一次検波し、変位成分を抽出する。
【0036】
該発振回路40a,40bは交流磁界を発生させた際、その交流磁界が変化することに基づき、検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する自励式発振回路である。このため、コイルやコンデンサのばらつきによる各チャンネルの磁界のバラツキに対してチャンネル毎に補正することができ、精度の良い厚みセンサを確保することができる。
【0037】
オフセット補正回路44a,44bは温度変動や機械的な変動のばらつきを補正する調整手段としての回路であり、通常は取引前の紙幣30がないセンサレベルを一の定レベルにするような減算補正回路である。マルチプレクサ回路46では前記センサレベルを順次ADコンバータ47により切換制御信号48のタイミングでAD変換を行い、変位出力のデジタル信号をセンサ処理部35にて制御部28に出力する。その出力を制御部28内の判定部49に入力し、紙幣30の枚数やテープなどの付着物の有無を判定する。
【0038】
また、変位出力を判定する際、不揮発メモリ45が記憶している厚み線形近似式から求まる傾きにより紙幣の変位量に換算し、各部紙幣30の変位量を算出する。この不揮発メモリ45では記憶手段として事前に複数の変位レベルから算出された各チャンネルa,bの変位線形近似式の傾きを記憶している。さらに、予め紙幣の無い状態を含めて紙幣厚みのローラ変位量に関する二つ以上のローラ変位量に応じた出力レベルを記憶している。これにより、制御部28での判定処理を容易にしている。
【0039】
その後、その変位出力を制御部28内の判定部49に入力し、紙幣30の枚数やテープなどの付着物の有無を判定する。この制御部28では紙幣通過時における変位検知センサ33a…の入力レベルと前記オフセット補正回路44a,44bにより調整された紙幣未通過時の入力レベルとの差分を求める差分手段として働き、これより導かれた出力レベルを、前記不揮発メモリ45が記憶している出力レベルと比較して紙幣の厚みを判定するものである。この比較判定に際しては、各厚みのポイント間で線形近似を行うことにより厚み変位量を正確に求めることができる。
【0040】
これにより、センサの温度や装置のバラツキに影響しない厚み変位量を求めることができるとともに、不揮発メモリ45で記憶された厚み変位量間では線形性を確保できることから、高ダイナミックレンジの厚みセンサを作ることができる。このため、精度の良い厚みセンサを確保することができる。
【0041】
切換制御信号48はエンコーダ27(図2参照)と同期してサンプリングタイミング信号を出力するとともに、切換えタイミング信号を発振制御回路50a,50bに出力する。つまり、切換制御信号48では紙幣搬送機構31による紙幣30の搬送速度に同期して、その搬送方向に厚み検知する単位検知時間内でローラ変位量を取得するように非隣接グループ別のチャンネルa,b(図5参照)を切換える。
【0042】
これにより、搬送速度が変化しても搬送方向に対して、解像度が変化しない凹凸変位画像を得ることができる。なお、データ取り込みのタイミングに際しては、エンコーダ27などで紙幣30が進んだ距離に対するパルスを出力する機構を構成するとよい。紙幣30の通過速度が予め既知の場合については、想定した紙幣の通過速度に同期した信号を出力する機構でもよい。
【0043】
発振制御回路50a,50bは、切換制御信号48がONしている期間、発振回路40a,40bの負性抵抗であるトランジスタ42a,42bに出力し、そのトランジスタ42a,42bを導通させることで高周波発振を行う。発振回路40a,40bは、発振制御回路50a,50bがONの期間だけ高周波発振を行う。したがって、両側に隣接する変位検知センサ33a,33bの各発振制御回路50a,50bは同時に一方をONにし、他方をOFFにして排他的に動作している。
【0044】
前記センサ処理部35から上位制御部としての制御部28にデータを転送する際、他の非隣接グループに切換えた非検知状態の間は、切換前の検知レベルが続いているものとしてセンサ処理部35が処理手段となり、ここでデータ処理した出力データを制御部28に転送する。これにより、制御部28は普通に処理できる。ことに、切換前の検知レベルが続いている継続データとして扱うため制御部28に転送された出力データは高解像度の凹凸変位画像が得られる。
【0045】
上述例では、12個のチャンネル33a〜33lのうち、奇数番号グループ33a,33c…と、偶数番号グループ33b,33d…との2つのグループ(チャンネルa,b)に区分したが、隣接する変位検知センサが同時に出力しない、つまり干渉しないチャンネル構成であれば、どのようなグループ分けを行ってもよい。例えば、変位検知センサの間隔を2個間隔、あるいは3個間隔に離して区分した変位検知センサを1グループとして扱ってもよい。
【0046】
次に、判定部49における搬送された紙幣30が何枚かを判定する方法について、図9を用いて説明する。図9(A)に表わされる波形51において、縦軸は各チャンネルCH0,CH1…CH10,CH11(a,b)の変位出力を示し、横軸は紙幣30の移動距離を示している。
【0047】
図9(B)は図9(A)で述べた各チャンネルの変位出力の和を表わした波形52を示している。
まず、判定部49は検知ローラ34a…上に紙幣30が接触している領域を抽出する。このとき、紙幣30の平均値が紙幣30の2.5枚分相当である閾値53以上であれば3枚以上と判定し、それ未満に対して、紙幣30の1.5枚分相当である閾値54以上であれば2枚と判定し、閾値54未満であれば、1枚と判定する。
【0048】
次に、判定部49における紙幣30に貼ったテープの判定方法を図10、図11を用いて説明する。
図10はテープを貼った変造券が通過した場合(図4参照)について、各チャンネルa,bのうち変位検知センサ33a,33bの波形55を示す。縦軸は変位出力を示す。横軸は紙幣30の移動距離を示す。
【0049】
これらの波形55の閾値は、紙幣30の厚さが場所により異なることや紙幣自体の環境変化により紙幣全体の厚みが変化するため、そのままでは閾値を設定するのは困難である。そこで、まず紙幣全体がローラ上に載っている領域を抽出する。そのとき、図11に表わしたものが紙幣全体の厚み中心値(搬送方向と搬送幅方向との厚みの中心)を基準とした変位出力の波形56である。そして、対象領域の紙幣厚さから紙幣各部の凸部閾値57で二値化した画像58を紙幣の平面図として示している。そして、その面積が閾値59以上の大きさであれば、テープなどの一定大きさの付着物があると判定する。したがって、紙幣30が二枚、三枚と重なっている重送、テープ、紙等で変造された変造券を高精度に検知できる。
【0050】
上述のように、隣接する変位検知センサ間を密に配置しても、該変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することができるため高解像度の検知精度を安定して得ることができる。このため、媒体の搬送状態によらず、媒体の微細な凹凸変化状態を正確に見極めて検知することが可能になり、紙幣のセキュリティ機能を満たす高精度の判定ができる。
【0051】
この発明は、上述の一実施例に記載された構成に限定されるものではなく、請求項に記載された技術思想に基づいて応用することができる。例えば、上述の一実施例では媒体の一例として紙幣30を用いたが、伝票、小切手、有価カード、金券等の他の媒体であっても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
紙幣等を取扱う現金自動預払装置、精算機、券売機等の自動取引機に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
2…識別部
26…厚みセンサ
27…エンコーダ
28…制御部
30…紙幣
33…変位検知センサ群
33a〜33l…変位検知センサ
34…検知ローラ群
34a〜34f…検知ローラ
35…センサ処理部
36…基準ローラ
61…基板
62…コイル
63…一体型基板
71…検知ユニット
72…搬送隙間
a,b…チャンネル
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動取引機で取引利用される紙幣、有価証券、切手などの媒体の厚みを検知する媒体厚み検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関等の自動取引コーナに設置される自動取引機に内部構成される紙幣取扱装置では、流通紙幣の劣化状態や変造紙幣を識別することが重要であり、そのために紙幣取扱装置の内部には紙幣識別装置が備えられている。
【0003】
近年、紙幣の偽造、変造技術は巧妙化しており、紙幣、有価証券、切手などの各種媒体(以下、紙葉類と称す)を、微小なテープ、紙、シールなどで細工された変造券が出回っており、これらの変造券の厚みの特徴を正確に検知して識別する必要がある。このため、厚み検知装置の検知精度を高める必要があった。その一例として、紙葉類が偽造されているか否かを紙葉類の厚さによって識別する紙葉類の厚さ検出装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
前記紙葉類の厚さ検出装置に開示されている検知技術は、基準ローラと、紙葉類の厚みに応じて弾性変位する検知ローラとを対設し、これらのローラ間で紙葉類を1枚ずつ挟持搬送することにより、テープ等の貼着された部分の盛り上がりを検知ローラが弾性変位して検出し、その変位量を変位検知センサが検知してテープ等が貼着されていることを検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−4206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した検知技術では紙面の広い検知範囲の全てを正確に検知する必要がある。そのためには、紙葉類の未検知領域を極力なくすよう搬送幅方向に複数配置されている変位検知センサの配置間隔を狭くして該変位検知センサ間の隙間を無くすように密に並べる必要がある。
【0007】
ところが、変位検知センサの配置間隔を密にした場合は、隣接する変位検知センサ同士で磁界の干渉を誘起し、近づけるほど干渉が激しくなり正確に測定できなくなる。このようなことから変位検知センサの配置間隔を密にするには限界が生じ、現状では変位検知センサの配置間隔を一定間隔以上にあける必要があり、このために紙葉類の厚み検知精度を上げることができなかった。そのため、例えば折れた紙幣や切れた紙幣などのように損傷した流通紙幣が搬送されてきた場合、枚数を正確に計数できないという問題を有していた。
【0008】
そこでこの発明は、前記課題を解決することを目的とし、複数の変位検知センサを密に配置しても隣接する変位検知センサの磁界が干渉せず、媒体の厚みを正確に検知することができる媒体厚み検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、基準ローラと、弾性部材を内蔵して径方向に弾性変位許容するとともに、前記基準ローラに対向して同一軸方向に複数の検知ローラを配置した検知ローラ群と、前記対向する基準ローラと検知ローラ群との少なくとも一側を回転駆動して両ローラ間で媒体を挟持搬送する搬送手段と、前記検知ローラ毎に変位検知センサを対設し、該対設された各変位検知センサのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、前記検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群とを備えて構成される媒体厚み検知装置であって、前記検知ローラの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した非隣接グループに分け、前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループを切換える切換手段を備えて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、隣接する変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することが可能になり、変位検知センサ間を密に配置しても、高解像度の検知精度を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】紙幣搬送装置の内部構成図。
【図2】識別部の内部構成図。
【図3】検知ローラと変位検知センサとの配置関係を示す正面図。
【図4】検知ローラの変位状態の一例を示す要部正面図。
【図5】変位検知センサの非隣接グループ別に各チャンネルを切換えた状態を示す説明図。
【図6】基板一体型の変位検知センサを一部展開して示す斜視図。
【図7】千鳥状配置した検知ローラと変位検知センサとの配置関係を示す平面図。
【図8】厚み検知装置の制御回路ブロック図。
【図9】(A)は紙幣枚数判定時の各チャンネルにおける検知データを示すタイムチャート、(B)は各チャンネルの和により紙幣の枚数判定を行う検知データを示すタイムチャート。
【図10】変造券検知時の検知データを示すタイムチャート。
【図11】変造券検知時の具体的な判定状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面は銀行などの金融機関に設置される例えば現金自動預払装置(ATM)を示し、該ATMに内蔵される識別部の厚さ検知性能を高めた実施形態を示す。
【実施例】
【0013】
図1はこの発明の一実施例であるATMに内部構成される紙幣搬送装置を示し、この実施例では媒体の一例として紙幣を処理した場合について説明する。
この紙幣搬送装置において、1は計数した紙幣を一時的に集積する一時保留部、2は紙幣の金種、真偽、向き、損傷の程度を識別する識別部、3a〜3dは紙幣を種類別に集積する収納部、4は識別部2によってリジェクトされた紙幣を収納する回収部、5は入金口20、識別部2、一時保留部1、シャッタ付き出金口21、返却口22をループして紙幣を搬送する上部搬送路、6は上部搬送路5から収納部3a〜3d及び回収部4の上を経由して再び上部搬送路5へと紙幣を搬送する下部搬送路、7は入金口20から上部搬送路5へと紙幣を搬送する入金口搬送路、8は上部搬送路5からシャッタ付き出金口21へと紙幣を搬送する出金口搬送路、9は上部搬送路5から返却口22へと紙幣を搬送する返却口搬送路、10は上部搬送路5から一時保留部1へと紙幣を搬送する一時保留部収納搬送路、11は一時保留部1から上部搬送路5へと紙幣を搬送する一時保留部繰出搬送路、12a〜12dは下部搬送路6から収納部3a〜3dへと紙幣を搬送する収納部収納搬送路、13a〜13dは収納部3a〜3dから下部搬送路6へと紙幣を搬送する収納部繰出搬送路、14は下部搬送路6から回収部4へと紙幣を搬送する回収部搬送路、15は紙幣が通過するのを検知する通過センサ、16は紙幣を搬送する方向を切り替えるゲート、17は入金口20に紙幣があるか否かを検知する入金口紙幣検知センサ、18はシャッタ付き出金口21に紙幣があるか否かを検知する出金口紙幣検知センサ、19は返却口22に紙幣があるか否かを検知する返却口紙幣検知センサである。
【0014】
図2は識別部2の主要構成を示す概略図である。
この識別部2は、ここに導かれた紙幣30を搬送しながら識別する紙幣搬送機構31が備えられている。この紙幣搬送機構31には搬送路幅に架設されて上下に対向する上搬送ローラ23aと下搬送ローラ23bとを備えた搬送ローラ部23が設置されている。これらの上下搬送ローラ23a,23bは図示しない搬送モータからの回転力が伝達されて回転し、ここに紙幣30が横長の水平状態で導かれ、該紙幣30を上下より挟持して1枚ずつ搬送する。また、折れた紙幣や切れた紙幣などの損傷した流通紙幣に対してもスムーズに搬送できるように、重送を可能にした搬送許容性の高い構成を有している。
【0015】
また、識別部2では搬送ローラ部23に続いて、紙幣30の透過量やインクの透過量をチェックするカラーリニアセンサ24と、紙幣30に塗られている磁気インクの磁性を識別する磁気センサ25と、紙幣30の厚み、テープの有無、スレッドなどの凹凸を検知する厚みセンサ26と、前記紙幣搬送機構31での搬送駆動に基づく紙幣30の搬送距離に同期してクロック信号を出力するエンコーダ27と、前記厚みセンサ26の検知データから金種、枚数、真偽を判定する制御部28とが備えられている。
【0016】
したがって、識別部2ではここに導かれてきた紙幣30がどの金種であるかを識別し、さらに真券であるか偽券であるかを識別し、さらに一枚か二枚かもしくは三枚以上の紙幣30であるかを識別して、取引利用される紙幣30を管理している。なお、紙幣搬送機構31は往復どちらの方向から紙幣30が搬送されてきても識別できるように構成されている。
【0017】
次に、識別部2に備えられる厚みセンサ26の具体的な構成について図3を参照して説明する。
この厚みセンサ26は、紙幣搬送機構31の搬送駆動系から回転力が伝達される回転軸としての基準ローラ軸37と、この基準ローラ軸37の同一軸方向に狭幅間隔で例えば6個配置される基準ローラ36と、該6個の基準ローラ36に対向して検知ローラ軸38上に配置される6個の検知ローラ34a〜34fと、これらの6個の検知ローラ34a〜34fが基準ローラ36に押し付けられて従動回転する検知ローラ群34と、前記検知ローラ34a〜34f毎に例えば2個ずつ対向させて配置される合計12個の変位検知センサ33a〜33lと、各変位検知センサ33a〜33lのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、前記検知ローラ34a〜34fが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群33と、該変位検知センサ群33からの入力データを処理するセンサ処理部35とが配置されている。前記基準ローラ36は搬送幅方向に6個配置した例を示したが、1本の長いローラ軸で構成することもできる。
【0018】
図4は厚みセンサ26の一部を拡大して示す要部説明図である。ここでは厚みセンサ26の説明上、上下方向に2つの変位検知センサ33a,33bと検知ローラ34aと基準ローラ36とからなる左検知部と、その右側の上下方向に2つの変位検知センサ33c,33dと検知ローラ34bと基準ローラ36とからなる右検知部との2組を例にとって説明する。
【0019】
前記検知ローラ34a,34bは、金属などの円筒状の部材からなる外輪32aと、その中心軸となる検知ローラ軸38との間に、ゴムなどの柔らかい弾性部材39a,39b…を充填して構成している。一方、基準ローラ36は金属で構成され、外周面が変位しない基準面として設けられ、ここに前記検知ローラ34a,34bが対接される。
【0020】
これにより、左右両側の基準ローラ36,36と左右両側の検知ローラ34a,34bとの2組のローラ面間に紙幣30が噛み込まれると、弾性部材39a,39bが紙幣30の厚み分だけ変形して外輪32a,32bが上方向に変位する。
【0021】
この変位量を左側の2つの変位検知センサ33a,33bと右側の2つの変位検知センサ33c,33dとで検知して、紙幣30の厚みに応じた検知信号を出力する。検知信号は、センサ処理部35で信号を処理し、その変位分について、デジタル信号を制御部28に送る。制御部28では、送られてきた紙幣30の厚みデータから紙幣30が二枚以上重なって搬送されていないか、テープ等が貼られた変造券でないか、真券か偽券でないかを判定する。
【0022】
また、1つの検知ローラ34aに対して、両端に2つの変位検知センサ33a,33bを対向させて配置することにより、例えば紙面にテープTAが貼られている場合は(図4参照)、該テープTAの両端部が左右の検知ローラ34a,34bに渡って接触し、該テープTA上を両検知ローラ34a,34bが同時に片乗りして相反する方向に傾くので、検知ローラ34a,34bの変位を検知することができる。
【0023】
紙幣30の広い検知範囲を正確に検知するためには、紙幣30の未検知領域を極力なくすように複数の変位検知センサ33a〜33lの配置間隔を狭くして該センサ間の隙間を無くすように並べるのが好ましい。このため、搬送幅方向に渡って配列されている各変位検知センサ33a〜33lの配置間隔を狭くして密に配置している。
【0024】
したがって、これらの変位検知センサ33a〜33lは、隣接する変位検知センサ同士で互いに磁界が干渉してしまうくらい接近した殆んど隙間の無い間隔に配置している。このように変位検知センサ33a〜33lの間隔を密に配置しても互いに隣接する変位検知センサ33a〜33lの磁界が干渉せず、紙幣30の厚みを正確に検知することができるという厚み検知技術を次に説明する。
【0025】
この厚み検知技術は検知ローラ34a〜34fの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサ33a〜33lを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した2つの非隣接グループである2チャンネル(図5においてはチャンネルa,チャンネルb)に分け、その分けた非隣接グループへの発振電圧の出力を図5(A)に示すように、交互に切換える(ON/OFF)技術である。
【0026】
例えば、図5(B)に示すように、変位検知センサ33a〜33dにおいて、端から奇数番号グループ33a,33c…と、偶数番号グループ33b,33d…との2つのグループに区分し、これらのグループ別に発振電圧の出力を交互にON/OFFして切換える。つまり、奇数番号グループ33a,33c…が発振している間は、偶数番号グループ33b,33d…の発振が停止している。
【0027】
これらの2種類のグループを発振制御する際、各変位検知センサが出力(発振)する場合に、隣接する変位検知センサが同時に出力(干渉)しないようにするためである。つまり、グループ分けが干渉回避手段となる。
【0028】
このように、変位検知センサのコイルに所定の周波数を発振させて磁界を発生させるが、これらの変位検知センサ33a〜33dからの発振タイミングは同時に発振させず、1つ飛びの間隔で区切った2種類のグループを交互に発振させるため、該変位検知センサを密に配置しても隣接する変位検知センサからの磁界の影響を受けることはない。
【0029】
これにより、変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することが可能になり、変位検知センサ間を密に配置しても高解像度の検知精度を安定して得ることが可能になる。
【0030】
図6は基板一体型の変位検知センサの構成例を示し、基板61に変位検知センサとしての複数のコイル62を挟幅間隔にプリント配線し、このプリント配線した基板61を例えば4層重ね合わせた一体型基板63を構成する。この一体型基板63を用いることにより、コイル62間隔を狭くできる。この結果、小型で精度の良い検知コイルとなり、高検知精度を有してコンパクトに組込むことができる。
【0031】
なお、コイルによる磁界変化を変位検知センサとして説明したが、例えば永久磁石などをメカニカル的にON/OFFするようにしてもよい。また、MR素子(磁気抵抗素子)、MI素子(磁気インピーダンス素子)、ホール素子などの磁界検知センサを用いてもよい。
【0032】
ところで、前記説明では磁界の影響を回避した特有な検知技術を説明したが、さらに検知精度を高めることもできる。すなわち、前記変位検知センサ33a〜33lの配置構成の場合、複数配置される検知ローラ34a,34b…の隣接間隔は、直接紙幣30に接触しない部分となり、非検知位置の搬送隙間72(図7参照)が生じている。このため、該搬送隙間72に対しても補って検知できるように構成する一例を次に示す。
【0033】
図7は平面視千鳥状に配置した検知ローラ34a…と変位検知センサ33a…との配置関係を示している。例えば、前記6個の基準ローラ36…(図3参照)と、6個の検知ローラ34a〜34fと、一体型基板63にプリント配線されている12個の変位検知センサ33a〜33lとを備えて構成される検知ユニット71を紙幣搬送方向の前段側と後段側に2列に配設する。このうち、前段側の検知ローラ間の非検知位置としての搬送隙間72に後段側の検知ローラ34aを対応させて配置した平面視千鳥状に配置して構成している。
【0034】
これにより、複数の検知ローラ34a,34b間には搬送隙間72が必ず生じるが、この搬送隙間72に対しても後段側の検知ローラ34aで検知するように補って紙幣30の全面をもれなく検知することができるため、紙面の検知範囲が広くても紙幣の凹凸変位を正確に検知することができる。
【0035】
次に、厚みセンサ26の制御構成を、図8を参照して説明する。ここでは一方のチャンネルaと他方のチャンネルbに対応して切換えられる2個の変位検知センサ33a,33bを制御する場合について説明する。
発振回路40a,40bは交流磁界発生手段として設けられ、変位検知センサ33a,33bとコンデンサ41a,41bとでLC発振を行い、負性抵抗としてトランジスタ42a,42bを用いる。その後、検波回路43a,43bにて、発振回路40a,40bからの変位出力を一次検波し、変位成分を抽出する。
【0036】
該発振回路40a,40bは交流磁界を発生させた際、その交流磁界が変化することに基づき、検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する自励式発振回路である。このため、コイルやコンデンサのばらつきによる各チャンネルの磁界のバラツキに対してチャンネル毎に補正することができ、精度の良い厚みセンサを確保することができる。
【0037】
オフセット補正回路44a,44bは温度変動や機械的な変動のばらつきを補正する調整手段としての回路であり、通常は取引前の紙幣30がないセンサレベルを一の定レベルにするような減算補正回路である。マルチプレクサ回路46では前記センサレベルを順次ADコンバータ47により切換制御信号48のタイミングでAD変換を行い、変位出力のデジタル信号をセンサ処理部35にて制御部28に出力する。その出力を制御部28内の判定部49に入力し、紙幣30の枚数やテープなどの付着物の有無を判定する。
【0038】
また、変位出力を判定する際、不揮発メモリ45が記憶している厚み線形近似式から求まる傾きにより紙幣の変位量に換算し、各部紙幣30の変位量を算出する。この不揮発メモリ45では記憶手段として事前に複数の変位レベルから算出された各チャンネルa,bの変位線形近似式の傾きを記憶している。さらに、予め紙幣の無い状態を含めて紙幣厚みのローラ変位量に関する二つ以上のローラ変位量に応じた出力レベルを記憶している。これにより、制御部28での判定処理を容易にしている。
【0039】
その後、その変位出力を制御部28内の判定部49に入力し、紙幣30の枚数やテープなどの付着物の有無を判定する。この制御部28では紙幣通過時における変位検知センサ33a…の入力レベルと前記オフセット補正回路44a,44bにより調整された紙幣未通過時の入力レベルとの差分を求める差分手段として働き、これより導かれた出力レベルを、前記不揮発メモリ45が記憶している出力レベルと比較して紙幣の厚みを判定するものである。この比較判定に際しては、各厚みのポイント間で線形近似を行うことにより厚み変位量を正確に求めることができる。
【0040】
これにより、センサの温度や装置のバラツキに影響しない厚み変位量を求めることができるとともに、不揮発メモリ45で記憶された厚み変位量間では線形性を確保できることから、高ダイナミックレンジの厚みセンサを作ることができる。このため、精度の良い厚みセンサを確保することができる。
【0041】
切換制御信号48はエンコーダ27(図2参照)と同期してサンプリングタイミング信号を出力するとともに、切換えタイミング信号を発振制御回路50a,50bに出力する。つまり、切換制御信号48では紙幣搬送機構31による紙幣30の搬送速度に同期して、その搬送方向に厚み検知する単位検知時間内でローラ変位量を取得するように非隣接グループ別のチャンネルa,b(図5参照)を切換える。
【0042】
これにより、搬送速度が変化しても搬送方向に対して、解像度が変化しない凹凸変位画像を得ることができる。なお、データ取り込みのタイミングに際しては、エンコーダ27などで紙幣30が進んだ距離に対するパルスを出力する機構を構成するとよい。紙幣30の通過速度が予め既知の場合については、想定した紙幣の通過速度に同期した信号を出力する機構でもよい。
【0043】
発振制御回路50a,50bは、切換制御信号48がONしている期間、発振回路40a,40bの負性抵抗であるトランジスタ42a,42bに出力し、そのトランジスタ42a,42bを導通させることで高周波発振を行う。発振回路40a,40bは、発振制御回路50a,50bがONの期間だけ高周波発振を行う。したがって、両側に隣接する変位検知センサ33a,33bの各発振制御回路50a,50bは同時に一方をONにし、他方をOFFにして排他的に動作している。
【0044】
前記センサ処理部35から上位制御部としての制御部28にデータを転送する際、他の非隣接グループに切換えた非検知状態の間は、切換前の検知レベルが続いているものとしてセンサ処理部35が処理手段となり、ここでデータ処理した出力データを制御部28に転送する。これにより、制御部28は普通に処理できる。ことに、切換前の検知レベルが続いている継続データとして扱うため制御部28に転送された出力データは高解像度の凹凸変位画像が得られる。
【0045】
上述例では、12個のチャンネル33a〜33lのうち、奇数番号グループ33a,33c…と、偶数番号グループ33b,33d…との2つのグループ(チャンネルa,b)に区分したが、隣接する変位検知センサが同時に出力しない、つまり干渉しないチャンネル構成であれば、どのようなグループ分けを行ってもよい。例えば、変位検知センサの間隔を2個間隔、あるいは3個間隔に離して区分した変位検知センサを1グループとして扱ってもよい。
【0046】
次に、判定部49における搬送された紙幣30が何枚かを判定する方法について、図9を用いて説明する。図9(A)に表わされる波形51において、縦軸は各チャンネルCH0,CH1…CH10,CH11(a,b)の変位出力を示し、横軸は紙幣30の移動距離を示している。
【0047】
図9(B)は図9(A)で述べた各チャンネルの変位出力の和を表わした波形52を示している。
まず、判定部49は検知ローラ34a…上に紙幣30が接触している領域を抽出する。このとき、紙幣30の平均値が紙幣30の2.5枚分相当である閾値53以上であれば3枚以上と判定し、それ未満に対して、紙幣30の1.5枚分相当である閾値54以上であれば2枚と判定し、閾値54未満であれば、1枚と判定する。
【0048】
次に、判定部49における紙幣30に貼ったテープの判定方法を図10、図11を用いて説明する。
図10はテープを貼った変造券が通過した場合(図4参照)について、各チャンネルa,bのうち変位検知センサ33a,33bの波形55を示す。縦軸は変位出力を示す。横軸は紙幣30の移動距離を示す。
【0049】
これらの波形55の閾値は、紙幣30の厚さが場所により異なることや紙幣自体の環境変化により紙幣全体の厚みが変化するため、そのままでは閾値を設定するのは困難である。そこで、まず紙幣全体がローラ上に載っている領域を抽出する。そのとき、図11に表わしたものが紙幣全体の厚み中心値(搬送方向と搬送幅方向との厚みの中心)を基準とした変位出力の波形56である。そして、対象領域の紙幣厚さから紙幣各部の凸部閾値57で二値化した画像58を紙幣の平面図として示している。そして、その面積が閾値59以上の大きさであれば、テープなどの一定大きさの付着物があると判定する。したがって、紙幣30が二枚、三枚と重なっている重送、テープ、紙等で変造された変造券を高精度に検知できる。
【0050】
上述のように、隣接する変位検知センサ間を密に配置しても、該変位検知センサ間の磁界の干渉を回避することができるため高解像度の検知精度を安定して得ることができる。このため、媒体の搬送状態によらず、媒体の微細な凹凸変化状態を正確に見極めて検知することが可能になり、紙幣のセキュリティ機能を満たす高精度の判定ができる。
【0051】
この発明は、上述の一実施例に記載された構成に限定されるものではなく、請求項に記載された技術思想に基づいて応用することができる。例えば、上述の一実施例では媒体の一例として紙幣30を用いたが、伝票、小切手、有価カード、金券等の他の媒体であっても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
紙幣等を取扱う現金自動預払装置、精算機、券売機等の自動取引機に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
2…識別部
26…厚みセンサ
27…エンコーダ
28…制御部
30…紙幣
33…変位検知センサ群
33a〜33l…変位検知センサ
34…検知ローラ群
34a〜34f…検知ローラ
35…センサ処理部
36…基準ローラ
61…基板
62…コイル
63…一体型基板
71…検知ユニット
72…搬送隙間
a,b…チャンネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準ローラと、
弾性部材を内蔵して径方向に弾性変位許容するとともに、前記基準ローラに対向して同一軸方向に複数の検知ローラを配置した検知ローラ群と、
前記対向する基準ローラと検知ローラ群との少なくとも一側を回転駆動して両ローラ間で媒体を挟持搬送する搬送手段と、
前記検知ローラ毎に変位検知センサを対設し、該対設された各変位検知センサのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、前記検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群とを備えて構成される媒体厚み検知装置であって、
前記検知ローラの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した非隣接グループに分け、前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループを切換える切換手段を備えて構成した
媒体厚み検知装置。
【請求項2】
前記基準ローラと前記検知ローラ群と前記変位検知センサ群とを備えて構成される媒体厚み検知ユニットを媒体搬送方向に複数配設し、
前記媒体搬送方向の前段側と後段側に配設される媒体厚み検知ユニットの少なくとも検知ローラが前段側と後段側において、一方の検知ローラ間の非検知位置に他方の検知ローラを対応させて配置した千鳥状に配置される構成とした
請求項1記載の媒体厚み検知装置。
【請求項3】
前記切換手段は、
前記搬送手段による媒体の搬送速度に同期して、媒体の搬送方向に厚み検知する単位検知時間内で前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループを切換える構成とした
請求項1または2記載の媒体厚み検知装置。
【請求項4】
媒体未通過時における変位検知センサの入力レベルを所定レベルに調整する調整手段と、
予め媒体厚みのローラ変位量に関する少なくとも二つ以上のローラ変位量に応じた出力レベルを記憶する記憶手段と、
媒体通過時における変位検知センサの入力レベルと前記調整手段により調整された媒体未通過時の所定レベルとの差分を求める差分手段と、
前記差分手段が求めた出力レベルを、前記記憶手段が記憶している出力レベルと比較して媒体の厚みを判定する判定手段とを備えた
請求項1、2または3記載の媒体厚み検知装置。
【請求項5】
前記変位検知センサが検知したデータを一時記憶する記憶手段と、
他の非隣接グループに切換えた非検知状態の間は、切換前の検知レベルが続いているものとしてデータ処理する処理手段と、
上位制御部へローラ変位量のデータを転送する転送手段と、
前記処理手段により処理した出力データを前記転送手段により転送する制御手段とを備えた
請求項1乃至4の何れか1項に記載の媒体厚み検知装置。
【請求項6】
前記複数の変位検知センサを、
基板にプリント配線したコイルにより構成した
請求項1乃至5の何れか1項に記載の媒体厚み検知装置。
【請求項7】
前記変位検知センサを、
交流磁界を発生させる交流磁界発生手段と、
前記交流磁界発生手段で発生した交流磁界が変化することに基づき、検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する自励式発振回路とで構成した
請求項1乃至6の何れか1項に記載の媒体厚み検知装置。
【請求項1】
基準ローラと、
弾性部材を内蔵して径方向に弾性変位許容するとともに、前記基準ローラに対向して同一軸方向に複数の検知ローラを配置した検知ローラ群と、
前記対向する基準ローラと検知ローラ群との少なくとも一側を回転駆動して両ローラ間で媒体を挟持搬送する搬送手段と、
前記検知ローラ毎に変位検知センサを対設し、該対設された各変位検知センサのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、前記検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群とを備えて構成される媒体厚み検知装置であって、
前記検知ローラの軸方向に沿って配列された複数の変位検知センサを、該配列方向に隣接しない非隣接同士別に区分した非隣接グループに分け、前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループを切換える切換手段を備えて構成した
媒体厚み検知装置。
【請求項2】
前記基準ローラと前記検知ローラ群と前記変位検知センサ群とを備えて構成される媒体厚み検知ユニットを媒体搬送方向に複数配設し、
前記媒体搬送方向の前段側と後段側に配設される媒体厚み検知ユニットの少なくとも検知ローラが前段側と後段側において、一方の検知ローラ間の非検知位置に他方の検知ローラを対応させて配置した千鳥状に配置される構成とした
請求項1記載の媒体厚み検知装置。
【請求項3】
前記切換手段は、
前記搬送手段による媒体の搬送速度に同期して、媒体の搬送方向に厚み検知する単位検知時間内で前記ローラ変位量を取得する前記非隣接グループを切換える構成とした
請求項1または2記載の媒体厚み検知装置。
【請求項4】
媒体未通過時における変位検知センサの入力レベルを所定レベルに調整する調整手段と、
予め媒体厚みのローラ変位量に関する少なくとも二つ以上のローラ変位量に応じた出力レベルを記憶する記憶手段と、
媒体通過時における変位検知センサの入力レベルと前記調整手段により調整された媒体未通過時の所定レベルとの差分を求める差分手段と、
前記差分手段が求めた出力レベルを、前記記憶手段が記憶している出力レベルと比較して媒体の厚みを判定する判定手段とを備えた
請求項1、2または3記載の媒体厚み検知装置。
【請求項5】
前記変位検知センサが検知したデータを一時記憶する記憶手段と、
他の非隣接グループに切換えた非検知状態の間は、切換前の検知レベルが続いているものとしてデータ処理する処理手段と、
上位制御部へローラ変位量のデータを転送する転送手段と、
前記処理手段により処理した出力データを前記転送手段により転送する制御手段とを備えた
請求項1乃至4の何れか1項に記載の媒体厚み検知装置。
【請求項6】
前記複数の変位検知センサを、
基板にプリント配線したコイルにより構成した
請求項1乃至5の何れか1項に記載の媒体厚み検知装置。
【請求項7】
前記変位検知センサを、
交流磁界を発生させる交流磁界発生手段と、
前記交流磁界発生手段で発生した交流磁界が変化することに基づき、検知ローラが弾性変位したローラ変位量を検知する自励式発振回路とで構成した
請求項1乃至6の何れか1項に記載の媒体厚み検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−257292(P2010−257292A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107633(P2009−107633)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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