説明

媒体変形検出装置及び画像形成装置

【課題】画像が形成される媒体の変形を検出する。
【解決手段】加熱された記録紙Sの複数箇所の温度T1〜T8を温度センサー50により測定することで、この温度T1〜T8に基づいて記録紙Sの変形を検出することができる。また、温度センサー50は記録紙Sのうち画像が形成された部分の温度を測定するため、インクによる記録紙Sの膨張など画像の形成により生じた変形をより適切に検出することができる。さらに、温度センサー50は搬送方向と交差する主走査方向に複数箇所の温度を測定するため、波打ちなどが生じやすい主走査方向の変形をより適切に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体変形検出装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙などの媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。この画像形成装置が媒体に画像を形成するにあたり、例えば画像を形成するインクにより媒体が膨張して波打ち(コックリング)などの変形が生じる場合があった。変形が生じると、形成された画像の品質が低下してしまう場合がある。そこで、このような変形を予測するものが提案されている。例えば特許文献1では、印字ピクセル数が所定の値を超えるときには波打ちが発生すると予測する画像形成装置が記載されている。また、特許文献1には、媒体を加熱して乾燥させることで波打ちを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−223996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、媒体に変形が生じることを予測してはいるが、実際に変形が生じたか否かの検出については考慮されていなかった。また、媒体を加熱した場合でも、波打ち抑制が十分でなく媒体に変形が生じる場合があった。そこで、媒体に実際に変形が生じたことを検出したいという要望があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、画像が形成される媒体の変形を検出することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の媒体変形検出装置は、
画像が形成される媒体の変形を検出する媒体変形検出装置であって、
加熱された前記媒体の複数箇所の温度を測定する温度測定手段と、
前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体に生じた変形を検出する変形検出手段と、
を備えたものである。
【0007】
この本発明の媒体変形検出装置では、加熱された媒体の複数箇所の温度を測定し、この複数箇所の温度に基づいて媒体に生じた変形を検出する。ここで、媒体に変形が生じると、変形がない場合と比較して加熱のされ方が変わるため、変形部分の温度が変化する。そのため、加熱された媒体の複数箇所の温度を測定することで、この温度に基づいて画像が形成される媒体の変形を検出することができる。
【0008】
本発明の媒体変形検出装置において、前記温度測定手段は、前記媒体のうち前記画像が形成された部分の温度を検出する手段であり、前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体のうち前記画像が形成された部分に生じた変形を検出する手段としてもよい。媒体の変形は、画像の形成により生じることが多いため、このように画像が形成された後の媒体の温度を検出することで、媒体の変形をより適切に検出することができる。ここで、温度測定手段は、媒体に画像が全て形成されたあとに温度を検出するものとしてもよいし、媒体に画像の一部が形成された状態で画像が形成された部分の温度を検出するものとしてもよい。
【0009】
本発明の媒体変形検出装置において、前記媒体は、搬送方向への移動と該搬送方向に交差する方向の画像形成とを伴って前記画像が形成されるものであり、前記温度測定手段は、前記媒体のうち、前記画像が形成された部分の温度を前記搬送方向に交差する方向に複数箇所測定する手段であり、前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体のうち前記搬送方向に交差する方向に生じた変形を検出する手段としてもよい。搬送方向への移動と搬送方向と交差する方向の画像形成とを伴って媒体に画像が形成される場合には、搬送方向と交差する方向に波打ちなどの変形が生じやすい。そのため、このように搬送方向と交差する方向の変形を検出することで、媒体の変形をより適切に検出することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置は、
上述したいずれかの態様の本発明の媒体変形検出装置と、
液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成するヘッドと、
前記媒体を加熱して該媒体に吐出された前記液体を乾燥させる加熱手段と、
を備え、
前記温度測定手段は、前記加熱手段により加熱された前記媒体の複数箇所の温度を測定する手段である、
ものである。
【0011】
この本発明の画像形成装置は、上述したいずれかの態様の本発明の媒体変形検出装置を備えているため、上述した本発明の媒体変形検出装置と同様の効果、例えば媒体の変形を検出できる効果が得られる。また、ヘッドにより液体を吐出して媒体に画像を形成する画像形成装置においては、液体により媒体の波打ちなどの変形が生じる場合があるため、本発明を適用する意義が高い。さらに、画像形成装置が液体を乾燥させる加熱手段を備えているため、この加熱手段による媒体の加熱を利用して温度の測定と変形の検出とを行うことができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記媒体の搬送方向と交差する主走査方向に前記ヘッド及び前記温度測定手段を共に移動させるキャリッジ、を備え、前記媒体は、パス毎に前記ヘッドに対して相対的に前記搬送方向へ移動し、前記ヘッドが前記キャリッジにより前記主走査方向に移動しながら前記液体を吐出することによって1パス分の画像が形成され、該1パス分の画像形成を複数回行って前記画像が形成されるものであり、前記温度測定手段は、前記1パス分の前記主走査方向への移動の間に複数回の温度測定を行うことで、前記媒体の複数箇所の温度を測定する手段としてもよい。こうすれば、温度測定手段が同時に複数箇所の温度を測定できない場合でも、温度測定手段が主走査方向に移動するため複数回に分けて複数箇所の温度を測定できる。また、キャリッジがヘッドと温度測定手段とを共に移動させるため、ヘッドと温度測定手段とを別々に移動させる構成に比して、簡易な構成で複数箇所の温度を測定できる。この場合において、前記温度測定手段は、前記ヘッドと比べて前記搬送方向側に位置する手段としてもよい。こうすれば、ヘッドにより画像が形成された後の媒体の温度を測定できるため、媒体における画像の形成により生じた変形をより適切に検出することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記加熱手段の出力を制御する加熱制御手段、を備えたものとしてもよい。こうすれば、加熱手段の出力をより適切にすることができる。また、加熱手段の制御に用いる温度と変形の検出に用いる温度とを同じ温度測定手段で測定するため、別々の温度測定手段を備える構成に比して簡易な構成とすることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度のうち最大値と最小値との温度差が所定の温度差閾値より大きいときには、前記媒体に変形が生じたと判定する手段としてもよい。媒体に変形が生じると、変形部分の温度が変化する一方、変形が生じていない部分の温度は変化しない。そのため、変形部分とそれ以外の部分との温度差が大きくなりやすい。そのため、媒体中の温度の最大値と最小値との温度差と所定の温度差閾値とを比較することで、媒体に変形が生じたことを判定することができる。
【0015】
本発明の画像形成装置において、前記温度測定手段は、前記媒体のうち前記画像が形成された部分の温度を検出する手段であり、前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体のうち前記画像が形成された部分に生じた波打ち回数を導出し、該波打ち回数が所定の波打ち回数閾値より大きいときには、前記媒体に変形が生じたと判定する手段としてもよい。こうすることで、媒体の波打ちによる変形をより適切に検出することができる。なお、媒体に液体を吐出して画像を形成する場合、液体により媒体が膨張して波打ちが発生する場合がある。波打ちが発生すると、形成された画像の品質が低下しやすいため、これを検出する意義が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態であるプリンター20の構成の概略を示す構成図。
【図2】説明の便宜上図1におけるカバー60及びヒーター62を除いた説明図。
【図3】印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】ヒーター制御ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】記録紙S上の複数箇所の温度Tnを測定する様子を示す説明図。
【図6】温度差ΔTと閾値ΔTref1とを比較する様子を示す説明図。
【図7】波打ち回数Nを導出する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンター20の構成の概略を示す構成図、図2は、説明の便宜上、図1におけるカバー60及びヒーター62を除いた様子を示す説明図である。
【0018】
本実施形態のプリンター20は、インクジェット式のシリアルプリンターとして構成されており、図示するように、紙送りモーター33による紙送りローラー35の駆動により媒体としての記録紙Sを搬送方向(図中奥から手前)に搬送する紙送り機構31と、紙送り機構31によりプラテン40上に搬送された記録紙Sに吐出ヘッド24から流体としてのインクを吐出して印刷を行なうプリンター機構21と、プラテン40の図中右端に形成され吐出ヘッド24を封止するキャッピング装置41と、記録紙Sを加熱するヒーター62が裏面に取り付けられプリンター機構21を覆うカバー60と、プリンター20全体をコントロールするコントローラー70(図2参照)とを備える。
【0019】
プリンター機構21は、メカフレーム80の右側に配置されたキャリッジモーター34aと、メカフレーム80の左側に配置された従動ローラー34bと、キャリッジモーター34aと従動ローラー34bとに架設されたキャリッジベルト32と、キャリッジモーター34aの駆動に伴ってキャリッジベルト32によりガイド28に沿って左右に往復動するキャリッジ22と、このキャリッジ22に搭載され溶媒としての水に着色剤としての染料または顔料を含有したイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ26と、インクカートリッジ26からインクの供給を受けてインク滴を吐出する吐出ヘッド24と、を備えている。吐出ヘッド24は、キャリッジ22の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により吐出ヘッド24の下面に設けられたノズル23から各色のインクを吐出するものである。なお、この吐出ヘッド24は、発熱抵抗体に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。キャリッジ22の下部には、吐出ヘッド24と比べて搬送方向側に温度センサー50が配置されている。この温度センサー50は、鉛直方向(真下)から入射された赤外線による温度変化を電気信号として取り出すことで対象の温度を測定する非接触の焦電型赤外線センサーとして構成されており、記録紙Sの温度を測定することが可能となっている。キャリッジ22の背面には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダー36が配置されており、このリニア式エンコーダー36を用いてキャリッジ22のポジションが管理可能となっている。
【0020】
カバー60は、図1に示すように、キャリッジ22が往復可能な範囲を含む領域の上面及び左右両端側を囲うように位置している。このカバー60の裏面に取り付けられたヒーター62は、キャリッジ22及び記録紙Sの上側に位置しており、記録紙Sを加熱して記録紙Sに吐出されたインクを乾燥させることが可能となっている。このヒーター62は、記録紙Sと比べて主走査方向が長くなっており、記録紙S全体を主走査方向にわたって略均一に加熱できるようになっている。
【0021】
コントローラー70は、図2に示すように、CPU72を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、各種処理プログラムや処理ルーチンを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー75と、例えばパソコンなどの外部機器との情報のやり取りを行うインターフェース(I/F)76と、温度センサー50によって測定された複数箇所の温度に基づいて記録紙Sに生じた変形を検出する処理を行う変形検出部77と、ヒーター62の出力を制御するヒーター制御部78と、図示しない入出力ポートとを備えている。RAM74には、印刷バッファー領域が設けられており、この印刷バッファー領域に例えばインターフェース(I/F)76を介して外部機器から送られてきた画像データが記憶される。変形検出部77は、温度センサー50によって測定された複数箇所の温度に基づいて、記録紙Sのうちインクにより画像が形成された部分に生じた変形を検出する機能を有する。なお、記録紙Sの変形とは、例えばインクにより記録紙Sが膨張して生じる波打ち(コックリング)や、波打ちに限らず記録紙Sの一部がプラテン40から浮いてしまう紙浮きなどである。また、変形検出部77は、温度センサー50によって測定された複数箇所の温度に基づいて記録紙Sのうち搬送方向に交差する方向に生じた変形を検出する機能を有する。ヒーター制御部78は、温度センサー50によって測定された複数箇所の温度に基づいて、記録紙Sが目標温度(例えば50℃など)に近づくようヒーター62への駆動信号(電流)を調整するフィードバック制御を行う。このコントローラー70には、リニア式エンコーダー36からのポジション信号や温度センサー50からの電気信号などが入力ポートを介して入力されている。また、コントローラー70からは、吐出ヘッド24への駆動信号や、紙送りモーター33,キャリッジモーター34a,ヒーター62への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、記録紙Sに生じた変形の検出やヒーター62の制御を伴って印刷する際の動作について説明する。印刷は、例えばプリンター20に接続されたパソコンを介してユーザーから記録紙Sへの画像の印刷をするよう指示されたときに開始される。印刷が指示されると、コントローラー70は印刷対象の画像データをI/F76を介してパソコンから画像データを入力し、これをRAM74の印刷バッファー領域に記憶すると共に、画像データに基づく画像を記録紙Sに形成する印刷処理ルーチンを実行する。また、ヒーター制御部78は、ヒーター62に駆動信号を出力して記録紙Sの加熱を開始し、温度センサー50が測定した温度に基づいて記録紙Sが目標温度に近づくようフィードバック制御を行うヒーター制御ルーチンを繰り返し実行する。図3は、印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4は、ヒーター制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。最初に、印刷処理ルーチンについて説明する。
【0023】
印刷処理ルーチンが実行されると、コントローラー70のCPU72は、まず、紙送りローラー35の駆動を伴って記録紙Sがプラテン40上に給紙されるよう紙送りモーター33を制御する(ステップS100)。続いて、キャリッジ22が主走査方向に移動するようキャリッジモーター34aを制御すると共に画像データに応じた色のインクを吐出して記録紙Sに1パス分の画像を形成するよう吐出ヘッド24を制御することにより1パス分の印刷を開始し(ステップS110)、1パス分の印刷が完了するまで待つ(ステップS120)。そして、次パスで印刷すべき画像データがあるか否かを判定し(ステップS130)、画像データがあるときには、記録紙Sを次パスの印刷のために所定量だけ搬送し(ステップS135)、温度センサー50が測定した温度を記憶するためのRAM74に設けられたバッファーをクリアする(ステップS140)。続いて、ステップS110と同様にキャリッジモーター34a及び吐出ヘッド24を制御することにより次の1パス分の印刷を開始する(ステップS150)。そして、1パス分の印刷が完了するまでキャリッジ22が主走査方向に移動する際に、温度センサー50により測定された記録紙S上の複数箇所の温度TnをRAM74のバッファーに順次格納する処理を繰り返す(ステップS160,S170)。
【0024】
本実施形態では、1パス分の印刷が完了するまでの間にステップS160を8回繰り返し、温度Tnとして記録紙S上の8箇所の温度T1〜T8を測定するものとした。図5は、記録紙S上の複数箇所の温度Tnを測定する様子を示す説明図である。図5(a)は、記録紙Sを上面からみたときの温度センサー50と温度Tnの測定箇所との位置関係を示す説明図であり、図5(b)は、記録紙Sを断面視したときの温度センサー50と温度Tnの測定箇所との位置関係を示す説明図である。上述したように、温度センサー50は、吐出ヘッド24と比べて搬送方向側に位置している。そのため、図5(a)に示すように、例えば吐出ヘッド24により2パス目の画像を記録紙Sに形成するようキャリッジ22が主走査方向に移動する際には、温度センサー50は記録紙Sのうち既に画像が形成された部分である1パス目の領域の上を通過する。なお、吐出ヘッド24と温度センサー50との搬送方向の距離Dは、吐出ヘッド24が形成しようとするパスの1つ前のパスの領域上を温度センサー50が通過するよう、予め定めておくものとした。そして、温度センサー50は、吐出ヘッド24が1パス分の印刷を完了するまでの間に、図5(a),(b)に示すように記録紙S上の8箇所の温度T1〜T8を測定する。この温度T1〜T8の測定位置は、記録紙Sにおける吐出ヘッド24の印刷可能領域の主走査方向の幅Pを9等分して、印刷可能領域の両端を除いた8箇所の位置として定められている。そのため、温度T1〜T8の各測定位置は、主走査方向に幅P/9ずつの間隔となっている。上述したようにキャリッジ22の位置はリニア式エンコーダー36によりポジションが管理されており、温度センサー50は鉛直方向に位置する部分の温度を測定可能である。そこで、CPU72は、記録紙Sにおける印刷可能領域の端から幅P/9ずつキャリッジ22が移動する毎にステップS160を実行して温度センサー50からの電気信号(測定された温度Tnに相当)を入力することにより、そのとき記録紙Sのうち温度センサー50の鉛直方向に位置する部分の温度Tnを得てバッファーに記憶する。例えば図5(b)に示すように印刷可能領域の端から幅P/9だけ右にずれた位置(温度T1の測定位置の真上)に温度センサー50が位置するときに温度センサー50からの電気信号を入力して、その値を温度T1として記憶する。そして、ステップS160を1パスの印刷の間に8回行うことで、温度センサー50によって測定された温度T1〜T8をバッファーに記憶する。
【0025】
こうして測定された温度T1〜T8は、記録紙Sの形状に関連した値となる。例えば、上述したようにヒーター62は記録紙Sを均一に加熱できるようになっているため、記録紙Sに変形が生じていなければ温度T1〜T8はほぼ同じ値となる。一方、図5(b)に示すように記録紙Sの右側が浮き上がる紙浮きが生じているときには、浮き上がった部分は他の部分と比べてヒーター62に近くなる分だけより加熱されて温度が上昇する。これにより、記録紙Sのうちヒーター62に近くなっている部分ほど、測定される温度Tnは高い値となる。例えば図5(b)では、記録紙Sが右に行くほど浮き上がっているため、温度T1〜T4に比べて温度T5,T6,T7,T8の順に値が高くなる。このように、測定箇所とヒーター62との距離が近いほど、言い換えると測定箇所の上方向への変位が大きいほど、測定される温度Tnは高い値となる。
【0026】
そして、ステップS170で1パス分の印刷が完了すると、CPU72は、次パスで印刷すべき画像データがあるか否かを判定する(ステップS180)。そして、次パスの画像データがあるときには、CPU72は、記録紙Sのうちインクにより画像が形成された部分に生じた変形を検出する処理であるステップS190〜S230の処理を行う。この処理は、変形検出部77を利用して実行される。まず、CPU72は、ステップS160で記憶した温度Tnから、最大温度Tmax及び最小温度Tminを特定する(ステップS190)。そして、最大温度Tmaxと最小温度Tminとの差として温度差ΔTを導出し(ステップS200)、温度差ΔTが閾値ΔTref1より大きいか否かを判定する(ステップS210)。図6は、温度差ΔTと閾値ΔTref1とを比較する様子を示す説明図である。なお、図6の温度T1〜T8は、図5(b)に示した温度T1〜T8と同じ値である。また、図6では、図5(b)に示した記録紙Sの形状を実線で示している。図5(b)で説明したように紙浮きにより記録紙Sが右に行くほど浮き上がっている場合には、図6に示すように温度T1〜T8のうち最もヒーター62に近い位置の温度である温度T8が最大温度Tmaxとして特定され、紙浮きが生じていない位置の温度(例えば温度T4)が最小温度Tminとして特定される。そして、この温度T8と温度T4との差が温度差ΔTとなる。こうして得られた温度差ΔTは、記録紙Sにおける温度Tnの測定箇所のうちヒーター62に最も近い位置と最も遠い位置との差L(図5(b)参照)に対応する値となる。すなわち、温度差ΔTを求めることで、記録紙Sの変形の大きさを表す値を得ることができる。そのため、この温度差ΔTと閾値ΔTref1とを比較することで、記録紙Sに変形が生じているか否かを判定することができる。なお、閾値ΔTref1は、インクにより記録紙Sに画像を形成したときに、記録紙Sに生じた変形によりインクの着弾位置が変化して画像の品質が低下が目立ち始めるような差Lを実験などにより求め、この差Lに相当する温度差ΔTの値として、予め求めておくものとした。
【0027】
次に、ステップS210で温度差ΔTが閾値ΔTref1以下であるときには、CPU72は、下記の式(1)を満たす温度Tnがあるか否かを調べ、これに基づいて記録紙Sの波打ち回数Nを導出する(ステップS220)。図7は、波打ち回数Nを導出する様子を示す説明図である。図7では、図5(b)に示したような記録紙Sの1箇所の紙浮きではなく、図中に実線で示すように記録紙Sに3回の波打ちが生じた場合の温度T1〜T8の一例を示している。図7において、式(1)を満たす温度Tn、すなわちTmin(ここではT8)+ΔTref2(=ΔTref1×1/2)よりも値が大きい温度Tnは、温度T1,T3,T4,T6,T7である。そして、本実施形態では、式(1)を満たす温度Tnのうち、測定位置が隣接している温度Tnについては1つの波打ちであるとみなして、波打ち回数Nを導出する。図7の例では温度T1で1つの波打ちとし、温度T3及び温度T4は測定箇所が隣接しているため1つの波打ちとし、温度T6及び温度T7も同様に1つの波打ちとみなす。これにより、波打ち回数Nを値3として導出する。このように、測定された温度T1〜T8に基づいて波打ち回数Nを導出することができる。
【0028】
Tn−Tmin>ΔTref2(=ΔTref1×1/2) (1)
【0029】
続いて、波打ち回数Nが閾値Nref以上であるか否かを判定する(ステップS230)。本実施形態では、閾値Nerfは値2とした。例えば図7に示した例では、波打ち回数Nは値3であるため、ステップS230では肯定的な判定をする。
【0030】
そして、ステップS230で波打ち回数Nが閾値Nref以上でないときには、ステップS135に戻り処理を繰り返す。これにより、画像データに基づいて順次1パスずつ印刷が行われる。また、ステップS130又はステップS180で次パスの画像データがないときには、紙送りローラー35の駆動を伴って記録紙Sがプラテン40から排紙されるよう紙送りモーター33を制御して(ステップS250)、本ルーチンを終了する。
【0031】
一方、ステップS210で温度差ΔTが閾値ΔTref1より大きいとき又はステップS230で波打ち回数Nが閾値Nref以上であるときには、印刷を途中で停止すると共に記録紙Sに変形が生じている旨を知らせるエラー画面を図示しないプリンター20の表示部に表示して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。このように、印刷処理ルーチンでは、印刷に伴って温度Tnを測定し、温度Tnに基づいて記録紙Sの変形を検出して、記録紙Sに変形が生じているときには印刷を中止するのである。記録紙Sに変形が生じていると記録紙Sに形成される画像の品質が低下してユーザーの希望する画像が形成されない場合があるため、印刷を中止することで無駄なインク消費を抑制することができる。
【0032】
ここで、式(1)の閾値ΔTref2を閾値ΔTref1の1/2などの閾値Tref1より小さい値としている理由について説明する。図5(b)のように記録紙Sが端にいくほど徐々に浮いていくような場合と比較して、複数回の波打ちが生じた場合には、1つ1つの波打ちの高さが比較的低い場合でも、形成された画像に縦縞(搬送方向に沿った縞)が生じるなど品質が低下しやすい。これは、波打ちの方が記録紙Sの変形の傾きが急峻になりやすいことが理由である。このため、閾値ΔTref2をΔTref1よりも小さい値とすることで、温度差ΔTが閾値Tref1を超えるような大きな変形が記録紙Sに生じていない場合でも、図6のように2回以上の波打ちが生じている場合には、印刷を中止するようにしているのである。
【0033】
次に、図4のヒーター制御ルーチンについて説明する。このルーチンが実行されると、ヒーター制御部78は、まず、図3の印刷処理ルーチンのステップS160で記憶された温度Tnの平均値Taveを導出する(ステップS300)。そして、この平均値Taveと目標温度とに基づいて、ヒーター62の出力をフィードバック制御して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。例えば、平均値Taveが目標温度より低い場合にはヒータ62の出力を大きくするように駆動信号を出力し、平均値Taveが目標温度より高い場合にはヒータ62の出力を小さくするように駆動信号を出力して、平均値Taveが目標温度から所定範囲内の値に収まるようにする。このように、ヒーター制御ルーチンでは、記録紙Sに吐出されたインクが乾燥するのに十分な温度を保つようヒーター62を制御するにあたり、記録紙Sの変形の検出に用いる温度Tnをヒーター62の制御にも用いるのである。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の記録紙Sが本発明の媒体に相当し、温度センサー50が温度測定手段に相当し、変形検出部77が変形検出手段に相当し、吐出ヘッド24がヘッドに相当し、ヒーター62が加熱手段に相当し、キャリッジ22がキャリッジに相当し、ヒーター制御部78が加熱制御手段に相当する。
【0035】
以上説明した本実施形態のプリンター20によれば、加熱された記録紙Sの複数箇所の温度T1〜T8を温度センサー50により測定することで、この温度T1〜T8に基づいて記録紙Sの変形を検出することができる。また、温度センサー50は記録紙Sのうち画像が形成された部分の温度を測定するため、インクによる記録紙Sの膨張など画像の形成により生じた変形をより適切に検出することができる。さらに、温度センサー50は搬送方向と交差する主走査方向に複数箇所の温度を測定するため、波打ちなどが生じやすい主走査方向の変形をより適切に検出することができる。さらにまた、プリンター20は吐出ヘッド24により液体としてのインクを吐出して記録紙Sに画像を形成するものであり、インクにより記録紙Sが膨張して波打ちなどの変形が生じる場合があるため、本発明を適用する意義が高い。そして、プリンター20がインクを乾燥させるヒーター62を備えているため、このヒーター62による記録紙Sの加熱を利用して複数の温度Tnの測定と変形の検出とを行うことができる。そしてまた、1パス分の画像形成を複数回行って画像を形成するにあたり、温度センサー50は1パス分の主走査方向への移動の間に複数回の温度測定を行うことで、温度Tnを測定するため、温度センサー50が同時に複数箇所の温度を測定できなくとも記録紙Sの複数箇所の温度を測定できる。そしてまた、キャリッジ22がノズル23と温度センサー50とを共に移動させるため、これらを別々に移動させる構成に比して、簡易な構成で複数箇所の温度を測定できる。そしてまた、複数の温度Tnのうち最大温度Tmaxと最小温度Tminとの温度差ΔTと所定の閾値ΔTref1とを比較することで、記録紙Sに変形が生じたことを判定することができる。そしてまた、波打ち回数Nが所定の閾値Nrefより大きいときには、記録紙Sに変形が生じたと判定する。波打ちが発生すると、形成された画像の品質が低下しやすいため、これを検出する意義が高い。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、ステップS210で温度差ΔTが閾値ΔTref1以下であるときには、ステップS220〜S230の処理を行うものとしたが、これを省略してステップS135に進んでもよい。また、ステップS190〜S210の処理を省略して、ステップS180で次パスの画像データがあるときにはステップS220に進んでもよい。
【0038】
上述した実施形態では、温度差ΔTは最大温度Tmaxと最小温度Tminとの差としたが、隣接する測定箇所間の温度差の最大値をΔTとしてもよい。また、ステップS190〜S210の処理に限らず、他の方法で記録紙Sの変形を検出してもよい。例えば閾値としての絶対値Trefを超える温度TnがあるときにステップS260の処理を行うものとしてもよい。また、閾値ΔTref1や閾値Trefなどの閾値は固定値に限らず、例えば平均値Taveや最小温度Tminに所定の係数を乗じた値としてもよい。同様に、ステップS220の波打ち回数も、上述した実施形態とは異なる方法で導出してもよい。例えば閾値ΔTref2はΔTref1の1/2の値に限らず、他の値としても良いし、平均値Taveや最小温度Tminに所定の係数を乗じた値としてもよい。また、測定した複数の温度Tnとその測定箇所の座標とをプロットして記録紙Sの温度の近似曲線を導出し、この近似曲線における微分値が値0となる箇所の数に基づいて波打ち回数Nを求めてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、温度センサー50の温度をヒーター62の制御にも用いるものとしたが、例えばヒーター62の制御用に別の温度センサーを設けてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、温度T1〜T8の測定位置は印刷可能領域内に等間隔に定められているものとしたが、これに限られない。例えば、測定位置は9箇所以上であってもよいし7箇所以下であってもよい。また、測定位置は等間隔でなくともよい。また、測定箇所が印刷可能領域内と印刷可能領域外との一方であっても両方であってもよく、記録紙Sの温度を測定するものであればよい。
【0041】
上述した実施形態では、吐出ヘッド24が画像を形成するパスの1つ前のパスの領域上の温度を測定するよう距離Dが定められているものとしたが、2パス以上前の領域の温度を測定するよう距離Dが定められているものとしてもよい。また、温度センサー50が吐出ヘッド24と比べて主走査方向側に位置するものとして、吐出ヘッド24が印刷中のパスにおける画像が形成された部分の温度を測定しても良い。
【0042】
上述した実施形態では、記録紙Sのうち吐出ヘッド24により画像が形成された部分の温度を温度センサー50が測定するものとしたが、記録紙Sのうち画像が形成される前の部分の温度を測定するものとしてもよい。この場合、インクにより記録紙Sが膨張して生じる波打ちは検出できないが、記録紙Sの変形を検出することはできる。例えば、吐出ヘッド24が温度センサー50よりも搬送方向側に位置していてもよい。また、温度センサー50が吐出ヘッド24と比べて主走査方向側に位置するものとして、記録紙Sのうち吐出ヘッド24が印刷する直前の領域の温度を測定しても良い。
【0043】
上述した実施形態では、温度センサー50はキャリッジ22により吐出ヘッド24と共に主走査方向に移動するものとしたが、キャリッジ22とは別に温度センサー50を移動させる移動手段を備えるものとして、温度センサー50と吐出ヘッド24とを別々に移動可能としてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、温度センサー50は主走査方向に複数の温度Tnを測定するものとしたが、搬送方向に沿って複数の温度を測定するものとしてもよい。この場合も、上述したステップS190〜S230と同様の処理を行うことで、搬送方向の記録紙Sの変形を検出することができる。また、主走査方向及び搬送方向にそれぞれ複数の温度を測定して、記録紙Sの主走査方向の変形の検出と搬送方向の変形の検出とを共に行うものとしてもよい。例えば、記録紙Sのうち主走査方向に8箇所,搬送方向に8箇所の計64箇所の温度を測定してもよい。なお、搬送方向に複数の温度を測定する場合には、図3の印刷処理ルーチンのステップS140におけるバッファーをクリアする処理を行わないものとして、複数の温度をパス毎にそれぞれ記憶しておくものとしてもよい。また、キャリッジ22とは別に温度センサー50を移動させる移動手段を備えるものとして、吐出ヘッド24の移動とは別に温度センサー50を主走査方向及び搬送方向(又はその逆方向)に移動させて複数の温度を測定してもよい。
【0045】
上述した実施形態では、温度センサー50は非接触の焦電型赤外線センサーとして構成されるものとしたが、記録紙Sの温度を測定可能であれば焦電型赤外線センサーに限らずどのような方式の温度センサーを用いてもよい。また、非接触に限らず記録紙Sに接触して温度を測定する温度センサーとしてもよい。また、温度センサー50は記録紙Sのうち自身の鉛直方向に位置する部分の温度を測定するものとしたが、鉛直方向に限らず他の方向に位置する部分の温度を測定してもよい。また、温度センサー50が複数箇所の温度を同時に測定可能なものであってもよい。例えば、記録紙Sの面内の熱分布画像を取得するサーモグラフィーを温度センサーとして用いてもよい。この場合、例えば熱分布画像の画素1つに対応する値を1つの測定温度としてもよいし、隣接する複数の画素の温度の平均値を1つの測定温度としてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、ヒーター62はカバー60の裏面に取り付けられて記録紙Sを温度センサー50と同じ側から直接加熱するものとしたが、これに限られない。例えば記録紙Sをプラテン40と同じ側から加熱するものとしてもよい。この場合でも、記録紙Sのうち紙浮きが生じている部分ほど温度が小さくなることになるため、温度により記録紙Sの変形を検出することができる。また、加熱した空気を送風機などにより送風して記録紙Sを間接的に加熱するものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、ヒーター62は記録紙S全体を主走査方向にわたって略均一に加熱するものとしたが、例えば吐出ヘッド24よりも搬送方向側(画像が既に形成された側)のみを加熱するものとしてもよいし、記録紙Sのうち吐出ヘッド24により画像が形成される前の領域のみを予め加熱しておくものとしてもよい。また、主走査方向に渡って均一に加熱しなくともよい。その場合、記録紙Sに変形がない場合の基準温度を予め調べておき、基準温度と測定した温度Tnとを比較して記録紙Sの変形を検出してもよい。例えば、予め記録紙Sに変形がない場合における主走査方向の温度分布を調べて測定箇所の基準温度T1b〜T8bをフラッシュメモリー75に記憶しておき、測定した温度T1〜T8と基準温度T1b〜T8bとの差が所定の閾値以上となる温度Tnが存在するときに、記録紙Sに変形が生じていると判定してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、ステップS210で温度差ΔTが閾値ΔTref1より大きいとき又はステップS230で波打ち回数Nが閾値Nref以上であるときには、印刷を途中で停止すると共に記録紙Sに変形が生じている旨を知らせるエラー画面を表示するものとしたが、印刷を停止するのみとしてもよいし、エラー画面を表示するのみとしてもよい。また、ステップS210で温度差ΔTが閾値ΔTref1より大きいときとステップS230で波打ち回数Nが閾値Nref以上であるときとでエラー画面の内容を変更してもよい。あるいは、ステップS210で温度差ΔTが閾値ΔTref1より大きいとき又はステップS230で波打ち回数Nが閾値Nref以上であるときにはヒーター62の目標温度を変更するものとしてもよいし、画像を形成する際のインクの吐出量が少なくなるようにして波打ちの発生を抑制するものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、プリンター20はシリアルプリンターとして構成されているものとしたが、ページプリンターやラインプリンターとしてもよい。また、プリンター機構21の他にスキャナーなどを備えた複合機としたり、FAXなどとしたりしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、本発明の画像形成装置としてのプリンター20について説明したが、画像形成装置に限らず媒体の変形を検出する媒体変形検出装置に本発明を適用してもよい。例えば、プリンター20とは別に温度センサー50及び変形検出部77を備え、プリンターの記録紙Sなどの画像が形成される媒体の温度を測定してその変形を検出する媒体変形検出装置としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
20 プリンター、21 プリンター機構、22 キャリッジ、23 ノズル、24 吐出ヘッド、26 インクカートリッジ、28 ガイド、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 紙送りモーター、34a キャリッジモーター、34b 従動ローラー、35 紙送りローラー、36 リニア式エンコーダー、40 プラテン、41 キャッピング装置、50 温度センサー、60 カバー、62 ヒーター、70 コントローラー、72 CPU、74 RAM、75 フラッシュメモリー、76 インターフェース(I/F)、77 変形検出部、78 ヒーター制御部、S 記録紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成される媒体の変形を検出する媒体変形検出装置であって、
加熱された前記媒体の複数箇所の温度を測定する温度測定手段と、
前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体に生じた変形を検出する変形検出手段と、
を備えた媒体変形検出装置。
【請求項2】
前記温度測定手段は、前記媒体のうち前記画像が形成された部分の温度を検出する手段であり、
前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体のうち前記画像が形成された部分に生じた変形を検出する手段である、
請求項1に記載の媒体変形検出装置。
【請求項3】
前記媒体は、搬送方向への移動と該搬送方向に交差する方向の画像形成とを伴って前記画像が形成されるものであり、
前記温度測定手段は、前記媒体のうち、前記画像が形成された部分の温度を前記搬送方向に交差する方向に複数箇所測定する手段であり、
前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体のうち前記搬送方向に交差する方向に生じた変形を検出する手段である、
請求項1又は2に記載の媒体変形検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の媒体変形検出装置と、
液体を吐出して前記媒体に前記画像を形成するヘッドと、
前記媒体を加熱して該媒体に吐出された前記液体を乾燥させる加熱手段と、
を備え、
前記温度測定手段は、前記加熱手段により加熱された前記媒体の複数箇所の温度を測定する手段である、
画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記媒体の搬送方向と交差する主走査方向に前記ヘッド及び前記温度測定手段を共に移動させるキャリッジ、
を備え、
前記媒体は、パス毎に前記ヘッドに対して相対的に前記搬送方向へ移動し、前記ヘッドが前記キャリッジにより前記主走査方向に移動しながら前記液体を吐出することによって1パス分の画像が形成され、該1パス分の画像形成を複数回行って前記画像が形成されるものであり、
前記温度測定手段は、前記1パス分の前記主走査方向への移動の間に複数回の温度測定を行うことで、前記媒体の複数箇所の温度を測定する手段である、
画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の画像形成装置であって、
前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記加熱手段の出力を制御する加熱制御手段、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度のうち最大値と最小値との温度差が所定の温度差閾値より大きいときには、前記媒体に変形が生じたと判定する手段である、
請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温度測定手段は、前記媒体のうち前記画像が形成された部分の温度を検出する手段であり、
前記変形検出手段は、前記測定された複数箇所の温度に基づいて前記媒体のうち前記画像が形成された部分に生じた波打ち回数を導出し、該波打ち回数が所定の波打ち回数閾値より大きいときには、前記媒体に変形が生じたと判定する手段である、
請求項4〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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