説明

媒体搬送装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、搬送対象の媒体の搬送位置を正確に検出する媒体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【解決手段】画像形成装置1は、2次転写ローラ部26の用紙搬送方向手前にレジスト部25が配設されており、レジスト部25は、用紙Pを狭持して搬送する下レジストローラ25aと上レジストローラ25bが相対向して配設されている。上レジストローラ25bは、軸方向において所定の間隔を空けて2つのローラ部25baとローラ部25bbに分割されており、ローラ部25baとローラ部25bbの間に、下レジストローラ25aのローラ部25aaとローラ部ba、bbfによる用紙Pの狭持線上付近を検出位置としてレジストセンサ25hが配設されている。レジストセンサ25hは、ローラ部25aaとローラ部ba、bbによって狭持されて搬送される用紙Pの先端を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び画像形成装置に関し、詳細には、搬送対象の媒体の搬送位置を正確に検出する媒体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、中間転写ベルトや感光体等の像担持体上のトナー画像を、該像担持体との対向位置を転写位置として該転写位置へ搬送される用紙等の被記録媒体に転写して、画像形成を行っている。この場合、像担持体上のトナー画像と該転写位置に搬送される被記録媒体の転写位置への突入タイミングを合わせる必要がある。
【0003】
そこで、従来から転写位置への被記録媒体の搬送方向手前に、一対のレジストローラや転写タイミングローラ等の被記録媒体を挟み込んで被記録媒体の搬送を制御するタイミング調整ローラ対を配設するとともに、このタイミング調整ローラ対の媒体搬送方向の前後いずれかに媒体センサを配設し、媒体センサによる被記録媒体の先端検出結果に基づいて、タイミング調整ローラの回転駆動を制御して、像担持体上のトナー画像と被記録媒体との位置調整を行って、タイミング調整ローラによって被記録媒体を転写位置に搬送している(特許文献1参照)。この従来技術では、媒体センサとして、光センサを用いて被記録媒体の先端を検出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、タイミング調整ローラの前後のいずれかの位置で媒体センサによって被記録媒体の先端を検出して、該媒体センサによる被記録媒体の先端の検出結果に基づいて被記録媒体の搬送制御を行っていたため、被記録媒体の正確な搬送位置を検出することができず、搬送性能を向上させる上で、改良の必要があった。
【0005】
すなわち、従来技術にあっては、例えば、転写位置への用紙の搬送方向手前に、図5及び図5のA−A矢視図である図6に示すようなレジスト部100を配設し、レジスト部100に、上下一対のレジストローラ101、102、支持枠103、アーム104及びレジストセンサ105等を設けている。下レジストローラ101は、回転軸101aに連結されているレジストモータ106によって回転駆動され、下レジストローラ101と上レジストローラ102とは、下レジストローラ101の回転軸101aと上レジストローラ102の回転軸102aに固定されている歯車101bと歯車102bが歯合して、下レジストローラ101の回転を上レジストローラ102に伝達することで、同期して回転する。下レジストローラ101の回転軸101aと上レジストローラ102の回転軸102aは、支持枠103に回転可能に支持されており、支持枠103には、図6に示すように、レジストローラ101、102よりも用紙搬送方向下流側にアーム104が用紙の搬送方向に延在する状態で取り付けられている。そして、アーム104の先端部には、反射型光センサを用いたレジストセンサ105が取り付けられている。
【0006】
レジストセンサ105は、下レジストローラ101と上レジストローラ102による用紙搬送経路上に、該下レジストローラ101と上レジストローラ102によって搬送されてきた用紙の先端を検出する状態で配設されている。
【0007】
ところが、下レジストローラ101と上レジストローラ102によって搬送される用紙Pは、下レジストローラ101と上レジストローラ102を通過すると、用紙先端が、上下方向(用紙面に対して鉛直方向)にばたつく状態で搬送され、例えば、図6に破線で示すように、下方向に湾曲している状態で検出すると、実際には、実線の位置に用紙先端が搬送されているにもかかわらず、レジストセンサ105は、測定誤差(例えば、200μm程度)として両矢印で示すように、実際の用紙先端位置よりも遅れた位置を用紙先端位置として検出する結果となる。すなわち、この状態では、レジストセンサ105から見た用紙の先端の位置は、用紙先端がばたつくことで、実際の用紙先端位置よりも搬送方向後方側に用紙先端が位置している状態に見えることとなり、この状態でレジストセンサ105が用紙の先端を検出するため、レジストセンサ105が用紙の先端を正確に検出することができない。その結果、用紙搬送タイミングを適切に制御することができず、画像の転写タイミングにずれが発生して、画質を悪化させるおそれがある。
【0008】
上記の問題は、レジストセンサ105が、レジストローラ101、102の搬送方向手前に配設されている状態においても同様であり、レジストローラ101、102に搬送されてくる用紙先端のばたつきによって検出誤差が発生する。
【0009】
このような用紙等の搬送媒体に対する通過タイミングの検出において発生する問題は、上記用紙がレジストローラ対を通過するタイミングを検出する場合に限るものではなく、一対の搬送ローラで搬送される搬送媒体の通過を検出する場合一般に発生する問題である。
【0010】
そこで、本発明は、一対の搬送ローラで挟んで搬送する搬送媒体の通過を正確に検出する媒体搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、シート状の搬送媒体を狭持して搬送する一対の搬送ローラのうち、少なくとも一方の搬送ローラの媒体狭持部が、軸方向において所定の間隔を空けて複数の分割媒体狭持部に分割ており、軸方向において隣接する複数の該分割媒体狭持部の間に、該一対の搬送ローラによる搬送媒体の狭持線上付近を検出位置として、該一対の搬送ローラによって狭持されて搬送される該搬送媒体を検出する媒体検出手段
が少なくとも1つ配設されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、前記媒体検出手段の検出結果に基づいて前記搬送ローラの駆動を制御することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一対の搬送ローラで挟んで搬送する搬送媒体の通過を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の正面概略構成図。
【図2】画像形成部の要部概略構成図。
【図3】レジスト部の用紙搬送方向下流側から見た正面図。
【図4】図3のA−A矢視図。
【図5】従来のレジスト部の用紙搬送方向下流側から見た正面図。
【図6】図5のA−A矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図4は、本発明の媒体搬送装置及び画像形成装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の媒体搬送装置及び画像形成装置の一実施例を適用した画像形成装置1の正面概略構成図である。
【0017】
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2内に、給紙部10、画像形成部20及びスキャナ部30等が順次重ねられた構成となっており、スキャナ部30の上部には、原稿自動搬送装置(以下、ADFという。)40及び図示しない操作表示部等が設けられている。また、本体筐体2の側面には、排紙トレイ3及び手差しトレイ4が設けられている。
【0018】
ADF40には、複数枚の原稿がセットされ、ADF40は、セットされた原稿を1枚ずつスキャナ部30の原稿読取位置に送給する。
【0019】
スキャナ部30は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したラインイメージスキャナ等が用いられている。スキャナ部30は、ADF40から搬送されてきた原稿に光を照射して、原稿で反射された光をCCDで光電変換し、原稿の画像を所定の解像度で読み取る。
【0020】
給紙部10は、複数(図1では、2個)の給紙トレイ11a〜11d、送り出しローラ12a〜12d、送給ローラ13a〜13d、用紙搬送路14及び用紙搬送路14上に複数設けられた搬送ローラ15等を備えており、各給紙トレイ11a〜11dには、それぞれ異なる紙サイズの搬送媒体である用紙P(図4参照)を複数枚収納可能である。
【0021】
給紙部10は、各給紙トレイ11a〜11dの収納する用紙Pを、それぞれ送り出しローラ12a〜12dによって、最上段の用紙Pから1枚ずつ分離して送り出し、該送り出された用紙Pを、送給ローラ13a〜13dによってそれぞれ用紙搬送路14に送給する。給紙部10は、用紙搬送路14に送り出された用紙Pを、用紙搬送路14に沿って複数設けられている搬送ローラ15によって画像形成部20に搬送する。また、給紙部10は、図示しないが、各給紙トレイ11a〜11dの用紙Pの有無を検出する用紙有無センサ等が設けられている。
【0022】
画像形成部(画像形成手段)20は、複数のローラ21に張り渡された中間転写ベルト22、該転写ベルト22に沿って並んで配置されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の4つの画像形成ユニット23Y、23M、23C、23K、光書き込みユニット24、レジスト部25、2次転写ローラ部26、用紙搬送部27、定着部28、排紙制御反転搬送部29等を備えており、各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、図2に示すように、各色の感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaの周囲に帯電部、露光部、現像部、一次転写部(一次転写ローラ)、除電部、クリーニング部等を備えている。
【0023】
光書き込みユニット24は、スキャナ部30で読み取られた原稿のカラー画像データや画像形成装置1に接続されているコンピュータ等の外部装置から送られてきたカラー画像データが、適宜、スキャナγ補正、色変換、画像分離、階調補正処理等の画像処理が施された後に送られてきて、該画像データに基づいて変調させたレーザのビーム束を、各色の画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kの感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaの表面に照射して、該感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Ka上に各色の画像の静電潜像を形成する。
【0024】
画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、帯電部で感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaの表面を一様に帯電させ、帯電処理の施された感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaの表面に、光書き込みユニット24からそれぞれ各色の画像データに基づいて変調及び偏向されたレーザのビーム束を照射して、感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaの表面に、各色用の静電潜像を形成する。画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、静電潜像の形成された各色の感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaに現像部からそれぞれ各色のトナーを供給して、静電潜像を現像し、それぞれ各色のトナー画像を形成する。
【0025】
画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Ka上に形成したトナー画像を、中間転写ベルト22に中間転写し、中間転写後の感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaの表面に残留する転写残トナーを、クリーニング部によってクリーニングする。画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、クリーニング部によってクリーニングした感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaを、除電部で除電して、帯電部によって一様に帯電させ、再度画像形成にする。
【0026】
画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、無端ベルト状の中間転写ベルト22が複数のローラ21に張り渡されており、中間転写ベルト22を挟んで、各感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaに対向する位置に、それぞれ一次転写ローラ(番号略)が配設されている。中間転写ベルト22は、駆動制御されるベルト駆動モータ(図示略)によって、少なくとも1つのローラ21が駆動されることで、図1及び図2に矢印で示す時計方向に無端回転移動される。画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、それぞれの一次転写ローラに図示しない電源から一次転写バイアスが印加されることで、各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kの感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Ka上の各色のトナー画像を順次重ね合わせて中間転写ベルト22上に転写させ、中間転写ベルト22上にカラーのトナー画像を形成する。
【0027】
画像形成部20は、中間転写ベルト22上に重ね合わせ転写されたカラートナー画像を、後述の2次転写ニップである2次転写ローラ部26で、給紙部10から搬送されてきた用紙P上に2次転写させ、該2次転写ローラ部26を通過した後の中間転写ベルト22の表面に残留する転写残トナーを、図示しないベルトクリーニング部でクリーニングする。
【0028】
画像形成部20は、トナー画像を転写した用紙Pを用紙搬送部27によって定着部28に搬送し、定着部28で用紙Pを加熱・加圧しつつ搬送して用紙P上のトナー画像を用紙Pに定着させる。
【0029】
画像形成部20は、排紙制御反転搬送部29で用紙搬送先を決定して、定着の完了した用紙Pをそのまま排紙トレイ3上に排出する。あるいは、画像形成部20は、排紙制御反転搬送部29によって、片面に画像形成済みの用紙Pを反転させて、再度、レジスト部25を通して2次転写ローラ部26に送り、2次転写ローラ部26で、用紙Pの裏面にトナー画像の転写を行って、該用紙Pの裏面に画像形成された用紙Pを排紙トレイ3上に排出する。
【0030】
上記2次転写ローラ部26は、2次転写ローラ26aとローラ21が中間転写ベルト22を挟んで所定の圧力で接触する状態で配設されており、レジスト部25から搬送されてきた用紙Pが2次転写ローラ26aと中間転写ベルト22とのニップ部分(狭持部分)を通過するタイミングに2次転写ローラ26aに2次転写電圧を印加して中間転写ベルト22上のトナー画像を用紙P上に転写させる。
【0031】
そして、上記レジスト部(媒体搬送装置、媒体搬送手段)25は、図2、図3及び図4に示すように、用紙Pの搬送経路Hを挟んで、該搬送経路Hに直交する方向(用紙幅方)に所定長さにわたって延在する搬送ローラとしての下レジストローラ25aと上レジストローラ25bが所定圧力で接触する状態で配設されている。下レジストローラ25aは、そのローラ部(媒体狭持部)25aaが、画像形成装置1の画像形成対象となる最大用紙幅よりも長く形成されており、ローラ部25aaは、その回転軸(軸)25abに固定されている。上レジストローラ25bは、軸方向において2つに分割されているローラ部(媒体狭持部)25ba、25bbが、回転軸(軸)25bcに固定されている。
上レジストローラ25bは、レジスト部25を用紙搬送方向下流側から見た正面図である図3に示すように、そのローラ部25baとローラ部25bbが所定間隔を空けて、回転軸25bcに固定されており、下レジストローラ25aの回転軸25ab及び上レジストローラ25bの回転軸25bcは、支持枠25cに回転自在に支持されている。各回転軸25ab、25bcには、それぞれ歯数の同じ歯車25d、25eが固定されており、回転軸25abと回転軸25bcは、歯車25dと歯車25eが歯合していることで同期回転する。下レジストローラ25aの回転軸25abには、レジストモータ25fの駆動軸が連結されており、下レジストローラ25aの回転軸25abは、レジストモータ25fによって回転駆動される。
【0032】
レジスト部25は、レジストモータ25fによって回転軸25abが回転駆動されることで、回転軸25abに固定されている下レジストローラ25aと歯車25dが回転駆動され、歯車25dが回転されることで、歯車25dに歯合している歯車25eが同期回転する。歯車25eが回転することで、歯車25eの固定されている回転軸25bcが回転し、回転軸25bcに固定されている上レジストローラ25のローラ部25ba、25bbが回転駆動される。
【0033】
そして、レジスト部25は、支持枠25cから上レジストローラ25bのローラ部25baとローラ部25bbとの間の空間であって、下レジストローラ25aのローラ部25aaとローラ部25ba、25bbとのニップ部付近の位置まで延在する状態で、L字型のセンサ取付アーム25gが支持枠25cに取り付けられており、センサ取付アーム25gの先端位置、すなわち、上記回転軸25bcの真下の位置であって下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、25bbとのニップ部近傍の位置には、図3のA−A矢視図である図4に示すように、レジストセンサ25hが取り付けられている。
【0034】
レジストセンサ25hは、反射型光センサが用いられており、その発光素子から下レジストローラ25aの回転軸25bc方向に向かって検出光を出射して、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、25bbによって狭持されて搬送される用紙Pによって検出光が反射されると、その反射光を受光素子で光電変換することによって、用紙Pの先端を検出する。すなわち、レジストセンサ25hは、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、bbとのニップ部を結ぶ線上(狭持線上)を下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、bbによって狭持されながら搬送される用紙Pの先端を検出する。
【0035】
そして、画像形成装置1は、図示しないが、制御部がレジストセンサ25hの検出結果に基づいてレジストモータ25fの駆動を制御して下レジストローラ25aと上レジストローラ25bの回転を調整し、2次転写ローラ部26の2次転写ローラ26aと中間転写ベルト22とのニップ部に中間転写ベルト22上のトナー画像が搬送されてくるタイミングに合わせて用紙Pを該ニップ部へ搬送させる。したがって、上記制御部及びレジストモータ25fは、全体として、搬送ローラ駆動制御手段、搬送制御手段として機能している。
【0036】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、画像転写位置に搬送される用紙Pの先端を高精度に検出して搬送タイミングを正確に調整する。
【0037】
すなわち、画像形成装置1は、複写動作やプリント動作の開始が指示されると、レジストセンサ25hの用紙検出動作とは無関係に画像形成部20の各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kで画像形成動作を開始し、中間転写ベルト22上に形成されたトナー画像に合わせてレジスト部25で用紙供給タイミングを調節する。
【0038】
そこで、画像形成装置1は、複写動作やプリント動作の開始が指示されると、各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kの感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaを回転駆動させ、帯電部で一様に帯電された感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaに、各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kでの書き込みタイミングに合わせて光書き込みユニット24により画像データで変調されたレーザビームを照射して静電潜像を成形する。各画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kは、静電潜像の書き込まれた感光体23Ya、23Ma、23Ca、23Kaに各色のトナーを供給してトナー画像を形成し、該各色のトナー画像を回転駆動される中間転写ベルト22上に順次正確に重ね合わせてカラーのトナー画像を形成する。
【0039】
一方、画像形成装置1は、この画像形成部20による画像形成に合わせて給紙部10から用紙Pの搬送を行う。すなわち、給紙トレイ11a〜11dのうち指定された給紙トレイ11a〜11d内の用紙Pを送り出しローラ12a〜12dにより、最上段の用紙Pから1枚ずつ分離して送り出し、該送り出された用紙Pを、送給ローラ13a〜13dによってそれぞれ用紙搬送路14に送給する。給紙部10は、用紙搬送路14に送り出された用紙Pを、用紙搬送路14に沿って複数の搬送ローラ15によって画像形成部20のレジスト部25に搬送する。
【0040】
レジスト部25は、この給紙部10から搬送されてくる用紙Pの先端をレジストセンサ25hによって検出する。
【0041】
このレジスト部25は、図2、図3及び図4に示したように、用紙Pの搬送経路Hを挟んで、該搬送経路Hに直交する方向(用紙幅方向)に延在する下レジストローラ25aと上レジストローラ25bが対向する状態で配設されているとともに、下レジストローラ25のローラ部25aaと2つに分割された上レジストローラ25bのローラ部25ba、25bbが対向する状態で配設されており、下レジストローラ25aの回転軸に連結されたレジストモータ25fの回転によって、下レジストローラ25aと上レジストローラ25bとは、それぞれの回転軸25ab、25bcに固定された歯車25d、25eを介して同期回転する。
【0042】
レジスト部25は、2つに分割された上レジストローラ25bのローラ部25baとローラ部25bbとの間に、支持枠25c及びセンサ取付アーム25gを介してレジストセンサ25hが配設されており、レジストセンサ25hは、その発光素子から下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bの分割されたローラ部25ba、25bbとのニップ部を結ぶ線上に向かって検出光を出射して、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、25bbによって狭持された状態で搬送される用紙Pによって反射される反射光を受光素子で光電変換することによって、反射光の光量変化に基づいて、用紙Pの先端を検出する。
【0043】
したがって、レジストセンサ25hは、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25baとのニップ部及び下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25bbとのニップ部を結ぶ線上を検出位置としており、搬送方向に直交する幅方向の両側が、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba及び下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25bbによって挟まれて、ばたつきが抑制された状態で搬送される用紙Pの先端を検出することとなり、搬送される用紙Pの先端を正確に検出することができる。
【0044】
そして、レジスト部25に用紙Pが搬送されたことをレジストセンサ25hが検出すると、画像形成装置1の制御部は、レジストモータ25fの駆動を制御して下レジストローラ25aと上レジストローラ25bの回転を調整し、2次転写ローラ部26の2次転写ローラ26aと中間転写ベルト22とのニップ部に中間転写ベルト22上のトナー画像が搬送されてくるタイミングに合わせて用紙Pを該ニップ部へ搬送させる。制御部は、用紙Pが2次転写ローラ部26のニップ部に搬送されてくると、2次転写ローラ26aに2次転写電圧を印加して中間転写ベルト22上のトナー画像を用紙P上に転写させ、トナー画像の転写された用紙Pを用紙搬送部27によって定着部28に搬送させて、定着部28で用紙Pを加熱・加圧しつつ搬送して用紙P上のトナー画像を用紙Pに定着させる。画像形成装置1は、定着の完了した用紙Pをそのまま排紙トレイ3上に排出、または、排紙制御反転搬送部29で用紙Pを反転させて、再度、レジスト部25を通して2次転写ローラ部26に送り、2次転写ローラ部26で、用紙Pの裏面にトナー画像の転写を行って、該用紙Pの裏面に画像形成された用紙Pを排紙トレイ3上に排出する。
【0045】
なお、本実施例においては、上側のレジストローラを、軸方向(用紙搬送方向に直交する方向)において、上レジストローラ25bのローラ部をローラ部25baとローラ部25bbの2つに分割して、この分割したローラ部25baとローラ部25bbの間に、反射型光センサのレジストセンサ25hを配設しているが、レジストセンサ25hの配設状態は、上記配設状態に限るものではなく、例えば、下レジストローラ25aのローラ部25aaを、2つまたは2つ以上に分割して、この分割した下レジストローラ25aの間に、反射型光センサのレジストセンサを、上記同様に配設してもよい。また、下レジストローラと上レジストローラをそれぞれ2つ以上に分割して、分割した下レジストローラと上レジストローラのいずれかまたは双方に反射型光センサのレジストセンサを配設してもよいし、下レジストローラと上レジストローラのそれぞれを同じ位置で分割し、分割した双方のレジストローラの間に発光素子と受光素子を配置した透過型光センサをレジストセンサとして配設してもよい。
【0046】
このように、本実施例の画像形成装置1は、シート状の搬送媒体である用紙Pを狭持して搬送する下レジストローラ25aと上レジストローラ25bのうち、少なくとも一方である上レジストローラ25bのローラ部(媒体狭持部)が、軸方向において所定の間隔を空けて複数(本実施例では、2つ)のローラ部25ba、25bbに分割されており、ローラ部25baとローラ部25bbの間に、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、25bbによって用紙Pを狭持する狭持線上付近を検出位置として、下レジストローラ25aのローラ部25aaと上レジストローラ25bのローラ部25ba、25bbによって狭持されて搬送される用紙Pを検出するレジストセンサ25hが少なくとも1つ配設されている。
【0047】
したがって、搬送媒体である用紙Pのばたつきを抑制した状態で用紙Pの先端を検出することができ、用紙Pの先端を高精度に検出することができる。
【0048】
また、本実施例の画像形成装置1は、レジストセンサ25hとして、検出光を出射する発光素子と、用紙Pからの反射光を受光して光電変換する受光素子と、を備えた反射型光センサを用いている。
【0049】
したがって、簡単な構成で、正確にかつ安価に用紙を検出することができる。
【0050】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、一対のレジストローラが、ローラ部(媒体狭持部)が、相対向する位置で、それぞれ所定間隔を空けて分割されていて、レジストセンサとして、一方のレジストローラのローラ部において分割されたローラ部間に配設されて検出光を出射する発光素子と、他方のレジストローラのローラ部において分割されたローラ部間に配設されて前記発光素子からの検出光を受光して光電変換する受光素子と、を備えた透過型光センサであってもよい。
【0051】
このようにすると、光の反射では検出し難い搬送媒体をも透過光の有無や強弱で正確に検出することができる。
【0052】
また、本実施例の画像形成装置1は、軸方向の長さ(幅)の異なる複数種類の用紙Pを搬送し、レジストセンサ25hは、全ての種類の用紙Pを検出可能な位置に配設されている。
【0053】
したがって、画像形成装置1が画像形成の対象とする用紙サイズの異なる全ての用紙Pの先端を高精度に検出することができ、画像品質を向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、制御部が、レジストセンサ25hの検出結果に基づいてレジストモータ25fの駆動を制御して、下レジストローラ25a及び上レジストローラ25bの駆動を制御している。
【0055】
したがって、レジストセンサ25hによる正確な用紙先端の検出結果に基づいて、画像形成ユニット23Y、23M、23C、23Kでの中間転写ベルト22から用紙Pへの転写タイミングに合わせて用紙Pの搬送タイミングを搬送することができ、画像品質を向上させることができる。
【0056】
なお、上記実施例においては、搬送される用紙Pの先端を検出する場合について適用した場合について説明したが、本発明は、用紙Pに限るものではなく、ローラによって搬送されるその他の搬送媒体一般に対してその先端を正確に検出する場合に適用することができる。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、用紙等の搬送媒体を搬送する複合装置、複写装置、プリンタ装置等の媒体搬送装置及び画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
2 本体筐体
3 排紙トレイ
4 手差しトレイ
10 給紙部
11a〜11d 給紙トレイ
12a〜12d 送り出しローラ
13a〜13d 送給ローラ
14 用紙搬送路
15 搬送ローラ
20 画像形成部
21 ローラ
22 中間転写ベルト
23Y、23M、23C、23K 画像形成ユニット
23Ya、23Ma、23Ca、23Ka 感光体
24 光書き込みユニット
25 レジスト部
25a 下レジストローラ
25aa ローラ部
25ab 回転軸
25b 上レジストローラ
25ba、25bb ローラ部
25bc 回転軸
25c 支持枠
25d、25e 歯車
25f レジストモータ
25g センサ取付アーム
25h レジストセンサ
26 2次転写ローラ部
26a 2次転写ローラ
27 用紙搬送部
28 定着部
29 排紙制御反転搬送部
30 スキャナ部
40 原稿自動搬送装置(ADF)
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2008−139677号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の搬送媒体の搬送方向と直交する方向を軸方向として該軸方向に所定長さにわたって相対向する状態で配設され回転駆動される一対の搬送ローラによって前記搬送媒体を狭持して搬送する媒体搬送装置において、
前記一対の搬送ローラはそれぞれ軸と該軸に固定された媒体狭持部によって構成され、
前記一対の搬送ローラのうち、少なくとも一方の搬送ローラの媒体狭持部は、前記軸方向において所定の間隔を空けて複数の分割媒体狭持部に分割されており、
前記軸方向において隣接する前記複数の分割媒体狭持部の間に、前記一対の搬送ローラによる前記搬送媒体の狭持線上付近を検出位置として、前記一対の搬送ローラによって狭持されて搬送される該搬送媒体を検出する媒体検出手段が少なくとも1つ配設されていることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記媒体検出手段は、検出光を出射する発光素子と、前記搬送媒体からの反射光を受光して光電変換する受光素子と、を備えた反射型光センサであることを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記媒体搬送装置は、
一対の前記搬送ローラが、相対向する位置でそれぞれ所定間隔を空けて分割搬送ローラに分割されており、
前記媒体検出手段が、一方の前記搬送ローラの前記分割搬送ローラと前記分割搬送ローラの間に配設されて検出光を出射する発光素子と、他方の前記搬送ローラの前記分割搬送ローラと前記分割搬送ローラの間に配設されて前記発光素子からの検出光を受光して光電変換する受光素子と、を備えた透過型光センサであることを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記媒体搬送装置は、前記軸方向の長さの異なる複数種類の前記搬送媒体を搬送し、
前記媒体検出手段が、全ての種類の前記搬送媒体を検出可能な位置に配設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記媒体搬送装置は、前記搬送ローラの駆動を制御する搬送ローラ駆動制御手段を備え、
前記搬送ローラ駆動制御手段は、前記媒体検出手段の検出結果に基づいて前記搬送ローラの駆動を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
搬送媒体に所定の画像形成タイミングで画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段に前記搬送媒体を搬送する媒体搬送手段と、
前記媒体搬送手段による前記搬送媒体の搬送を制御する搬送制御手段と、
を備え、前記画像形成手段での前記搬送媒体への画像形成タイミングに合わせて、前記搬送制御手段が前記媒体搬送手段による該搬送媒体の搬送を制御する画像形成装置において、
前記媒体搬送手段として、請求項1から請求項4のいずれかに記載の媒体搬送装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−59460(P2011−59460A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210044(P2009−210044)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】